JP7180339B2 - 合成樹脂製容器 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂製容器に関し、特に、容器を把持する際に手指を掛ける把持用凹部を胴部に有する合成樹脂製容器に関する。
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広い分野で利用されている。
また、このような合成樹脂製容器としては、内容物に応じて多種多様の容器が用いられており、例えば、茶系飲料、ミネラルウォーター、スポーツドリンクなどを内容物とする場合には、容量2リットル程度の比較的容量の大きい容器が用いられることが多い。
しかしながら、容量の大きい容器に内容物が充填されると、内容物の容量に応じて重量も増えてしまい、容器を持ち上げたりするには相当の力を要する。そのため、開栓後に容器を持ち上げて内容物を注ぐ際に、容器を把持する力を調整できずに指先に必要以上の力が入ってしまうと、容器が変形して内容物が吹き出してしまうことにもなりかねない。
このような不具合を避けるため、比較的容量の大きい容器にあっては、一般に、容器胴部に把持用の凹部を設けることによって、容器を把持したときに当該凹部に手指を掛かて、持ち上げ易くするなどしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2012-076780号公報
ところで、この種の容器にあっては、従前より、その軽量化や、使用樹脂量の削減による低コスト化のために、可能な限り容器を薄肉に成形する試みがなされている。近年、このような薄肉化の要求が益々厳しくなってきているが、薄肉化が進むほど容器の剛性が低下するのは避けられない。
本発明者らの検討によれば、容器胴部に把持用の凹部を設けた容器において、その薄肉化を図ろうとすると、内容物を充填密封して市場に供給するに際し、例えば、輸送、保管時に箱積み状態とされたときに加わる積圧によって、軸方向に圧縮されて内圧が高まると、当該凹部が外方に向かって反転するように変形して元に戻らなくなってしまう、いわゆる、バックリングが生じてしまうという問題があることが見出された。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、容器胴部に把持用凹部を設けた容器において、内容物を充填密封した状態での内圧上昇による把持用凹部のバックリングを抑制することができる合成樹脂製容器の提供を目的とする。
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、及び底部を備え、前記胴部が、上胴部と下胴部との間に縮胴部を有し、前記縮胴部の対向する部位のそれぞれに、容器内方に陥入する把持用凹部を有し、前記縮胴部に、周方向に沿って凹設された溝部によって画成されるとともに、一方の前記把持用凹部から他方の前記把持用凹部に至る一対の帯状画成部を有し、前記帯状画成部のそれぞれの端部側を画成する前記溝部が、前記把持用凹部の底面で交差して、前記帯状画成部の端部が前記溝部を介して互いに近接している構成としてある。
本発明によれば、容器胴部に把持用凹部を設けた容器において、内容物を充填密封した状態での内圧上昇による把持用凹部のバックリングを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す要部拡大図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1~図5は、本実施形態に係る合成樹脂製容器について、重量約28g、容量約2リットルの比較的容量の大きい薄肉容器の一例を示している。本実施形態に係る合成樹脂製容器は、特に、NS充填用、アセプティック充填用に適用されるのが望ましいがこれに限らない。
容器1は、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えており、図示する容器1は、胴部4が角筒状に形成された、一般に、角形ボトルと称される容器形状を有している。
このような容器1は、熱可塑性樹脂を使用して射出成形や圧縮成形などにより有底筒状のプリフォームを成形し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造される。
容器1を製造するにあたり、使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル,これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。また、ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用することができる。
口部2は、内容物の注ぎ口となる円筒状の部位であり、かかる口部2には、容器内を密封する図示しない蓋体が取り付けられる。このような口部2の下端は、胴部4に向かって拡径して口部2と胴部4との間をつなぐ肩部3に連接しており、図示する例において、肩部3は角錐台状に形成されている。
また、胴部4は、容器1の高さ方向の大半を占める部位であり、上端が肩部3に連接し、下端が底部5に連接している。
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、図2に示す状態で容器1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
本実施形態において、胴部4は、コーナー部がR面取りされた矩形状の横断面形状を有する角筒状に形成されている。そして、胴部4の高さ方向中央部付近が、上胴部4aと下胴部4bに対して胴囲(周方向に沿った長さ)が縮められた縮胴部4cとなっており、胴部4は、上胴部4aと、下胴部4bと、これらの間に設けられた縮胴部4cとを有している。
また、上胴部4aと下胴部4bのそれぞれには、周方向に沿って凹設された複数の周溝12が設けられており、上胴部4aと下胴部4bの剛性を向上させている。本実施形態では、上胴部4a、下胴部4aに、適当な幅の周溝12が、5本ずつ略等間隔に設けられているが、周溝12の幅、本数及び間隔は、図示する態様に限定されない。
図2において正面に現れる縮胴部4cの幅方向中央と、これと対向する背面側の部位には、容器内方に陥入する把持用凹部6が設けられている。このように、縮胴部4cの対向する部位のそれぞれに把持用凹部6を設けることで、容器1を把持したときに把持用凹部6に手指を掛けて、容器1を持ち上げ易くすることができる。
また、比較的容量の大きい容器にあっては、その胴囲も大きくなる傾向にある。このため、手が小さいユーザーが把持したときに、把持用凹部6に指先が届かなくなってしまうこともあるが、縮胴部4cに把持用凹部6を設けることで、より多くのユーザーが、容器1を把持したときに、把持用凹部6に手指を掛けて易くなるようにすることができる。
縮胴部4cの幅(高さ方向に沿った長さ)は、平均的な人の手の大きさを考慮して、指二本分程度の幅とするのが好ましく、縮胴部4cの幅方向の一端から他端にわたる範囲に把持用凹部6を方形状に形成するのが好ましい。このようにすることで、一方の把持用凹部6に親指を挿入し、他方の把持用凹部6に人差し指と中指、又は中指と薬指の二本の指を挿入して容器1を把持したときに、容器1を把持する手指を縮胴部4cに添わせるようにして、より把持し易くなるようにすることができる。
また、縮胴部4cには、周方向に沿って凹設された溝部7によって帯状に画成されるとともに、一方の把持用凹部6から他方の把持用凹部6に至る左右一対の帯状画成部8が設けられている。このようにすることで、縮胴部4cの剛性が向上し、容器1を把持する手指を縮胴部4cに添わせて、手指に力を入れて容器1を持ち上げる際に、縮胴部4cが変形してしまうのを抑制することができる。その結果、例えば、開栓後に容器1を持ち上げて内容物を注ぐ際に、容器1が変形して内容物が口部2から吹き出してしまったり、口部2から注ぎ出る内容物を脈動させてしまったりして、内容物を周囲に溢してしまうといような不具合を有効に回避することができる。
帯状画成部8は、それぞれの端部が把持用凹部6の内部まで延在しており、把持用凹部6の内部に延在させた帯状画成部8のそれぞれの端部も溝部7によって画成されている。また、この端部同士が把持用凹部6の底面で対向するように設けられている。そして、この端部側を画成する溝部7が、図示するように、把持用凹部6の底面で交差するようにして、帯状画成部8の端部が溝部7を介して互いに近接するように設けられている。このようにすることで、縮胴部4cとともに、把持用凹部6の剛性も向上させることができるため、容器1に内容物を充填密封して市場に供給するに際し、例えば、輸送、保管時に箱積み状態とされたときに加わる積圧によって、軸方向に圧縮されて内圧が高められた場合や、誤って落としてしまった場合など、内容物を充填密封した状態での内圧上昇による把持用凹部6のバックリングを抑制することができる。
本実施形態では、帯状画成部8の端部は、図示するように三角状に画成されているが、この形状に限定されない。帯状画成部8の端部を画成する溝部7が、左右の端部で共有されるように交差することが望ましい。
また、本実施形態では、縮胴部4cに帯状画成部8を設けて、縮胴部4cの剛性を向上させているが、帯状画成部8の把持用凹部6に至る手前の位置に、把持用凹部6の側縁に沿って縦溝9を凹設することによって、縮胴部4cの剛性をより向上させることができる。このような縦溝9を帯状画成部8に凹設するにあたり、その位置は、容器1を把持したときの変形を抑制する上で、縦溝9は、帯状画成部8のうち、縮胴部4cの側面から正面に至るコーナー部分の終了部分から把持用凹部6の底面に至る把持用凹部6の開始部分までの範囲内に設けることが望ましい。
また、縮胴部4cの上縁側と下縁側のいずれか一方、又は両方には、一方の把持用凹部6が設けられた面側から、他方の把持用凹部6が設けられた面側に至り、かつ、いずれの把持用凹部6とも離間して凹設された側部横溝10を設けるのが好ましい。このようにすることで、容器1を把持したときの変形をより有効に抑制することができるとともに、箱積み状態とされたときに軸方向に加わる積圧に対する強度をより向上させることもできる。
このような側部横溝10を設けるにあたっては、側部横溝10の両端側が、把持用凹部6が設けられた面側に至った後に縮胴部4の幅方向(容器1の高さ方向)内側に緩やかに湾曲するようにし、その延長線上に、帯状画成部8に凹設した縦溝9が位置するように設けるのが好ましい。
また、上胴部4aの縮胴部4c側と、下胴部4bの縮胴部4c側のいずれか一方、又は両方には、把持用凹部6の左右に位置する両側縁の延長線上に凹設された縦溝対11を設けるのが好ましい。このようにすることによっても、容器1を把持したときの変形をより有効に抑制することができる。
このような縦溝対11を設けるにあたり、その長さは、容器1を把持したときの変形をより有効に抑制することができるように適宜調整することができるが、縮胴部4cの幅と同程度の長さとするのが好ましい。
また、縦溝対11は、周溝12間を跨いで、上下の周溝12同士を接続するように設けられることが望ましい。
また、手指で把持用凹部6を把持したときに、容器の重みがかかる把持用凹部6の上面近傍の胴部表面に、縦溝13を設けることもできる。これにより、容器胴部の剛性を向上させることができる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
1 容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
4a 上胴部
4b 下胴部
4c 縮胴部
5 底部
6 把持用凹部
7 溝部
8 帯状画成部
9 縦溝
10 側部横溝
11 縦溝対
13 縦溝

Claims (4)

  1. 口部、肩部、胴部、及び底部を備え、
    前記胴部が、上胴部と下胴部との間に縮胴部を有し、
    前記縮胴部の対向する部位のそれぞれに、容器内方に陥入する把持用凹部を有し、
    前記縮胴部に、周方向に沿って凹設された溝部によって画成されるとともに、一方の前記把持用凹部から他方の前記把持用凹部に至る一対の帯状画成部を有し、
    前記帯状画成部のそれぞれの端部側を画成する前記溝部が、前記把持用凹部の底面で交差して、前記帯状画成部の端部が前記溝部を介して互いに近接していることを特徴とする合成樹脂製容器。
  2. 前記帯状画成部の前記把持用凹部に至る手前の位置に、前記把持用凹部の側縁に沿って縦溝が凹設された請求項1に記載の合成樹脂製容器。
  3. 前記縮胴部の上縁側と下縁側のいずれか一方、又は両方に、一方の前記把持用凹部が設けられた面側から、他方の前記把持用凹部が設けられた面側に至り、かつ、いずれの把持用凹部とも離間して凹設された側部横溝を有する請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
  4. 前記上胴部の前記縮胴部側と前記下胴部の前記縮胴部側のいずれか一方、又は両方に、前記把持用凹部の両側縁の延長線上に凹設された縦溝対を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
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