JP3665910B2 - Cvt制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は自動車用無段変速機(CVT)の変速制御をマイクロコンピュータを用いて電子的に行うCVT制御装置に関し、特に車両走行性能(ドライバビリティ)を向上させたCVT制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTは、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUとを備え、CVTは、エンジン出力軸側の回転が伝達される一次側プーリと、一次側プーリの回転を車輪側に伝達する二次側プーリと、一次側プーリと二次側プーリとの間に張設された駆動ベルトとを有する。
【0003】
また、一次側プーリおよび二次側プーリは、それぞれ、固定プーリ部片と、固定プーリ部片の軸方向に対向配置された可動プーリ部片と、油圧サーボ手段により可動プーリ部片の移動量を調整する油圧駆動機構とを有し、固定プーリ部片と可動プーリ部片との間に設定される各実効径が連続可変となるように構成されている。
【0004】
さらに、油圧サーボ手段は、油圧源が発生する油圧を伝達トルクに応じて調圧して二次側プーリの油圧駆動機構に供給する二次側油圧制御弁と、二次側油圧を変速比に応じて調圧して一次側プーリの油圧駆動機構に供給する一次側油圧制御弁とを有する。
これにより、一次側油圧制御弁は、一次側プーリの油圧駆動機構と協動して一次側プーリの実効径を制御し、二次側油圧制御弁は、二次側プーリの油圧駆動機構と協動して二次側プーリの実効径を制御するようになっている。
【0005】
すなわち、可動プーリ部片を固定プーリ部片に対して軸方向に移動させることにより、一次側および二次側プーリの実効径が連続的に変化し、各プーリ間に張設された駆動ベルトの巻き付け半径が変化する。したがって、伝達トルクおよび変速比に応じて各油圧制御弁からの供給油圧を調圧することにより、CVTは、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達することができる。
【0006】
このとき、一次側油圧制御弁および二次側油圧制御弁は、マイクロコンピュータからなるECU(電子制御ユニット)によって制御される。すなわち、ECUは、エンジンおよび車両の運転状態を示す各種センサからの情報(車速やスロットル開度等)を入力し、運転条件に応じて適切な目標変速比を定め、CVTの変速比をフィードバック制御する。
なお、このようなCVT制御装置は、たとえば特開昭63−303258号公報に記載されている。
【0007】
また、エンジン出力軸と一次側プーリとの間に発進クラッチとしてたとえば電磁式クラッチを挿入し、電磁式クラッチとCVTとを組み合わせて使用する場合には、車両走行の各運転状態に応じて電磁式クラッチを最適制御し、望ましい車両走行性能(ドライバビリティ)を得るようにしている。
【0008】
すなわち、電磁式クラッチに対する制御モードのうち、定常走行状態として、少なくとも逆励磁モード、発進モード、ドラッグモードおよびアクセル踏込み状態に応じた2種類の直結モードを有し、各セレクト位置および走行状態を判定する種々のセンサ信号等に基づいて、いずれのモードであるか判定して電磁式クラッチの励磁電流を制御している。
このような電磁式クラッチの伝達トルクを制御するCVT制御装置は、たとえば特開昭60−161224号公報に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のCVT制御装置は以上のように、CVTの目標変速比を算出するために数種類の目標変速比マップを有し、運転者がそのマップをシフトのセレクト位置等によって切り換えることにより、登坂路や降坂路等に対応させる必要があるという問題点があった。
【0010】
また、たとえば坂道用マップを選択したときでも、実際の道路勾配に適応した変速比が得られないので、場合によっては必要以上にFL(Full Low:全ローギア)側に変速し、その結果、走行燃費の悪化や、エンジン音の増大、必要以上のエンジンブレーキによるドライバビリティの悪化等を招くおそれがあるという問題点があった。
【0011】
さらに、CVTと協動するクラッチ制御機能を具備した場合、登坂路での発進時においては、クラッチ直結状態になるまでの時間が長くなることから、摩擦によりクラッチ損傷が大きくなってしまい、降坂路での惰行発進時などにおいては、クラッチ直結状態になるまでエンジンブレーキが効かないという状態が長くなるという問題点があった。
【0012】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、道路勾配に応じて目標変速比を適正に設定し、登坂性能を向上させるとともに、降坂時に適度のエンジンブレーキを得ることにより、ドライバビリティを向上させたCVT制御装置を得ることを目的とする。
【0013】
また、この発明は、クラッチ制御機能を具備した場合に、登坂時のクラッチ損傷を抑制するとともに、降坂時発進後のエンジンブレーキの効きを早くすることにより、ドライバビリティを向上させたCVT制御装置を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るCVT制御装置は、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUと、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段とを備え、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、配分率決定手段は、少なくともアクセルおよびブレーキの各踏込量情報に基づいて配分率を変化させるものである。
【0016】
また、この発明の請求項2に係るCVT制御装置は、請求項1において、配分率決定手段は、アクセルを踏み込んでいる間は配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させるものである。
【0017】
また、この発明の請求項3に係るCVT制御装置は、請求項1において、配分率決定手段は、ブレーキを踏み込んでいる間は配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させるものである。
【0018】
また、この発明の請求項4に係るCVT制御装置は、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUと、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段とを備え、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、道路勾配推定手段は、CVTが搭載された車両の走行距離に応じて、道路勾配の推定値を平均化させるものである。
【0020】
また、この発明の請求項5に係るCVT制御装置は、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUとを備えたCVT制御装置において、エンジン出力軸と車輪との間に介在された発進クラッチと、運転状態に応じて発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段とをさらに備え、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、クラッチ制御手段は、道路勾配に応じて発進クラッチを直結制御するとともに、道路勾配が上り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御するものである。
【0021】
また、この発明の請求項6に係るCVT制御装置は、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUとを備えたCVT制御装置において、エンジン出力軸と車輪との間に介在された発進クラッチと、運転状態に応じて発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段とをさらに備え、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、クラッチ制御手段は、道路勾配に応じて発進クラッチを直結制御するとともに、道路勾配が下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御するものである。
【0022】
【作用】
この発明の請求項1においては、CVTの入力側および出力側の回転速度の比に基づいて実変速比を演算し、少なくともエンジン負荷量要求値および車速に基づいて目標変速比を逐次決定し、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定し、道路勾配に応じて平地用および坂道用の各目標変速比の中間値となる配分率を決定し、配分率に応じてCVTの最終的な目標変速比を決定し、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する。
これにより、運転者が平地用変速比や坂道用変速比を選択する必要もなく、道路勾配に応じて自動的に適正な変速比が得られ、ドライバビリティは向上する。すなわち、登坂路においては加速性能を維持しながら低騒音および低燃費を実現し、降坂時には適度なエンジンブレーキを得る。
また、少なくともアクセルおよびブレーキの各踏込量情報に基づいて配分率を変化させる。すなわち、基本的な目標変速比に対し、スロットル開度およびアクセルを踏み込んでいる時間やブレーキを踏んでいる時間に応じて、平地用目標変速比と坂道用目標変速比との中間値を決定する配分率に補正をかける。これにより、ドライバの意志に沿った変速比が得られ、ドライバビリティが向上する。
【0024】
また、この発明の請求項2においては、登坂路でアクセルを深く踏み込んでいる(加速したい)間は、配分率を坂道用目標変速比に近づけるように変化させ、必要な加速度が得られるように変速比をFL(フルロー)側へ移動させる。これにより、ドライバの意志に沿った変速比が得られ、ドライバビリティが向上する。
【0025】
また、この発明の請求項3においては、降坂路でブレーキを踏み込んでいる間は、配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させ、ブレーキの踏み込み時間に応じて必要なエンジンブレーキが得られるように変速比をFL側へ移動させる。これにより、ドライバの意志に沿った変速比が得られ、ドライバビリティが向上する。
【0026】
また、この発明の請求項4においては、CVTが搭載された車両の走行距離に応じて、道路勾配の推定値を平均化させる。これにより、道路勾配の推定値の信頼性を向上させる。
【0028】
また、この発明の請求項5においては、エンジン出力軸と車輪との間に介在された発進クラッチの直結状態を道路勾配に応じて制御する。すなわち、道路勾配に応じてクラッチが直結状態になる車速を変化させる。また、道路勾配が上り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御する。すなわち、登坂路での発進において、クラッチを直結状態にする車速を低くすることにより、早めに直結状態となりクラッチ損傷を抑制することができる。
【0029】
また、この発明の請求項6においては、道路勾配が下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御する。すなわち、降坂路での発進においてもクラッチを直結状態にする車速を低くすることにより、空走時間を短くしてエンジンブレーキを早く効かせることができる。
【0030】
【実施例】
実施例1.
以下、この発明の実施例1を図について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施例1を示すブロック図であり、1は機関本体となるエンジン、2はエンジン1の回転トルクを出力するエンジン出力軸、3はエンジン出力軸2に設けられたクラッチ、3aはクラッチ3内の励磁コイル、8はクラッチ3を介してエンジン出力軸2の回転トルクが伝達されるCVT、10はCVT8の回転出力が伝達される作動装置、11は作動装置10を介して駆動される車輪すなわち駆動輪である。
【0031】
エンジン1の回転は、エンジン出力軸2およびクラッチ3を介してCVT8に伝達され、CVT8において無段階に変速された後、作動装置10を介して駆動輪11に伝達されるようになっている。
なお、CVT8は、以下の要素4〜7および9により構成されている。
【0032】
4はクラッチ3の回転出力により回転駆動する入力軸である。
5は入力軸4を介してエンジン出力軸2側の回転が伝達される一次側プーリであり、入力軸4と一体に回転する固定プーリ部片5aと、固定プーリ部片5aの軸方向に移動可能に対向配置された可動プーリ部片5bと、油圧サーボ手段(後述する)により可動プーリ部片5bの移動量を調整する油圧シリンダ(油圧駆動機構)5cとからなり、固定プーリ部片5aと可動プーリ部片5bとの間に設定される実効径は、変速比に応じて連続可変となるように構成されている。
【0033】
6は一次側プーリ5と二次側プーリ(後述する)との間に張設された駆動ベルトであり、一次側プーリ5から二次側プーリに回転トルクを伝達するようになっている。
7は駆動ベルト6を介して一次側プーリ5とともに回転する二次側プーリであり、一次側プーリ5の回転を駆動輪11側に伝達するようになっている。
【0034】
二次側プーリ7は、固定プーリ部片7aと、固定プーリ部片7aの軸方向に移動可能に対向配置された可動プーリ部片7bと、油圧サーボ手段(後述する)により可動プーリ部片7bの移動量を調整する油圧シリンダ(油圧駆動機構)7cとからなり、固定プーリ部片7aと可動プーリ部片7bとの間に設定される実効径は、伝達トルクに応じて連続可変となるように構成されている。各プーリ5および7は、それぞれ同様に、互いに平行な一対の部片からなる。
9は二次側プーリ7の固定プーリ部片7aと一体に回転する出力軸である。
【0035】
12は油圧シリンダ5cおよび7cを駆動するための油圧源となる油ポンプである。
13は油圧源12が発生する油圧を伝達トルクに応じて調圧して二次側プーリ7の油圧シリンダ7cに供給する二次側油圧制御弁、14は二次側油圧を変速比に応じて調圧して一次側プーリ5の油圧シリンダ5cに供給する一次側油圧制御弁であり、これらはCVT8の変速比を調整するための油圧サーボ手段を構成している。
【0036】
一次側油圧制御弁14は、油圧シリンダ5cと協動して一次側プーリ5の実効径(駆動ベルト6の巻き付け半径)を制御し、同様に二次側油圧制御弁13は、油圧シリンダ7cと協動して二次側プーリ7の実効径を制御するようになっている。
【0037】
すなわち、各プーリ5および7において、可動プーリ部片5bおよび7bを固定プーリ部片5aおよび7aに対して軸方向に移動させることにより、各プーリ5および7の実効径(駆動ベルト6の巻き付け半径)が連続的に変化する。したがって、伝達トルクおよび変速比に応じて各油圧制御弁13および14からの供給油圧を調圧することにより、CVT8は、エンジン出力軸2の回転を無段階に変速して駆動輪11に伝達することができる。
【0038】
19はエンジン1の吸気管に設けられたスロットル弁であり、アクセル踏込量に応動してエンジン1に対する吸入空気量を調節するようになっている。
20はエンジン1の運転状態に応じて車載要素全体を制御するECUであり、たとえば、エンジン1および車両の運転状態を示す各種センサ情報(後述する)に応じて適切な目標変速比を定め、各油圧制御弁13および14を電子的に制御してCVT8の変速比をフィードバック制御するようになっている。
【0039】
21はスロットル弁19の開度θ(負荷量要求値に相当)を検出するスロットル開度検出器であり、エンジン1の負荷量要求値検出器としても機能する。
22はエンジン1のインテークマニホールド内のブースト圧Pbを検出する圧力検出器、23はエンジン出力軸2の回転速度Ne(エンジン回転数に相当)を検出する回転検出器、24はCVT8の入力軸4(一次側プーリ5)の回転速度Npを検出する回転検出器、25はCVT8の出力軸9(二次側プーリ7)の回転速度Ns(車速Vsに相当)を検出する回転検出器である。
【0040】
26はブレーキの踏み込み状態を検出してブレーキ信号Bを出力するブレーキスイッチ、27は変速比切換を行うシフトレバーの位置を検出して変速信号Gを出力するシフトレバースイッチ、28はスロットル弁19を操作するアクセルの開放状態を検出してアクセル開放信号αを出力するアクセルスイッチである。
【0041】
以上の各検出器21〜25および各スイッチ26〜28は、エンジン1の運転状態を検出するための各種センサを構成しており、スロットル弁19の開度θ、ブースト圧Pb、エンジン出力軸2の回転速度Ne、入力軸4の回転速度Np、出力軸9の回転速度Ns、アクセル開放信号α、ブレーキ信号Bおよび変速信号Gは、運転情報を示す各種センサ信号としてECU20に入力されている。
【0042】
ECU20は、種々の演算処理を行うMPU20aと、MPU20aに属するメモリ20bと、ECU20内の各要素とMPU20aとを結合するバスライン20cと、バスライン20cを介して互いに接続されている入力ポート20dおよび出力ポート20eとを含んでいる。
【0043】
入力ポート20dは、各種センサ信号θ、Pb、Ne、Np、Ns、α、BおよびGを取り込んでMPU20aに入力する。MPU20aは、メモリ20bに予め記憶されたプログラムに基づいて各種センサ信号を処理し、クラッチ3、一次側油圧制御弁14および二次側油圧制御弁13に対する各駆動信号Ic、IpおよびIsを演算する。出力ポート20eは、演算された各駆動信号Ic、IpおよびIsを、それぞれ、クラッチ3、一次側油圧制御弁14および二次側油圧制御弁13に出力する。
【0044】
図2は図1内のECU20の具体的構成を示す機能ブロック図であり、3、8および21〜26は前述と同様のものである。
30はブースト圧Pbおよびエンジン回転数(回転速度)Neに基づいてエンジントルクTe(実負荷量に相当)を求めるエンジントルク演算手段であり、エンジン1の実負荷量検出手段としても機能する。
【0045】
31はCVT8の入力側の回転速度Npと出力側の回転速度Nsとの比に基づいてCVT8の実変速比Rを演算する実変速比演算手段であり、実変速比Rは、Np/Nsで表わされる。
32は少なくともエンジントルクTe(実負荷量)に基づいて道路勾配SLPを推定演算する道路勾配演算手段(道路勾配推定手段)であり、CVT8の出力側の回転速度Nsと、実変速比Rと、エンジントルクTeとに基づいて道路勾配SLPを推定演算する。また、たとえば、道路勾配演算手段32は、CVT8が搭載された車両の走行距離(数m〜10数m)に応じて、道路勾配SLPの値を平均化させるようになっており、外乱等の影響を除去して信頼性を向上させるとともに、従来の時間平均処理では得られない独立の車速応答性を与えている。
【0046】
33は少なくとも道路勾配SLPに応じて平地用目標変速比R2と坂道用目標変速比R1との比例配分率(ここでは、配分率として比例配分を用いた)PALを決定する比例配分率演算手段(配分率決定手段)であり、スロットル開度θと、CVT8の出力側の回転速度Ns(車速Vs)と、ブレーキ信号Bと、道路勾配SLPとに応じて比例配分率PALを決定する。
【0047】
たとえば、比例配分率演算手段33は、少なくともアクセルおよびブレーキの各踏込量情報(アクセル開放信号αおよびブレーキ信号B等)に基づいて、比例配分率PALを変化させるようになっている。
また、比例配分率演算手段33は、アクセルを踏み込んでいる間、またはブレーキを踏み込んでいる間は、比例配分率PALを坂道用目標変速比R1に近づけるように変化させるようになっている。
【0048】
34はCVT出力側の回転速度Nsおよびスロットル開度θに基づいて坂道用目標変速比R1を演算する坂道用目標変速比演算手段、35はCVT出力側の回転速度Nsおよびスロットル開度θに基づいて平地用目標変速比R2を演算する坂道用目標変速比演算手段、36は各目標変速比R1およびR2ならびに比例配分率PALに基づいて最終的な目標変速比RSを演算するための目標変速比演算手段である。
【0049】
各目標変速比演算手段34〜36は、少なくともスロットル開度θ(負荷量要求値)と二次側プーリ7の回転速度Nsに対応した車速Vsとに基づいて、CVT8の目標変速比RSを逐次決定する目標変速比決定手段を構成している。
また、目標変速比演算手段36は、比例配分率PALに応じてCVT8の目標変速比RSを補正するための目標変速比補正手段を含んでいる。
【0050】
37は実変速比Rが目標変速比RSに一致するように一次側油圧制御弁14を制御する変速比制御手段であり、一次側油圧制御弁14および二次側油圧制御弁13に対する各駆動信号IpおよびIsを出力する。
39はCVT出力側の回転速度Nsと道路勾配SLPに基づいてクラッチ制御モードMを決定するクラッチ制御モード決定手段、40はクラッチ制御モードMに応じてクラッチ3に対する駆動信号Icを出力するクラッチ制御信号であり、これらはECU20内のMPU20aによって構成される。
【0051】
次に、図3〜図6を参照しながら、図1および図2に示したこの発明の実施例の動作について説明する。
まず、CVT8に関する基本的動作について説明する。
CVT8の各プーリ5および7のうち、固定プーリ部片5aおよび7aは、入力軸4および出力軸9にそれぞれ固定されて回転し、可動プーリ部片5bおよび7bは、入力軸4および出力軸9にそれぞれ相対回転不能かつ軸方向に移動可能に設けられて回転する。
【0052】
入力軸4および出力軸9にそれぞれ設けられた一次側油圧シリンダ5cおよび二次側油圧シリンダ7cは、各プーリ5および7のV溝幅を小さくする方向の推力を付与する。このとき、一次側油圧シリンダ5cの受圧面積は、二次側油圧シリンダ7cの受圧面積より大きく設定され、可動プーリ部片5bおよび7bを移動する油圧アクチュエータとして機能する。
これにより、一次側プーリ5および二次側プーリ7における伝動ベルト6が巻き付く部分の半径の比率が変化し、無段変速が実現する。
【0053】
油ポンプ12は、エンジン1により駆動され、オイルタンク17に戻された作動油を、油路15を介して二次側油圧シリンダ7cに圧送するとともに、油路15から二次側油圧制御弁13を介して一次側油圧制御弁14に圧送する。
二次側油圧制御弁13は、通常、マイクロコンピュータによって構成されるECU20からの駆動信号Isにしたがって駆動され、油路15の作動油を戻り油路18に流出させて、油路15の油圧すなわち二次側油圧Psを調圧する。
【0054】
また、一次側油圧制御弁14は、油路16の油圧がECU20からの駆動信号Ipに対応する油圧よりも高ければ、油路16の作動油を戻し油路18に流出させて降圧する。逆に、油路16の油圧が駆動信号Ipに対応する油圧よりも低ければ、油路15の作動油を油路16に流入させて昇圧させる。これにより、駆動信号Ipにしたがって、油路16の油圧すなわち一次側油圧Ppを調圧する。
【0055】
次に、図3を参照しながら、各目標変速比演算手段34および35の動作について説明する。
図3はCVT出力側の回転速度Nsに対する目標一次側回転速度Nprの変化を示す特性図であり、フルローからオーバードライブまでの範囲内での変化をスロットル開度θ(0%〜100%)をパラメータとして示している。
【0056】
坂道用目標変速比演算手段34および平地用目標変速比演算手段35は、図3に示すような目標一次側回転速度Nprの特性データをあらかじめ記憶しており、この特性に基づいて各目標変速比R1およびR2を求める。
すなわち、スロットル開度θとCVT出力回転速度Ns(車速Vsに対応)との関係から目標一次側回転速度Nprを求め、これをその時点でのCVT出力側の回転速度Nsで除算した値を、定常状態での各変速比目標値R1およびR2として決定する。
【0057】
また、図3のような特性データは運転状態に応じて複数個用意されており、シフトレバースイッチ27の位置(たとえば、「R:後退駆動」、「N:ニュートラル」、「D:前進駆動」、「L:ロー」等)により選択される。また、これらの中から、坂道用目標変速比R1および平地用目標変速比R2として、任意の2つを割り当ててもよい。たとえば、坂道用目標変速比R1として「L:ロー」の目標変速比を割り当て、平地用目標変速比R2として「D:前進駆動」の目標変速比を割り当てることができる。
【0058】
次に、図4を参照しながら、道路勾配演算手段32の動作について説明する。図4はエンジン回転数NeとエンジントルクTeとの関係を示す特性図であり、ブースト圧Pb(500mmHg〜1300mmHg)をパラメータとしている。
まず、道路勾配演算手段32は、図4のような特性データからエンジントルクTeを求め、以下の式(1)により道路勾配SLP1を演算する。
【0059】
SLP1=Te・iRη/(rMg)−A・Vs2/(Mg)−(dVs/dt)/g−μr …(1)
【0060】
但し、式(1)において、iは減速比、Rは実変速比、ηはCVT8と減速機(作動装置10に含まれる)との動力伝達効率、rは駆動輪11のタイヤ半径、Mは車両の総重量、gは重力加速度、Vsは車速(CVT出力側の回転速度Nsに相当)、Aは空気抵抗係数、μは転がり抵抗である。
道路勾配演算手段32は、式(1)で求めた道路勾配SLP1を時間平均した後に、さらに距離で平均したものを道路勾配SLPとする。
【0061】
次に、図5を参照しながら、クラッチ3の動作について説明する。図5はクラッチ3が電磁式の場合の制御モード分類をまとめて示す説明図である。
エンジン出力軸2と車輪11との間に介在されたクラッチ3は、発進クラッチからなり、ECU20内のクラッチ制御手段40は、運転状態に応じた駆動信号Icを出力することにより、発進クラッチ3の接続状態を制御するようになっている。たとえば、クラッチ制御手段40は、道路勾配SLPに応じて発進クラッチ3を直結制御し、道路勾配SLPが上り坂または下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチ3を直結制御する。
【0062】
また、この場合、クラッチ3は、たとえば電磁式クラッチであり、ECU20からの駆動信号Icにしたがって伝達トルクをゼロから最大値まで変えることにより、遮断状態、半クラッチ(スリップ)状態および直結状態でそれぞれ機能する。
【0063】
すなわち、クラッチ3は、図5に示すように、エンジン回転数Ne、シフトレバースイッチ27からの変速信号G、アクセルスイッチ28からのアクセル開放信号α(開放状態か踏込み状態かを示す)、および車速Vsに応じて、5種類の制御モードの中から該当するモードが選択される。
また、実際には、各モード間の移動の際に過渡モードが存在しており、ショックの軽減等が計られている。
【0064】
ここで、図5内の各制御モードについて説明する。
まず、逆励磁モード(逆励磁領域)においては、励磁コイル3aに通常とは逆向きの電流を流し、クラッチ3のトルクを極小値とする。これは、電流に対するトルク特性のヒステリシスを考慮したもので、逆向きの電流を流すことによって残留磁気を取り除いている。
また、零モード(零領域)においては、励磁電流を零とする。これは、通常のクラッチ3のOFF状態に相当するモードである。
【0065】
また、アクセルスイッチ28が開放状態であって停止を含む極低速域においては、ドラッグモード(ドラッグ領域)となり、ドラッグ電流が励磁コイル3aに流れて、微少なドラッグトルクを生じる。これにより、CVT8におけるギヤのガタ詰め、駆動ベルト6の部分の静摩擦トルクの低減を行い、スムーズな発進を可能とする。
このときのドラッグ電流は、車速Vsが高くなるほど減少し、エンジン回転数Neが正常アイドル回転数以下に低下した場合にも、ドラッグ電流を減らす方向に補正される。
【0066】
また、直結モード(直結領域)は、通常のクラッチ3のON状態に相当するモードであり、所定の励磁電流を励磁コイル3aに与え、クラッチ3の係合がロックアップされる。
このときの直結電流は、アクセル踏込み時よりアクセル開放時の方が低く設定され、アクセル開放時の直結電流は、エンジンブレーキが働く限界近くのクラッチトルクとなるように設定される。
さらに、発進モード(発進領域)においては、発進時に要求される伝達トルクに見合うように、所定の演算式に基づいて励磁電流を制御する。
【0067】
次に、図6および図7を参照しながら、ECU20内の比例配分率演算処理およびCVT8の制御動作について説明する。
図6は道路勾配SLPと比例配分率PALとの関係を示す特性図、図7は比例配分率PALの補正量PHSを算出する処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0068】
比例配分率演算手段33は、図6のような特性データに基づいて、基本となる比例配分率PAL1を求め、それに下記の補正値PHSを加えて最終の比例配分率PALを決定する。
まず、図7内のステップS1において、道路勾配SLPが上り勾配判定値(上り制御判定値)以上か否かを判定する。
【0069】
もし、道路勾配SLPが上り勾配判定値よりも小さく、上り勾配でない(すなわち、NO)と判定されれば、続いて、ステップS2において、道路勾配SLPが下り勾配判定値(下り制御判定値)以下か否かを判定する。
もし、道路勾配SLPが下り勾配判定値よりも大きく、下り勾配でもない(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS3において、比例配分率PALの補正量(比例配分補正量)PHSをデクリメントする。以下、ステップS3を通過する毎に、比例配分補正量PHSは、1づつ0まで減算される。
【0070】
続いて、ステップS4において、道路勾配SLPと比例配分率PALとの関係(図3)から求められた基本比例配分率PAL1に、比例配分補正量PHSを加算し、以下の式(2)により最終的な比例配分率PALを求める。
【0071】
PAL=PAL1−PHS …(2)
【0072】
一方、ステップS1において道路勾配SLPが上り勾配(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS5以降により上り勾配時の処理を行う。
すなわち、ステップS5において、スロットル開度θが補正開始判定値以上か否か(すなわち、加速する意志があるか否か)を判定する。
【0073】
もし、スロットル開度θが補正開始判定値以上(すなわち、YES)と判定されれば、運転者に加速意志があるものとみなし、目標変速比RSをFL側へ移行させるために、ステップS6において、比例配分補正量PHSをインクリメントする。以下、処理が繰り返される毎に、比例配分補正量PHSは、1づつ256まで加算される。
【0074】
また、ステップS5においてスロットル開度θが補正開始判定値よりも小さい(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS7に進み、スロットル開度θが補正終了判定値よりも小さいか否かを判定する。
もし、スロットル開度θが補正終了判定値よりも小さい(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、ステップS8において、ブレーキ信号Bを読み込み、ブレーキOFF状態か否かを判定する。
【0075】
もし、ブレーキ信号BがブレーキOFF状態(すなわち、YES)を示せば、続いて、ブレーキOFF状態が継続して一定時間(判定時間)が経過したか否かを判定する。
もし、判定時間が経過した(すなわち、YES)と判定されれば、前述のステップS3と同様のステップS10において、比例配分補正量PHSをデクリメントする。
【0076】
すなわち、スロットル開度θが小さく且つブレーキOFF(解除)の状態を一定時間検出したときには、比例配分補正量PHSを処理毎に1づつ0まで減算する。
また、ステップS7〜S9のうちのいずれかの条件が不成立(すなわち、NO)と判定されたときには、直ちにステップS4に進み、比例配分補正量PHSを前回値のままに保持する。
【0077】
一方、ステップS2において道路勾配SLPが下り勾配(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS11以降の下り勾配時の処理を行う。
すなわち、まず、ステップS11において、車速Vsが補正終了判定値よりも小さいか否かを判定する。
【0078】
もし、車速Vsが補正終了判定値よりも小さい(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS3と同様のステップS16において、比例配分補正量PHSを1づつ0までデクリメントした後、ステップS4に進む。
また、車速Vsが補正終了判定値以上(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS12において、ブレーキ信号Bを参照してブレーキONか否かを判定する。
【0079】
もし、ブレーキが踏み込まれていて、ブレーキ信号BがブレーキON(すなわち、YES)を示せば、続いて、ステップS13において、車速Vsが補正開始判定値以上か否かを判定する。
もし、車速Vsが補正開始判定値以上(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS6と同様のステップS14において、比例配分補正量PHSを処理毎に1から256までインクリメントした後、ステップS4に進む。
【0080】
また、車速Vsが補正開始判定値よりも小さい(すなわち、NO)と判定されれば、直ちにステップS4に進み、比例配分補正量PHSを前回値のままに保持する。
一方、ステップS12においてブレーキOFF(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS15に進み、スロットル弁19が開いているか否かを判定する。
【0081】
もし、スロットル弁19が開いている(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS16において比例配分補正量PHSを処理毎に1づつ0までデクリメントする。また、スロットル弁が閉じている(すなわち、NO)と判定されれば、直ちにステップS4に進み、比例配分補正量PHSを前回値に保持する。
【0082】
こうして、各ステップS3、S6、S10、S14およびS16により比例配分補正量PHSの値の演算が終わると、また、各ステップS7〜S9、S13およびS15においてNOと判定されると、ステップS4に進み、道路勾配SLPおよび比例配分率PALから求めた基本比例配分率PAL1に、比例配分補正量PHSを加算し、最終的な比例配分率PALを求める。
【0083】
続いて、目標変速比演算手段36は、坂道用目標変速比演算手段34で演算された坂道用目標変速比R1と、平地用目標変速比演算手段35で演算された平地用目標変速比R2とを、比例配分率演算手段33で求められた比例配分率PALを用いて、以下の式(3)により最終的な目標変速比RSを求める。
【0084】
RS=R1×(1−PAL)+R2×PAL…(3)
【0085】
式(3)から、目標変速比RSは、比例配分率PALが大きくなるほど平地用目標変速比R2に近い値となり、比例配分率PALが小さくなるほど坂道用目標変速比R1に近い値となる。
【0086】
たとえば、道路勾配SLPが上りを示し、且つアクセルが踏み込まれてスロットル開度θが大きい場合、ステップS1およびS5の判定結果がYESとなり、ステップS6において比例配分補正量PHSがインクリメントされるため、ステップS4により得られる比例配分率PALは小さくなる。したがって、この場合、式(3)から得られる目標変速比RSは、坂道用目標変速比R1に近づくことになる。
【0087】
また、道路勾配SLPが平地を示す場合、ステップS2の判定結果がYESとなり、ステップS3において比例配分補正量PHSがデクリメントされるため、比例配分率PALは大きくなる。したがって、目標変速比RSは、平地用目標変速比R2に近づくことになる。
以下、変速比制御手段37は、目標変速比RSに実変速比Rが追従するように、一次側油圧制御弁14に対して駆動信号Ipを出力する。
【0088】
次に、図8を参照しながら、ECU20内のクラッチ制御処理動作について説明する。図8はクラッチ直結車速を決定する処理ルーチンを示すフローチャートであり、S1およびS2は前述と同様のステップである。
この場合、クラッチ制御モード決定手段39は、エンジン回転数Ne、シフトレバースイッチ27の位置、アクセル開放信号αおよび車速Vsに応じて、クラッチ制御モードを決定するが、道路勾配SLPに応じて、直結モード判定車速を決定する。
【0089】
まず、図8内のステップS1において、道路勾配SLPが上り制御判定値以上か否かを判定し、もし、道路勾配SLPが上り制御判定値よりも小さい(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS2において、道路勾配SLPが下り制御判定値以下か否かを判定する。
【0090】
もし、道路勾配SLPが下り制御判定値よりも大きい(すなわち、NO)と判定されれば、道路勾配SLPはほぼ平地に近い状態であり、ステップS23において、クラッチ直結車速のダウン設定状態を解除することにより、直結モードへの移行判定車速を通常(平地走行制御時)の車速に戻す。
すなわち、車速Vsが所定車速に達するまではクラッチ3をスリップ制御状態とし、所定車速に達した時点で直結状態にすることになる。
【0091】
一方、ステップS1において道路勾配SLPが上り制御判定値以上(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS24に進み、上り制御時の直結車速(平地制御時の車速よりも低い)をクラッチ直結車速として更新設定することにより、直結モードへの移行判定車速を下げる。
すなわち、道路勾配SLPが大きい上り勾配のときには、車速が低い時点でクラッチ3を直結状態とし、スリップによるクラッチ3の損傷を防止する。
【0092】
また、ステップS2において道路勾配SLPが下り制御判定値以下(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS25に進み、下り制御時の直結車速(平地制御時の車速よりも低い)をクラッチ直結車速として更新設定することにより、直結モードへの移行判定車速を下げる。
この場合、低い車速でクラッチ3が直結状態となるので、空走時間を短くしてエンジンブレーキを早く効かせることができる。
【0093】
実施例2.
なお、上記実施例1では、CVT8を制御する目標変速比RSを決定するための配分率として比例配分率PALを用いたが、他の演算パターンにまたはマップ演算等に基づく配分率を用いてもよい。
また、比例配分率PALをアクセルおよびブレーキの操作状態に応じて補正したが、他の運転状態に応じて補正してもよい。
【0094】
実施例3.
また、道路勾配SLPに応じて、クラッチ3を直結制御する車速を下げたが、他の運転状態に応じて直結車速を変更してもよい。
さらに、CVT8として、駆動ベルト6を用いたベルト式のものを例にとって説明したが、たとえば、トロイダル式のものを適用することもできる。
【0095】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUと、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段とを備え、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、平地および坂道を通して運転者のシフトレバー操作を必要とせずに最適の変速比を得るようにしたので、道路勾配に応じた適正な目標変速比によりドライバビリティおよび登坂性能等を向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
また、配分率決定手段は、少なくともアクセルおよびブレーキの各踏込量情報に基づいて配分率を変化させ、平地用目標変速比と坂道用目標変速比との中間値を決定する配分率に補正をかけるようにしたので、ドライバの意志に沿った変速比によりドライバビリティを向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
【0097】
また、この発明の請求項2によれば、請求項1において、配分率決定手段は、アクセルを踏み込んでいる間は配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させ、必要な加速度が得られるように変速比をFL側へ移動させるようにしたので、ドライバの意志に沿った変速比によりドライバビリティを向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
【0098】
また、この発明の請求項3によれば、請求項1において、配分率決定手段は、ブレーキを踏み込んでいる間は配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させ、ブレーキの踏み込み時間に応じて必要なエンジンブレーキが得られるように変速比をFL側へ移動させるようにしたので、ドライバの意志に沿った変速比によりドライバビリティを向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
【0099】
また、この発明の請求項4によれば、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUと、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段とを備え、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、道路勾配推定手段は、CVTが搭載された車両の走行距離に応じて、道路勾配の推定値を平均化させるようにしたので、道路勾配の信頼性を向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
【0101】
また、この発明の請求項5によれば、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUとを備えたCVT制御装置において、エンジン出力軸と車輪との間に介在された発進クラッチと、運転状態に応じて発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段とをさらに備え、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、クラッチ制御手段は、道路勾配に応じて発進クラッチを直結制御し、道路勾配に応じてクラッチが直結状態になる車速を変化させるようにしたので、坂道におけるドライバビリティをさらに向上させたCVT制御装置が得られる効果がある。
また、クラッチ制御手段は、道路勾配が上り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御するようにしたので、登坂時のクラッチ損傷を抑制したCVT制御装置が得られる効果がある。
【0102】
また、この発明の請求項6によれば、エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、エンジンの運転状態に応じて油圧サーボ手段を制御するECUとを備えたCVT制御装置において、エンジン出力軸と車輪との間に介在された発進クラッチと、運転状態に応じて発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段とをさらに備え、CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、ECUは、各回転速度の比に基づいてCVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、運転状態に基づいてエンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、運転状態に基づいてエンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、少なくとも負荷量要求値とCVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、実変速比が目標変速比に一致するように油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、少なくとも実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、少なくとも道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段とを含み、目標変速比決定手段は、配分率に応じてCVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、クラッチ制御手段は、道路勾配に応じて発進クラッチを直結制御するとともに、道路勾配が下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御するようにしたので、道路勾配が下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で発進クラッチを直結制御するようにしたので、空走時間を短くしてエンジンブレーキを早く効かせることができ、下り坂でのエンジンブレーキの多用化により安全性を確保したCVT制御装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1を含むエンジン制御システム全体を概略的に示す構成図である。
【図2】 図1内のECUの機能構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施例1による目標変速比決定のためのCVT出力回転速度と目標一次側回転速度との関係(マップ例)を示す特性図である。
【図4】 この発明の実施例1によるエンジントルク演算のためのエンジン回転数とエンジントルクとの関係(マップ例)を示す特性図である。
【図5】 この発明の実施例1による電磁式クラッチの各制御モードの領域をマトリクス的に示す説明図である。
【図6】 この発明の実施例1による比例配分率決定のための道路勾配と比例配分率との関係(マップ例)を示す特性図である。
【図7】 この発明の実施例1による目標変速比決定処理動作を示すフローチャートである。
【図8】 この発明の実施例1によるクラッチ直結車速の決定処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン、2 エンジン出力軸、3 クラッチ、5 一次側プーリ、5a、7a 固定プーリ部片、5b、7b 可動プーリ部片、5c、7c 油圧シリンダ(油圧駆動機構)、6 駆動ベルト、7 二次側プーリ、8 CVT、11車輪、12 油ポンプ(油圧源)、13 二次側油圧制御弁、14 一次側油圧制御弁、19 スロットル弁、20 ECU、21 スロットル開度検出器、22 圧力検出器、23〜25 回転検出器、26 ブレーキスイッチ、27 シフトレバースイッチ、28 アクセルスイッチ、30 エンジントルク演算手段、31 実変速比演算手段、32 道路勾配演算手段(道路勾配推定手段)、33 比例配分率演算手段、34 坂道用目標変速比演算手段、35 平地用目標変速比演算手段、36 目標変速比演算手段、37 変速比制御手段、39 クラッチ制御モード決定手段、40 クラッチ制御手段、B ブレーキ信号、G変速信号、Ic、Ip、Is 駆動信号、Ne エンジン回転速度、Np CVTの一次側回転速度、Ns CVTの二次側回転速度、PAL 比例配分率、Pb ブースト圧、Pp 一次側油圧、Ps 二次側油圧、R 実変速比、R1坂道用目標変速比、R2 平地用目標変速比、RS 目標変速比、SLP 道路勾配、Te エンジントルク(実負荷量)、Vs 車速、α アクセル開放信号、θ スロットル開度(負荷量要求値)。
Claims (6)
- エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、
前記CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、
エンジンの運転状態に応じて前記油圧サーボ手段を制御するECUと
を備えたCVT制御装置において、
前記CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記ECUは、
前記各回転速度の比に基づいて前記CVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、
少なくとも前記負荷量要求値と前記CVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、前記CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、
前記実変速比が前記目標変速比に一致するように前記油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、
少なくとも前記実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、
少なくとも前記道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段と
を含み、
前記目標変速比決定手段は、前記配分率に応じて前記CVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、
前記配分率決定手段は、少なくともアクセルおよびブレーキの各踏込量情報に基づいて、前記配分率を変化させることを特徴とするCVT制御装置。 - 前記配分率決定手段は、前記アクセルを踏み込んでいる間は前記配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させることを特徴とする請求項1に記載のCVT制御装置。
- 前記配分率決定手段は、前記ブレーキを踏み込んでいる間は前記配分率を坂道用の目標変速比に近づけるように変化させることを特徴とする請求項1に記載のCVT制御装置。
- エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、
前記CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、
エンジンの運転状態に応じて前記油圧サーボ手段を制御するECUと
を備えたCVT制御装置において、
前記CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記ECUは、
前記各回転速度の比に基づいて前記CVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、
少なくとも前記負荷量要求値と前記CVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、前記CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、
前記実変速比が前記目標変速比に一致するように前記油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、
少なくとも前記実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、
少なくとも前記道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段と
を含み、
前記目標変速比決定手段は、前記配分率に応じて前記CVTの目標変速比を補正する目 標変速比補正手段を含み、
前記道路勾配推定手段は、前記CVTが搭載された車両の走行距離に応じて、前記道路勾配の推定値を平均化させることを特徴とするCVT制御装置。 - エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、
前記CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、
エンジンの運転状態に応じて前記油圧サーボ手段を制御するECUと
を備えたCVT制御装置において、
前記エンジン出力軸と前記車輪との間に介在された発進クラッチと、
前記運転状態に応じて前記発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段と
をさらに備え、
前記CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記ECUは、
前記各回転速度の比に基づいて前記CVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、
少なくとも前記負荷量要求値と前記CVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、前記CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、
前記実変速比が前記目標変速比に一致するように前記油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、
少なくとも前記実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、
少なくとも前記道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率を決定する配分率決定手段と
を含み、
前記目標変速比決定手段は、前記配分率に応じて前記CVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、
前記クラッチ制御手段は、前記道路勾配に応じて前記発進クラッチを直結制御するとともに、前記道路勾配が上り坂のときには、平地のときよりも低い車速で前記発進クラッチを直結制御することを特徴とするCVT制御装置。 - エンジン出力軸の回転を無段階に変速して車輪に伝達するためのCVTと、
前記CVTの変速比を調整するための油圧サーボ手段と、
エンジンの運転状態に応じて前記油圧サーボ手段を制御するECUと
を備えたCVT制御装置において、
前記エンジン出力軸と前記車輪との間に介在された発進クラッチと、
前記運転状態に応じて前記発進クラッチの接続状態を制御するクラッチ制御手段と
をさらに備え、
前記CVTの入力側および出力側の各回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記ECUは、
前記各回転速度の比に基づいて前記CVTの実変速比を演算する実変速比演算手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの負荷量要求値を検出する負荷量要求値検出手段と、
前記運転状態に基づいて前記エンジンの実負荷量を検出する実負荷量検出手段と、
少なくとも前記負荷量要求値と前記CVTの出力側の回転速度に対応した車速とに基づいて、前記CVTの目標変速比を逐次決定する目標変速比決定手段と、
前記実変速比が前記目標変速比に一致するように前記油圧サーボ手段を制御する変速比制御手段と、
少なくとも前記実負荷量に基づいて道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、
少なくとも前記道路勾配に応じて平地用の目標変速比と坂道用の目標変速比との配分率 を決定する配分率決定手段と
を含み、
前記目標変速比決定手段は、前記配分率に応じて前記CVTの目標変速比を補正する目標変速比補正手段を含み、
前記クラッチ制御手段は、前記道路勾配に応じて前記発進クラッチを直結制御するとともに、前記道路勾配が下り坂のときには、平地のときよりも低い車速で前記発進クラッチを直結制御することを特徴とするCVT制御装置。
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