JP4277423B2 - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の制御装置 Download PDF

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    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H2061/6604Special control features generally applicable to continuously variable gearings
    • F16H2061/6608Control of clutches, or brakes for forward-reverse shift

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はベルト式無段変速機の制御装置に係り、特に、ベルト滑りが生じない範囲でベルト挟圧力をできるだけ低くしてエネルギー損失を低減する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 溝幅が可変の一対のプーリと、その一対のプーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、を有して動力伝達経路に配設され、動力源側の入力軸回転速度と反対側の出力軸回転速度との変速比(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を連続的に変化させることができるベルト式無段変速機が、車両用駆動装置などに使用されている。そして、このようなベルト式無段変速機は、(b) 前記プーリの溝幅を変化させて前記ベルト式無段変速機の変速比を制御する変速制御装置、および(c) 前記プーリが前記伝動ベルトを挟圧するベルト挟圧力を制御する挟圧力制御装置、によって変速比やベルト挟圧力が制御されるようになっているのが普通である。特開平5−141515号公報に記載の車両はその一例で、油圧により変速比やベルト挟圧力が制御されるようになっているとともに、変速比が変化する変速過渡時には、所定の安全率を確保できるように変速比が略一定の平衡状態の時よりもベルト挟圧力(ライン圧)を高くすることにより、ベルト滑りを回避しつつ平衡状態の時のベルト挟圧力を低くして燃費等のエネルギー損失を低減するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の制御装置においては、動力源側から駆動する駆動状態と動力源側が回転駆動される被駆動状態とを区別することなくベルト挟圧力の制御が行われていたため、ベルト挟圧力を低くしてエネルギー損失を更に低減する上で必ずしも十分に満足できなかった。すなわち、一般に一対のプーリの一方の油圧制御でベルト挟圧力を制御し、他方のプーリの油圧制御で変速比を制御しているため、動力伝達の方向が反対になると、ベルト挟圧力を制御するプーリの駆動、被駆動が反対になってベルト挟圧に必要な油圧も変化するのであるが、従来は何れの場合でもベルト滑りが生じないようにベルト挟圧力すなわち油圧が設定されていたため、場合によりベルト挟圧力が過大になってエネルギー損失を生じる可能性があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、駆動状態か被駆動状態かによってベルト挟圧力の制御を場合分けすることにより、ベルト滑りを回避しつつベルト挟圧力をより適切に制御してエネルギー損失を更に低減することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、溝幅が可変の一対のプーリと、その一対のプーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、を有して動力伝達経路に配設され、動力源側の入力軸回転速度と反対側の出力軸回転速度との変速比を連続的に変化させることができるとともに、前記プーリが前記伝動ベルトを挟圧するベルト挟圧力を制御できるベルト式無段変速機の制御装置において、(a) 前記動力源側から駆動する駆動状態か、その動力源側が回転駆動される被駆動状態か、を判断する入力状態判断手段と、(b) ベルト滑りを防止する上で必要な最低限の理論必要ベルト挟圧力に所定の安全率を考慮して前記ベルト挟圧力を制御するとともに、前記駆動状態か被駆動状態かによって異なる安全率を用いることによりそのベルト挟圧力の制御範囲を変更する挟圧力制御手段と、を有し、且つ、(c) 前記挟圧力制御手段は、前記駆動状態では前記動力源のトルク変動を前記安全率に反映させるが、前記被駆動状態ではその動力源のトルク変動を前記安全率に反映させない一方、その被駆動状態の場合には、予め定められた推力比を用いて前記理論必要ベルト挟圧力を算出するとともに、その推力比のばらつきを前記安全率に反映させることを特徴とする。
【0007】
発明は、第1発明のベルト式無段変速機の制御装置において、(a) 前記動力伝達経路の動力伝達を遮断できる断続装置を有し、(b) 前記入力状態判断手段は、前記断続装置が遮断状態か否かについても判断するようになっており、(c) 前記挟圧力制御手段は、前記遮断状態か否かによって前記ベルト挟圧力の制御範囲を変更するようになっていることを特徴とする。
【0008】
発明は、第1発明または第2発明のベルト式無段変速機の制御装置において、(a) 前記ベルト式無段変速機は車両用駆動装置に用いられているもので、(b) 前記動力源は燃料の燃焼によって駆動力を発生する内燃機関で、(c) 前記入力状態判断手段は、車両走行中に前記内燃機関に対する燃料の供給を停止するフューエルカット時には前記被駆動状態と判断するものであることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
このようなベルト式無段変速機の制御装置においては、ベルト滑りを防止する上で必要な最低限の理論必要ベルト挟圧力に所定の安全率を考慮してベルト挟圧力を制御するとともに、駆動状態か被駆動状態かによって異なる安全率を用いることによりそのベルト挟圧力の制御範囲を変更するようになっており、駆動状態では動力源のトルク変動を安全率に反映させるが、被駆動状態ではトルク変動を安全率に反映させない一方、その被駆動状態の場合には、予め定められた推力比を用いて理論必要ベルト挟圧力を算出するとともに、その推力比のばらつきを前記安全率に反映させるため、ベルト挟圧力を適切に制御してベルト滑りを回避しつつエネルギー損失を低減できる。
【0011】
発明では、動力伝達経路の動力伝達が遮断される遮断状態か否かを判断し、遮断状態か否かによってベルト挟圧力の制御範囲が変更されるため、例えばベルト式無段変速機の負荷が小さくてベルト滑りを考慮する必要性が低い遮断状態の場合には、動力源の負荷ができるだけ小さくなるようにベルト挟圧力を設定するなど、ベルト式無段変速機とは別の要求に応じて適切に制御することができる。
【0012】
車両用駆動装置に用いられる第発明では、車両走行中に内燃機関に対する燃料の供給を停止するフューエルカット時には被駆動状態と判断されるが、このようなフューエルカット時には内燃機関のトルク変動が無いため、燃料が供給されて駆動力を発生している駆動状態に比較してトルク変動を考慮する必要がなく、その分だけベルト挟圧力を低くしてエネルギー損失を低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、車両用駆動装置に用いられたベルト式無段変速機の制御装置に好適に適用され、ベルト式無段変速機は走行用の動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に配設されるが、車両以外のベルト式無段変速機の制御装置にも適用され得る。走行用の動力源としては、燃料の燃焼によって駆動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関、或いは電気エネルギーで作動する電動モータなど、種々の動力源を採用できる。内燃機関および電動モータの両方を走行用の動力源として備えていても良い。
【0014】
ベルト式無段変速機の変速制御やベルト挟圧力の制御は、例えば油圧シリンダなどの油圧制御で行うように構成され、変速比を制御する変速制御装置およびベルト挟圧力を制御する挟圧力制御装置は、油圧を制御する電磁開閉弁やリニアソレノイド弁などを含んで構成される。変速制御は、一対のプーリの何れか一方の油圧制御によって行われ、挟圧力制御は他方のプーリの油圧制御によって行われるが、一般に変速制御は動力源側に位置する入力側可変プーリが用いられ、ベルト挟圧力の制御は駆動輪側に位置する出力側可変プーリが用いられる。その場合に、被駆動状態では入力側可変プーリの油圧がベルト挟圧に必要な油圧になるように出力側可変プーリの油圧を制御する必要があるため、予め定められた推力比を用いて出力側可変プーリの油圧制御を行うが、推力比を高い精度で設定することは困難であるため、推力比のばらつきを考慮した安全率を用いる。
【0015】
変速制御装置は、例えば変速条件に従って目標変速比を求めて実際の変速比が目標変速比になるように制御したり、車速や出力軸回転速度などに応じて入力側の目標回転速度を求め、実際の入力軸回転速度が目標回転速度になるようにフィードバック制御したりするなど、種々の態様を採用できる。入力側の目標回転速度は目標変速比に対応し、必ずしも目標変速比そのものを求める必要はない。
【0016】
上記変速条件は、例えばアクセル操作量などの運転者の出力要求量および車速(出力軸回転速度に対応)などの運転状態をパラメータとするマップや演算式などによって設定される。なお、常に自動的に変速比が制御される必要はなく、所定車速以上の走行中など一定の条件下で運転者が手動操作で任意に変速比を変更できるようになっていても良い。
【0017】
挟圧力制御装置は挟圧力制御手段を含むもので、挟圧力制御手段は、例えば(a) ベルト式無段変速機に入力される推定入力トルクを算出する推定入力トルク算出手段と、(b) その推定入力トルクに基づいてベルト滑りを防止する上で必要な最低限の理論必要ベルト挟圧力を算出する理論挟圧力算出手段と、(c) ベルト滑りに関与する物理量の変化特性やばらつきに応じて安全率を算出する安全率算出手段と、(d) 理論必要ベルト挟圧力を基準にして安全率を加味して最終の必要ベルト挟圧力を算出する必要ベルト挟圧力算出手段と、を有して構成される。油圧制御でベルト挟圧力を制御する場合、上記理論挟圧力算出手段は、例えば理論必要油圧を算出する理論必要油圧算出手段にて構成され、必要ベルト挟圧力算出手段は、例えば必要油圧を算出する必要油圧算出手段にて構成される。
【0018】
上記推定入力トルク算出手段、理論挟圧力算出手段、および安全率算出手段は、必要に応じて駆動状態か被駆動状態かによって異なる演算処理を行うように構成される。例えば、推定入力トルク算出手段は、駆動状態では動力源フリクショントルクやオイルポンプ駆動トルク、エアコン駆動トルク、オルタネータ駆動トルクなどを減算する一方、被駆動状態ではそれ等のトルクを加算する。理論挟圧力算出手段は、例えば駆動状態で被駆動側のプーリの油圧でベルト挟圧力を制御する場合、被駆動状態では前記推力比を考慮して理論必要ベルト挟圧力(理論必要油圧)を算出する。安全率算出手段は、駆動状態では動力源のトルク変動を安全率に反映させるが、被駆動状態ではそのトルク変動を安全率に反映させる必要はなく、被駆動状態では推力比のばらつきを安全率に反映させるが、推力比が必要ない駆動状態ではそのばらつきを安全率に反映させる必要はない。
【0019】
上記安全率の算出に際しては、動力源トルクの変動、動力源フリクショントルクのばらつき、伝動ベルトとプーリとの間の摩擦係数のばらつきや温度特性、悪路や段差乗り越え時等の路面からの逆入力、などを反映させて求めることが望ましい。前記必要ベルト挟圧力算出手段は、例えば理論必要ベルト挟圧力と安全率とを掛算して最終の必要ベルト挟圧力(必要油圧など)を算出するように構成され、その場合の安全率は、1.0を基準にして上記各ファクターによる安全係数をそれぞれ加算したり、ファジー推論などを用いて算出したりすれば良い。
【0020】
本発明の実施に際しては、例えばベルト滑りに関与する物理量の変化特性やばらつきなどによる安全値を駆動状態か被駆動状態かに応じて算出し、その安全値を上記理論必要ベルト挟圧力に加算するようにしても良い。このように安全値を加算する場合も、安全率を考慮してベルト挟圧力を決定する本発明の一実施態様と見做すことできる。
【0021】
入力状態判断手段は、第発明のようにフューエルカット時を被駆動状態と判断する他、アイドル接点がONなどのアクセルOFF時を被駆動状態と判断したり、トルクコンバータのタービン回転速度が動力源回転速度より高い場合を被駆動状態と判断したりするなど、種々の態様を採用できる。また、断続装置が遮断状態か否かは、断続装置の係合状態(油圧など)やシフトレバーの操作位置(シフトポジション)などから判断できる。
【0022】
発明の断続装置は、例えば動力源とベルト式無段変速機との間に配設されるが、ベルト式無段変速機よりも下流側、例えば駆動輪との間などに配設されていても良い。また、この断続装置は、直結クラッチや反力を受ける反力ブレーキなどで、油圧式摩擦係合装置が好適に用いられる。
【0023】
断続装置が遮断状態の場合は、ベルト式無段変速機の伝達トルクが略0になり、内燃機関(動力源)などのイナーシャがベルト式無段変速機に作用しないため伝動ベルトの滑りを考慮する必要性が低く、例えば内燃機関によって回転駆動されるオイルポンプによってベルト挟圧用の油圧が発生させられる場合、低温時の内燃機関の始動性を向上させるためにベルト挟圧力(油圧)を低圧に設定することが望ましい。また、内燃機関の吸気管負圧を利用してブレーキ力を助勢するブレーキブースタを備えている場合には、所定の負圧を確保するためにスロットル弁の開き量を小さくする、言い換えれば内燃機関の負荷を小さくすることが望ましく、ベルト挟圧力(油圧)を低圧に設定することが望ましい。
【0024】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源として用いられる内燃機関としてエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
【0025】
エンジン12は、吸入空気量を電気的に調整する電気式スロットル弁30を備えており、運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θACC などに応じてエンジンECU(電子制御ユニット)110(図2参照)により電気式スロットル弁30の開閉制御や燃料噴射制御等のエンジン出力制御が行われることにより、エンジン12の出力が増減制御される。また、エンジン12の吸気管31にはブレーキブースタ32が接続され、吸気管31内の負圧によってブレーキペダル33の踏込み操作力(ブレーキ力)を助勢するようになっている。
【0026】
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられ、それ等を一体的に連結して一体回転させることができるようになっている。上記ポンプ翼車14pには、ベルト式無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。
【0027】
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに連結され、ベルト式無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに連結されている。そして、キャリア16cとサンギヤ16sとの間に配設された直結クラッチ38が係合させられると、前後進切換装置16は一体回転させられてタービン軸34が入力軸36に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。リングギヤ16rとハウジングとの間に配設された反力ブレーキ40が係合させられるとともに上記直結クラッチ38が開放されると、入力軸36はタービン軸34に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。また、直結クラッチ38および反力ブレーキ40が共に開放されると、エンジン12とベルト式無段変速機18との間の動力伝達が遮断される。直結クラッチ38および反力ブレーキ40は何れも油圧式摩擦係合装置で、エンジン12とベルト式無段変速機18との間の動力伝達を遮断できる断続装置に相当する。
【0028】
ベルト式無段変速機18は、上記入力軸36に設けられたV溝幅が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられたV溝幅が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。可変プーリ42、46は、V溝幅を変更する油圧シリンダを備えて構成されており、入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧が変速制御回路50(図2参照)によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。
【0029】
図3は、上記変速制御回路50の一例で、変速比γを小さくするアップシフト用の電磁開閉弁52および流量制御弁54と、変速比γを大きくするダウンシフト用の電磁開閉弁56および流量制御弁58とを備えている。そして、アップシフト用の電磁開閉弁52がCVTコントローラ80(図2参照)によりデューティ制御されると、モジュレータ圧PMを減圧した所定の制御圧PVUが流量制御弁54に出力され、その制御圧PVUに対応して調圧されたライン圧PLが供給路60から入力側可変プーリ42の油圧シリンダに供給されることにより、そのV溝幅が狭くなって変速比γが小さくなる。また、ダウンシフト用の電磁開閉弁56がCVTコントローラ80によりデューティ制御されると、モジュレータ圧PMを減圧した所定の制御圧PVDが流量制御弁58に出力され、その制御圧PVDに対応してドレーンポート58dが開かれることにより、入力側可変プーリ42内の作動油が排出路62から所定の流量でドレーンされてV溝幅が広くなり、変速比γが大きくなる。なお、変速比γが略一定で入力側可変プーリ42に対する作動油の供給が必要ない場合でも、油漏れによる変速比変化を防止するため、流量制御弁54は所定の流通断面積でライン油路64と供給路60とを連通させ、所定の油圧を作用させるようになっている。
【0030】
また、出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧は、伝動ベルト48が滑りを生じないように、挟圧力制御回路70(図2参照)により調圧制御される。図4は、挟圧力制御回路70の一例で、前記オイルポンプ28によりオイルタンク72から汲み上げられた作動油は、リニアソレノイド弁74に供給されるとともに、挟圧力制御弁76を経て出力側可変プーリ46の油圧シリンダに供給される。リニアソレノイド弁74は、CVTコントローラ80によって励磁電流が連続的に制御されることにより、オイルポンプ28から供給された作動油の油圧を連続的に調圧して、制御圧PS を挟圧力制御弁76に出力するもので、挟圧力制御弁76から出力側可変プーリ46の油圧シリンダに供給される作動油の油圧PO は、制御圧PS が高くなるに従って上昇させられ、それに伴ってベルト挟圧力すなわち可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力が増大させられる。
【0031】
リニアソレノイド弁74にはまた、カットバック弁78のON時に制御圧PS がフィードバック室74aに供給される一方、カットバック弁78のOFF時には、その制御圧PS の供給が遮断されてフィードバック室74aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁78のON時にはOFF時よりも制御圧PS 、更には油圧PO の特性が低圧側へ切り換えられる。カットバック弁78は、前記トルクコンバータ14のロックアップクラッチ26のON(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりONに切り換えられるようになっている。
【0032】
図2のCVTコントローラ80はマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、上記ベルト式無段変速機18の変速制御や挟圧力制御を行うもので、シフトポジションセンサ82、アクセル操作量センサ84、エンジン回転速度センサ86、出力軸回転速度センサ88、入力軸回転速度センサ90、タービン回転速度センサ92、油温センサ94、油圧センサ96などから、それぞれシフトレバー98(図5参照)のシフトポジションSFTP、アクセルペダルの操作量θACC 、エンジン回転速度NE、出力軸回転速度NOUT(車速Vに対応)、入力軸回転速度NIN、タービン回転速度NT、ベルト式無段変速機18の油圧回路の油温TO 、出力側可変プーリ46の油圧PO などを表す信号が供給されるようになっている。
【0033】
シフトレバー98は運転者によって選択操作されるもので、シフトポジションSFTPとして前進走行用のDレンジ、後進走行用のRレンジ、動力伝達を遮断するNレンジ、駐車用のPレンジを備えている。そして、そのシフトレバー98には図5に示すマニュアルシフトバルブ100がケーブル等を介して接続されており、そのマニュアルシフトバルブ100により油路が切り換えられることにより、Dレンジでは前記前後進切換装置16の反力ブレーキ40が開放されるとともに直結クラッチ38が係合させられ、Rレンジでは直結クラッチ38が開放されるとともに反力ブレーキ40が係合させられ、NレンジおよびPレンジでは直結クラッチ38および反力ブレーキ40が共に開放される。反力ブレーキ40には、マニュアルシフトバルブ100からリバースコントロールバルブ102を経て作動油が供給されるようになっており、リバースコントロールバルブ102は、シフトレバー98がRレンジへ操作され時だけ信号圧PR の供給が停止されてON状態になり、反力ブレーキ40への作動油の供給が許容されるようになっている。また、直結クラッチ38および反力ブレーキ40には、それぞれアキュムレータ104、106が接続され、N→DシフトやN→Rシフトでそれ等のクラッチ38やブレーキ40が係合させられて駆動輪24L、24Rへ駆動力が伝達される際のシフトショックが軽減されるようになっている。なお、Pレンジでは、図示しないメカニカルパーキングロック機構により駆動輪24R、24Lの回転が機械的に阻止されるようになっている。
【0034】
前記CVTコントローラ80にはまたエンジンECU(電子制御ユニット)110が接続され、ベルト式無段変速機18の変速制御やベルト挟圧力の制御に必要な各種の情報、例えばエンジン12の吸入空気量Q、エンジン水温THW、オルタネータの電気負荷ELS、アクセルOFFのコースト走行時にエンジン12に対する燃料供給を停止するフューエルカットの有無、減筒運転の有無、エアコンのON・OFF、ロックアップクラッチ26のON・OFF、などに関する信号が供給されるようになっている。
【0035】
また、CVTコントローラ80は、図6に示すように機能的に変速制御手段112、入力状態判断手段114、挟圧力制御手段116を備えており、挟圧力制御手段116は更に推定入力トルク算出手段118、理論必要油圧算出手段120、安全率算出手段122、必要油圧算出手段124を備えている。
【0036】
変速制御手段112は、図7に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θACC および車速V(出力軸回転速度NOUTに対応)をパラメータとして予め定められた変速マップから入力側の目標回転速度NINTを算出し、実際の入力軸回転速度NINが目標回転速度NINTと一致するように、それ等の偏差に応じてベルト式無段変速機18の変速制御、具体的には変速制御回路50の電磁開閉弁52、56をフィードバック制御して、入力側可変プーリ42の油圧シリンダに対する作動油の供給、排出を制御する。図7のマップは変速条件に相当するもので、車速Vが小さくアクセル操作量θACC が大きい程大きな変速比γになる目標回転速度NINTが設定されるようになっている。また、車速Vは出力軸回転速度NOUTに対応するため、入力軸回転速度NINの目標値である目標回転速度NINTは目標変速比に対応し、ベルト式無段変速機18の最小変速比γmin と最大変速比γmax の範囲内で定められている。上記変速マップは、CVTコントローラ80のマップ記憶装置(ROMなど)126に予め記憶されている。この変速制御手段112および変速制御回路50を含んで変速制御装置が構成されている。
【0037】
入力状態判断手段114および挟圧力制御手段116は、エンジン12側から駆動輪24L、24R側へ動力が伝達される駆動状態か、駆動輪24L、24R側からエンジン12側へ動力が伝達される被駆動状態(エンジンブレーキ状態)か、断続装置としての直結クラッチ38および反力ブレーキ40が共に開放されている遮断状態か、に場合分けしてベルト挟圧力すなわち出力側可変プーリ46の油圧PO を制御するためのもので、具体的には図8のフローチャートに従って信号処理を行う。図8のフローチャートは所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるもので、ステップS2〜S4は入力状態判断手段114によって実行され、ステップS5−1〜S5−4は挟圧力制御手段116の推定入力トルク算出手段118によって実行され、ステップS6−1〜S6−4は挟圧力制御手段116の理論必要油圧算出手段120によって実行され、ステップS7−1〜S7−4は挟圧力制御手段116の安全率算出手段122によって実行され、ステップS8は挟圧力制御手段116の必要油圧算出手段124によって実行される。
【0038】
図8のステップS1では、ベルト挟圧力の制御に必要な各種の信号を読み込み、ステップS2では、シフトポジションSFTPがNまたはPレンジか否か、言い換えれば直結クラッチ38および反力ブレーキ40が共に開放された遮断状態か否かを判断する。そして、NまたはPレンジの場合はステップS5−1以下を実行することにより、遮断状態の挟圧力制御を行う一方、NまたはPレンジでない場合はステップS3でアイドル接点がONか否かを判断する。アイドル接点は前記アクセル操作量センサ84に内蔵されていて、アクセル操作量θACC が略0のアクセルOFF時にONになるもので、アイドル接点がOFFの場合は通常は駆動状態であり、ステップS5−4以下を実行して駆動状態の挟圧力制御を行う。また、アイドル接点がONの場合は通常は被駆動状態であるが、更にステップS4でフューエルカットの有無を判断し、フューエルカット時にはステップS5−2以下を実行してフューエルカットON被駆動状態の挟圧力制御を行う一方、フューエルカットが実施されていない場合は、ステップS5−3以下を実行してフューエルカットOFF被駆動状態の挟圧力制御を行う。
【0039】
本実施例では、アイドル接点がONかOFFかによって駆動状態か被駆動状態かを判断するようになっているが、アイドル接点がONの場合でもクリープ走行等の低車速では駆動状態であるため、例えばタービン回転速度NTとエンジン回転速度NEとを比較することにより、駆動状態か被駆動状態かをより正確に判断するようにしても良い。すなわち、NT≦NEであれば駆動状態で、NT>NEであれば被駆動状態と判断するのである。アイドル接点がOFFのアクセル踏込み操作時でも、同様にして駆動状態か被駆動状態かをより正確に判断することができる。
【0040】
ステップS5−1、S5−2、S5−3、S5−4は、何れも推定入力トルクTINTを算出するステップで、具体的には、図9に示すフローチャートに従って信号処理を行う。図9のステップR1では、吸入空気量Qおよびエンジン回転速度NEに基づいて、予め設定されたマップや演算式に従って推定エンジントルクTEを算出する。但し、被駆動状態では正確に算出できないため、エンジン12のポンプ作用による推定エンジントルクTEをフューエルカットの有無などに応じて予めマップなどで設定しておく。
【0041】
ステップR2では、トルクコンバータ14の速度比e(=出力回転速度/入力回転速度)に基づいて、予め設定されたマップや演算式に従ってトルク比を算出し、上記推定エンジントルクTEに掛算するとともに、入力軸回転速度NINの変化によって発生するエンジン12等のイナーシャトルク分を加算することにより、推定タービントルクTTを算出する。ロックアップクラッチ26がON(係合)の場合は、トルク比=1.0である。
【0042】
ステップR3では、シフトレバー98がDレンジかRレンジかに応じて、直結クラッチ38または反力ブレーキ40の係合トルクTKを算出する。すなわち、それ等のクラッチ38またはブレーキ40が完全係合している場合は、ベルト式無段変速機18への入力トルクは前記推定タービントルクTTであるが、N→DシフトまたはN→Rシフト直後の係合過渡時には、この係合トルクTKがベルト式無段変速機18への入力トルクになるため、係合過渡時においても適切な挟圧力制御を行うためには係合トルクTKを求める必要がある。本実施例では、直結クラッチ38、反力ブレーキ40に何れもアキュムレータ104、106が接続されているため、それ等のアキュムレータ104、106の油圧特性に応じて予め定められたマップなどにより、N→DシフトまたはN→Rシフトからの経過時間などに基づいて算出される。例えば図10は、直結クラッチ38が係合させられるN→Dシフト時のタイムチャートの一例で、係合トルクTKに対応するクラッチ係合油圧はアキュムレータ104の油圧特性に従って上昇させられるため、N→Dシフト時間t0 からの経過時間に基づいて係合トルクTKを求めることができる。
【0043】
なお、機械的なアキュムレータ104、106を使用せず、リニアソレノイド弁などで係合油圧を直接制御する場合は、その指令値から係合トルクTKを算出することができる。
【0044】
図9に戻って、ステップR4では、上記推定タービントルクTTと係合トルクTKとを比較し、TT≦TKすなわちクラッチ38またはブレーキ40が完全係合させられている場合は、ステップR5で推定タービントルクTTを推定入力トルクTINにする一方、N→D(またはN→R)シフトの直後などでTT>TKの場合は、ステップR6で係合トルクTKを推定入力トルクTINにする。なお、NレンジまたはPレンジの遮断状態では係合トルクTK=0で、推定入力トルクTINも0になる。
【0045】
ここで、上記推定タービントルクTTと係合トルクTKとの比較や、推定入力トルクTINの設定に際しては、必要に応じて前後進切換装置16を構成している遊星歯車装置のギヤ比を考慮することになる。
【0046】
また、前記図10の実線は、アクセル操作量θACC が略0のアクセルOFF時のもので、直結クラッチ38は、アキュムレータ104のピストンが後退させられる時間t1 〜t2 の範囲内で完全係合させられてタービン回転速度NTが0になるとともに、ベルト式無段変速機18への入力トルクは比較的滑らかに上昇させられるため、上記推定タービントルクTTと係合トルクTKとの比較による推定入力トルクTINの設定が可能である。これに対し、例えば一点鎖線で示すようにN→Dシフト直後にアクセルが踏込み操作されると、エンジン回転速度NE更にはタービン回転速度NTが吹き上がるため、時間t1 〜t2 の範囲内でクラッチ38が完全係合できず、アキュムレータ104のピストンが後退端に達してクラッチ係合油圧がライン圧PLまでステップ上昇させられる際に急係合させられるため、その係合時にエンジン12のイナーシャなどで入力トルクが急増する場合がある。このため、例えばN→D(またはN→R)シフト時間t0 から所定時間内にアクセル操作量θACC が所定値以上になったか否か、或いはN→D(またはN→R)シフト時間t0 から所定時間内にエンジン回転速度NEが所定値以上になったか否か、などによりアキュムレータ104、106の作動終了までにクラッチ38やブレーキ40が完全係合できないか否かを判断し、完全係合できないと判断した場合には、急係合による入力トルクの上昇を考慮して推定入力トルクTINを別設定することが望ましい。この場合の推定入力トルクTINは、通常よりも高い一定値が設定されても良いが、その時のライン圧などをパラメータとして設定されるようにしても良い。
【0047】
そして、次のステップR7では、推定入力トルクTINを例えば図11に示すように入力状態に応じて別々に補正する。具体的には、駆動状態および被駆動状態では、エンジンフリクショントルク、オイルポンプ駆動トルク、エアコン駆動トルク、オルタネータ駆動トルクを考慮し、駆動状態(S5−4)ではそれ等のトルクを減算する一方、被駆動状態(S5−2、S5−3)ではそれ等のトルクを加算して、最終的な推定入力トルクTINTを算出する。すなわち、オイルポンプ28やエアコンのコンプレッサ、オルタネータ等の補機はエンジン12によって駆動されるため、駆動状態ではエンジン12の出力トルクからそれ等の駆動トルクを差し引いたトルクがベルト式無段変速機18側へ伝達されるのである。また、車軸からの逆トルクでエンジン12が回転駆動される被駆動状態では、上記オイルポンプ28等の補機もその逆トルクで回転駆動されることになり、その反力(回転抵抗)がベルト式無段変速機18の負荷になる。このため、エンジン12のトルク(ポンプ作用による回転抵抗)にそれ等のトルクを加算したトルクがベルト式無段変速機18の入力トルクになる。なお、これ等の補正を、係合トルクTKと比較する前の推定タービントルクTT、或いは推定エンジントルクTEの段階で行うようにしても良い。
【0048】
また、NレンジまたはPレンジの遮断状態の場合(S5−1)は、ベルト式無段変速機18への入力トルクが略0であるため、ベルト滑りを考慮する必要性が低く、別の設定方法が可能である。例えばエンジン停止時であれば、低温時のエンジン12の始動性を向上させるために、エンジン12の回転負荷になるオイルポンプ28の負荷が小さくなるように、比較的小さな推定入力トルクTINTを設定してベルト挟圧用の油圧を低圧にすることが望ましい。また、本実施例ではエンジン12の吸気管負圧を利用してブレーキ力を助勢するブレーキブースタ32を備えているため、Nレンジでも所定のブレーキ助勢力が得られるように所定の吸気管負圧を確保することが望ましく、電気式スロットル弁30の開き量が小さくなるように、比較的小さな推定入力トルクTINTを設定してベルト挟圧用の油圧を低圧にすることが望ましい。すなわち、ベルト挟圧用の油圧が高いと、オイルポンプ28を回転駆動するための負荷が大きくなるため、所定のアイドル回転速度を維持するために電気式スロットル弁30(またはアイドル回転速度制御用バルブ)を開き制御する必要があるが、このように電気式スロットル弁30を開いて吸入空気量を多くすると、吸気管負圧が低くなってブレーキ助勢力が低下してしまうのである。
【0049】
図8に戻って、ステップS6−1、S6−2、S6−3、S6−4は、何れも上記推定入力トルクTINTに基づいて理論必要油圧PBを算出する。この理論必要油圧PBは、理論必要ベルト挟圧力に対応するもので、ベルト滑りを防止できる最低必要油圧であり、入力側可変プーリ42から出力側可変プーリ46へ動力伝達する駆動状態の場合(S6−4)、入力側可変プーリ42のベルト掛かり径Rを用いて、基本的に次式(1) に従って求めることができる。Kは、プーリ面積や摩擦係数などのハード諸元、オイル密度などによって定まる係数で、ベルト掛かり径Rは変速比γから求めることができる。図13は、推定入力トルクTINT、変速比γ、および理論必要油圧PBの関係を示す概略図である。なお、(1) 式は簡略式で、遠心力などを考慮して更に厳密に求めることが望ましい。
PB=K×(TINT/R) ・・・(1)
【0050】
出力側可変プーリ46から入力側可変プーリ42へ動力伝達する被駆動状態の場合(S6−2、S6−3)は、入力側可変プーリ42側のベルト挟圧力を適切に制御する必要があるため、出力側可変プーリ46と入力側可変プーリ42との推力比αを予め定められたマップや演算式から求め、入力側可変プーリ42側で所定のベルト挟圧力が得られる出力側可変プーリ46の理論必要油圧PBを次式(2) に従って算出する。推力比αを求めるマップや演算式は、予め実験などにより変速比γをパラメータとして設定されており、前記マップ記憶装置126に記憶されている。
PB=K×α×(TINT/R) ・・・(2)
【0051】
また、NレンジまたはPレンジの遮断状態の場合(S6−1)は、推定入力トルクTINTそのものが正確でないとともに、エンジン12等のイナーシャがベルト式無段変速機18に影響しないためベルト滑りを考慮する必要性が低く、上記(1) 式、(2) 式のどちらを用いて理論必要油圧PBを算出しても良い。また、この他の演算式から理論必要油圧PBを算出しても良いが、この理論必要油圧PBの算出式に基づいて、所定の油圧になるように前記推定入力トルクTINTを設定することになる。推定入力トルクTINTを設定することなく、ステップS6−1で直接理論必要油圧PBを設定するようにしても良い。
【0052】
ステップS7−1、S7−2、S7−3、S7−4では、安全率SFを例えば図12に示すように駆動状態か被駆動状態かによって別々に算出する。安全率SFは、ベルト滑りに関与する物理量の変化特性やばらつきに拘らずベルト滑りが生じないように、前記理論必要油圧PBに掛算されるもので、1.0を基準にして所定の安全係数をそれぞれ加算して求める。具体的には、駆動状態の場合(S7−4)は、エンジントルクの変動に関する安全係数SF1 、エンジン12のフリクショントルクのばらつきに関する安全係数SF2 、伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間の摩擦係数のばらつきと温度特性に関する安全係数SF3 、悪路や段差乗り越え時等の路面からの逆入力に関する安全係数SF4 、をそれぞれ1.0に加算して安全率SFを求める。また、被駆動状態の場合(S7−2、S7−3)は、前記推力比αのばらつきに関する安全係数SF5 を加算して安全率SFを算出するが、フューエルカット時にはエンジントルクの変動が無いため、上記安全係数SF1 を加算する必要はない。フューエルカットOFF時の被駆動状態の場合、すなわちステップS7−3では安全係数SF1 を加算すれば良い。図12の「○」は安全率SFに反映されることを意味し、「×」は安全率SFに反映されないことを意味し、「△」は、場合によって反映されることを意味する。
【0053】
上記エンジントルクの変動に関する安全係数SF1 は、(エンジントルク+トルク変動幅)/(エンジントルク)で求められるが、ロックアップクラッチ26のON(係合)時にはトルク変動が大きくなるため、ロックアップクラッチ26のON、OFFで場合分けし、ON時にはOFF時よりも大きな値にすることが望ましい。エンジン部品のフェールで減筒運転を行う場合もトルク変動が大きくなるため、正常時よりも大きな値にすることが望ましい。また、トルクコンバータ14のダンパーは、一般に2段折れ特性となっており、エンジントルクが折れ点トルクより大きいと振動が大きくなるため、エンジントルク(推定エンジントルクTE)が折れ点トルクよりも大きいか否かによって場合分けすることが望ましい。但し、被駆動状態ではエンジントルクが折れ点トルクを越えることはないため考慮する必要はない。その他の安全係数SF2 〜SF5 については、必ずしも場合分けする必要はなく、予め一定値を設定すれば良いが、必要に応じて場合分けすることも可能である。
【0054】
なお、NレンジまたはPレンジの遮断状態(S7−1)では、ベルト滑りを考慮する必要性が低いため、ステップS7−1では安全率SF=1.0にすれば良い。
【0055】
そして、最後のステップS8では、ステップS6−1〜S6−4で求めた理論必要油圧PBにステップS7−1〜S7−4で求めた安全率SFを掛算して、必要油圧PBTを算出し、出力側可変プーリ46の油圧PO が必要油圧PBTになるように、挟圧力制御回路70のリニアソレノイド弁74に対する励磁電流を制御する。本実施例では、挟圧力制御手段116および挟圧力制御回路70を含んで挟圧力制御装置が構成されている。
【0056】
このようなベルト式無段変速機の制御装置においては、ベルト滑りに関与する物理量の変化特性やばらつきに応じて設定される安全率SFが駆動状態か被駆動状態かによって異なり、駆動状態ではエンジントルクの変動に関する安全係数SF1 が安全率SFに反映されるのに対して、被駆動状態(フューエルカットON時)ではそのエンジントルクの変動に関する安全係数SF1 が安全率SFに反映されないとともに、被駆動状態に特有の推力比αのばらつきに関する安全係数SF5 が安全率SFに反映されるため、駆動状態か被駆動状態かによって必要油圧PBTの制御範囲が変更されて、ベルト滑りを回避しつつベルト挟圧力が適切に制御されるようになり、エネルギー損失を低減して燃費を向上させることができる。
【0057】
また、本実施例では駆動状態、被駆動状態だけでなく、ベルト滑りを考慮する必要性が低い遮断状態か否かを判断して、遮断状態の場合は必要油圧PBTを別個に設定して油圧PO を低圧に調圧するようになっているため、エンジン負荷が低減されて低温時のエンジン始動性が向上するとともに、Nレンジでもブレーキブースタ32によりブレーキ助勢力が好適に得られるようになる。
【0058】
また、本実施例ではフューエルカットの有無で被駆動状態が場合分けされており、フューエルカット時にはエンジントルクの変動に関する安全係数SF1 を加算することなく安全率SFが算出されるため、その分だけ必要油圧PBTの値が低くなってエネルギー損失が低減される。
【0059】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用駆動装置の骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置におけるベルト式無段変速機の制御系統を説明するブロック線図である。
【図3】図2の変速制御回路の具体例を示す回路図である。
【図4】図2の挟圧力制御回路の具体例を示す回路図である。
【図5】図1の前後進切換装置のクラッチおよびブレーキを係合、開放する油圧回路の一例を示す図である。
【図6】図2のCVTコントローラが備えている機能を説明するブロック線図である。
【図7】図6の変速制御手段によって行われる変速制御において目標回転速度NINTを求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。
【図8】図6の入力状態判断手段および挟圧力制御手段によって行われるベルト挟圧力制御を具体的に説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップS5−1〜S5−4で推定入力トルクTINTを算出する際の信号処理を具体的に説明するフローチャートである。
【図10】N→Dシフトの際に係合させられる直結クラッチの係合油圧やタービン回転速度、入力トルクの変化を、アクセルOFF時とアクセルが踏込み操作された場合とを比較して示すタイムチャートである。
【図11】図9のステップR7で行われる推定入力トルクの補正の具体的内容を説明する図である。
【図12】図8のステップS7−1〜S7−4で算出される安全率SFの具体的内容を説明する図である。
【図13】図8のステップS6−1〜S6−4で算出される理論必要油圧PBと、推定入力トルクTINTおよび変速比γとの関係を示す図である。
【符号の説明】
10:車両用駆動装置 12:エンジン(動力源、内燃機関) 18:ベルト式無段変速機 38:直結クラッチ(断続装置) 40:反力ブレーキ(断続装置) 42:入力側可変プーリ 46:出力側可変プーリ 80:CVTコントローラ 114:入力状態判断手段 116:挟圧力制御手段 PB:理論必要油圧(理論必要ベルト挟圧力) SF:安全率

Claims (3)

  1. 溝幅が可変の一対のプーリと、該一対のプーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、を有して動力伝達経路に配設され、動力源側の入力軸回転速度と反対側の出力軸回転速度との変速比を連続的に変化させることができるとともに、前記プーリが前記伝動ベルトを挟圧するベルト挟圧力を制御できるベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記動力源側から駆動する駆動状態か、該動力源側が回転駆動される被駆動状態か、を判断する入力状態判断手段と、
    ベルト滑りを防止する上で必要な最低限の理論必要ベルト挟圧力に所定の安全率を考慮して前記ベルト挟圧力を制御するとともに、前記駆動状態か被駆動状態かによって異なる安全率を用いることにより該ベルト挟圧力の制御範囲を変更する挟圧力制御手段と、
    を有し、且つ、
    前記挟圧力制御手段は、前記駆動状態では前記動力源のトルク変動を前記安全率に反映させるが、前記被駆動状態では該動力源のトルク変動を前記安全率に反映させない一方、該被駆動状態の場合には、予め定められた推力比を用いて前記理論必要ベルト挟圧力を算出するとともに、該推力比のばらつきを前記安全率に反映させる
    ことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  2. 前記動力伝達経路の動力伝達を遮断できる断続装置を有し、
    前記入力状態判断手段は、前記断続装置が遮断状態か否かについても判断するようになっており、
    前記挟圧力制御手段は、前記遮断状態か否かによって前記ベルト挟圧力の制御範囲を変更するようになっている
    ことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
  3. 前記ベルト式無段変速機は車両用駆動装置に用いられているもので、
    前記動力源は燃料の燃焼によって駆動力を発生する内燃機関で、
    前記入力状態判断手段は、車両走行中に前記内燃機関に対する燃料の供給を停止するフューエルカット時には前記被駆動状態と判断するものである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機の制御装置。
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