JP2005315291A - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機の制御装置 Download PDF

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康成 松井
Hiroki Kondo
宏紀 近藤
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忠司 田村
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Abstract

【課題】 CVTを搭載した車両において急減速要求があってもベルト滑りを回避する。
【解決手段】 ECT_ECUは、車両が急停止状態であると(S100にてYES)、CVT油温を検知するステップ(S200)と、車両加速度(減速度)を検知するステップ(S300)と、CVT油温が高いほど減速度が大きいほどプライマリプーリからの作動油の排出を急激に行なわないようにダウンシフトのデューティ上限値が設定されたマップを参照して、ガード領域であるか否かを判断するステップ(S400)と、ガード領域であると(S400にてYES)、マップからダウンシフトデューティ上限ガードを取得するステップ(S500)とを含むプログラムを実行する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、変速比を連続的に変化させることが可能なベルト式無段変速機の制御装置に関し、特に、急減速時においてベルト滑りを回避する制御装置に関する。
車両に搭載される自動変速機は、エンジンとトルクコンバータ等を介して繋がるとともに複数の動力伝達経路を有してなる変速機構を有して構成され、例えば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切換えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切換えを行なうように構成される。一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるシフトレバーが設けられ、シフトレバー操作に基づいて変速ポジション(例えば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定され、このように設定された変速ポジション内(通常は、前進走行ポジション内)において自動変速制御が行なわれる。
このような自動変速機の1つにベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)がある。このベルト式無段変速機は、V溝状のプーリ溝を備えた駆動側プーリ(プライマリプーリ)と従動側プーリ(セカンダリプーリ)とにベルトを巻掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。このベルト式無段変速機において伝達されるトルクは、ベルトとプーリとを相互に接触させる方向に作用する荷重に応じたトルクとなり、したがってベルトに張力を付与するようにプーリによってベルトを挟み付けている。
また、変速は、上記のように、プーリ溝の溝幅を拡大・縮小させることにより行なうように構成されており、具体的には、各プーリを固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブをその背面側に設けた油圧アクチュエータにより軸線方向に前後動させることにより変速を行なうように構成されている。
このようにベルト式無段変速機では、ベルトに張力を付与するためにプーリによってベルトを挟み付け、また変速を実行するためにプーリによるベルトの挟み付け状態を変更する。このベルトとプーリとの間で滑りが生じると、ベルトの耐久性が低下する等の問題がある。特開2002−327835号公報(特許文献1)は、急減速により極低車速状態となりプライマリプーリ回転数が急低下しても駆動ベルトの滑り発生を防止する無段変速機の制御装置を開示する。この無段変速機の制御装置は、プーリ溝幅可変のプライマリプーリと、プライマリプーリとの間に駆動ベルトが掛け渡されるプーリ溝幅可変のセカンダリプーリとを有し、プライマリプーリにプライマリ圧を供給し、セカンダリプーリにセカンダリ圧を供給してプライマリプーリとセカンダリプーリに対する駆動ベルトの巻き付け径の比率を変化させて無段変速を行なう無段変速機の制御装置であって、車速を検出する車速検出手段と、車両の減速状態を検出する減速検出手段と、車速が所定値以下であり、かつ車両の減速度が所定値より大きいときに、プライマリ圧を通常減速モードよりも高く設定する急減速モードに切り換える制御手段とを含む。
この無段変速機の制御装置によると、プライマリプーリの回転数が所定値以下であり、車速が所定値以下のもとで、フットブレーキが強く踏み込まれて車両の減速度が所定値よりも大きくなったときには、プライマリ圧を高い圧力に設定するので、急減速時の駆動ベルトのグロススリップ(駆動ベルトがプライマリプーリに対して径方向に滑る)を防止することができる。これにより、車両が停止する際に車両にショックが発生することを防止できる。
特開2002−327835号公報
しかしながら、特許文献1に開示された無段変速機の制御装置においては、車両の減速度が所定値よりも大きくなったときに(車速の条件も存在する)、プライマリ圧を高い圧力に設定して、ベルト滑りを防止するものに過ぎない。すなわち、所定の減速度よりも少しでも急減速であるとベルトすべりが発生する可能性が高いと判断して、プライマリ圧を上昇させてベルトを滑らないようにしている。
実際には、ベルト式無段変速機が搭載された車両を急減速させて、車両を停止させる場合には、最減速側までベルトが戻る必要がある。このベルトが戻る程度は、ベルト戻し性能と呼ばれるものである。急減速時にベルト戻し性能を向上させるためには、プライマリプーリの油圧を急激に排出することにより、プライマリプーリの溝幅を速やかに大きく、すわなちプライマリプーリの径を速やかに小さくすることが必要になる。
しかしながら、このようにプライマリプーリの油圧を急激に排出すると、急減速により大きく作用する慣性力に抗する強いベルト挟圧力を発生させないと、ベルト滑りが発生する。このベルトを滑らせない程度は、耐ベルト滑り性能と呼ばれるものである。
このように、ベルト戻し性能を向上させようとプライマリプーリの油圧を急激に排出すると、ベルト挟圧力が不足して耐ベルト滑り性能が悪化するという、トレードオフの関係がある。
このような関係が存在する状態において、特許文献1のように、所定の減速度よりも急減速であるとプライマリ圧を上昇させるという制御だけでは、所定の減速度よりもわずかに急な減速度であっても、プライマリ圧が上昇される状態になり、ベルト戻し性能が悪化することになる。
さらに、このようなベルト式無段変速機における作動油は、その温度により粘性(粘り)が異なり、高温になり粘りが少なくなるとオイルシール部からの漏れが発生し、プライマリ圧が低下しやすくなる。また、プライマリプーリからのドレン排出速度も速くなる。特許文献1においてはこのような観点を考慮した制御が実行されていない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ベルト式無段変速機において急減速が行なわれた場合に、ベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することである。別の目的は、ベルト式無段変速機の作動油の温度特性を考慮して、的確にベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、溝幅が油圧アクチュエータによって変更可能な駆動側プーリと従動側プーリとにベルトが巻掛けられ、駆動側プーリの溝幅を油圧アクチュエータによって変更することにより変速を行なうベルト式無段変速機を制御する。このベルト式無段変速機は、減速時においては駆動側プーリの溝幅が広がるように油圧アクチュエータへの指令値が出力され、指令値を制限することにより溝幅が広がる度合いが低くなる。この制御装置は、少なくとも2種類の減速度に応じて設定された、油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、車両の減速度を検知するための検知手段と、検知された減速度に基づいて、指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む。
第1の発明によると、ベルト式無段変速機を搭載した車両の運転者により、急減速するような操作が行なわれたり、車両に搭載されたコンピュータにより急減速するような指令が出力されたりすると、たとえば、その減速度が大きいほど駆動側プーリの溝幅が広がる度合いが低くなるように、油圧アクチュエータへの指令値が制限される。このとき、少なくとも2種類の減速度に応じて指令値を制限するような情報(たとえばマップ)が記憶されている。減速度が大きいほどベルト滑りの可能性が高い。そのため、真に制限が必要な減速度の領域において、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させて、ベルト滑りを回避させることができ、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。一方、制限があまり必要でない減速度の領域においては、ベルト滑りの可能性が低いので、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させないで、ベルト戻り性能を向上させることができる。その結果、ベルト式無段変速機において急減速が行なわれた場合に、ベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、記憶手段は、減速度が大きいほど、油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む。
第2の発明によると、減速度が大きいほどベルト滑りの可能性が高くなるので、駆動側プーリの溝幅を広げる油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限するようにして、急減速時の耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
第3の発明に係る制御装置は、第1の発明と同様の構成を有するベルト式無段変速機を制御する。この制御装置は、減速度および油圧アクチュエータの作動油の温度に応じて設定された、油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、車両の減速度を検知するための検知手段と、作動油の油温を検知するための検知手段と、検知された減速度および油温に基づいて、指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む。
第3の発明によると、ベルト式無段変速機を搭載した車両の運転者により、急減速するような操作が行なわれたり、車両に搭載されたコンピュータにより急減速するような指令が出力されたりすると、たとえば、その減速度が大きいほど、ベルト式無段変速機作動油の油温が高いほど、駆動側プーリの溝幅が広がる度合いが低くなるように、油圧アクチュエータへの指令値が制限される。このとき、減速度と油温とに応じて指令値を制限するような情報(たとえばマップ)が記憶されている。油温が上昇すると、作動油の粘りが少なくなり、オイルシール部からの漏れやドレン排出時間が短くなり、ベルト滑りの可能性が高い。そのため、油温を考慮して真に制限が必要な減速度の領域において、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させて、ベルト滑りを回避させることができ、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。一方、制限があまり必要でない減速度および油温の領域においては、ベルト滑りの可能性が低いので、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させないで、ベルト戻り性能を向上させることができる。その結果、ベルト式無段変速機において急減速が行なわれた場合に、ベルト式無段変速機の作動油の温度特性を考慮して、的確にベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することができる。
第4の発明に係る制御装置においては、第3の発明の構成に加えて、記憶手段は、減速度が大きいほど、油温が高いほど、油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む。
第4の発明によると、減速度が大きいほど作動油の油温が高いほどベルト滑りの可能性が高くなるので、駆動側プーリの溝幅を広げる油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限するようにして、急減速時および作動油高温時の耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
第5の発明に係る制御装置は、第1の発明と同様の構成を有するベルト式無段変速機を制御する。この制御装置は、減速度および車速に応じて設定された、油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、車両の減速度を検知するための検知手段と、車両の車速を検知するための検知手段と、検知された減速度および車速に基づいて、指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む。
第5の発明によると、ベルト式無段変速機を搭載した車両の運転者により、急減速するような操作が行なわれたり、車両に搭載されたコンピュータにより急減速するような指令が出力されたりすると、たとえば、その減速度が大きいほど、車速が低いほど、駆動側プーリの溝幅が広がる度合いが低くなるように、油圧アクチュエータへの指令値が制限される。このとき、減速度と車速とに応じて指令値を制限するような情報(たとえばマップ)が記憶されている。車速が低いほど車両の停止前のイナーシャ(慣性)がより強く作用して、ベルト滑りの可能性が高い。そのため、車速を考慮して真に制限が必要な減速度の領域において、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させて、ベルト滑りを回避させることができ、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。一方、制限があまり必要でない減速度および車速の領域においては、ベルト滑りの可能性が低いので、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させないで、ベルト戻り性能を向上させることができる。その結果、ベルト式無段変速機において急減速が行なわれた場合に、車速を考慮して、的確にベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することができる。
第6の発明に係る制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、記憶手段は、減速度が大きいほど、車速が低いほど、油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む。
第6の発明によると、減速度が大きいほど車速が低いほどベルト滑りの可能性が高くなるので、駆動側プーリの溝幅を広げる油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限するようにして、急減速時および低車速時の耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
第7の発明に係る制御装置は、第1の発明と同様の構成を有するベルト式無段変速機を制御する。この制御装置は、減速度、油圧アクチュエータの作動油の温度および車速に応じて設定された、油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、車両の減速度を検知するための検知手段と、作動油の油温を検知するための検知手段と、車両の車速を検知するための検知手段と、検知された減速度、油温および車速に基づいて、指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む。
第7の発明によると、ベルト式無段変速機を搭載した車両の運転者により、急減速するような操作が行なわれたり、車両に搭載されたコンピュータにより急減速するような指令が出力されたりすると、たとえば、その減速度が大きいほど、ベルト式無段変速機作動油の油温が高いほど、車速が低いほど、駆動側プーリの溝幅が広がる度合いが低くなるように、油圧アクチュエータへの指令値が制限される。このとき、減速度と油温と車速とに応じて指令値を制限するような情報(たとえばマップ)が記憶されている。油温が上昇すると、作動油の粘りが少なくなり、オイルシール部からの漏れやドレン排出時間が短くなり、ベルト滑りの可能性が高い。車速が低いほど車両の停止前のイナーシャ(慣性)がより強く作用して、ベルト滑りの可能性が高い。そのため、油温および車速を考慮して真に制限が必要な減速度の領域において、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させて、ベルト滑りを回避させることができ、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。一方、制限があまり必要でない減速度、油温および車速の領域においては、ベルト滑りの可能性が低いので、駆動側プーリの溝幅の広がり度合いを低下させないで、ベルト戻り性能を向上させることができる。その結果、ベルト式無段変速機において急減速が行なわれた場合に、ベルト式無段変速機の作動油の温度特性および車速を考慮して、的確にベルト戻り性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り両立させることができる制御装置を提供することができる。
第8の発明に係る制御装置においては、第7の発明の構成に加えて、記憶手段は、減速度が大きいほど、油温が高いほど、車速が低いほど、油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む。
第8の発明によると、減速度が大きいほど作動油の油温が高いほど車速が低いほどベルト滑りの可能性が高くなるので、駆動側プーリの溝幅を広げる油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限するようにして、急減速時、作動油高温時および低車速時の耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
第9の発明に係る制御装置においては、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、指令値を制限する情報は、ロックアップクラッチの状態に応じて変更される情報である。
第9の発明によると、ロックアップクラッチの係合時に急減速されると、駆動源(エンジン等)が被駆動状態になり駆動源の回転数が急激に低下する。駆動源はベルト式無段変速機の作動油を供給するオイルポンプを作動させている。そのため、オイルポンプからの吐出圧(ライン圧)が低下してしまい、ベルト挟圧力が低下して、ベルト滑りの可能性が高くなる。このため、ロックアップクラッチが係合状態、半係合状態および解放状態に応じて、指令値を制限する情報を変更して、ロックアップクラッチを搭載している車両であっても、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
第10の発明に係る制御装置は、第1〜9のいずれかの発明の構成に加えて、指令値を制限する情報に基づいて、油圧アクチュエータへ指令値を出力するための出力手段をさらに含む。
第10の発明によると、制限された情報に基づいて、駆動側プーリの溝幅を変更する油圧アクチュエータに指令値を出力することができ、所望の耐ベルト滑り性能の向上と、所望のベルト戻し性能の向上とを実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU(Electronic Control Unit)900により実現される。以下に示す自動変速機は、ベルト式無段変速機である。
図1に示すように、動力源100が変速機構200に連結され、その変速機構200の出力軸300がディファレンシャルギヤ400を介して左右の駆動輪500に連結されている。ここで、動力源100は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関あるいはモータなどの電動機、さらにはこれら内燃機関と電動機とを組み合わせた装置など、車両に使用可能な種々の動力源を含む。以下の説明では、動力源100として、燃料をシリンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミングを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能ないわゆる直噴ガソリンエンジン、あるいはスロットル開度を電気的に自由に制御できる電子スロットルバルブを備えたガソリンエンジンを採用した例を説明する(以下、動力源100をエンジン100と記載する)。
このエンジン100は、電気的に制御できるように構成されており、その制御のためのマイクロコンピュータを主体とするエンジンECU800が設けられている。このエンジンECU800は、少なくともエンジン100の出力を制御するように構成されており、その制御のためのデータとして出力軸回転数(エンジン回転数)NEとアクセル開度PAなどの出力要求量とが入力される。
この出力要求量は、エンジン100の出力の増大・減少のための信号であり、運転者が操作するアクセルペダルなどの加減速操作装置700の操作量信号やその操作量を電気的に処理して得た信号を採用することができ、またそれ以外に、車速を設定車速に維持するためのクルーズコントロールシステム(図示せず)などからの出力要求量信号であってもよい。
変速機構200は、流体伝動機構210と、前後進切換機構220と、ベルト式無段変速機(CVT)230とから構成される。
流体伝動機構210は、オイルなどの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間でトルクを伝達するように構成された装置であって、一例として、一般の車両に採用されているトルクコンバータを挙げることができる。また、この流体伝動機構210は、ロックアップクラッチ212を備えている。すなわちロックアップクラッチ212は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの機械的手段で直接連結するように構成されたクラッチであって、緩衝を行なうためのコイルスプリングなどの弾性体からなるダンパー214を備えている。
動力源であるエンジン100によって回転させられ、その回転数に応じて吐出圧が高くなる油圧ポンプが、流体伝動機構210に接近した位置に設けられている。具体的には、流体伝動機構210と前後進切換機構220との間に配置されている。なお、車両が停止している状態であってもエンジン100を駆動させ続けるために流体伝動機構210を設けている場合には、車両の状態に基づいて自動的に断続される自動クラッチを、上記の流体伝動機構210に置換して使用することができる。
流体伝動機構210の入力部材がエンジン100の出力部材に連結され、また流体伝動機構210の出力部材が前後進切換機構220の入力部材に連結されている。この前後進切換機構220は、一例としてダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成され、特には図示しないが、サンギヤとキャリヤとのいずれか一方を入力要素とし、かつ他方を出力要素とするとともに、リングギヤを選択的に固定するブレーキ要素と、サンギヤおよびキャリヤならびにリンクギヤの3要素のうちのいずれか2つの回転要素を選択的に連結して遊星歯車機構の全体を一体化するクラッチ要素とを備えている。すなわちそのクラッチ要素を係合させることに前進状態を設定し、またブレーキ要素を係合させることにより後進状態を設定するように構成される。
図1に示すベルト式無段変速機230は、その入力側の部材の回転数と出力側の部材の回転数との比率すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させることのできるベルト式無段変速機である。そのベルト式無段変速機230の一例を、図2を参照して説明する。
駆動側プーリ(プライマリプーリ)232と、従動側プーリ(セカンダリプーリ)234と、これらのプーリ232,234に巻き掛けられたベルト236とを備えている。これらのプーリ232,234のそれぞれは、固定シーブ238,240と、その固定シーブ238,240に対して接近・離隔する可動シーブ242,244とからなり、可動シーブ242,244を固定シーブ238,240に対して接近する方向に押圧する油圧アクチュエータ246,248が設けられている。これら各シーブ238,240,242,244によって、ベルト236を巻掛けるためのV溝状のベルト巻掛け溝(プーリ溝)が形成されている。
プライマリプーリ232が入力軸290に取り付けられ、その入力軸290と平行に配置された出力軸300にセカンダリプーリ234が取り付けられている。そして、セカンダリプーリ234における油圧アクチュエータ248には、アクセル開度PAに代表される出力要求に基づいて求められる要求駆動力に応じた油圧が供給され、可動シーブ244を固定シーブ240側に押圧してベルト236を挟み付けることにより、トルクを伝達するのに必要な張力をベルト236に付与する。
また、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246には、入力軸290の回転数を目標入力回転数に一致させる変速比となるように、作動油が給排されている。すなわち、各プーリ232,234における溝幅(固定シーブ238,240と可動シーブ242,244との間隔)を変化させることにより、各プーリ232,234に対するベルト236の巻き掛け半径が大小に変化して変速が実行されるようになっている。
より具体的には、実入力回転数と目標入力回転数との回転数偏差(制御偏差)に基づいてプライマリプーリ232の作動油をフィードバック制御することにより変速が実行され、したがってその制御偏差が大きいほど、変速速度が速くなる。
図3を参照して、変速制御を行なう油圧回路について説明する。
プライマリプーリ232に対する作動油の給排は、流量制御によって行なわれる。そのためのバルブ機構は、図3に示すように構成される。すなわち、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246には、ライン圧PLを供給する第1流量制御弁3100と、ドレンに接続された第2流量制御弁3200とが連通されている。第1流量制御弁3100は、アップシフトを実行するためのバルブであって、ライン圧PLが供給される入力ポート3300とプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に連通された出力ポート3400との間の流路をスプール3500によって開閉するように構成されている。そのスプール3500の一端側にはスプリング3600が配置されるとともに、そのスプール3500を挟んでスプリング3600とは反対側の端部に、信号圧を印加するための第1信号圧ポート3700が形成されている。また、スプリング3600が配置されている上記の一端側に信号圧を印加するための第2信号圧ポート3800が形成されている。
そして、第1信号圧ポート3700に、デューティに応じて出力圧が高くなる第1ソレノイドバルブ3900が接続され、また第2信号圧ポート3800に、デューティに応じて出力圧が高くなる第2ソレノイドバルブ4000が接続されており、各信号圧ポート3700,3800にこれらのソレノイドバルブ3900,4000の出力する信号圧が印加されるようになっている。すなわち、第1信号圧ポート3700に印加する油圧を高くして入力ポート3300を開くことにより、作動油が出力ポート3400からプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に供給されてプライマリプーリ232の溝幅が狭くなり、その結果、変速比が低下するようになっている。すなわちアップシフトされる。またその際の作動油の供給流量を増大させることにより、変速速度が速くなる。
また、第2流量制御弁3200は、ダウンシフトを実行するためのバルブであって、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に連通された第1ポート4100を、ライン圧PLを元圧して調圧された油圧が供給される第2ポート4200とドレンポート4300とに、スプール4400によって選択的に連通させるように構成されている。そのスプール4400の一端側にはスプリング4500が配置されるとともに、その一端側に信号圧を印加するための第1信号圧ポート4600が形成されている。そのスプール4400を挟んでスプリング4500とは反対側の端部に、信号圧を印加するための第2信号圧ポート4700が形成されている。
そして、第1信号圧ポート4600に第1ソレノイドバルブ3900が接続され、また第2信号圧ポート4700に第2ソレノイドバルブ4000が接続されており、各信号圧ポート4600,4700にはこれらのソレノイドバルブ3900,4000の出力する信号圧が印加されるようになっている。すなわち、第2信号圧ポート4700に印加する油圧を高くして第1ポート4100をドレインポート4300に連通させることにより、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246から作動油が排出されてプライマリプーリ232の溝幅が広くなり、その結果、変速比が増大するようになっている。すなわちダウンシフトされる。またその際の作動油の排出流量を増大させることにより、変速速度が速くなる。
さらに、第2流量制御弁3200の第2ポート4200には、調圧弁4800が接続されている。この調圧弁4800は、スプリング4900によって押圧されているピストン5000の正面側に、ライン圧PLが供給される入力ポート5100が形成され、かつそのピストン5000の正面側と背面側とに連通した出力ポート5200とを有するバルブであって、その出力ポート5200が第2流量制御弁3200の第2ポート4200に連通されている。また入力ポート5100には開口面積の小さいダブルオリフィス5300を介してライン圧PLが供給されている。すなわちこの調圧弁4800は、ライン圧PLからスプリング4900の弾性力を減じた圧力の油圧が、その出力ポート5200すなわち第2流量制御弁3200の第2ポート4200に生じるように構成されている。
さらに具体的に説明すると、第1流量制御弁3100の入力ポート3300が閉じられた状態で、第2流量制御弁3200の第1ポート4100と第2ポート4200とが連通されると、調圧弁4800で調圧した作動油が第2ポート4200を介してプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に供給される。その場合の流量はダブルオリフィス5300で制限された微少量である。その結果、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246の油圧が高くなるが、その油圧アクチュエータの油圧が調圧弁4800におけるピストン5000の背面側に作用するので、その圧力が、ライン圧PLからスプリング4900の弾性力を減じた圧力になると、ピストン5000が入力ポート5100側に押圧されて入力ポート5100を閉じ、それ以上に作動油が供給されることを阻止する。したがって第1流量制御ポート3100からプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に作動油を供給せず、かつ第2流量制御弁3200から排出しないいわゆる閉じ込み(中込め)状態では、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246の油圧が、調圧弁4800で調圧した油圧(ライン圧PLより低い圧力)に維持されるようになっている。
このような油圧の維持の状態は、閉じ込み制御中の不可避的なオイルの漏れが生じた場合も同様であり、油圧回路や油圧制御機器などからオイルの漏洩が生じてプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246の油圧が低下した場合には、調圧弁4800の入力ポート5100からプライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246に作動油がわずかずつ供給され、調圧弁4800による調圧値に維持される。その結果、変速の状態としては、僅かながらアップシフト傾向となり、変速比が僅かずつ低下する緩速のアップシフトとなる。
ベルト式無段変速機230では、プライマリプーリ232に対するベルト236の巻き掛け半径が最小でかつセカンダリプーリ234に対するベルト236の巻き掛け半径が最大の状態で、最低速側の変速比(最大変速比)が設定され、また、これとは反対にプライマリプーリ232に対するベルト236の巻き掛け半径が最大でかつセカンダリプーリ234に対するベルト236の巻き掛け半径が最小の状態で、最高速側の変速比(最小変速比)が設定される。
変速機構200におけるロックアップクラッチ212の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制御および前後進切換機構220での前後進の切り換えならびにベルト式無段変速機230での変速比の制御は、基本的には、車両の走行状態に基づいて制御されるようになっている。その制御のためにマイクロコンピュータを主体として構成されたECT(Electronically Controlled Automatic Transmission)_ECU900が設けられている。
このECT_ECU900は、前述したエンジンECU800とデータ通信可能に接続される一方、制御のためのデータとして車速や変速機構200の入力回転数NIN、出力回転数NOUTなどのデータが入力される。回転数センサ600は、ベルト式無段変速機230での変速制御を実行するために、プライマリプーリ232やセカンダリプーリ234などの回転数を検出するセンサであって、一例として、電磁ピックアップの先端側をパルスギヤの歯(それぞれ図示せず)が通過することにより、電磁ピックアップにパルス信号を発生させ、そのパルス信号の間隔やパルス幅などに基づいて上記の入力回転数NINや出力回転数NOUTを求めるように構成される。このようなタイプの回転数センサ600では、検出可能な最低回転数が数十rpmである。
変速機構200を停止状態(パーキングポジション:Pポジション)、後進状態(リバースポジション:Rポジション)、中立状態(ニュートラルポジション:Nポジション)、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定して通常の走行を行なう自動前進状態(ドライブポジション:Dポジション)、エンジン100のポンピングロスを制動力とする状態(ブレーキポジション:Bポジション)ならびに所定値以上の高速側の変速比の設定を禁止する状態(SDポジション)の各状態(ポジション)を選択するシフト装置1000が設けられており、このシフト装置1000がECT_ECU900に電気的に接続されている。
ベルト式無段変速機230において、比較的高車速側の変速比を設定して走行している状態で急停止すると、エンジン100の回転数の低下に伴いエンジン100により回転されている油圧ポンプから吐出圧であるライン圧が低下する。このため、ベルト236の挟圧力が低下する。なお、ロックアップクラッチ212が係合状態であると、エンジン100が駆動輪500による被駆動の状態になりエンジン100の回転数の低下が顕著になりライン圧の低下も顕著になる。そのため、ベルト236の挟圧力がより大きく低下する傾向を示す。
また、急減速の場合には、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246から作動油が急激に排出されてプライマリプーリ232の溝幅が広くなり、その結果、変速比が増大して、ダウンシフトされる。このとき、プライマリプーリ232の作動油を急激に排出することによる急減速により慣性力が大きく作用して、ベルト滑りが発生しやすくなる。
本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900は、このような場合に、ベルト戻し性能と耐ベルト滑り性能とをできる限り向上させるように、急減速時にベルト式無段変速機230を制御する。
図4に、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900のメモリに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す。図4に示すように、このマップは、加速度とCVT油温との二次元のマップであって、加速度とCVT油温とからダウンシフトデューティ上限ガード値が求められるようになっている。このマップには、急減速であるほど、CVT油温が高いほど、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるように設定されている。すなわち、急減速であるほど、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246から作動油が急激に排出されるときの慣性力により、ベルト236が滑る可能性が高く、CVT油温が高いほど、作動油に粘りがなくオイルシール部からのオイル漏れや作動油が急激に排出される度合いが高いことにより、ベルト236が滑る可能性が高い。このため。急減速であるほど、CVT油温が高いほど、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるように設定されている。
このように、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるときには、加減速操作装置700における操作量(ブレーキペダル量)から算出された加速度(減速度)に基づいて算出されたダウンシフトを実現するための第2ソレノイドバルブ4000のデューティが過大にならないように制限される。たとえば、この図4に示すマップには、0以上1以下の係数が記憶され、算出されたデューティにその係数を乗算して、デューティが小さく算出される。
図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSを記載する)100にて、ECT_ECU900は、車両が急停止の状態であるか否かを判断する。この判断は、たとえば、変速比が予め定められた変速比以下で(すなわち、高車速側の変速比で)、車速が予め定められた車速であると、車両が急停止の状態であると判断することができる。また、この判断は、出力軸300の回転数NOUTの時間微分値や、車両の前後方向の加速度を検知するGセンサの値等に基づいて行なうようにしてもよい。車両が急停止の状態であると判断されると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
S200にて、ECT_ECU900は、CVT油温を検知する。S300にて、ECT_ECU900は、車両加速度(減速度)を検知する。この減速度は、出力軸300の回転数NOUTの時間微分値であっもよい。
S400にて、ECT_ECU900は、図4に示すマップを参照して、CVT油温と車両加速度とに基づいて、ガード領域であるか否かを判断する。ガード領域であると判断されると(S400にてYES)、処理はS500へ移される。もしそうでないと(S400にてNO)、この処理は終了する。
S500にて、ECT_ECU900は、図4に示すマップから、ダウンシフトデューティ上限ガードを取得する。この取得されたダウンシフトデューティ上限ガードを用いて、第2ソレノイドバルブ4000のデューティが過大にならないように制限される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、車両の動作について説明する。
図1に示すパワートレーンを搭載した車両の運転者がブレーキペダルを強く踏む等の急減速の操作が行なわれると(S100にてYES)、CVT油温が検知され(S200),車両加速度(減速度)が検知される(S300)。
図4に示すマップと、検知されたCVT油温および車両加速度とに基づいて、ガード領域である場合には(S400にてYES)、図4に示すマップから求められたダウンシフトデューティ上限ガードが取得される。このガードは、たとえば0以上1以下の係数であって、減速度が急減速であるほど、CVT油温が高温であるほど、小さな係数に設定されている。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、CVTを搭載した車両において、急減速が要求された場合に、車両加速度(減速度)およびCVT油温に基づいて、プライマリプーリからの作動油の排出を決定するソレノイドバルブのデューティを制限して、あまりにも急激に作動油をドレンさせない。これにより、ベルト滑りを防止することができる。
なお、図4に示すマップは、車両加速度とCVT油温との二次元マップとしたが、車両加速度の一次元マップであってもよい。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、前述の第1の実施の形態に係る制御装置と、異なるマップを用いる点および異なるプログラムを実行する点が相違する。それ以外は、前述の第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
図6に、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900のメモリに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す。図6に示すように、このマップは、加速度と車速との二次元のマップであって、加速度と車速とからダウンシフトデューティ上限ガード値が求められるようになっている。このマップには、急減速であるほど、車速が低いほど、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるように設定されている。すなわち、急減速であるほど、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246から作動油が急激に排出されるときの慣性力により、ベルト236が滑る可能性が高いので、ダウンシフトのデューティの上限値により強いガードがかかるように設定されている。また、車速が低速であるほど、停止前のイナーシャ(慣性)の強いときに、ダウンシフトのデューティの上限値に、より強いガードがかかるように設定されている。
このように、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるときには、加減速操作装置700における操作量(ブレーキペダル量)から算出された加速度(減速度)に基づいて算出されたダウンシフトを実現するための第2ソレノイドバルブ4000のデューティが過大にならないように制限される。たとえば、この図6に示すマップには、0以上1以下の係数が記憶され、算出されたデューティにその係数を乗算して、デューティが小さく算出する。
図7を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図7に示すフローチャートにおいて前述の図5のフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらの処理については同じである。従って、それらについてのここでの詳細な説明は繰り返さない。
S600にて、ECT_ECU900は、車両速度を検知する。このとき、車両速度は、出力軸300の回転数NOUTであっもよいし、ディファレンシャルギヤ400の変速比をNOUTに乗算したものであってもよい。
S700にて、ECT_ECU900は、図6に示すマップから、ダウンシフトデューティ上限ガードを取得する。この取得されたダウンシフトデューティ上限ガードを用いて、第2ソレノイドバルブ4000のデューティが過大にならないように制限される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、車両の動作について説明する。
図1に示すパワートレーンを搭載した車両の運転者がブレーキペダルを強く踏む等の急減速の操作が行なわれると(S100にてYES)、車両速度が検知され(S700),車両加速度(減速度)が検知される(S300)。
図6に示すマップと、検知された車両速度および車両加速度とに基づいて、ガード領域である場合には(S400にてYES)、図6に示すマップから求められたダウンシフトデューティ上限ガードが取得される。このガードは、たとえば0以上1以下の係数であって、減速度が急減速であるほど、車速が低速であるほど、小さな係数に設定されている。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、CVTを搭載した車両において、急減速が要求された場合に、車両加速度(減速度)および車速に基づいて、プライマリプーリからの作動油の排出を決定するソレノイドバルブのデューティを制限して、あまりにも急激に作動油をドレンさせない。これにより、ベルト滑りを防止することができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、前述の第1の実施の形態に係る制御装置と、異なるマップを用いる点が相違する。それ以外は、前述の第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
図8に、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU900のメモリに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す。図8に示すように、このマップは、加速度とCVT油温と車速との三次元のマップであって、加速度とCVT油温と車速とからダウンシフトデューティ上限ガード値が求められるようになっている。このマップには、急減速であるほど、CVT油温が高いほど、車速が低いほど、ダウンシフトのデューティの上限値に強いガードがかかるように設定されている。
すなわち、急減速であるほど、プライマリプーリ232の油圧アクチュエータ246から作動油が急激に排出されるときの慣性力により、ベルト236が滑る可能性が高いので、ダウンシフトのデューティの上限値により強いガードがかかるように設定されている。CVT油温が高いほど、作動油に粘りがなくオイルシール部からのオイル漏れや作動油が急激に排出される度合いが高いことにより、ベルト236が滑る可能性が高いので、ダウンシフトのデューティの上限値により強いガードがかかるように設定されている。車速が低速であるほど、停止前のイナーシャ(慣性)の強いときに、ダウンシフトのデューティの上限値に、より強いガードがかかるように設定されている。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、CVTを搭載した車両において、急減速が要求された場合に、車両加速度(減速度)、CVT油温および車速に基づいて、プライマリプーリからの作動油の排出を決定するソレノイドバルブのデューティを制限して、あまりにも急激に作動油をドレンさせない。これにより、ベルト滑りを防止することができる。
さらに、ロックアップクラッチ212の係合状態によっては、ライン圧の低下が顕著になる場合がある。ライン圧の低下は、ベルト挟圧力の低下を招くので、ロックアップクラッチ212の状態をさらなるパラメータにしてマップを形成するようにしてもよい。この場合、ロックアップクラッチがより強く係合されているときほど、ダウンシフトのデューティの上限値により強いガードがかかるように設定すればよい。このようにすると、ロックアップクラッチを搭載している車両であっても、耐ベルト滑り性能を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。 図1に示すCVTの詳細図である。 CVTの変速制御のための油圧回路の一部を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るECUに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るECUで実行されるプログラムの制御構造を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るECUに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るECUで実行されるプログラムの制御構造を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係るECUに記憶されるダウンシフトデューティ上限ガードのマップを示す図である。
符号の説明
100 エンジン、200 変速機構、210 流体伝動機構、212 ロックアップクラッチ、214 ダンパー、220 前後進切換機構、232 プライマリプーリ、234 セカンダリプーリ、236 ベルト、290 入力軸、300 出力軸、400 ディファレンシャルギヤ、500 駆動輪、600 回転数センサ、700 加減速操作装置、800 エンジンECU、900 ECT_ECU、1000 シフト装置、3100 第1流量制御弁、3200 第2流量制御弁、3900,4000 ソレノイドバルブ、4800 調圧弁。

Claims (10)

  1. 溝幅が油圧アクチュエータによって変更可能な駆動側プーリと従動側プーリとにベルトが巻掛けられ、駆動側プーリの溝幅を前記油圧アクチュエータによって変更することにより変速を行なうベルト式無段変速機の制御装置であって、減速時においては前記駆動側プーリの溝幅が広がるように前記油圧アクチュエータへの指令値が出力され、前記指令値を制限することにより前記溝幅が広がる度合いが低くなり、
    少なくとも2種類の減速度に応じて設定された、前記油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、
    車両の減速度を検知するための検知手段と、
    前記検知された減速度に基づいて、前記指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む、制御装置。
  2. 前記記憶手段は、前記減速度が大きいほど、前記油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む、請求項1に記載の制御装置。
  3. 溝幅が油圧アクチュエータによって変更可能な駆動側プーリと従動側プーリとにベルトが巻掛けられ、駆動側プーリの溝幅を前記油圧アクチュエータによって変更することにより変速を行なうベルト式無段変速機の制御装置であって、減速時においては前記駆動側プーリの溝幅が広がるように前記油圧アクチュエータへの指令値が出力され、前記指令値を制限することにより前記溝幅が広がる度合いが低くなり、
    減速度および前記油圧アクチュエータの作動油の温度に応じて設定された、前記油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、
    車両の減速度を検知するための検知手段と、
    前記作動油の油温を検知するための検知手段と、
    前記検知された減速度および油温に基づいて、前記指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む、制御装置。
  4. 前記記憶手段は、前記減速度が大きいほど、前記油温が高いほど、前記油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む、請求項3に記載の制御装置。
  5. 溝幅が油圧アクチュエータによって変更可能な駆動側プーリと従動側プーリとにベルトが巻掛けられ、駆動側プーリの溝幅を前記油圧アクチュエータによって変更することにより変速を行なうベルト式無段変速機の制御装置であって、減速時においては前記駆動側プーリの溝幅が広がるように前記油圧アクチュエータへの指令値が出力され、前記指令値を制限することにより前記溝幅が広がる度合いが低くなり、
    減速度および車速に応じて設定された、前記油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、
    車両の減速度を検知するための検知手段と、
    前記車両の車速を検知するための検知手段と、
    前記検知された減速度および車速に基づいて、前記指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む、制御装置。
  6. 前記記憶手段は、前記減速度が大きいほど、前記車速が低いほど、前記油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む、請求項5に記載の制御装置。
  7. 溝幅が油圧アクチュエータによって変更可能な駆動側プーリと従動側プーリとにベルトが巻掛けられ、駆動側プーリの溝幅を前記油圧アクチュエータによって変更することにより変速を行なうベルト式無段変速機の制御装置であって、減速時においては前記駆動側プーリの溝幅が広がるように前記油圧アクチュエータへの指令値が出力され、前記指令値を制限することにより前記溝幅が広がる度合いが低くなり、
    減速度、前記油圧アクチュエータの作動油の温度および車速に応じて設定された、前記油圧アクチュエータへの指令値を制限する情報を記憶するための記憶手段と、
    車両の減速度を検知するための検知手段と、
    前記作動油の油温を検知するための検知手段と、
    前記車両の車速を検知するための検知手段と、
    前記検知された減速度、油温および車速に基づいて、前記指令値を制限する情報を取得するための取得手段とを含む、制御装置。
  8. 前記記憶手段は、前記減速度が大きいほど、前記油温が高いほど、前記車速が低いほど、前記油圧アクチュエータへの指令値を、より強く制限する情報を記憶するための手段を含む、請求項7に記載の制御装置。
  9. 前記ベルト式無段変速機と駆動源との間には、ロックアップクラッチを有する流体継手が設けられ、
    前記指令値を制限する情報は、前記ロックアップクラッチの状態に応じて変更される情報である、請求項1〜8のいずれかに記載の制御装置。
  10. 前記制御装置は、前記指令値を制限する情報に基づいて、前記油圧アクチュエータへ指令値を出力するための出力手段をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の制御装置。
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