JP4389421B2

JP4389421B2 - ハンディボトルの製造方法

Info

Publication number: JP4389421B2
Application number: JP2001302559A
Authority: JP
Inventors: 正樹三浦
Original assignee: Toyo Seikan Kaisha Ltd
Current assignee: Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date: 2001-09-28
Filing date: 2001-09-28
Publication date: 2009-12-24
Anticipated expiration: 2021-09-28
Also published as: US6964347B2; DE60217785T2; EP1298067B1; KR100781101B1; DE60217785D1; JP2003103612A; EP1298067A1; KR20030026820A; US20030075521A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンディボトルの製造方法に関し、より詳しくは、把持用凹部を成形する可動入子をプリフォームの中心軸よりプリフォームの中心径の１／２の２．０乃至２．６倍の位置に予め待機させてブロー成形し、該ブロー成形の進行が前記ハンディボトル内容積の３０％以上７０％未満に到達した時に前記可動入子を前記把持用凹部の最深部位置に向けて作動させる工程を含むハンディボトルの製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、例えば、１．８乃至４．０リットルのように比較的大容量の醤油、食用油、焼酎、ウイスキー等を収容するハンディボトルは、持ち運びを容易にするため別パーツの把手を取り付けたものが知られている。
このハンディボトルは、コストダウン、省資源、環境保全の要請から別パーツを用いず把持用凹部を設けて軽量化が図られ、その結果として、強度低下を避けるための種々の対策が施されている。このようなハンディボトルは、通常、把持用凹部を成形する一対の可動入子を対向させて装着したブロー成形金型に、プリフォームを挿入し加熱軟化させた後、延伸及びブローによりプリフォームを膨張させ、その体積がブロー成形金型の内容積と同じほぼ１００％に達したとき、ブロー成形金型に装着した一対の可動入子を出動させ、把持用凹部を成形する部位に最深部位置まで押し込み、把持用凹部を成形している。
【０００３】
このようにして製造されたハンディボトルは、把持用凹部の最深部が厚肉となり、その両脇部が薄肉となる水平方向のアンバランス傾向が強く、更に底部が厚肉となりその直上のヒール部が薄肉となる垂直方向のアンバランス傾向も強くなる。したがって、落下時の衝撃及びピンホールチェック時の圧力によるバックリング現象（把持用凹部が外方に突出する現象）が生じるため、把持用凹部を余り深く出来ず、これが無い場合より持ち易いものの、それ相応の握力を必要とし、必ずしも十分満足の行くものとはいえない。
【０００４】
上記の事情から、プリフォームを加熱軟化させた後、延伸及びブローによりプリフォームを膨張させる際、その体積がブロー成形金型の内容積の８０％以上１００％未満に達したとき、ブロー成形金型に装着した一対の可動入子を出動させ、把持用凹部を成形する部位に最深部位置まで押し込み、把持用凹部を成形して、両脇部が薄肉となる傾向を防ぐハンディボトルの製造方法が知られている（特開平２−７２９２５号公報参照）。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
プリフォームの体積がブロー成形金型の内容積の８０％以上１００％未満に達したとき、一対の可動入子を出動させて得たハンディボトルは、多少の改善はみられるものの、依然として、把持用凹部の最深部が厚肉となり、その両脇部が薄肉となる傾向を改善出来ないでいる。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、成形性と軽量性とを確保しつつ水平及び垂直方向の肉厚分布を適正にし、内容積が大きいボトルにフルに内容物を充填した場合でも、把持用凹部を十分深くして持ち易く、しかも落下強度に優れ、バックリング現象等を防止することの出来るハンディボトルの製造方法を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、口部、胴部及び底部からなるボトル本体の胴部に把持用凹部を対向的に設けてなるハンディボトルを、ブロー成形金型にて製造する方法であって、前記把持用凹部を成形する可動入子を、前記ブロー成形金型内でプリフォームの中心軸よりプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の２．０乃至２．６倍の位置[１／２Ｒ×(２．０乃至２．６) ]に予め待機させてブロー成形し、該ブロー成形の進行が前記ハンディボトル内容積の３０％以上７０％未満に到達した時に前記可動入子を前記把持用凹部の最深部位置に向けて作動させる工程を含み、前記ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にするようにしたことを特徴とするハンディボトルの製造方法が提供される。可動入子の待機位置を上記のように構成したことにより、水平及び垂直方向の肉厚分布を変え、ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にし、その直上のヒール部が薄肉となることを防止することができる。
【０００８】
ブロー成形の進行がハンディボトル内容積の３０％未満の時に可動入子を作動させると、把持用凹部の、特に両脇部が賦形不良となり、さらに過延伸による白化現象が生じる。またプリフォームの底部への膨らみが阻害され、底部に樹脂が行き届かず、この部分が必要以上に薄肉となる。一方、ブロー成形の進行がハンディボトル内容積の７０％以上に到達した時に可動入子を作動させると、把持用凹部の最深部から両脇部にかけて過延伸による白化が生じやすく、両脇部が薄肉となる傾向がある。また、底部が所望する厚さより肉厚となる。上記の規定は本発明者の度重なる実験の結果に基づいて見出されたものであり、中でも、ブロー成形の進行がハンディボトル内容積の６０％（±３％）に到達した時に可動入子を作動させることが好ましい。したがって、可動入子の作動タイミングを上記のように構成したことにより、より一層水平及び垂直方向の肉厚分布を変え、ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にし、その直上のヒール部が薄肉になることを防止することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明の実施の形態を示すハンディボトルの正面図、図２は本発明の実施の形態を示すハンディボトルの側面図、図３は図２のI-I線に沿う断面図である。図において、ハンディボトル１は、口部２、胴部３及び底部４からなるボトル本体５の胴部３の両側に、把持用凹部６を設けてなり、両側の把持用凹部６の最深部７間における最短距離（Ｌ）は、胴部３の径（Ｄ）の５０％以下（Ｌ／Ｄ≦５０％）に設定し、且つ把持用凹部６の径断面形状を最深部７と胴部３の軸中心とを結ぶ直線に対してほぼ左右対称にしたものである。
【００１１】
前記ボトル本体５は、筒体をなし、口部２には注ぎ口１０とキャップを止めるための螺子部１１がある。胴部３は強度上から断面形状が円形をなしているが、多角形でも良い。底部４は上方に凸となり、これにより落下強度を高めている。
【００１２】
前記把持用凹部６は、ボトル本体５の胴部３の中間部両側に設けられ、図２に示すような縦長の矩形をなした陥没部であり、その陥没部の底には外方に凸状の３本の補強ビード１２がほぼ等間隔に設けられている。この補強ビード１２は、特に制限されるものではないが、陥没部の底からの頂面高さが、通常３ないし６mm程度であり、そのピッチが２０〜２５mm程度である。この把持用凹部６の３本の補強ビード１２は、耐バックリング強度を向上させるためであり、これによって、バックリング現象を起こしづらくする。そして、図４、５に示すように、この把持用凹部６の一方における３本の補強ビード１２のいずれかの間にある最深部７に親指１３を、他方の３本の補強ビード１２の間にある最深部７に残りの指１４を当ててボトル本体５をつかみ、胴部３を把持することが出来て、これら３本の補強ビード１２は、ハンディボトル１を持ち易くする機能も有している。
【００１３】
この把持用凹部６は、図３に示すように、両側にある最深部７間の最短距離（Ｌ）が、胴部３の径（Ｄ）の５０％以下、すなわち、Ｌ／Ｄ≦５０％に設定して、胴部３を把持し易くしている。更に、把持用凹部６の径断面形状は、最深部７を中心として、すなわち、胴部３の軸中心Ｏと最深部７とを通る一点鎖線１５を中心として、ほぼ左右対称になっている。その結果、ハンディボトル１の成形時に偏肉、すなわち、過延伸白化が起きづらく、且つピンホールチェック等の加圧時や持つ等の減圧時における変形が起こりづらくしている。なお、上記の効果は、把持用凹部６の径断面形状が、最深部７を中心として、すなわち、一点鎖線１５を中心として、完全な左右対称の場合に最も良いが、±１０％程度に収まる範囲の「ほぼ左右対称」であれば、上記と同程度の効果を期待できる。なお、把持用凹部６の具体的な形状は、後に詳述する可動入子２２の形状により任意に設定出来る。
したがって、「ほぼ左右対称」とは、完全に左右対称ではないが、±１０％程度の範囲内での左右対称を意味する。
【００１４】
図６は、ハンディボトル内圧を上昇させた時のハンディボトル形状の変位（最大変位）量を有限要素法を用いたコンピュータ・シミュレーションで解析した結果を示すものである。
図６中の●印は、本発明の図１ないし５の形状のボトルの結果である。
×印は、試作例を示す図７の形状であり、把持用凹部の径断面形状が最深部とボトルの軸中心とを結ぶ直線に関してほぼ左右対称となっていないこと以外は、図１ないし５の本発明のボトルと同じ形状のボトルについての解析結果である。
また、◆印は、図１６、１７の従来のボトルの結果を表している。図６を見ると、本発明のボトル（●印）は、変位の曲線が広い圧力範囲にわたり滑らかであり、バックリング変形が起こりにくいことがわかる。
【００１５】
また、把持用凹部６の径断面の角度θ₁ は、図３に示すように、０ないし９０度（０度≦θ₁ ≦９０度）の範囲にある。この角度θ₁ ０度より小さいと（θ ₁＜０）、ブロー成形金型の型開きが出来ず、成形が困難となり、角度θ₁ が９０度を越えると（θ₁ ＞９０度）、両把持用凹部６間において手指の掛かりがなくなり、持ちづらくなる。より好ましい角度θ₁ は、５０度ないし９０度（５０度≦θ₁ ≦９０度）の範囲であり、この範囲が成形が極めて容易となり、手指の掛かりも十分確保される。なお、θ₁ ＝０度における把持用凹部６の具体的な形状は、Ｕ字状である。
【００１６】
また、把持用凹部６の径断面における両最深部７と胴部３の軸中心Ｏとを通る一点鎖線１５、１５により形成する角度θ₂ は、１２０度ないし１８０度（１２０度≦θ₂ ≦１８０度）の範囲にあり、その結果胴部３を手指と掌とで持ち易くなる。角度θ₂が１２０度より小さいと（θ ₂＜１２０度）、両把持用凹部６間に
おいて手指の掛かりが少なくなって持ちづらくなり、θ₂ が１８０度を越えると（θ₂ ≧１８０度）、両把持用凹部６間の手指の掛かりが多くなりすぎて、逆に持ちづらくなる。
【００１７】
上記本発明のハンディボトル１は、以下のようにしてブロー成形される。
まず、ブロー成形後にハンディボトル１の口部２、胴部３及び底部４となる部分を有するプリフォーム２０を製造し、このプリフォーム２０を図８に示すようなブロー成形金型２１内に装填する。このブロー成形金型２１は、前記把持用凹部６を成形する可動入子２２を両側に有し、更に、口部側からプリフォーム２０内に挿入するストレッチロッドと、外方からプリフォーム２０の底部に近づくプレスロッド（共に図示せず）とからなる延伸ロッドを有している。そして、ブロー成形金型２１内に装填され加熱されたプリフォーム２０内にストレッチロッドが挿入され、外方からプレスロッドがプリフォーム２０の底部に近づいて、これらストレッチロッド及びプレスロッドでプリフォーム２０の底部を挟むようにして、これらの協働でプリフォーム２０を延伸して行き、その延伸と同時にあるいは延伸途中にエアーを吹き込みハンディボトル１を成形する。
【００１８】
この際、把持用凹部６を成形する可動入子２２を、予めプリフォーム２０の中心径（Ｒ）の１／２の２．０ないし２．６倍の範囲の位置〔１／２Ｒ×（２．０ないし２．６）〕、すなわち、図９に示すように、一点鎖線で示す中心線からのプリフォーム２０の中心半径（Ｒ／２＝ｒ）と、可動入子２２の先端までの距離ｋとの比（ｋ／ｒ）が２．０ないし２．６の位置に待機させてブロー成形し、このブロー成形の進行がハンディボトル１の内容積の６０％（±３％）あるいはブロー成形金型の内容積の６０％に到達したときに、更に可動入子２２を把持用凹部６の最深部７位置まで作動させ、図１０に示すようなハンディボトル１を得るものである。
なお、上記の待機位置からの可動入子２２の作動タイミングは、ストレッチロッド及びプレスロッドで構成する延伸ロッドがその全進行距離の８０％（±４％）の位置に到達したときであっても良く、得られる結果は上記と同じである。
【００１９】
上記ハンディボトルの製造方法は、得られたハンディボトル１におけるボトル本体５の底部４の重量が、把持用凹部６を成形する可動入子２２を、ブロー成形金型２１内で予めプリフォーム２０の中心径（Ｒ）の２．６倍を越えた位置に待機させてブロー成形した際のボトル本体の底部の重量よりも、１２ないし１４．５％減じることに限定し、これにより、ハンディボトル１を軽量化することが出来る。
【００２０】
また、上記の製造方法によるハンディボトル１は、その把持用凹部６の軸方向の両端部６ａ及び６ｂにおける形状が、図１１に示すように、水平に形成されていても良い。その理由は、バックリング現象の始まりが両端部６ａ及び６ｂの微変形からであるが、これら両端部６ａ及び６ｂが水平であることにより、変形しようとする力が分散されて、微変形を起こしづらくするからである。
【００２１】
図１２は、把持用凹部の両端部以外の形状が同じボトルについて、両端部が水平形状のもの（●印）と、湾曲形状のもの（▲印）とで、ボトル内圧を上昇させていった時の形状の変位（最大変位）量を、コンピュータ・シミュレーションで解析した結果を示したものである。図１２から、水平形状のボトルは、特に加圧初期の変位曲線が、湾曲形状のものに比べ滑らかな曲線となっており、加圧初期の微変形が起こりにくいことがわかる。
【００２２】
また、ハンディボトル１の把持用凹部６の径方向の長さは、図１１に示すように、その中央部Ｃがその両端部Ｅより長く（Ｃ＞Ｅ）形成されていても良い。その理由は、把持用凹部６の中央部Ｃがその両端部Ｅより長いため、中央部Ｃが移動し易くなって、その移動によりバックリング現象を起こす力を吸収して、起こしづらくするものである。
【００２３】
そして、把持用凹部６の軸方向の断面形状は、図１３に示すように、外方に凸となるように形成されている。このように把持用凹部６の底部のＲ（アール）が外方に凸であるから、その分加圧時の変形量を低減出来る。
【００２４】
なお、前記ハンディボトル１を構成する材料は特に限定がないが、一般に、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等が採用される。また、このハンディボトル１の容量も、特に限定がないが、実用上１．８リットル、２．７リットル、４リットル等の大型ボトルのものになる場合が多い。また、その用途は使用頻度の高い内容物、例えば、酒精、焼酎、油、醤油、その他の調味料等が対象とされる。
【００２５】
以下に、本発明の有効性を実施例にて実証するが、本発明がこれらの実施例により限定されるものではない。
＜実施例１＞
まず、図１ないし５に示す形状の２．７リットル用のハンディボトルとなるポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを使用して、ストロークＳＴ＝７．５の可動入子を、ブロー成形金型内でプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の２．３１倍の位置に待機させてブロー成形し、該ブロー成形の進行がハンディボトル内容積の６０％に到達したときに、可動入子を把持用凹部の最深部位置まで作動させて、ハンディボトルを得た。このハンディボトルについて、各分布を測定した。
（１）把持用凹部縦方向肉厚分布は、図１４に示すラインＦに沿って接地面からの各距離位置にて厚みを測定する。
（２）把持用凹部横方向肉厚分布は、図１４に示すラインＦに沿った接地面からの距離１２８．５ｍｍの位置にて厚みを測定する。
（３）各部位の重量分布は、図１４に示すラインＦに沿った接地面からの各距離位置間を分割し、それらの分割した各部分の重量を測定する。
【００２６】
＜実施例２＞
ストロークＳＴ＝１０の可動入子を、ブロー成形金型内でプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の２．３１倍の位置に待機させること以外、実施例１と同様にしてハンディボトルを得、且つ同様に各分布を測定する。
【００２７】
＜比較例１＞
ストロークＳＴ＝０の可動入子を、ブロー成形金型内でプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の１．９９倍の位置に待機させること以外、実施例１と同様にしてハンディボトルを得、且つ同様に各分布を測定する。
【００２８】
＜比較例２＞
ストロークＳＴ＝０の可動入子を、ブロー成形金型内でプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の２．６６倍の位置に待機させること以外、実施例１と同様にしてハンディボトルを得、且つ同様に各分布を測定した。
以上の結果を表１及び２に示す。
【００２９】
【表１】

【００３０】
【表２】

【００３１】
表１及び２によれば、本発明による実施例１，２のハンディボトルは、底部の肉厚が薄く重量も少なく、逆にヒール部の肉厚が厚く重量が多くなり、胴部の剛性を変えずに底部の重量を減らすことが可能となった。これに対して、比較例１は、底部の肉厚が薄く重量も少なくっているが、薄くなりすぎて底部の強度に難が出てきた。比較例２は、底部の肉厚が厚く重量も多く、逆にヒール部の肉厚が薄く重量も少なく、胴部の剛性を変えずに底部の重量を減らすことが不可能となった。
【００３２】
＜実施例３＞
図１ないし５に示す形状のポリエチレンテレフタレート製の２．７リットル用のハンディボトルを使用して、以下の項目について測定し、把持しやすさを官能評価した。
（１）実ボトル単体落下強度；
（２）耐ピンホールチェック；
（３）把持しやすさ
【００３３】
＜物性測定方法＞
（１）実ボトル単体落下強度；
ポリエチレンテレフタレート製の２．７リットルのハンディボトル内に水道水を２．７リットル入れ密栓したものを、３０ｃｍの高さからコンクリート面に自然落下させ、その衝撃によるハンディボトルの変形ないし破壊状態を目視観察し、特に影響がなければ１０ｃｍずつ高くしてゆき、バックリンク現象や破壊等の比較的大きな影響が出た高さを測定する。５０ｃｍ以上を○、５０ｃｍ未満を×と評価した。
（２）耐ピンホールチェック；
空のポリエチレンテレフタレート製の２．７リットルのハンディボトル内に圧縮空気を入れ徐々に圧力を高めてゆき、ハンディボトルがバックリング現象を起こす圧力を測定した。０．５ｋｇ／ｃm²以上を○、０．５ｋｇ／ｃｍ ²未満を×と評価した。
（３）把持しやすさ；
上記ハンディボトル内に水道水を２．７リットル入れた状態もので、把持しやすさを官能評価し、把持しやすいものを○、把持しにくいものを×と評価した。
【００３４】
＜比較例３＞
従来例を示す図１７、１８の形状で、実施例３と同じ材質の２．７Ｌのハンディボトルについて、実施例３と同様の項目を測定した。
【００３５】
＜比較例４＞
試作例を示す図１５の形状で、実施例３と同じ材質の２．７リットルのハンディボトルについて、実施例３と同様の項目を測定した。
得られた測定結果を表３に示す。
【００３６】
【表３】

【００３７】
表３の結果から、本発明による実施例３のハンディボトルは、持ち易さを追求した把持用凹部の深い形状でありながら、把持用凹部の浅い比較例３に比べて、物性上の差がほとんど無く、いずれもハンディボトルとしての性能の範囲内であるため、大型ボトルでありながら安全に把持可能にした本発明の効果は明白である。
【００３８】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、可動入子の待機位置を適切に設定することにより、水平及び垂直方向の肉厚分布を変え、ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にし、その直上のヒール部が薄肉となることを防止することができる。これによって、成形性と軽量性とを確保しつつ水平及び垂直方向の肉厚分布を適正にし、内容積が大きいボトルにフルに内容物を充填した場合でも、把持用凹部を十分深くして持ち易く、しかも落下強度に優れ、バックリング現象等を防止することが出来る効果がある。
また、請求項２の発明は、可動入子の待機位置を適切に設定し、且つブロー成形の進行がハンディボトルの内容積の３０％以上７０％未満に到達したときを作動タイミングとすることによって、より一層水平及び垂直方向の肉厚分布を変え、ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にし、その直上のヒール部を厚肉にすることができる。したがって、上記と同様な効果を得ることができる。
また、請求項１又は記載のハンディボトルの製造方法によれば、ボトル本体の全体の質量に対して、底部質量が１２乃至１４．５％であり、垂直方向の肉厚分布が好適で、バランスよく計量化されたハンディボトルを提供することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示すハンディボトルの正面図である。
【図２】本発明の実施の形態を示すハンディボトルの側面図である。
【図３】図２のI-I 線に沿う断面図である。
【図４】本発明の実施の形態を示すハンディボトルの使用状態の側面図である。
【図５】本発明の実施の形態を示すハンディボトルの使用状態の平面図である。
【図６】合成樹脂製ボトルの耐ピンホールチェックにおける圧力と変位との関係を示す特性図である。
【図７】ハンディボトルの試作例を示す断面図である。
【図８】本発明の実施の形態を示すハンディボトルのブロー成形金型の断面図である。
【図９】本発明の実施の形態を示すハンディボトルのブロー成形金型の一部切欠断面図である。
【図１０】本発明の実施の形態を示すハンディボトルの半裁断面図である。
【図１１】図３のII-II 線側から見た側面図である。
【図１２】合成樹脂製ボトルの耐ピンホールチェックにおける圧力と変位との関係を示す特性図である。
【図１３】図１１のIII-III 線に沿う半裁断面図である。
【図１４】実施例及び比較例の測定位置を特定する説明図である。
【図１５】ハンディボトルの比較例４を示す断面図である。
【図１６】従来例の側面図である。
【図１７】図１６のIV−IV線に沿う断面図である。
【図１８】従来例の側面図である。
【図１９】従来例の側面図である。
【図２０】従来例の側面図である。
【符号の説明】
１，ａ，ａ１，ａ２，ａ３ハンディボトル
２口部
３，ｂ胴部
４底部
５ボトル本体
６，ｃ把持用凹部
６ａ，６ｂ，Ｅ両端部
７最深部
１０注ぎ口
１１螺子部

Claims

口部、胴部及び底部からなるボトル本体の胴部に把持用凹部を対向的に設けてなるハンディボトルを、ブロー成形金型にて製造する方法であって、前記把持用凹部を成形する可動入子を、前記ブロー成形金型内でプリフォームの中心軸よりプリフォームの中心径（Ｒ）の１／２の２．０乃至２．６倍の位置[１／２Ｒ×(２．０乃至２．６) ]に予め待機させてブロー成形し、該ブロー成形の進行が前記ハンディボトル内容積の３０％以上７０％未満に到達した時に前記可動入子を前記把持用凹部の最深部位置に向けて作動させる工程を含み、前記ボトル本体の底部を少なくとも薄肉にするようにしたことを特徴とするハンディボトルの製造方法。