JP2010078090A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト式無段変速機を搭載した車両において、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御する電磁弁のフェール時に代替油圧を供給する際、再発進不能な状態での車両停止を回避する。
【解決手段】エンジン1、ベルト式無段変速機4、ロックアップクラッチ24、ブレーキ装置7を備えた車両において、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給する油圧を制御するリニアソレノイド(SLP)201と、このリニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生した場合にプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧を供給するフェールセーフバルブ305とを備え、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧を供給する場合、エンジン1の駆動力とブレーキ装置7の制動力とを制御することで、ベルト式無段変速機4の変速比を制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、ベルト式無段変速機を搭載した車両の制御装置に関する。
エンジン(内燃機関)を搭載した車両において、エンジンが発生するトルクおよび回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。車両に搭載される自動変速機としては、例えば、クラッチやブレーキなどの摩擦係合要素と遊星歯車装置とを用いて変速比(ギヤ比)を設定する遊星歯車式変速機や、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)がある。
ベルト式無段変速機は、プーリ溝(V溝)を備えたプライマリプーリ(入力側プーリ)とセカンダリプーリ(出力側プーリ)とにベルトを巻き掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に、他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなり、従ってベルトに張力を付与するようにプーリによってベルトを挟み付けている。また、ベルト式無段変速機の変速比の制御は、上記のように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることによって行われる。具体的には、プライマリプーリおよびセカンダリプーリをそれぞれ固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸方向に前後動させることで変速比を制御するようにしている。
このようなベルト式無段変速機においては、例えば、特許文献1,2に示されるように、変速制御バルブを用いて変速比を制御している。変速制御バルブには、ライン圧PLが元圧として供給され、そのライン圧PLをリニアソレノイドバルブが出力する制御油圧をパイロット圧として制御してプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給する。このようにして、変速制御バルブの出力油圧PINを制御することにより、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御することで、プライマリプーリの溝幅、つまり、プライマリプーリ側のベルトの巻き掛け半径が変化して変速比が制御される。
また、セカンダリプーリの油圧アクチュエータにはベルト挟圧力制御バルブが接続されている。ベルト挟圧力制御バルブには、ライン圧PLが元圧として供給され、そのライン圧PLをリニアソレノイドバルブが出力する制御油圧をパイロット圧として制御してセカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給する。このようにして、ベルト挟圧力制御バルブの出力油圧POUTを制御することにより、セカンダリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御することで、ベルト挟圧力が制御される。
特開平3−213773号公報 特開2006−153104号公報
上述したように、ベルト式無段変速機においては、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧が、リニアソレノイドバルブ等の制御手段によって制御される。しかし、リニアソレノイドバルブ等の制御手段に、バルブスティックなどの機械的要因によるフェールや、電磁弁での断線や短絡(ショート)などの電気的要因によるフェールが生じた場合、変速制御バルブの出力油圧PINの制御が行えなくなり、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧が急激に低下する可能性がある。そして、急減速状態に陥り、その結果、ベルト滑りなどが発生する可能性がある。
ここで、そのようなフェール時の急減速状態の発生を回避する対策として、プライマリプーリの油圧アクチュエータに、代替油圧(例えばベルト挟圧力制御バルブの出力油圧POUTなど)を供給することが考えられる。これによれば、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧の低下が抑制されるため、急減速状態の発生を回避することが可能となる。しかしながら、変速比がロー側に戻らない状態で車両が停止する可能性があり、その結果、駆動力が不足して再発進できなくなる可能性がある。例えば、プライマリプーリの油圧アクチュエータに、代替油圧として、ベルト挟圧力制御バルブの出力油圧POUTを供給する場合、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧と、セカンダリプーリの油圧アクチュエータの油圧とが同じになる。この状態で、被駆動状態の減速(アクセルオフ惰行)が行われると、変速比をロー側に変化させることが困難となり、変速比が最ローまたはそれに近い状態まで戻らないままで車両が停止する可能性がある。つまり、代替油圧の供給に起因して再発進不能な状態に陥る可能性がある。
本発明は、そのような点を鑑みてなされたものであり、ベルト式無段変速機を搭載した車両において、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御する電磁弁にフェールが生じたとしても、急減速状態の発生を回避し、しかも、再発進不能な状態での車両停止を回避することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、車両の制御装置であって、内燃機関と、プライマリプーリおよびセカンダリプーリと、これらプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有し、油圧によりベルトを挟圧して動力を伝達するとともにベルト掛かり径を変更して変速比を変化させるベルト式無段変速機と、内燃機関と上記ベルト式無段変速機との間に設けられた流体式動力伝達装置に備えられ、内燃機関側とベルト式無段変速機側とを直結する油圧式のロックアップクラッチと、車両に制動力を発生させるブレーキ装置とを備えた車両に適用される。そして、上記プライマリプーリの油圧アクチュエータに供給する油圧を制御する第1電磁弁と、上記第1電磁弁にフェールが発生した場合に上記プライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧を供給する代替油圧供給手段と、上記代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給されている場合に、内燃機関により発生する駆動力と、上記ブレーキ装置により発生する制動力とを制御することによって、上記ベルト式無段変速機の変速比を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
より具体的には、上記代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給されている場合には、上記ロックアップクラッチをオフとするとともに、上記第1電磁弁により制御された油圧がプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給されている場合に比べて、内燃機関の駆動力およびブレーキ装置の制動力を増大させることを特徴としている。
上記構成によれば、第1電磁弁にフェールが発生した場合、代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給されるため、ベルト式無段変速機においてプライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧の急激な低下を抑制でき、急減速状態の発生を回避することができる。そして、急減速にともなって発生するベルト滑りを防止することができる。
また、代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給される場合、内燃機関の駆動力を増大させることで、被駆動状態から駆動状態とすることが可能になる。さらに、この状態で、ブレーキ装置の制動力を増大させることで、駆動状態を維持しながら車両減速を行うことが可能になる。このような減速にともなってベルト式無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリの推力比(=(セカンダリプーリの推力)/(プライマリプーリの推力))が変化するため、変速比をロー側に変化させることが可能になる。これにより、車両停止までに変速比γを最ローまたはそれに近い状態に変化させることが可能になり、再発進時に駆動力が不足して再発進不能となる事態を回避することができる。
本発明において、上記制御手段によるベルト式無段変速機の変速比の制御は、アクセルペダルの操作が行われていない場合、つまり、アクセル開度が0%の場合に実行されることが好ましい。この場合には、内燃機関の駆動力を増大させる制御として、アイドルアップ制御が行われる。
ここで、上記代替油圧供給手段を、上記第1電磁弁にフェールが発生していない場合には、この第1電磁弁により制御される油圧をプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給するノーマル位置に切り換えられ、上記第1電磁弁にフェールが発生した場合には、上記代替油圧をプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給するフェール位置に切り換えられるように構成することが好ましい。
また、上記代替油圧を、上記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給される油圧とすることが好ましい。
本発明において、上記代替油圧供給手段のノーマル位置とフェール位置との切り換えは、上記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給する油圧を制御する第2電磁弁の制御油圧と、上記ロックアップクラッチの係合圧を制御する第3電磁弁と制御油圧との組み合わせによって制御されることが好ましい。
この構成によれば、代替油圧供給手段のノーマル位置とフェール位置との切り換えを、既存の電磁弁によって行うことができるため、コストアップや装置の大型化を回避することができる。
本発明によれば、ベルト式無段変速機を搭載した車両において、プライマリプーリの油圧アクチュエータの油圧を制御する電磁弁にフェールが生じたとしても、代替油圧の供給によって急減速状態の発生を回避することができ、しかも、代替油圧の供給に起因する再発進不能な状態での車両停止を回避することができる。
本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する実施形態に係る車両の概略構成図、図2は、ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。
図1、図2に例示する車両は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両であって、走行用動力源であるエンジン(内燃機関)1、流体伝動装置としてのトルクコンバータ2、前後進切換装置3、ベルト式無段変速機(CVT)4、減速歯車装置5、差動歯車装置6、制動力発生手段としてのブレーキ装置7、および、制御装置としてのECU8を備えている。
エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11は、トルクコンバータ2に連結されており、エンジン1の出力が、トルクコンバータ2から前後進切換装置3、ベルト式無段変速機4、および、減速歯車装置5を介して差動歯車装置6に伝達され、左右の駆動輪(図示せず)へ分配される。また、各車輪に備えられたブレーキ装置7を作動させることによって車両に制動力(ブレーキ力)が発生する。このブレーキ装置7は、運転者のブレーキペダルの操作とは独立してブレーキ力を制御可能な電子制御式のブレーキシステムとして構成されている。
エンジン1は、例えば多気筒ガソリンエンジンである。エンジン1に吸入される吸入空気量は、電子制御式のスロットルバルブ12により調整される。スロットルバルブ12は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)は、スロットル開度センサ102によって検出される。また、エンジン1の冷却水温は、水温センサ103によって検出される。
スロットルバルブ12のスロットル開度は、ECU8によって駆動制御される。具体的には、エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数Ne、運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度Acc)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ12のスロットル開度を制御している。より詳細には、スロットル開度センサ102を用いてスロットルバルブ12の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ12のスロットルモータ13をフィードバック制御している。
トルクコンバータ2は、入力側のポンプインペラ21、出力側のタービンランナ22、および、トルク増幅機能を発現するステータ23を備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体(フルード)を介して動力伝達を行う。ポンプインペラ21は、エンジン1のクランクシャフト11に連結されている。タービンランナ22は、タービンシャフト27を介して前後進切換装置3に連結されている。
トルクコンバータ2には、このトルクコンバータ2の入力側と出力側とを直結するロックアップクラッチ24が設けられている。ロックアップクラッチ24は、その係合圧を制御することにより、具体的には、係合側の油圧アクチュエータ25内の油圧と解放側の油圧アクチュエータ26の油圧との差圧(ロックアップ差圧)を制御することにより、完全係合・半係合(スリップ状態での係合)または解放される。
ロックアップクラッチ24を完全係合させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ24を所定のスリップ状態(半係合状態)で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ22がポンプインペラ21に追随して回転する。一方、ロックアップ差圧を負に設定することによりロックアップクラッチ24は解放状態となる。
そして、トルクコンバータ2には、ポンプインペラ21に連結して駆動される機械式のオイルポンプ(油圧発生源)28が設けられている。
前後進切換装置3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構30、前進用クラッチC1、および、後進用ブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構30のサンギヤ31は、トルクコンバータ2のタービンシャフト27に一体的に連結されており、キャリヤ33は、ベルト式無段変速機4の入力軸40に一体的に連結されている。また、これらキャリヤ33とサンギヤ31とは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ32は、後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。
前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、後述する油圧制御回路20によって係合・解放される油圧式の走行用摩擦係合要素である。前進用クラッチC1が係合され、後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置3が一体回転状態となって前進用動力伝達経路が成立(達成)し、この状態で、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。
一方、後進用ブレーキB1が係合され、前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置3によって後進用動力伝達経路が成立(達成)する。この状態で、入力軸40は、タービンシャフト27に対して逆方向へ回転し、この後進方向の駆動力がベルト式無段変速機4側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1がともに解放されると、前後進切換装置3は、動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
ベルト式無段変速機4は、入力側のプライマリプーリ41、出力側のセカンダリプーリ42、および、これらプライマリプーリ41とセカンダリプーリ42とに巻き掛けられた金属製のベルト43を備えている。
プライマリプーリ41は、有効径が可変な可変プーリであって、入力軸40に固定された固定シーブ41aと、入力軸40に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ41bによって構成されている。セカンダリプーリ42も同様に、有効径が可変な可変プーリであって、出力軸44に固定された固定シーブ42aと、出力軸44に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ42bによって構成されている。
プライマリプーリ41の可動シーブ41b側には、固定シーブ41aと可動シーブ41bとの間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ41cが配置されている。また、セカンダリプーリ42の可動シーブ42b側にも同様に、固定シーブ42aと可動シーブ42bとの間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ42cが配置されている。
このようなベルト式無段変速機4において、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧(変速油圧)を制御することにより、プライマリプーリ41およびセカンダリプーリ42のV溝幅が変化してベルト43の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin/セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout)が連続的に変化する。また、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cの油圧(挟圧油圧)は、ベルト滑りが生じない所定の挟圧力でベルト43が挟圧されるように制御される。これらの制御は、ECU8および油圧制御回路20によって実行される。
油圧制御回路20は、図1に示すように、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧を制御する変速油圧制御部20a、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cの油圧を制御する挟圧油圧制御部20b、各部の油圧の元圧(制御元圧)となるライン圧PLを制御するライン圧制御部20c、ロックアップクラッチ24の係合・解放を制御するロックアップクラッチ制御部20d、走行用摩擦係合要素(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)の係合・解放を制御するガレージ制御部20e、ベルト式無段変速機4において急減速状態の発生を防止する急減速防止部20f、および、マニュアルバルブ20gによって構成されている。油圧制御回路20を構成する、リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202、ロックアップ係合圧制御用のデューティソレノイド(DSU)203、および、ON−OFFソレノイド(SL1)204には、ECU8からの制御信号が供給される。
次に、ECU8について、図2を参照して説明する。図2に示すように、ECU8は、CPU81、ROM82、RAM83、バックアップRAM84などを備えている。
ROM82には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU81は、ROM82に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM83は、CPU81での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM84は、エンジン1の停止時などにその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU81、ROM82、RAM83、および、バックアップRAM84は、双方向性バス87を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース85および出力インターフェース86に接続されている。
入力インターフェース85には、車両の動作状態(あるいは走行状態)を検出するために各種のセンサが接続されている。具体的に、入力インターフェース85には、エンジン回転数センサ101、スロットル開度センサ102、水温センサ103、タービン回転数センサ104、プライマリプーリ回転数センサ105、セカンダリプーリ回転数センサ106、アクセル開度センサ107、CVT油温センサ108、ブレーキペダルセンサ109、および、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)を検出するレバーポジションセンサ110が接続されている。そして、ECU8へは、上記各種のセンサの出力信号、つまり、エンジン1の回転数(エンジン回転数)Ne、スロットルバルブ12のスロットル開度θth、エンジン1の冷却水温Tw、タービンシャフト27の回転数(タービン回転数)Nt、プライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Nin、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Nout、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)Acc、油圧制御回路20の油温(CVT油温Thc)、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無(ブレーキON・OFF)、および、シフトレバー9のレバーポジション(操作位置)を表す信号が供給される。
出力インターフェース86には、ブレーキ装置7、スロットルモータ13、燃料噴射装置14、点火装置15、および、油圧制御回路20が接続されている。
ここで、ECU8に供給される信号のうち、タービン回転数Ntは、前後進切換装置3の前進用クラッチC1が係合する前進走行時にはプライマリプーリ回転数(入力軸回転数)Ninと一致し、セカンダリプーリ回転数(出力軸回転数)Noutは車速Vに対応する。また、アクセル開度Accは運転者の出力要求量を表している。
また、シフトレバー9は、駐車のためのパーキング位置「P」、後進走行のためのリバース位置「R」、動力伝達を遮断するニュートラル位置「N」、前進走行のためのドライブ位置「D」、いわゆるマニュアルモードで前進走行を行うときにベルト式無段変速機4の変速比γを手動操作で増減するためのマニュアル位置「M」などの各位置に選択的に操作されるようになっている。マニュアル位置「M」には、変速比γを増減するためのダウンシフト位置やアップシフト位置、あるいは、変速範囲の上限(変速比γが小さい側)が異なる複数の変速レンジ(例えば「M1」〜「M7」など)を選択できる複数のレンジ位置等が備えられている。レバーポジションセンサ110は、例えば、パーキング位置「P」、リバース位置「R」、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」、マニュアル位置「M」やアップシフト位置、ダウンシフト位置、あるいはレンジ位置等へシフトレバー9が操作されたことを検出する複数のON・OFFスイッチ等を備えている。
そして、ECU8は、上記各種のセンサの出力信号などに基づいて、エンジン1の出力制御、ブレーキ装置7により発生するブレーキ力の制御、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの供給油圧(変速油圧)およびセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cの供給油圧(挟圧油圧)の調圧制御、ライン圧PLの調圧制御、走行用摩擦係合要素(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)の係合・解放制御、ロックアップクラッチ24の係合・解放制御などの各種制御を実行する。
次に、油圧制御回路20の詳細について、図3を参照して説明する。図3に示す油圧制御回路は、オイルポンプ28、マニュアルバルブ20g、リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202、デューティソレノイド(DSU)203、ON−OFFソレノイド(SL1)204、プライマリレギュレータバルブ205、第1モジュレータバルブ206、第2モジュレータバルブ207、変速コントロールバルブ301、ベルト挟圧力コントロールバルブ303、フェールセーフバルブ305、クラッチアプライコントロールバルブ401、クラッチ圧コントロールバルブ403、ロックアップコントロールバルブ405を含む構成となっている。
図3に示すように、オイルポンプ28が発生した油圧はプライマリレギュレータバルブ205により調圧されてライン圧PLが生成される。プライマリレギュレータバルブ205には、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が供給され、その制御油圧をパイロット圧として作動する。そして、プライマリレギュレータバルブ205により調圧されたライン圧PLは、第1モジュレータバルブ206、変速コントロールバルブ301、ベルト挟圧力コントロールバルブ303に供給される。
第1モジュレータバルブ206は、プライマリレギュレータバルブ205により調圧されたライン圧PLをそれよりも低い一定の油圧(第1モジュレータ油圧PM1)に調圧する調圧弁である。第1モジュレータバルブ206が出力する第1モジュレータ油圧PM1は、リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202、第2モジュレータバルブ207、クラッチ圧コントロールバルブ403に供給され、また、クラッチアプライコントロールバルブ401を介してマニュアルバルブ20gに供給される。
第2モジュレータバルブ207は、第1モジュレータバルブ206により調圧された第1モジュレータ油圧PM1をそれよりも低い一定の油圧(第2モジュレータ油圧PM2)に調圧する調圧弁である。第2モジュレータバルブ207が出力する第2モジュレータ油圧PM2は、デューティソレノイド(DSU)203、ON−OFFソレノイド(SL1)204に供給される。
リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202は、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブである。リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202は、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧(出力油圧)を出力する。リニアソレノイド(SLP)201が出力する制御油圧は、変速コントロールバルブ301に供給される。リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧は、プライマリレギュレータバルブ205、ベルト挟圧力コントロールバルブ303、クラッチ圧コントロールバルブ403、フェールセーフバルブ305に供給される。なお、リニアソレノイド(SLP)201、リニアソレノイド(SLS)202を、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブとしてもよい。
デューティソレノイド(DSU)203は、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブである。デューティソレノイド(DSU)203は、ECU8から送信されたデューティ信号(デューティ値)によって決まる電流値に応じて制御油圧(出力油圧)を出力する。デューティソレノイド(DSU)203が出力する制御油圧は、ロックアップコントロールバルブ405、フェールセーフバルブ305に供給される。なお、デューティソレノイド(DSU)203を、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブとしてもよい。
ON−OFFソレノイド(SL1)204は、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブである。ON−OFFソレノイド(SL1)204は、通電時には制御油圧をクラッチアプライコントロールバルブ401に出力する開状態に切り換えられ、非通電時には制御油圧を出力しない閉状態に切り換えられるように構成されている。なお、ON−OFFソレノイド(SL1)204を、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブとしてもよい。
図3に示すように、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cには、変速コントロールバルブ301がフェールセーフバルブ305を介して接続されている。なお、フェールセーフバルブ305の詳細については後述するが、ここでは、フェールセーフバルブ305が図3の左半分に示すノーマル位置に保持されていることとする。
変速コントロールバルブ301には、軸方向に移動可能なスプール311が設けられている。スプール311の一端側(図3の下端側)にはスプリング312が圧縮状態で配置されているとともに、その一端側に制御油圧ポート315が形成されている。制御油圧ポート315には上述したリニアソレノイド(SLP)201が接続されており、そのリニアソレノイド(SLP)201が出力する制御油圧が制御油圧ポート315に印加される。
また、変速コントロールバルブ301には、ライン圧PLが供給される入力ポート313、および、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cにフェールセーフバルブ305を介して接続(連通)される出力ポート314が形成されている。
変速コントロールバルブ301は、リニアソレノイド(SLP)201が出力する制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧制御してプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給する。つまり、リニアソレノイド(SLP)201によって制御された変速コントロールバルブ301の出力油圧PINがプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給される。これにより、フェールセーフバルブ305を介してプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給される油圧が制御され、ベルト式無段変速機4の変速比γが制御される。
具体的には、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLP)201が出力する制御油圧が増大すると、スプール311が図3の上側に移動する。これにより、変速コントロールバルブ301の出力油圧PINが増大し、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給される油圧が増大する。その結果、プライマリプーリ41のV溝幅が狭くなって変速比γが小さくなる(アップシフト)。
一方、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLP)201が出力する制御油圧が低下すると、スプール311が図3の下側に移動する。これにより、変速コントロールバルブ301の出力油圧PINが低下し、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給される油圧が低下する。その結果、プライマリプーリ41のV溝幅が広くなって変速比γが大きくなる(ダウンシフト)。
この場合、例えば、図4に示すように、アクセル開度Accおよび車速Vをパラメータとして予め設定された変速マップから目標入力軸回転数Nintを算出し、実際の入力軸回転数Ninが目標入力軸回転数Nintと一致するように、それらの偏差[Nint−Nin]に応じてベルト式無段変速機4の変速制御を行う。具体的には、リニアソレノイド(SLP)201の制御油圧を制御することにより、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧を調圧制御して、ベルト式無段変速機4の変速比γを連続的に制御する。図4のマップは、変速条件に相当し、ECU8のROM82に記憶されている。この図4のマップでは、車速Vが小さくてアクセル開度Accが大きいほど、大きな変速比γとなる目標入力軸回転数Nintが設定されるようになっている。
なお、図4は、シフトレバー9がドライブ位置「D」に操作されたとき、つまり、自動変速モードのときに参照される変速マップであり、シフトレバー9がマニュアル位置「M」に操作されたとき、つまり、マニュアルモードのときには、例えば図5に示すような手動変速マップが参照される。この図5のマップでは、マニュアル位置「M1」〜「M7」に対応して第1変速段「1st」〜第7変速段「7th」の7つの変速段が定められるとともに、それら各変速段毎に車速Vをパラメータとして目標入力軸回転数Nintの変速段線が設定されている。
図3に示すように、ベルト式無段変速機4のセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cには、ベルト挟圧力コントロールバルブ303が接続されている。ベルト挟圧力コントロールバルブ303は、上述した変速コントロールバルブ301と同様の構成となっており、その詳しい説明は省略する。
このベルト挟圧力コントロールバルブ303の制御油圧ポート335には上述したリニアソレノイド(SLS)202が接続されており、そのリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が制御油圧ポート335に印加される。そして、ベルト挟圧力コントロールバルブ303は、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧をパイロット圧としてライン圧PLを調圧制御してセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに供給する。つまり、リニアソレノイド(SLS)202によって制御されたベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTがセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに供給される。これにより、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに供給される油圧が制御され、ベルト式無段変速機4のベルト挟圧力が制御される。
具体的には、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が増大すると、スプール331が図3の上側に移動する。これにより、ベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが増大し、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに供給される油圧が増大して、その結果、ベルト挟圧力が増大する。
一方、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が低下すると、スプール331が図3の下側に移動する。これにより、ベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが低下し、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cに供給される油圧が低下して、その結果、ベルト挟圧力が低下する。
この場合、例えば、図6に示すように、伝達トルクに対応するアクセル開度Accおよび変速比γをパラメータとし、ベルト滑りが生じないように予め設定された必要油圧(ベルト挟圧力に相当)のマップにしたがって、リニアソレノイド(SLS)202の制御油圧を制御することにより、ベルト式無段変速機4のセカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cの油圧を調圧制御して、ベルト挟圧力を制御する。図6のマップは、挟圧力制御条件に相当し、ECU8のROM82に記憶されている。
また、ベルト挟圧力コントロールバルブ303は、フェールセーフバルブ305を介してベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに接続されている。そして、フェールセーフバルブ305が図3の右半分に示すフェール位置に保持されているとき、ベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給されるようになっている。フェールセーフバルブ305の詳細については後述する。
図3に示すように、前後進切換装置3の前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の各油圧サーボ3C,3Bには、マニュアルバルブ20gが接続されている。
マニュアルバルブ20gは、シフトレバー9の操作にしたがって前後進切換装置3の前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の各油圧サーボ3C,3Bへの油圧供給を切り換える切換弁である。マニュアルバルブ20gは、シフトレバー9のパーキング位置「P」、リバース位置「R」、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」などの各シフト位置に対応して切り換えられる。
マニュアルバルブ20gが、シフトレバー9のパーキング位置「P」およびニュートラル位置「N」に対応して切り換えられている場合、前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cおよび後進用ブレーキB1の油圧サーボ3Bへは油圧は供給されない。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の各油圧サーボ3C,3Bの油圧は、マニュアルバルブ20gを介してドレーンされる。これにより、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1がともに解放される。
マニュアルバルブ20gが、シフトレバー9のリバース位置「R」に対応して切り換えられている場合、入力ポート211および出力ポート213が連通され、後進用ブレーキB1の油圧サーボ3Bへ油圧が供給される。一方、前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cの油圧は、マニュアルバルブ20gを介してドレーンされる。これにより、後進用ブレーキB1が係合されるとともに、前進用クラッチC1が解放される。
マニュアルバルブ20gが、シフトレバー9のドライブ位置「D」に対応して切り換えられている場合、入力ポート211および出力ポート212が連通され、前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cへ油圧が供給される。一方、後進用ブレーキB1の油圧サーボ3Bの油圧は、マニュアルバルブ20gを介してドレーンされる。これにより、前進用クラッチC1が係合されるとともに、後進用ブレーキB1が解放される。
図3に示すように、マニュアルバルブ20gには、摩擦係合要素供給油圧切換弁であるクラッチアプライコントロールバルブ401が接続されている。
クラッチアプライコントロールバルブ401は、前後進切換装置3の走行用摩擦係合要素(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)への供給油圧を、走行用摩擦係合要素の係合過渡状態(係合過渡時)と完全係合状態(係合時)とに対応して切り換え可能な切換弁である。例えば、車両発進時などにシフトレバー9がパーキング位置「P」やニュートラル位置「N」などの非走行位置からドライブ位置「D」などの走行位置へ操作された際には、このクラッチアプライコントロールバルブ401の切り換えにより、上述したマニュアルバルブ20gを介して前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cへ供給される油圧が、係合過渡時に対応する係合過渡油圧と、完全係合時に対応する係合保持油圧とに切り換えられる。
また同様に、シフトレバー9がリバース位置「R」に操作された際にも、このクラッチアプライコントロールバルブ401の切り換えにより、マニュアルバルブ20gを介して後進用ブレーキB1の油圧サーボ3Bへ供給される油圧が、係合過渡時に対応する係合過渡油圧と、完全係合時に対応する係合保持油圧とに切り換えられる。なお、以下では、クラッチアプライコントロールバルブ401により、前進用クラッチC1へ供給される油圧を切り換える場合について代表して説明し、後進用クラッチB1へ供給される油圧を切り換える場合についての説明を省略する。
クラッチアプライコントロールバルブ401は、前進用クラッチC1の係合過渡時には、図3の左半分に示す係合過渡位置に切り換えられ、前進用クラッチC1の係合時(完全係合時)には、図3の右半分に示す係合位置に切り換えられるように構成されている。
具体的に、クラッチアプライコントロールバルブ401には、軸方向へ移動可能なスプール411が設けられている。スプール411の一端側(図3の下端側)にはスプリング412が圧縮状態で配置されており、このスプール411を挟んでスプリング412とは反対側の端部に、制御油圧ポート415が形成されている。また、スプリング412が配置されている上記の一端側には、ドレーンポート416が形成されている。制御油圧ポート415には、上述したON−OFFソレノイド(SL1)204が接続されており、そのON−OFFソレノイド(SL1)204が出力する制御油圧が制御油圧ポート415に印加される。
また、クラッチアプライコントロールバルブ401には、入力ポート421,422と、出力ポート423とが形成されている。入力ポート421は、第1モジュレータバルブ206に接続される。入力ポート422は、クラッチ圧コントロールバルブ403の出力ポート434に接続(連通)される。また、出力ポート423は、マニュアルバルブ20gの入力ポート211に接続(連通)される。
クラッチアプライコントロールバルブ401の切り換えは、ON−OFFソレノイド(SL1)204によって行われる。具体的に、ON−OFFソレノイド(SL1)204が閉状態のとき、クラッチアプライコントロールバルブ401は、スプリング412が取付状態にある係合位置に切り換えられる。このとき、入力ポート421と出力ポート423が連通する。この入力ポート421と出力ポート423の連通により、第1モジュレータバルブ206によって調圧された第1モジュレータ油圧PM1が前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cへ供給されるようになる。
一方、ON−OFFソレノイド(SL1)204が開状態のとき、その制御油圧が制御油圧ポート415に入力されると、クラッチアプライコントロールバルブ401は、スプリング412が圧縮された状態にある係合過渡位置に切り換えられる。このとき、入力ポート422と出力ポート423が連通する。この入力ポート422と出力ポート423の連通により、クラッチ圧コントロールバルブ403によって調圧された油圧が前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cへ供給されるようになる。
図3に示すように、クラッチアプライコントロールバルブ401には、クラッチ圧コントロールバルブ403が接続されている。
クラッチ圧コントロールバルブ403は、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧をパイロット圧として前進用クラッチC1への係合過渡油圧を調圧する調圧弁である。
クラッチ圧コントロールバルブ403には、軸方向に移動可能なスプール431が設けられている。スプール431の一端側(図3の上端側)にはスプリング432が圧縮状態で配置されているとともに、このスプール431を挟んでスプリング432とは反対側の端部に、制御油圧ポート435が形成されている。制御油圧ポート435には上述したリニアソレノイド(SLS)202が接続されており、そのリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が制御油圧ポート435に印加される。
また、クラッチ圧コントロールバルブ403には、第1モジュレータバルブ206によって調圧された第1モジュレータ油圧PM1が供給される入力ポート433、および、クラッチアプライコントロールバルブ401の入力ポート422に接続(連通)される出力ポート434が形成されている。
クラッチ圧コントロールバルブ403の出力ポート434から出力された油圧は、クラッチアプライコントロールバルブ401が係合過渡位置に切り換えられているとき、マニュアルバルブ20gを介して前進用クラッチC1の油圧サーボ3Cに供給される。言い換えれば、前進用クラッチC1の係合過渡時に前進用クラッチC1へ供給される係合過渡油圧がクラッチ圧コントロールバルブ403によって制御されるようになっている。
この場合、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が増大すると、スプール431がスプリング432の弾性力に抗して図3の上側に移動する。これにより、出力ポート434から出力される油圧が増大して、前進用クラッチC1への係合過渡油圧が増大する。一方、リニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が低下すると、スプール431がスプリング432の弾性力によって図3の下側に移動する。これにより、出力ポート434から出力される油圧が低下して、前進用クラッチC1への係合過渡油圧が低下する。
図3に示すように、ロックアップクラッチ24の係合側の油圧アクチュエータ25および解放側の油圧アクチュエータ26には、ロックアップコントロールバルブ405が接続されている。
ロックアップコントロールバルブ405は、ロックアップクラッチ24の係合・解放を制御するものである。具体的には、ロックアップコントロールバルブ405は、ロックアップ差圧(=油圧アクチュエータ25の油圧−油圧アクチュエータ26の油圧)を制御することによって、ロックアップクラッチ24の係合・解放を制御するように構成されている。
ロックアップコントロールバルブ405には、軸方向へ移動可能なスプール451が設けられている。スプール451の一端側(図3の下端側)にはスプリング452が圧縮状態で配置されており、このスプール451を挟んでスプリング452とは反対側の端部に、制御油圧ポート455が形成されている。また、スプリング452が配置されている一端側には、バックアップポート456とフィードバックポート457とが形成されている。制御油圧ポート455には、上述したデューティソレノイド(DSU)203が接続されており、そのデューティソレノイド(DSU)203が出力する制御油圧が制御油圧ポート455に印加される。また、ロックアップコントロールバルブ405には、入力ポート461,462と、出力ポート465と、入出力ポート463,464と、ドレーンポート466とが形成されている。
入力ポート461,462は、プライマリレギュレータバルブ205に接続された図示しないセカンダリレギュレータバルブにそれぞれ接続される。そして、入力ポート461,462から、セカンダリレギュレータバルブによって調圧されたセカンダリ油圧PSECが入力されるようになっている。
入出力ポート463は、ロックアップクラッチ24の係合側の油圧アクチュエータ25に接続(連通)される。入出力ポート464は、ロックアップクラッチ24の解放側の油圧アクチュエータ26に接続(連通)される。また、バックアップポート456は、上述したON−OFFソレノイド(SL1)204に接続されている。
ロックアップコントロールバルブ405によるロックアップクラッチ24の係合・解放制御は、次のようにして行われる。
デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧が制御油圧ポート455に導入されると、ロックアップコントロールバルブ405は、その制御油圧に応じてスプール451がスプリング452の弾性力に抗して下方に移動した状態(ON状態)となる。この場合、上記制御油圧を高くするほど、スプール451が下方に移動する。図3の右半分には、スプール451が最大限下方に移動した状態を示している。この図3の右半分に示す状態では、入力ポート461と入出力ポート463、入出力ポート464とドレーンポート466がそれぞれ連通される。このとき、ロックアップクラッチ24は完全係合状態になっている。
ロックアップコントロールバルブ405がON状態のとき、スプール451は、制御油圧ポート455に導入されるデューティソレノイド(DSU)203の制御油圧および入出力ポート464に導入される油圧(解放側の油圧アクチュエータ26の油圧)のスプール451に作用する合成力と、フィードバックポート457に導入される油圧(係合側の油圧アクチュエータ25の油圧)のスプール451に作用する力およびスプリング452の弾性力の合成力とのバランスにより上下に摺動する。ここで、ロックアップクラッチ24はロックアップ差圧に応じて係合・解放制御される。ロックアップ差圧の制御は、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧を制御することによって行われ、このロックアップ差圧に応じてロックアップクラッチ24の係合度合い(クラッチ容量)を連続的に変化させることが可能になっている。
より詳細には、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧を高くするほど、ロックアップ差圧が大きくなり、ロックアップクラッチ24の係合度合いが大きくなる。この場合、上記セカンダリレギュレータバルブからの作動油が、入力ポート461、入出力ポート463を介してロックアップクラッチ24の係合側の油圧アクチュエータ25に供給される。一方、解放側の油圧アクチュエータ26の作動油が、入出力ポート464、ドレーンポート466を介して排出される。そして、ロックアップ差圧が所定値以上になると、ロックアップクラッチ24は上述した完全係合に至る。
逆に、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧を低くするほど、ロックアップ差圧が小さくなり、ロックアップクラッチ24の係合度合いが小さくなる。この場合、上記セカンダリレギュレータバルブからの作動油が、入力ポート462、入出力ポート464を介して解放側の油圧アクチュエータ26に供給される。一方、係合側の油圧アクチュエータ25の作動油が、入出力ポート463、出力ポート465を介して出力される。そして、ロックアップ差圧が負の値になると、ロックアップクラッチ24は解放状態となる。
そして、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧の制御油圧ポート455への供給が停止されると、ロックアップコントロールバルブ405は、図3の左半分に示すように、スプール451がスプリング452の弾性力によって上方へ移動して原位置に保持された状態(OFF状態)となる。このOFF状態では、入力ポート462と入出力ポート464、入出力ポート463と出力ポート465がそれぞれ連通される。このとき、ロックアップクラッチ24は解放状態となっている。
また、上述したON−OFFソレノイド(SL1)204が開状態のときには、その制御油圧がバックアップポート456に導入されるため、上述のようなロックアップクラッチ24の係合・解放制御は行われず、ロックアップクラッチ24を強制的に解放状態とする制御が行われる。
次に、フェールセーフバルブ305について説明する。
フェールセーフバルブ305は、リニアソレノイド(SLP)201のフェール時に、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧を供給する代替油圧供給手段として設けられている。フェールセーフバルブ305は、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cと、変速コントロールバルブ301およびベルト挟圧力コントロールバルブ303との間に介在されている。フェールセーフバルブ305は、変速コントロールバルブ301にパイロット圧を供給するリニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したか否かに応じて、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ供給する油圧を切り換える切換弁である。具体的には、フェールセーフバルブ305は、リニアソレノイド(SLP)201のフェール時には、図3の右半分に示すフェール位置に切り換えられ、それ以外の通常時には、図3の左半分に示すノーマル位置に切り換えられるように構成されている。
フェールセーフバルブ305には、軸方向へ移動可能なスプール351が設けられている。スプール351の一端側(図3の下端側)にはスプリング352が圧縮状態で配置されており、このスプール351を挟んでスプリング352とは反対側の端部に、第1制御油圧ポート355および第2制御油圧ポート356が形成されている。スプリング352が配置されている上記の一端側には、ドレーンポート357が形成されている。
第1制御油圧ポート355には、上述したリニアソレノイド(SLS)202が接続されており、そのリニアソレノイド(SLS)202が出力する制御油圧が第1制御油圧ポート355に印加される。第1制御油圧ポート355に導入されるリニアソレノイド(SLS)202の制御油圧は、スプール351に対してスプリング352の弾性力の作用方向とは逆の方向に作用する。
第2制御油圧ポート356には、上述したデューティソレノイド(DSU)203が接続されており、そのデューティソレノイド(DSU)203が出力する制御油圧が第2制御油圧ポート356に印加される。第2制御油圧ポート356に導入されるデューティソレノイド(DSU)203の制御油圧は、スプール351に対してスプリング352の弾性力の作用方向とは逆の方向に作用する。詳細には、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧のスプール351への作用面積(受圧面積)は、図3の上側へ向けて作用する作用面積と、下側へ向けて作用する作用面積とで異なっている。つまり、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧のスプール351への作用面積は、スプリング352の弾性力の作用方向と同じ方向への作用面積と、逆の方向への作用面積とで異なっている。この場合、スプリング352の弾性力の作用方向と同じ方向への作用面積に比べ、逆の方向への作用面積のほうが大きく設定されている。このため、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧がスプール351に対して作用する方向が、上記リニアソレノイド(SLS)202の制御油圧がスプール351に対して作用する方向と同じになっている。
また、フェールセーフバルブ305には、入力ポート361,362と、出力ポート363とが形成されている。入力ポート361は、上述した変速コントロールバルブ301の出力ポート314に接続(連通)されており、この入力ポート361からは変速コントロールバルブ301の出力油圧PINが導入されるようになっている。入力ポート362は、上述したベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力ポート334に接続(連通)されており、この入力ポート362からはベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが導入されるようになっている。出力ポート363は、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに接続(連通)されている。
そして、フェールセーフバルブ305が図3の左半分に示すノーマル位置に保持されているときには、入力ポート361と出力ポート363とが連通する。このとき、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ変速コントロールバルブ301の出力油圧PINが供給される。一方、フェールセーフバルブ305が図3の右半分に示すフェール位置に保持されているときには、入力ポート362と出力ポート363とが連通する。このとき、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ代替油圧としてのベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが供給される。
この実施形態では、フェールセーフバルブ305のノーマル位置とフェール位置との切り換えが、既存の2つ以上の電磁弁の制御油圧の組み合わせによって制御される構成となっている。具体的には、フェールセーフバルブ305の切り換えは、第1制御油圧ポート355に供給されるリニアソレノイド(SLS)202の制御油圧PSLSと、第2制御油圧ポート356に供給されるデューティソレノイド(DSU)203の制御油圧PDSUとの組み合わせによって制御される。
上述したように、第1制御油圧ポート355から供給されるリニアソレノイド(SLS)202の制御油圧PSLSと、第2制御油圧ポート356から供給されるデューティソレノイド(DSU)203の制御油圧PDSUとは、ともにスプール351に対してスプリング352の弾性力に対抗する力として作用する。このため、2つの制御油圧PSLS,PDSUによるスプール351への合力がスプリング352の弾性力以下の場合には、フェールセーフバルブ305は上記ノーマル位置に保持され、変速コントロールバルブ301の出力油圧PINがプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ供給される。一方、上記合力がスプリング352の弾性力を超えると、フェールセーフバルブ305は上記フェール位置に切り換えられ、ベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTがプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ供給される。
つまり、フェールセーフバルブ305は、上記合力が予め設定された規定値を超えると、ノーマル位置からフェール位置に切り換えられる。一方、フェールセーフバルブ305は、上記合力がその規定値以下になると、フェール位置からノーマル位置に切り換えられる。この切り換え動作にともなって、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへの供給油圧が、変速コントロールバルブ301の出力油圧PINとベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTとの間で変更されるようになっている。ここで、例えばスプール351に対する制御油圧PSLSの作用面積と制御油圧PDSUの作用面積とを同じ大きさに設定すれば、フェールセーフバルブ305は、2つの制御油圧PSLS,PDSUの合計圧が予め設定された規定圧を超えると、ノーマル位置からフェール位置に切り換えられ、上記合計圧がその規定圧以下となると、フェール位置からノーマル位置に切り換えられるようになる。この場合、例えば、上記制御油圧PSLS,PDSUがともに最大圧または最大圧付近の油圧であるとき、フェールセーフバルブ305がフェール位置に切り換えられるように、上記規定値を設定することが可能である。言い換えれば、各制御油圧PSLS,PDSUについて、最大圧付近(最大圧を含む)の領域がフェール時の使用領域としてそれぞれ設定することが可能である。
フェールセーフバルブ305は、変速コントロールバルブ301の出力油圧PINを制御する制御手段としてのリニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生した場合に作動して、フェール位置に切り換えられる。リニアソレノイド(SLP)201に発生するフェールとしては、例えば、バルブスティックなどの機械的要因によるフェールや、電磁弁での断線や短絡(ショート)などの電気的要因によるフェールがある。この場合、電気的要因によるフェールの発生は、ECU8によって判定することが可能である。また、機械的要因によるフェールの発生は、例えば、次のようにして判定することが可能である。
リニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生すると、変速コントロールバルブ301の制御が行えなくなるため、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧が急激に低下して、ベルト式無段変速機4において急減速状態が発生する可能性がある。このため、例えば、ベルト式無段変速機4の目標変速比と実変速比との偏差に基づいて、リニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したか否かを判定すればよい。そして、上記偏差が所定の閾値以上である場合にリニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したと判定すればよい。ベルト式無段変速機4の実変速比は、プライマリプーリ回転数センサ105およびセカンダリプーリ回転数センサ106の出力信号に基づいて算出することが可能である。あるいは、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧の変動量(低下量)に基づいて、リニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したか否かを判定すればよい。そして、上記変動量が所定の閾値以上である場合にリニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したと判定すればよい。油圧アクチュエータ41cの油圧は、圧力センサを設けることによって検出することが可能である。
そして、この実施形態では、フェールセーフバルブ305が作動してノーマル位置からフェール位置へ切り換えられ、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧が供給されている場合に、エンジン1により発生する駆動力と、ブレーキ装置7により発生するブレーキ力とを制御することによって、ベルト式無段変速機4の変速比γを制御することを特徴としている。より詳細には、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧が供給されている場合、リニアソレノイド(SLP)201により制御された油圧がプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに供給されている場合に比べて、エンジン1の駆動力およびブレーキ装置7のブレーキ力を増大させる制御を行っている。以下、この制御について、図7のフローチャートを参照して説明する。この図7に示す制御ルーチンは、ECU8により所定時間ごとに繰り返し実行される。
まず、ECU8は、ステップST11において、フェールセーフバルブ305が作動してフェール位置に切り換えられたか否かを判定する。この判定は、リニアソレノイド(SLS)202の制御油圧PSLSと、デューティソレノイド(DSU)203の制御油圧PDSUとに基づいて行うことが可能である。この場合、制御油圧PSLS,PDSUは、ECU8から送られる制御信号(デューティ信号など)に基づいて制御されるため、それらの制御信号に基づいてステップST11の判定を行えばよい。そして、上記制御油圧PSLS,PDSUがともに最大圧または最大圧付近の油圧であるとき、フェールセーフバルブ305が作動したと判定され、それ以外のとき、フェールセーフバルブ305が作動していないと判定される。なお、ステップST11の判定を、リニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生したか否かを判定することによって行うことも可能である。
このステップST11の判定結果が否定判定である場合には、この制御ルーチンを一旦抜ける。一方、判定結果が肯定判定である場合には、ECU8は、アクセルオフか否かを判定する(ステップST12)。この判定は、アクセル開度センサ107により検出されるアクセル開度Accに基づいて行うことが可能である。そして、アクセル開度Accが0%のとき、アクセルオフであると判定され、アクセル開度Accが0%よりも大きいとき、アクセルオンであると判定される。
このステップST12の判定結果が否定判定である場合には、この制御ルーチンを一旦抜ける。一方、判定結果が肯定判定である場合には、ECU8は、ロックアップクラッチ24を解放状態とし、アイドルアップ制御を行う(ステップST13)。この場合、ON−OFFソレノイド(SL1)204を開状態とすることで、ロックアップクラッチ24を解放状態とすることが可能である。アイドルアップ制御は、アクセルオフの被駆動状態から、アクセル操作なしで駆動状態とするために行われる。つまり、アイドルアップ制御は、アクセルオフの状態ではエンジン1はアイドル状態にあるので、このアクセルオフの状態のままでエンジン1の駆動力を増大するために行われる。この際、エンジン1の駆動力を増大させるために、スロットルモータ13、燃料噴射装置14などを制御することによって、エンジン1の吸入空気量、燃料噴射量などを制御する。
そして、上述のアクセルオフかつ駆動状態を維持しながら、車両を減速させるために、ブレーキ装置7を作動させる。この際、ECU8は、ステップST14において、車両の減速に必要な減速度(必要減速度)を算出する。具体的には、車速Vとシフトレンジとに基づいてROM82に予め記憶された必要減速度算出マップを参照して必要減速度を算出する。この場合、セカンダリプーリ回転数センサ106により検出されるセカンダリプーリ回転数Noutと、レバーポジションセンサ110により検出されるシフトレンジ(「D」、「M1」〜「M7」など)に基づいて必要減速度が算出される。必要減速度算出マップは、車速Vおよびシフトレンジをパラメータとするマップであって、車速Vおよびシフトレンジと必要減速度との関係を予め実験・計算等により経験的に求めてマップ化したものである。
次に、ECU8は、ステップST15において、ステップST14で求められた必要減速度で車両を減速させるようにブレーキ装置7を作動させて、車両にブレーキ力を発生させる。この場合、ECU8は、上記必要減速度と車速Vとに基づいてROM82に予め記憶された要求ブレーキ力算出マップを参照して要求ブレーキ力を算出する。要求ブレーキ力算出マップは、必要減速度および車速Vをパラメータとするマップであって、必要減速度および車速Vと要求ブレーキ力との関係を予め実験・計算等により経験的に求めてマップ化したものである。そして、算出された要求ブレーキ力が得られるようにブレーキ装置7を運転者のブレーキペダルの操作とは独立して作動させ、車両の制動を行って車両を減速させる。
この実施形態によれば、リニアソレノイド(SLP)201にフェールが発生した場合、フェールセーフバルブ305がフェール位置に切り換えられ、ベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cに代替油圧(この場合、ベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUT)が供給される。これにより、ベルト式無段変速機4においてプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧の急激な低下を抑制でき、急減速状態の発生を回避することが可能になる。そして、急減速にともなって発生するベルト滑りを防止することが可能になる。しかも、フェールセーフバルブ305の切り換え制御に既存の電磁弁(リニアソレノイド(SLS)202およびデューティソレノイド(DSU)203)を用いるため、コストアップや装置の大型化を回避することが可能になる。
また、フェールセーフバルブ305がフェール位置に切り換えられた場合、アクセルオフの被駆動状態であると判定されると、アイドルアップによりエンジン1の駆動力を増大させることで、アクセル操作なしで駆動状態とすることが可能になる。さらに、この状態で、ブレーキ装置7を作動させてブレーキ力を発生させることで、駆動状態を維持しながら車両減速を行うことが可能になる。そして、このような減速にともなってベルト式無段変速機4のプライマリプーリ41およびセカンダリプーリ42の推力比(=(セカンダリプーリ42の推力WOUT)/(プライマリプーリ41の推力WIN))が変化するため、変速比γをロー側に変化させることが可能になる。これにより、車両停止までに変速比γを最ローまたはそれに近い状態に変化させることが可能になり、再発進時に駆動力が不足して再発進不能となる事態を回避することができる。
より詳細には、図8に示すように、被駆動状態では、変速比γをロー側へ変化させるには、駆動状態に比べ、セカンダリプーリ42の推力WOUTをより大きくする必要がある。しかし、フェールセーフバルブ305の作動により、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cにベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTが供給されると、プライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cの油圧と、セカンダリプーリ42の油圧アクチュエータ42cの油圧とが同じになる。このため、被駆動状態では、変速比γをロー側に変化させることが困難となり、再発進不能な状態で車両が停止するおそれがある。図8は、ベルト式無段変速機4の推力比と変速比の関係を示しており、L1は車両状態が駆動状態のときの関係、L2は無負荷状態のときの関係、L3は被駆動状態のときの関係を示している。
この実施形態では、アクセルオフのとき、エンジン1により発生する駆動力と、ブレーキ装置7により発生するブレーキ力とを制御することによって、ベルト式無段変速機4の変速比γのロー側への変化を可能としている。具体的には、アイドルアップによりエンジン1の駆動力を増大させることによって、被駆動状態から駆動状態へ変化させているので、セカンダリプーリ42の推力WOUTを大きくしなくても、変速比γのロー側への変化が可能になる。そして、ブレーキ装置7の作動によりブレーキ力を増大させることによって、駆動状態を維持したまま車両を制動して減速させているので、車両停止までに変速比γを最ローまたはそれに近い状態まで戻すことが可能になる。これにより、代替油圧の供給に起因する再発進不能な状態での車両停止を回避でき、再発進性を確保できる。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態は一例であり、さまざまに変形することが可能である。
上記実施形態では、フェール時にプライマリプーリ41の油圧アクチュエータ41cへ供給される代替油圧がベルト挟圧力コントロールバルブ303の出力油圧POUTであったが、代替油圧をライン圧PLとしてもよい。あるいは、代替油圧を、それ以外の油圧、例えば、第1モジュレータ油圧PM1、第2モジュレータ油圧PM2、セカンダリ油圧PSECなどとしてもよい。
上記実施形態では、フェールセーフバルブ305の切り換え制御を、既存のリニアソレノイド(SLS)202およびデューティソレノイド(DSU)203によって行う構成であったが、フェールセーフバルブ305の切り換え制御を、既存の電磁弁のそれ以外の組み合わせによって行ってもよい。例えば、既存のリニアソレノイド(SLS)202およびON−OFFソレノイド(SL1)204の組み合わせを用いてもよい。
また、ロックアップクラッチ24の係合・解放制御を、デューティソレノイド(DSU)203ではなく、リニアソレノイドによって行う構成としてもよい。この場合、このリニアソレノイドとリニアソレノイド(SLS)202との組み合わせをフェールセーフバルブ305の切り換え制御に利用することも可能である。
以上では、ガソリンエンジンを搭載した車両に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両にも適用可能である。また、本発明は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に限られることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両、4輪駆動車にも適用できる。
本発明を適用する実施形態に係る車両を示す概略構成図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 車両の油圧制御装置を示す回路構成図である。 ベルト式無段変速機の変速制御に用いる変速マップの一例を示す図である。 マニュアルモードのときの変速マップの一例を示す図である。 ベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御に用いるマップの一例を示す図である。 フェールセーフバルブが作動した際に行われる制御の手順を示すフローチャートである。 ベルト式無段変速機の推力比と変速比の関係の一例を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 トルクコンバータ
24 ロックアップクラッチ
7 ブレーキ装置
4 ベルト式無段変速機
41 プライマリプーリ
41c 油圧アクチュエータ
42 セカンダリプーリ
42c 油圧アクチュエータ
43 ベルト
20 油圧制御回路
201 リニアソレノイド(第1電磁弁)
202 リニアソレノイド(第2電磁弁)
203 デューティソレノイド(第3電磁弁)
305 フェールセーフバルブ(代替油圧供給手段)
8 ECU

Claims (6)

  1. 内燃機関と、
    プライマリプーリおよびセカンダリプーリとこれらプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有し、油圧によりベルトを挟圧して動力を伝達するとともにベルト掛かり径を変更して変速比を変化させるベルト式無段変速機と、
    上記内燃機関とベルト式無段変速機との間に設けられた流体式動力伝達装置に備えられ、内燃機関側とベルト式無段変速機側とを直結する油圧式のロックアップクラッチと、
    車両に制動力を発生させるブレーキ装置とを備えた車両の制御装置において、
    上記プライマリプーリの油圧アクチュエータに供給する油圧を制御する第1電磁弁と、
    上記第1電磁弁にフェールが発生した場合に上記プライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧を供給する代替油圧供給手段と、
    上記代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給されている場合に、内燃機関により発生する駆動力と、上記ブレーキ装置により発生する制動力とを制御することによって、上記ベルト式無段変速機の変速比を制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置において、
    上記代替油圧供給手段によりプライマリプーリの油圧アクチュエータに代替油圧が供給されている場合には、上記ロックアップクラッチをオフとするとともに、上記第1電磁弁により制御された油圧がプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給されている場合に比べて、内燃機関の駆動力およびブレーキ装置の制動力を増大させることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の制御装置において、
    上記制御手段によるベルト式無段変速機の変速比の制御は、アクセルペダルの操作が行われていない場合に実行されることを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の車両の制御装置において、
    上記代替油圧供給手段は、上記第1電磁弁にフェールが発生していない場合には、この第1電磁弁により制御される油圧をプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給するノーマル位置に切り換えられ、上記第1電磁弁にフェールが発生した場合には、上記代替油圧をプライマリプーリの油圧アクチュエータに供給するフェール位置に切り換えられるように構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項2〜請求項4のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    上記代替油圧は、上記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給される油圧であることを特徴とする車両の制御装置。
  6. 請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    上記代替油圧供給手段のノーマル位置とフェール位置との切り換えは、上記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給する油圧を制御する第2電磁弁の制御油圧と、上記ロックアップクラッチの係合圧を制御する第3電磁弁と制御油圧との組み合わせによって制御されることを特徴とする車両の制御装置。
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