JP4332959B2 - 車両の制動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動装置、特に、緊急時において制動力を助勢するブレーキアシストシステムと、車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキシステムとが備えられた車両の制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両の制動装置として、アンチロックブレーキシステム(以下、ABSという)と、エンジンから駆動輪に伝達される駆動力を減少させて補助制動力を発生させる補助ブレーキとを備えたものが知られている(例えば、特開平6−227374号公報参照)。このものでは、ABSが作動する場合には、補助ブレーキの作動を中止して、両者の制御干渉を回避するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、緊急時にブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシストシステム(以下、BASという)が知られている。このBASも、ABSとの制御干渉を回避するために、上記ABSとBASとを同時に作動させないようにする必要がある。例えば上記BASが作動しているときにABSを作動させるべき状況になれば、上記BASの作動を停止してABSを作動させることによって、上記ABSとBASとの制御干渉を回避することができるようになる。
【0004】
ところが、このようにABSの作動に伴いBASの作動を停止させれば、このABSの作動が終了した後にBASを作動させた方がより好ましい状況であっても、その作動が再開されない場合がある。
【0005】
そこで、BASの作動中にABSの作動を開始させた場合、このABSの作動が終了したときに、常にBASの作動を再開させるようにすることも考えられるが、BASはフルブレーキ状態にブレーキを作動させることから、状況に応じて、必要な時のみ作動させるのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブレーキアシストシステムとアンチロックブレーキシステムとの双方を備えた車両の制動装置において、ブレーキアシストシステムとアンチロックブレーキシステムとの制御干渉を回避しつつ、ブレーキアシストシステムを適正に作動させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次の点に着目して完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、ABSが作動した後に、BASを作動させるべき状況としては、例えば路面の摩擦係数(路面μ)が高μ・低μ・高μとなるように連続的に変化するような路面の一部が凍結している場合が考えられる。この場合、高μの路面を走行しているときにBASを作動させた場合であっても、低μの路面を車両が一時的に走行することによってABSが作動して、上記BASの作動が中止される。しかし、その後すぐに路面μが高くなるためABSの作動は終了する。この場合は、BASの作動を再開させた方がより好ましい。
【0009】
このように、ABSとBASとの制御干渉を防止すべくABSの作動時にはBASの作動を停止することとし、その後は、摩擦係数が低下した路面を車両が一時的に走行したことに起因して上記ABSが作動した場合にのみ、BASの作動を再開させれば、このBASを適正に作動させることが可能になる。
【0010】
具体的に、第1の発明は、ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備えたものとする。そして、上記制御手段を、上記ブレーキアシスト手段が作動している最中に上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を中止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後に上記ブレーキアシスト手段の作動を再開させるように構成することを特定事項とするものである。ここで、「緊急制動検出手段」としては、ブレーキペダルが強くかつ素早く踏み込まれていることを検出すればよく、例えばマスタシリンダ圧、及びその圧力の上昇速度に基づいて検出すればよい。また、ブレーキペダルのストロークを直接検出してその踏み込み量、及び踏み込み速度に基づいて検出してもよい。
【0011】
また、「車輪状態検出手段」としては、例えば各車輪の車輪速を検出し、それによって各車輪のロック状態などを検出すればよい。
【0012】
そして、この場合、上記ブレーキアシスト手段の作動中に、アンチロックブレーキ手段を作動させるべき状況となれば、上記ブレーキアシスト手段の作動を中止して、アンチロックブレーキ手段を作動させる。これにより、上記ブレーキアシスト手段とアンチロックブレーキ手段との制御干渉が回避される。
【0013】
そして、上記アンチロックブレーキ手段の作動が終了したときに、低μ路を車両が一時的に走行したことを条件に、上記ブレーキアシスト手段の作動が再開される。これにより、例えば高μ・低μ・高μと摩擦係数が連続的に変化した路面を走行する場合等において、高μのところでブレーキアシスト手段が作動して緊急制動が行われたときには、低μのところでアンチロックブレーキ手段が作動してブレーキアシスト手段の作動が停止される。そして、再び高μとなったところでアンチロックブレーキ手段の作動が停止し、ブレーキアシスト手段の作動が再開される。
【0014】
このように、路面の一部が低μである場合は、ブレーキアシスト手段の作動を再開させることによって、制動力の助勢が適正に行われる。つまり、上記ブレーキアシスト手段の作動が適正に行われる。
【0015】
ここで、「一時的」とは、車速によって変化するものであり、その車速で走行している車両が停止するまでの時間に対して一時的ということになる。すなわち、上記「一時的」の時間は、上記車両が停止するまでの時間よりも短い時間で適宜設定すればよい。
【0016】
そして、この「低μ路を車両が一時的に走行したこと」の判定は、例えば以下のようにして行えばよい。
【0017】
すなわち、請求項1記載の如く、アンチロックブレーキ手段の作動した時間が所定時間よりも短い場合に、アンチロックブレーキ手段の作動が、低μ路を車両が一時的に走行したことによるものと判定してもよい。このようにアンチロックブレーキ手段の作動時間が所定時間よりも短い場合は、路面μの低下した部分の車両の進行方向に対する距離が短いことが判定可能となる。つまり、路面の一部が低μであったことが判定可能になる。
【0018】
また、請求項2記載の如く、路面の摩擦係数に関する情報を車両に提供する情報提供手段からの該情報を受信する情報受信手段を備えたものとする。そして、制御手段を、上記情報受信手段が受信した情報に基づき、アンチロックブレーキ手段の作動が、摩擦係数が低下した路面を車両が一時的に走行したことによるものか否かを判定するように構成してもよい。ここで、情報受信手段は、いわゆる路車間通信とすればよい。そして、この場合、情報受信手段が受信した情報によって車両の走行している路面の状態が正確に認識され、この情報に基づいて、低μ領域が一部のみであったことが的確に判定される。
【0019】
また、請求項3記載の如く、車両の走行している位置を検出する走行位置検出手段を備えたものとし、制御手段を、上記走行位置検出手段の検出結果に基づき、アンチロックブレーキ手段の作動が、低μ路を車両が一時的に走行したことによるものか否かを判定するように構成してもよい。ここで、「走行位置検出手段」は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いたナビゲーションシステムとすればよい。この場合、例えば橋上やトンネルの出口付近は、路面の一部が凍結する場合が多いことを利用して、アンチロックブレーキ手段が作動したとき、車両の走行位置が上記橋上やトンネル出口付近であれば、車両が低μ路を一時的に走行したと判定するようにすればよい。この場合も、低μ路を車両が一時的に走行したことが的確に判定される。
【0020】
上記第1の発明は、ブレーキアシスト手段の作動中にアンチロックブレーキ手段が作動した場合についての発明であったが、第2の発明は、ブレーキアシスト手段が作動する前であって、ブレーキアシスト手段の作動開始の条件が成立しているときに、アンチロックブレーキ手段が作動する場合についての発明である。
【0021】
具体的には、ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備えたものとする。そして、上記制御手段を、上記ブレーキアシスト手段の作動開始の条件が成立しているときに上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を禁止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後、上記ブレーキアシスト手段の作動を開始させるように構成することを特定事項とするものである。この場合、上記第1の発明と同様に、ブレーキアシスト手段とアンチロックブレーキ手段との制御干渉が回避される。それと共に、摩擦係数が低下した路面を車両が一時的に走行した場合には、ブレーキアシスト手段の作動が開始されるため、このブレーキアシスト手段を適正に行うことが可能になる。
【0022】
そして、上記第2の発明において、ブレーキアシスト手段の作動開始の条件としては、例えば次のように設定してもよい。すなわち、請求項5記載の如く、ブレーキ操作の開始後、マスタシリンダ圧が減少から増加に転じる増加側変曲点以降のマスタシリンダ圧及びその上昇速度の少なくとも一方に基づいて設定するようにしてもよい。
【0023】
この場合、緊急時のブレーキ操作と、この緊急時のブレーキ操作と同様に、強くて素早いブレーキ操作が行われるいわゆるスポーツ走行時のブレーキ操作とが的確に判別される。
【0024】
つまり、図6に示すように、ブレーキペダルの踏み込み量に対するブレーキ力、つまり倍力装置におけるブースト率は、ブレーキペダルの踏み込み開始直後の立ち上がりの後に、この倍力装置の応答遅れが生じることによって、一旦下がってその上昇が停滞するようになる。そして、この応答遅れ後に、再び上昇が開始されて本格的な立ち上がりが生じるようになる。ここで、上記ブースト率が減少傾向から増加傾向に転じる増加側変曲点以降のブースト率、及びその上昇速度が、緊急時のブレーキ操作とスポーツ走行時のブレーキ操作とでは明らかに異なっている。そこで、上記ブースト率がマスタシリンダ圧と等価であることを利用して、上記増加側変曲点以降のマスタシリンダ圧、またはその上昇速度に基づいてブレーキアシスト手段の作動条件を設定することによって、上記ブレーキアシスト手段の作動が緊急時にのみ行われ、不要な制動力の助勢が回避される。つまり、ブレーキアシスト手段の作動が適正になされる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における車両の制動装置によれば、ブレーキアシスト手段とアンチロックブレーキ手段とを備えた車両において、このブレーキアシスト手段とアンチロックブレーキ手段との制御干渉を防止しつつ、ブレーキアシスト手段の作動を適正に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の制動装置を示し、この車両の制動装置は、運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル1と、このブレーキペダル1の踏み込み操作により倍力装置2を介してマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダ3と、各車輪4,4,…(1つのみ図示)にそれぞれ備えられたディスクロータ5a及びキャリパ5b等からなるブレーキ装置5と、上記マスタシリンダ圧がブレーキ系統6を介して供給されたときに上記ブレーキ装置5を作動させて上記車輪4に制動力を付与するホイールシリンダ7とで構成されている。
【0027】
この制動装置には、アンチロックブレーキ手段としてのアンチロックブレーキシステム(以下、ABSという)及びブレーキアシスト手段としてのブレーキアシストシステム(以下、BASという)が組み込まれており、これらのシステムは、次の構成要素によって構成されている。すなわち、上記ブレーキ系統6のマスタシリンダ3側に配設されてこのブレーキ系統6を開通または遮断するカットバルブ21と、その下流側(ホイールシリンダ7側)に配置されて、ブレーキ系統6を開通または遮断する増圧バルブ22と、さらにその下流側から分岐されてオイルパン23に至る減圧ライン24上に配置されて、この減圧ライン24を開通または遮断する減圧バルブ25とが備えられている。
【0028】
また、上記ブレーキ系統6におけるカットバルブ21と増圧バルブ22との間に接続された増圧ライン26上に、モータ27によって駆動されてブレーキ液を昇圧すると共に、上記オイルパン23からブレーキ系統6に供給する昇圧ポンプ28が設置されていると共に、その吐出側には、上記増圧ライン26を開通または遮断する開閉バルブ29が設置されている。
【0029】
なお、上記マスタシリンダ3にはリザーバタンク30が備えられ、このリザーバタンク30からオイルパン23にかけてブレーキ液の回収管31が設けられている。
【0030】
そして、ABS及びBASの制御用の制御手段としてのコントローラ40が備えられ、このコントローラ40に、各車輪4,4,…の回転速度(車輪速)をそれぞれ検出する車輪状態検出手段としての車輪速センサ41,41,…(1つのみ図示)からの信号と、ブレーキペダル1の踏み込みを検出する緊急制動検出手段の一つとしてのブレーキスイッチ42からの信号と、アクセルペダル(図示せず)の踏み込みを検出するアイドルスイッチ43からの信号が入力されるようになっており、また、後述するBASの作動開始判定制御用として、上記マスタシリンダ3で発生されるマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ44が備えられ、このマスタシリンダ圧センサ44からの信号もコントローラ40に入力されるようになっている。なお、上記マスタシリンダ圧センサ44は、そのマスタシリンダ圧の値によってブレーキペダル1の踏み込み量及びその踏み込み速度を検出するようになっており、緊急制動検出手段としても用いられるようになっている。
【0031】
そして、上記コントローラ40は、上記各バルブ21,22,25,29、及び昇圧ポンプ28駆動用のモータ27の作動をそれぞれ制御するようになっている。
【0032】
ここで、ABSの動作を簡単に説明すると、上記コントローラ40は、制動時に各車輪速センサ41,41,…からの信号で車速に対して車輪速が不自然に低下した車輪4があることを検出したときに、その車輪4に対しては、減圧バルブ25を開いてホイールシリンダ7内のブレーキ液を減圧ライン24を介してドレンさせることにより制動力を低下させ、これによりロック状態を解消、または未然に回避する。それと共に、制動力の低下によりその車輪4の車輪速が上昇すれば、上記減圧バルブ25を閉じると同時に増圧バルブ22を開いて昇圧ポンプ28から増圧ライン26を介して上記ホイールシリンダ7にブレーキ液を供給することにより制動力を高める。これを車輪速に応じて繰り返すことにより、この車輪のロック状態を防止しながら所要の制動力が得られるように制御する。
【0033】
なお、この実施の形態においては、上記のようなABS作動時にカットバルブ21を閉じることにより、ホイールシリンダ7側で生じる制動圧の脈動がブレーキペダル1に伝達して運転者に不快感を与えることを防止するようになっている。
【0034】
次に、緊急時のためのBASの動作を簡単に説明すると、上記コントローラ40は、マスタシリンダ圧センサ44等からの信号に基づいて、制動力の助勢を行うべきであると判断したときには、各車輪4,4,…について、開閉バルブ29及び増圧バルブ22を開き、かつカットバルブ21及び減圧バルブ25を閉じた状態で、昇圧ポンプ28の駆動用モータ27を作動させる。これにより、オイルパン23から増圧ライン26及びブレーキ系統6を介して各車輪4,4,…のホイールシリンダ7,7,…にブレーキ液が一斉に供給され、緊急時に車両全体として所要の制動力が得られるようにする。
【0035】
なお、上記アイドルスイッチ43は、緊急時におけるブレーキ操作時に誤ってアクセルペダルも踏み込んだときに、そのブレーキの助勢のためのブレーキ液圧を高める等の制御を行うためのものであり、これに代えてエンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサを用いることも可能である。
【0036】
次に、上記コントローラ40によるABSとBASとの作動制御について説明する。
【0037】
図2は制御のフローチャートを示し、この制御は、所定の制御周期tでもって各ステップを繰り返し行うようになっている(同図の▲1▼参照)。
【0038】
まず、ステップS11で、以下の制御で用いるABS作動中の時間を検出するタイマTをクリアする。
【0039】
そして、ステップS12で、車輪速センサ41、ブレーキスイッチ42、アイドルスイッチ43及びマスタシリンダ圧センサ44からの信号を入力し、ステップS13で、上記各センサ41〜44によって検出された値に基づいてブレーキアシストの昇圧ポンプ28を作動させるか否かの判断を行う。そしてステップS14で、昇圧ポンプ28をONにすべき、または昇圧ポンプ28がONであれば、つまりBASを作動させるのであれば、ステップS15に進む。
【0040】
上記ステップS15では、フラグFG1をONにする。このフラグFG1は後述するように、BASが作動される場合にONとするものである。そして、ステップS16でABSをONにすべきか否かを判定する。ABSをONにすべきでなければステップS17でタイマTをクリアして、ステップS18でポンプをONにする。
【0041】
これにより、昇圧ポンプ28が作動することになるが、いずれの車輪4についても増圧バルブ22は開、減圧バルブ25は閉の状態にあり、さらに、カットバルブ21が閉、開閉バルブ29が開とされるから、上記昇圧ポンプ28の作動により発生したブレーキ液圧が各車輪4,4,…のホイールシリンダ7,7,…に供給されることになり、各車輪4,4,…に上記昇圧ポンプ28の作動に基づく制動力が付与されることになる。
【0042】
そして、BASが作動しているときにステップS16でABSをONにすべきと判定されたときは、ステップS19に進み、タイマTに1を加えて、その値を1とする。そして、ステップS110に進み、BASの作動を中止すべく昇圧ポンプ28をOFFに保持し、ステップS111でABSを作動させる。
【0043】
このように、ブレーキアシスト中にABSを作動させる場合は、BASの作動を中止して、ABSのみを作動させる。これにより、両者の制御干渉を回避することができるようになる。
【0044】
そして、BASが停止してABSが作動している場合には、ステップS14からステップS112に進む。このステップS112では、ABSの作動を継続すべきか否かを判定し、この判定がYESであればステップS113に進み、タイマTに1を加えて、カウントを行う。そして、ステップS114でABSの作動を継続する。
【0045】
一方、ステップS112でABSの作動を停止させるべきとする場合は、ステップS115でABSの作動を停止させる。そして、ステップS116でフラグFG1がONであるか否かを判定する。つまり、BASの作動中にABSの作動が開始したか否かを判定する。そして、この判定がYESであればステップS117に進み、タイマTの値が所定時間T0よりも短いか否かを判定することによって、上記ABSが作動していた時間Tが所定時間T0よりも短いか否かを判定する。この判定がYESであれば、ステップS118で昇圧ポンプ28をONにして、ブレーキアシストを再開する。
【0046】
上記ステップS116でフラグFG1がONでない場合は、ABSの作動前にBASが作動していなかった場合であり、ステップS119でタイマTをクリアしてステップS12にリターンする。
【0047】
このように、ABSの作動時間が所定時間T0よりも短い場合は、ABSの作動が、摩擦係数が低下した路面を車両が一時的に走行したことに起因する場合である。そこで、この低μ路の後の高μ路を走行中にBASの作動を再開させることによって、ブレーキアシストが適正に行われるようになる。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係る車両の制動装置を示し、この車両の制動装置は、上記第1実施形態に係る車両の制動装置とは異なり、車両の走行している位置を検出する走行位置検出手段としてのGPS45と、路面の摩擦係数に関する情報を車両に提供する情報提供手段からの情報を受信する情報受信手段としての路車間通信機46とを備えている。
【0048】
なお、上記車両の制動装置のその他の構成は上記第1実施形態のものと同一であるため、同一部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0049】
次に、第2実施形態における制御について、図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0050】
まず、ステップS21で、車輪速センサ41、ブレーキスイッチ42、及びマスタシリンダ圧センサ44からの信号を入力する。ステップS22ではGPS45、及び路車間通信機46からの信号を入力し、ステップS23で、上記各センサ41〜44によって検出された値に基づいてブレーキアシスト用の昇圧ポンプ28を作動させるか否かの判断を行う。そして、ステップS24で、上記昇圧ポンプ28をONにすべきである、または昇圧ポンプ28がONであると判定されればステップS25に進む。
【0051】
上記ステップS25では、フラグFG1をONにする。そして、ステップS26でABSをONにすべきか否かを判定する。この判定がNOであればステップS27で昇圧ポンプ28をONにし、ブレーキアシストを開始する。
【0052】
このようにBASが作動しているときにステップS26でABSをONにすべきと判定されたときは、ステップS28に進み、現在低μ路を走行しているか否かを判定する。これは、上記GPS45の情報に基づき、路面が凍結するおそれのある橋上やトンネル出口付近を走行しているのであれば、車両が一時的な低μ路を走行していると判定してもよい。また、路車間通信機46が受信した路面μの情報に基づいて判定してもよい。
【0053】
そして、NOの場合はステップS210に進む。一方、YESの場合はステップS29でフラグFG2をONにしてステップS210に進む。
【0054】
上記ステップS210では、BASの作動を中止すべく昇圧ポンプ28をOFFに保持した後、ステップS211でABSを作動させる。
【0055】
このように、BASの作動中にABSを作動させる場合は、BASの作動を中止してABSのみを作動させることによって、制御の干渉を回避することができるようになる。
【0056】
そして、BASが停止してABSが作動している場合には、ステップS24からステップS212に進む。このステップS212では、ABSがONか否かを判定し、ABSをONとすべきであればステップS213に進み、ABSの作動を継続する。
【0057】
一方、ステップS212でABSをOFFにすべきとする場合は、ステップS214でABSの作動を停止させる。そして、ステップS215でフラグFG1がONであるか否かを判定する。この判定がYESであればステップS216に進み、フラグFG2がONか否かを判定する。すなわち、上記ABSが作動していたときに低μ路を走行していたときは、ステップS217で昇圧ポンプ28をONにして、BASの作動を再開する。一方、判定がNOであれば、BASの作動は再開しない。
【0058】
なお、上記ステップS215でフラグFG1がONでない場合は、ブレーキアシストが行われていなかった場合であり、ステップS12にリターンする。
【0059】
このようにGPS45または路車間通信機46を用いることによって、摩擦係数が低下した路面を車両が一時的に走行したことを的確に判定することができるようになる。そして、上記ABSの作動が、車両が低μ路を走行したことに起因する場合は、ABSの作動終了後にBASの作動を再開させることによって、ブレーキアシストが適正に行われるようになる。
<第3実施形態>
上記第1及び第2実施形態は、BASが作動している最中にABSを作動させる場合についての実施形態であったが、この第3実施形態はBASの作動する前であって、BASの作動条件が成立しているときにABSを作動させる場合についての実施形態である。なお、車両の制動装置の構成は、上記第1実施形態のものと同一であるため、その説明は省略する。
【0060】
そして、図5は第3実施形態に係る制御のフローチャートを示しており、このフローチャートにおいて、ステップS31〜ステップS321はBASを作動させるか否かの判定を行うステップとなっている。
【0061】
まず、ステップS31で、以下の制御で用いるマスタシリンダ圧の減少側変曲点検出用の減少カウンタCdecと、増加側変曲点検出用の増加カウンタCincとを0にクリアすると共に、ステップS32で、ABSの作動中の時間を検出するタイマTをクリアする。
【0062】
そして、ステップS33で、ブレーキスイッチ42、アイドルスイッチ43及びマスタシリンダ圧センサ44からの信号を入力し、ステップS34で、上記マスタシリンダ圧センサ44によって検出される今回の制御サイクル時におけるマスタシリンダ圧Pの前回の制御サイクル時における値P′に対する差分dP(=P−P′)と、その差分dPを制御周期tで割ることにより得られるマスタシリンダ圧Pの上昇速度vPとを算出する。
【0063】
次に、ステップS35でブレーキスイッチ42がONか否か、すなわちブレーキペダル1が踏み込まれたか否かを判定し、踏み込まれていない場合には、ステップS36,S37に進み、上記減少カウンタCdec及び増加カウンタCincをクリアし、フラグFG1をOFFに保持する。
【0064】
一方、ブレーキペダル1が踏み込まれ、上記ブレーキスイッチ42がONになると、ステップS35からステップS38に進み、上記フラグFG1がOFFか否かを判定する。そして、ブレーキペダル1の踏み込み直後においてはこのフラグFG1はOFFの状態にあるから、ステップS39、ステップS310で上記増加カウンタCinc及び減少カウンタCdecの値が2であるか否かをそれぞれ判定する。
【0065】
これらのカウンタCinc、Cdecは、ブレーキペダル1の踏み込み直後は0にクリアされた状態にあるから、上記ステップS39,S310からステップS311に進み、今回の制御サイクル時に求めたマスタシリンダ圧Pの差分dPと前回の制御サイクル時に求めた差分dP′とを比較し、今回の差分dPが前回の差分dP′より小さいか否かを判定する。そして、この判定がNOの場合には、ステップS312で減少カウンタCdecを0に保持する。
【0066】
一方、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときにはステップS313に進み、減少カウンタCdecに1を加えることによって、その値を1とする。
【0067】
次の制御サイクルにおいても、そのサイクルで求めた差分dPが前回の差分dP′より小さくなっているときは、上記ステップS313で再び減少カウンタCdecに1を加え、その値を2とする。
【0068】
このようにして2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときに、マスタシリンダ圧Pが増加傾向から減少傾向に移行し、このマスタシリンダ圧Pの減少側変曲点が発生したものと判断する(図6参照)。
【0069】
この場合に、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より一旦小さくなっても、次の制御サイクルで求めた差分dPがその前の差分dP′以上となったときには、ステップS312で減少カウンタCdecがクリアされる。このため、さらに次のサイクルで求めた差分dPがその前の差分dP′より再び小さくなっても、減少側変曲点が発生したとは判断しない。このように、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときに初めて減少側変曲点が発生したものと判断する。これは、検出データの外乱等によるばらつきを排除し、変曲点を正確に検出するためである。
【0070】
上記のようにして、減少カウンタCdecが2になり、減少側変曲点が発生したものと判断すれば、次は上記ステップS310からステップS314に進む。
【0071】
上記ステップS314では、今回の制御サイクルで求めたマスタシリンダ圧Pの差分dPが前回の制御サイクル時に求めた差分dP′より大きいか否かを判定する。そして、大きくない場合には、ステップS315で、増加カウンタCincを0に保持する。
【0072】
一方、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときには、ステップS316で増加カウンタCincに1を加えることにより、その値を1とする。
【0073】
次の制御サイクルにおいても、そのサイクルで求めた差分dPが前回の差分dP′より大きくなっているときは、上記ステップS316で再び増加カウンタCincに1を加えることにより、その値を2とする。
【0074】
このようにして、減少カウンタCdecの場合と同様に、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときに、マスタシリンダ圧Pが減少傾向から増加傾向に移行し、このマスタシリンダ圧Pの増加側変曲点が発生したものと判断する。その場合に、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときに初めて増加側変曲点が発生したものと判断するのは、減少側変曲点の場合と同様である。
【0075】
以上のようにして、減少カウンタCdec及び増加カウンタCincの値がいずれも2となり、マスタシリンダ圧Pがブレーキペダル1の踏み込み直後に立ち上がった後、減少側変曲点及び増加側変曲点を経由し、倍力装置2の倍カ動作開始に伴ってこのマスタシリンダ圧Pが本格的に上昇を開始すれば、ステップS39からステップS317に進み、マスタシリンダ圧Pが所定の圧力P0よりも大きいか否かを判定する。そして、判定がYESであれば、ステップS318でマスタシリンダ圧Pの上昇速度vPが所定の速度vP0よりも大きいか否かを判定する。判定がYESであればステップS319でフラグFG1をONにする。このフラグFG1はブレーキアシストの開始条件が成立している場合にONにされるものである。
【0076】
図6に示すように、緊急時のブレーキ操作とスポーツ走行中のブレーキ操作とでは増加側変曲点以降のマスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPが明らかに異なった特性を示す。つまり、緊急時のブレーキ操作の方が、上記マスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPが大きな値となる。そこで、このマスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPに基づきBASの作動開始条件を設定することによって、このブレーキ操作が緊急時のものかスポーツ走行中のものかを正しく判別することができる。その結果、スポーツ走行中に不要なブレーキアシストを行うことなく、しかも、緊急時には確実かつ迅速にブレーキアシストを実行することができるようになる。
【0077】
なお、本実施形態では、上記マスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPの双方が所定値以上のとき、BASの作動開始条件が成立するようにしているが、例えば、上記マスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPのいすれか一方が所定値以上のとき、BASの作動開始条件が成立するようにしてもよい。
【0078】
そして、BASの作動開始の条件の判定がなされれば、ステップS322に進み、上記フラグFG1がONであるか否かを判定する。この判定がYESであればステップS323に進み、ABSをONにすべきか否かを判定する。そして、この判定がNOであればステップS324に進み、タイマTが所定時間T0よりも短いか否かを判定する。このタイマTはABSが作動している間にカウントされるものであり、ABSが作動していない場合にはステップS325に進み昇圧ポンプ28をONにしてブレーキアシストを開始する。
【0079】
一方、上記ステップS323において、ABSを作動させるべきとするときは、ステップS326に進みタイマTに1を加えてカウントをし、ステップS327でブレーキアシストを禁止すべく昇圧ポンプ28をOFFに保持する。そして、ステップS328でABSを作動させる。
【0080】
このように、ブレーキアシストの作動条件が成立しているときにABSを作動させる場合は、BASの作動を禁止して、ABSのみを作動させる。これにより、両者の制御干渉を回避することができるようになる。
【0081】
そして、BASの作動開始の条件が成立しているときは、ステップS38からステップS320に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0-p)より低下したか否かを判定する。そして、マスタシリンダ圧Pが圧力(P0-p)より低下しない場合は、ブレーキアシストの作動条件が成立したままであるため、フラグFG1をONの状態に保持したままステップS322、ステップS323に進む。
【0082】
そして、BASの作動条件が成立した状態で、上記ABSの作動が終了するときは、ステップS323からステップS324に進み、上記タイマTが所定時間T0よりも短いか否かを判定する。
【0083】
上記判定がYESであれば、一時的な低μ路を車両が走行したことよって上記ABSが作動したとして、ステップS325で昇圧ポンプ28をONにし、ブレーキアシストを開始する。一方、判定がNOであれば、ブレーキアシストは作動させない。
【0084】
このように、上記ABSの作動した時間が所定時間T0よりも短いことによって、BASの作動を開始させるか否かを判定することによって、適正にブレーキアシストを行うことができるようになる。
【0085】
そして、上記ステップS320でブレーキペダル1の路み込みカの減少等に伴い、マスタシリンダ圧Pが上記圧力(P0−p)より低下した時点で、ステップS321でフラグFG1がOFFになって、ブレーキアシストの作動条件が成立しなくなる。ここで、BASの作動終了の条件としての所定圧P0より所定値pだけ低く設定したことにより、マスタシリンダ圧Pがこの所定圧P0の近辺で変動する場合の制御のハンチングが防止される。
【0086】
このように、ブレーキアシストの作動条件が成立していないときは、ステップS322からステップS329に進みタイマTをクリアして、ステップS330に進む。
【0087】
ステップS330では、ABSをONにすべきか否かを判定し、ONであればステップS331でABSを作動させる一方、ONでなければステップS332でABSの作動を停止状態に保持する。
【0088】
なお、ステップS39以降の各ステップで示される昇圧ポンプ28の作動開始判定中及びその作動中であっても、ブレーキペダル1が戻されてブレーキスイッチ42がOFFになれば、ステップS35からステップS36に進み、その時点で減少カウンタCdec及び増加カウンタCincがクリアされて次のブレーキ操作時に備えられる。それと共に、ステップS37でフラグFG1がOFFとなり、ブレーキアシストの制御を行わないようになる。その後はステップS322からステップS329に進み、ABSを作動させるか否かの判定が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両の制動装置を示す説明図である。
【図2】第1実施形態に係るフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る車両の制動装置を示す説明図である。
【図4】第2実施形態に係るフローチャートである。
【図5】第3実施形態に係るフローチャートである。
【図6】緊急時とスポーツ走行時とにおけるブレーキ操作に対するブースト率の変化を示す図である。
【符号の説明】
4 車輪
21 カットバルブ(ブレーキアシスト手段、アンチロックブレーキ手段)
22 増圧バルブ(ブレーキアシスト手段、アンチロックブレーキ手段)
25 減圧バルブ(ブレーキアシスト手段、アンチロックブレーキ手段)
29 開閉バルブ(ブレーキアシスト手段、アンチロックブレーキ手段)
28 昇圧ポンプ(ブレーキアシスト手段、アンチロックブレーキ手段)
40 コントローラ(制御手段)
41 車輪速センサ(車輪状態検出手段)
42 ブレーキスイッチ(緊急制動検出手段)
44 マスタシリンダ圧センサ(緊急制動検出手段)
45 GPS(走行位置検出手段)
46 路車間通信機(情報受信手段)
Claims (5)
- ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、
上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、
上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、
上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、
上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、
上記ブレーキアシスト手段が作動している最中に上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を中止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、
上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後に上記ブレーキアシスト手段の作動を再開させるように構成され、
上記制御手段はさらに、上記アンチロックブレーキ手段の作動した時間が所定時間よりも短い場合に、上記アンチロックブレーキ手段の作動が、低μ路を車両が一時的に走行したことによるものと判定するように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、
上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、
上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、
上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、
上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、
上記ブレーキアシスト手段が作動している最中に上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を中止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、
上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後に上記ブレーキアシスト手段の作動を再開させるように構成され、
路面の摩擦係数に関する情報を車両に提供する情報提供手段からの該情報を受信する情報受信手段を備え、
上記制御手段はさらに、上記情報受信手段が受信した情報に基づき、上記アンチロックブレーキ手段の作動が、低μ路を車両が一時的に走行したことによるものか否かを判定するように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、
上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、
上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、
上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、
上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、
上記ブレーキアシスト手段が作動している最中に上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を中止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、
上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後に上記ブレーキアシスト手段の作動を再開させるように構成され、
車両の走行している位置を検出する走行位置検出手段を備え、
上記制御手段はさらに、上記走行位置検出手段の検出結果に基づき、上記アンチロックブレーキ手段の作動が、低μ路を車両が一時的に走行したことによるものか否かを判定するように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - ブレーキ操作に関する値に基づいて緊急制動が行われていることを検出する緊急制動検出手段と、
上記ブレーキ操作によって発生する制動力を助勢するブレーキアシスト手段と、
上記ブレーキ操作による制動時において各車輪のロック状態を検出する車輪状態検出手段と、
上記各車輪に付与する制動力を制御してこの各車輪のロック状態を解消または回避するアンチロックブレーキ手段と、
上記緊急制動検出手段及び車輪状態検出手段の検出結果に基づき、上記ブレーキアシスト手段及びアンチロックブレーキ手段の作動を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、
上記ブレーキアシスト手段の作動開始の条件が成立しているときに上記アンチロックブレーキ手段を作動させるべきと判定したときは、上記ブレーキアシスト手段の作動を禁止してアンチロックブレーキ手段を作動させる一方、
上記アンチロックブレーキ手段が、摩擦係数が低下した路面である低μ路を車両が一時的に走行したことによって作動した場合は、上記アンチロックブレーキ手段の作動終了後、上記ブレーキアシスト手段の作動を開始させるように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項4において、
ブレーキアシスト手段の作動開始の条件は、ブレーキ操作の開始後、マスタシリンダ圧が減少から増加に転じる増加側変曲点以降のマスタシリンダ圧及びその上昇速度の少なくとも一方に基づいて設定されている
ことを特徴とする車両の制動装置。
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