JP3874148B2 - 合成樹脂製肉薄容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、省資源化および廃棄処理の簡易化を求めて、充分に肉薄に成形された合成樹脂製肉薄容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の液状内容液の詰め替え用容器として、省資源化および廃棄処理の簡易化を満たすべく、胴部の肉厚を0.2mm程度まで薄くした、延伸ブロー成形手段等により壜体状に成形された合成樹脂製の肉薄容器が多用されている。
【0003】
この肉薄容器は、主体部分である胴部全体の肉厚が充分に薄いので、一つの容器を成形するための合成樹脂材料の消費量が12.5g(容量510ml程度)と小さく、これにより合成樹脂材料の大幅な省資源化を得ることができて、容器の製造原価の大幅削減を達成でき、また主体部分である胴部全体の肉厚が充分に薄い分、この胴部の剛性が大幅に小さくなり、これにより使用後の容器の押し潰しが簡単となり、容器の廃棄処理が容易となる。
【0004】
また、基本的には従来からのブロー成形容器または延伸ブロー成形容器と同じ構成であるので、従来からの延伸ブロー成形技術(特には、2軸延伸ブロー成形技術)をそのまま利用し、単に、延伸量を増大させるか、容器に延伸成形されるプリフォームの寸法および肉厚を小さくするだけで、簡単にかつ好適に成形することができる。
【0005】
この合成樹脂製肉薄容器における、商品名、会社名、さらには品質説明等の表示は、胴部の剛性が小さいため、またこの胴部の小さい剛性を少しでも補強するために、胴部に多数の凹凸を付形しているため、胴部の外表面に直接印刷して施すとか、表示を印刷したラベルを貼着して施すことが難しく、このため多くの場合、熱収縮性フィルムを利用したシュリンクラベルで施している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、さらなる省資源化を求めて、一つの容器を成形するのに要する合成樹脂材料量を少なくすると、その分、容器の胴部の肉薄化が促進されて、この胴部の剛性が低下するため、シュリンクラベルの収縮力と、シュリンクラベルの収縮成形時の熱とにより、胴部が変形し、これにより容器の容量が変化したり、皺の発生や歪み変形により、商品としての美観が悪くなる、と云う問題があった。
【0007】
また、例え、容器本体に対するシュリンクラベルの装着が達成されても、掴持取扱い時の胴部の変形(特に、容器が開放状態となっている時)が大きいので、容器本体とシュリンクラベルとの間に相互離脱方向への変位が発生し易く、このためシュリンクラベルの容器本体に対する安定した装着が得られなくなる、と云う問題があった。
【0008】
さらに、容器本体およびシュリンクラベル共に、柔軟性に富んだものであり、かつ締め付け力だけでシュリンクラベルが胴部に外装しているので、例え内容液を密閉収納した状態であっても、撓み変形に伴う滑り等により掴持が不安定となり、このため取扱い処理に円滑さが欠け勝ちとなり、使用途中でもシュリンクラベルと容器本体とが滑って、容器本体が抜け落ちる等の取扱い時の不都合が発生し易い、と云う問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、合成樹脂製肉薄容器における表示を、容器本体の肉薄程度に関係なく、ラベルを利用して、明確に識別できる状態で施すことを技術的課題とし、もって長期間にわたって表示機能を安定して発揮させると共に、容器本体の更なる肉薄化を支障なく達成することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
充分に肉薄に延伸ブロー成形された、壜体状の透明な合成樹脂製容器本体を有すること、
この容器本体の胴部に内装され、外周面に表示を施した肉薄で撓み変形可能な筒体構造の内装ラベル筒を有すること、
内装ラベル筒を、容器本体の胴部の内周面周長と等しいか僅かに小さい外周面周長と、筒体形状への形状復元力である弾力と、を有するものとしたこと、
にある。
【0011】
内装ラベル筒は、強制的に小径に巻回保持された状態で、容器本体の口部から胴部内に挿入され、次いでその保持が解除されることにより、自身の弾力により筒体形状に拡径復元する。
【0012】
容器本体の胴部内で筒体形状に拡径復元した内装ラベル筒は、その外周面周長が、胴部に内周面周長と等しいか僅かに小さいので、表示を施した外周面を透明な胴部内周面に対して、当接させるか僅かな隙間を開けて対向させた状態で、筒体形状を自己保持するので、容器本体の胴部内に安定して組付くことになる。
【0013】
このように、内装ラベル筒は、容器本体の胴部に、表示を施した外周面を胴部内周面に当接させるか僅かな隙間を開けて対向させた状態で安定して内装組付きするので、その表示は、透明な胴部の壁を透して明瞭に視認することができ、この状態は、内装ラベル筒が容器本体に内装されていることから、安定して維持される。
【0014】
また、内装ラベル筒の容器本体に対する組付きは、筒体形状を自己保持する内装ラベル筒の弾力と、内装ラベル筒が容器本体の胴部に内装していることと、容器本体の胴部と内装ラベル筒の径寸法と、により達成維持されるので、容器本体の肉厚、特に胴部の肉厚の大小がこの組付きに影響を与えることはなく、それゆえ容器本体に対する内装ラベル筒の組付け達成のために、容器本体の肉薄化が抑制されることは全くない。
【0015】
内装ラベル筒は、その外周面を、容器本体の胴部内周面に殆ど当接させた状態で、容器本体の胴部内に嵌装状に組付くので、容器本体の胴部に作用する掴持力を、この胴部と一緒に受け止めることになり、これにより容器胴部の剛性を高めることが可能となり、また内装ラベル筒の機械的強度を利用することにより、得られる容器の種々の機械的耐久性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に、内装ラベル筒を、容器本体の胴部よりも大きい自己形状保持能力を発揮する剛性を有するものとした、ことを加えたものである。
【0017】
この請求項2記載の発明では、容器胴部に作用する掴持力に対する抗力としての剛性を、容器本体の肉薄程度に関わりなく、内装ラベル筒を主体として設定することが可能となるので、容器本体の肉薄化促進により、容器本体の胴部の剛性が大幅に低下して、取扱い上不足となり勝ちとなっても、内装ラベル筒により、この容器本体の胴部の剛性不足を補うことができるばかりか、容器本体の容器機能に悪影響を与えることなく、支障のない取扱いを得ることができる程度まで、容器胴部の剛性を簡単に高めることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に、内装ラベル筒の高さ幅を、容器本体の胴部の高さと略等しく設定した、ことを加えたものである。
【0019】
この請求項2記載の発明では、内装ラベル筒が、その下端縁を、容器本体の底部に当接させ、その上端縁を、容器本体の胴部の上端に縮径状に起立連設されている肩部に突き当てた状態で、容器本体の胴部に内装されるので、容器本体の胴部に対する内装ラベル筒の組付きが、略一定して不動に維持されることになり、これにより表示の表示状態が安定したものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
容器本体1は、有底円筒形状の胴部2の上端に、上方に縮径した円錐台筒形状の肩部3を介して、外周面に螺条を刻設した円筒状の口部4を起立連設した構成となっており、2軸延伸ブロー成形手段により肉薄に成形されているが、胴部2には、図示省略したが、剛性付与のため、細かい凹凸が付形されている。。
【0021】
容器本体1を成形する合成樹脂材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の材料の使用が可能であるが、例えば、ポリプロピレンで全高205.8mm、胴部最大外径66.1mmで、全内容積510mlの容器本体1を2軸延伸ブロー成形し、この際、一次成形品であるプリフォームに肉厚および延伸量の調整により、胴部2の平均肉厚を0.1〜0.06mmに設定すると、容器本体1を成形するのに要するポリプロピレンの量を、6.0gときわめて少量とすることができた。
【0022】
内装ラベル筒5は、胴部2の内周面周長と略等しい外周面周長と、胴部2の高さと等しい高さとを有する、肉薄で撓み変形可能な円筒形状に成形されており、その外周面6には、予め所望の表示7が施されていて、胴部2に内装された状態で、筒体形状を自己保持する弾性を有しており、さらに云うまでもないことであるが、充分な耐内容液性を有すると共に、内容液に対して全く悪影響を与えないものとなっている。
【0023】
この内装ラベル筒5の容器本体1への内装組付けは、内装ラベル筒5を、小径状に強制的に巻回保持した状態で、口部4から容器本体1内に挿入し、小径状に巻回保持された内装ラベル筒5の下端縁が胴部2の底部に当接した位置で、内装ラベル筒5に対する巻回保持力を取り去る。
【0024】
巻回保持力を取り去ると、内装ラベル筒5は、それ自身の弾力により筒体形状に拡径復元し、図1に図示したように、表示7を施した外周面6全域を胴部2の内周面全域に略当接させた状態で容器本体1に組付く。
【0025】
この内装組付き状態において、下端縁を胴部2の底部に当接させている内装ラベル筒5は、その上端縁8を、上方に縮径している肩部3に対向させることになるので、上方に妄りに変位することができず、これにより容器本体1内における組付き位置を自己保持することになる。
【0026】
内装ラベル筒5は、胴部2内周面に固着していないので、容器本体1を掴持して胴部2に局部的な陥没撓み変形が発生した際に、この胴部2の陥没撓み変形の周囲に位置する内装ラベル筒5の外周面6が、胴部2の内周面から浮き上がる状態となるが、多くの実験によると、内容液が透明である場合には、外周面6の胴部2内周面に対する浮き上がりが、2mm程度までは、表示7の内のバーコードの読み取り識別に何ら支障を生じることはなく、他の表示7の認識は、浮き上がりが2mm以上であっても何ら支障を生じることはなかった。
【0027】
また、表示7を識別する際は、識別したい表示7部分を正面に向けた姿勢で、容器の側部を掴持するのが普通であって、識別したい表示7部分が位置している胴部2部分を指先で押さえることはないので、識別したい表示7部分が胴部2内周面から2mm以上浮き上がることはないと考えて差し支えない。
【0028】
なお、容器本体1の胴部2を角筒形状とし、この胴部2の内周面の全周に内装ラベル筒5を略当接状に組付けたい場合には、内装ラベル筒5を、予め胴部2の角部に対向する部分を、胴部2の角部の曲率半径よりも僅かに大きい曲率半径で曲げ加工した構造としておけば良いのであるが、角筒形状となった胴部2の角数が大きい場合には、角部における内装ラベル筒5の浮き上がり程度が小さく、内装ラベル筒5に曲げ加工を施さなくても、内装ラベル筒5の表示7の識別に支障が生じることはない。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
内装ラベル筒は、表示を施した外周面を、容器本体の透明な胴部内周面に略当接させて、容器本体の胴部に内装されるので、他の物質との接触により破損したり、歪んだり、汚れたり、さらには容器本体に対する組付き姿勢が表示不能にずれたりすることがなく、長期間にわたって良好な表示状態を安定に維持する。
【0030】
内装ラベル筒は、容器本体の筒状の肉薄な胴部に、自己の弾力により自己形状を一定に保持した状態で内装組付きするので、容器本体の肉薄な胴部を不正に変形させることがなく、もって肉薄容器に所望する表示を安全にかつ適正に施すことができる。
【0031】
内装ラベル筒は、容器本体の肉薄な胴部からの支持力を要することなく、それ自身の弾力だけで胴部に組付くので、胴部に対する組付き達成に、胴部の肉厚程度が影響することはなく、もって容器本体の更なる肉薄化を促進することが可能となる。
【0032】
内装ラベル筒は、容器本体の胴部に略当接状に内装されるので、肉薄容器の胴部を二重壁構造に近いものとすることになり、これにより掴持力に対する胴部の剛性を高めることが可能であり、これにより容器の取扱い易さを高めることができる。
【0033】
請求項2記載の発明にあっては、内装ラベル筒を表示だけではなく、容器本体の補強機能部材として機能させることができるので、肉薄化による容器本体の胴部の剛性不足を補うことが可能となり、これにより容器本体の肉薄化による取扱い性の劣化を防止することができる。
【0034】
請求項3記載の発明にあっては、内装ラベル筒の容器本体に対する組付き姿勢をより安定させることができ、これにより長期間にわたって表示状態を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、全体斜視図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 胴部
3 ; 肩部
4 ; 口部
5 ; 内装ラベル筒
6 ; 外周面
7 ; 表示
8 ; 上端縁
Claims (3)
- 充分に肉薄に成形された壜体状の透明な合成樹脂製容器本体(1) と、該容器本体(1) の胴部(2) に内装され、外周面(6) に表示(7) を施した肉薄で撓み変形可能な筒体構造の内装ラベル体(5) とから構成し、該内装ラベル体(5) を、前記胴部(2) の内周面周長と等しいか僅かに小さい外周面周長と、筒体形状への形状復元力である弾力と、を有するものとして成る合成樹脂製肉薄容器。
- 内装ラベル体(5) を、容器本体(1) の胴部(2) よりも大きい自己形状保持能力を発揮する剛性を有するものとした請求項1記載の合成樹脂製肉薄容器。
- 内装ラベル体(5) の高さ幅を、胴部(2) の高さと略等しく設定した請求項1または2記載の合成樹脂製肉薄容器。
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