JP6372686B2 - ガス検出装置およびガス検出方法 - Google Patents

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本発明は、ppbレベルの低濃度のガスを検出するガス検出装置およびそのガス検出方法に関する。
一般的に半導体式のガスセンサは、ある特定ガス、例えば、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、ブタンガス(C10)、一酸化炭素(CO)等に選択的に感応するデバイスである。半導体式のガスセンサは、その原理・構造が比較的単純であり、量産性が高く安価である。
このような半導体式のガスセンサは、ガス漏れや不完全燃焼の検出に広く用いられている。ガス漏れの場合は、爆発下限界より下の1,000〜10,000ppmオーダで検出ができれば良く、また、不完全燃焼の場合は、人がCO中毒にならないように10ppm〜100ppmオーダで検出ができればよい。
半導体式のガスセンサの他の用途としては、シックハウス症候群の防止目的として室内環境における揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下、単にVOCという)の分析や、体調管理目的として人の呼気に含まれるVOCの分析、などに用いることが検討されている。
VOCは、例えば、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるエタノール、メタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどである。これらの分析を実現するため、0.001〜1ppmオーダのVOCを検出する必要がある。しかしながら、従来技術のガス漏れや不完全燃焼の検出に用いられている半導体式のガスセンサでは、感度が不十分なため、低濃度であるVOCの検出は困難であった。
そこで、低濃度ガスを検出するような半導体式のガスセンサの技術開発が進められている。このような先行技術が、例えば、特許文献1(特許第3735350号公報)に開示されている。
特許文献1の図3に記載のガスセンサ装置は、接触燃焼式ガスセンサと、その下方に配置されるペルチェ素子と、を有し、接触燃焼式ガスセンサがペルチェ素子により冷却される。これは特許文献1の図4に示すようにチップ温度が低くなるにつれてセンサ出力が高く、感度が大きくなるという原理に基づくものである。この冷却により目的ガスに対して大きなピーク値を得て、ガス種識別能力を大きく向上させている。
特許第3735350号公報(図3,図4)
しかしながら、特許文献1に記載のガスセンサ装置は、接触燃焼式ガスセンサから離した箇所にペルチェ素子を配置するものであり、ガスセンサ以外の他の部材も冷却し、冷却効率が悪く消費電力が大きくなるという問題があった。
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体式のガスセンサを低消費電力かつ高感度で検出できるようにして目的ガスの検出濃度範囲を低濃度側へ拡大するようなガス検出装置およびそのガス検出方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係るガス検出装置は、
Si基板と、
前記Si基板上に形成される熱絶縁支持層と、
前記熱絶縁支持層上に設けられるペルチェ層と、
少なくとも前記ペルチェ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
前記電気絶縁層上に設けられる一対の感知層電極と、前記一対の感知層電極を渡されるように設けられるガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を設けたガス検出部と、
前記ペルチェ層を加温駆動または冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
を備え
前記駆動処理部は、
前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する酸素吸着工程と、
前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス脱離工程と、
前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス検出工程と、
を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施すると共に、
前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とする。
請求項2に係るガス検出装置は、請求項1に記載のガス検出装置において、孔部または溝部が形成された前記Si基板を覆うように前記熱絶縁支持層が支持され、前記孔部または前記溝部の上方であって前記熱絶縁支持層の上側に前記ペルチェ層が形成され、前記ペルチェ層を覆うように前記電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層の上方であって前記電気絶縁層の上側に前記ガス検出部が形成され、ダイアフラム様またはブリッジ様で一体構造のガスセンサとして構成されることを特徴とする。
請求項3に係るガス検出装置は、
Si基板と、
前記Si基板上に形成される熱絶縁支持層と、
前記熱絶縁支持層上に設けられるペルチェ層と、
前記ペルチェ層に近接して設けられるヒーター層と、
少なくとも前記ペルチェ層および前記ヒーター層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
前記電気絶縁層上に設けられる一対の感知層電極と、前記一対の感知層電極を渡されるように設けられるガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を設けたガス検出部と、
前記ペルチェ層を冷却駆動し、前記ヒーター層を加温駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
を備え、
孔部または溝部が形成された前記Si基板を覆うように前記熱絶縁支持層が支持され、前記孔部または前記溝部の上方であって前記熱絶縁支持層の上側に前記ペルチェ層が形成され、前記ペルチェ層を覆うように前記電気絶縁層の一部である第1電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層の上方であって前記第1電気絶縁層の上側に前記ヒーター層が形成され、前記ヒーター層を覆うように前記電気絶縁層の一部である第2電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層および前記ヒーター層の上方であって前記第2電気絶縁層の上側に前記ガス検出部が形成され、ダイアフラム様またはブリッジ様で一体構造のガスセンサとして構成されることを特徴とする。
請求項4に係るガス検出装置は、請求項3に記載のガス検出装置において、
前記駆動処理部は、
前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する酸素吸着工程と、
前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス脱離工程と、
前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス検出工程と、
を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とする。
請求項5に係るガス検出装置は、請求項1または請求項4に記載のガス検出装置において、前記目的ガス吸着温度T 、および、前記目的ガス検出温度T は、T <T の関係があることを特徴とする。
請求項6に係るガス検出装置は、請求項1または請求項4に記載のガス検出装置において、
前記酸素吸着温度T 、前記目的ガス吸着温度T 、および、前記目的ガス検出温度T は、T <T ≦T の関係があることを特徴とする。
請求項7に係るガス検出装置は、請求項1または請求項4に記載のガス検出装置において、
前記酸素吸着温度T 、前記目的ガス吸着温度T前記目的ガス脱離温度T および、前記目的ガス検出温度Tは、T<T ≦T ≦T またはT <T ≦T ≦T の関係があることを特徴とする。
請求項8に係るガス検出装置は、請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のガス検出装置において、
前記ガス感知層は、金属酸化物であるSnO 、In 、WO 、ZnO、または、TiO を主成分とすることを特徴とする。
請求項9に係るガス検出装置は、請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のガス検出装置において、
前記吸着層は、金属酸化物であるAl 、Cr 、Fe 、Ni 、ZrO 、SiO 、または、ゼオライトを主成分とすることを特徴とする。
請求項10に係るガス検出方法は、
ガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を有するガス検出部と、
前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるペルチェ層と、
前記ペルチェ層を加温駆動または冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
を少なくとも備えるガス検出装置を用いるガス検出方法であって、
前記駆動処理部は、
前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する酸素吸着工程と、
前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス脱離工程と、
前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス検出工程と、
を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とする。
請求項11に係るガス検出方法は、
ガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を有するガス検出部と、
前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるペルチェ層と、
前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるヒーター層と、
前記ヒーター層を加温駆動し、前記ペルチェ層を冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
を少なくとも備えるガス検出装置を用いるガス検出方法であって、
前記駆動処理部は、
前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する酸素吸着工程と、
前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス脱離工程と、
前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス検出工程と、
を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とする。
本発明によれば、半導体式のガスセンサを低消費電力かつ高感度で検出できるようにして目的ガスの検出濃度範囲を低濃度側へ拡大するようなガス検出装置およびそのガス検出方法を提供することができる。
本発明を実施するための第1の形態のガス検出装置の要部の回路ブロック図である。 第1の形態のガス検出装置のガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 ガス感知層の温度−センサ抵抗値特性図である。 時間に対するガス検出部の駆動温度を説明するタイムチャートである。 吸着層とガス感知層との温度による状況説明図である。 本発明を実施するための第2の形態のガス検出装置の要部の回路ブロック図である。 第2の形態のガス検出装置のガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 実施例における時間に対するガス検出部の駆動温度を説明するタイムチャートである。 比較例における時間に対するガス検出部の駆動温度を説明するタイムチャートである。 実施例と比較例におけるガス濃度に対するガス感度を示す特性図である。
続いて、本発明を実施するためのガス検出装置およびそのガス検出方法について図を参照しつつ説明する。ガス検出装置100は、図1で示すように、ガスセンサ10、駆動処理部20を少なくとも備えている。なお、このような駆動処理部20は、操作入力部、目的ガスのガス濃度を表示する表示部等を備える形態としても良い。
ガスセンサ10は、半導体式のセンサであり、図2で示すように、さらにシリコン基板(以下Si基板)1、熱絶縁支持層2、ペルチェ層3、電気絶縁層4、ガス検出部5を備える。なお、図2は薄膜型半導体式のガスセンサの構成をあくまで概念的に見やすく示したもので、各部の大きさや厚さ等は厳密なものではない。
熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−Si層2b、CVD−SiO層2cの三層構造となっている。
また、ガス検出部5は、詳しくは、一対の接合層5a,5a、一対の感知層電極5b,5b、ガス感知層5c、吸着層5dを備える。このガス感知層5cは本形態では二酸化スズ層(以下、SnO層)を例に挙げるものであり、吸着層5dは本形態では酸化パラジウム(PdO)を触媒として担持したアルミナ焼結材(以下、触媒担持Al焼結材)を例に挙げるものである。
電気絶縁層4の一部、一対の接合層5a,5a、一対の感知層電極5b,5b、および、ガス感知層5cの表面を、吸着層5dが覆う構造としている。そして、図1で示すように、ペルチェ層3(詳しくはP型半導体層3bとN型半導体層3c)は駆動処理部20と電気的に接続されて駆動処理部20がペルチェ層3を冷却駆動または加温駆動し、また、ガス検出部5(詳しくは一対の感知層電極5b,5bを介してガス感知層5c)は駆動処理部20と電気的に接続されて駆動処理部20がガス感知層5cのセンサ抵抗値を読み出す。なお、本明細書中では周囲温度よりも高い所定温度にすることを加温とし、周囲温度よりも低い所定温度にすることを冷却として以下説明する。
続いて各部構成について説明する。
Si基板1はシリコン(Si)により形成され、ガス検出部5が直上に位置する箇所に貫通孔が形成される。
熱絶縁支持層2はこの貫通孔の開口部に張られてダイアフラム様に形成されており、Si基板1の上に設けられる。なお、貫通孔ではなく、ガス検出部5が直上に位置する箇所を横切る溝を設けてブリッジ様に形成しても良い。
熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化SiO層2a、CVD−Si層2b、CVD−SiO層2cの三層構造となっている。
熱酸化SiO層2aは熱絶縁層として形成されており、ペルチェ層3を冷却駆動または加温駆動したときにペルチェ層3で発生する寒冷または熱をSi基板1側へ熱伝導しないようにするため、熱容量を小さくする機能を有する。また、この熱酸化SiO層2aはプラズマエッチングに対して高い抵抗力を示し、後述するがプラズマエッチングによるSi基板1への貫通孔や溝の形成を容易にする。
CVD−Si層2bは、熱酸化SiO層2aの上側に形成される。
CVD−SiO層2cは、ペルチェ層3との密着性を向上させるとともに電気的絶縁を確保する。CVD(化学気相成長法)によるSiO層は内部応力が小さい。
ペルチェ層3は、さらに金属電極3a、P型半導体層3b、N型半導体層3cを備える。また、図示しない電源供給ラインも形成される。この電源ラインは、駆動処理部20に接続される。P型半導体層3bから金属電極3aを経てN型半導体層3cへ直流電流が流れるようにすると金属電極3aは熱を放出し、ガス検出部5を加温させる。逆にN型半導体層3cから金属電極3aを経てP型半導体層3bへ直流電流が流れるようにすると金属電極3aは熱を吸収し、ガス検出部5を冷却させる。このペルチェ層3は、Si基板1の孔部または溝部の上方であって熱絶縁支持層2の上側に形成されており、下側へ伝導する寒冷や熱が少ない。
電気絶縁層4は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層からなり、熱絶縁支持層2およびペルチェ層3を覆うように設けられる。ペルチェ層3と感知層電極5bとの間に電気的な絶縁を確保し、また、電気絶縁層4はガス感知層5cとの密着性を向上させる。また、薄膜状に形成されており、ペルチェ層3から発する寒冷や熱を直近で直上にあるガス検出部5に効率的に伝導し、他へは伝達しにくくしている。金属電極3aとガス検出部5との間が薄く形成されていて、寒冷や熱を伝導しやすくしている。
接合層5aは、例えば、Ta膜(タンタル膜)またはTi膜(チタン膜)からなり、電気絶縁層4の上に左右一対の接合層5a,5aが設けられる。この接合層5aは、感知層電極5bと電気絶縁層4との間に介在して接合強度を高める機能を有している。
感知層電極5bは、例えば、Pt膜(白金膜)またはAu膜(金膜)からなり、ガス感知層5cの感知電極となるように、一対の接合層5a,5aの上側に左右一対の感知層電極5b,5bが設けられる。
ガス感知層5cは、SnO層からなり、一対の感知層電極5b,5bを渡されるように電気絶縁層4の上に形成される。ガス感知層5cは、本形態ではSnO層として説明したが、SnO以外にも、In、WO、ZnO、または、TiOである金属酸化物を主成分とする薄膜の層としても良い。
吸着層5dは、酸化パラジウム(PdO)を担持した焼結体であり、先に説明したように触媒担持Al焼結材である。Alは多孔質体であるため、孔を通過するガスがPdOに接触する機会を増加させて、検知する目的ガスよりも酸化活性の強い還元性ガス(妨害ガス)の燃焼反応を促進させ、目的ガス(特に呼気や、室内環境に含まれるVOC。VOCは例えばエタノールやアセトン)の選択性を高める。つまり、目的ガス(VOC)以外の妨害ガスを酸化除去できる。
なお、吸着層5dは、このAl以外にも、Cr、Fe、Ni、ZrO、SiO、または、ゼオライトという金属酸化物を主成分としても良い。吸着層5dは、電気絶縁層4の一部、一対の接合層5a,5a、一対の感知層電極5b,5b、および、ガス感知層5cの表面を覆うように設けられる。これらの構成を有するガス検出部5は、ペルチェ層3の上方であって電気絶縁層4の上側に形成されており、ペルチェ層3からガス検出部5まで寒冷や熱を伝導しやすくしている。
このようなガスセンサ10は、ダイアフラム構造またはブリッジ構造を採用して高断熱,低熱容量の構造としている。また、ガスセンサ10は、感知電極層5b、ガス感知層5c、吸着層5d、ペルチェ層3の各構成要素をMEMS(微小電気機械システム)等の技術により熱容量のごく小さいものにしており、後述するが、TからTへという温度の時間変化が速くなり、熱脱離がごく短時間で起こる。したがって、ガス感知層5cへ達する目的ガスのガス濃度が高まり、より高感度なガスセンサ10が得られる。
続いて、本形態のガスセンサ10、および、ガス検出装置100の製造方法について概略説明する。
まず、板状のシリコンウェハー(図示せず)に対して熱酸化法によりその片面(または表裏両面)に熱酸化を施して熱酸化SiO膜たる熱酸化SiO層2aを形成する。そして、熱酸化SiO層2aを形成した面に支持膜となるCVD−Si膜をプラズマCVD法にて堆積してCVD−Si層2bを形成する。そして、このCVD−Si層2bの上面に熱絶縁膜となるCVD−SiO膜をプラズマCVD法にて堆積してCVD−SiO層2cを形成する。
さらに、CVD−SiO層2cの上面にスパッタリング法により蒸着させてからイオン打ち込み等で半導体にしたP型半導体層3bおよびN型半導体層3cを形成し、これらP型半導体層3bおよびN型半導体層3cに当接するように金属電極3aをスパッタリング法により蒸着してペルチェ層3を形成する。そして、このCVD−SiO層2cとペルチェ層3との上面にスパッタSiO膜をスパッタリング法により蒸着して、スパッタSiO層である電気絶縁層4を形成する。
この電気絶縁層4の上に接合層5a、感知層電極5bを形成する。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法によって行う。成膜条件は接合層(TaあるいはTi)5a、感知層電極(PtあるいはAu)5bとも同じで、Arガス(アルゴンガス)圧力1Pa、基板温度300℃、RFパワー2W/cm、膜厚は接合層5a/感知層電極5b=500Å/2000Åである。
一対の感知層電極5b,5bに渡されるように電気絶縁層4の間にSnO膜がスパッタリング法により蒸着され、ガス感知層5cが形成される。この成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、反応性スパッタリング法によって行う。ターゲットにはSbを0.1wt%含有するSnOを用いる。成膜条件はAr+Oガス圧力2Pa、基板温度150〜300℃、RFパワー2W/cm、膜厚400nmである。ガス感知層5cは、平面視で一辺が50μm程度の角状に形成される。
続いて吸着層5dを形成する。吸着層5dは、PdOを7.0wt%添加したγ−アルミナ(平均粒径2〜3μm)にジエチレングリコールモノエチルエーテルを同重量、さらにシリカゾルバインダを5〜20wt%添加してペーストとし、厚さ約30μmでスクリーン印刷により形成し、その後500℃で12時間焼成する。ただし吸着層5dは、ガス感知層5cを十分覆い尽くすように、直径をガス感知層5cの外周部よりも大きくする。吸着層5dは、平面視で直径200μm程度の円状に形成される。
最後にシリコンウェハー(図示せず)の裏面から微細加工プロセスとしてエッチングによりシリコンを除去して貫通孔や溝を形成してSi基板1とし、ダイアフラム構造またはブリッジ構造のガスセンサ10を形成する。そして、このガスセンサ10に対し、さらにペルチェ層3のP型半導体層3bおよびN型半導体層3c、および、ガス検出部5の一対の感知層電極5b,5bが、駆動処理部20に電気的に接続される。ガスセンサ10およびガス検出装置100の製造方法はこのようになる。
続いて、本発明のガス検出装置100およびそのガス検出方法による低濃度ガスの検出原理について説明する。まず、本願発明者は、実験結果等に基づいて、ガス感知層5cのセンサ抵抗値(電圧V1)と、ペルチェ層3の加温や冷却により変化する温度と、に図3に示すような対応関係があることを知見した。
図3に示すグラフは、通常の空気中すなわち周囲に目的ガスが無い環境における、ガス感知層5cの抵抗値(センサ抵抗値;縦軸)と、ペルチェ層3の温度(横軸)との関係を示す。
ガス感知層5cが初期状態、つまり大気下にあって充分ではないが多少の酸素吸着がされている状態とする。この状態でペルチェ層3の温度が周囲温度から温度Tまで上昇していくと、図3の点線で示すように、温度上昇に応じてSnO薄膜であるガス感知層5cのセンサ抵抗値が低下する。この温度Tまで上昇する温度領域にあるガス感知層5cでセンサ抵抗値の低下が生じる理由は、温度上昇に伴う「酸素脱離」が生じるためである。「酸素脱離」では、SnO薄膜に付着するイオン(O2−)がSnO薄膜から離脱する際にSnO薄膜へ電子を与える。電子の増大によりセンサ抵抗値が減少することとなる。
そして、ペルチェ層3の温度が温度Tを超えて更に上昇していくと、図3の点線で示すように、今度は温度上昇に応じてガス感知層5cのセンサ抵抗値が増加していく。温度Tから温度Tまで上昇する温度領域でセンサ抵抗値が増加していく理由は、SnO薄膜に「酸素吸着」(負電荷吸着)が生じる為であり、上記「酸素脱離」とは逆である。負電荷吸着とは、SnO薄膜にOが吸着する際にSnO薄膜から電子を奪ってイオン(O2−)の形で付くことであり、これによってSnO薄膜の抵抗値が増加する。電子の減少によりセンサ抵抗値が増加する。
そして、「酸素吸着」は温度Tで完了し、ペルチェ層3の温度が温度Tを超えて更に上昇していくと、図3の実線で示すように、今度は温度上昇に応じてガス感知層5cのセンサ抵抗値が低下していく。温度Tよりも高い温度領域でセンサ抵抗値が低下する理由であるが、温度Tより上の温度領域では酸素吸着を維持しているが半導体(SnO)の特性により温度上昇に応じてセンサ抵抗値が低下していくものと考えられる。
なお、目的ガスであるVOCのガス濃度に応じてセンサ抵抗値が低下する理由は、VOCによってSnO薄膜であるガス感知層5cから酸素が消費されて「酸素脱離」が起こり、感知層ガス5c内に自由電子が増えるためである。そして、ガス感知層5cにおいて酸素の消費がされない限り、温度の変化時にはセンサ抵抗値が図3の実線上を変化することになる。
このような本発明では、以下の原理で低濃度のガスを検出する。ガスセンサ10は目的ガスであるVOCを含む雰囲気にあるものとする。
ペルチェ層3が、図4で示すように、酸素吸着温度T、目的ガス吸着温度T、目的ガス脱離温度T、目的ガス検出温度Tとなるように駆動させることで、感知層5cおよび吸着層5dでは、図3,図5で示すような現象が起こる。以下、温度別に説明する。
まず、周囲温度から酸素吸着温度Tまで温度上昇させ、この酸素吸着温度Tを酸素吸着時間tにわたり維持するようにペルチェ層3を加温駆動する。図3で示すように、周囲温度から酸素吸着温度Tまで温度上昇すると、ガス感知層5cのセンサ抵抗値は、図3の(1)から点線のような挙動で(2)まで変化する。酸素吸着温度Tは、SnO薄膜に充分な「酸素吸着」(負電荷吸着)が生じる温度であり、例えば、320℃という温度T付近の温度である。
これにより、ガス感知層5cでは、酸素吸着反応が起こって酸素がガス感知層5cに吸着され、(1)のときのセンサ抵抗値と比較して(2)のときのセンサ抵抗値は上昇する。さらに吸着層5dにおいても触媒の酸化作用により、吸着層5dの表面に付着したガスを一旦燃焼させてクリーニングする。酸素吸着時間tの経過後では、吸着層5dにはガスが吸着されておらず、また、ガス感知層5cには十分な酸素が吸着された状態となる。
続いて、周囲温度よりも低い目的ガス吸着温度Tまで温度を低下させ、この目的ガス吸着温度Tを目的ガス吸着時間tにわたり維持するようにペルチェ層3を冷却駆動する。図3で示すように、酸素吸着温度Tからに瞬時に目的ガス吸着温度Tまで温度下降すると、センサ抵抗値は、図3の(2)から実線のような挙動で(3)まで変化する。目的ガス吸着温度Tでは、特に目的ガスが燃焼することなく吸着層5dに目的ガスが吸着される温度であり、周囲温度(20℃)より十分に低い温度(例えば−20℃)である。この際に、十分に低い温度の吸着層5dでは毛管凝縮作用をより増大させており、目的ガス成分の濃縮が起こり、より多くのVOCを捕集させている。
なお、目的ガス吸着時間tを長くすれば、吸着層5dにはより多くの目的ガスが吸着されるが、目的ガス吸着温度Tではガス感知層5cからの酸素の脱離が進行していくため、目的ガス吸着時間tは無制限に長くできない。そこで、目的ガスの吸着層5dへの吸着量が平衡に近くなるまで吸着し、かつ、ガス感知層5cから酸素が多く脱離しない目的ガス吸着時間tを選択する。
このようにペルチェ層3が目的ガス吸着温度Tまで温度下降させ、吸着層5dに目的ガスが吸着される目的ガス吸着時間tにわたりこの目的ガス吸着温度Tの状態を維持すると、ガス感知層5cでは、センサ抵抗値が高い状態、すなわち、ガス感知層5cは十分な酸素が吸着された状態を維持したまま、高濃度の目的ガスが吸着層5dへ吸着される。
続いて、この目的ガス吸着温度Tより十分に高い目的ガス脱離温度Tに温度を上昇させ、この目的ガス脱離温度Tを目的ガス脱離時間tにわたり維持するようにペルチェ層3を加温駆動する。図3で示すように、目的ガス吸着温度Tから瞬時に目的ガス脱離温度Tまで温度上昇すると、センサ抵抗値は、図3の(3)から実線のような挙動で(4)まで変化する。目的ガス脱離温度Tは、例えばTと同じ320℃程度の温度であり、吸着層5dに濃縮された目的ガス成分の熱脱離が起こり、元々の気相中のガス濃度より高い濃度でガス感知層5cに達するため、低濃度のガス検出が可能となる。
その後、ガス感知層5cを目的ガス検出温度Tに目的ガス検出時間tにわたり維持するようにペルチェ層3を加温駆動する。図3で示すように、目的ガス脱離温度Tから瞬時に目的ガス検出温度Tまで変化させると、センサ抵抗値は、図3の(4)から実線のような挙動で(5)まで変化する。この後はガス感知層5cに到達した目的ガスが酸素を消費して起こる抵抗変化である。
このようにして、低濃度のVOCを検出する場合であってもガス検出が可能となる。この目的ガス検出時間tの経過後にガス検出が開始される。なお、目的ガス検出温度Tと目的ガス脱離温度Tとは、T≦Tの関係にあるものとして説明したが、T≦Tの関係にある場合も起こりうる。この温度関係は、ガス感知層の種類によって変化する。
そして、ガス検出後も酸素が残っているものとする。次にガス検出後に周囲温度まで温度を低下させるようにする。図3で示すように、目的ガス検出温度Tからに瞬時に周囲温度まで温度下降すると、センサ抵抗値は、図3の(5)から実線のような挙動で(6)まで変化する。次に周囲温度から酸素吸着温度Tまで温度上昇させると、センサ抵抗値は、図3の(6)から実線のような挙動で(2)まで変化する。そして、この駆動パターンが繰り返し行われると、センサ抵抗値は目的ガスが無い時は(6)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)を繰り返し周期として図3の実線上を行き来する。目的ガスがある時は、(5)で抵抗値が下がることで目的ガスを検知する。なお、(6)に到達(つまり駆動停止)してからヒーター駆動を行わないで十分に時間が経つと、(1)に戻る。
ここに吸着層5dでの目的ガスの吸着量は、気相中の目的ガスとの吸着平衡により決まるので、気相中のガス濃度と一定関係にある。したがって、上述の機構による高感度化でも、気相中のガス濃度とガスセンサの出力との間には、一定の関係が得られる。このような挙動を利用してVOCのガスを検出する。
続いて、ガス検出方法について、ペルチェ層3の特別駆動方式を参照しつつ説明する。本発明のガス検出装置100では、VOCを検出するための特別駆動方式で駆動することで、VOCの濃度検出感度をさらに改善するものである。
駆動処理部20は、ガス感知層5cに酸素が吸着される酸素吸着温度Tで酸素吸着時間tにわたりペルチェ層3を加温駆動する酸素吸着工程として機能する。駆動処理部20は、電流による駆動信号を流してペルチェ層3の温度を一定時間(例えば0.6s)にわたり、高温状態(例えば320℃)に保持してガス感知層5cに酸素を吸着させる。さらに吸着層5dにおいても触媒の酸化作用により、吸着層5dの表面に付着したガスを一旦燃焼させてクリーニングする。
続いて、駆動処理部20は、吸着層5dに目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度Tで目的ガス吸着時間tにわたりペルチェ層3を冷却駆動する目的ガス吸着工程として機能する。目的ガス吸着温度Tとは、測定時の周囲温度よりも充分低い温度であり、例えば−20℃というような温度である。駆動処理部20は、一定時間(例えば20s)にわたりペルチェ層3に加温時とは逆に駆動信号を流す状態としてセンサ温度が目的ガス吸着温度Tになっている間に吸着層5dの表面にVOCを付着させる。目的ガス吸着時間tを長時間とし、また、目的ガス吸着温度Tを0℃以下で充分低くして、毛管凝縮効果を促進させており、より多量のVOCを付着させることができる。
続いて、駆動処理部20は、吸着層5dで目的ガスが脱離する目的ガス脱離温度Tで目的ガス脱離時間tにわたりペルチェ層3を加温駆動する目的ガス脱離工程として機能する。駆動処理部20は、電流による駆動信号を流してペルチェ層3の温度を一定時間(例えば0.6s)にわたり、高温状態(例えば320℃、または、例えば300℃)に保持する。これにより、VOC(目的ガス)がガス感知層5cへ移動する。ガス感知層5cに吸着した酸素とVOCとを反応させてSnOから酸素を離脱させて、ガス感知層5cのセンサ抵抗値を変化させる。
続いて、駆動処理部20は、所定時間tの経過後、目的ガス検出温度Tにおけるガス感知層5cの感知層抵抗の値を算出して目的ガス濃度を算出する目的ガス検出工程として機能する。これにより、目的ガスである低濃度のVOC濃度を検出する。なお、これら酸素吸着工程、目的ガス吸着工程、目的ガス脱離工程、目的ガス検出工程を繰り返し行って変動が少ない安定したセンサ抵抗値が得られるようになった後に目的ガス濃度算出手段によりVOCの濃度を検出するようにしても良い。
ここに、酸素吸着温度T、目的ガス吸着温度T、目的ガス脱離温度T、および、目的ガス検出温度Tは、T<T≦T≦TまたはT<T≦T≦Tの関係がある。目的ガス検出温度Tは、ガス感知層の種類により、T≦TまたはT≦Tとなる。特に酸素吸着温度Tを高くして酸素の吸着量を最大とする。そして、目的ガス吸着温度Tを充分低くする(例えば0℃以下である−20℃にする)とともに目的ガス吸着時間tを、酸素吸着時間t、目的ガス脱離時間tおよび目的ガス検出時間tよりも長くして目的ガスを吸着層5dにより多く吸着させる。これにより量が増加した(濃縮した)目的ガスが酸素を消費することで、センサ抵抗値の変化が大きくなり、検出感度を高めることができる。ガス検出装置100によるガス検出方法はこのようなものとなる。
このようなガス検出装置は、量産性が高く安価という利点がある半導体式ガスセンサを、さらに高感度化し検出濃度範囲を低濃度側へ拡大する。特に、低沸点で室温での蒸気圧が低いVOC(目的ガス)の高感度化を図ることができる。
また、ガス感知層、電極、吸着層、ペルチェ層の各構成要素をMEMS(微小電気機械システム)等の技術により熱容量のごく小さいものにすることで、例えばTからTへの温度の時間変化が速くなり、熱脱離がごく短時間で起こるため、ガス感知層へ達するガス濃度が高まり、より高感度なガス検出装置が得られる。さらにペルチェ層は電気絶縁層内に配置されており、加温や冷却の損失を少なくし、消費電力の低減に寄与している。
続いて、本発明を実施するための第2形態のガス検出装置およびそのガス検出方法について図を参照しつつ説明する。ガス検出装置200は、図6で示すように、ガスセンサ30、駆動処理部20を少なくとも備えている。この駆動処理部20も、操作入力部、目的ガスのガス濃度を表示する表示部等を備える形態としても良い。
ガスセンサ30は、半導体式のセンサであり、図7で示すように、さらにSi基板1、熱絶縁支持層2、ガス検出部5、ペルチェ層6、第1電気絶縁層7、ヒーター層8、第2電気絶縁層9を備える。なお、図7は薄膜型半導体式のガスセンサの構成をあくまで概念的に見やすく示したもので、各部の大きさや厚さ等は厳密なものではない。
先の第1形態と比較すると、ペルチェ層3および電気絶縁層4に代えて、ペルチェ層6、第1電気絶縁層7、ヒーター層8、第2電気絶縁層9が設けられた点が相違する。これらペルチェ層6、第1電気絶縁層7、ヒーター層8、第2電気絶縁層9を重点的に説明し、他のシリコン基板(以下Si基板)1、熱絶縁支持層2、ガス検出部5については同じ構成であるとして重複する説明を省略する。
ペルチェ層6は、さらに金属電極6a、P型半導体層6b、N型半導体層6cを備える。また、図示しない電源供給ラインも形成される。この電源ラインは、駆動処理部20に接続される。N型半導体層6cから金属電極6aを経てP型半導体層6bへ直流電流を流すと、金属電極6aは熱を吸収する。このペルチェ層6は冷却機能のみ有する。そして、このペルチェ層6は、Si基板1の孔部または溝部の上方であって熱絶縁支持層2の上側に形成されており、下側へ伝導する寒冷が少ない。
第1電気絶縁層7は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層からなる。第1電気絶縁層7は、熱絶縁支持層2およびペルチェ層6を覆うように設けられる。第1電気絶縁層7は、ペルチェ層6と上側のヒーター層8との間に電気的な絶縁を確保する。
ヒーター層8は、薄膜状のPt−W膜であって、Si基板1の孔部または溝部の上方であって第1電気絶縁層7の上側に設けられる。また、図示しない電源供給ラインも形成される。この電源ラインは、駆動処理部20に接続される。ヒーター層8は、ペルチェ層6が発生させる最高温度より高い温度を発生させる必要がある場合に採用される。
第2電気絶縁層9は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層からなる。第2電気絶縁層9は、第1電気絶縁層7およびヒーター層8を覆うように設けられる。第2電気絶縁層9は、ヒーター層8と感知層電極5bとの間に電気的な絶縁を確保し、また、第2電気絶縁層9は、ガス感知層5cとの密着性を向上させる。
そしてガス検出部5は、ペルチェ層6およびヒーター層8の上方であって第2電気絶縁層9の上側に形成されている。第1電気絶縁層7および第2電気絶縁層9は、ペルチェ層6から発する寒冷やヒーター層8から発する熱を直近で直上にあるガス検出部5に効率的に伝導し、他へ伝達しにくくしている。第2電気絶縁層9では、ガス検出部5とヒーター層8との間が薄く形成されていて、寒冷や熱を伝導しやすくしている。なお、ペルチェ層6は、ヒーター層8より遠い位置にあるが、実用上は充分に近接した位置にあり、ガス検出部5を所定の温度(例えば−20℃)に冷却することが容易である。これら第1電気絶縁層7および第2電気絶縁層9が本発明の電気絶縁層を形成している。
そして、図6で示すように、ペルチェ層6(詳しくはP型半導体層6bとN型半導体層6c)は駆動処理部20と電気的に接続されて駆動処理部20がペルチェ層6を冷却駆動し、ヒーター層8は駆動処理部20と電気的に接続されて駆動処理部20がヒーター層8を加温駆動し、また、ガス検出部5(詳しくは一対の感知層電極5b,5bを介してガス感知層5c)は駆動処理部20と電気的に接続され駆動処理部20がガス感知層5cのセンサ抵抗値を読み出す。
ガス検出装置200の製造方法については、先に説明したガス検出装置100の製造方法において、ペルチェ層3、電気絶縁層4の製造に代えて、ペルチェ層6、第1電気絶縁層7、ヒーター層8、第2電気絶縁層9を形成する点が相違する。これらペルチェ層6、第1電気絶縁層7、ヒーター層8、第2電気絶縁層9の形成についてのみ説明する。
CVD−SiO層2cの上面にスパッタリング法により蒸着させてからイオン打ち込み等で半導体にしたP型半導体層6bおよびN型半導体層6cを形成し、これらP型半導体層6bおよびN型半導体層6cに当接するように金属電極6aをスパッタリング法により蒸着してペルチェ層6を形成する。そして、このCVD−SiO層2cとペルチェ層6との上面にスパッタSiO膜をスパッタリング法により蒸着して、スパッタSiO層である第1電気絶縁層7を形成する。続いて、第1電気絶縁層7の上面にPt−W膜をスパッタリング法により蒸着してヒーター層8を形成する。そして、この第1電気絶縁層7とヒーター層8との上面にスパッタSiO膜をスパッタリング法により蒸着して、スパッタSiO層である第2電気絶縁層9を形成する。以下は先の形態で説明したようにガス検出部5が形成される。
続いて、ガス検出方法について、ペルチェ層6およびヒーター層8の特別駆動方式を参照しつつ説明する。本発明のガス検出装置200では、VOCを検出するための特別駆動方式で駆動することで、VOCの濃度検出感度を改善するものである。
駆動処理部20は、ガス感知層5cに酸素が吸着される酸素吸着温度Tで酸素吸着時間tにわたりヒーター層8を加温駆動する酸素吸着工程として機能する。駆動処理部20は、電流による駆動信号を流してヒーター層8の温度を一定時間(例えば0.6s)にわたり、高温状態(例えば430℃)に保持してガス感知層5cに酸素を吸着させる。さらに吸着層5dにおいても触媒の酸化作用により、吸着層5dの表面に付着したガスを一旦燃焼させてクリーニングする。
続いて、駆動処理部20は、吸着層5dに目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度Tで目的ガス吸着時間tにわたりペルチェ層6を冷却駆動する目的ガス吸着工程として機能する。目的ガス吸着温度Tとは、測定時の周囲温度よりも充分低い温度であり、例えば−20℃というような温度である。一定時間(例えば20s)にわたりセンサ温度が目的ガス吸着温度Tになっている間に吸着層5dの表面にVOCを付着させる。目的ガス吸着時間tを長時間とし、また、目的ガス吸着温度Tが0℃以下で充分低くして、毛管凝縮効果を促進させており、より多量のVOCを付着させることができる。
続いて、駆動処理部20は、吸着層5dで目的ガスが脱離する目的ガス脱離温度Tで目的ガス脱離時間tにわたりヒーター層8を加温駆動する目的ガス脱離工程として機能する。駆動処理部20は、電流による駆動信号を流してヒーター層8の温度を一定時間(例えば0.6s)にわたり、高温状態(例えば430℃、または、400℃)に保持する。これにより、VOC(目的ガス)がガス感知層5cへ移動する。ガス感知層5cに吸着した酸素とVOCとを反応させてSnOから酸素を離脱させて、ガス感知層5cのセンサ抵抗値を変化させる。
続いて、駆動処理部20は、所定時間tの経過後、目的ガス検出温度Tにおけるガス感知層5cの感知層抵抗の値を算出して目的ガス濃度を算出する目的ガス検出工程として機能する。これにより、目的ガスである低濃度のVOC濃度を検出する。なお、これら酸素吸着工程、目的ガス吸着工程、目的ガス脱離工程、目的ガス検出工程を繰り返し行って変動が少ない安定したセンサ抵抗値が得られるようになった後に目的ガス濃度算出手段によりVOCの濃度を検出するようにしても良い。
ここに、酸素吸着温度T、目的ガス吸着温度T、目的ガス脱離温度T、および、目的ガス検出温度Tは、T<T≦T≦TまたはT<T≦T≦Tの関係がある。目的ガス検出温度Tは、ガス感知層の種類により、T≦TまたはT≦Tとなる。特に酸素吸着温度Tを高くして酸素の吸着量を最大とする。そして、目的ガス吸着温度Tを充分低くする(例えば0℃以下である−20℃にする)とともに目的ガス吸着時間tを、酸素吸着時間t、目的ガス脱離時間tおよび目的ガス検出時間tよりも長くして目的ガスを吸着層5dにより多く吸着させる。これにより目的ガスによる酸素の消費量が多くなり、センサ抵抗値の変化が大きくなり、検出感度を高めることができる。ガス検出装置200によるガス検出方法はこのようなものとなる。
このようなガス検出装置は、量産性が高く安価という利点がある半導体式ガスセンサを、さらに高感度化し検出濃度範囲を低濃度側へ拡大する。特に、低沸点で室温での蒸気圧が低いVOC(目的ガス)の高感度化を図ることができる。
また、ガス感知層、電極、吸着層、ペルチェ層、ヒーター層の各構成要素をMEMS(微小電気機械システム)等の技術により熱容量のごく小さいものにすることで、例えばTからTへの温度の時間変化が速くなり、熱脱離がごく短時間で起こるため、ガス感知層へ達するガス濃度が高まり、より高感度なガス検出装置が得られる。さらにペルチェ層やヒーター層は電気絶縁層内に配置されており、加温や冷却の損失を少なくし、消費電力の低減に寄与している。
加えて、第1形態のペルチェ層3が昇温できる温度よりも、第2形態のヒーター層6はより高い温度まで昇温できる。したがって、第2形態のガス検出装置200は、特に高温で酸素吸着(T)、目的ガス脱離(T)、目的ガス検出(T)を行う用途で好適である。
続いて、本発明のガス検出装置およびそのガス検出方法について駆動条件を変更して特性を調べた。図8は、本発明の第2実施形態のガス検出装置200を駆動するタイムチャートである。酸素がガス感知層に吸着される酸素吸着温度T(=400℃)に変化させて酸素吸着時間t経た後、温度検出対象ガスが吸着層に吸着される目的ガス吸着温度T(−20℃=周囲温度20℃より十分に低い温度)に温度変化させて目的ガス吸着時間tにわたり保持し、続いて目的ガス脱離温度T(=300℃)に温度変化させて目的ガス脱離時間t経た後に感知層の抵抗値を取得する。一方、図9は比較のためペルチェ素子がない(冷却機能がない)ガス検出装置を駆動するものであり、特に目的ガス吸着温度Tが周囲温度よりも高い。
図10に、実施例および比較例のイソプレンに対するガス感度特性を示す。図8,図9のパターンを周期的に繰り返して感知層の抵抗が十分に安定したところで感度を評価した。また、感度は清浄空気中抵抗(Rair)と、ガス中抵抗(Rgas)との比であり、Rair/Rgasで算出している。したがって、ガス濃度=1.0(図10中の1.0E+0)は、全くガス感度がないことになる。
比較例では、数ppmまでしか感度が得られていないのに対し、本発明の実施例では数百ppbまで感度が得られている。イソプレンの沸点は34℃であり、周囲温度(20℃)付近では毛管凝縮効果が少ないため吸着層への吸着が不十分であるが、沸点から十分に低い温度(−20℃)にすることにより毛管凝縮効果が高まり液化したイソプレンが吸着層に十分に吸着されて、ガス感度が大幅に向上する。
以上本発明のガス検出装置およびそのガス検出方法について説明した。
本発明によれば、図2に示した構造のガスセンサ10のガス感知層5cの温度特性を十分に活かした駆動パターンとなるようにペルチェ層3を駆動し、冷却により低温になった吸着層5dに目的ガスを高濃度に吸着させてからガス感知層5c(SnO層)と反応させるようにしたため、低濃度の目的ガスを高感度で検出できるようになった。
同様に、図7に示した構造のガスセンサ30のガス感知層5cの温度特性を十分に活かした駆動パターンとなるようにペルチェ層6およびヒーター層8を駆動し、冷却により低温になった吸着層5dに目的ガスを高濃度に吸着させてからガス感知層5c(SnO層)と反応させるようにしたため、低濃度の目的ガスを高感度で検出できるようになった。そして特に高温で酸素吸着(T)、目的ガス脱離(T)、目的ガス検出(T)を行うことができ、より多くの種類のVOCを検出可能としている。
なお、本明細書では、ペルチェ層やヒーター層の実際の温度を考慮して説明したが、ペルチェ層やヒーター層が温度制御可能な上限温度や下限温度により本発明が限定される趣旨ではなく、改良により上限温度が上がったペルチェ層やヒーター層、また、下限温度が下がったペルチェ層を採用しても良い。
また、本明細書では、特にガスセンサとして薄膜半導体式を採用する点について説明した。しかしながら、本願発明は、一般的な半導体式のガスセンサ(例えば、半導体式ガスセンサや熱線半導体式ガスセンサ)に適応することも可能である。このような一般的な半導体式のガスセンサを搭載したガス検出装置としても良い。
本発明のガス検出装置およびガス検出方法は、ppbレベルの低濃度のガスを検出することが可能となり、例えば、シックハウス症候群対策のため室内環境を分析する環境分野や、体調管理のために人の呼気の分析する医療分野、などに好適である。また、低消費電力を実現しており、電池駆動等の適用も見込める。
100,200:ガス検出装置
10,30:ガスセンサ
1:Si基板
2:絶縁支持層
2a:熱酸化SiO
2b:CVD−Si
2c:CVD−SiO
3:ペルチェ層
3a:金属電極
3b:P型半導体層
3c:N型半導体層
4:電気絶縁層
5:ガス検出部
5a:接合層
5b:感知層電極
5c:感知層(SnO層)
5d:吸着層(PdO担持Al焼結材)
6:ペルチェ層
6a:金属電極
6b:P型半導体層
6c:N型半導体層
7:第1電気絶縁層
8:ヒーター層
9:第2電気絶縁層
20:駆動処理部

Claims (11)

  1. Si基板と、
    前記Si基板上に形成される熱絶縁支持層と、
    前記熱絶縁支持層上に設けられるペルチェ層と、
    少なくとも前記ペルチェ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
    前記電気絶縁層上に設けられる一対の感知層電極と、前記一対の感知層電極を渡されるように設けられるガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を設けたガス検出部と、
    前記ペルチェ層を加温駆動または冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
    を備え
    前記駆動処理部は、
    前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する酸素吸着工程と、
    前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
    前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス脱離工程と、
    前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス検出工程と、
    を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施すると共に、
    前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
    前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とするガス検出装置。
  2. 孔部または溝部が形成された前記Si基板を覆うように前記熱絶縁支持層が支持され、前記孔部または前記溝部の上方であって前記熱絶縁支持層の上側に前記ペルチェ層が形成され、前記ペルチェ層を覆うように前記電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層の上方であって前記電気絶縁層の上側に前記ガス検出部が形成され、ダイアフラム様またはブリッジ様で一体構造のガスセンサとして構成されることを特徴とする請求項1に記載のガス検出装置。
  3. Si基板と、
    前記Si基板上に形成される熱絶縁支持層と、
    前記熱絶縁支持層上に設けられるペルチェ層と、
    前記ペルチェ層に近接して設けられるヒーター層と、
    少なくとも前記ペルチェ層および前記ヒーター層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
    前記電気絶縁層上に設けられる一対の感知層電極と、前記一対の感知層電極を渡されるように設けられるガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を設けたガス検出部と、
    前記ペルチェ層を冷却駆動し、前記ヒーター層を加温駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
    を備え、
    孔部または溝部が形成された前記Si基板を覆うように前記熱絶縁支持層が支持され、前記孔部または前記溝部の上方であって前記熱絶縁支持層の上側に前記ペルチェ層が形成され、前記ペルチェ層を覆うように前記電気絶縁層の一部である第1電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層の上方であって前記第1電気絶縁層の上側に前記ヒーター層が形成され、前記ヒーター層を覆うように前記電気絶縁層の一部である第2電気絶縁層が形成され、前記ペルチェ層および前記ヒーター層の上方であって前記第2電気絶縁層の上側に前記ガス検出部が形成され、ダイアフラム様またはブリッジ様で一体構造のガスセンサとして構成されることを特徴とするガス検出装置。
  4. 前記駆動処理部は、
    前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する酸素吸着工程と、
    前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
    前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス脱離工程と、
    前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス検出工程と、
    を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
    前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
    前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とする請求項3に記載のガス検出装置。
  5. 前記目的ガス吸着温度T 、および、前記目的ガス検出温度T は、T <T の関係があることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のガス検出装置。
  6. 前記酸素吸着温度T 、前記目的ガス吸着温度T 、および、前記目的ガス検出温度T は、T <T ≦T の関係があることを特徴とする請求項または請求項に記載のガス検出装置。
  7. 前記酸素吸着温度T 、前記目的ガス吸着温度T前記目的ガス脱離温度T および、前記目的ガス検出温度Tは、T<T ≦T ≦T またはT <T ≦T ≦T の関係があることを特徴とする請求項または請求項に記載のガス検出装置。
  8. 前記ガス感知層は、金属酸化物であるSnO 、In 、WO 、ZnO、または、TiO を主成分とすることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のガス検出装置。
  9. 前記吸着層は、金属酸化物であるAl 、Cr 、Fe 、Ni 、ZrO 、SiO 、または、ゼオライトを主成分とすることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のガス検出装置。
  10. ガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を有するガス検出部と、 前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるペルチェ層と、
    前記ペルチェ層を加温駆動または冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
    を少なくとも備えるガス検出装置を用いるガス検出方法であって、
    前記駆動処理部は、
    前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する酸素吸着工程と、
    前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
    前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス脱離工程と、
    前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ペルチェ層を加温駆動する目的ガス検出工程と、
    を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
    前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
    前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とするガス検出方法
  11. ガス感知層と、前記ガス感知層を覆うように設けられており触媒を担持した焼結材の吸着層と、を有するガス検出部と、
    前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるペルチェ層と、
    前記ガス感知層とは電気的に絶縁された状態であって前記ガス感知層に近接する箇所に配置されるヒーター層と、
    前記ヒーター層を加温駆動し、前記ペルチェ層を冷却駆動し、また、前記ガス感知層からセンサ抵抗値を取得する駆動処理部と、
    を少なくとも備えるガス検出装置を用いるガス検出方法であって、
    前記駆動処理部は、
    前記ガス感知層に酸素が吸着される酸素吸着温度T で酸素吸着時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する酸素吸着工程と、
    前記吸着層に目的ガスが吸着される目的ガス吸着温度T で目的ガス吸着時間t にわたり前記ペルチェ層を冷却駆動する目的ガス吸着工程と、
    前記吸着層に吸着された目的ガスが脱離して前記ガス感知層に移動する目的ガス脱離温度T で目的ガス脱離時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス脱離工程と、
    前記ガス感知層で目的ガスが検出される目的ガス検出温度T で目的ガス検出時間t にわたり前記ヒーター層を駆動する目的ガス検出工程と、
    を前記酸素吸着工程、前記目的ガス吸着工程、前記目的ガス脱離工程、前記目的ガス検出工程の順に実施し、
    前記目的ガス検出温度T における前記ガス感知層のセンサ抵抗値から目的ガスのガス濃度を算出する目的ガス濃度算出手段として機能するものであり、
    前記目的ガス吸着温度T は周囲温度よりも低い温度とし、かつ、前記目的ガス吸着時間t は、前記酸素吸着時間t 、前記目的ガス脱離時間t および前記目的ガス検出時間t よりも長い時間であることを特徴とするガス検出方法
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