JP4821054B2 - 車両用制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用制御装置に係り、特に、駆動輪のスリップおよびグリップの繰り返しによって発生する駆動系の回転振動に起因する各種の問題を解決する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧により伝動ベルトを挟圧して動力を伝達するとともに一対の可変プーリの溝幅を変更して変速比を変化させるベルト式無段変速機を有する車両が知られている。実開昭63−48637号公報に記載の車両はその一例で、チェーン式の伝動ベルトがプーリに巻き付く際の周期的な張力変動やトルク変動に起因して発生する振動を抑制するため、目標変速比が予め定められた振動レベルが高い変速比と一致する場合には、変速比を微小量だけ修正するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような装置においても、低μ路での発進加速時に駆動輪のスリップおよびグリップの繰り返しによって発生する駆動系の回転振動に対しては、必ずしも十分な振動抑制効果が得られなかった。このような駆動輪のスリップ/グリップによる振動は、図15に示すようなスリップ率Sに対する摩擦係数μの特性により、例えば摩擦係数μが大きく変化するA領域での走行状態で発生するものと考えられ、トルクコンバータ等の流体継手を介することなく駆動力源が駆動系に連結されている電気自動車やハイブリッド車両において特に問題になる。
【0004】
また、このような駆動系の回転振動によって伝動ベルトの負荷が変化するため、ベルト挟圧力が不足してベルト滑りが発生する可能性がある。ベルト式無段変速機以外であっても、伝達トルク容量を制御可能な摩擦式のクラッチやブレーキ等の動力伝達装置が駆動経路に設けられている場合には、伝達トルク容量が不足して滑り等の問題を生じる可能性がある。
【0005】
また、駆動系の回転速度をパラメータとして例えば電動モータ等の駆動力源のトルクをフィードバック制御する車両においては、駆動系の回転振動に対応して駆動力源のトルクが周期的に変化させられることになり、二次的な振動が発生したり強制力(反力)の増大や共振などで回転振動が大きくなったりする可能性がある。駆動力源以外でも、駆動系の回転速度をパラメータとして作動状態が制御される装置を有する場合には、同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、駆動輪のスリップおよびグリップの繰り返しなどによって発生する駆動系の回転振動を抑制したり、その回転振動に起因する伝達トルク容量不足や二次的な振動の発生などを防止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、変速比を制御可能な変速機が駆動経路に設けられている車両の制御装置において、駆動系の回転振動が生じた場合に、その振動の継続時間または振動の振幅の大きさで表される振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を大きく変化させることで、振動周波数に対する振動ゲインのピーク位置を大きく変化させて振動を低減する振動時変速手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
第2発明は、第1発明の車両用制御装置において、前記振動時変速手段は、車両発進時に回転振動が生じた場合に、その振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を小さくするものであることを特徴とする。
【0010】
第3発明は、駆動経路の回転速度が所定の目標回転速度となるようにフィードバック制御される作動装置を備えている車両の制御装置において、駆動系の回転振動が生じた場合に、前記フィードバック制御のゲインを小さくして前記作動装置の作動状態の変化を制限する振動時作動変化制限手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
第4発明は、伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置および変速比を制御可能な変速機が駆動経路に設けられているとともに、その駆動経路の回転速度が所定の目標回転速度となるようにフィードバック制御される作動装置を備えている車両の制御装置において、(a) 前記動力伝達装置の入力回転速度が4.2〜25Hzの範囲内の振動周波数で、且つ50rpm以上の振幅で変動する駆動系の回転振動が生じた場合に、前記動力伝達装置の伝達トルク容量を増大する振動時トルク容量増大手段と、(b) 駆動系の回転振動が生じた場合に、その振動の継続時間または振動の振幅の大きさで表される振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を大きく変化させることで、振動周波数に対する振動ゲインのピーク位置を大きく変化させて振動を低減する振動時変速手段と、(c) 駆動系の回転振動が生じた場合に、前記フィードバック制御のゲインを小さくして前記作動装置の作動状態の変化を制限する振動時作動変化制限手段と、を有することを特徴とする。
なお、伝達トルク容量は、動力伝達装置が滑りなどを生じることなく伝達できる最大トルクのことである。
【0012】
第5発明は、第4発明の車両用制御装置において、前記伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置は、油圧により伝動ベルトを挟圧して動力を伝達するとともに一対の可変プーリの溝幅を変更して変速比を変化させるベルト式無段変速機で、前記変速機を兼ねていることを特徴とする。
【0013】
第6発明は、第3発明〜第5発明の何れかの車両用制御装置において、前記作動装置は、前記駆動経路に連結されてトルクが制御される回転機であることを特徴とする。
【0014】
第7発明は、第1発明〜第6発明の何れかの車両用制御装置において、前記駆動系の回転振動は、駆動輪からの逆入力に起因する振動であることを特徴とする。
【0015】
第8発明は、第7発明の車両用制御装置において、前記逆入力に起因する振動は、駆動力源から駆動輪にトルクを伝達して走行する駆動走行時にその駆動輪のスリップとグリップとの繰り返しによって発生するものであることを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
第1発明の車両用制御装置においては、駆動系の回転振動が生じた場合に、振動時変速手段によって振動レベルが大きい程変速機の変速比が大きく変化させられるため、それに伴って振動周波数に対する振動ゲインのピークが大きく変化し、変速比をできるだけ変更することなく振動レベルに応じて回転振動を適切に低減することができる。すなわち、変速比が小さくなる程振動ゲインのピークは高周波数側へ移動するため、例えば第2発明のような車両発進時に駆動系の回転振動が生じた場合、発進時の変速比は一般に最大であるため、振動レベルに応じて変速比を小さくすれば、アップシフトによる走行性能の低下をできるだけ抑えながら振動レベルに応じて回転振動を適切に低減できるのである。
【0018】
第3発明の車両用制御装置においては、駆動系の回転振動が生じた場合に、振動時作動変化制限手段によってフィードバック制御のゲインが小さくされることにより作動装置の作動状態の変化が制限されるため、駆動経路の回転速度変化に伴って作動装置の作動状態が周期的に変化し、二次的な振動が発生したり強制力(反力)の増大や共振などで回転振動が大きくなったりすることが抑制される。
【0019】
第4発明の車両用制御装置は、第1発明の振動時変速手段、第3発明の振動時作動変化制限手段を共に備えているため、それ等の第1発明、第3発明の作用効果を共に享受でき、駆動系の回転振動に起因する種々の問題が総合的に改善される。加えて、動力伝達装置の入力回転速度が4.2〜25Hzの範囲内の振動周波数で、且つ50rpm以上の振幅で変動する駆動系の回転振動が生じた場合に、振動時トルク容量増大手段によって動力伝達装置の伝達トルク容量が増大させられるため、例えば低μ路での発進加速時に駆動輪のスリップおよびグリップの繰り返しによって駆動系に発生する回転振動に伴う負荷の変化で伝達トルク容量が不足して滑り等の問題が発生することが防止される。
【0020】
第5発明は、伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置としてベルト式無段変速機を備えている場合で、振動時変速手段によってベルト式無段変速機の変速比が振動レベルに応じて変化させられることにより、変速比をできるだけ変更することなく振動レベルに応じて駆動系の回転振動が適切に低減される。また、振動時トルク容量増大手段によって伝達トルク容量すなわちベルト挟圧力が増大させられることにより、回転振動に伴う負荷の変化でベルト挟圧力が不足してベルト滑りが発生することが防止される。
【0021】
第6発明は、作動装置として回転機を備えている場合で、振動時作動変化制限手段によって駆動経路の回転速度変化に拘らず回転機のトルク変化が制限されることにより、二次的な振動が発生したり強制力(反力)の増大や共振などで回転振動が大きくなったりすることが抑制される。
【0022】
第7発明は、駆動輪からの逆入力に起因して駆動系の回転振動が生じる場合で、第8発明は、駆動力源から駆動輪にトルクを伝達して走行する駆動走行時に駆動輪のスリップとグリップとの繰り返しによって駆動系の回転振動が生じる場合で、本発明が適用されることによりその回転振動が抑制され、或いは回転振動に起因する伝達トルク容量不足や二次的な振動の発生などが改善される。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、低μ路での発進加速時に駆動輪のスリップおよびグリップの繰り返しによって駆動系に発生する回転振動、すなわち振幅が50rpm以上で周波数が4.2〜25Hz程度の回転振動に対して好適に適用されるが、その他の回転振動に対しても適用されるように実行条件を設定することもできる。すなわち、駆動系の回転振動を判定する振動判定手段の判定条件として、振動の周波数や振幅、車速、外気温、変速比、などを適当に定めることにより、特定の回転振動のみを対象とすることもできるし、種々の回転振動に対して幅広く適用されるようにすることもできる。
【0024】
また、本発明はトルクコンバータ等の流体継手を介することなく駆動力源が駆動系に連結されている電気自動車やハイブリッド車両において特に優れた効果が得られるが、トルクコンバータなどの流体継手を介して駆動力源が連結されている車両に適用することも可能である。
【0025】
第4発明の伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置は、油圧式のベルト式無段変速機の他、トロイダル型等の他の無段変速機、油圧によって摩擦係合させられるクラッチやブレーキなどの油圧式摩擦係合装置、それ等のクラッチやブレーキによって変速段や前後進、或いは走行モードが切り換えられる有段変速機、前後進切換装置、走行モード切換装置など、種々の態様が可能である。受圧面積など油圧以外の制御パラメータで伝達トルク容量を制御することもできるし、電磁クラッチなど油圧以外の駆動力で摩擦係合して動力を伝達する動力伝達装置にも適用され得る。伝達トルク容量は、基本的には入力トルクすなわち伝達トルクをパラメータとして、滑りを生じることが無い必要最小限の大きさに制御することが望ましい。
【0026】
振動時トルク容量増大手段は、予め定められた一定量或いは一定割合だけ伝達トルク容量を増大させるものでも良いし、振動レベルや変速機の変速比などをパラメータとして予め定められたマップや演算式などから増大量などを求めるようになっていても良い。増大量でなく、通常よりも大きな伝達トルク容量そのものの値を設定するようにしても良い。
【0027】
第1発明、第4発明の変速比を制御可能な変速機としては、変速比を連続的に変化させることができる無段変速機が適当であるが、変速比を段階的に変化させる遊星歯車式、2軸噛合式等の有段の変速機であっても良い。振動時変速手段は、振動レベルに応じて変速比を連続的または段階的に変化させるように構成される。振動時変速手段は、変速比の変更量を定めるものでも変速比そのものの値を設定するものでも良い。
【0028】
第2発明の車両発進時の回転振動は、車両発進時か否かを車速や加速度などから判断するようにしても良いが、振動の周波数や振幅などの振動特性から判断することもできる。第1発明は、必ずしも車両発進時に限定されず、ダウンシフトにより振動ゲインのピークをずらして振動を低減する場合であっても良い。
【0029】
第3発明、第4発明の作動装置は、例えば駆動経路の回転速度が目標回転速度となるようにトルクがフィードバック制御される電動モータや回転機、内燃機関などの駆動力源、或いは入力回転速度が所定の目標入力回転速度となるように変速比がフィードバック制御される無段変速機などである。
【0030】
振動時作動変化制限手段は、例えばフィードバック制御のゲインを所定量或いは所定割合だけ小さくしたり、予め定められた所定の値に変更したりするように構成される。
【0031】
第6発明の回転機は、電気エネルギーで回転駆動される電動モータ、車両の運動エネルギーや内燃機関などによって回転駆動されることにより電気エネルギーを発生する発電機、或いはそれ等の電動モータおよび発電機の両方の機能を備えているモータジェネレータである。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド駆動制御装置10を説明する概略構成図で、図2は変速機12を含む骨子図であり、このハイブリッド駆動制御装置10は、燃料の燃焼で動力を発生するエンジン14、電動モータおよび発電機として用いられるモータジェネレータ16、およびダブルピニオン型の遊星歯車装置18を備えて構成されており、車両に横置きに搭載されて使用される。遊星歯車装置18のサンギヤ18sには、トルクコンバータ等の流体継手を介することなくエンジン14が連結され、キャリア18cにはモータジェネレータ16が連結され、リングギヤ18rは第1ブレーキB1を介してケース20に連結されるようになっている。また、キャリア18cは第1クラッチC1を介して変速機12の入力軸22に連結され、リングギヤ18rは第2クラッチC2を介して入力軸22に連結されるようになっている。上記エンジン14は内燃機関で、モータジェネレータ16は回転機であり、それ等のエンジン14およびモータジェネレータ16が駆動力源である。
【0033】
上記クラッチC1、C2および第1ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路24から供給される作動油によって摩擦係合させられるようになっている。図3は、油圧制御回路24の要部を示す図で、電動ポンプを含む電動式油圧発生装置26で発生させられた元圧PCが、マニュアルバルブ28を介してシフトレバー30(図1参照)のシフトポジションに応じて各クラッチC1、C2、ブレーキB1へ供給されるようになっている。シフトレバー30は、運転者によって操作されるシフト操作部材で、本実施例では「B」、「D」、「N」、「R」、「P」の5つのシフトポジションに選択操作されるようになっており、マニュアルバルブ28はケーブルやリンク等を介してシフトレバー30に連結され、そのシフトレバー30の操作に従って機械的に切り換えられるようになっている。
【0034】
「B」ポジションは、前進走行時に変速機12のダウンシフトなどにより比較的大きな駆動力源ブレーキが発生させられるシフトポジションで、「D」ポジションは前進走行するシフトポジションであり、これ等のシフトポジションでは出力ポート28aからクラッチC1およびC2へ元圧PCが供給される。第1クラッチC1へは、シャトル弁31を介して元圧PCが供給されるようになっている。「N」ポジションは駆動力源からの動力伝達を遮断するシフトポジションで、「R」ポジションは後進走行するシフトポジションで、「P」ポジションは駆動力源からの動力伝達を遮断するとともに図示しないパーキングロック装置により機械的に駆動輪の回転を阻止するシフトポジションであり、これ等のシフトポジションでは出力ポート28bから第1ブレーキB1へ元圧PCが供給される。出力ポート28bから出力された元圧PCは戻しポート28cへも入力され、上記「R」ポジションでは、その戻しポート28cから出力ポート28dを経てシャトル弁31から第1クラッチC1へ元圧PCが供給されるようになっている。
【0035】
クラッチC1、C2、およびブレーキB1には、それぞれコントロール弁32、34、36が設けられ、それ等の油圧PC1、PC2、PB1が制御されるようになっている。クラッチC1の油圧PC1についてはON−OFF弁38によって調圧され、クラッチC2およびブレーキB1についてはリニアソレノイド弁40によって調圧されるようになっている。
【0036】
そして、上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1の作動状態に応じて、図4に示す各走行モードが成立させられ、これ等のクラッチC1、C2、ブレーキB1、および前記遊星歯車装置18によって走行モード切換装置が構成されている。「B」ポジションまたは「D」ポジションでは、「ETC走行モード」、「直結走行モード」、「モータ走行モード(前進)」の何れかが成立させられ、「ETC走行モード」では、第2クラッチC2を係合するとともに第1クラッチC1および第1ブレーキB1を開放した状態、言い換えればサンギヤ18s、キャリア18c、およびリングギヤ18rが相対回転可能な状態で、エンジン14およびモータジェネレータ16を共に作動させてサンギヤ18sおよびキャリア18cにトルクを加え、リングギヤ18rを回転させて車両を前進走行させる。「直結走行モード」では、クラッチC1、C2を係合するとともに第1ブレーキB1を開放した状態で、エンジン14を作動させて車両を前進走行させる。また、「モータ走行モード(前進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を作動させて車両を前進走行させる。「モータ走行モード(前進)」ではまた、アクセルOFF時などにモータジェネレータ16を回生制御することにより、車両の運動エネルギーで発電してバッテリ42(図1参照)を充電するとともに車両に制動力を発生させることができる。
【0037】
図5の(a) は、上記「ETC走行モード」における遊星歯車装置18の作動状態を示す共線図で、「S」はサンギヤ18s、「R」はリングギヤ18r、「C」はキャリア18cを表しているとともに、それ等の間隔はギヤ比ρ(=サンギヤ18sの歯数/リングギヤ18rの歯数)によって定まる。具体的には、「S」と「C」の間隔を1とすると、「R」と「C」の間隔がρになり、本実施例ではρが0.6程度である。また、「ETC走行モード」におけるトルク比は、エンジントルクTe:CVT入力軸トルクTin:モータトルクTm=ρ:1:1−ρであり、モータトルクTmはエンジントルクTeより小さくて済むとともに、定常状態ではそれ等のモータトルクTmおよびエンジントルクTeを加算したトルクがCVT入力軸トルク、すなわち前記変速機12の入力軸22に加えられるトルクになる。
【0038】
また、この「ETC走行モード」では、例えば図5(b) に示すように、ステップSS1でモータジェネレータ16の回転速度Nmが目標モータ回転速度Nm* になるように、モータジェネレータ16の回生トルクをフィードバック制御するとともに、ステップSS2では、アクセル操作量θacに応じて電子スロットル弁72(図1参照)のスロットル弁開度等を制御することによりエンジン14の出力制御を行う。目標モータ回転速度Nm* は、モータジェネレータ16を回生制御して発電することによりバッテリ42を充電するために、逆回転方向の所定の回転速度、例えば−1000rpm程度等の一定値、或いは車速Vなどをパラメータとして設定される。上記ステップSS1は、M/GECU66が機能的に備えているETC時回生制御手段162(図11参照)によって実行される。
【0039】
図4に戻って、「N」ポジションまたは「P」ポジションでは、「ニュートラル」または「充電・Eng始動モード」の何れかが成立させられ、「ニュートラル」ではクラッチC1、C2および第1ブレーキB1の何れも開放する。「充電・Eng始動モード」では、クラッチC1、C2を開放するとともに第1ブレーキB1を係合し、モータジェネレータ16を逆回転させてエンジン14を始動したり、エンジン14により遊星歯車装置18を介してモータジェネレータ16を回転駆動するとともにモータジェネレータ16を回生制御して発電し、バッテリ42(図1参照)を充電したりする。
【0040】
「R」ポジションでは、「モータ走行モード(後進)」または「フリクション走行モード」が成立させられ、「モータ走行モード(後進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を逆方向へ回転駆動してキャリア18c更には入力軸22を逆回転させることにより車両を後進走行させる。「フリクション走行モード」は、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を開放した状態でエンジン14を作動させ、サンギヤ18sを正方向へ回転させるとともに、そのサンギヤ18sの回転に伴ってリングギヤ18rが正方向へ回転させられている状態で、第1ブレーキB1をスリップ係合させてそのリングギヤ18rの回転を制限することにより、キャリア18cに逆方向の回転力を作用させて後進走行を行うものであり、同時にモータジェネレータ16を逆方向へ回転駆動(力行制御)するようにしても良い。
【0041】
前記変速機12は、油圧式のベルト式無段変速機(CVT)で、その出力軸44からカウンタ歯車46を経て差動装置48のリングギヤ50に動力が伝達され、その差動装置48により左右の駆動輪(前輪)52に動力が分配される。変速機12は、一対の可変プーリ12a、12bおよびそれ等に巻き掛けられた伝動ベルト12cを備えており、プライマリ側(入力側)の可変プーリ12aの油圧シリンダによってV溝幅が変更されることにより変速比γ(=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout )が連続的に変化させられるとともに、セカンダリ側(出力側)の可変プーリ12bの油圧シリンダによってベルト挟圧力(張力)が調整されるようになっている。前記油圧制御回路24は、変速機12の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えており、共通の電動式油圧発生装置26から作動油が供給される。上記変速機12は、伝達トルク容量すなわちベルト挟圧力を制御可能な動力伝達装置で、セカンダリ側の可変プーリ12bの油圧によって伝達トルク容量が制御される。
【0042】
本実施例のハイブリッド駆動制御装置10は、図1に示すHVECU60によって走行モードが切り換えられるようになっている。HVECU60は、CPU、RAM、ROM等を備えていて、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行することにより、電子スロットルECU62、エンジンECU64、M/GECU66、T/MECU68、前記油圧制御回路24のON−OFF弁38、リニアソレノイド弁40、エンジン14のスタータ70などを制御する。電子スロットルECU62はエンジン14の電子スロットル弁72を開閉制御するもので、エンジンECU64はエンジン14の燃料噴射量や可変バルブタイミング機構、点火時期などによりエンジン出力を制御するもので、M/GECU66はインバータ74を介してモータジェネレータ16の力行トルクや回生トルク等を制御するもので、T/MECU68は変速機12の変速比γやベルト張力などを制御するものである。
【0043】
上記HVECU60には、アクセル操作量センサ76からアクセル操作部材としてのアクセルペダル78の操作量θacを表す信号が供給されるとともに、シフトポジションセンサ80からシフトレバー30の操作ポジション(シフトポジション)を表す信号が供給される。また、エンジン回転速度センサ82、モータ回転速度センサ84、入力回転速度センサ86、出力回転速度センサ88から、それぞれエンジン回転速度(回転数)Ne、モータ回転速度(回転数)Nm、入力回転速度(入力軸22の回転速度)Nin、出力回転速度(出力軸44の回転速度)Nout を表す信号が供給される。出力回転速度Nout は車速Vに対応し、アクセル操作量θacは運転者の出力要求量を表している。
【0044】
また、本実施例では図6に示すように、上記ハイブリッド駆動制御装置10の他にリヤ側モータジェネレータ90を備えており、インバータ92を介して前記バッテリ42に電気的に接続され、力行制御および回生制御されるようになっている。モータジェネレータ90は差動装置94を介して左右の後輪96に機械的に連結され、力行制御されることにより電動モータとして機能して後輪96を回転駆動するとともに、回生制御により後輪96に回生制動力を作用させる。このリヤ側モータジェネレータ90も前記HVECU60によって制御されるようになっており、例えば車両発進時や低μ路走行時など所定の条件下で前輪52に加えて後輪96が回転駆動されるとともに、そのモータ回転速度Nrmを表す信号がレゾルバ等のモータ回転速度センサ98からHVECU60に供給される。
【0045】
図7は、前記油圧制御回路24のうち前記元圧PCの基になるライン油圧PL を発生する部分を示す回路図である。オイルポンプ100は歯車ポンプなどの回転式ポンプで、専用の電動モータ102によって回転駆動されるようになっており、これらのオイルポンプ100および電動モータ102を含んで前記電動式油圧発生装置26が構成されている。そして、オイルポンプ100によりストレーナ106を介して吸い上げられた作動油は、圧力制御弁として機能するプライマリレギュレータバルブ108によって所定のライン油圧PL に調圧される。プライマリレギュレータバルブ108には、HVECU60によってデューティ制御されるリニアソレノイド弁110の信号圧PSLS が供給されるようになっており、その信号圧PSLS に応じてライン油圧PL が制御されるとともに、余分な作動油が油路112へドレーンされる。ライン油圧PL は、元圧PCの基になる他、変速機12の変速制御やベルト挟圧力の制御にも用いられるもので、例えばアクセル操作量θacすなわち各部の伝達トルクなどをパラメータとして求められる目標ライン油圧PL * となるように調圧される。油路112の作動油は、油圧制御回路24の各部の潤滑部位へ供給されるとともに、一部はオイルクーラ114へ供給されて冷却されるようになっており、適量の作動油が潤滑部位およびオイルクーラ114へ供給されるように調圧弁116によって所定油圧に調圧される。
【0046】
図8は、変速機12の変速比γを制御する変速制御回路130の一例で、変速比γを小さくするアップシフト用の電磁開閉弁132および流量制御弁134と、変速比γを大きくするダウンシフト用の電磁開閉弁136および流量制御弁138とを備えている。そして、アップシフト用の電磁開閉弁132がT/MECU68によりデューティ制御されると、モジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧PVUが流量制御弁134に出力され、その制御圧PVUに対応して調圧されたライン圧PL が供給路140からプライマリ側可変プーリ12aの油圧シリンダに供給されることにより、そのV溝幅が狭くなって変速比γが小さくなる。また、ダウンシフト用の電磁開閉弁136がT/MECU68によりデューティ制御されると、モジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧PVDが流量制御弁138に出力され、その制御圧PVDに対応してドレーンポート138dが開かれることにより、プライマリ側可変プーリ12a内の作動油が排出路142から所定の流量でドレーンされてV溝幅が広くなり、変速比γが大きくなる。なお、変速比γが略一定でプライマリ側可変プーリ12aに対する作動油の供給が必要ない場合でも、油漏れによる変速比変化を防止するため、流量制御弁134は所定の流通断面積でライン油路144と供給路140とを連通させ、所定の油圧を作用させるようになっている。
【0047】
上記変速制御は、例えば図9に示すようにアクセル操作量θacおよび車速V(出力回転速度Nout に対応)をパラメータとして予め定められたマップから目標入力回転速度NINTを算出し、実際の入力回転速度Ninが目標入力回転速度NINTと一致するように、前記電磁開閉弁132、136をフィードバック制御する。図9のγmax は最大変速比で、γmin は最小変速比である。この変速制御は、T/MECU68が機能的に備えている変速制御手段158(図11参照)によって行われる。
【0048】
一方、セカンダリ側可変プーリ12bの油圧シリンダの油圧PD は、伝動ベルト12cが滑りを生じないように、前記図7に示す挟圧力制御弁146によって調圧される。挟圧力制御弁146には、前記ライン油圧PL 、信号圧PSLS 、およびモジュレータ圧PM が供給されるようになっており、リニアソレノイド弁110から出力される信号圧PSLS に応じて油圧PD は連続的に制御され、油圧PD が高くなるに従ってベルト挟圧力すなわち可変プーリ12a、12bと伝動ベルト12cとの間の摩擦力が増大させられ、伝達トルク容量が大きくなる。この油圧PD の制御すなわち挟圧力制御は、例えば図10に示すように伝達トルクに対応するアクセル操作量θacおよび変速比γをパラメータとして予め定められたマップから必要油圧を算出し、その必要油圧に応じてリニアソレノイド弁110をデューティ制御することによって行われる。この挟圧力制御は、T/MECU68が機能的に備えているトルク容量制御手段160(図11参照)によって行われる。
【0049】
図11は、低μ路での発進加速時に駆動輪52のスリップおよびグリップの繰り返しによって発生する駆動系の回転振動(以下、ドドド振動という)を抑制したり、そのドドド振動に伴って発生する弊害を防止したりするために、本実施例のハイブリッド駆動制御装置10が備えている機能を説明するブロック線図で、振動判定手段150、振動時変速手段152、振動時トルク容量増大手段154、および振動時作動変化制限手段156を備えており、HVECU60の信号処理によって各手段の機能が実現される。図12は各機能の具体的内容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるとともに、ステップS1〜S5は振動判定手段150によって実行され、ステップS6は振動時変速手段152によって実行され、ステップS7は振動時トルク容量増大手段154によって実行され、ステップS9は振動時作動変化制限手段156によって実行される。そして、変速機12の変速比γを制御する変速制御手段158、ベルト挟圧力すなわち油圧PD を制御するトルク容量制御手段160、およびETC走行モード時にモータジェネレータ16を回生制御するETC時回生制御手段162は、上記振動時変速手段152、振動時トルク容量増大手段154、および振動時作動変化制限手段156からそれぞれ供給される補正指令などに従って変速制御や挟圧力制御、回生トルク制御を行う。
【0050】
図12のステップS1では、ドドド振動の判定実行条件を満足するか否かを判断する。判定実行条件は、ドドド振動が発生する前提条件で、例えば低μ路走行か否かを判断すれば良く、外気温センサなどによって検出される外気温が所定温度以下の場合、或いは駆動輪52のスリップ状態に応じて駆動力を制御するトラクション制御装置を備えている場合はトラクション制御が実行中の場合、などが判定実行条件として定められる。そして、判定実行条件を満足しない場合はドドド振動が発生する恐れはないため、そのまま終了し、変速制御手段158、トルク容量制御手段160、ETC時回生制御手段162は、通常の変速制御、挟圧力制御、回生トルク制御を行う。
【0051】
ステップS1の判断がYES(肯定)の場合、すなわちドドド振動の判定実行条件を満足する場合は、ステップS2で入力回転速度Ninの変動成分がドドド振動と略一致するか否かを判断する。具体的には、入力回転速度Ninの振動周波数が4.2〜25Hzの範囲内で、且つ振幅が50rpm以上か否かによって判断する。入力回転速度Ninの振動成分の上ピークや下ピーク、なまし処理値(平均値)などは、別のロジックによってきめ細かく検出されるようになっており、例えば上ピークの時間間隔などから振動周波数が算出されるとともに、上ピークまたは下ピークとなまし処理値との偏差の絶対値が振幅の1/2になり、それ等の周波数や偏差に基づいて判断できる。そして、振動を検出した場合はステップS3で判定カウンタCに1を加算する一方、振動を検出しない場合はステップS4で判定カウンタCから1を減算する。図13は、ドドド振動が発生するような条件下で発進、停止を繰り返して判定カウンタCの増減変化を調べた結果で、ステップS2の振動判定に従って判定カウンタCを加減算することにより、ドドド振動の発生時には判定カウンタCが加算されることが分かる。
【0052】
ステップS5では、上記判定カウンタCの値が所定の判定値α以上か否かを判断する。この判断は、ノイズなどで誤ってドドド振動と判断することを防止するためのもので、判定値αは予め一定値が定められても良いが、例えばトラクション制御装置によるトラクション制御が実行中か否かによって異なる判定値αが設定されるようにすることが望ましい。すなわち、トラクション制御を実行中の場合はドドド振動が発生する可能性が高いため、判定値αとして通常よりも小さな値を設定することにより、ドドド振動を速やかに判定してステップS6以下の各処理を開始するのである。トラクション制御以外の車両の運転状態に基づいて、ドドド振動が発生する可能性の大小で異なる判定値αが定められるようにすることもできる。
【0053】
ステップS6では、変速機12の変速比γを所定量だけ小さくするアップシフト指令を前記変速制御手段158に出力し、変速制御手段158はこのアップシフト指令に従って変速比γが通常よりも小さくなるように、前記図9から求めた目標入力回転速度NINTを減少補正して変速制御を行う。すなわち、図14に示すように振動周波数に対するゲインのピークは、変速比γが小さくなる程高周波数側へ移動する一方、ドドド振動は発進加速時に発生するため変速比γは一般に最大で、ドドド振動は変速比γが最大の時にゲインのピークが位置する比較的低い周波数f1 の近傍の領域で生じることになり、変速比γを小さくすればその周波数f1 近傍のゲインが低下してドドド振動が抑制されるのである。一方、変速比γを小さくすると駆動力が低下して走行性能が損なわれるため、そのアップシフト量はできるだけ小さい方が望ましく、本実施例では振動レベルすなわちカウンタCの値が大きくなる程段階的にアップシフト量を大きくするようになっており、走行性能をできるだけ損なうことなくドドド振動が適切に低減される。判定カウンタCはドドド振動の継続時間で、振動レベルに相当する。
【0054】
ステップS7では、ベルト挟圧力すなわち前記油圧PD を所定量だけ高くする油圧アップ指令を前記トルク容量制御手段160に出力し、トルク容量制御手段160はこの油圧アップ指令に従って油圧PD が通常よりも高くなるように、前記図10から求めた必要油圧を増大補正して油圧制御を行う。この時の油圧増大量は、ドドド振動に伴う負荷の変化でベルト挟圧力が不足してベルト滑りが発生することがないように、変速比γをパラメータとして定められるようになっている。
【0055】
ステップS8では、ETC走行モードか否かを判断し、ETC走行モード以外の場合はそのまま終了するが、ETC走行モードの場合は、ステップS9でモータジェネレータ16の回生トルクをフィードバック制御する際のゲインを通常よりも小さな予め定められた値に変更するゲイン変更指令を前記ETC時回生制御手段162に出力する。ETC時回生制御手段162は、モータジェネレータ16の回転速度Nmが目標モータ回転速度Nm* になるように、モータジェネレータ16の回生トルクをフィードバック制御するもので、ゲイン変更指令に従って通常よりも小さなゲインでフィードバック制御を行うことにより、ドドド振動発生時の入力回転速度Ninの回転変動に伴うモータ回転速度Nmの回転変動に起因して回生トルクが周期的に変化することが抑制される。本実施例では、モータジェネレータ16が、駆動経路の回転速度をパラメータとして作動状態が制御される作動装置に相当する。
【0056】
前記ステップS5の判断がNO(否定)の場合、すなわち判定カウンタCの値が判定値αより小さい場合には、ステップS10で復帰制御中か否かを判断する。復帰制御は、ステップS15でドドド振動発生時の変速制御から通常の変速制御へ徐々に移行する制御で、その復帰制御中か否かは例えばフラグのON、OFFなどで判断できる。そして、復帰制御中であれば直ちにステップS13を実行するが、復帰制御中でなければステップS11で前回のサイクル時にドドド振動の判定が成立したか否か、すなわちステップS5の判断がYESであったか否かを判断し、ドドド振動の判定が為されていない場合はそのまま終了し、ドドド振動の判定が為されていた場合はステップS12で復帰タイマTimを起動する。
【0057】
ステップS13では、復帰タイマTimの計測時間が予め定められた設定時間β以上になったか否かを判断し、設定時間βに達するまでステップS15で復帰制御を行い、設定時間βに達したらステップS14で復帰制御を終了する。ステップS15の復帰制御は、上記設定時間βの間に変速比γを図9に従って求められる通常の値まで徐々に戻すためのもので、設定時間βは一定値であっても良いが、前記ステップS6のアップシフト量に応じて異なる時間が設定されるようにしても良い。なお、トルク容量制御手段160によって制御される油圧PD 、およびETC時回生制御手段162で用いられるフィードバックゲインについては、ステップS5の判断がNOとなった時点で直ちに通常の値に戻される。
【0058】
このように本実施例では、ドドド振動が発生した場合に、ステップS6で振動時変速手段152によりベルト式無段変速機12の変速比γを小さくするアップシフト指令が出力されて変速制御手段158により変速比γが小さくされ、それに伴って振動ゲインのピークが高周波数側へ移動するため、周波数f1 近傍のドドド振動が低減されて乗り心地が向上する。特に、判定カウンタCの値が大きい程、すなわち振動レベルが大きい程、変速比γが小さくなるようにアップシフト指令が出力されるため、アップシフトによる走行性能の低下をできるだけ抑えながら振動レベルに応じてドドド振動が適切に低減される。
【0059】
また、ステップS7で振動時トルク容量増大手段154によりベルト式無段変速機12の伝達トルク容量すなわち油圧PD を所定量だけ高くする油圧アップ指令が出力され、トルク容量制御手段160によって伝達トルク容量(油圧PD )が通常よりも増大させられるため、ドドド振動に伴う負荷の変化でベルト挟圧力が不足してベルト滑りが発生することが防止される。
【0060】
また、ETC走行モード時にはステップS9で振動時作動変化制限手段156によりモータジェネレータ16の回生トルクをフィードバック制御する際のゲインを通常よりも小さな値に変更するゲイン変更指令が出力され、ETC時回生制御手段162によってフィードバック制御される回生トルクの変化が抑制されるため、ドドド振動に起因して二次的な振動が発生したり強制力(反力)の増大や共振でドドド振動が大きくなったりすることが抑制される。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたハイブリッド駆動制御装置を説明する概略構成図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動制御装置の動力伝達系を示す骨子図である。
【図3】図1の油圧制御回路のうち走行モードを切り換える部分を示す回路図である。
【図4】図1のハイブリッド駆動制御装置において成立させられる幾つかの走行モードと、クラッチおよびブレーキの作動状態との関係を説明する図である。
【図5】図4のETC走行モードを説明する図で、(a) は遊星歯車装置の各回転要素の回転速度の関係を示す共線図、(b) はETC走行モード時のモータジェネレータおよびエンジンの作動を説明するフローチャートである。
【図6】後輪駆動用のリヤ側モータジェネレータを含む駆動装置全体を示す概略図である。
【図7】油圧制御回路のうち油圧発生部分および挟圧力制御を行う部分を示す回路図である。
【図8】油圧制御回路のうち変速機の変速制御を行う部分を示す回路図である。
【図9】変速機の変速制御で車速Vおよびアクセル操作量θacをパラメータとして目標入力回転速度NINTを算出するデータマップの一例を示す図である。
【図10】変速機の挟圧力制御でアクセル操作量θacおよび変速比γから必要油圧を求めるデータマップの一例を示す図である。
【図11】ドドド振動を抑制したり、ドドド振動に起因して発生するベルト滑りや二次的振動を防止するために備えている機能を説明するブロック線図である。
【図12】図11の各機能の内容を具体的に説明するフローチャートである。
【図13】ドドド振動発生時における判定カウンタCの増減変化の一例を示すタイムチャートである。
【図14】変速比γによって振動周波数に対するゲインのピークが変化する様子を説明する図である。
【図15】低μ路におけるスリップ率Sと摩擦係数μの関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
10:ハイブリッド駆動制御装置(車両用制御装置) 12:ベルト式無段変速機(動力伝達装置) 16:モータジェネレータ(回転機、作動装置)
52:駆動輪 60:HVECU 66:M/GECU 68:T/MECU 152:振動時変速手段 154:振動時トルク容量増大手段
156:振動時作動変化制限手段
Claims (8)
- 変速比を制御可能な変速機が駆動経路に設けられている車両の制御装置において、
駆動系の回転振動が生じた場合に、その振動の継続時間または振動の振幅の大きさで表される振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を大きく変化させることで、振動周波数に対する振動ゲインのピーク位置を大きく変化させて振動を低減する振動時変速手段を設けた
ことを特徴とする車両用制御装置。 - 前記振動時変速手段は、車両発進時に回転振動が生じた場合に、その振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を小さくするものである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。 - 駆動経路の回転速度が所定の目標回転速度となるようにフィードバック制御される作動装置を備えている車両の制御装置において、
駆動系の回転振動が生じた場合に、前記フィードバック制御のゲインを小さくして前記作動装置の作動状態の変化を制限する振動時作動変化制限手段を設けた
ことを特徴とする車両用制御装置。 - 伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置および変速比を制御可能な変速機が駆動経路に設けられているとともに、該駆動経路の回転速度が所定の目標回転速度となるようにフィードバック制御される作動装置を備えている車両の制御装置において、
前記動力伝達装置の入力回転速度が4.2〜25Hzの範囲内の振動周波数で、且つ50rpm以上の振幅で変動する駆動系の回転振動が生じた場合に、前記動力伝達装置の伝達トルク容量を増大する振動時トルク容量増大手段と、
駆動系の回転振動が生じた場合に、その振動の継続時間または振動の振幅の大きさで表される振動レベルが大きい程前記変速機の変速比を大きく変化させることで、振動周波数に対する振動ゲインのピーク位置を大きく変化させて振動を低減する振動時変速手段と、
駆動系の回転振動が生じた場合に、前記フィードバック制御のゲインを小さくして前記作動装置の作動状態の変化を制限する振動時作動変化制限手段と、
を有することを特徴とする車両用制御装置。 - 前記伝達トルク容量を制御可能な動力伝達装置は、油圧により伝動ベルトを挟圧して動力を伝達するとともに一対の可変プーリの溝幅を変更して変速比を変化させるベルト式無段変速機で、前記変速機を兼ねている
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用制御装置。 - 前記作動装置は、前記駆動経路に連結されてトルクが制御される回転機である
ことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の車両用制御装置。 - 前記駆動系の回転振動は、駆動輪からの逆入力に起因する振動である
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用制御装置。 - 前記逆入力に起因する振動は、駆動力源から駆動輪にトルクを伝達して走行する駆動走行時に該駆動輪のスリップとグリップとの繰り返しによって発生するものである
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用制御装置。
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