JPH0219366Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、肉薄でかつ縦長となつた２軸延伸成
形された合成樹脂製壜体に関するもので、壜体内
に発生した減圧によつて壜体としての外観が歪ん
だものとなるのを防止することを目的としたもの
である。

ポリエチレンテレフタレート樹脂製２軸延伸ブ
ロー成形壜体は、比較的大型のものを肉薄に成形
することができるので、１つの壜体を成形するの
に要する樹脂材料は少なくてすむので極めて経済
的であり、かつ強度にも優れ外観も良いものであ
ることから広く利用されるようになつている。

確かに上記した壜体は、強度的に優れたもので
はあるのであるが、肉薄であるために、壜体内に
発生した減圧によつて胴部の周壁が陥没変形し、
商品としての壜体の外観を著しく劣化させる不都
合があつた。

従来、この不都合を解消すべく、壜体の胴部中
央部に周突条を屈曲成形して耐圧性を高めると共
に壜体の取扱い時に握持され難い胴部の上半部
に、陥没変形し易くかつ壜体の外観に好ましい変
化を与えるべく縦長の凹部を複数個並列設する手
段がとられていた。

上記した複数の凹部は、壜体内に減圧が発生す
ると、壜体の他の部分が陥没変形を引き起こすよ
りもはるかに小さい負圧により容易に陥没変形し
て壜体の実質的な容積を減少させ、よつて壜体内
に発生した減圧の程度を小さくするように作用
し、もつて壜体の他の部分に減圧による陥没変形
が引き起こされないようにしている。

この凹部は、確かに壜体の全体としての形状が
壜体内に発生した減圧により不正に歪むことを防
止する顕著な効果があるのであるが、壜体が大
型、例えば１リツトル壜等になると、壜体内に発
生する減圧程度が極めて大きく、胴部上部に成形
された凹部だけではこの減圧を充分に吸収するこ
とができなかつた。

また、壜体の胴部の下部は、壜体を取扱う際に
おける握持部分となる部分であるため、この下部
に前記した凹部を設けることは、この凹部が握持
力により容易に内方に湾曲変形し易いので、安定
した壜体の取扱いを得ることができなくなつてし
まう不都合があつた。

本考案は、上記した従来例における不都合を解
消すべく考案されたもので、２軸延伸ブロー成形
されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の縦長
肉薄壜体の胴部下部にも減圧により陥没変形し易
い縦長の凹部を複数個並列に設け、この胴部の下
部にラベルを巻回貼付したものである。

以下、本考案を図面に従つて説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す正面図であ
り、第２図はその縦断面図である。

図中１は、本考案による壜体の胴部で、この胴
部１は肉薄の縦長有底円筒形状をしていて、中央
部に周突条４を折曲周設することにより上部２と
下部３とに区割されている。

この胴部１の上部２および下部には、縦長の複
数の凹部５が等間隔に並列に成形されている。

この凹部５は、この凹部５自体の壁が壜体の内
方に湾曲陥没する形態で成形されているので、壜
体内に減圧が発生すると、この減圧の作用によ
り、この凹部５が他の胴部１部分に比べてはるか
に陥没湾曲変形し易い部分となつている。

すなわち、図示実施例の場合、上部２および下
部３にそれぞれ６個づつの凹部５が形成されてお
り、この合計12個の凹部５が壜体内に減圧が発生
すると個々に陥没湾曲変形して、壜体内の減圧の
程度を軽減させるのである。

上部２と同様に凹部５を並列設した下部３には
商品名等を印刷したラベル６が巻回貼着されてい
る。

このように下部３にはラベル６が巻回されるの
で、下部３に成形された凹部５はラベル６により
被覆されてしまい、壜体の外観としては現われる
ことがない。

なお、このラベル６が巻回貼付される下部３の
下端は、上端の周突条４と同様に膨大した構造と
し、もつて巻回されたラベル６が上下に抜け出な
いようにするのが望ましい。

本考案は、上記した如き構成となつているの
で、壜体内に減圧が発生しても、胴部１の上部２
に附形された凹部５だけでなく下部３に附形され
た凹部５も発生した減圧を吸収すべく陥没湾曲変
形するので、上記減圧を充分に吸収することがで
き、これによつて発生した減圧を吸収しきれずに
他の壜体部分に減圧による陥没変形による歪を発
生させることを確実に防止することができる。

また、上部２と同様に凹部５を設けた下部３に
はラベル６が巻回されているので、壜体の取扱い
時に、この下部３を握持しても、指先が直接湾曲
変形し易い凹部５に接触することがなく、それゆ
え取扱い時の握持力によつて下部３が容易に湾曲
変形して、壜体を握持し難くなるという不都合の
生ずる恐れがなく、安定した壜体の取扱いを達成
することができる。

この場合、ラベル６を硬紙の如き比較的剛性の
大きい材料で形成すると、より安定した壜体の取
扱いを得ることができることになる。

以上の説明から明らかな如く、本考案は、壜体
内に発生した減圧を多数個設けた凹部５により、
より充分に吸収することができるので、壜体の外
観が減圧変形によつて歪むことが全くなく、商品
としての壜体の外観を一定した状態で安定に保持
することができ、またラベル６の作用によつて壜
体を取扱う際に、握持力によつて壜体が容易に湾
曲変形しないので、安定した握持操作を行なうこ
とができ、これによつて壜体の円滑な取扱いがで
きる等優れた作用効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図はその縦断面図である。 符号の説明、１……胴部、２……上部、３……
下部、４……周突条、５……凹部、６……ラベ
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２軸延伸ブロー成形された合成樹脂製壜体であ
   つて、肉薄な周壁をもつ有底縦長円筒形状をした
   胴部の中央部に周突条を屈曲成形すると共に該周
   突条により上下に区割された前記胴部の上部およ
   び下部に減圧変形し易い縦長な凹部を並列設し、
   さらに前記胴部の下部に前記凹部を覆うべくラベ
   ルを巻回貼付して成る合成樹脂製壜体。