JPH0433238Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、２軸延伸ブロー成形された比較的大
型な壜体の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

液体を収納する壜体にあつては、注出操作が容
易となるように、或いは持ち運びが便利であるよ
うに、壜体の一部に把手を設けておくことが望ま
しい。

しかしながら、合成樹脂で壜体を成形する場合
には、壜体の一部に把手を付設する構成とするこ
とは、金型構造が極めて複雑なものとなり、成形
に手間がかかつて高価なものとなり、特に２軸延
伸ブロー成形壜体では、通常の把手構造を付設す
ることは、構造的に殆ど不可能である。

このため、壜体の一部に把手を一体付設する構
成ではなく、壜体の胴部に、帯板状の厚紙、合成
樹脂製帯板体等を巻付け、この帯板体の一部を把
手構造とする構成、或いは、合成樹脂製の把手を
胴部の一部に組付ける構成、等が考えられている
が、その組立て、成形に手間がかかることは否定
できない。

この不満を解消する従来技術として、壜体の胴
部中央部分に凹部を周設し、この凹部の周設によ
り胴部中央部分に片手での把持が可能な小径部分
を形成したもの（実開昭52−114956号公報）があ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記した従来技術は、壜体胴部
の中央部分に凹部を周設し、この凹部の周設によ
り胴部中央部分に、片手で把持することのできる
小径部分を形成するものであるので、実施できる
壜体胴部の径範囲に限界があり、胴部径の大きい
壜体に対しては実施が不可能であると云う問題が
ある。

また、この凹部を周設した胴部部分は、その表
面形状が凹凸の激しいものとなるので、全周にわ
たつてラベルを貼着することができないと云う問
題がある。

なお、大型壜体の胴部に、この胴部の中央部後
半部分を、両側方から陥没させて把持部を一体に
形成する技術手段が、実公昭42−8381号公報、実
開昭54−176505号公報等に示されているが、この
両公報に開示された技術は、そのいづれもがガラ
ス製壜体に関する技術であり、剛性の低い合成樹
脂製２軸延伸ブロー成形壜体に関するものではな
い。

本考案は、上記した従来技術における問題点を
解消すべく考案されたもので、径の大きい胴部を
有する２軸延伸ブロー成形壜体の胴部に把手機能
部分を付形することを技術的課題とし、もつて片
手での取扱いの容易な大径な胴部を有する２軸延
伸ブロー成形壜体を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記技術的課題を解決する本考案の手段は、熱
可塑性合成樹脂製２軸延伸ブロー成形壜体である
こと、 筒形状をした胴筒のほぼ中央高さ位置の後半部
分を、この後半部分の左右部分を内方に陥没させ
て陥没部に成形することによつて、この陥没部の
底面部と胴部の後半部分の胴部筒壁部分とによ
り、片手で把持し易い幅の把持部に形成するこ
と、 把持部を構成する陥没部の底面部に複数の縦条
を並列設すること、 胴筒の下端に連設された底部の、把持部の胴部
筒壁部分に対して設定された中心角度の周縁箇所
に、切欠き部を設けること、 にある。

〔作用〕

把持部は、胴部の中央高さ位置の後半部分に設
けられているので、この把持部を片手で把持して
壜体を持ち上げると、内容液を収納している壜体
全体の重心とこの把持部との位置関係から、壜体
には、その口部を前方に傾斜させる方向への力が
作用し、もつてこの把持部を把持しての内溶液の
注出操作が行い易いものとなる。

この把持部は、胴部の筒壁の一部を陥没させた
だけであるので、この把持部に延伸過剰とか延伸
不足が生じることがなく、それゆえ壜体を、通常
の大型２軸延伸ブロー成形壜体と全く同じ成形操
作で２軸延伸ブロー成形することができる。

壜体の胴部は、その把持部を含めて、全体が充
分に延伸されるので肉薄となつており、このため
指先からの把持力を最も強く受ける把持部の底面
部は、決して充分な自己形状保持能力を持つては
いないが、この底面部に設けられた滑り止め用の
複数の縦条が補強リブとして構造的に機能するた
め、この縦条が底面部の機械的剛性を高めること
になり、これにより把持部の自己形状保持能力を
高めて、片手による壜体の把持携帯を安定したも
のとすることができる。

底部の周縁部に形成された切欠き部は、把持部
に対して予め設定された中心角度に位置している
ので、この切欠き部を利用して壜体の回動姿勢を
決定することにより、把持部の回動位置を正確に
位置出しすることができ、もつて胴部の前半部分
表面へのラベルの自動貼着等の、壜体に対する回
動位置出しの要求される作業を自動的にかつ正確
に達成できる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照しながら
説明する。

壜体１は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に
より２軸延伸ブロー成形されたもので、下端に底
部５を有する胴部４の上端に肩部３を介して、外
周面に螺条を刻設した直線短円筒形状をした口部
２を立設して構成されている。

胴部４に形成された把持部７を構成する一対の
陥没部６は、少なくとも第一指を除く四本の指が
位置できる程度に縦長であり、一方の陥没部６に
第一指をかけると共に他方の陥没部６に他の四本
の指をかけて把持部７を掴んだ際に、力を加え易
い形状となつている。

すなわち、第２図に示すように、胴部４の中心
を前後方向に通る仮想される直線である中心線に
対して、陥没部６の底面部８は対向して位置して
おり、この両底面部８は後方に拡がるテーパ面を
形成しており、さらにその間隔は把持部７を片手
で掴み易い数値に設定されている。

例えば、両底面部８の後側の間隔をｄ、前側の
間隔をd′とすると、常にｄ＞d′の関係であり、そ
の具体的な数値は、壜体１の形状とか容量等によ
つて異なるが、人間の手の大きさからして、ｄ＝
83mmに対してd′＝77mm、ｄ＝88mmに対してd′＝84
mm、ｄ＝77mmに対してd′＝71mm程度が適当であ
る。

両陥没部６の底面部８に設けられた縦条９は、
底面部８のやや後寄りに３本並列に設けられてい
るが、これは把持部７を握つた片手の指先が引つ
掛かり易くするためと、このやや後寄り部分が底
面部８の最も大きい平坦部分となつており、剛性
力が最も弱い部分となつているので、この部分の
剛性を構造的に高め、もつて把持部７全体として
剛性を高めている。

切欠き部１０は、底部５の周縁部の後側に、胴
部４の中心を前後に通る仮想される中心線に直交
する直線条の段部を有する構造となつている。切
欠き部１０が直線状の段部で構成されているの
で、例えば壜体１のコンベヤを利用した搬送中
に、壜体１の搬送移動により、例えは直線棒状の
ガイドを利用して壜体１の回動姿勢を自動規制す
ることが可能となる。

〔考案の効果〕

本考案は、上記した構成となつているので、以
下に示す効果を奏する。

把持部は、壜体の胴部に一対の陥没部を設けた
だけで構成されるので、この把持部が壜体の２軸
延伸ブロー成形操作に支障を与える恐れが全くな
く、従来通りの２軸延伸ブロー成形操作により壜
体の成形を良好に達成できる。

把持部を構成する陥没部の底面部に複数の縦条
を付設したので、陥没部の壁厚が薄くても、この
陥没部に比較的高い剛性を与えることができ、こ
れにより把持部を掴んだ際における底面部の変形
を少なくすることができるので、把持部の把持が
安定し、もつて把持部を掴んでの壜体の取扱いが
良好となる。

底部の周縁部に切欠き部を設けたので、この切
欠き部を利用して壜体の回動姿勢を簡単にかつ正
確に位置出しすることができ、もつて壜体の胴部
前側表面へのラベルの貼着作業等を、正確にかつ
自動的に達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す全体側面図
である。第２図は、第１図中−線に沿つて切
断矢視した平断面図である。第３図は、第１図に
示した実施例の底面図である。 符号の説明、１……壜体、２……口部、３……
肩部、４……胴部、５……底部、６……陥没部、
７……把持部、８……底面部、９……縦条、１０
……切欠き部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱可塑性合成樹脂製２軸延伸ブロー成形壜体で
   あつて、筒形状をした胴部のほぼ中央高さ位置の
   後半部分を、該後半部分の左右部分を内方に陥没
   させて陥没部に成形することによつて、該陥没部
   の底面部と前記後半部分の胴部筒壁部分とによ
   り、片手で把持し易い幅の把持部に形成し、該把
   持部の底面部に複数の縦条を並列設し、さらに前
   記胴部の下端に連設された底部の、前記把持部の
   胴部筒壁部分に対して設定された中心角度の周縁
   箇所に、切欠き部を設けて成る合成樹脂製壜体。