JP6623523B2 - 液体用容器 - Google Patents

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Description

本発明は、粘度の低い液体を収容するのに好適な液体用容器に関する。
生活用品の中には、使用の際に付属のキャップを利用して、内容物としての液体を計量する液体用容器が広く採用されている。計量の際に利用されるキャップは、容器の密閉性を担保するために必要な最小の容量であることが多いため、容器からキャップへ内容物を注出するときに、注出される内容物の量や勢いによっては、こぼれたり、あふれたりして使用者に不便を生じる場合があった。
使用者が容器から注出する内容物の量や勢いのコントロールを誤る原因の1つとして、容器を持ち上げる際の重心位置及び、注ぐ動作時に容器が傾斜するのに伴う重心位置の移動に対して、把持する位置及び方法が適切でないことによるものが知られている。特に、洗口液などのように、粘度が低く、液がスムーズに移動する場合には問題が発生し易い。
そこで、重心位置を考慮した液体用容器も提案されている。
例えば、特許文献1には、内容液の満充填時における容器の重心位置と取っ手との位置関係を限定して、内容液を注出し易く腕の疲れも少ないように構成した容器が提案され、また特許文献2、3には、手による容器本体の把持の基準位置を設定するために、容器本体に上端起立部と下端起立部とを設けるとともに、内容液の満充填時における容器の重心位置と、把持の基準位置との位置関係を限定し、大容量で重量の重いボトル容器でも、手の大きさや指の長さに関係なく、持ち易さと注ぎ易さを向上し得るように構成した容器が提案されている。
しかし、特許文献1〜3記載の発明においても、内容量が少なくなったときの問題、即ち内容物を注出するため容器を傾けて、内容物を含む容器の重心位置が、手による容器本体の把持位置よりも口部側へ移動したときに、把持位置を中心とした回転トルクが逆方向に切り換わり、口部を下側へ傾動させる力が作用して、内容物としての液体が勢いよく口部から注ぎ出されて、キャップからこぼれてしまったり、あふれてしまったりするという問題を解決できないものであった。
そこで、このような問題を解決すべく、例えば先行文献4には、上部グリップと下部グリップを設けた容器が提案され、引用文献5には、内容液の充填量が満量時の1/3重量の状態において容器を傾斜させた際、内容液が口部から注ぎ出始める直前5°の傾斜の間に生じる容器全体の重心点の移動量が6.0〜8.0mmである容器が提案されている。
特開2001−146237号公報 特許第5480524号公報 特許第5481188号公報 特許第5053057号公報 特開2003−72728号公報
ところが、特許文献4記載の容器では、上部グリップと下部グリップの2段階にしか把持位置を切換えることができないので、きめ細かな調整が困難なこと、内容量を目視できない容器も多く、上部グリップと下部グリップのどちらの把持位置を把持すべきかを予め確認することができず、内容量によっては、グリップを持ち直す必要があること、容器本体の上部と下部にグリップを形成する必要があるので、グリップにより容器のデザインが大幅に制約されること、などの問題がある。
また、特許文献5記載の発明では、取っ手を把持して内容物を注出するので、把持位置は殆ど変動することはないが、容器本体の胴部を手で把持する容器では、利用者によって把持位置が変動することから、特許文献5記載の技術をそのまま取っ手のない容器に適用することができない。しかも、容器本体の胴部を直接手で把持するように構成した容器では、容器本体を前後方向に扁平にして持ち易くしているが、大きく扁平させると内容量が少なくなることから、扁平度合にも自ずから限界があり、取っ手を設ける場合と比較して持ち難いことから、重心位置の移動による悪影響を受けやすいという問題がある。
本発明の目的は、容器本体の把持位置を、内容物を含む容器本体の重心位置を考慮した適正位置に案内することで、内容量の変化に伴って重心位置が変化しても、安定性良くスムーズに内容物を注出可能な液体用容器を提供するものである。
本発明に係る液体用容器は、前後方向に扁平な、手で把持可能な容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に取付けたキャップとを有し、前記容器本体の幅広側の前部及び後部に、前記容器本体を手で把持したときの第1指当部をそれぞれ設け、且つ、第1指当部が、前記容器本体に内容物としての液体を満充填したときの縦置き姿勢における容器本体の重心位置よりも縦方向上部の位置における、前記容器本体の前面の左右方向の途中部に設けた第1上部指当部と、前記第1上部指当部に連続的或いは間隔をあけて斜め下側へ向けて広がるように傾斜状に、前記容器本体の前面に設けた左右1対の第1傾斜指当部とを備えたものである。なお、本明細書において満充填とは、容器本体に内容物としての液体を隙間なく最大限充填した最大充填量を意味するものではなく、この最大充填量の95〜85%、好ましくは95〜90%程度の内容量を充填した状態を意味し、液体用容器に内容物を封入してなる商品の流通時における内容量を意味する。また、本明細書では、人差指を第1上部指当部又は第2上部指当部に当接させる場合について説明するが、人差指に代えて、人差指及び中指、あるいは中指のみを第1上部指当部又は第2上部指当部に当接させて容器本体を把持することも可能で、この場合には、「人差指」を、「人差指及び中指」、あるいは「中指」に読み替えて同様に構成できる。更に、右手で容器本体を把持する場合について説明するが、左手で把持することも可能で、この場合には、「右手」を「左手」に読み替えて同様に構成できる。
この液体用容器では、容器本体が前後方向に扁平に構成されているので、例えば容器本体を右手で把持する際には、容器本体の右側部に右手の手のひらが配置され、前面側又は後面側に右手の親指が配置され、後面側又は前面側に右手の残り4本の指が配置されるように、容器本体に対して側方より右手を挿入して、容器本体を把持することになる。このとき、第1上部指当部を目印として、右手の親指と人差指とが前後面の第1上部指当部に当接するように、該親指と人差指間に容器本体を挿入することで、右手の親指と人差指が重心位置付近の適正な位置に配置されるように容器本体を把持できる。また、この状態で、右手の親指と人差指とが前後面の第1上部指当部に当接するとともに、右手の親指と人差指とが前後面の第1傾斜指当部に当接することになる。ここで、第1上部指当部は、満充填時の縦置き姿勢における容器本体の重心位置よりも縦方向上部に位置するので、内容量の多寡に関係なく、容器本体を縦向きの安定姿勢で持ち上げることができ、しかも右手の親指と人差指の上方への移動が第1上部指当部との接触により抑制されるので、容器本体の滑りを防止して、容器本体を安定性良く持ち上げることができる。また、内容物を注出するため容器本体を傾けると、内容物を含む容器本体の自重により、容器本体を縦向きに戻そうとする回転トルクが作用するが、右手の親指と人差指が第1傾斜指当部に接触することで、該回転トルクが受け止められるので、容器本体を安定性良く傾動させて、安定性良くスムーズに内容物を注出できる。更に、内容量が少なくなった状態で、容器本体を傾けて内容物を注出する際には、右手の親指と人差指間における容器本体の傾動中心よりも口部側へ重心位置が移動するが、その際においても、右手の親指及び人差指が第1傾斜指当部に当接していることにより、口部側が勢いよく下側へ傾動することが抑制され、内容物をキャップに移し替える場合でも、内容物がこぼれたり、あふれたりすることを効果的に抑制乃至防止できる。第1指当部を設けることで、第1指当部の第1上部指当部或いは第1傾斜指当部に沿って親指を配置するように利用者に案内することができる。そして、第1上部指当部或いは第1傾斜指当部に沿って当接するように親指を配置させて容器本体を把持できれば、前述のように安定性良く容器本体を把持して、内容物を注出することができる。特に、右手の親指の上側の側部を第1傾斜指当部に沿って当接させると、内容物の移動により発生する容器本体の回転トルクを、第1傾斜指当部に線的に当接する親指の側部で、確実に且つ安定性良く受け止めることができ、安定性良く内容物を注出することができる。
前記第1傾斜指当部は、注出操作時における、内容物を含む容器本体の重心位置の移動軌跡と略平行に傾斜されていることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、内容量の移動及び内容量の変化に伴って重心位置の移動軌跡が変化しても、親指を第1傾斜指当部に線的に当接させて、安定性良く容器本体を傾動させて内容物を注出することができる。
前記第1傾斜指当部は、前記満充填時の30〜70%の内容物を容器本体に充填した状態で、該内容物を注出操作したときにおける、該内容物を含む容器本体の重心位置の移動軌跡と略平行に傾斜されていることが好ましい実施の形態である。内容物の注出時における手元の安定性は、内容量を含む容器本体の重量と、内容物の注出時における重心位置の移動距離の影響を受けて変化する。具体的には、容器本体に充填されている内容物の容量が多いと、容器本体が重たくなって、手元の安定性が低下し、少なくなると、容器本体が軽くなって、手元の安定性が向上する。一方、重心位置の移動距離は、容器本体の重量とは反対に、内容量が多くなると、重心位置の移動距離が小さくなって、手元の安定性が向上し、内容量が少なくなると、重心位置の移動距離が大きくなって、手元の安定性が低下する。このため、本発明のように、満充填時の30〜70%の内容物を容器本体に充填した状態を基準にして、第1傾斜指当部を設計することで、内容物の注出時における手元の安定性を、内容量の多寡に影響を受けることなく、満充填状態から、内容物が無くなるまでの全期間にわたって一様に向上できる。
前記第1傾斜指当部の上側の起点を、前記満充填時における重心位置よりも0〜12mmだけ、縦置き姿勢における容器本体の高さ方向の上側に配置することが好ましい実施の形態である。つまり、第1傾斜指当部の上側の起点位置付近に親指の先端側部分が配置されるので、本発明のように構成すると、起点と重心位置間の距離を短くして、容器本体のうちの親指と人差指とで摘まんでいる部分に大きな回転トルクが作用することを防止でき、容器本体の傾動操作性を向上できる。
前記第1上部指当部は、手のひらが前記容器本体の側部に当たるように、前記容器本体を側方より手で把持した状態において、少なくとも親指の末節骨に対応するように、左右方向に長さを有する直線状に形成されていることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、第1上部指当部に沿って親指が配置されるように、容器本体を把持した場合でも、親指を第1上部指当部に線的に当接させて、安定性良く容器本体を傾動させて内容物を注出することができる。
前記第1指当部を突条、突部、溝部、凹部、段差部又は傾斜部で構成することが好ましい。第1指当部は、突出状に連続的に延びる突条で構成したり、相互に間隔をあけて設けた複数の突部で構成したり、連続的に延びる溝部で構成したり、相互に間隔をあけて設けた複数の凹部で構成したり、第1指当部を境界部として、容器本体の上部側が下部側よりも容器本体の外方側へ膨出するように、該境界部に連続的に延びる段差部や傾斜部で構成したり、これらを任意に組み合わせて構成することができる。このように構成することで、親指及び人差指と第1指当部との滑りを抑制乃至防止して、容器本体を安定性良く持ち上げたり、傾動させたりすることが可能となる。なお、段差部又は傾斜部は、容器本体の前後面に少なくとも親指と人差指の末節骨に対応する部分が嵌合し得る面積の窪みを形成して、該窪みの周壁で構成することも可能である。
前記第1指当部として、前記容器本体の左右両側面に、前後の第1傾斜指当部の下端部を連結する第1側部指当部を備えることが好ましい実施の形態である。このように構成すると、親指と人差指の手のひら側部分や手のひらを、第1側部指当部に当接させて、容器本体との滑りを防止でき、容器本体を安定性良く持ち上げたり傾動させたりすることができる。
前記第1指当部を連続的或いは間欠的に容器本体の周囲に環状に形成することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、より一層安定性良く容器本体を把持できる。
前記容器本体を手で把持するときの第2指当部として、前記容器本体の左右両側面に、上端部が第1上部指当部と略同じ高さ位置に配置され、下端部が接続されてV字状に配置される1対の第2傾斜指当部を備えることも好ましい実施の形態である。このように構成した場合には、容器本体と手の位置関係が、容器本体の周方向にずれた場合でも、親指と人差指とが第2指当部の第2傾斜指当部に当接することで、第1傾斜指当部を設けた場合と同様に、容器本体を把持する側の手の親指と人差指を適正な位置に配置させて容器本体を把持でき、容器本体を傾けて内容物を注出するときの安定性を向上できる。
前記第2指当部として、前記第2傾斜指当部の上端部から前後の第1上部指当部側へ延びる第2上部指当部を備えることも好ましい実施の形態である。この場合には、容器本体と手の位置関係が、容器本体の周方向に多少ずれた場合でも、親指と人差指とが第2指当部の第2上部指当部に当接することで、第1上部指当部を設けた場合と同様に、容器本体を把持する側の手の親指と人差指を適正な位置に配置させて容器本体を把持でき、容器本体を安定性良く持ち上げることができる。
前記第2傾斜指当部は、注出操作時における、内容物を含む容器本体の重心の移動軌跡と略平行に傾斜されていることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、内容量の移動及び内容量の変化に伴って重心位置の移動軌跡が変化しても、親指と人差指を第2傾斜指当部に確実に当接させて、安定性良く容器本体を傾動させて内容物を注出することができる。
前記第2指当部を突条、突部、溝部、凹部、段差部又は傾斜部で構成することができる。第2指当部としては、第1指当部と同様に、突出状に連続的に延びる突条で構成したり、相互に間隔をあけて設けた複数の突部で構成したり、連続的に延びる溝部で構成したり、相互に間隔をあけて設けた複数の凹部で構成したり、第1指当部を境界部として、容器本体の上部側が下部側よりも容器本体の外方側へ膨出するように、該境界部に連続的に延びる段差部や傾斜部で構成したり、これらを任意に組み合わせて構成することができる。このように構成することで、親指及び人差指と第2指当部との滑りを抑制乃至防止して、容器本体を安定性良く持ち上げたり、傾動させたりすることが可能となる。なお、段差部又は傾斜部は、容器本体の側部に少なくとも親指と人差指の末節骨に対応する部分が嵌合し得る面積の窪みを形成して、該窪みの周壁で構成することも可能である。また、第1指当部と第2指当部は同じ断面形状に構成することもできるし、異なる断面形状に構成するともできる。
本発明に係る液体用容器によれば、容器本体が前後方向に扁平に構成されているので、例えば容器本体を右手で把持する際には、容器本体の右側部に右手の手のひらが配置され、前面側又は後面側に右手の親指が配置され、後面側又は前面側に右手の残り4本の指が配置されるように、容器本体に対して側方より右手を挿入して、容器本体を把持することになる。このとき、第1上部指当部を目印として、右手の親指と人差指とが前後面の第1上部指当部に当接するように、該親指と人差指間に容器本体を挿入することで、右手の親指と人差指が重心位置付近の適正な位置に配置されるように容器本体を把持できる。また、この状態で、右手の親指と人差指とが前後面の第1上部指当部に当接するとともに、右手の親指と人差指とが前後面の第1傾斜指当部に当接することになる。ここで、第1上部指当部は、満充填時の縦置き姿勢における容器本体の重心位置よりも縦方向上部に位置するので、内容量の多寡に関係なく、容器本体を縦向きの安定姿勢で持ち上げることができ、しかも右手の親指と人差指の上方への移動が第1上部指当部との接触により抑制されるので、容器本体の滑りを防止して、容器本体を安定性良く持ち上げることができる。また、内容物を注出するため容器本体を傾けると、内容物を含む容器本体の自重により、容器本体を縦向きに戻そうとする回転トルクが作用するが、右手の親指と人差指が第1傾斜指当部に接触することで、該回転トルクが受け止められるので、容器本体を安定性良く傾動させて、安定性良くスムーズに内容物を注出できる。更に、内容量が少なくなった状態で、容器本体を傾けて内容物を注出する際には、右手の親指と人差指間における容器本体の傾動中心よりも口部側へ重心位置が移動するが、その際においても、右手の親指及び人差指が第1傾斜指当部に当接していることにより、口部側が勢いよく下側へ傾動することが抑制され、内容物をキャップに移し替える場合でも、内容物がこぼれたり、あふれたりすることを効果的に抑制乃至防止できる。第1指当部を設けることで、第1指当部の第1上部指当部或いは第1傾斜指当部に沿って親指を配置するように利用者に案内することができる。そして、第1上部指当部或いは第1傾斜指当部に沿って当接するように親指を配置させて容器本体を把持できれば、前述のように安定性良く容器本体を把持して、内容物を注出することができる。特に、右手の親指の上側の側部を第1傾斜指当部に沿って当接させると、内容物の移動により発生する容器本体の回転トルクを、第1傾斜指当部に線的に当接する親指の側部で、確実に且つ安定性良く受け止めることができ、安定性良く内容物を注出することができる。
容器本体の斜視図 同容器本体の正面図 同容器本体の側面図 図2のIV-IV線断面図 図2のV-V線断面図 内容物として500、430、250ミリリットルの水を充填した状態における、横注ぎ時の重心位置及びその移動奇跡を示す容器本体の(a)は正面図、(b)は側面図 内容物として500、430、250ミリリットルの水を充填した状態における、斜め注ぎ時の重心位置及びその移動奇跡を示す容器本体の(a)は正面図、(b)は側面図 内容物として500、430、250ミリリットルの水を充填した状態における、縦注ぎ時の重心位置及びその移動奇跡を示す容器本体の(a)は正面図、(b)は側面図 他の構成の第1指当部の図5相当図 他の構成の第1指当部を備えた容器本体の斜視図 図10のXI-XI線断面図 他の構成の第1指当部の図11相当図 他の構成の第1指当部を備えた容器本体の正面図 他の構成の第1指当部を備えるとともに第2指当部を備えた容器本体の斜視図 同容器本体の正面図 同容器本体の側面図 他の構成の第1指当部を備えるとともに第2指当部を備えた容器本体の斜視図 同容器本体の正面図 同容器本体の側面図 他の構成の第1指当部を備えた容器本体の正面図 図20のXXI-XXI線断面図 市販の洗口液容器の容器本体の正面図 パネラー試験で用いた比較例3の容器本体の正面図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図5に示すように、液体用容器10は、前後方向に扁平な、手で把持可能な容器本体11と、容器本体11の口部11dに着脱自在に取付けたキャップ12とを備えている。
容器本体11は、前後方向に扁平な底面視楕円形の底部11aと、底部11aの外周縁から上方へ延びる横断面楕円形の筒状の胴部11bと、胴部11bの上端部に連なって設けられ、上方へ行くにしたがって縮径する錐状の肩部11cと、肩部11cの上端部から上方へ延びる略円筒状の口部11dとを備えている。
容器本体11は、合成樹脂材料を用いてブロー成形などにより一体成形され、口部11d及び底部11a以外は全体的に略一様な肉厚になるように構成されている。容器本体11の満充填時の内容量は、任意に設定可能であるが、容器本体11を手で把持して内容物を注出することを考慮して、2000〜300ミリリットル、好ましくは1000〜400ミリリットルが好適である。
容器本体11の胴部11bは、少なくとも手で把持する高さ方向の途中部が前後方向に扁平な外形であれば、上部及び下部の外形は、任意の外形に構成することが可能で、途中部と同じ外形に構成することも可能であるし、異なる外形に構成することも可能である。また、胴部11bのうちの手で把持する高さ方向の途中部は、前後方向に扁平な外形であれば、楕円以外の任意の形状に構成することが可能で、例えば4辺を略直線状に構成した長方形状や、後面側を略直線状に構成し、左右両側部を半円状に構成した長円形や、左側側部と右側側部とを半径の異なる円弧状に構成し、前後面を外方へ膨出する緩やかな湾曲状に形成した卵形などに構成することができる。
底部11aは、胴部11bの下端部に適合した外形であれば、楕円形以外の任意の形状に形成することができる。また、肩部11cは、胴部11bの上端部に適合した外形であれば、横断面楕円形以外の任意の形状に形成することができる。
口部11dの外周部にはネジ部11eが形成され、このネジ部11eにキャップ12を螺合して容器本体11を液密状に閉塞できるように構成されている。口部11dの内径Dは、内容物の粘性や内容物の1回の使用量などにもよるが、例えば洗口液を収容し、キャップ12で1回の使用量を計量する場合には、20mm〜35mmに設定することが好ましく、図1〜図4に示す液体用容器10では、21mmに設定されている。口部11dの長さLMは、任意に設定可能で、図22に示すような短尺な口部111dを有する従来の容器本体111に対しても本発明を適用できるが、内容物の注出量を一様に保ち易いことから、20〜40mmに設定することが好ましい。
キャップ12は、合成樹脂材料を用いて射出成形などにより成形されており、容器本体11に収容された液状の内容物をキャップ12に移し替えて、必要量の内容物を計量できるように構成されている。ただし、液体用容器10とは別部材からなる計量容器に液状の内容物を移し替えて、必要量の内容物を計量するように構成することもできるし、液状の内容物を計量しないでそのまま注出するように構成することもできる。
液体用容器10は、洗口液、洗眼液、うがい薬、飲み薬、醤油、ソース、液状甘味料、ごま油、サラダ油、洗剤、柔軟剤、漂白剤、シャンプー、リンス、ボディソープ、ヘアートリートメントなど、任意の組成の液状の内容物を収容する容器10として利用できる。特に、容器本体11内において内容物が移動して、内容物を含む容器本体11の重心位置が移動し易い、比較的粘性の低い液状物を収容する液体用容器10として好適である。
なお、液体用容器10の基本構成としては、胴部11bのうちの手で把持する部分が前後方向に扁平な構成であれば、前述した以外の構成の液体用容器10を採用することも可能である。
本発明は、前述のような液体用容器10において、容器本体11の胴部11bの幅広側の前部及び後部に、容器本体11を手で把持したときの第1指当部20をそれぞれ設け、且つ、第1指当部20が、容器本体11に内容物としての液体を満充填したときの縦置き姿勢における容器本体11の重心位置GMよりも、縦方向上部の位置における、容器本体11の前面の左右方向の途中部に設けた第1上部指当部21と、第1上部指当部21に連続的或いは間隔をあけて斜め下側へ向けて広がるように傾斜状に、容器本体11の前面に設けた左右1対の第1傾斜指当部22と、前後の第1傾斜指当部22の下端部を連結する、容器本体11の左側部及び右側部に設けた左右1対の第1側部指当部23を備えたものである。なお、前面側と後面側の第1指当部20は前後対称に構成されている。
第1指当部20は、胴部11bの外周部に沿って環状に連続的に連なって延びる、外方へ突出する突条で構成されている。突条の幅W1は、任意に設定可能であり、全周にわたって略一様な幅に構成することもできるし、部分的に異なる幅に構成することもできる。突条の高さhは、任意に設定可能であるが、第1指当部20を指で触って高低差を認識できる高さ以上に設定することが好ましく、例えば0.5mm以上に設定できる。
第1上部指当部21は、容器本体11に内容物としての液体を満充填して容器本体11を縦向きに設置した状態で、内容物を含む容器本体11の重心位置GMよりも縦方向の上部位置において、略水平に配置されている。第1上部指当部21の両端部、即ち第1傾斜指当部22の上側の下側縁の起点Pは、満充填時における重心位置GMよりも0〜12mmだけ、縦置き姿勢における容器本体11の高さ方向の上側に配置されている。縦置き姿勢における容器本体11の高さ方向(鉛直方向)に対する、起点Pと重心位置GM間の距離L1は、任意に設定可能であるが、離れすぎると容器本体11の傾動操作性が低下するので、例えば第1上部指当部21及び/又は第1傾斜指当部22の上部に親指THを当てた状態で、容器本体11に対する親指THの当接面よりもやや下側に重心位置GMが配置されるように構成することが好ましく、重心位置GMよりも0mm〜12mmだけ上側に配置することが好ましい。
第1上部指当部21は、少なくとも親指THの末節骨に対応するように、左右方向に長さを有する直線状に形成することも好ましい。このように構成するとで、第1上部指当部21に沿って親指THが配置されるように、容器本体11を把持した場合でも、親指THを第1上部指当部21に線的に当接させて、安定性良く容器本体11を傾動させて内容物を注出することができる。なお、第1上部指当部21は、長さ方向の中央部が両側部よりもやや上側に配置されるように湾曲状に形成したり、長さ方向の中央部が両側部よりもやや下側に配置されるように湾曲状に形成したりすることもできる。
第1上部指当部21の長さL2は、任意の長さに設定可能であるが、親指THと第1上部指当部21との接触長さを十分に確保するため、20mm以上に設定することが好ましい。
第1上部指当部21の両端部には1対の第1傾斜指当部22が斜め下側へ向けて広がるように傾斜状に設けられている。より具体的には、第1傾斜指当部22の上部には第1上部指当部21に連設される上側へ円弧状のアール部22aが設けられ、第1傾斜指当部22の途中部及び下部にはアール部22aの下端部に連なる斜め下側へ延びる傾斜部22bが設けられ、傾斜部22bはアール部22aよりも小さな曲率で緩やかに斜め下側へ突出する湾曲状に形成されている。ただし、第1指当部20に対する接触感は多少低下するが、アール部22aを省略して、傾斜部22bの上端部を第1上部指当部21の端部に連設することも可能である。また、傾斜部22bは、その途中部が上側へ突出する湾曲状に形成したり、全体的に直線状に形成したりすることもでき、この場合には、該傾斜部の下端部が第1側部指当部23に滑らかに連設されるように、第1傾斜指当部22の下部にもアール部を形成することが好ましい。
第1傾斜指当部22の傾斜部22bの傾斜角度θは、内容物の注出時における、内容物を含む容器本体11の重心位置の移動軌跡と略平行に設けられている。
ここで、第1傾斜指当部22の形状を決めるために行った、重心位置の移動軌跡に関する解析結果について説明する。
図6〜図8に示すように、第1指当部20を省略した以外は、容器本体11と同様に構成した容器本体11Tの重心位置の移動軌跡を解析した。容器本体11Tの各部の寸法は、高さを192mm、左右の最大幅を92mm、前後の最大厚さを55mmに設定した略楕円筒状で、口部11dの長さを33mm、口部11dの口径を21mmに設定し、満充填時の内容量を500ミリリットルに設定した。
容器本体11Tの持ち方は、親指THを前面側にし、残りの4本の指Fを後面側に配置して把持することを前提とした。また、内容物の注ぎ方は、次の3種類の注ぎ方に分類した。
(1)短手注ぎ:容器本体11Tの前後方向の軸線、即ち図4に示す軸線A1を中心として容器本体11Tを傾けて注出する注ぎ方。
(2)長手注ぎ:容器本体11Tの左右方向の軸線、即ち図4に示す軸線A2を中心として容器本体11Tを傾けて注出する注ぎ方。
(3)斜め注ぎ:容器本体11Tの斜め45°の軸線、即ち図4に示す軸線A3を中心として容器本体11Tを傾けて注出する注ぎ方。
そして、内容量が500ミリリットルの場合と、410ミリリットルの場合と、250ミリリットルの場合の3種類の内容量の場合のそれぞれに関して、前記3種類の注ぎ方で容器本体11Tを、0°、30°、40°、50°、60°、70°、75°、80°に順次傾斜させ、内容物が出始めるまでの各傾斜角度における重心位置を解析ソフトにて求めた。その結果を表1及び図6〜図8に示す。
Figure 0006623523
図6に示すように、短手注ぎの場合における、内容量が500、410、250ミリリットルのそれぞれの重心位置GS1、GS2、GS3の正面視の移動軌跡は、図6(a)に示すように、近似直線LS1,LS2,LS3で示すように形成され、側面視の移動軌跡は、図6(b)に示すように、上下方向の移動軌跡のみとなった。
図7に示すように、長手注ぎの場合における、内容量が500、410、250ミリリットルのそれぞれの重心位置GL1、GL2、GL3の正面視の移動軌跡は、図7(a)に示すように、上下方向の移動軌跡のみとなり、側面視の移動軌跡は、図7(b)に示すように、近似直線LL1,LL2,LL3で示すように形成された。
図8に示すように、斜め注ぎの場合における、内容量が500、410、250ミリリットルのそれぞれの重心位置GA1、GA2、GA3の正面視の移動軌跡は、図8(a)に示すように、近似直線LA1,LA2,LA3で示すように形成され、側面視の移動軌跡は、図8(b)に示すように、略上下方向の移動軌跡となった。
これらの近似直線LS1〜LS3、LL1〜LL3、LA1〜LA3と略平行な部分が形成されるように、第1傾斜指当部22の傾斜部22bを形成することになる。より具体的には、内容物の注出時における手元の安定性は、内容物を含む容器本体11Tの重量と、内容物の注出時における重心位置の移動距離の影響を受けて変化し、容器本体11Tに充填されている内容物の容量が多いと、容器本体11Tが重たくなって、手元の安定性が低下し、少なくなると、容器本体11Tが軽くなって、手元の安定性が向上する。一方、重心位置の移動距離は、容器本体11Tの重量とは反対に、内容量が多くなると、重心位置の移動距離が小さくなって、手元の安定性が向上し、内容量が少なくなると、重心位置の移動距離が大きくなって、手元の安定性が低下する。このため、満充填時の30〜70%、好ましくは40〜60%の容量の内容物を容器本体11Tに充填した状態を基準にして、重心位置の移動軌跡を求め、第1傾斜指当部22の傾斜部22bの少なくとも一部が、該重心位置の移動軌跡と略平行になるように設計することで、内容物の注出時における手元の安定性を、内容量の多寡に影響を受けることなく、満充填状態から、内容物を使い切るまでの全期間にわたって一様に向上できる。また、注ぎ方としては、実施例に示す容器のような楕円形、四角形、扁平な6角形などの多角形、扁平な不定形などの横断面形状を有する容器から液体状の内容物を注ぎ出す場合、容器の横断面の長手方向と短手方向との中間方向を中心に容器を傾けて内容物を注ぎ出す、いわゆる斜め注ぎをする消費者が最も多いことから、本実施の形態では、満充填時の50%(250ミリリットル)の内容物を充填して斜め注ぎした場合における、図8に示すように、重心位置GA3の移動軌跡の近似直線LA3を求め、この近似直線LA3と略平行になるように、傾斜部22bの上半部の傾斜角度θを45°に設定した。また、指に対する当たりがソフトになるように、傾斜部22bの上端部は、アール部22aを介して第1上部指当部21に滑らかに連設し、傾斜部22bの下半部は、上半部よりも徐々に傾斜角度が小さくなるように傾斜角度を、例えば45°〜15°に変化させて、水平な第1側部指当部23に滑らかに連設した。
なお、本実施の形態では、親指THと最も接触し易い傾斜部22bの上部の傾斜角度θを45°に設定したが、第1傾斜指当部22の全体或いは任意の部位の傾斜角度θを45°に設定することもできる。また、満充填時の50%の内容物を充填した状態を基準に、重心位置の移動軌跡の近似直線を求めて、該近似直線と略平行になるように傾斜角度θを45°に設定したが、前述のように満充填時の30〜70%、好ましくは40〜60%の範囲であれば、任意の容量の内容物を充填した状態を基準に、重心位置の移動軌跡の近似直線を求めて、該近似直線と略平行になるように傾斜角度θを設定することができる。更に、容量の異なる場合の複数の近似曲線を求めて、該複数の近似直線の傾斜角度の平均値を傾斜角度θとして設定することもできる。更にまた、重心位置の移動軌跡を近似直線で近似したが、近似曲線で近似するように構成することも可能で、この場合には近似曲線と略平行となるように傾斜部22bの一部又は全部を形成することになる。
第1側部指当部23は、容器本体11の左右の側部に略水平に設けられ、第1側部指当部23の両端部は前後の第1傾斜指当部22の下端部に滑らかに連結され、左右の第1側部指当部23は左右対称に構成されている。なお、この第1側部指当部23は省略することも可能である。
この液体用容器10では、容器本体11が前後方向に扁平に構成されているので、例えば容器本体11を右手で把持する際には、容器本体11の右側部に右手の手のひらが配置され、前面側又は後面側に右手の親指THが配置され、後面側又は前面側に右手の残り4本の指Fが配置されるように、容器本体11に対して側方より右手を挿入して、容器本体11を把持することになる。このとき、第1上部指当部21を目印にして、右手の親指THと人差指FFとが前後面の第1上部指当部21に当接するように、該親指THと人差指FF間に容器本体11を挿入することで、右手の親指THと人差指FFが満充填時の重心位置GM付近の適正な位置に配置されるように容器本体11を把持できる。また、この状態で、右手の親指THと人差指FFとが前後面の第1上部指当部21に当接するとともに、右手の親指THと人差指FFとが前後面の第1傾斜指当部22に当接することになる。ここで、第1上部指当部21は、満充填時の縦置き姿勢における容器本体11の重心位置GMよりも縦方向上部に位置するので、内容量の多寡に関係なく、容器本体11を縦向きの安定姿勢で持ち上げることができ、しかも右手の親指THと人差指FFの上方への移動が第1上部指当部21との接触により抑制されるので、容器本体11の滑りを防止して、容器本体11を安定性良く持ち上げることができる。また、内容物を注出するため容器本体11を傾けると、内容物を含む容器本体11の自重により、容器本体11を縦向きに戻そうとする回転トルクが作用するが、右手の親指THと人差指FFが第1傾斜指当部22に接触することで、該回転トルクが受け止められるので、容器本体11を安定性良く傾動させて、安定性良くスムーズに内容物を注出できる。更に、内容量が少なくなった状態で、容器本体11を傾けて内容物を注出する際には、右手の親指THと人差指FF間における容器本体11の傾動中心よりも口部11d側へ重心位置が移動するが、その際においても、右手の親指TH及び人差指FFが第1傾斜指当部22に当接していることにより、口部11d側が勢いよく下側へ傾動することが抑制され、内容物をキャップ12に移し替える場合でも、内容物がこぼれたり、あふれたりすることを効果的に抑制乃至防止できる。第1指当部20を設けることで、第1指当部20の第1上部指当部21或いは第1傾斜指当部22に沿って親指THを配置するように利用者に案内することができる。そして、第1上部指当部21或いは第1傾斜指当部22に沿って当接するように親指THを配置させて容器本体11を把持できれば、前述のように安定性良く容器本体11を把持して、内容物を注出することができる。特に、図2に示すように、右手の親指THの上側の側部を第1傾斜指当部22に沿って当接させると、内容物の移動により発生する容器本体11の回転トルクを、第1傾斜指当部22に線的に当接する親指THの側部で、確実に且つ安定性良く受け止めることができ、安定性良く内容物を注出することができる。
次に、前記実施の形態の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
(1)第1指当部20は、容器本体11の成形時に容器本体11に一体的に成形することが好ましいが、容器本体11から第1指当部20を省略し、第1指当部20に適合する形状の合成樹脂材料や金属材料の別部材からなる環状の線材を、第1指当部20を省略した容器本体11に接着したり、第1指当部20を省略した容器本体11とそれに外装されるシュリンクフィルム間に保持させて設けたりすることも可能である。
(2)図9に示す容器本体11Aのように、第1指当部20に代えて、該第1指当部20を設けていた位置に、連続的に延びる条溝からなる第1指当部20Aを設けることも可能である。条溝の深さdは、突条と同様に、指で触って高低差を認識できる深さ以上に設定することになり、例えば、0.5mm以上の深さに設定することになる。
(3)図10、図11に示す容器本体11Bのように、第1指当部20に代えて、該第1指当部20を設けていた位置に、連続的に環状に延びる段差部からなる第1指当部20Bを設けて、第1上部指当部21、第1傾斜指当部22、第1側部指当部23に代えて、第1上部指当部21B、第1傾斜指当部22B、第1側部指当部23Bを形成するとともに、胴部11bに代えて、第1指当部20Bよりも上側部分の外形を下側部分の外形よりも大きな外形の胴部11Bbを設けることも可能である。また、図12に示す容器本体11Cのように、段差部からなる第1指当部20Bに代えて、傾斜部からなる第1指当部20Cを設けるとともに、胴部11bに代えて、第1指当部20Cよりも上側部分の外形を下側部分の外形よりも大きな外形の胴部11Cbを設けることも可能である。
(4)図13に示す容器本体11Dのように、第1指当部20に代えて、該第1指当部20を設けていた位置に、相互に間隔をあけて配置した複数の突部又は凹部からなる第1指当部20Dを設け、第1上部指当部21と第1傾斜指当部22と第1側部指当部23を、複数の突部又は凹部からなる第1上部指当部21Dと第1傾斜指当部22Dと第1側部指当部23Dで構成することができる。なお、複数の突部又は凹部の長さや隣接する突部の間隔は、それぞれ任意に設定可能である。また、突部の高さ及び凹部の深さは、指で触って高低差を認識できる高さ以上及び深さ以上に設定することになる。
(5)図14〜図16に示す容器本体11Eのように、第1側部指当部23を省略するとともに、第1上部指当部21及び第1傾斜指当部22に代えて、略直線状に形成した以外は第1上部指当部21及び第1傾斜指当部22と同様に構成した第1上部指当部21Eと第1傾斜指当部22Eを形成し、第1指当部20に代えて、第1上部指当部21Eと第1傾斜指当部22Eとをアール部22aを介することなく直接的に鈍角状に接続した第1指当部20Eを設けることもできる。
また、図14〜図16に示すように、容器本体11Eを手で把持するときの第2指当部30として、容器本体11Eの左右両側面に、上端部が第1上部指当部21と略同じ高さ位置に配置され、下端部が接続されてV字状に配置される1対の第2傾斜指当部31と、第2傾斜指当部31の上端部から前後の第1上部指当部21側へ延びる第2上部指当部32とを設けることもできる。第2傾斜指当部31は、第1傾斜指当部22と同様に、内容物を含む容器本体11Eにおける、重心位置GA3の移動軌跡の近似直線LA3を求めて、該近似直線LA3と略平行な部分を有するように傾斜状に配置することになる。
この容器本体11Eでは、容器本体11Eと手との位置関係が、容器本体11Eの周方向にずれた場合でも、親指THと人差指FFとが第2指当部30の第2上部指当部32に当接することで、第1上部指当部21を設けた場合と同様に、容器本体11を把持する側の手の親指THと人差指FFを適正な位置に配置させて容器本体11を把持でき、容器本体11を安定性良く持ち上げることができるとともに、親指THと人差指FFとが第2指当部30の第2傾斜指当部31に当接することで、第1傾斜指当部22を設けた場合と同様に、容器本体11を把持する側の手の親指THと人差指FFを適正な位置に配置させて容器本体11を把持でき、容器本体11を傾けて内容物を注出するときの安定性を向上できる。
なお、第1指当部20E及び第2指当部30は、前記第1指当部20Aと同様に条溝で構成することもできるし、第1指当部20B、20Cと同様に段差部や傾斜部22bで構成することもできるし、第1指当部20Dと同様に複数の突部又は凹部で構成することもできる。なお、図17〜図19に示す容器本体11Fのように、第1上部指当部21E及び第1傾斜指当部22Eに代えて、第1指当部20と同様に、緩やかな山形形状に第1上部指当部21及び第1傾斜指当部22を有する第1指当部20Fを設けることもできる。
(6)図20、図21に示す容器本体11Gのように、第1指当部20に代えて、該第1指当部20の下側に親指THが嵌合可能な窪み部35を形成し、窪み部35の外周部に容器本体11Gの外方側広がりに傾斜した環状の周壁部35aを設け、第1上部指当部21及び第1傾斜指当部22に代えて、周壁部35aの上部に傾斜部からなる第1上部指当部21G及び第1傾斜指当部22Gからなる第1指当部20Gを形成することも可能である。
なお、本発明の第1指当部及び第2指当部は、前記実施の形態及び他の実施の形態における、突条、突部、溝部、凹部、段差部又は傾斜部を前述のように単独で用いて構成することもできるし、任意に組み合わせて構成することもできる。また、第1指当部及び/又は第2指当部に沿って少なくとも親指が配置されるように、第1指当部及び/又は第2指当部の形成位置を目視にて確認するための着色や装飾を、容器本体や容器本体に外装するフィルム材に施すこともできる。
次に、液体容器10の評価試験について説明する。
比較例1として、図22に示すように、胴部111bの高さを187mm、口部111dの長さを25mm、口部111dの口径を24mmに設定した以外は、容器本体11と同様に、胴部111bの左右の幅を92mm、胴部111bの前後の厚さを55mmに設定した略楕円筒状で、胴部111bにシュリンクフィルムからなる外装フィルムを外装した、満充填時の内容量が500ミリリットルの市販の洗口液用の容器本体111(サンスター社製、GUMデンタルリンス)を用いた。
比較例2として、図6に示すように、第1指当部20を有さない容器本体11Tを製作した。なお、比較例2の容器本体11Tは、比較例1の容器本体111の口部の長さを長くするとともに、口部の口径を小さく設定した以外は、比較例1の容器本体111と同様に構成されている。
実施例1として、図6に示す容器本体11Tの胴部11bの高さ方向の途中部に、容器本体11Tと同じ白色の段差1mmの第1指当部を、図1〜図5に示す第1指当部20に対応する位置に一体成形し、シュリンクフィルムからなる外装フィルムを胴部11bに外装した以外は、比較例2と同様に構成した容器本体を製作した。
実施例2として、実施例1の第1指当部に薄緑色の着色を施した以外は、実施例1と同様に構成した容器本体を製作した。
11人の試験官により、実施例1、2、比較例1、2の4種類の容器本体を用いて、内容物をキャップ12に移し替えたときの、取り出し易さ、薬剤の出方、出方のコントロールのし易さ、持ち易さについて、下記評価基準に1点〜5点の点数を設定してそれぞれ評価した。その結果を表2に示す。
1点:非常に不満
2点:不満
3点:とちらともいえない
4点:満足
5点:非常に満足
Figure 0006623523
比較例1、2から、口部の口径を小さくすることで、薬剤の出方及びコントロールのし易さが向上することが判る。また、実施例1、2のように第1指当部20を設けると、比較例1、2と比較して、薬剤の出方及びコントロールのし易さが更に向上するとともに、持ち易さが向上していることが判る。更に、実施例2のように第1指当部を着色すると、容器本体の適正な位置を把持し易くなることから、実施例1と比較して、薬剤の出方及びコントロールのし易さがより一層向上できることが判る。
次に、パネラー試験について説明する。
実施例3として、図1〜図5に示すように、第1指当部20を有する容器本体11を用いた。容器本体11の、各部の寸法は、図6に示す容器本体11Tと同様に設定した。
比較例3として、図23に示すように、前記実施例3の第1指当部20に代えて、第1上部指当部21の高さ位置に、第1指当部20と幅及び突出高さを同じに設定した環状の指当部220を設けた以外は、実施例3と同様に構成した容器本体211を用いた。
30代と40代の女性8名で、下記方法でパネラー試験を行った。
実施例3及び比較例3の容器本体11、211に250ミリリットルの水を入れた状態で、該容器本体11、211を一方の手で把持し、他方の手で把持した、直径40mm、高さ35mm、満注容量23ミリリットルのキャップに、半分位の目安で、内容物を移し替えてもらった。その時における「手元の安定感」について、下記評価基準に1点〜5点の点数を設定してそれぞれ評価してもらった。その結果を表3に示す。
1点:かなり悪い
2点:やや悪い
3点:どちらともいえない
4点:やや良い
5点:かなり良い
Figure 0006623523
表3から、実施例3は、比較例3と比較して、内容物をキャップに注ぐときの手元の安定感が向上していることが判る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
10 液体用容器 11 容器本体
11a 底部 11b 胴部
11c 肩部 11d 口部
11e ネジ部 12 キャップ
20 第1指当部 21 第1上部指当部
22 第1傾斜指当部 22a アール部
22b 傾斜部 23 第1側部指当部
11T 容器本体
11A 容器本体 20A 第1指当部
11B 容器本体 11Bb 胴部
20B 第1指当部 21B 第1上部指当部
22B 第1傾斜指当部 23B 第1側部指当部
11C 容器本体 11Cb 胴部
20C 第1指当部
11D 容器本体 20D 第1指当部
21D 第1上部指当部 22D 第1傾斜指当部
23D 第1側部指当部
11E 容器本体 20E 第1指当部
21E 第1上部指当部 22E 第1傾斜指当部
30 第2指当部 31 第2傾斜指当部
32 第2上部指当部
11F 容器本体 20F 第1指当部
11G 容器本体 20G 第1指当部
21G 第1上部指当部 22G 第1傾斜指当部
35 窪み部 35a 周壁部
111 容器本体 111b 胴部
111d 口部
211 容器本体 220 指当部
A1 軸線 A2 軸線
A3 軸線
D 内径 TH 親指
F 残りの指 FF 人差指
GM 重心位置 GA1 重心位置
GL1 重心位置 GS1 重心位置
L1 距離
LA1,LA2,LA3 近似直線
LL1,LL2,LL3 近似直線
LS1,LS2,LS3 近似直線
h 高さ W1 幅
L2 長さ LM 長さ
P 起点

Claims (7)

  1. 前後方向に扁平な、手で把持可能な容器本体と、該容器本体の口部に着脱自在に取付けたキャップとを有し、
    前記容器本体の幅広側の前部及び後部に、前記容器本体を手で把持したときの第1指当部をそれぞれ設け、
    且つ、第1指当部が、前記容器本体に内容物としての液体を満充填したときの縦置き姿勢における容器本体の重心位置よりも縦方向上部の位置における、前記容器本体の前後面の左右方向の途中部に設けた第1上部指当部と、前記第1上部指当部に連続的或いは間隔をあけて斜め下側へ向けて広がるように傾斜状に且つ斜め下側へ突出する湾曲状に、前記容器本体の前後面に設けた左右1対の第1傾斜指当部とを備え、
    前記第1傾斜指当部は、前記満充填時の30〜70%の範囲内における任意の容量の内容物を容器本体に充填した状態で、該内容物を注出操作したときにおける、該内容物を含む容器本体の重心位置の移動軌跡と略平行に傾斜され、
    前記第1指当部が、突条、突部、段差部又は傾斜部で構成されている、
    ことを特徴とする液体用容器。
  2. 前記第1傾斜指当部の上側の起点を、前記満充填時における重心位置よりも、縦置き姿勢における容器本体の高さ方向の上側であって、該重心位置から12mmまでの範囲内に配置した請求項1記載の液体用容器。
  3. 前記第1上部指当部は、手のひらが前記容器本体の側部に当たるように、前記容器本体を側方より手で把持した状態において、少なくとも親指の末節骨に対応するように、左右方向に長さを有する直線状に形成されている請求項1又は2記載の液体用容器。
  4. 前記第1指当部として、前記容器本体の左右両側面に、前後の第1傾斜指当部の下端部を連結する第1側部指当部を備えた請求項1〜のいずれか1項記載の液体用容器。
  5. 前記第1指当部を連続的或いは間欠的に容器本体の周囲に環状に形成した請求項記載の液体用容器。
  6. 前記容器本体を手で把持するときの第2指当部として、前記容器本体の左右両側面に、上端部が第1上部指当部と略同じ高さ位置に配置され、下端部が接続されてV字状に配置される1対の第2傾斜指当部を備え、前記第2指当部が、突条、突部、溝部、凹部、段差部又は傾斜部で構成されている請求項1〜のいずれか1項記載の液体用容器。
  7. 前記第2指当部として、前記第2傾斜指当部の上端部から前後の第1上部指当部側へ延びる第2上部指当部を備えた請求項記載の液体用容器。
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