JP6482973B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、微量ガスの検出を可能とするガスセンサに関する。
ガスセンサは、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、一酸化炭素(CO)等のガス漏れや不完全燃焼の検出の用途の他に、例えば、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)の検出・分析用としても開発がなされている。
ガスセンサをメタンガス等のガス漏れ警報器として用いる場合、爆発限界より下の1000〜10000ppmオーダーで、不完全燃焼の場合、人がCO中毒にならないように10ppm〜100ppmの範囲でそれぞれ検出できればよい。
一方、ガスセンサを、例えば、室内環境分析や体調管理用のための呼気センサとして用いる場合には、0.001〜10ppmオーダーの微量な揮発性有機化合物等の測定対象ガスを高感度に検出することが必要であった。
特許文献1や特許文献2には、メタンガス等のガス漏れ警報器や不完全燃焼用としてのガスセンサが開示されている。一方、特許文献3には、揮発性有機化合物、可燃性ガス、有毒ガスを検出可能なガスセンサが開示されている。
特許文献3に記載の発明では、電極上に、セラミックス粒子が8〜30nmである被覆層が設けられており、被覆層は例えばSnOで形成される。特許文献3では被覆層そのものが、測定対象ガスとの間で反応するガス感知層であり、被覆層の抵抗値変化で測定対象ガスの検出を行っている。このように特許文献3では、ガス感知層の構成を改良したものであり、ガス感知層の表面に被覆される層構成を改良して、検出感度を向上させてはいない。
特許文献3のようにガス感知層を改良して検出感度の向上を図る構成では、様々な種類の微量ガスに対して、また、様々な用途に合わせて、簡単に適宜、検出感度を向上させることが困難であると考えられる。
特開2005−17242号公報 特開2005−164566号公報 特開2005−315874号公報
従来では、微量な揮発性有機化合物等の測定対象ガスを高感度に検出可能なガスセンサは存在しなかった。
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、微量な測定対象ガスを高感度に検出可能なガスセンサを提供することにある。
本発明におけるガスセンサは、ヒータ層と、前記ヒータ層にて加熱され、測定対象ガスが検出されるガス検出部と、を有し、前記ガス検出部は、ガス感知層と、前記ガス感知層の表面を覆う拡散層と、前記拡散層の表面を覆う吸着層と、を有し、前記吸着層は、前記拡散層よりも前記測定対象ガスに対する吸着性に優れ、前記拡散層は、前記吸着層よりも前記測定対象ガスに対する拡散性に優れており、前記吸着層は、吸着性に優れた第1の多孔質層で形成され、前記拡散層は、拡散性に優れた第2の多孔質層で形成され、前記第1の多孔質層の平均細孔径は、前記第2の多孔質層の平均細孔径よりも小さいことを特徴とする。これにより微量ガスの検出感度を向上させることができる。
また、吸着層及び拡散層の薄膜化を図ることができるとともに、各層に適切に所定の特性を持たせることができる。
本発明では、前記第2の多孔質層は、2層以上で形成され、前記ガス感知層に近い前記第2の多孔質層ほど前記平均細孔径が大きいことが好ましい。これにより、拡散層の拡散性をより効果的に向上させることができる。
本発明では、前記ヒータ層を駆動制御し、前記ガス感知層からセンサ出力を取得する制御部を有し、前記制御部は、前記ヒータ層を間欠駆動にて制御し、前記拡散層から供給される前記測定対象ガスが前記ガス感知層で反応するタイミングで前記測定対象ガスの検出を行うことが好ましい。このとき、本発明では、前記測定対象ガスは、前記ヒータ層の駆動が停止中に前記吸着層に吸着され、前記ヒータ層の駆動により前記吸着層から熱脱離を起こし前記拡散層にて前記ガス感知層に向けて拡散させられることが好ましい。このように、ヒータ層の駆動の停止中に、測定対象ガスを吸着層に吸着させ、ヒータ層を駆動させてガス検出部を加熱することで、吸着層に吸着している測定対象ガスを熱脱離させるとともに、拡散層内に拡散させてガス感知層と反応させる。この結果、ヒータ層を間欠駆動させることで、測定対象ガスの吸着と拡散とを促進させることができ、検出感度を適切に向上させることができる。
また本発明では、前記第1の多孔質層及び前記第2の多孔質層は、平均粒子径、比表面積、極性、膜厚、担持される金属、及び、材質のうち少なくともいずれか1つが異なることが好ましい。これにより簡単な構成にて、第1の多孔質層を吸着性に優れた層に形成でき、第2の多孔質層を拡散性に優れた層に形成できる。
また本発明では、前記吸着層及び前記拡散層は夫々、Al、Cr、Fe、Ni、ZrO、及び、SiOのうち少なくともいずれか1つの金属酸化物を主成分として形成されることが好ましい。吸着層及び拡散層に、金属酸化物を用いることで、適切かつ簡単に、第1の多孔質層を吸着性に優れた層に形成でき、第2の多孔質層を拡散性に優れた層に形成できる。
また本発明では、少なくとも、前記ガス感知層の表面には酸素供給層が形成されていることが好ましい。これにより、測定対象ガスとガス感知層との反応感度を高めることができ、より効果的に検出感度を向上させることができる。
また本発明では、前記ガス感知層は、ドーパントを含む金属酸化物層で形成されることが好ましい。これにより、ガス感知層の酸素供給能力を高めることができ、測定対象ガスとガス感知層との反応感度を高めることができ、より効果的に検出感度を向上させることができる。
また本発明では、基板と、前記基板の表面に形成された熱絶縁層と、前記熱絶縁層の表面に形成された前記ヒータ層と、前記ヒータ層の表面に形成された電気絶縁層と、前記電気絶縁層の表面に形成された前記ガス感知層と、前記ガス感知層に接続された電極層と、前記ガス感知層の表面に形成された前記拡散層と、前記拡散層の表面に形成された前記吸着層と、を有し、前記基板には前記熱絶縁層に通じる貫通孔、あるいは前記基板と熱絶縁層との間に有底の凹部が形成されていることが好ましい。本発明では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工により、薄型のガスセンサを形成することができる。またMEMS加工により、基板に貫通孔や有底の凹部を適切に形成することができ、より効果的に熱容量を小さくすることができる。
本発明によれば、微量ガス(例えば、0.01〜1ppmオーダーの揮発性有機化合物)を高感度に検出することが可能になる。
第1の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。 第2の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。 第3の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。 ガスセンサのブロック図である。 微量ガスの検出原理を説明するためのガスセンサの部分模式図である。 別の実施の形態のガスセンサの平面図、及び縦断面図である。 ヒータ駆動とセンサ出力との関係を示すチャート図である。 平均細孔径が異なるAlからなる多孔質材料のアセトン吸着等温線を示すグラフである。 図9Aは、エタノールの検出時間とガス感度との関係を示すグラフであり、図9Bは、アセトンの検出時間とガス感度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、第1の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。ガスセンサ1は、半導体式のガスセンサであり、ガス感知層に吸着したガスとの間で反応が生じることで変化する抵抗値に基づいてガス検出を行うものである。
図1に示すガスセンサ1は、シリコン基板2、熱絶縁層3、ヒータ層4、電気絶縁層5、及び、測定対象ガスが検出されるガス検出部6、を有して構成される。なお図1に示すガスセンサ1は、模式的に図示したものであり、図に示す各層の形状や膜厚比が実際の製品と異なることを許容するものである。図2以降においても同様である。
図1に示すようにシリコン基板2には基板上面から基板下面にかけて貫通する貫通孔2aが形成される。図1に示すように、熱絶縁層3は、シリコン基板2の表面から貫通孔2aの上方開口部を塞ぐように形成されており、ダイアフラムのような形態(以下、ダイアフラム構造と称する)を構成している。
図1に示す熱絶縁層3は、一例であるが、シリコン基板2側から熱酸化SiO層3a、CVD−Si層3b、及び、CVD−SiO層3cの順に積層される。このうち、熱酸化SiO層3aは、ヒータ層4で発生する熱をシリコン基板2側へ熱伝導しないようにして熱容量を小さくする機能を備えている。また、熱酸化SiO層3aは、プラズマエッチングに対して強い耐性を有しており、シリコン基板2にプラズマエッチングにて貫通孔2aを適切に形成することができる。また、CVD−SiO層3cは、ヒータ層4との密着性を高めるとともに優れた電気絶縁性を確保するための層である。なお、熱絶縁層3の材質や層構成は適宜変更可能である。
図1に示すように、熱絶縁層3の表面にヒータ層4が形成される。ヒータ層4の材質を特に限定するものではないが、例えば、薄膜状のPt−W膜で形成される。また、ヒータ層4の形状を限定するものではないが、例えば、蛇行形状にて形成される。また図示していないが、ヒータ層4の両側端部には配線層が接続されており、ヒータ層4は配線層を介して図4に示すように制御部11を構成するヒータ制御部11aに接続されている。
図1に示すように、電気絶縁層5が、ヒータ層4の表面から熱絶縁層3の表面にかけて形成されている。電気絶縁層5は、例えば、SiOのスパッタ層である。電気絶縁層5は、ヒータ層4と感知層電極7との間の電気的な絶縁を確保するための層である。また電気絶縁層5は、ガス感知層8との密着性に優れている。
図1に示すように、ガス検出部6は、感知層電極7と、ガス感知層8と、拡散層9と、吸着層10と、を有して構成される。感知層電極7は、電気絶縁層5の表面に形成される。感知層電極7は、例えば、PtやAuにて形成されるが材質を限定するものではない。図1に示すように感知層電極7は、例えば、紙面左右に一対設けられている。
図1に示すように、ガス感知層8が、一対の感知層電極7と一部重なるとともに電気絶縁層5の表面にかけて形成される。図4に示すように、ガス感知層8は、制御部11を構成する算出部11bに接続される。ガス感知層8は、金属酸化層で形成され、具体的にはSnO層が好ましく使用される。ただし、SnOに限定されるものでなく、ガス感知層8として、In、WO、ZnO、TiO等を主成分とした薄膜の層を用いることが可能である。図1では、ガス感知層8を略矩形状で図示したが、ガス感知層8はスパッタ条件等に応じて複数の柱状構造で形成でき、これによりガス感知層8の表面積を大きくすることが可能である。ガス感知層8の表面積を大きくすることで、測定対象ガスとの間で反応感度を向上させることができる。
図1に示すように、拡散層9は、ガス感知層8の表面を被覆している。図1に示すように、拡散層9はガス感知層8の側面8aから上面8bにかけて形成されており、ガス感知層8の表面全体を覆っている。
図1に示すように、吸着層10は、拡散層9の表面を被覆している。図1に示すように、吸着層10は拡散層9の側面9aから上面9bにかけて形成されており、拡散層9の表面全体を覆っている。図1に示す構成では、吸着層10は、ガスセンサの最表面を構成する。
上記のように拡散層9はガス感知層8の表面全体を覆い、吸着層10は拡散層9の表面全体を覆うことで、ガス感知方向が、ガスセンサに対して上方のみならず側方からであっても適切に、ガス検知することができる。
あるいは、吸着層10の表面に被覆する層(図示しない)があってもよいが、被覆層下の吸着層10の吸着機能を維持するには、被覆層は、吸着層10の吸着性を損なわないガス透過層であることが必要である。又は、被覆層はガス非透過の層であり、例えば吸着層10の側面部分だけを覆うようにして、ガス検出方向に指向性を持たせてもよい。
吸着層10は、拡散層9よりも測定対象ガスに対する吸着性に優れ、拡散層9は、吸着層10よりも測定対象ガスに対する拡散性に優れている。この点、更に詳しく説明する。
例えば特許文献1や特許文献2に記載された発明は、ガス感知層の表面を選択燃焼層で覆い、例えばメタンガスセンサであれば、メタンガス以外を選択燃焼層で燃焼除去し、メタンガスをガス感知層で検出するものである。このとき図7のチャート図に示すように、ヒータ駆動をONとしてガス検出部を加熱すると、メタンガス(CH)に対するセンサ出力を得ることができる。このとき、メタンガスセンサでは、メタンガス以外の非測定対象ガスを燃焼除去するため、ヒータ層の駆動により選択燃焼層を高温(具体的には400℃以上)に曝すことが必要になる。例えば、アンモニアの検出温度は150℃程度、エタノールの検出温度は230℃程度、アセトンの検出温度は260℃程度であり、400℃以上の高温に曝すことで、メタンガスを精度良く検出することが可能である。またガスセンサをメタンガス等のガス漏れ警報器として用いる場合、爆発限界より下の1000〜10000ppmオーダーで、不完全燃焼の場合、人がCO中毒にならないように10ppm〜100ppmの範囲でそれぞれ検出できれば足りる。
これに対して図1に示す実施の形態では、例えば、ガスセンサを、室内環境分析や体調管理用のための呼気センサとして用いるものであり、測定対象ガスは、0.001〜10ppmオーダーの微量な揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)等である。本実施の形態では、特許文献1や特許文献2に記載されたように選択燃焼を行うものでなく、測定対象ガスをガスセンサに吸着させるとともにセンサ内部で拡散を促進させて微量ガスを高感度に検出するものである。そのため本実施の形態では、ガスセンサ1の最表面側に吸着層10を設け、ガス感知層8と吸着層10との間に拡散層9を設けた構成としたのである。
次に本実施の形態におけるガスセンサの検出原理について説明する。図5Aでは、主として吸着機能を説明し、図5Bでは主として拡散機能を説明する。図5A及び図5Bに示す図1と同じ符号の部分は、図1と同じ層を示している。
図5A(吸着工程)では、測定対象ガスG1が吸着層10に吸着し濃縮される。例えば、吸着層10は吸着性に優れた第1の多孔質層で形成される。測定対象ガスG1の吸着層10への吸着・濃縮は、主としてヒータ層4の駆動が停止中の間(図7に示すヒータ駆動がOFFのとき)に行われる。このように本実施の形態では、まず吸着層10にて測定対象ガスG1を吸着・濃縮して保持する。
次に、図5B(拡散工程)では、吸着層10に吸着された測定対象ガスG1を、拡散層9内で拡散させて、ガス感知層8の表面で酸素と反応させ、ガス感知層8にて検出する。なお図5Aや図5Bに示す矢印はガスの吸着方向や拡散方向を示しているが、方向はわかりやすく説明するためのものであり、これらの方向のみに限定を加えるものではない。例えば図5Bの拡散工程では、吸着層10から外部へ放出されるガスも存在するが、放出方向については図示していない。
図5Bに示す拡散工程は、ヒータ層4を駆動させ、ガス検出部6を加熱した状態で行われる。加熱により、吸着層10に吸着・濃縮した測定対象ガスG1は短時間のうちに熱脱離を起こす。このときの加熱温度は、例えば300℃以下である。熱脱離を起こした測定対象ガスG1は、拡散層9にて拡散が促進されてガス感知層8の表面に吸着される。本実施の形態では、吸着層10にて吸着・濃縮された測定対象ガスG1を極短時間(具体的には700msec以下)で熱脱離して拡散層9からガス感知層8へ拡散させるため、高濃度の測定対象ガスG1をガス感知層8の表面に吸着させることができる。このときガス感知層8の表面の酸素と測定対象ガスG1との間で反応が生じることでガス感知層8の抵抗値が変化し、その抵抗値に基づいて図4の算出部11bにてセンサ出力を得ることができる。図7では、本実施の形態のガスセンサにて検出される揮発性有機化合物(VOC)のセンサ出力が示されている。図7に示すように、ヒータ駆動がOFFからONに切り替えられると、極短時間のうちにセンサ出力を得ることができる。図4の算出部11bでは、センサ出力に基づいて、測定対象ガスG1の濃度を検出することができる。
例えば、拡散層9は拡散性に優れた第2の多孔質層で形成される。上記した第1の多孔質層及び第2の多孔質層は、いずれも、多数の多孔質材料(多孔質粒子)が堆積した層であり、多孔質材料の間にバインダ樹脂が介在していてもよい。例えば第2の多孔質層は、第1の多孔質層よりも平均細孔径が大きく形成される。これにより、第1の多孔質層は第2の多孔質層よりも測定対象ガスG1に対する吸着性に優れ、第2の多孔質層は第1の多孔質層よりも測定対象ガスG1に対する拡散性に優れた層に形成することができる。平均細孔径以外では、平均粒子径、比表面積、極性、膜厚、担持される金属、及び材質の調整により、吸着性及び拡散性を制御することができる。本実施の形態では、第1の多孔質層と第2の多孔質層とにおいて、平均細孔径、平均粒子径、比表面積、極性、膜厚、担持される金属、及び材質のうちいずれか1つ、あるいは2つ以上を異ならせることができる。平均細孔径とは、多孔質層を構成する複数の多孔質材料(多孔質粒子)に形成された多数の細孔の径平均値であり、例えば、平均細孔径を、BJH法により求めることができる。BJH法とは、吸着質が脱離するときの相対圧と吸着量の関係である脱着等温線から平均細孔径を求める手法である。BJH法で使用される測定装置には、例えば、マイクロトラック・ベル社のBELSORP−miniを用いることができる。又は、平均細孔径を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて測定した際、所定数(例えば10個)の粒子の表面にみられる細孔の円相当径の算術平均値として求めることもできる。また、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて測定した際、所定数(例えば10個)の粒子の粒子径の算術平均値として定義される。また、比表面積とは、単位重量あたりの表面積のことをいい、例えば、BET法(N)により得られる比表面積を意味する。また、「極性」とは、正又は負の電荷を帯びる性質であり、バインダの種類・添加量によって調整することができる。また膜厚は、ガス感知層8の上面8b側に形成された各多孔質層の膜厚を指す。また、第1の多孔質層、及び/又は、第2の多孔質層に、金属担持させることができ、金属の種類等で第1の多孔質層と第2の多孔質層の特性を変えることができる。また、吸着層10及び拡散層9の材質を特に限定するものではないが、拡散層9及び吸着層10が多孔質層で形成される場合、夫々、Al、Cr、Fe、Ni、ZrO、SiOのうち少なくともいずれか1つの金属酸化物を主成分として形成されることが好ましい。金属酸化物を用いることで、適切かつ簡単に、第1の多孔質層を吸着性に優れた層に形成でき、第2の多孔質層を拡散性に優れた層に形成できる。第1の多孔質層と第2の多孔質層の材質を変えることで、拡散性や吸着性を変化させることができるが、拡散層9と吸着層10は共に同じ材質であることが拡散層9と吸着層10との密着性を向上させることができ好ましい。したがって、拡散性や吸着性の制御は、多孔質層の材質以外で調整することが好適である。特に平均細孔径の調整により、最も簡単且つ適切に拡散性や吸着性を制御することができ好ましい。また、図1に示すように、吸着層10の膜厚を拡散層9の膜厚よりも厚く形成することで、吸着層10の測定対象ガスG1に対する吸着量を大きくすることができる。
また図4に示す制御部11は、ヒータ層4の駆動制御を行っており、図7に示すように、ヒータ層4を間欠駆動させることができる。
このように、ヒータ層4を間欠駆動させることで、図5で説明したように、測定対象ガスG1を吸着・濃縮させた後、短時間のうちに測定対象ガスG1を熱脱離・拡散させることができ、したがって、微量ガスの濃度を高めることができるため、微量ガスの検出を高感度で行うことができる。また本実施の形態のガスセンサ1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により薄型化でき、ヒータ層4の駆動のONとOFFとの切替えに合わせて、ガス検出部6への熱の伝播や熱の引けが素早く、測定対象ガスG1の吸着・濃縮と、測定対象ガスG1の熱脱離・拡散とを瞬時に切り替えることができる。このため、応答性に優れたガスセンサを提供することができる。
以上のように本実施の形態では、ヒータ層4の駆動の停止中に、測定対象ガスG1を吸着層10で吸着・濃縮し、ヒータ層4を駆動させた時に、測定対象ガスG1を吸着層10から熱脱離させるとともに拡散層9からガス感知層8へ拡散させることで、微量ガス(例えば、0.01〜1ppmオーダーの揮発性有機化合物)を従来に比べて高感度に検出することが可能になる。
また本実施の形態では、図5A、図5Bに示すように、測定対象ガスG1と、それ以外のガスG2、G3との間で吸着層10における吸着量や、拡散層9内での拡散性に差を持たせることができる。これにより、微量な測定対象ガスG1をより高感度に検出することができる。
例えば、図5Aに示すように、ガスG2は、測定対象ガスG1よりも吸着層10への吸着量が少なく、ガスG3は、吸着層10に吸着しない(図5Aに示す矢印の太さが吸着量を示しているものとする)。例えば、ガスG1、G2、G3は、いずれも、揮発性有機化合物(VOC)であり、一例を挙げると、測定対象ガスG1は、アセトンであり、ガスG2、G3は、アセトン以外の揮発性有機化合物(エタノール、メタノール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロロホルム、パラジクロロべンゼン等)である。このようにアセトンの吸着量が、他の揮発性有機化合物の吸着量よりも大きくなるようにするには、吸着層10の平均細孔径、平均粒子径、極性、バインダの種類・添加量等により制御することができる。
また本実施の形態では、図5Bに示すように拡散層9での各ガスG1、G2、G3の拡散性に差を生じるように制御することができる。拡散性とは、拡散速度や層内を通る拡散量に置き換えることができる。拡散速度が速く、また拡散量が多いほど拡散しやすいこと(拡散性に優れる)を意味する。図5Bでは、拡散層9での測定対象ガスG1の拡散性が最も優れており、ガスG2の拡散性が次に優れており、ガスG3の拡散性が最も低くなっている。例えば、測定対象ガスG1の拡散速度が最も速く、次に、ガスG2の拡散速度が速く、ガスG3の拡散速度が最も遅い。このため、図7に示したセンサ出力の得られるタイミング(ヒータ駆動がONに切替わってからの時間)により測定対象ガスG1の検出か、それ以外のガスG2、G3の検出であるかを区別することができる。また測定対象ガスG1は、1種類でなくてもよく、2種類以上であってもよい。例えば、図5に示すガスG1、G2の双方を測定対象ガスとすることもできる。図7に示すセンサ出力としては、ガスG1とガスG2とのセンサ出力を個別に得ることもできる。このとき、ガス種によってセンサ出力(ピーク感度)が得られるタイミング(ガス感知層8で反応するタイミング)が異なることを利用すれば、高精度に複数種の測定対象ガスの判別が可能となる。例えば、エタノールとアセトンでは、アセトンの分子量はエタノールより大きい。したがってアセトンの吸着・拡散に合わせて平均細孔径を調整する。このとき、後述する実験に示すように、エタノールとアセトンとではピーク感度に大きな差はないが、ピーク感度が得られるタイミングが異なることがわかっている。すなわち、アセトンのほうがエタノールよりも検出のタイミングが遅いため、このような時間的要素を組み合わせることで、エタノールとアセトンとを適切に区別することができる。
本実施の形態では図5Bに示すように、ガスの種類によって拡散層9からガス感知層8へ向けての拡散性に差を生じさせているが、例えば、ヒータ層4による加熱温度の制御や、拡散層9の層構成によりガスの種類による拡散差を制御することができる。特にヒータ層4によりガス検出部6を加熱した際、吸着層10からの熱脱離は加熱温度に依存する。したがって、加熱温度の調整によって吸着層10からの熱脱離を効果的に促進させることができる。そして、拡散層9内にてガスの種類により拡散差を生じさせることで、測定対象ガスG1を他のガスと区別して精度よく検出することができ、検出感度をより効果的に向上させることが出来る。
図2は、第2の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。図2の実施の形態では図1と異なって拡散層が第1の拡散層21と第2の拡散層22との2層構造で構成される。図2に示すように、第1の拡散層21はガス感知層8の表面に形成されており、第2の拡散層22は第1の拡散層21の表面に形成される。そして吸着層10が第2の拡散層22の表面に形成されている。
図2では、吸着層10は、第1の拡散層21及び第2の拡散層22よりも測定対象ガスの吸着性に優れている。また、第2の拡散層22は、吸着層10よりも測定対象ガスの吸着性に劣るが、測定対象ガスの拡散性に優れている。また、第1の拡散層21は、吸着層10及び第2の拡散層22よりも測定対象ガスの吸着性に劣るが、吸着層10及び第2の拡散層22よりも測定対象ガスの拡散性に優れている。第1の拡散層21、第2の拡散層22及び吸着層10の具体例な層構成を例示すると、第1の拡散層21は、Alで形成され平均細孔径が14nmであり、第2の拡散層22は、Alで形成され平均細孔径が11nmであり、吸着層10は、Alで形成され平均細孔径が9.3nmである(後述の実施例を参照)。このように第1の拡散層21、第2の拡散層22及び吸着層10の材質を同じにして平均細孔径を、第1の拡散層21、第2の拡散層22及び吸着層10の順に小さくすることで、各層間の密着性を良好に保ちつつ、測定対象ガスの拡散しやすさを、第1の拡散層21>第2の拡散層22>吸着層10の順に調整でき、逆に、測定対象ガスに対する吸着量を、吸着層10>第2の拡散層22>第1の拡散層21の順に調整することができる。
図1では拡散層9を1層、図2では拡散層21、22を2層としたが、拡散層を3層以上とすることもできる。その場合も、平均細孔径を調整する等して、拡散性を、ガス感知層8に近いほど良好となるように調整し、吸着性をガス感知層8から最も遠い層(吸着層10)ほど良好となるように調整する。
図3は、第3の実施の形態のガスセンサの縦断面図である。図3に示す実施の形態では、酸素供給層25がガス感知層8の表面に形成されている。そして拡散層9は、酸素供給層25の表面に形成され、吸着層10が拡散層9の表面に形成されている。すなわち図3に示す実施の形態は、図1のガス感知層8と拡散層9との間に酸素供給層25が形成された積層構造を備えている。
ガス感知層8は、例えばSnOで形成されたn型半導体層である。SnOで形成されたガス感知層8は、還元性ガスに曝されることで、その表面に吸着している酸素とガスとの間で反応が生じ、表面の酸素濃度が減少する。その結果、ガス感知層8の電子(キャリア)が増大して抵抗値が小さくなる。一方、SnOで形成されたガス感知層8は、酸化性ガスに曝されると、ガス感知層8の表面の酸素濃度は増大し、ガス感知層8の電子(キャリア)が減少して抵抗値が大きくなる。このようにガスとの反応は、ガス感知層8の表面にて起こるため、反応感度を向上させるには、ガス感知層8の表面に酸素を供給する層(酸素供給層25)を設けることが好ましい。例えば、ガス感知層8は、ドーパントを含む金属酸化物層で形成され、少なくとも、ガス感知層8の表面には、金属担持された触媒層としての酸素供給層25が形成されている。金属の種類は、特に限定されるものでないが、例えば、Pt、Pd、Ag、Au等であり、上記のように金属を担持した触媒層を少なくともガス感知層8の表面に酸素供給層25として形成することで反応感度を適切かつ簡単に向上させることが可能である。ここでガス感知層8のうちどこまでが酸素供給層25であるのか明確な区別がつかなくてもよい。
図6は、別の実施の形態のガスセンサの平面図、及び縦断面図である。図6Aは、ガスセンサの平面図であり、図6Bは、図6AのガスセンサをA−A線に沿って切断し矢印方向から見た縦断面図であり、図6Cは、図6Aに示すガスセンサをB−B線に知って切断し矢印方向から見た縦断面図である。図6は、架橋構造のガスセンサ30である。この架橋構造でも図1〜図3に示すダイアフラム構造と同様に、高断熱、低熱容量の構造となり、微量ガス検出のガスセンサとして採用することができる。図6の各図に示すように、ガスセンサ30は、シリコン基板32と、熱絶縁層33と、ヒータ層34と、電気絶縁層35と、ガス検出部36とを有して構成される。図6B、図6Cに示すように、シリコン基板32には有底の凹部(キャビティ)32aが形成されており、図6Aに示すように凹部32a上に架橋構造が形成されている。熱絶縁層33は、図1に示す熱絶縁層3に相当し、ヒータ層34は、図1に示すヒータ層4に相当し、電気絶縁層35は、図1に示す電気絶縁層5に相当し、ガス検出部36は、図1に示すガス検出部6に相当する。図6Bに示すように、ガス検出部36は、ガス感知層38、感知層電極37、拡散層39及び吸着層40を有して構成される。ガス感知層38は、図1に示すガス感知層8に相当し、感知層電極37は図1に示す感知層電極7に相当し、拡散層39は図1に示す拡散層9に相当し、吸着層40は図1に示す吸着層10に相当する。また図6A、図6Cに示すように、電気絶縁層35上には、感知層電極37やヒータ層34と電気的に接続された配線導電層41が形成されている。
図6に示す実施の形態におけるガスの検出原理は、図5等で示した通りである。また図6に示す実施の形態でも図2と同様に拡散層を2層以上にて構成することができ、また図3と同様に、酸素供給層をガス感知層38の表面に配置することが可能である。
次に図1に示すガスセンサの製造方法について説明する。まず両面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板2の表面に熱絶縁層3をCVD法等で成膜する。熱絶縁層3の構成は図1に示すように3層構造であってもよいし他の構成であってもよい。続いてヒータ層4を熱絶縁層3の表面に形成する。図1には図示しないが、このときヒータ層4に接続される配線層も形成される。ヒータ層4をスパッタ法等で成膜することができる。次にSiO等からなる電気絶縁層5をヒータ層4の表面にスパッタ法等で成膜する。
次に、Pt等からなる感知層電極7及びSnO等からなるガス感知層8を電気絶縁層5の表面にスパッタ法等で成膜する。感知層電極7を形成する際、先にTaやTi等からなる接合層(図示しない)を形成し、接合層の上に感知層電極7を形成することで、感知層電極7と電気絶縁層5との間の密着性を向上させることができる。
次に、ガス感知層8の表面に拡散層9を形成する。拡散層9は、溶媒にAl等の多孔質材料及びバインダ樹脂を混合させたペーストをスクリーン印刷、ディスペンス、インクジェット法等でガス感知層8の表面全体に塗布し、例えば、100℃〜200℃程度で乾燥させ、更に焼成工程(例えば、500℃程度以上)を経て形成されたものである。バインダ、粘調剤(樹脂)は熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンやエチルセルロース等を用いることができる。
次に、吸着層10を拡散層9の表面に形成する。吸着層10は、溶媒にAl等の多孔質材料(ただし、拡散層9に用いられた多孔質材料とは異なる)及びバインダ樹脂を混合させたペーストをスクリーン印刷、ディスペンス、インクジェット法等で拡散層9の表面全体に塗布し、例えば、100℃〜200℃程度で乾燥させて形成されたものである。吸着層10に用いる多孔質材料は、拡散層9に用いる多孔質材料に比べて、例えば、平均細孔径が小さい。これにより、吸着層10のガス吸着性を拡散層9よりも優れたものにでき、拡散層9の拡散性を吸着層10よりも優れたものにできる。また吸着層10の膜厚を拡散層9よりも厚く形成することで、吸着層10のガス吸着量をより効果的に大きくすることができる。
図2に示すように、拡散層を第1の拡散層21と第2の拡散層22の複数層とするとき、第1の拡散層21の拡散性を第2の拡散層22よりも高めるべく、例えば、第1の拡散層21に用いられる多孔質材料の平均細孔径を、第2の拡散層22に用いられる多孔質材料の平均細孔径よりも大きくする。また吸着層10の吸着性を、第1の拡散層21及び第2の拡散層22よりも高めるべく、吸着層10に用いられる多孔質材料の平均細孔径を、第1の拡散層21及び第2の拡散層22に用いられる多孔質材料の平均細孔径よりも小さくする。
また図3に示すように、ガス感知層8の表面に酸素供給層25を形成する場合には、ガス感知層8の表面に金属担持処理を施して金属担持層を形成することでガス感知層8の表面を酸素供給に優れた層にすることができる。
シリコン基板2への貫通孔2aの形成工程は、熱絶縁層3の形成後であれば特に限定されるものでないが、少なくとも電気絶縁層5まで形成した後であると、貫通孔2aを形成したときに、貫通孔2a上の積層構造の剛性を高く保つことができ、ガス検出部6を適切かつ容易に形成することができる。貫通孔2aはドライエッチングにて形成することができる。これにより微細形状制御が可能である。
図6に示すガスセンサ30は、上記に説明したガスセンサの製造方法に準じた製造方法に製造することができるが、凹部(キャビティ)32aはウエットエッチングを用いて形成される。ウエットエッチングでは、ドライエッチングよりも微細形状制御が困難であるものの、高価な設備が必要なく容易に加工することが可能である。
本実施の形態におけるガスセンサは、例えば呼気センサに適用されるが、呼気センサに限定されるものでなく、生体用、医療関係、居住空間用、排気ガス用、自動車用、品質管理用等、特に用途を限定するものでなく、また測定対象ガスの種類も限定しない。測定対象ガスとしては上記で挙げた揮発性有機化合物(VOC)の他に、大気汚染ガスや、工場での有毒ガス等に適用できる。ただし本実施の形態のガスセンサは微量の揮発性有機化合物検出用として好ましく用いることができる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
(異なる平均細孔径についての実験)
実験では、サンプルAとして、Al(平均細孔径9.3nm)を用い、サンプルBとして、Al(平均細孔径11nm)を用い、サンプルCとして、Al(平均細孔径14nm)を用いた。
そして各多孔質材料に対して、アセトンを吸着ガスとして用い、25℃で測定してアセトン吸着等温線を求めた。アセトン吸着等温線の測定には、マイクロトラック・ベル社のBELSORP−maxを用いた。その実験結果が図8に示されている。図8に示すように、圧力一定とすると、平均細孔径が最も小さいサンプルAは、サンプルB及びサンプルCよりも吸着量が大きくなることがわかった。以下の表1には、圧力0.01kPaと0.1kPaのときの各サンプルの吸着量を示した。
Figure 0006482973
圧力0.1kPaであると、サンプルAの吸着量は、サンプルBの吸着量の1.4倍程度、サンプルCの吸着量の2倍程度となることがわかった。
またサンプルBの多孔質材料の平均細孔径は、サンプルAの多孔質材料の平均細孔径よりも大きく、サンプルBはサンプルAよりもガス拡散性に優れている。またサンプルCの多孔質材料の平均細孔径は、サンプルA及びサンプルBの多孔質材料の平均細孔径よりも大きく、サンプルCはサンプルA及びサンプルBよりもガス拡散性に優れている。
以上により、サンプルAの多孔質材料を吸着層として用い、拡散層を1層構造とする場合は、サンプルB及びサンプルCの多孔質材料のどちらか一方を拡散層として用い、拡散層を2層構造とする場合は、ガス感知層に最も近い第1の拡散層にサンプルCの多孔質材料を用い、第1の拡散層と吸着層との間に位置する第2の拡散層にサンプルBの多孔質材料を用いればよいことがわかった。
(ガスの種類による検出時間の差についての実験)
図1に示すガスセンサ1を用いて、エタノールとアセトンについての検出時間とガス感度との関係について調べた。拡散層9にはサンプルCを用い、吸着層10にはサンプルAを用いた。また、ヒータ層4の駆動条件は、電圧を1.44Vとし、周期20sとして統一した。その実験結果が図9に示されている。
図9Aに示すように、エタノールの場合、検出時間が約400msのとき、ガス感度はピーク値となり、アセトンの場合、検出時間が約700msのとき、ガス感度はピーク値となることがわかった。
このように、ガスの種類により、ピーク感度が得られるタイミング(検出時間)に差が見られるため、検出のタイミングの違いに基づいて、ガス種を区別することができるとわかった。
本発明のガスセンサによれば、例えば、0.01〜1ppmオーダーの微量な揮発性有機化合物を高精度に検出することができ、また本発明のガスセンサはMEMS加工された電池式の半導体ガスセンサであり、小型化かつ低消費電力を実現できる。このため、様々な場所に設置でき、呼気センサや排ガス検知用センサ、居住空間や工場内等での空気の汚れ検知用センサ等として用いることができる。
1、30 ガスセンサ
2、32 シリコン基板
2a 貫通孔
3、33 熱絶縁層
4、34 ヒータ層
5、35 電気絶縁層
6、36 ガス検出部
8、38 ガス感知層
9、21、22、39 拡散層
10、40 吸着層
11 制御部
25 酸素供給層
32a 凹部
41 配線導電層

Claims (9)

  1. ヒータ層と、前記ヒータ層にて加熱され、測定対象ガスが検出されるガス検出部と、を有し、
    前記ガス検出部は、ガス感知層と、前記ガス感知層の表面を覆う拡散層と、前記拡散層の表面を覆う吸着層と、を有し、前記吸着層は、前記拡散層よりも前記測定対象ガスに対する吸着性に優れ、前記拡散層は、前記吸着層よりも前記測定対象ガスに対する拡散性に優れており、
    前記吸着層は、吸着性に優れた第1の多孔質層で形成され、前記拡散層は、拡散性に優れた第2の多孔質層で形成され、前記第1の多孔質層の平均細孔径は、前記第2の多孔質層の平均細孔径よりも小さいことを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記第2の多孔質層は、2層以上で形成され、前記ガス感知層に近い前記第2の多孔質層ほど前記平均細孔径が大きいことを特徴とする請求項に記載のガスセンサ。
  3. 前記ヒータ層を駆動制御し、前記ガス感知層からセンサ出力を取得する制御部を有し、前記制御部は、前記ヒータ層を間欠駆動にて制御し、
    前記拡散層から供給される前記測定対象ガスが前記ガス感知層で反応するタイミングで前記測定対象ガスの検出を行うことを特徴とする請求項1又は請求項に記載のガスセンサ。
  4. 前記測定対象ガスは、前記ヒータ層の駆動が停止中に前記吸着層に吸着され、前記ヒータ層の駆動により前記吸着層から熱脱離を起こし前記拡散層にて前記ガス感知層に向けて拡散させられることを特徴とする請求項に記載のガスセンサ。
  5. 前記第1の多孔質層及び前記第2の多孔質層は、平均粒子径、比表面積、極性、膜厚、担持される金属、及び、材質のうち少なくともいずれか1つが異なることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  6. 前記吸着層及び前記拡散層は夫々、Al、Cr、Fe、Ni、ZrO、及び、SiOのうち少なくともいずれか1つの金属酸化物を主成分として形成されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  7. 少なくとも、前記ガス感知層の表面には酸素供給層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  8. 前記ガス感知層は、ドーパントを含む金属酸化物層で形成されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  9. 基板と、前記基板の表面に形成された熱絶縁層と、前記熱絶縁層の表面に形成された前記ヒータ層と、前記ヒータ層の表面に形成された電気絶縁層と、前記電気絶縁層の表面に形成された前記ガス感知層と、前記ガス感知層に接続された電極層と、前記ガス感知層の表面に形成された前記拡散層と、前記拡散層の表面に形成された前記吸着層と、を有し、前記基板には前記熱絶縁層に通じる貫通孔、あるいは前記基板と熱絶縁層との間に有底の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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