JP5447274B2 - 車両用無段変速機の制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両に搭載される無段変速機の制御装置に係る。特に、本発明は、車両急制動要求時における無段変速機の制御の改良に関する。
従来より、エンジン(内燃機関)を搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。また、この自動変速機として、変速比を無段階に調整可能とする無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)も知られている。その一例として、ベルト式無段変速機が挙げられる。
このベルト式無段変速機は、プーリ溝(V溝)を備えたプライマリプーリ(入力側プーリ)とセカンダリプーリ(出力側プーリ)とにベルトを巻き掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に、他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に調整する構成となっている。このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなるため、ベルトに張力を付与するように、プーリを構成する一対のシーブによってベルトを挟み付けている。
また、ベルト式無段変速機の変速は、上記のように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることにより行っている。具体的には、プライマリプーリ及びセカンダリプーリをそれぞれ固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸方向に進退移動させることにより変速を行う(例えば下記の特許文献1及び特許文献2を参照)。
このようにベルト式無段変速機では、ベルトに張力を付与するために一対のシーブによってベルトを挟み付けるとともに、変速を実行するためにシーブによるベルトの挟み付け状態を変更している。このため、セカンダリプーリ側の油圧アクチュエータには、エンジン負荷などに代表される要求トルクに応じた油圧を供給して必要な伝達トルク容量を確保し(ベルト挟圧力の制御)、また、プライマリプーリ側の油圧アクチュエータには、変速を行うための油圧を供給することで(変速比の制御)、プライマリプーリの溝幅を変更すると同時にセカンダリプーリの溝幅を変更している。
特開2004−316717号公報 特開平7−217713号公報
ところで、上述したベルト式無段変速機は、一般に、エンジンの駆動力を受けて作動するオイルポンプからのオイルによって各種制御バルブ(アップシフト用変速制御バルブ、ダウンシフト用変速制御バルブ、ベルト挟圧力制御バルブ等)を作動させ、上記変速比の制御やベルト挟圧力の制御を行っている。
そして、特許文献1及び特許文献2にも開示されているように、車両の急制動時にあっては、変速比の制御としては変速比を大きくする(γmax側に制御する)ように変速制御バルブにオイルが供給され、ベルト挟圧力の制御としてはベルト挟圧力を高めるようにベルト挟圧力制御バルブにオイルが供給されることになる。
ところが、この場合、変速比制御のために必要な変速制御バルブへのオイル供給量とベルト挟圧力制御のために必要なベルト挟圧力制御バルブへのオイル供給量との総量に対してオイルポンプからのオイル吐出量が不足してしまう可能性がある。つまり、車両の急制動時には運転者のアクセル操作はなされておらず、被駆動状態のエンジンは比較的低い回転数となっており、それに伴ってオイルポンプからのオイル吐出量も比較的少ない状況となっている。このような状況で、γmax側への変速要求とベルト挟圧力の増大要求とが発生することになるため、これら変速制御及びベルト挟圧力制御に必要なオイル量が不足し、上記ベルト挟圧力制御バルブへのオイル供給量が十分に得られない場合には適正なベルト挟圧力が得られなくなってベルトに滑りが発生してしまう可能性がある。特に、急制動時にはセカンダリプーリに作用する制動トルクが急速に増大することになるため上記ベルトの滑りが発生しやすい状況となっており、このような状況で、ベルト挟圧力制御に必要なオイル量が不足する状態となるために、ベルトに滑りが発生してしまう可能性の高いものとなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の急制動要求時におけるベルト滑りを確実に防止することが可能な車両用無段変速機の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、車両の急制動要求時には、変速動作(γmax側への変速動作)を禁止することで、変速動作によるオイルの消費量を削減し、ベルト挟圧力制御に使用可能なオイル量を十分に確保して適正なベルト挟圧力(ベルトに滑りを生じさせないベルト挟圧力)が得られるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプライマリプーリ及びセカンダリプーリの間に巻き掛けられたベルトと、上記プライマリプーリのシーブを移動してプーリ溝の溝幅を変化させるプライマリ側油圧アクチュエータと、上記セカンダリプーリのシーブを移動してプーリ溝の溝幅を変化させるセカンダリ側油圧アクチュエータとを備え、各プーリ溝の溝幅の変化によって各プーリの半径方向におけるベルトの巻き掛け位置を変更して変速比が変更可能とされた車両用無段変速機の制御装置を前提とする。この車両用無段変速機の制御装置に対し、車両の急制動要求を判定する急制動要求判定手段と、この急制動要求判定手段によって車両の急制動要求であると判定された際、上記変速比の変更を停止した状態で、上記プライマリ側油圧アクチュエータ及びセカンダリ側油圧アクチュエータのうちの少なくとも一方の油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるベルト挟圧力増大手段を備えさせている。このベルト挟圧力増大手段として具体的には、車両の急制動要求時、セカンダリ側油圧アクチュエータの油圧を高めてベルト挟圧力を増大させる構成となっている。
そして、上記急制動要求時のベルト挟圧力としては、車両の急制動要求が高いほど上記油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるようにしている。
この特定事項により、車両走行中にブレーキペダルの踏み込み操作等により急制動要求が発生した場合、無段変速機の最大変速比(γmax)側への変速動作を実行することなく(変速動作を禁止して)、ベルト挟圧力制御を行っている油圧アクチュエータ(例えばセカンダリ側油圧アクチュエータ)へのオイル供給量を増量してベルト挟圧力を増大させる。この際、上述した如く変速動作は停止されているため、この変速動作のために使用されるオイル量は無くなり、回路内のオイル量(例えばオイルポンプから吐出されたオイル量の略全量)をベルト挟圧力を増大させるためのものとして使用可能となる。このため、このベルト挟圧力を増大させるためのオイル量が十分に確保され、ベルト挟圧力を適切に得ることができて、ベルトの滑りを防止することができる。特に、上記急制動時にはセカンダリプーリに作用する制動トルクが急速に増大することになるためベルトの滑りが発生しやすい状況であるが、ベルト挟圧力を増大させるためのオイル量が十分に確保されているため、ベルトの滑りを確実に防止することが可能である。
また、車両の急制動要求が高いほどセカンダリプーリに作用する制動トルクが大きく、ベルトの滑りが発生しやすい状況となる。このため、車両の急制動要求が高いほど油圧を高めてベルト挟圧力を増大させ、急制動要求が比較的高い場合におけるベルトの滑りの確実な防止と、急制動要求が比較的低い場合における燃料消費率の改善(例えばオイルポンプのオイル吐出量を低減させることでオイルポンプの駆動力に消費される燃料の削減)とが図れることになる。
上記急制動要求判定手段の具体的な構成としては以下の3タイプが挙げられる。先ず、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキ踏力が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断する構成とされたものである。また、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキマスターシリンダ圧が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断する構成とされたものである。また、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキキャリパー圧が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断する構成とされたものである。
特に、ブレーキペダルのON操作時に急制動要求の判断が行えるようにした場合、実際に車両に制動力が発生する前に、つまり、セカンダリプーリに大きな制動トルクが作用する前にベルト挟圧力を増大させることが可能となるため、ベルトの滑りを確実に防止することが可能になる。
また、上述した複数の急制動要求判定条件の複数が成立した場合に車両の急制動要求時であると判断する構成としてもよい。
本発明では、車両の急制動要求時には、変速動作を停止することで、変速動作によるオイルの消費量を削減し、ベルト挟圧力制御に使用可能なオイル量を十分に確保して適正なベルト挟圧力が得られるようにしている。このため、急制動要求時におけるベルトの滑りを防止することが可能である。
実施形態に係るベルト式無段変速機が搭載された車両の駆動系の概略構成図である。 プライマリプーリの油圧アクチュエータを制御する油圧制御回路を示す回路構成図である。 セカンダリプーリの油圧アクチュエータを制御する油圧制御回路を示す回路構成図である。 ベルト式無段変速機の変速制御に用いるマップの一例を示す図である。 ベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御に用いるマップの一例を示す図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 制動時における油圧制御の手順を示すフローチャート図である。 ブレーキ踏力に応じたセカンダリシーブ油圧の増加量を設定するためのテーブルであって、図8(a)は通常ブレーキ時を、図8(b)はパニックブレーキ時をそれぞれ示す図である。 ブレーキマスターシリンダ圧に応じたセカンダリシーブ油圧の増加量を設定するためのテーブルであって、図9(a)は通常ブレーキ時を、図9(b)はパニックブレーキ時をそれぞれ示す図である。 ブレーキキャリパー圧に応じたセカンダリシーブ油圧の増加量を設定するためのテーブルであって、図10(a)は通常ブレーキ時を、図10(b)はパニックブレーキ時をそれぞれ示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載されたベルト式無段変速機に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両の概略構成図である。この図1に示すように、本実施形態の車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両であって、走行用動力源であるエンジン(内燃機関)1、流体伝動装置としてのトルクコンバータ2、前後進切換装置3、ベルト式無段変速機(CVT)4、減速歯車装置5、差動歯車装置6、及び、ECU(Electronic Control Unit)8などが搭載されている。上記ECU8、後述する油圧制御回路(作動流体回路)20、後述する各種センサなどによってベルト式無段変速機の制御装置が実現されている。
エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11はトルクコンバータ2に連結されており、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2から前後進切換装置3、ベルト式無段変速機4及び減速歯車装置5を介して差動歯車装置6に伝達され、左右の駆動輪(図示せず)へ分配される。
これらエンジン1、トルクコンバータ2、前後進切換装置3、ベルト式無段変速機4、及び、ECU8の各部について以下に説明する。
−エンジン1−
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1に吸入される吸入空気量は電子制御式のスロットルバルブ12により調整される。スロットルバルブ12は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ102によって検出される。また、エンジン1の冷却水温は水温センサ103によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度はECU8によって駆動制御される。具体的には、エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数Ne、及び、運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル操作量Acc)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ12のスロットル開度を制御している。より詳細には、スロットル開度センサ102を用いてスロットルバルブ12の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ12のスロットルモータ13をフィードバック制御している。
−トルクコンバータ2−
トルクコンバータ2は、入力側のポンプインペラ21、出力側のタービンランナ22、及び、トルク増幅機能を発現するステータ23などを備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行う。ポンプインペラ21はエンジン1のクランクシャフト11に連結されている。タービンランナ22はタービンシャフト27を介して前後進切換装置3に連結されている。
トルクコンバータ2には、このトルクコンバータ2の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ24が設けられている。ロックアップクラッチ24は、係合側油室25内の油圧と解放側油室26内の油圧との差圧(ロックアップ差圧)を制御することにより完全係合・半係合(スリップ状態での係合)または解放される。
ロックアップクラッチ24を完全係合させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ24を所定のスリップ状態(半係合状態)で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ22がポンプインペラ21に追随して回転する。一方、ロックアップ差圧を負に設定することによりロックアップクラッチ24は解放状態となる。
そして、トルクコンバータ2にはポンプインペラ21に連結して駆動される機械式のオイルポンプ(油圧発生源)7が設けられている。
−前後進切換装置3−
前後進切換装置3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構30、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構30のサンギヤ31はトルクコンバータ2のタービンシャフト27に一体的に連結されており、キャリア33はベルト式無段変速機4の入力軸40に一体的に連結されている。また、これらキャリア33とサンギヤ31とは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ32は後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。
前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は、後述する油圧制御回路20によって係合・解放される油圧式摩擦係合要素であって、前進用クラッチC1が係合され、後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置3が一体回転状態となって前進用動力伝達経路が成立(達成)し、この状態で、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。
一方、後進用ブレーキB1が係合され、前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置3によって後進用動力伝達経路が成立(達成)する。この状態で、入力軸40はタービンシャフト27に対して逆方向へ回転し、この後進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。また、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1がともに解放されると、前後進切換装置3は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
−ベルト式無段変速機4−
ベルト式無段変速機4は、入力側のプライマリプーリ41、出力側のセカンダリプーリ42、及び、これらプライマリプーリ41とセカンダリプーリ42とに巻き掛けられた金属製のベルト43などを備えている。
プライマリプーリ41は、有効径が可変な可変プーリであって、入力軸40に固定された固定シーブ411と、入力軸40に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ412とによって構成されている。セカンダリプーリ42も同様に、有効径が可変な可変プーリであって、出力軸44に固定された固定シーブ421と、出力軸44に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ422とによって構成されている。
プライマリプーリ41の可動シーブ412側には、固定シーブ411と可動シーブ412との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ413が配置されている。また、セカンダリプーリ42の可動シーブ422側にも同様に、固定シーブ421と可動シーブ422との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ423が配置されている。
以上の構造のベルト式無段変速機4において、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧を制御することにより、プライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42の各V溝幅が変化してベルト43の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(γ=プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin/セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout)が連続的に変化する。また、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧は、ベルト滑りが生じない所定の挟圧力でベルト43が挟圧されるように制御される(このベルト挟圧力制御の詳細については後述する)。これらの制御はECU8及び油圧制御回路20によって実行される。
−油圧制御回路20−
油圧制御回路20は、図1に示すように、変速速度制御部20a、ベルト挟圧力制御部20b、ライン圧制御部20c、ロックアップ係合圧制御部20d、クラッチ圧力制御部20e、及び、マニュアルバルブ20fなどによって構成されている。
また、油圧制御回路20を構成する変速速度制御用の変速制御ソレノイドバルブ(以下、「ソレノイドバルブ」を単に「ソレノイド」と略称する)(DS1)304及び変速制御ソレノイド(DS2)305、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202、ライン圧制御用のリニアソレノイド(SLT)201、並びに、ロックアップ係合圧制御用のデューティソレノイド(DSU)307にはECU8からの制御信号が供給される。
次に、油圧制御回路20のうち、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧制御回路(変速速度制御部20aの具体的な油圧回路構成)、及び、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧制御回路(ベルト挟圧力制御部20bの具体的な油圧回路構成)について、図2及び図3を参照して説明する。
まず、図3に示すように、エンジン1からの駆動力を受けて作動するオイルポンプ7が発生した油圧はプライマリレギュレータバルブ203により調圧されてライン圧PLが生成される。プライマリレギュレータバルブ203は、リニアソレノイド(SLT)201が出力する制御油圧がクラッチアプライコントロールバルブ204を介して供給され、その制御油圧をパイロット圧として作動する。
なお、クラッチアプライコントロールバルブ204の切り替えにより、リニアソレノイド(SLS)202からの制御油圧がプライマリレギュレータバルブ203に供給され、その制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLが調圧される場合もある。これらリニアソレノイド(SLT)201及びリニアソレノイド(SLS)202には、ライン圧PLを元圧としてモジュレータバルブ205にて調圧された油圧が供給される。
リニアソレノイド(SLT)201は、ECU8が出力するDuty信号によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する。このリニアソレノイド(SLT)201はノーマルオープンタイプのソレノイドバルブである。
また、リニアソレノイド(SLS)202は、ECU8が出力するDuty信号によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する。このリニアソレノイド(SLS)202も上記リニアソレノイド(SLT)201と同様にノーマルオープンタイプのソレノイドバルブである。
なお、図2及び図3に示す油圧制御回路において、モジュレータバルブ206は、モジュレータバルブ205が出力する油圧を一定の圧力に調圧して、変速制御ソレノイド(DS1)304、変速制御ソレノイド(DS2)305、及び、ベルト挟圧力制御バルブ303などに供給する。
[変速制御]
次に、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413の油圧制御回路及びこの油圧制御回路による変速動作について説明する。図2に示すように、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413にはアップシフト用変速制御バルブ301が接続されている。
アップシフト用変速制御バルブ301には、軸方向に移動可能なスプール311が設けられている。スプール311の一端側(図2の上端側)にはスプリング312が配置されており、このスプール311を挟んでスプリング312とは反対側の端部に、第1油圧ポート315が形成されている。また、スプリング312が配置されている上記の一端側に第2油圧ポート316が形成されている。
第1油圧ポート315には、ECU8が出力するDuty信号(DS1変速Duty(アップシフトDuty))によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する変速制御ソレノイド(DS1)304が接続されており、その変速制御ソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧が第1油圧ポート315に印加される。第2油圧ポート316には、ECU8が出力するDuty信号(DS2変速Duty(ダウンシフトDuty))によって決まる電流値に応じて制御油圧を出力する変速制御ソレノイド(DS2)305が接続されており、その変速制御ソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧が第2油圧ポート316に印加される。
さらに、アップシフト用変速制御バルブ301には、上記ライン圧PLが供給される入力ポート313、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に接続(連通)される入出力ポート314、及び、出力ポート317が形成されており、スプール311がアップシフト位置(図2の右側位置)にあるときには、出力ポート317が閉鎖され、ライン圧PLが入力ポート313から入出力ポート314を経てプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給される。一方、スプール311が閉じ位置(図2の左側位置)にあるときには、入力ポート313が閉鎖され、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413が入出力ポート314を介して出力ポート317に連通する。
ダウンシフト用変速制御バルブ302には、軸方向に移動可能なスプール321が設けられている。スプール321の一端側(図2の下端側)にはスプリング322が配置されているとともに、その一端側に第1油圧ポート326が形成されている。また、スプール321を挟んでスプリング322とは反対側の端部に第2油圧ポート327が形成されている。第1油圧ポート326には、上記変速制御ソレノイド(DS1)304が接続されており、その変速制御ソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧が第1油圧ポート326に印加される。第2油圧ポート327には、上記変速制御ソレノイド(DS2)305が接続されており、その変速制御ソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧が第2油圧ポート327に印加される。
さらに、ダウンシフト用変速制御バルブ302には、入出力ポート324及び排出ポート325が形成されている。このダウンシフト用変速制御バルブ302において、スプール321がダウンシフト位置(図2の左側位置)にあるときには入出力ポート324が排出ポート325に連通する。一方、スプール321が閉じ位置(図2の右側位置)にあるときには入出力ポート324が閉鎖される。なお、ダウンシフト用変速制御バルブ302の入出力ポート324は、アップシフト用変速制御バルブ301の出力ポート317に接続されている。
以上の図2の油圧制御回路において、ECU8が出力するDS1変速Duty(アップシフト変速指令)に応じて変速制御ソレノイド(DS1)304が作動し、その変速制御ソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧がアップシフト用変速制御バルブ301の第1油圧ポート315に供給されると、その制御油圧に応じた推力によって、スプール311がアップシフト位置側(図2の上側)に移動する。このスプール311の移動(アップシフト側への移動)により、作動油(ライン圧PL)が制御油圧に対応する流量で入力ポート313から入出力ポート314を経てプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給されるとともに、出力ポート317が閉鎖されてダウンシフト用変速制御バルブ302への作動油の流通が阻止される。これによって変速制御圧が高められ、プライマリプーリ41のV溝幅が狭くなって変速比γが小さくなる(アップシフト)。
なお、変速制御ソレノイド(DS1)304が出力する制御油圧がダウンシフト用変速制御バルブ302の第1油圧ポート326に供給されると、スプール321が図2の上側に移動し、入出力ポート324が閉鎖される。
一方、ECU8が出力するDS2変速Duty(ダウンシフト変速指令)に応じて変速制御ソレノイド(DS2)305が作動し、その変速制御ソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧がアップシフト用変速制御バルブ301の第2油圧ポート316に供給されると、その制御油圧に応じた推力によって、スプール311がダウンシフト位置側(図2の下側)に移動する。このスプール311の移動(ダウンシフト側への移動)により、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413内の作動油が制御油圧に対応する流量でアップシフト用変速制御バルブ301の入出力ポート314に流入する。このアップシフト用変速制御バルブ301に流入した作動油は出力ポート317及びダウンシフト用変速制御バルブ302の入出力ポート324を経て排出ポート325から排出される。これによって変速制御圧が低められ、プライマリプーリ41のV溝幅が広くなって変速比γが大きくなる(ダウンシフト)。
なお、この際、変速制御ソレノイド(DS2)305が出力する制御油圧がダウンシフト用変速制御バルブ302の第2油圧ポート327に供給され、スプール321が図2の下側に移動し、入出力ポート324と排出ポート325とが連通している。
以上のように、変速制御ソレノイド(DS1)304から制御油圧が出力されると、アップシフト用変速制御バルブ301から作動油がプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に供給されて変速制御圧が連続的にアップシフトされる。また、変速制御ソレノイド(DS2)305から制御油圧が出力されると、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413内の作動油がダウンシフト用変速制御バルブ302の排出ポート325から排出されて変速制御圧が連続的にダウンシフトされる。
そして、この例では、例えば図4に示すように、運転者の出力要求量を表すアクセル操作量Acc及び車速Vをパラメータとして予め設定された変速マップから入力側の目標回転数Nintを算出し、実際の入力軸回転数Ninが目標回転数Nintと一致するように、それらの偏差(Nint−Nin)に応じてベルト式無段変速機4の変速制御、すなわち、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ413に対する作動油の供給・排出によって変速制御圧が制御され、変速比γが連続的に変化する。図4のマップは変速条件に相当し、ECU8のROM82(図6参照)内に記憶されている。
なお、図4のマップにおいて、車速Vが小さくてアクセル操作量Accが大きい程大きな変速比γになる目標回転数Nintが設定されるようになっている。また、車速Vはセカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Noutに対応するため、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninの目標値である目標回転数Nintは目標変速比に対応し、ベルト式無段変速機4の最小変速比γminと最大変速比γmaxの範囲内で設定されている。
[ベルト挟圧力制御]
次に、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧制御回路及びこの油圧制御回路によるベルト挟圧力調整動作について説明する。
図3に示すように、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423にはベルト挟圧力制御バルブ303が接続されている。
ベルト挟圧力制御バルブ303には、軸方向に移動可能なスプール331が設けられている。このスプール331の一端側(図3の下端側)にはスプリング332が配置されているとともに、その一端側に第1油圧ポート335が形成されている。また、スプール331を挟んでスプリング332とは反対側の端部に第2油圧ポート336が形成されている。
第1油圧ポート335にはリニアソレノイド(SLS)202が接続されており、そのリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が第1油圧ポート335に印加される。第2油圧ポート336にはモジュレータバルブ206からの油圧が印加される。
さらに、ベルト挟圧力制御バルブ303には、ライン圧PLが供給される入力ポート333、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に接続(連通)される出力ポート334、及び、排出ポート337が形成されている。このベルト挟圧力制御バルブ303において、スプール331が挟圧増大位置(図3の右側位置)にあるときには入力ポート333が出力ポート334に連通する。一方、スプール331が挟圧減少位置(図3の左側位置)にあるときには出力ポート334が排出ポート337に連通する。
この図3の油圧制御回路において、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が増大すると、ベルト挟圧力制御バルブ303のスプール331が図3の上側に移動する。この場合、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に供給される油圧が増大し、ベルト挟圧力が上昇する。
一方、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が低下すると、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に供給されている油圧が減少し、ベルト挟圧力が低下する。
このようにして、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧制御してセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423に供給することによってベルト挟圧力が増減する。
そして、本実施形態では、例えば図5に示すように、伝達トルクに対応するアクセル開度Acc及び変速比γ(γ=Nin/Nout)をパラメータとし、ベルト滑りが生じないように予め設定された必要油圧(ベルト挟圧力に相当)のマップに従って、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧を制御することにより、ベルト式無段変速機4のベルト挟圧力、つまり、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423の油圧を調圧制御する。図5のマップは挟圧力制御条件に相当し、ECU8のROM82(図6参照)内に記憶されている。
−ECU8−
ECU8は、図6に示すように、CPU81、ROM82、RAM83及びバックアップRAM84などを備えている。
ROM82には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU81は、ROM82に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM83はCPU81での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM84はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU81、ROM82、RAM83、及び、バックアップRAM84はバス87を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース85及び出力インターフェース86に接続されている。
ECU8の入力インターフェース85には、エンジン回転数センサ101、スロットル開度センサ102、水温センサ103、タービン回転数センサ104、プライマリプーリ回転数センサ105、セカンダリプーリ回転数センサ106、アクセル開度センサ107、CVT油温センサ108、ブレーキペダルセンサ109、ブレーキ踏力センサ110、ブレーキマスターシリンダ圧センサ111、ブレーキキャリパー圧センサ112、及び、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)を検出するレバーポジションセンサ113などが接続されている。そして、その各センサの出力信号、つまり、エンジン1の回転数(エンジン回転数)Ne、スロットルバルブ12のスロットル開度θth、エンジン1の冷却水温Tw、タービンシャフト27の回転数(タービン回転数)Nt、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout、アクセルペダルの操作量(アクセル関度)Acc、油圧制御回路20の油温(CVT油温Thc)、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無(ブレーキON・OFF)、ブレーキ踏力Fb、ブレーキマスターシリンダ圧Pbm、ブレーキキャリパー圧Pbc、及び、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)などを表す信号がECU8に供給される。
出力インターフェース86には、スロットルモータ13、燃料噴射装置14、点火装置15及び上記油圧制御回路20などが接続されている。
ここで、ECU8に供給される信号のうち、タービン回転数Ntは、前後進切換装置3の前進用クラッチC1が係合する前進走行時にはプライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninと一致し、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Noutは車速Vに対応する。また、アクセル操作量Accは運転者の出力要求量を表している。
また、シフトレバー9は、駐車のためのパーキング位置「P」、後進走行のためのリバース位置「R」、動力伝達を遮断するニュートラル位置「N」、前進走行のためのドライブ位置「D」、前進走行時にベルト式無段変速機4の変速比γを手動操作で増減できるマニュアル位置「M」などの各位置に選択的に操作されるようになっている。
マニュアル位置「M」には、変速比γを増減するためのダウンシフト位置やアップシフト位置、あるいは、変速範囲の上限(変速比γが小さい側)が異なる複数の変速レンジを選択できる複数のレンジ位置等が備えられている。
レバーポジションセンサ113は、例えば、パーキング位置「P」、リバース位置「R」、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」、マニュアル位置「M」やアップシフト位置、ダウンシフト位置、あるいはレンジ位置等へシフトレバー9が操作されたことを検出する複数のON・OFFスイッチ等を備えている。なお、変速比γを手動操作で変更するために、シフトレバー9とは別にステアリングホイール等にダウンシフトスイッチやアップシフトスイッチ、あるいはレバー等を設けることも可能である。
また、上記ブレーキペダルセンサ109は、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作時にブレーキON信号をECU8に出力し、上記ブレーキ踏力センサ110は、運転者によるブレーキペダルの踏み込み力(ブレーキ踏力Fb:運転者のブレーキトルクの要求度)を検出し、そのブレーキ踏力Fbに応じた信号をECU8に出力する。また、ブレーキマスターシリンダ圧センサ111は、ブレーキマスターシリンダ圧Pbmを検出し、そのブレーキマスターシリンダ圧Pbmに応じた信号をECU8に出力し、ブレーキキャリパー圧センサ112は、ブレーキキャリパー圧Pbcを検出し、そのブレーキキャリパー圧Pbcに応じた信号をECU8に出力する。
そして、ECU8は、上記した各種のセンサの出力信号などに基づいて、エンジン1の出力制御、上述したベルト式無段変速機4の変速速度制御及びベルト挟圧力制御、並びにロックアップクラッチ24の係合・解放制御などを実行する。
なお、エンジン1の出力制御は、スロットルモータ13、燃料噴射装置14、点火装置15及びECU8などによって実行される。
−制動時の油圧制御動作−
次に、本実施形態の特徴とする動作である制動時(ブレーキ時)の油圧制御動作についいて説明する。この制動時の油圧制御動作の概略としては、運転者による制動要求が通常の制動要求である場合と、急制動要求(所謂パニックブレーキ)である場合とで異なる油圧制御動作を行うようにしている。
通常の制動要求時には、車速の低下に伴って変速比を次第に大きくしていく(γmaxに近付けていく)ように、各変速制御ソレノイド(DS1,DS2)304,305が出力する制御油圧が調整される。具体的には、上記変速制御マップ(図4)に従い、アクセル操作量Accが「0%」である場合の車速Vの変化に応じて入力側の目標回転数Nintが得られるようにベルト式無段変速機4の変速制御が行われる。また、その変速比の変化に応じ、変速比に応じたベルト挟圧力が得られるようにリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が調整される。具体的には、上記ベルト挟圧力制御マップ(図5)に従い、アクセル操作量Accが「0%」である場合の変速比γの変化に応じて必要油圧(ベルト挟圧力)が得られるようにベルト式無段変速機4のベルト挟圧力制御が行われる。また、ここで調整されるセカンダリシーブ油圧は、運転者による制動要求が高いほど高く設定される(詳しくは後述する)。
一方、急制動要求には、各変速制御ソレノイド(DS1,DS2)304,305が出力する制御油圧を「0」に設定することで、現在の変速比を維持する。また、上述した通常の制動要求時に比べて高いベルト挟圧が得られるようにリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が調整される。また、ここで調整されるセカンダリシーブ油圧も、運転者による制動要求が高いほど高く設定される(詳しくは後述する)。
以下、この制動時の油圧制御動作の手順について図7のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートに示される処理は、車両の走行中(例えば上記セカンダリプーリ回転数センサ106によって検出されるセカンダリプーリ回転数Noutが所定回転数以上である場合)、上記ECU8により所定時間毎または所定クランク回転角度毎に繰り返し実行される。
先ず、ステップST1において、運転者によるブレーキON操作(ブレーキペダルの踏み込み操作)がなされたか否かを判定する。具体的には、上記ブレーキペダルセンサ109からブレーキON信号が出力されたか否かを判定する。ブレーキON操作がされていない場合には、ステップST1でNO判定されリターンされる。
一方、ブレーキON操作がなされ、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、現在のブレーキペダルの踏み込み操作はパニックブレーキ(急制動要求)であるか否かを判定する。このパニックブレーキ判定動作として具体的には、上記ブレーキ踏力センサ110によって検出されているブレーキ踏力Fbが所定値を超えている状態が所定時間継続している場合にパニックブレーキであると判定するようにしている(急制動要求判定手段による急制動要求の判定動作)。より具体的には、ブレーキ踏力Fbが「30N」以上である状態が「10msec」以上継続した場合にパニックブレーキであると判定するようにしている。これら値はこれに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
パニックブレーキではなく通常ブレーキであって、ステップST2でNO判定された場合には、ステップST3に移り、上記各変速制御ソレノイド(DS1,DS2)304,305が出力する制御油圧を調整することにより、変速比が最大変速比(γmax)に向かうように制御を実行し、ステップST4に移る。このステップST4では、図8(a)に示す通常ブレーキ時油圧増加量テーブルを参照してブレーキ踏力Fbに応じたセカンダリシーブ油圧(セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423への供給油圧)の増加量を読み出してステップST7に移る。この際、ブレーキ踏力Fbが通常ブレーキ時油圧増加量テーブル上の各ポイント間の値になるときには、補間処理にてセカンダリシーブ油圧の増加量を算出する。
一方、上記ブレーキペダルの踏み込み操作がパニックブレーキであり、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST5に移って変速制御を停止する。つまり、現在の変速比を維持するように上記各変速制御ソレノイド(DS1,DS2)304,305の作動を禁止する。この場合の制御動作(変速禁止動作)について具体的に以下に説明する。
先ず、変速制御ソレノイド(DS1)304及び変速制御ソレノイド(DS2)305から出力される制御油圧が共に「0」とされる。つまり、ECU8が出力するDuty信号のDuty比が「0」とされて、変速制御ソレノイド(DS1)304及び変速制御ソレノイド(DS2)305から制御油圧が出力されない状態とする。
これにより、アップシフト用変速制御バルブ301では、スプリング312の付勢力によってスプール311が閉じ位置(図2の左側位置)となり、入力ポート313が閉鎖される。つまり、油圧アクチュエータ413に対するライン圧PLの供給が遮断される。また、ダウンシフト用変速制御バルブ302では、スプリング322の付勢力によってスプール321が閉じ位置(図2の右側位置)となり、入出力ポート324が閉鎖される。つまり、油圧アクチュエータ413からの作動油の排出が遮断される。このようにして、油圧アクチュエータ413に対する作動油の供給動作も排出動作も行われない状態にする。
このようにして変速制御を停止した状態で、ステップST6に移り、図8(b)に示すパニックブレーキ時油圧増加量テーブルを参照してブレーキ踏力Fbに応じたセカンダリシーブ油圧(セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ423への供給油圧)の増加量を読み出してステップST7に移る。この際も、ブレーキ踏力Fbがパニックブレーキ時油圧増加量テーブル上の各ポイント間の値になるときには、補間処理にてセカンダリシーブ油圧の増加量を算出する。
以上のようにしてセカンダリシーブ油圧の増加量を読み出し(通常ブレーキ時には通常ブレーキ時油圧増加量テーブルより読み出し、パニックブレーキ時にはパニックブレーキ時油圧増加量テーブルより読み出し)、その後、ステップST7に移り、この読み出されたセカンダリシーブ油圧の増加量だけセカンダリシーブ油圧を高めるように上記リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧を調整する(ベルト挟圧力増大手段によるベルト挟圧力の増大動作)。
このようにパニックブレーキ時には、変速制御を停止した状態でセカンダリシーブ油圧を高めてベルト43の滑りを防止するようにしている。このため、変速制御のために使用されるオイル量は無くなり、オイルポンプ7から吐出されたオイル量の略全量をベルト挟圧力を増大させるためのもの(ベルト挟圧力制御バルブ303を作動させるために供給するオイル)として使用可能となる。このため、このベルト挟圧力を増大させるためのオイル量が十分に確保され、ベルト挟圧力を適切に得ることができて、ベルト43の滑りを防止することができる。特に、上記パニックブレーキ時にはセカンダリプーリ42に作用する制動トルクが急速に増大することになるためベルト43の滑りが発生しやすい状況であるが、ベルト挟圧力を増大させるためのオイル量が十分に確保されているため、ベルト43の滑りを確実に防止することが可能である。
また、本実施形態では、上記パニックブレーキ時油圧増加量テーブル(図8(b))を使用して車両の急制動要求が高いほど油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるようにしている。車両の急制動要求が高いほどセカンダリプーリ42に作用する制動トルクは大きく、ベルト43の滑りが発生しやすい状況であるが、本実施形態では、車両の急制動要求が高いほど油圧を高めてベルト挟圧力を増大させ、急制動要求が比較的高い場合におけるベルトの滑りの確実な防止と、急制動要求が比較的低い場合における燃料消費率の改善(オイルポンプ7のオイル吐出量を低減させることでオイルポンプ7の駆動力に消費される燃料の削減)とが図れることになる。また、上記通常ブレーキ時においても、通常ブレーキ時油圧増加量テーブル(図8(a))を使用して車両の制動要求が高いほど油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるようにしているため、この通常ブレーキ時にも上記と同様にベルトの滑りの確実な防止と燃料消費率の改善とを図ることが可能である。
(他のパニックブレーキ判定動作)
上述した実施形態では、パニックブレーキ判定動作として、ブレーキ踏力センサ110によって検出されているブレーキ踏力Fbが所定値を超えている状態が所定時間継続している場合にパニックブレーキであると判定するようにしていた。
それに代えて、上記ブレーキマスターシリンダ圧センサ111によって検出されているブレーキマスターシリンダ圧Pbmが所定値を超えている状態が所定時間継続している場合にパニックブレーキであると判定するようにしてもよい。具体的には、ブレーキマスターシリンダ圧Pbmが「1.2MPa」以上である状態が「10msec」以上継続した場合にパニックブレーキであると判定するようにするものである。これら値はこれに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
また、上記ブレーキキャリパー圧センサ112によって検出されているブレーキキャリパー圧Pbcが所定値を超えている状態が所定時間継続している場合にパニックブレーキであると判定するようにしてもよい。具体的には、ブレーキキャリパー圧Pbcが「3.6MPa」以上である状態が「10msec」以上継続した場合にパニックブレーキであると判定するようにするものである。これら値もこれに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
図9は、ブレーキマスターシリンダ圧Pbmに応じたセカンダリシーブ油圧の増加量を設定するためのテーブルであって、図9(a)は通常ブレーキ時に使用される通常ブレーキ時油圧増加量テーブルを、図9(b)はパニックブレーキ時に使用されるパニックブレーキ時油圧増加量テーブルをそれぞれ示している。尚、ブレーキマスターシリンダ圧Pbmが「1.2MPa」以上であっても、その状態の継続時間が「10msec」未満である場合には、図9(a)に示す通常ブレーキ時油圧増加量テーブルからセカンダリシーブ油圧の増加量が読み出されることになる。
また、図10は、ブレーキキャリパー圧Pbcに応じたセカンダリシーブ油圧の増加量を設定するためのテーブルであって、図10(a)は通常ブレーキ時に使用される通常ブレーキ時油圧増加量テーブルを、図10(b)はパニックブレーキ時に使用されるパニックブレーキ時油圧増加量テーブルをそれぞれ示している。尚、ブレーキキャリパー圧Pbcが「3.6MPa」以上であっても、その状態の継続時間が「10msec」未満である場合には、図10(a)に示す通常ブレーキ時油圧増加量テーブルからセカンダリシーブ油圧の増加量が読み出されることになる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、アップシフト用の変速制御ソレノイド(DS1)304、ダウンシフト用の変速制御ソレノイド(DS2)305、ベルト挟圧力制御用のリニアソレノイド(SLS)202を備えた無段変速機に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、それら変速制御ソレノイドDS1,DS2やリニアソレノイド202を備えていない無段変速機に対しても適用可能である。
また、上記実施形態では、ガソリンエンジン1を搭載した車両の無段変速機の制御装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両の無段変速機の制御装置にも適用可能である。また、車両の動力源については、エンジン(内燃機関)のほか、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えているハイブリッド形動力源であってもよい。
また、本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に限れられることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両、4輪駆動車にも適用できる。
本発明は、ベルト式の無段変速機を搭載した自動車の急制動時におけるベルトの滑りを確実に防止可能とする油圧制御に適用可能である。
4 ベルト式無段変速機
41 プライマリプーリ
42 セカンダリプーリ
412,422 可動シーブ
413,423 油圧アクチュエータ
43 ベルト
109 ブレーキペダルセンサ
110 ブレーキ踏力センサ
111 ブレーキマスターシリンダ圧センサ
112 ブレーキキャリパー圧センサ
202 ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド
301 アップシフト用変速制御バルブ
302 ダウンシフト用変速制御バルブ
303 ベルト挟圧力制御バルブ
304,305 変速制御ソレノイド

Claims (6)

  1. プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプライマリプーリ及びセカンダリプーリの間に巻き掛けられたベルトと、上記プライマリプーリのシーブを移動してプーリ溝の溝幅を変化させるプライマリ側油圧アクチュエータと、上記セカンダリプーリのシーブを移動してプーリ溝の溝幅を変化させるセカンダリ側油圧アクチュエータとを備え、各プーリ溝の溝幅の変化によって各プーリの半径方向におけるベルトの巻き掛け位置を変更して変速比が変更可能とされた車両用無段変速機の制御装置において、
    車両の急制動要求を判定する急制動要求判定手段と、
    上記急制動要求判定手段によって車両の急制動要求であると判定された際、上記変速比の変更を停止した状態で、上記プライマリ側油圧アクチュエータ及びセカンダリ側油圧アクチュエータのうちの少なくとも一方の油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるベルト挟圧力増大手段を備え
    上記ベルト挟圧力増大手段は、車両の急制動要求が高いほど上記油圧を高めてベルト挟圧力を増大させるよう構成されていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用無段変速機の制御装置において、
    上記ベルト挟圧力増大手段は、車両の急制動要求時、セカンダリ側油圧アクチュエータの油圧を高めてベルト挟圧力を増大させる構成とされていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  3. 請求項1または2記載の車両用無段変速機の制御装置において、
    上記急制動要求判定手段は、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキ踏力が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断するよう構成されていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  4. 請求項1または2記載の車両用無段変速機の制御装置において、
    上記急制動要求判定手段は、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキマスターシリンダ圧が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断するよう構成されていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  5. 請求項1または2記載の車両用無段変速機の制御装置において、
    上記急制動要求判定手段は、車両の運転者によるブレーキペダルのON操作時におけるブレーキキャリパー圧が所定の閾値を超えている状態が所定時間継続した場合に車両の急制動要求時であると判断するよう構成されていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  6. 請求項1または2記載の車両用無段変速機の制御装置において、
    上記急制動要求判定手段は、上記請求項3、4、5のうち複数の条件が成立した場合に車両の急制動要求時であると判断するよう構成されていることを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
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