JPH0433216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等
の合成樹脂で２軸延伸ブロー成形される壜体に関
するものである。

〔従来の技術〕

ウイスキー、醤油等の液体を収納する容器とし
て、合成樹脂製の壜体が広く利用されている。

この壜体の成形手段として最も有効なのは、所
定の合成樹脂により成形された一次成形品を２軸
延伸ブロー成形することであり、特にポリエチレ
ンテレフタレート樹脂を用いた場合には、肉薄で
軽量でありながら強度および耐内容物性に優れ、
安価に大量生産が可能である等の多くの利点が存
する。

そして、外観体裁を考慮して、壜体の胴部を有
底四角筒形状に構成し、さらにはこの胴部の略中
央部両側部分に凹部をそれぞれ陥没設することに
よつて、この凹部を設けた胴部の後半部分に、こ
の後半部分の胴部筒壁部分と凹部とにより把持部
を形成して、持ち易く構成したものが好評となつ
ている。

ところで、２軸延伸ブロー成形壜体は、少なく
とも一対の金型により形成される成形空間に一次
成形品を挿入配置して、延伸ブロー成形されるの
であるが、離型に際して、型開きする金型に対し
て引つ掛かることがあつてはならない。

それゆえ、把持部を形成するために、有底四角
筒形状の胴部の両側部分に凹部を陥没設した把持
部付き壜体にあっては、型開きする金型に対して
凹部部分が引つ掛からないようにするために、型
開き方向を壜体に対して左右横方向に設定してい
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記した従来技術にあつては、
金型の型開き方向が、壜体に対して左右横方向で
あるので、パーテイングラインは、壜体の正面お
よび背面に付形されることになり、特に壜体の正
面に付形されたパーテイングラインは、壜体の外
観として目立ち、壜体の外観体裁を劣化させると
云う問題があつた。

また、壜体の正面は、印刷とかラベル貼着によ
る表示手段を施す部分となつているが、この正面
に突出状に付形されたパーテイングラインのため
に、印刷にずれとか切れ線が生じたり、貼着した
ラベルにしわが寄ると云う問題があつた。

そこで、本考案は、上記した従来技術における
問題点を解消すべく考案されたもので、パーテイ
ングラインを壜体の正面に付形させないことを技
術的課題とし、もってパーテイングラインによる
壜体の外観体裁の劣化を無くすと共に、壜体正面
に対する表示を良好に施すことができるようにす
ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決する本考案の手段は、 有底四角筒形状をした胴部の平面形状の仮想さ
れる一つの対角線上にパーテイングラインを位置
させること、 胴部の略中央部両側部分に、内方に縮径したテ
ーパ壁の内方端に底壁を連設した凹部を陥没設す
ることによつて、胴部の後半部分に、この後半部
分の胴部筒壁部分と、この胴部筒壁部分に連続す
る傾斜壁と、凹部のテーパ壁の一部と、凹部の底
壁とにより把持部を形成すること、 この把持部の一方の傾斜壁を前記した対角線に
直交させること、 凹部のテーパ壁を、前記した対角線に直交する
型開き方向に対して抜きテーパ角を有する構成と
すること、 にある。

〔作用〕

パーテイングラインは、胴部の四角形となつた
平面形状の仮想される一つの対角線上に位置して
いるので、壜体の正面と一方の側面との境界部お
よび他方の側面と背面との境界部に位置し、壜体
の正面には位置しない。

また、把持部の一部である一方の傾斜壁は、上
記した仮想される一つの対角線に直交するので、
この把持部の一方の傾斜壁は、金型の型開き方向
と平行となり、それゆえこの一方の傾斜壁が、型
開きする金型に引つ掛かることはない。

同様に、凹部のテーパ壁は、金型の型開き方向
に対して抜きテーパ角を有する構成となつている
ので、この凹部のテーパ壁が型開きする金型に引
つ掛かることはない。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を、図面を参照しなが
ら説明する。

壜体１は、角取りした有底四角筒形状をした胴
部２の上端に、上方に縮径した筒形状の肩部を介
して、外周面に螺条を刻設した短円筒形状をした
口部３を連設して構成されている。

把持部７を形成する凹部４は、胴部２の両側壁
部分の中央部後半部分に、内方に縮径した略四角
筒片形状のテーパ壁６の内方端に、平板状の底壁
５を連設した構造で陥没設されている。

この凹部４の底壁５およびテーパ壁６の一部と
組合さつて把持部７を構成する、胴部２の筒壁後
半部分７′と傾斜壁８との組合せ部分は、片手に
よる把持部７の把持が行い易いように、その横幅
を小さくし、かつ両傾斜壁８を大きく前方に湾曲
させた状態で、テーパ壁６の後側部分に連続させ
ている。

把持部７の一方（第２図において、上側）の傾
斜壁８は、胴部２の平面形状の四角形の仮想され
る一方の対角線Ｓと直交している。

また、左側凹部４（第２図において、上側の凹
部）のテーパ壁６の前側部分（第２図において、
左側部分）、および右側の凹部４（第２図におい
て、下側の凹部）のテーパ壁６の後側部分（第２
図において、右側部分）は、対角線Ｓに直交する
一対の金型９の型開き方向に対して、抜きテーパ
角を有する傾斜角度で成形されている。

両金型９の型合わせ面は、対角線Ｓの延長上に
位置しており、それゆえパーテイングラインは、
壜体１の正面と右側面との境界部、背面と左側面
との境界部、そして一方の傾斜壁８表面に付形さ
れることになる。

〔考案の効果〕

本考案は、上記した構成となつているので、以
下に示す効果を奏する。

壜体表面に突出した形態で付形されるパーテイ
ングラインが、壜体の正面と一方の側面との境界
部および背面と他方の側面との境界部に位置する
ので、壜体の正面をパーテイングラインの無い、
ほぼ完全な平滑面とすることができるので、特に
目立つ壜体の正面外観体裁を、パーテイングライ
ンにより劣化させることが無いと共に、表示手段
を良好に正確にそして簡単に施すことができ、も
つて把持部を一体に付形したにも関わらず、外観
体裁の極めて優れた壜体を得ることができる。

把持部の構成部分の型開きする金型への引つ掛
かりを皆無とすることができるので、成形された
壜体の金型からの離型を安全にかつ円滑に達成す
ることができ、もつて壜体の成形操作の安全性と
円滑性とを劣化させることなく，高いレベルに維
持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す全体右側面
図である。第２図は、金型に組付いた状態での、
第１図に示した実施例の胴部中央で切断した平断
面図である。 符号の説明、１……壜体、２……胴部、３……
口部、４……凹部、５……底壁、６……テーパ
壁、７……把持部、７′……胴部筒壁部分、８…
…傾斜壁、９……金型、Ｓ……対角線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底四角筒形状をした胴部２の平面形状の仮想
   される一つの対角線Ｓ上にパーテイングラインを
   位置させ、前記胴部２の略中央部両側部分に、内
   方に縮径したテーパ壁６の内方端に底壁５を連設
   した凹部４を陥没設することによつて、前記胴部
   ２の後半部分に、該後半部分の胴部筒壁部分７′
   と、該胴部筒壁部分７′に連続する傾斜壁８と、
   前記テーパ壁６の一部と、前記底壁５とにより把
   持部７を形成し、前記一方の傾斜壁８を前記対角
   線Ｓに直交させると共に、前記凹部４のテーパ壁
   ６を、前記対角線Ｓに直交する型開き方向に対し
   て抜きテーパ角を有する構成として成る２軸延伸
   ブロー成形壜体。