JP4376093B2 - 薄膜ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、電池駆動を念頭においた低消費電力型の薄膜ガスセンサに関する。
一般的にガスセンサは、ガス漏れ警報器などの用途に用いられており、ある特定ガス、例えば、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、メタノール蒸気(CHOH)等に選択的に感応するデバイスであり、その性格上、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、低消費電力が必要不可欠である。
ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器には、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたもの、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または、両方の機能を合わせ持ったものなどがあるが、いずれもコストや設置性(ガス検知が必要であるが電源供給不能の箇所である点)の問題から普及率はそれほど高くない。そこで、普及率の向上を図るべく、設置性の改善、具体的には、電池駆動によるガス漏れ警報器としてコードレス化することが望まれている。
ガス漏れ警報器の電池駆動を実現するためにはガスセンサの低消費電力化が最も重要である。しかしながら、接触燃焼式や半導体式のガスセンサを動作させるためには、ガスセンサのガス感知膜を200℃〜500℃の高温に加熱する必要があり、この加熱が電力を消費する要因である。SnOなどの粉体を焼結して作製したガス感知膜によるガスセンサでは、スクリーン印刷等の方法を用いてガス感知膜の厚みを可能な限り薄くしてガス感知膜の熱容量を小さくしているが、薄膜化には限界があって充分に薄くできない。このため、従来技術のセンサ構造では、電池により駆動するにはガス感知膜の熱容量が大きすぎ、これを高温に加熱するには大きい電力が必要で電池の消耗が大きくなり、電池駆動で3〜5年の寿命を保証することは不可能であり、電池駆動のガス感知膜によるガスセンサは実用化が困難であった。
そこで、微細加工プロセスにより高断熱・低熱容量のダイヤフラム構造として、実用上許容しうる低消費電力の薄膜ガスセンサが開発実用化されて現在に至っている。続いてこのような薄膜ガスセンサについて説明する。
図5は、従来技術1の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
この従来技術1の薄膜ガスセンサは、シリコン基板(以下Si基板)1、熱絶縁支持層2、ヒーター層3、電気絶縁層4、ガス感知層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−SiO層2bの二層構造となっている。また、ガス感知層5は、詳しくは、接合層5a、感知電極層5b、感知層5cを備える。感知層5cはアンチモンが添加された二酸化スズ層(以下、Sb−doped SnO層)である。
この従来技術1の薄膜ガスセンサは、様々な気体成分と接触することにより酸化物半導体である感知層5cの電気抵抗値が変化する現象を利用している。300〜400℃程度に加熱された金属酸化物半導体は導電率がガス濃度により変化する特性を持ち、空気中では酸素を吸着して高抵抗化するが可燃性ガス中では可燃性ガスを吸着して低抵抗化する。
詳しくは、Sb−doped SnO層などのn型金属酸化物半導体であって300〜400℃程度に加熱された感知層5cは、空気中では粒子表面に酸素などを活性化吸着するが、酸素は電子受容性が強くて負電荷吸着するため、酸化物半導体粒子表面に空間電荷層が形成され導電率が低下して高抵抗化し、また、可燃性ガスなどの電子供与性の還元性気体が吸着して燃焼反応が起こると表面吸着酸素が消費され、酸素に捕獲されていた電子が半導体内にもどされ、電子密度が増加して導電率が増大して低抵抗化する、というものである。
しかしながら、このような薄膜ガスセンサは、多様なガスの検知が可能である反面、特定のガスを選択的に検知することは困難であった。
そこで、ガス選択性を向上させた薄膜ガスセンサも各種開発されている。図6は、従来技術2の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
この従来技術2の薄膜ガスセンサは、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒーター層3、電気絶縁層4、ガス感知層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−SiO層2bの二層構造となっている。また、ガス感知層5は、詳しくは、接合層5a、感知電極層5b、感知層5c、ガス選択燃焼層5dを備える。この感知層5cは従来技術1で説明したSb−doped SnO層であり、ガス選択燃焼層5dは白金が添加された二酸化スズ層(以下、Pt−doped SnO層)である。従来技術2の薄膜ガスセンサは、従来技術1の薄膜ガスセンサに対してさらにガス選択燃焼層5dを追加したものである。
このようにガス感知層5として、特に感知層5cとガス選択燃焼層5dの二層構造とし、触媒(図6でPt)を添加したガス選択燃焼層5dを上側第一層とし、また、触媒を添加しない、あるいは、ドナーとなる元素(図6ではSb)を添加した感知層5cを下側第二層とし、感知層5cに一対の感知電極層5b,5bを接合することにより、感知電極層5bと感知層5cのコンタクト抵抗を小さくするとともに、検知ガス中での一対の感知電極層5b,5bの電極間抵抗に対してコンタクト抵抗が無視できるほど小さくすることで、ガス感度を高めるとともに低消費電力化を図り、さらに、Ptを添加した上側第一層のガス選択燃焼層5dで検知ガスより酸化活性の強いガスを燃焼させ、ある特定のガスのみのガス感度を向上させている。
そして、上記の従来技術2とほぼ同じ構成を有する薄膜ガスセンサが、特許文献1に開示されている。特許文献1記載の薄膜ガスセンサは、添加物を含まない、または、As,Sb,Taを含む感知層と、Ptを含む選択燃焼層と、による二層構造とした点が同じである。この特許文献1の薄膜ガスセンサは従来技術2と同様の効果を有している。
また、ガス選択性を向上させる他の薄膜ガスセンサも開発されている。図7は、従来技術3の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
この従来技術3の薄膜ガスセンサは、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒーター層3、電気絶縁層4、ガス感知層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−SiO層2bの二層構造となっている。また、ガス感知層5は、詳しくは、接合層5a、感知電極層5b、感知層5c、ガス選択燃焼層5eを備える。この感知層5cはSb−doped SnO層であり、ガス選択燃焼層5eはパラジウムを触媒として担持したアルミナ焼結材(以下、Pd担持Al焼結材)である。従来技術3の薄膜ガスセンサは、上記した従来技術1の薄膜ガスセンサに対してさらにこのガス選択燃焼層5eを追加したものである。
このようにガス感知層は、Sb−doped SnO層である感知層5cの表面全体を、Pd担持Al焼結材で構成されたガス選択燃焼層5eが覆う構造としている。
これにより検知ガスよりも酸化活性の強いガスを燃焼させ、ある特定のガスのみの感度を向上させるとともに、そのセンサ部の大きさや膜厚、ダイヤフラム径との比などを工夫することで、ある特定のガス選択性を高め、消費電力の低減化を可能とする。
そして、上記の従来技術3とほぼ同じ構成を有する薄膜ガスセンサが、特許文献2に開示されている。特許文献2記載の薄膜ガスセンサは、ガス感知層が、SnO層の感知層と、PtやPdを担持したアルミナ焼結材の選択燃焼層と、の二層構造とした点が同じである。この特許文献2の薄膜ガスセンサは従来技術3と同様の効果を有している。
また、ガス選択性を向上させた他の薄膜ガスセンサとして、図8で示すような薄膜ガスセンサがある。図8は、従来技術4の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。
この従来技術4の薄膜ガスセンサは、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒーター層3、電気絶縁層4、ガス感知層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−SiO層2bの二層構造となっている。また、ガス感知層5は、詳しくは、接合層5a,感知電極層5b,感知層5c,第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gを備える。この感知層5cはSb−doped SnO層であり、第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gはパラジウム・白金を触媒として担持したアルミナ焼結材(以下、Pd,Pt担持Al焼結材)である。従来技術4の薄膜ガスセンサは、上記した従来技術1の薄膜ガスセンサに対してさらにこれら第1ガス選択燃焼層5f、第2ガス選択燃焼層5gを備えるものである。
このようにガス感知層は、感知層5cの全体をPt、Pdの触媒を含有した焼結材で構成された二層構造の第1ガス選択燃焼層5f、第2ガス選択燃焼層5gで覆うように構成し、且つ感知層5cからの距離に応じて触媒の組成を変えた選択燃焼層を積層した構成を採用して、低消費電力で駆動でき、特にメタンに対する選択性と素子の実効温度変化を向上させている。
そして、上記の従来技術4とほぼ同じ構成を有する薄膜ガスセンサが、特許文献3に開示されている。特許文献3記載の薄膜ガスセンサは、ガス感知層が、SnO層の感知層と、Ptを担持したアルミナ焼結材を上下二層構造とした選択燃焼層と、による三層構造としたものであり、ほぼ同じ構成である。この特許文献3の薄膜ガスセンサは従来技術4とほぼ同様の効果を有している。
特開2000−292399号公報(図1) 特開2000−292395号公報(図1) 特開2000−298108号公報(図8)
従来技術1,2,3,4の薄膜ガスセンサは、低消費電力化とともにガスの選択性を向上させているが、都市ガス・プロパンガス用の可燃性ガス検知や、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的とする薄膜ガスセンサは、例えばCO検出用のCOセンサとして用いる場合、COに対するガス感度が良好であることはもちろんのこと、CHやHなどの異種ガスに対する確実な選択性が要求される。
しかしながら、図5を用いて説明した従来技術1の薄膜ガスセンサでは、ガス感知層5の感知層5cの構成が、Sb−doped SnO層単体の構成であるため複数の還元性ガス種に感応してしまい、ある特定のガスだけに選択的に感応することはできないという問題があった。
また、図6を用いて説明した従来技術2の薄膜ガスセンサでは、Pt−doped SnO層のガス選択燃焼層5dを成膜する構成として、検知ガスより酸化活性の強いガスを燃焼させ、ある特定のガスのみの感度を向上させる構成であるが、他のガスについてはセンサのガス感度が充分でないという問題があった。
また、図7を用いて説明した従来技術3の薄膜ガスセンサでは、Sb−doped SnO層の感知層5cの表面に、AlにPdを触媒として担持した焼結材で構成されたガス選択燃焼層5eで検知部全体を覆うように構成して検知ガスより酸化活性の強いガスを燃焼させ、ある特定ガスのみのガス感度を向上させる構成であるが、他のガスについてはセンサのガス感度が充分でないという問題があった。
また、図8を用いて説明した従来技術4の薄膜ガスセンサでは、Sb−doped SnO層の感知層5cをPt、Pdの触媒を含有した焼結材で構成された二層構造の第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gで全体を覆うように構成している。さらに、第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gは、感知層5cからの距離に応じて触媒の組成を変えて積層した構成としている。このような構成とすることにより、低消費電力であるとともにメタンに対する選択性と素子の実効温度変化を向上させた薄膜ガスセンサとすることができるが、COセンサとして用いられた場合にはPt,Pdを含有させた第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gでCOがPtに吸着されて感知層5cまで到達できなくなり、COについてはセンサのガス感度が充分ではないという問題があった。
このような事情に鑑み複数種類のガスに対するガス選択性およびガス感度を向上させたいという要請があった。
また、図7の従来技術3のガス選択燃焼層5e,図8の従来技術4の第1ガス選択燃焼層5f,第2ガス選択燃焼層5gでは、ともにアルミナ焼結材を用いている。これら選択燃焼層の形成方法は、一般的に、Alに触媒を担持した粉末をバインダとともに混練し、スクリーン印刷法により塗布するが、ここで使用されるバインダは一般的には結合強度が弱いアルミナゾルバインダであってシリカゾルバインダは結合強度が強いにも拘わらず用いることができなかった。
この従来技術3(図7参照)でシリカゾルバインダによるガス選択燃焼層5eを形成した場合、40℃80%RHの高温高湿環境下で10日間連続通電試験をすると、例えばCO=100ppm中の抵抗値が、試験前にRco100ppm=1×10Ωであったものが、試験後にはRco100ppm=5×10Ωと、一桁以上も高くなるという現象が知見された。
この現象について説明する。図7で示す従来技術3のセンサ構造では、感知層5cとガス選択燃焼層5eが直接接触し、それらの界面で図9の反応模式図に示す反応がおこると考えられる。すなわち、感知層5cのSnOの表面に吸着しているOH基と、ガス選択燃焼層5eのシリカゾルバインダ(SiO)表面に吸着しているOH基が反応してHOができるとともに、SnOとSiOが強固に結合する。
ところで、感知層5cの本来の作用は、通常では空気中にあってその表面にO2−基が吸着し感知層5cのSnOから電子を奪ってSnOの抵抗値が上昇した状態となり、例えばCO検出時では濃度拡散によりCOが来てO2−基と反応する過程でSnOに電子を放出し、その結果、SnOの抵抗値が低下する。薄膜ガスセンサではこの抵抗値を検出することで対応するCO濃度を検出するものである。しかし、図9で示した結合反応が生じると、OH基の吸着によってSnO層表面に空乏層ができて、SnOの抵抗値が高くなるが、SnO表面に吸着したOH基がO2−基に置き換わらなくなって空気中でもSnOの抵抗値が十分に上昇せず、O2−基がないことから当然にCOが来てもSnOの抵抗値の低下が生じない。つまりガス感知層5が反応しなくなるという問題があった。このような不具合のため、シリカゾルバインダが用いられることはなかった。しかしながら、接合強度がアルミナゾルバインダより強いシリカゾルバインダを用いて信頼性を向上させたいという要請もある。このようにアルミナゾルバインダのみならずシリカゾルバインダでも使用できるような構造のセンサが求められていた。
そこでこの発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、耐環境性とともに、複数種類のガスに対するガス選択性およびガス感度を向上させた薄膜ガスセンサを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る薄膜ガスセンサは、
貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
熱絶縁支持層上に設けられるヒーター層と、
熱絶縁支持層およびヒーター層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
電気絶縁層上に設けられるガス感知層と、
を備える薄膜ガスセンサであって、
前記ガス感知層は、
電気絶縁層上に設けられる一対の感知電極層と、
一対の感知電極層を渡されるように設けられる感知層と、
感知層の表面に設けられ、Pt(白金)を触媒として添加したSnO による薄膜半導体の第1ガス選択燃焼層と、
第1ガス選択燃焼層及び前記感知層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)を触媒として担持したAl 焼結材による第2ガス選択燃焼層と、
を備えることを特徴とする。
求項2に係る薄膜ガスセンサは、
請求項1に記載の薄膜ガスセンサにおいて、前記第ガス選択燃焼層は、バインダがアルミナゾルバインダであることを特徴とする。
求項3に係る薄膜ガスセンサは、
請求項1に記載の薄膜ガスセンサにおいて、前記第2ガス選択燃焼層は、バインダがシリカゾルバインダであることを特徴とする。
感知層(Sb−doped SnO層)の表面にPt−doped SnO層である第1ガス選択燃焼層を感知層表面に形成し、その上にPd担持Al焼結材である第2ガス選択燃焼層を形成する。このような構成では、まず、第2ガス選択燃焼層でCH,Hを燃焼させ、COを優先的に感知層(Sb−doped SnO層)へ通過させる。第2ガス選択燃焼層と感知層の間に形成した第1ガス選択燃焼層(Pt−doped SnO層)は触媒酸化活性が強く低温側でH,CHを燃焼させる。さらに、Pt触媒から感知層への酸素供給作用がありセンサークリーニング効果が向上する。
これによりCO濃度勾配が急峻化(図2参照)して、CO検出用のCOセンサとしては、ガス感度が向上する。また、メタン選択性、水素選択性を向上することができる。
また、感知層(Sb−doped SnO層)と第2ガス選択燃焼層(Pd担持Al焼結材)との間に第1ガス選択燃焼層(Pt−doped SnO層)を介在させたため、上記したような感知層のSnOとシリカ(SiO)とが結合する反応がなくなってシリカゾルバインダが利用できるようになり、強固な構造を特徴とする薄膜ガスセンサとしても良く、また、アルミナゾルバインダを用いてセンサ感度の向上を特徴とする薄膜ガスセンサとしても良い。
以上のような本発明によれば、耐環境性とともに、複数種類のガスに対するガス選択性およびガス感度を向上させた薄膜ガスセンサを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(第1形態)の薄膜ガスセンサについて図を参照しつつ説明する。図1は本形態の薄膜ガスセンサの断面構造図である。
薄膜ガスセンサは、Si基板1、熱絶縁支持層2、ヒーター層3、電気絶縁層4、ガス感知層5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−Si層2c、CVD−SiO層2bの三層構造となっている。また、ガス感知層5は、詳しくは、接合層5a,感知電極層5b,感知層5c,第1ガス選択燃焼層5h,第2ガス選択燃焼層5iを備える。この感知層5cはSb−doped SnO層であり、第1ガス選択燃焼層5hはPt−doped SnO層であり、第2ガス選択燃焼層5gはPd担持Al焼結材である。
なお、この構成では、従来技術1〜4と同じ構成については同じ符号を付するとともに重複する説明は省略している。
このような本発明のガス感知層の構成と従来技術1,2,3の構成とを比較すると次の表1に示すようになる。
Figure 0004376093
このように、本発明の薄膜ガスセンサは、上記した従来技術2の第1ガス選択燃焼層と従来技術3の第2ガス選択燃焼層を共に備え、ダイアフラム構造などにより超低熱容量構造とした低消費電力型の薄膜ガスセンサとしている。
続いて各部構成について説明する。
Si基板1はシリコン(Si)により形成され、貫通孔を有するように形成される。
熱絶縁支持層2はこの貫通孔の開口部に張られてダイアフラム様に形成されており、Si基板1の上に設けられる。
熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−Si層2c、CVD−SiO層2bの三層構造となっている。
熱酸化SiO層2aは熱絶縁層として形成され、ヒーター層3で発生する熱をSi基板1側へ熱伝導しないようにして熱容量を小さくする機能を有する。また、この熱酸化SiO層2aはプラズマエッチングに対して高い抵抗力を示し、後述するがプラズマエッチングによるSi基板1への貫通孔の形成を容易にする。
CVD−SiO層2bは、ヒーター層3との密着性を向上させるとともに電気的絶縁を確保する。CVD(化学気相成長法)によるSiO層は内部応力が小さい。
ヒーター層3は、薄膜状のNi−Cr膜(ニッケル−クロム膜)であって、熱絶縁支持層2のほぼ中央の上面に設けられる。また、図示しない電源供給ラインも形成される。
電気絶縁層4は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層からなり、熱絶縁支持層2およびヒーター層3を覆うように設けられる。ヒーター層3と感知電極層5bとの間に電気的な絶縁を確保し、また、電気絶縁層4は感知層5cとの密着性を向上させる。
接合層5aは、例えば、Ta膜(タンタル膜)またはTi膜(チタン膜)からなり、電気絶縁層4の上に設けられる。この接合層5aは、感知電極層5bと電気絶縁層4との間に介在して接合強度を高める機能を有している。
感知電極層5bは、例えばPt膜(白金膜)またはAu膜(金膜)からなり、感知層5cの感知電極となるように左右一対に設けられる。
感知層5cは、Sb−doped SnO層からなり、一対の感知電極層5b,5bを渡されるように電気絶縁層4の上に形成される。
第1ガス選択燃焼層5hは、第一の触媒である白金を含む薄膜半導体であり、先に説明したようにPt−doped SnO層である。第1ガス選択燃焼層5hは、感知層5cの表面に設けられる。
第2ガス選択燃焼層5iは、第二の触媒であるパラジウムを担持した焼結体であり、先に説明したようにPd担持Al焼結材である。Alは多孔質体であるため、孔を通過する検知ガスがPdに接触する機会を増加させて燃焼反応を促進させる。第2ガス選択燃焼層5iは、電気絶縁層4、接合層5a、一対の感知電極層5b,5b、感知層5cおよび第1ガス選択燃焼層5hの表面を覆うように設けられる。
このような薄膜ガスセンサはダイアフラム構造により高断熱,低熱容量の構造としている。薄膜ガスセンサの構成はこのようなものである。
続いて、本形態の薄膜ガスセンサの製造方法について概略説明する。
まず、板状のシリコンウェハー(図示せず)に対して熱酸化法によりその片面(または表裏両面)に熱酸化を施して熱酸化SiO膜たる熱酸化SiO層2aを形成する。
そして、熱酸化SiO層2aを形成した面にCVD−Si膜をプラズマCVD法にて堆積してCVD−Si層2cを形成する。そして、このCVD−Si層2cの上面にCVD−SiO膜をプラズマCVD法にて堆積してCVD−SiO層2bを形成する。
さらに、CVD−SiO層2bの上面にNi−Cr膜をスパッタリング法により堆積してヒーター層3を形成する。そして、このCVD−SiO層2bとヒーター層3との上面にスパッタSiO膜をスパッタリング法により堆積して、スパッタSiO層である電気絶縁層4を形成する。
この電気絶縁層4の上に接合層5a、感知電極層5bを形成する。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法によって行う。成膜条件は接合層(TaあるいはTi)5a、感知電極層(PtあるいはAu)5bとも同じで、Arガス(アルゴンガス)圧力1Pa、基板温度300℃、RFパワー2W/cm、膜厚は接合層5a/感知電極層5b=500Å/2000Åである。
一対の感知電極層5b,5bに渡されるように電気絶縁層4の間にSb−doped SnO膜がスパッタリング法により堆積され、感知層5cが形成される。
成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、反応性スパッタリング法によって行う。ターゲットにはSbを0.5wt%含有するSnOを用いる。成膜条件はAr+Oガス圧力2Pa、基板温度150〜300℃、RFパワー2W/cmである。感知層5cの大きさは、50ないし200μm角程度、厚さは0.2ないし1.6μm程度が望ましい。
この感知層5cの表面には、Pt−doped SnO膜がスパッタリング法により堆積され、第1ガス選択燃焼層5hが形成される。
絶縁層4、接合層5a、一対の感知電極層5b,5b、感知層5cおよび第1ガス選択燃焼層5hを覆うように、第2ガス選択燃焼層5iが形成される。この第2ガス選択燃焼層5iは、Pd触媒を担持したアルミナ粉末(Pd/アルミナ )、シリカゾルバインダまたはアルミゾルバインダの何れかおよび有機溶剤を混合調製した印刷ペーストをスクリーン印刷で印刷し、室温で乾燥後、500℃で1時間焼き付けして形成している。第2ガス選択燃焼層5iの大きさは、感知層5cおよび第1ガス選択燃焼層5hを十分に覆えるようにする。このようにスクリーン印刷により厚みを薄くしている。
最後にシリコンウェハー(図示せず)の裏面から微細加工プロセスとしてエッチングによりシリコンを除去して貫通孔を形成してSi基板1とし、ダイヤフラム構造の薄膜ガスセンサを形成する。薄膜ガスセンサの製造方法はこのようになる。
続いて、このように構成された薄膜ガスセンサの特徴的な機能について説明する。
本形態の薄膜ガスセンサでは、まず、第2ガス選択燃焼層5iによりH、CHを選択して燃焼させてCOを優先的に通過させる。
そして触媒酸化活性が強い第1ガス選択燃焼層5hにより低温側でもH、CHを燃焼させる。これによりCOは、H、CHと比較しても感知層5cに到達しやすくなる。これによりCOのガス濃度が増大すると抵抗値が下がりやすくなることを意味する。
さらに、第1ガス選択燃焼層5hのPt触媒は、感知層(Sb−doped SnO層)5cへの酸素供給作用があり、センサクリーニング効果を向上させる。その結果、この酸素により導電率が低下して高抵抗化するが、これはガス検出時以外(空気検出時)では抵抗値が充分に高いことを示している。
このように空気検出時では従来よりも抵抗が高く、また、CO濃度が増加するにつれて従来よりも抵抗の減少幅が大きくなるように作用するため、COガス感度の向上に寄与している。
続いて、本形態と従来技術1,2,3との検出特性を図および表を参照しつつ比較する。図2は本形態の薄膜ガスセンサと従来技術1,2,3の薄膜ガスセンサとを比較するCO濃度依存性図、図3は同じくCH濃度依存性図、図4は同じくH濃度依存性図をそれぞれ示している。
従来技術1,2,3による薄膜ガスセンサの特性と比較しつつ説明する。
表2に本発明のガス感知層と従来技術1,2,3との感度特性を示す。
Figure 0004376093
表2のセンサ感度の基準値について説明する。
CO濃度勾配とは、例えばCO=300ppm時とCO=500ppm時のセンサ抵抗値の比で定義する。値が大きいほどガス感度が高いことを示す。
CH選択性は、例えばCH=4000ppm時と、CO=100ppm時のセンサ抵抗値の比で定義する。値が大きいほどCOとCHとを選択して検知できることを示す。
選択性は、例えばH=1000ppm時とCO=100ppm時のセンサ抵抗値の比で定義する。値が大きいほどCOとHとを選択して検知できることを示す。
先に示した表1に示すように本形態の薄膜ガスセンサは、Sb−doped SnO膜、Pt−doped SnO膜、Pd担持Al焼結材を全て備える構成を有しており、表2の結果からも分かるように、選択燃焼層を二層構造にした本発明の実施例ではCO濃度勾配は従来技術例2,3に比べ若干落ちるが基準値を上回っており、また、メタン選択性、水素選択性とも基準値を上回っていることが分かる。
この結果を図2〜図4で確認する。図2のCO濃度依存性を見ると、本形態ではセンサ抵抗値は全体に上がっているがRair抵抗値(空気を検出したときの抵抗値)とCO500ppm時の抵抗値の幅が約2桁近く広がっており(10〜10)、CO検知感度は十分であることが分かる。
次に、図3のCH濃度依存性を見ると、CO100ppm時のセンサ抵抗値とCH4000ppm時の抵抗値を比較すると本形態ではCO100ppm時のセンサ抵抗値に対してCH4000ppm時のセンサ抵抗値が約1桁近く高くなっており十分メタン選択性が確保できる。また、傾斜が大きくガス感度も高い。
表2にてCO感度のよい従来技術2では逆にメタン選択性が確保できない、同様に従来技術3においてもCO100ppm時のセンサ抵抗値に対してCH4000ppm時のセンサ抵抗値が約1桁近く低くなっておりメタン選択性が確保できないことが分かる。
次に、図4の水素選択性を同じようにCO100ppm時のセンサ抵抗値とH1000ppm時の抵抗値を比較すると本形態ではCO100ppm時のセンサ抵抗値に対してH1000ppm時のセンサ抵抗値が約1桁近く高くなっており十分水素選択性が確保できる。また、傾斜が大きくガス感度も高い。
表2にてCO感度のよい従来技術2では逆に水素選択性が低くなっており水素選択性を確保できない、同様に従来技術3においてもCO100ppm時のセンサ抵抗値に対してH1000ppm時のセンサ抵抗値が約1桁近く低くなっており水素選択性を確保できないことが分かる。
以上本発明の薄膜ガスセンサについて説明した。本発明によれば、Pt−doped SnO層の第1ガス選択燃焼層5hを感知層5c表面に形成し、その上にPd担持Al焼結材で構成された第2ガス選択燃焼層5iで感知層5c及び第1ガス選択燃焼層5hを覆う二層構成とすることにより、まず、第2ガス選択燃焼層5iでCH,Hを燃焼させ、COを優先的にSb−doped SnO層の感知層5cへ通過させ、さらに、第2ガス選択燃焼層5iと感知層5cの間に形成した第1ガス選択燃焼層5hは触媒酸化活性が強く低温側でH、CHを燃焼させる。さらに、Pt触媒から感知層5cへの酸素供給作用がありセンサクリーニング効果が向上する。
本発明は選択燃焼層を二層構造に構成することによりCO濃度勾配を確保してガス感度を高め、また、メタン選択性、水素選択性を向上させて、ガス選択性を高めることができる。
続いて本発明の他の形態について説明する。先に説明した第1の形態ではアルミナゾルバインダまたはシリカゾルバインダの何れでも良く構成は全く同じであるとした。ここでは第2ガス選択燃焼層5iがシリカゾルバインダの場合とアルミナゾルバインダの場合とでは異なる特徴を有する点を明確にするものである。この説明では図1を用いるとともに同じ名称・同じ符号を付するものとして重複する説明を省略し、相違点のみ説明する。また、薄膜ガスセンサの作成方法も前述したとおりであり、重複する説明を省略する。ここでは、説明のため、先に説明した第1の形態と同じ構造であって第2ガス選択燃焼層5iがシリカゾルバインダとアルミナゾルバインダとの形態についてそれぞれ説明する。
第1ガス選択燃焼層(Pt−doped SnO層)5h、第2ガス選択燃焼層(Pd担持 Al焼結材)5iを有する構造の薄膜ガスセンサにおいて、第2ガス選択燃焼層5iのバインダとして接合強度がアルミナゾルバインダより強いシリカゾルバインダを用いた場合、信頼性が向上するとともに、従来のセンサ構造でシリカゾルバインダが有していた、高温高湿環境下でセンサ性能に悪影響を与えるという欠点が、第1ガス選択燃焼層(Pt−doped SnO層)5h、第2ガス選択燃焼層(Pd担持 Al焼結材)5iを有する構造の薄膜ガスセンサでは除去できることを実証したものである。感知層5cと第2ガス選択燃焼層5iの間に、第1ガス選択燃焼層5hを介在させたものであるため、感知層5cのSnOと第2ガス選択燃焼層5iのシリカゾル(SiO)が直接接触しないようになるため、図9を用いて説明した上述の反応が起きなくなり、先に述べたような問題が生じなくなる点が特徴となる。
これら、センサについて比較しつつ説明する。表3は比較用の各センサ構造を示す表である。
Figure 0004376093
また、これら薄膜ガスセンサの特性を次に示す。表4は感度と選択性特性とを示す表である。
Figure 0004376093
また、表5に40℃80%RHの高温高湿環境下条件で10日間の連続通電を行った前後での、CO=100ppm中でのセンサ抵抗値(Rco100ppm)の変化の様子を示す。
Figure 0004376093
この薄膜ガスセンサの耐環境性の基準値としては、通常使用されるよりも厳しい高温高湿の環境条件(例えば40℃80%RH)で10日間連続通電した後に、例えばCO=100ppm中のセンサ抵抗値が、連続通電前のセンサ抵抗値の1±0.5倍以内に入っているというものが挙げられる。すなわち、0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5のような場合に変化が少なく、耐環境性が良好であるといえる。
続いてこれらの比較を行う。
従来技術Aは、図7を用いて説明した従来技術3と同じ構造であるが、選択燃焼層5eに用いるバインダはシリカゾルバインダである。
従来技術Aでは、シリカゾルバインダを使っているために十分な選択燃焼層5eの付着強度を保証でき、“CO濃度勾配”、“メタン選択性”、“水素選択性”は基準値を満たしているが、シリカゾルバインダ(SiO)と感知層5cのSnOの間で図9に示した反応が起こり、高温高湿試験前後のRco100ppmの変化は表5で示すように36倍にもなり、0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5の条件を満たさない。
従来技術Bは、図7を用いて説明した従来技術3と同じ構造であるが、選択燃焼層5eに用いるバインダは表3で示すようにアルミナゾルバインダである。アルミナゾルバインダを使っているため、図9で説明した反応が起こりにくく、高温高湿試験前後のRco100ppmの変化は1.15倍で0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5の条件を十分に満たすが、第1,第2形態のように第1ガス選択燃焼層がないため、表4に示すように“メタン選択性”と“水素選択性”が基準値を満たさない。
第1形態は、先に図1を用いて説明した構造であるが、第2ガス選択燃焼層5iに用いられるバインダはアルミナゾルバインダである。
第1形態では、表3に示すように第2ガス選択燃焼層5iの付着強度がやや弱いものの実用上は許容できる程度であり、また、表4からも明らかなように、“CO濃度勾配”、“メタン選択性”、“水素選択性”の全ての基準値を十分満たし、また、高温高湿試験前後のRco100ppmの変化は1.15倍であり、0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5の条件を十分満たしている。
一方、第2形態は、先に図1を用いて説明した構造であるが、第2ガス選択燃焼層5iに用いられるバインダはシリカゾルバインダである。第1形態と比較すると、“CO濃度勾配”、“メタン選択性”、“水素選択性”はいずれも若干劣ってはいるが、基準値を満たしており、また、シリカゾルバインダを使っているために表3に示すように十分な第2ガス選択燃焼層5iの付着強度を保証できる。さらに、高温高湿試験前後のRco100ppmの変化は1.43倍であり、0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5の条件を十分満たしている。
特に本形態では、感知層5c(SnO)と、シリカゾルバインダ(SiO)を用いた第2ガス選択燃焼層5iの間に、第1ガス選択燃焼層5hが介在するため、図9で示した結合反応が第1ガス選択燃焼層5hと第2ガス選択燃焼層5iとの間で起こり、シリカゾルバインダの付着強度は強固なものになる。一方、感知層5cの表面のOH基はこの反応には関与せず、ヒーター層3で高温に上昇した時に、吸着していたOH基がO2−基に置き換わり、感知層5cのSnOから電子を奪ってSnOの抵抗値が上昇した後に、濃度拡散によりCOが来てO2−基と反応する過程でSnO層に電子を放出し、その結果、SnOの抵抗値が低下してCO濃度を検出する。
以上の理由により、本実施例では高温高湿試験前後のRco100ppmの変化は1.43倍でアルミナゾルバインダを使った第1形態,従来技術Bより大きいが、0.5<Rco100ppm(通電前)/Rco100ppm(通電後)<1.5の条件を満たす。また、“CO濃度勾配”、“メタン選択性”、“水素選択性”は、同じ構造でアルミナゾルバインダを使った第1形態より悪いが、基準値を上回っている。
本発明によれば、SnOからなる感知層5cとシリカゾルバインダを用いた第2ガス選択燃焼層5iの間に第1ガス選択燃焼層5hを介在させたので、第2ガス選択燃焼層5iと感知層5cが直接接触することがない。このため高温高湿環境中での連続通電試験前後で、CO=100ppm中の感知層抵抗値が大きく変化することがなくなるとともに、シリカゾルバインダにより第2ガス選択燃焼層5iの付着強度が向上し、信頼性が高まるという効果がある。
このようにアルミナゾルバインダおよびシリカゾルバインダの何れでも第2ガス選択燃焼層5iの形成は可能であり、高い強度が必要ならばシリカゾルバインダにより、また、高い感度が必要ならばアルミナゾルバインダにより形成すれば良い。これらは適宜選択される。このように本発明の薄膜ガスセンサは選択の幅を広げることができ、設計の自由度を高めることが可能となった。
本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサと従来技術1,2,3の薄膜ガスセンサとを比較するCO濃度依存性図である。 本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサと従来技術1,2,3の薄膜ガスセンサとを比較するCH濃度依存性図である。 本発明を実施するための最良の形態の薄膜ガスセンサと従来技術1,2,3の薄膜ガスセンサとを比較するH濃度依存性図である。 従来技術1の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 従来技術2の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 従来技術3の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 従来技術4の薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 シリカ(SiO)とSnOとの結合を説明する説明図である。
符号の説明
1:Si基板
2:熱絶縁支持層
2a:熱酸化SiO
2b:CVD−SiO
2c:CVD−Si
3:ヒーター層
4:電気絶縁層
5:ガス感知層
5a:接合層
5b:感知電極層
5c:感知層(Sb−doped SnO層)
5h:第1ガス選択燃焼層(Pt−doped SnO層)
5i:第2ガス選択燃焼層(Pd担持Al焼結材)

Claims (3)

  1. 貫通孔を有するSi基板と、
    この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
    熱絶縁支持層上に設けられるヒーター層と、
    熱絶縁支持層およびヒーター層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
    電気絶縁層上に設けられるガス感知層と、
    を備える薄膜ガスセンサであって、
    前記ガス感知層は、
    電気絶縁層上に設けられる一対の感知電極層と、
    一対の感知電極層を渡されるように設けられる感知層と、
    感知層の表面に設けられ、Pt(白金)を触媒として添加したSnO による薄膜半導体の第1ガス選択燃焼層と、
    第1ガス選択燃焼層及び前記感知層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)を触媒として担持したAl 焼結材による第2ガス選択燃焼層と、
    を備えることを特徴とする薄膜ガスセンサ。
  2. 請求項1に記載の薄膜ガスセンサにおいて、
    前記第ガス選択燃焼層は、バインダがアルミナゾルバインダであることを特徴とする薄膜ガスセンサ。
  3. 請求項1に記載の薄膜ガスセンサにおいて、
    前記第2ガス選択燃焼層は、バインダがシリカゾルバインダであることを特徴とする薄膜ガスセンサ。
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