JP3144218B2 - 車両用制動装置 - Google Patents
車両用制動装置Info
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Description
し、詳しくは急制動の技術に関する。
制動装置(ブレーキシステム)には、運転者がブレーキ
ペダルを踏む力を補助するブースタ(マスタバック、ハ
イドロマスタ等)が設けられ多用されている。このブー
スタは、エンジンのインテークマニホールドに発生する
負圧等を利用して、一定の面積を持つパワーピストンを
作動させ、制動力を助勢するようにしている。
しては、前方走行車両との車間距離が所定量以下または
相対速度が所定量以上であればブレーキ特性を安全側に
変化させるものが、例えば特開平5−42862公報等
により開示されている。
は、ブレーキペダルを所定の踏込み力で操作しないと負
圧による助勢が開始されないようになっており、また、
このブースタを介して得られる出力(ブレーキ圧)は、
ブレーキペダルを踏む入力に対して一律に設定されたも
のとなっている。従って、ブレーキペダル操作力が弱い
傾向にある女性や高齢者は、ブレーキペダルを踏んでも
すぐにはブレーキ圧が上昇せず、制動が開始されるまで
に多少時間がかかることになる。特に、車両を緊急に停
止させたいような場合においては、ブレーキ性能を充分
に活用できないことがある。
たもので、その目的とするところは、女性や高齢者のよ
うにブレーキペダル操作力が弱い運転者でも、緊急の制
動時にはブレーキ性能を充分に活用可能にする車両用制
動装置を提供することにある。
め、請求項1の発明では、運転者により操作される操作
部材と、前記操作部材の操作力をマスタシリンダにより
流体圧に変換し、該流体圧に応じた制動力を車輪に作用
させるブースタと、制動力を前記操作部材の操作力に関
係なく増大させる制動力増大手段と、前記流体圧の圧力
勾配を検出する圧力検出手段及び前記操作部材の操作開
始からの操作時間を検出するタイマ手段を有し、前記圧
力検出手段からの圧力勾配情報に基づき最大圧力勾配を
求めるとともに前記タイマ手段からの操作時間情報に基
づき前記操作部材の操作開始から前記最大圧力勾配に到
達するまでの経過時間を求め、該最大圧力勾配が設定圧
力勾配以上且つ該経過時間が設定時間以上であるとき、
制動操作が緊急の制動であると判定する制動状況判定手
段と、前記制動状況判定手段により前記制動操作が緊急
の制動であると判定されたとき、前記制動力増大手段に
より前記操作部材の操作力に関係なく前記ブースタの出
力を増大させて通常の制動時よりも大きい制動力を車輪
に作用させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
検出手段が検出する圧力勾配値の内、より大きな値を前
記最大圧力勾配として順次更新して記憶する記憶手段を
含み、前記操作時間が前記設定時間を越えた後に新たに
更新される最大圧力勾配が前記設定圧力勾配を越えた時
点で緊急の制動であると判定するのがよい。
部材を操作しているか否かを検出する操作検出手段を有
し、前記制動状況判定手段により緊急の制動と判定され
た後に、前記操作検出手段から検出された信号により、
前記運転者が前記操作部材を操作していないことが検出
された場合には、前記制動力増大手段の作動を禁止する
第一禁止手段を備えるのがよい。
作力を検出する操作力検出手段を有し、前記制動状況判
定手段により緊急の制動と判定された後に、前記操作力
検出手段により検出された操作力が設定操作力以下の場
合には、前記制動力増大手段の作動を禁止する第二禁止
手段を備えるのがよい。
タにより操作部材の操作力がマスタシリンダで流体圧に
変換されて制動力が車輪に作用することになるが、制動
状況判定手段により、圧力検出手段によって求められる
最大圧力勾配が設定圧力勾配以上であり、且つタイマ手
段によって求められる操作部材の操作開始から最大圧力
勾配に到達するまでの経過時間が設定時間以上と判定さ
れた場合には、操作部材の操作力が弱く流体圧がなかな
か上昇しないもののその後の圧力上昇により制動操作が
緊急の制動である状況とみなすことができ、この場合に
は、操作部材の操作力に関係なく制動力を増大させる制
動力増大手段によって制動力が増大させられる。 これに
より、女性や高齢者のように操作部材の操作力が弱い運
転者であっても、緊急の制動時において、通常の制動時
よりも大きな制動力を車輪に作用させ、ブレーキ性能を
充分に活用することが可能とされる。
力検出手段が検出する圧力勾配値の内、より大きな値が
最大圧力勾配として順次更新され、操作部材の操作が開
始された時点から最大圧力勾配に到達した時点までの経
過時間が設定時間を越えた後、新たに更新された最大圧
力勾配が設定圧力勾配を越えたとき、操作力が弱い場合
の緊急の制動状態と判定される。
急の制動と判定された後、運転者が操作部材を操作しな
くなった場合には、制動力増大手段の作動は禁止され、
制動状態は通常の制動状態に戻される。また、本発明に
係る制動装置によれば、緊急の制動と判定された後、操
作部材の操作力が設定操作力以下となった場合には、制
動力増大手段の作動は禁止され、制動状態は通常の制動
状態に戻される。
細に説明する。先ず、実施例1について説明する。図1
には、本発明の急制動補助システムが適用されるタンデ
ム型マスタバック(負圧ブースタ)1の断面図を示して
ある。同図において、ブースタシェル1aの前面には、
該マスタバック1により作動されるブレーキマスタシリ
ンダ50が取付けられている。
bによって封止され、この後部シェル半体1bは図示し
ない車体に支持されている。ブースタシェル1aの内部
は隔壁板1cによって前部シェル室2と後部シェル室3
とに仕切られている。前部シェル室2は、それに前後往
復可能に収容される前部ピストン4と、その後面に結着
されるとともにブースタシェル1aと隔壁板1c間に挟
着される前部ダイヤフラム6とにより、前側の前部負圧
室2aと後側の前部大気室2bとに区画され、また後部
シェル室3は、それに前後往復可能に収容される後部ピ
ストン5と、その後面に結着されるとともにブースタシ
ェル1aと後部シェル半体1b間に挟着される後部ダイ
ヤフラム7とにより、前側の後部負圧室3aと後側の後
部大気室3bとに区画されている。
着され、この弁筒8は、隔壁板1cの中心部において摺
動可能に支持されており、後部シェル半体1bの後方延
長部9において、摺動可能に支持されている。さらに、
この弁筒8の先端部は、前部ピストン4の中心部に固着
されているため、弁筒8の摺動によって前部ピストン4
と後部ピストン5とは、同期作動するようになってい
る。
面には補強板17が密着されており、補強板17には、
前部負圧室2a側に突出するようにチューブ接続ジョイ
ント17aが設けられている。このチューブ接続ジョイ
ント17aには、屈曲あるいは伸縮自在で、且つチュー
ブの中心軸への向心方向の変形を防止可能な前部チュー
ブ18の一端が接続されており、その他端は、前部ピス
トン4の前部負圧室2a側に突出するように設けられた
チューブ接続ジョイント4aに接続されている。これに
より、前部大気室2bは、前部チューブ18およびブー
スタシェル1aに取付けられた大気導入管20を介し
て、後述する大気圧導入用の電磁弁等(図2または図3
の排気弁41および吸気弁42)に連通されるようにな
っている。
も、後部負圧室3a側に突出するようにチューブ接続ジ
ョイント1dおよび5aが設けられており、これらチュ
ーブ接続ジョイント1d、5aは、屈曲あるいは伸縮自
在で、且つチューブの中心軸への向心方向の変形を防止
可能な後部チューブ19によって互いに連結されてい
る。これにより、後部大気室3bは、後部チューブ19
を介して前部大気室2bに連通するようになっており、
さらには、上記前部チューブ18を介して後述の大気圧
導入用の電磁弁等に連通している。
て図示しない負圧源(例えば、エンジンのインテークマ
ニホールド内部)と接続されるとともに、弁筒8の第1
ポート11を介して後部負圧室3aと連通されている。
さらに、前部負圧室2aは、弁筒8の第3ポート14、
制御弁13を介して後部大気室3bと連通可能になって
いる。この後部大気室3bと前部大気室2bとは、上述
したように後部チューブ19を介して互いに連通すると
ともに、弁筒8の第2ポート12を介しても相互に連通
されており、後部大気室3bは、上記制御弁13の切換
えにより、弁筒8の第3ポート14を介する負圧側の前
部負圧室2aと、大気圧側の後部大気室15とに交互に
連通が切換わるようになっている。
材)21に連なる入力杵22と、これにより制御される
上記制御弁13が設けられており、弁筒8の中心部の弁
筒中央部8aのシリンダ23には、弁ピストン24が摺
合されている。この弁ピストン24の後端部には、入力
杵22の前端部が首振り可能に結合されている。弁筒中
央部8aの後端部には、環状の第1弁座25が形成さ
れ、これに囲まれた弁ピストン24の後端部にも同様に
環状の第2弁座26が形成されている。そして、これら
第1弁座25と第2弁座26と協働する弁体27が弁筒
8内に設けられている。この弁体27は、例えばゴム製
であって伸縮可能であり、その後端部は弁筒8の内周面
に密着状に保持されており、前端部には第1弁座25と
第2弁座26と対向するように弁部28が設けられてい
る。これにより、第1弁座25と弁部28とにより負圧
弁13aが、また第2弁座26と弁部28とにより大気
弁13bが構成され、制御弁13が形成されるようにな
っている。
持されて入力杵22を戻し側に付勢する戻しバネ30に
より、第1弁座25と接しない状態、すなわち負圧弁1
3aが開成された状態に保持されている一方、弁部28
と入力杵22との間に縮設され、弁部28を両弁座2
5、26に向けて付勢する弁バネ29により、第2弁座
26と接しており、これにより大気弁13bが閉鎖され
た状態になっている。従って、ブレーキペダル21が操
作されない状態では、負圧弁13aが開成され、前部大
気室2bと後部大気室3bは、前部負圧室2aと同圧の
状態となっている。
前進すると、弁バネ29と共に弁部28も前進し、弁部
28が弁座25に突き当たる。これにより、負圧弁13
aが閉じ、弁筒8の第3ポート14と前部大気室2bと
後部大気室3bとの連通が遮断されることになる。負圧
弁13aが閉じてからも、さらに入力杵22を前進させ
続けると、弁バネ29は弁体27と共に収縮し始め、弁
ピストン24だけが前進し続けることになる。これによ
って第2弁座26が弁部28から離れ、大気弁13bが
開成され、前部大気室2bと後部大気室3bには後部大
気室15から大気が流入することになる。
を弁ピストン24に対向させるゴム製の弾性ピストン3
1が接合され、さらにこの弾性ピストン31の前面に当
接するように出力杵32が遊嵌されている。そして、出
力杵32の前端は、ブレーキマスタシリンダ50の図示
しないピストンに接続されている。従って、前述した入
力杵22を前進させていくと、弁ピストン24は弾性ピ
ストン31に突き当たり、さらに前進させると、入力杵
22の押力が弾性ピストン31の弾性限界を越え、入力
杵22の押力は出力杵32に直接伝達されることにな
る。
部24aには、ストッパ板33が、弁ピストン24の前
後方向に所定のガタを持つように周設されている。この
ストッパ板33は、入力杵22が押されて弁ピストン2
4が前進することと相俟って弁筒8を前進させる。一
方、大気弁13bの開成等により前部大気室2bと後部
大気室3bに大気が供給され、前部負圧室2aと後部負
圧室3aの負圧との間に圧力差が発生し、前部ピストン
4と後部ピストン5とが前方へ付勢されたときには、弁
ピストン24を介して出力杵32を前進させることがで
きる。
間には、前部、後部ピストン4、5に後退力を付与する
ための弁筒戻しバネ34が縮設されており、前部負圧室
2aと前部大気室2bおよび後部負圧室3aと後部大気
室3bとの間に圧力差が発生していない場合には、後部
ピストン4、5は弁筒8と共に、常に後退限に位置され
ることになる。
ク1を急制動補助システムに適用した一実施例を図2お
よび図3に基づいて説明する。図2に示すように、マス
タバック1の負圧導入管10には、空路A1が接続さ
れ、負圧源(インテークマニホールド内部)に接続され
ている。この空路A1からは、空路A2が分岐し、該空
路A2は常閉の電磁弁である排気弁41に接続されてい
る。さらに、排気弁41は空路A3に接続され、その一
端は常閉の電磁弁である吸気弁42に接続されている。
空路A3からは、空路A4が分岐し、該空路A4は、前
述したマスタバック1の大気導入管20に接続されてい
る。
ム式ブレーキマスタシリンダ50からは、油路P1a、
P1bが延び、最終的に図示しないホイールシリンダ
(例えば、後述する図8または図9の符号71〜74)
にそれぞれ接続されている。これらの油路P1a、P1
bの途中には、圧力検出手段である油圧センサ45a、
45bがそれぞれ接続されている。
ブレーキペダル21には、操作検出手段としてブレーキ
ペダル21の作動を検知可能に取り付けられたブレーキ
SW(ブレーキランプSW等)46および操作力検出手
段である踏力センサ47が設けられている。この踏力セ
ンサ47は、例えば、足踏みペダル式可変抵抗器等の踏
圧センサが使用され、運転者側のブレーキペダル21面
のほぼ中央に、確実に踏まれるように固定される。
トECU40の入力側には、図4のブロック図に示すよ
うに、上述した油圧センサ45a、45b、ブレーキS
W46、踏力センサ47等が接続されており、一方出力
側には、急制動補助システムの排気弁41、吸気弁42
のソレノイド部が接続されている。以下、上述のように
構成された急制動補助システムの作用を説明する。
状況判定手段および制御手段として機能する急制動補助
システム制御のルーチンを示している。先ず、ステップ
S10において、急制動が当該システムを作動させたい
状況(女性や高齢者等の踏力の弱い運転者が急制動を実
施した状況)であるか否かを判断するための判別材料を
記憶装置に読み込む。ここでは、ブレーキSW46がペ
ダル作動を検知してからの経過時間t、ブレーキマスタ
シリンダ50の出力側に接続された油圧センサ45a、
45bにより検出された油圧PM 、該油圧の最大変化勾
配d(PM)/dt max および踏力センサ47からの踏力PB
のそれぞれの値を読み込む。これらの値の読み取りは、
当該ルーチンの実行周期(例えば、5msec)毎に行
われる。
読み込みは、油圧センサ45a、45bにより検出され
た油圧PM に基づく油圧の変化勾配d(PM)/dt のうち最
大となる値を求めこれを最大変化勾配d(PM)/dt max と
して記憶し、当該ルーチンの実行が繰り返され、変化勾
配d(PM)/dt がこの値よりも大きくなれば、この値を新
たな最大変化勾配d(PM)/dt max として更新するように
して行う。
運転者による急制動が実行されたか否かを判別する。こ
の急制動判断では、ステップS10において読み込んだ
判別材料が、図6と図7のマップ上に斜線で示した領域
Aおよび領域Bの範囲内にあるか否かで判別を行う。す
なわち、図6のマップにおいて、油圧PM と経過時間t
とが次式(1) の範囲であり、且つ、図7のマップにおい
て、油圧の最大変化勾配d(PM)/dt max と経過時間tと
が次式(2) の範囲にあるか否かで判別する。
ec) である。また、所定値XdPM は、例えば300(kgf
/cm2/sec) であり、所定時間Xt は、例えば100(m
sec)である。これらのk、XdPM 、Xt 等の値は、
女性や高齢者等のブレーキペダル踏力の弱い運転者によ
る実験データに基づくものである。 一般に女性や高齢者
等のブレーキペダル踏力の弱い運転者の場合、ブレーキ
操作を開始してもなかなかブレーキ油圧が上昇しない
が、所定時間Xt が経過すればブレーキ圧が急制動を行
ったとみなせる程度急激に上昇するような制動特性を示
す。従って、当該判別では、この制動特性に着目し、当
該制動特性とペダル踏力の強い運転者の制動特性との境
界を示すk、XtやXdPMの閾値を実験データに基づいて
予め設定するようにしておき、これにより女性や高齢者
等のブレーキペダル踏力の弱い運転者に特有の急制動状
態を確実に判別するようにしている。尚、運転者の制動
特性が変われば、それに伴いこれらの閾値は変更され
る。
で、読み込み値が少なくとも上記(1) 、(2) 式のどちら
か一方の判別領域(領域Aあるいは領域B)から外れて
いる場合には、次にステップS20に進み、吸気弁42
をOFFの状態のままとし急制動補助システムを作動さ
せない。一方、判別結果がYes(肯定)で踏力の弱い
運転者による急制動状態であると判定されたら、次にス
テップS14に進む。このステップS14は、ブレーキ
ペダルが踏まれた状態にあるか否かをブレーキSW46
の信号がONであるか否かにより判別するステップであ
り、ステップS12の判別により急制動状態と判定され
た場合であっても、その後制動が実施されず、ブレーキ
SW46がOFFで判別結果がNo(否定)となった場
合には、ステップS20に進み吸気弁42をOFFとし
て急制動補助システムは作動させない(第一禁止手
段)。一方、判別結果がYes(肯定)でブレーキSW
46の信号がONの状態であれば、次にステップS16
に進む。
いて読み込んだブレーキ踏力PB が所定値XPB以上であ
るか否かを判別する。この所定値XPBは、上述した閾値
と同様に実験データに基づいて、最もブレーキ踏力の弱
い運転者を基準にして設定されている。ステップS12
およびステップS14の判別により急制動状態と判定さ
れた場合であっても、判別結果がNo(否定)であれ
ば、ブレーキ踏力は比較的弱く、急制動状態ではないと
判定でき、上述のステップS14と同様にステップS2
0に進み、吸気弁42をOFFとし急制動補助システム
は作動させない(第二禁止手段)。一方、判別結果がY
es(肯定)の場合には、急制動状態であるとみなすこ
とができ、次にステップS18に進んで、吸気弁42を
ONとして急制動補助システムの作動を開始し、マスタ
バック1の前部大気室2b、後部大気室3bに大気を強
制的に供給する。
ーチンのステップS12、S14、S16の判別のいず
れかがNo(否定)と判定され、吸気弁42がOFFで
急制動補助システムが非作動状態、すなわち通常のマス
タバック1の作動状態であって、大気弁13bが開弁し
た状態を示している。このとき、吸気弁42は既に閉成
されていることから、大気弁13bの開弁により、前部
大気室2bと後部大気室3bには、後部大気室15から
大気が流入し(矢印で示す)、大気室2b、3bと前部
負圧室2aおよび後部負圧室3aとの圧力差により、前
部ピストン4および後部ピストン5が負圧室2a、3a
側に押され、ブレーキ力が通常に助勢される。
ような場合や、ブレーキペダル21の操作直後において
は、前述したように負圧弁13aが開弁され、大気弁1
3bは閉弁された状態であるため、この場合には、前述
したように、大気室2b、3bは負圧室2a、3aと同
圧に保持されて互いに圧力差がなくなり、前部ピストン
4および後部ピストン5は、弁筒戻しバネ34により後
退限まで後退させられた状態となる。
判別の全てがYes(肯定)と判定され、吸気弁42が
ONで急制動補助システムが作動状態となった場合に
は、図3に示すようになり、吸気弁42は付勢されて開
弁し、大気が大気導入管20、チューブ18を介して前
部大気室2bに、さらにチューブ19を介して後部大気
室3bに強制的に吸入されることになる(矢印で示
す)。これにより、前部負圧室2aと前部大気室2b間
および後部負圧室3aと後部大気室3b間には急激に圧
力差が発生することになり、前部ピストン4と後部ピス
トン5は共に負圧側、すなわち制動を行う前方側に付勢
され、制動力を強制的に助勢する。このとき、同図のよ
うに大気弁13bが開弁した状態では、大気は後部大気
室15からも流入することになり(矢印で示す)、制動
力はより一層助勢される。
をも開弁するようにして、吸気弁42から流入する大気
の一部を負圧源側に逃がし、これにより大気室2b、3
bに作用する圧力を微調整することが可能である。とこ
ろで、この強制的な大気の供給は、ブレーキペダル21
が踏まれた直後、すなわち負圧弁13aが開成されてい
る間に急制動状態と判定され、大気弁42が開成された
場合にあっては、大気室2b、3bが負圧弁13aを介
して負圧側に連通された状態であることから、大気室2
b、3bに作用する圧力は大気圧よりも低いものとな
る。しかし、急制動状態においては、負圧弁13aが開
成されている期間は微小時間であり、負圧弁13aは瞬
時に閉成され大気室2b、3bと負圧側との連通は遮断
されるため、ブレーキ力の助勢は良好に実施されること
になる。
が強制的に大気室2b、3bに供給されることにより、
女性や高齢者等の踏力の弱い運転者が急制動を実施した
場合でも充分な制動力が得られることになる。尚、ここ
では、大気室2b、3bに作用する圧力は大気圧とした
が、吸気弁42をエアコンプレッサ等に接続し、吸気弁
42の開弁時には大気圧以上の圧力を大気室2b、3b
に作用させ、ブレーキ力の助勢を一層強めるようにして
もよい。
に負圧を作用させ、大気室2b、3bに大気圧(正圧)
を作用させるマスタバック1のような負圧ブースタを使
用するようにしたが、マスタバック1の負圧室2a、2
bの部分が大気室に相当し、大気室2b、3bの部分が
正圧室に相当するような正圧ブースタを用いるように
し、急制動状態が検出された場合には、通常の制動時以
上の正圧を作用させてブレーキ力を助勢するような構成
にしてもよい。
ステム制御を他の急制動補助システム(ブレーキ油圧
系)に適用した場合について説明する。図8に示すよう
に、通常のマスタバック1’の前部に設けられたタンデ
ム式のブレーキマスタシリンダ50の2箇所に設けられ
た出力ポートは、それぞれ油路P1aおよび油路P1b
に接続されている。これら油路P1a、P1bには油圧
センサ45a、45bが配設されている。
路P1aは油路P2a、P3a、P4aに、油路P1b
は、油路P2b、P3b、P4bに分かれる。油路P2
a、P2bには常開の電磁弁である切換弁63a、63
bが介在しており、油路P3a、P3bには油路P2
a、P2bの油圧をパイロット圧として開放する圧力弁
65a、65bが配設されている。また、油路P4a、
P4bには逆止弁66a、66bが介在している。
び油路P2b、P3b、P4bは、合流して油路P5
a、P5bに接続され、それぞれABSシステムを構成
する弁ユニットであるABSI 70a、ABSII70b
を介して各ホイールシリンダ71〜74に接続されてい
る。ABSI 70aはホイールシリンダFL71とホイ
ールシリンダRR72に、一方ABSII70bはホイー
ルシリンダFR73とホイールシリンダRL74に接続
されている。尚、ABSシステムを構成する弁ユニット
であるABSI 70a、ABSII70bについては、従
来公知のシステムであり、ここでは説明を省略する。
ダ50に設けられた油溜筒51a、51bは、油路P6
を介してリザーブタンク52に接続されており、リザー
ブタンク52には油路P7a、P7bが接続されてい
る。油路P7a、P7bには、駆動モータ60によって
作動するポンプ61a、61bが介在しており、その下
流には逆止弁62a、62bが配設されている。そし
て、これらの油路P7a、P7bは逆止弁62a、62
bの下流において上述の油路P5a、P5bと合流して
いる。
説明した図4のブロック図に示すように、上述した油圧
センサ45a、45b、ブレーキSW46、踏力センサ
47の他、ABSI 70a、ABSII70bの作動に必
要なセンサ類が接続され、また出力側には、急制動補助
システムの切換弁63a、63bのソレノイド部の他、
ABSI 70a、ABSII70bの図示しない各電磁弁
のソレノイド部が接続されている。
システムの作用を説明する。尚、実施例2においても、
急制動補助システム制御は実施例1で説明した図5のル
ーチンを実行することになるが、ステップS18につい
ては、切換弁63a、63bおよびモータ60をONに
するステップに、一方、ステップS20は、切換弁63
a、63bおよびモータ60をOFFにするステップに
置き換える。
し、ステップS12、S14、S16の判別により、ブ
レーキペダル21を操作せず制動を実施していないか、
あるいは制動が開始された時点においてこのシステムを
作動させないような通常の制動であると判断された場合
には、ステップS20において切換弁63a、63bお
よびモータ60をOFFとし、急制動補助システムを作
動させず非作動とする。
ように切換弁63a、63bには、ECU40の駆動信
号は供給されず共に開成され、ブレーキマスタシリンダ
50の出力ポートからの油圧がABSI 70aおよびA
BSII70bを介して直接各ホイールシリンダ71、7
2、73、74に供給されるようになっている。また、
モータ60にも駆動信号は供給されないため、ポンプ6
1a、61bは共に作動しない停止状態にある。
a、63bを油が通り、油路P2a、P2b内の油圧が
予め設定された所定パイロット圧に達すると、圧力弁6
5a、65bは開成され、油路P3a、P3bは油路P
2a、P2bとともに流路として使用されて流量が増
し、制動力がより高まることになる。尚、ブレーキマス
タシリンダ50から供給されて高圧となった油路P5
a、P5bの油は、逆止弁62a、62bの作用によ
り、リザーブタンク52へは逆流しないようになってい
る。
ステップS12、S14、S16の判別により、制動力
を助勢する必要ありと判断された場合には、ステップS
18において切換弁63a、63bおよびモータ60を
ONとし、急制動補助システムの作動を開始する。
うに切換弁63a、63bは駆動信号の供給により閉成
されるとともに、モータ60は回転してポンプ61a、
61bを作動させることになり、各ホイールシリンダ7
1、72、73、74には、ABSI 70aおよびAB
SII70bを介してポンプ61a、61bの吐出圧が供
給される。このポンプ61a、61bの吐出圧は、急制
動を実施するために必要充分な圧力に予め設定されてい
るものであり、これにより、女性や高齢者等のブレーキ
踏力の弱い運転者でも充分な制動力が得られることにな
る。
bの油圧は、油路P5aおよびP5bの油圧よりも低い
ことになるが、ブレーキペダル21が当該補助システム
作動後さらに強く踏まれ、油路P1a、P1bの油圧が
ポンプ61a、61bの吐出圧に打ち勝ち、油路P5
a、P5bの油圧よりも高くなった後は、油は逆止弁6
6a、66bを通ってABSI 70aおよびABSII7
0b側へ流れるようになる。
70bは、所定の状態が検出されると、ECU40から
所定の駆動信号が供給され作動するようになっており、
これにより急制動補助システムの効果をさらに高めるこ
とができるが、ABSシステムの作用については従来公
知であるためここでは説明を省略する。尚、上記実施例
(実施例1および2)の制御では、判別基準として、油
圧PMと油圧の最大変化勾配d(PM)/dt max とを合わせ
て用いるようにしたが、油圧の最大変化勾配d(PM)/dt
max のみによる判別であってもよい。
状態を判断する手段として、主としてブレーキマスタシ
リンダ50からの油圧の最大変化勾配d(PM)/dt max を
用いるようにしたが、踏力センサ47により検出された
ブレーキペダル踏力(操作力)PB に基づく最大踏力P
B max (最大操作力)を主とし、図7と同様に時間tお
よび踏力PB の閾値を定めたマップを用いて判別を行う
ようにしても同等の効果が得られる。このとき、最大踏
力PB max の読み込みは、油圧の最大変化勾配d(PM)/d
t max の場合と同様に、検出された踏力PB のうち最大
となる値を求めこれを最大踏力PB max として記憶し、
急制動補助システム制御のルーチンの実行が繰り返され
て踏力PB がこの値よりも大きくなったら、この値を新
たな最大踏力PB max として更新するようにして行うと
よい。
は、上記実施例で用いた油圧センサ、ブレーキSW、踏
力センサに限られることなく、例えば、車両の前端部に
取付けられたスキャン方式のレーザレーダ、車輪速セン
サ、ステアリング部に取付けられた舵角センサ等を使用
するようにしてもよい。さらに、実施例1の急制動補助
システムに、実施例2と同様のABSシステム(ABS
I 70aおよびABSII70b)を適用してもよく、こ
れによりブレーキ性能をさらに向上させることが可能で
ある。
の発明の制動装置によれば、通常は、ブースタにより操
作部材の操作力がマスタシリンダで流体圧に変換されて
制動力が車輪に作用することになるが、制動状況判定手
段により、圧力検出手段によって求められる最大圧力勾
配が設定圧力勾配以上であり、且つタイマ手段によって
求められる操作部材の操作開始から最大圧力勾配に到達
するまでの経過時間が設定時間以上と判定された場合に
は、操作部材の操作力が弱く流体圧がなかなか上昇しな
いもののその後の圧力上昇により制動操作が緊急の制動
である状況とみなせ、この場合には、操作部材の操作力
に関係なく制動力を増大させる制動力増大手段によって
制動力を容易に増大させることができる。 これにより、
女性や高齢者のように操作部材の操作力が弱い運転者で
あっても、緊急の制動時において、通常の制動時よりも
大きな制動力を車輪に作用させ、ブレーキ性能を充分に
活用することができる。
動状況判定手段において、圧力検出手段が検出する圧力
勾配値の内、より大きな値を最大圧力勾配として順次更
新して記憶する記憶手段を含み、操作時間が設定時間を
越えた後に新たに更新される最大圧力勾配が設定圧力勾
配を越えた時点で緊急の制動であると判定することによ
り、操作部材の操作力の弱い運転者による緊急の制動を
容易且つさらに正確に判定することができる。
御手段は、運転者が操作部材を操作しているか否かを検
出する操作検出手段を有し、制動状況判定手段により緊
急の制動と判定された後に、操作検出手段から検出され
た信号により、運転者が操作部材を操作していないこと
が検出された場合には、制動力増大手段の作動を禁止す
る第一禁止手段を備えるようにしたので、運転者が操作
部材を操作していないときには、制動力増大手段による
制動力の助勢を確実に中止することができる。
制御手段は、操作部材の操作力を検出する操作力検出手
段を有し、制動状況判定手段により緊急の制動と判定さ
れた後に、操作力検出手段により検出された操作力が設
定操作力以下の場合には、制動力増大手段の作動を禁止
する第二禁止手段を備えるようにしたので、運転者が操
作部材を操作していないか、あるいは操作が通常の制動
操作である場合には、制動力増大手段による制動力の助
勢を確実に中止することができる。
が適用されるマスタバックの縦断面図である。
す概略図である。
概略図である。
示すブロック図である。
ンを示すフローチャートである。
動判断に使用する経過時間tと油圧PM との関係を示す
グラフである。
動判断に使用する経過時間tと油圧の変化勾配d(PM)/d
t との関係を示すグラフである。
す概略図である。
概略図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 運転者により操作される操作部材と、前記 操作部材の操作力をマスタシリンダにより流体圧に
変換し、該流体圧に応じた制動力を車輪に作用させるブ
ースタと、制動力 を前記操作部材の操作力に関係なく増大させる制
動力増大手段と、前記流体圧の圧力勾配を検出する圧力検出手段及び前記
操作部材の操作開始からの操作時間を検出するタイマ手
段を有し、前記圧力検出手段からの圧力勾配情報に基づ
き最大圧力勾配を求めるとともに前記タイマ手段からの
操作時間情報に基づき前記操作部材の操作開始から前記
最大圧力勾配に到達するまでの経過時間を求め、該最大
圧力勾配が設定圧力勾配以上且つ該経過時間が設定時間
以上であるとき、制動操作が緊急の制動であると判定す
る制動状況判定手段と、 前記 制動状況判定手段により前記制動操作が緊急の制動
であると判定されたとき、前記制動力増大手段により前
記操作部材の操作力に関係なく前記ブースタの出力を増
大させて通常の制動時よりも大きい制動力を車輪に作用
させる制御手段と、 を備えたことを特徴とする車両用制動装置。
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