JP2000016259A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

ブレーキ制御装置

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JP2000016259A
JP2000016259A JP10186335A JP18633598A JP2000016259A JP 2000016259 A JP2000016259 A JP 2000016259A JP 10186335 A JP10186335 A JP 10186335A JP 18633598 A JP18633598 A JP 18633598A JP 2000016259 A JP2000016259 A JP 2000016259A
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Japan
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control
brake
pressure
wheel
control device
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JP10186335A
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Masahiro Hara
雅宏 原
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ブレーキアシスト(BA)制御と
アンチロックブレーキ(ABS)制御とを実行する機能
を有するブレーキ制御装置に関し、BA制御中における
ABS制御の制御性の低下を抑制することを目的とす
る。 【解決手段】 ブレーキ制御装置は、例えば前輪系統に
対応して、マスタシリンダ18とホイルシリンダ82,
84とを遮断状態とし得るソレノイドSMFR42、S
MFL44、及び、これらの下流側に連通するフロント
ポンプ110を備える。緊急ブレーキ操作が実行される
と、SMFR42,SMFL44が閉弁され、フロント
ポンプ110がオンされることで、液圧通路48,50
の液圧が上昇する。この液圧がホイルシリンダ82,8
4に供給されることでBA制御が実現される。BA制御
中にABS制御が開始された場合、BA制御による有効
な制御効果が得られないと判断されるとSMFR42,
SMFL44が開弁される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ制御装置
に係り、特に、マスタシリンダとは別の液圧発生機構を
液圧源としてホイルシリンダ圧を増圧する制動補助制御
と、アンチロックブレーキ制御とを実行する機能を有す
るブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平9−24809
号公報に開示されるブレーキ制御装置が公知である。こ
のブレーキ制御装置は、ホイルシリンダに連通する液圧
制御回路と、液圧制御回路とマスタシリンダとの間の導
通及び遮断を切り替える遮断弁と、液圧制御回路に連通
する高圧発生源とを備えている。
【0003】上記ブレーキ制御装置において、通常時
は、遮断弁が開弁された状態で、液圧制御回路がマスタ
シリンダから供給された液圧をホイルシリンダに付与す
ることにより、マスタシリンダ圧に応じたホイルシリン
ダ圧を発生する通常ブレーキ制御が実現される。また、
上記ブレーキ制御装置において、何れかの車輪について
過剰なスリップ率が生ずると、そのスリップ率を抑制さ
せるべくABS制御が開始される。ABS制御は、各車
輪のスリップ率が所定値以下に抑制されるように、液圧
制御回路がその内部に備える電磁弁を適宜開閉してホイ
ルシリンダ圧の増減圧を繰り返すことにより実現され
る。
【0004】上記従来のブレーキ制御装置において、緊
急ブレーキ操作が実行された場合は、遮断弁によりマス
タシリンダと液圧制御回路との間が遮断されると共に、
高圧発生源が作動状態とされる。マスタシリンダと液圧
制御回路とが遮断された状態で高圧発生源が作動状態に
なると、高圧発生源が発生する液圧が液圧制御回路に供
給される。この液圧がホイルシリンダへ付与されること
で、通常時に比して大きなホイルシリンダ圧が発生す
る。以下、緊急ブレーキ操作時に通常時に比して大きな
ホイルシリンダ圧を発生させる上記制御をブレーキアシ
スト(BA)制御と称す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】BA制御によりホイル
シリンダ圧が増圧されると、それに伴って車輪のスリッ
プ率が上昇することによりABS制御が開始される場合
がある。上述の如く、BA制御中には、高圧発生源の液
圧が液圧制御回路に供給される。従って、BA制御中に
おけるABS制御では、ホイルシリンダには高圧発生源
の液圧が付与される。一方、ABS制御が単独で実行さ
れる場合は、マスタシリンダ圧がホイルシリンダに付与
される。高圧発生源はマスタシリンダ圧に比して高い液
圧を発生する。従って、BA制御中におけるABS制御
では、ABS制御が単独で実行される場合と比較して、
ホイルシリンダに急激な増圧勾配が生じ易い。上記の如
く、ABS制御は、車輪に過剰なスリップ率が生じない
ように、ホイルシリンダ圧の増減圧を繰り返すことによ
り実現される。従って、ABS制御において急激な増圧
勾配が生ずると、その次の減圧時における減圧量が増大
する。このため、ABS制御におけるハンチングが発生
し易くなり、制御性の低下を招く。
【0006】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、BA制御とABS制御とを実行する機能を有す
るブレーキ制御装置において、BA制御の実行に伴うA
BS制御の制御性の低下を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、マスタシリンダとホイルシリンダとの
間を遮断状態とし得る遮断弁と、前記遮断弁より下流側
に連通し、マスタシリンダ圧よりも高い液圧を発生する
高圧発生機構とを備え、前記遮断弁を遮断状態とし、前
記高圧発生機構が発生する液圧をホイルシリンダへ供給
する制動補助制御と、ホイルシリンダ圧を車輪に過剰な
スリップ率が生じない圧力に制御するアンチロックブレ
ーキ制御とを実行するブレーキ制御装置において、前記
制動補助制御による制御効果を判断する制御効果判断手
段と、前記制御効果が小さい場合に前記遮断弁を導通状
態とする遮断弁導通手段とを備えるブレーキ制御装置に
より達成される。
【0008】本発明において、制動補助制御は、マスタ
シリンダとホイルシリンダとを遮断状態とし、高圧発生
機構が発生する液圧をホイルシリンダへ供給することに
より実現される。かかる制動補助制御の実行中にアンチ
ロックブレーキ制御(ABS制御)が実行された場合、
ABS制御におけるホイルシリンダ圧の増圧は、高圧発
生機構を液圧源として行われる。このため、ABS制御
における増圧勾配が増大することで、制御性の低下を招
く。これに対して、本発明によれば、制動補助制御によ
る制御効果が小さい場合は、マスタシリンダとホイルシ
リンダとが導通状態とされる。かかる状態では、高圧発
生機構に連通するブレーキ系統の容積が増大すること
で、ABS制御中にホイルシリンダに供給される液圧が
低下する。このため、本発明によれば、制動補助制御の
制御性に影響を与えない範囲で、ABS制御の制御性の
低下を防止することができる。
【0009】この場合、請求項2記載に記載する如く、
前記制御効果判断手段は、ブレーキ操作に基づいて期待
される目標制動効果量と実際に得られた制動効果量との
比較に基づいて前記制御効果を判断することとしてもよ
い。本発明において、制動補助制御は、マスタシリンダ
よりも高い高圧発生源の液圧をホイルシリンダに供給す
ることにより実現される。従って、制動補助制御による
有効な制御効果が得られている場合には、ブレーキ操作
量に基づいて期待される目標制動効果量よりも大きな制
動効果量が得られる。従って、目標制動効果量と実際に
得られた制動効果量との比較に基づいて、制動補助制御
による制御効果を適切に判断することができる。
【0010】また、請求項3に記載する如く、前記制御
効果判断手段は、前記制動補助制御の開始後、所定期間
内に前記アンチロックブレーキ制御が開始された場合
に、前記制御効果が小さいと判断することとしてもよ
い。本発明において、アンチロックブレーキ制御(AB
S制御)は、車輪に過剰なスリップ率が生じた場合に実
行される。従って、制動補助制御の開始後、短時間でア
ンチロックブレーキ制御が開始された場合には、制動補
助制御によりホイルシリンダ圧が十分に増圧されないう
ちに過剰なスリップ率が生じたことになる。かかる状況
下では、制動補助制御によりホイルシリンダ圧を増圧し
ても、十分な制動効果を得ることができない。従って、
制動補助制御の開始後、所定期間内に前記アンチロック
ブレーキ制御が開始された場合には、制動補助制御によ
る制御効果が小さいと判断することができる。
【0011】また、請求項4に記載する如く、前記制御
効果判断手段は、車両が低μ路を走行中である場合に前
記制御効果が小さいと判断することとしてもよい。本発
明において、車両が低μ路を走行中である場合は、ホイ
ルシリンダ圧を増圧しても車輪にスリップが生じ易いた
め、制動補助制御による制御効果は得られ難いと考えら
れる。従って、車両が低μ路を走行中である場合に、制
動補助制御による制御効果が小さいと判断することがで
きる。
【0012】また、請求項5に記載する如く、前記制御
効果判断手段は、前記制動補助制御の実行中に実行され
る前記アンチロックブレーキ制御でのホイルシリンダ圧
の減圧時間が所定値以上である場合に、前記制御効果が
小さいと判別することとしてもよい。本発明において、
ABS制御においてホイルシリンダ圧の減圧が頻繁に行
われる場合は、車輪のスリップ率が上昇し易い低μ路を
走行中であると考えられる。従って、制動補助制御の実
行中におけるABS制御でのホイルシリンダ圧の減圧時
間が所定値以上である場合には、制動補助制御による制
御効果が小さいと判断することができる。
【0013】また、請求項6に記載する如く、ブレーキ
制御装置は、前記遮断弁をバイパスし、ホイルシリンダ
側からマスタシリンダ側へのブレーキフルードの流れを
許容するリリーフ弁を備え、前記制御効果判断手段は、
前記リリーフ弁を経てマスタシリンダへ戻ったブレーキ
フルード量が所定値以上となった場合に、前記制御効果
が小さいと判断することとしてもよい。
【0014】本発明において、リリーフ弁を介してマス
タシリンダへ戻ったブレーキフルード量に応じて、ホイ
ルシリンダ圧は低下する。従って、上記ブレーキフルー
ド量が所定値以上となった場合は、制動補助制御による
ホイルシリンダ圧の増圧が十分に行われておらず、その
制御効果は小さいと判断することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
ブレーキ制御装置のシステム構成図を示す。本実施例の
ブレーキ制御装置は、電子制御ユニット10(以下、E
CU10と称す)により制御される。ブレーキ制御装置
は、ブレーキペダル12を備えている。ブレーキペダル
12の近傍には、ブレーキスイッチ14が配設されてい
る。ブレーキスイッチ14は、ブレーキペダル12が踏
み込まれることによりオン信号を出力する。ブレーキス
イッチ14の出力信号はECU10に供給されている。
ECU10は、ブレーキスイッチ14の出力信号に基づ
いてブレーキペダル12が踏み込まれているか否かを判
別する。
【0016】ブレーキペダル12は、バキュームブース
タ16に連結されている。バキュームブースタ16は、
マスタシリンダ18に固定されている。バキュームブー
スタ16は、ブレーキペダル12が踏み込まれた場合
に、ブレーキ踏力Fに対して所定の倍力比を有するアシ
スト力Faを発生する。マスタシリンダ18は、センタ
ーバルブ・コンベンショナルタイプのマスタシリンダで
あり、その内部に第1油圧室20及び第2油圧室22を
備えている。第1油圧室20及び第2油圧室22には、
ブレーキ踏力Fとアシスト力Faとの合力に応じたマス
タシリンダ圧PM/ C が発生する。
【0017】リザーバタンク24には、フロントリザー
バ通路26、及び、リアリザーバ通路28が連通してい
る。フロントリザーバ通路26には、フロントリザーバ
カットソレノイド30(以下、SRCF30と称す)が
連通している。同様に、リアリザーバ通路28には、リ
アリザーバカットソレノイド32(以下、SRCR32
と称す)が連通している。
【0018】SRCF30には、更に、フロントポンプ
通路34が連通している。同様に、SRCR32には、
リアポンプ通路36が連通している。SRCF30は、
オフ状態とされることでフロントリザーバ通路26とフ
ロントポンプ通路34とを遮断し、かつ、オン状態とさ
れることでそれらを導通させる2位置の電磁弁である。
また、SRCR32は、オフ状態とされることでリアリ
ザーバ通路28とリアポンプ通路36とを遮断し、か
つ、オン状態とされることでそれらを導通させる2位置
の電磁弁である。
【0019】マスタシリンダ18の第1油圧室20、及
び、第2油圧室22には、それぞれ第1液圧通路38、
及び、第2液圧通路40が連通している。第1液圧通路
38には、右前マスタカットソレノイド42(以下、S
MFR42と称す)、及び、左前マスタカットソレノイ
ド44(以下、SMFL44と称す)が連通している。
一方、第2液圧通路40には、リアマスタカットソレノ
イド46(以下、SMR46と称す)が連通している。
【0020】SMFR42には、右前輪FRに対応して
設けられた液圧通路48が連通している。同様に、SM
FL44には、左前輪FLに対応して設けられた液圧通
路50が連通している。更に、SMR46には、左右後
輪RL,RRに対応して設けられた液圧通路52が連通
している。SMFR42、SMFL44及びSMR46
の内部には、それぞれリリーフ弁54,56,58が設
けられている。SMFR42は、オフ状態とされた場合
に第1液圧通路38と液圧通路48とを導通状態とし、
かつ、オン状態とされた場合にリリーフ弁54を介して
第1液圧通路38と液圧通路48とを連通させる2位置
の電磁弁である。また、SMFL44は、オフ状態とさ
れた場合に第1液圧通路38と液圧通路50とを導通状
態とし、かつ、オン状態とされた場合にリリーフ弁56
を介して第1液圧通路38と液圧通路50とを連通させ
る2位置の電磁弁である。同様に、SMR46は、オフ
状態とされた場合に第2液圧通路40と液圧通路52と
を導通状態とし、かつ、オン状態とされた場合にリリー
フ弁58を介して第2液圧通路40と液圧通路52とを
連通させる2位置の電磁弁である。
【0021】なお、SMFR42がオン状態とされた場
合、液圧通路48側の液圧が第1液圧通路38側の液圧
に比してリリーフ弁54の開弁圧分だけ高圧とならない
限り、第1液圧通路38と液圧通路48とは遮断状態と
される。そこで、SMFR42のオン状態を、SMFR
42の遮断状態とも称する。同様に、SMFL44及び
SMR46のオン状態と、SMFL44及びSMR46
の遮断状態とも称す。
【0022】第1液圧通路38と液圧通路48との間に
は、第1液圧通路38側から液圧通路48側へ向かうフ
ルードの流れのみを許容する逆止弁60が配設されてい
る。同様に、第1液圧通路38と液圧通路50との間、
及び、第2液圧通路40と液圧通路52との間には、そ
れぞれ第1液圧通路38側から液圧通路50側へ向かう
流体の流れのみを許容する逆止弁62、及び、第2液圧
通路40側から液圧通路52側へ向かう流体の流れのみ
を許容する逆止弁64が配設されている。 右前輪FR
に対応する液圧通路48には、右前輪保持ソレノイド6
6以下、SFRH66と称す)が連通している。同様
に、左前輪FLに対応する液圧通路50には左前輪保持
ソレノイド68(以下、SFLH68と称す)が、左右
後輪RL,RRに対応する液圧通路52には右後輪保持
ソレノイド70(以下、SRRH70と称す)及び左後
輪保持ソレノイド72(以下、SRLH72と称す)
が、それぞれ連通している。以下、これらのソレノイド
を総称する場合は「保持ソレノイドS**H」と称す。
【0023】SFRH66には、右前輪減圧ソレノイド
74(以下、SFRR74と称す)が連通している。同
様に、SFLH68、SRRH70及びSRLH72に
は、それぞれ左前輪減圧ソレノイド76(以下、SFL
R76と称す)、右後輪減圧ソレノイド78(以下、S
RRR78と称す)及び左後輪減圧ソレノイド280
(以下、SRLR280と称す)が、それぞれ連通して
いる。以下、これらのソレノイドを総称する場合には
「減圧ソレノイドS**R」と称す。
【0024】SFRR74には、右前輪FRのホイルシ
リンダ82が連通している。同様に、SFLR76には
左前輪FLのホイルシリンダ84が、SRRR78には
右後輪RRのホイルシリンダ86が、また、SRLR8
0には左後輪RLのホイルシリンダ88がそれぞれ連通
している。更に、液圧通路48とホイルシリンダ82と
の間には、SFRH66をバイパスしてホイルシリンダ
82側から液圧通路48へ向かうフルードの流れを許容
する逆止弁90が配設されている。同様に、液圧通路5
0とホイルシリンダ84との間、液圧通路52とホイル
シリンダ86との間、及び、液圧通路52とホイルシリ
ンダ88との間には、それぞれSFLH68、SRRH
70及びSRLH72をバイパスするフルードの流れを
許容する逆止弁92,94,96が配設されている。
【0025】SFRH66は、オフ状態とされることに
より液圧通路48とホイルシリンダ82とを導通状態と
し、かつ、オン状態とされることにより液圧通路48と
ホイルシリンダ82とを遮断状態とする2位置の電磁弁
である。同様に、SFLH68、SRRH70及びSR
LH72は、それぞれオン状態とされることにより液圧
通路50とホイルシンダ84とを結ぶ経路、液圧通路5
2とホイルシリンダ86とを結ぶ経路、及び、液圧通路
52とホイルシリンダ88とを結ぶ経路を遮断する2位
置の電磁弁である。
【0026】左右前輪の減圧ソレノイドSFRR74及
びSFLR76には、フロント減圧通路98が連通して
いる。また、左右後輪の減圧ソレノイドSRRR78及
びSRLR80にはリア減圧通路100が連通してい
る。フロント減圧通路98及びリア減圧通路100に
は、それぞれフロントリザーバ102及びリアリザーバ
104が連通している。
【0027】また、フロント減圧通路98及びリア減圧
通路100は、それぞれ逆止弁106,108を介して
フロントポンプ110の吸入側、及び、リアポンプ11
2の吸入側に連通している。フロントポンプ110の吐
出側、及び、リアポンプ112の吐出側は、吐出圧の脈
動を吸収するためのダンパ114,116に連通してい
る。ダンパ114は、右前輪FRに対応して設けられた
右前ポンプ通路118及び左前輪FLに対応して設けら
れた左前ポンプ通路120に連通している。一方、ダン
パ116は、液圧通路52に連通している。
【0028】右前ポンプ通路118は、右前ポンプソレ
ノイド122(以下、SPFL122と称す)を介して
液圧通路48に連通している。また、左前ポンプ通路1
20は、左前ポンプソレノイド124(以下、SPFR
124と称す)を介して液圧通路50に連通している。
SPFL122は、オフ状態とされることにより右前ポ
ンプ通路118と液圧通路48とを導通状態とし、か
つ、オン状態とされることによりそれらを遮断状態とす
る2位置の電磁弁である。同様に、SPFR124は、
オフ状態とされることにより左前ポンプ通路120と液
圧通路50とを導通状態とし、かつ、オン状態とされる
ことによりそれらを遮断状態とする2位置の電磁弁であ
る。
【0029】液圧通路48と右前ポンプ通路118との
間には、右前ポンプ通路118側へ向かう流体の流れの
みを許容するリリーフ弁126が配設されている。同様
に、液圧通路50と左前ポンプ通路320との間には、
液圧通路50側から左前ポンプ通路320側へ向かう流
体の流れのみを許容するリリーフ弁128が配設されて
いる。
【0030】各車輪の近傍には、車輪速センサ130,
132,134,136が配設されている。ECU10
は、車輪速センサ130〜136の出力信号に基づいて
各車輪の回転速度VW を検出する。また、マスタシリ
ンダ18に連通する第2液圧通路40には、液圧センサ
138が配設されている。ECU10は、液圧センサ1
38の出力信号に基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検
出する。
【0031】次に、本実施例のブレーキ制御装置の動作
を説明する。本実施例のブレーキ制御装置は、油圧回路
内に配設された各種の電磁弁の状態を切り換えることに
より、通常ブレーキ機能、ABS機能、BA機能、及び
VSC機能を実現する。通常ブレーキ機能は、図1に示
す如く、ブレーキ制御装置が備える全ての電磁弁をオフ
状態とすることにより実現される。以下、図1に示す状
態を通常ブレーキ状態と称す。また、ブレーキ制御装置
において通常ブレーキ機能を実現するための制御を通常
ブレーキ制御と称す。
【0032】図1に示す通常ブレーキ状態において、左
右前輪FL,FRのホイルシリンダ82,84は、共に
第1液圧通路38を介してマスタシリンダ18の第1油
圧室20に連通している。また、左右後輪RL,RRの
ホイルシリンダ86,88は、第2液圧通路40を介し
てマスタシリンダ18の第2油圧室22に連通してい
る。この場合、ホイルシリンダ82〜88のホイルシリ
ンダ圧PW/C は、常にマスタシリンダ圧PM/C と等圧に
制御される。従って、図1示す状態によれば、通常ブレ
ーキ機能が実現される。
【0033】ABS機能は、図1に示す状態において、
フロントポンプ110及びリアポンプ112をオン状態
とし、かつ、保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイ
ドS**RをABSの要求に応じて適当に駆動すること
により実現される。以下、ブレーキ制御装置においてA
BS機能を実現するための制御をABS制御と称す。E
CU10は、車両が制動状態にあり、かつ、何れかの車
輪について過剰なスリップ率が検出された場合にABS
制御を開始する。ABS制御は、ブレーキペダル12が
踏み込まれている状況下、すなわち、マスタシリンダ1
8が高圧のマスタシリンダ圧PM/C を発生している状況
下で開始される。
【0034】ABS制御の実行中は、マスタシリンダ圧
M/C が、第1液圧通路38及び第2液圧通路40を介
して、それぞれ左右前輪に対応して設けられた液圧通路
48,50、及び、左右後輪に対応して設けられた液圧
通路52に導かれる。従って、かかる状況下で保持ソレ
ノイドS**Hを開弁状態とし、かつ、減圧ソレノイド
S**Rを閉弁状態とすると、各車輪のホイルシリンダ
圧PW/C をマスタシリンダ圧PM/C に向けて増圧するこ
とができる。以下、この状態を増圧モードと称す。
【0035】また、ABS制御の実行中に、保持ソレノ
イドS**H及び減圧ソレノイドS**Rの双方を閉弁
状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を保持
することができる。以下、この状態を保持モードと称
す。更に、ABS制御の実行中に、保持ソレノイドS*
*Hを閉弁状態とし、かつ、減圧ソレノイドS**Rを
開弁状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C
減圧することができる。以下、この状態を減圧モードと
称す。
【0036】ECU10は、ABS制御中に、各車輪毎
に適宜上記の増圧モード、保持モード、及び、減圧モー
ドが実現されるように、各車輪のスリップ状態に応じて
保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイドS**Rを
制御する。保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイド
S**Rが上記の如く制御されると、全ての車輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C が対応する車輪に過大なスリップ率
を発生させることのない適当な圧力に制御される。この
ように、上記の制御によれば、ブレーキ制御装置におい
てABS機能を実現することができる。
【0037】ABS制御の実行中に、各車輪で減圧モー
ドが行われる際にはホイルシリンダ82〜88内のブレ
ーキフルードが、フロント減圧通路98及びリア減圧通
路100を通ってフロントリザーバ102及びリアリザ
ーバ104に流入する。フロントリザーバ102及びリ
アリザーバ104に流入したブレーキフルードは、フロ
ントポンプ110及びリアポンプ112に汲み上げられ
て液圧通路48,50,52へ供給される。
【0038】液圧通路48,50,52に供給されたブ
レーキフルードの一部は、各車輪で増圧モードが行われ
る際にホイルシリンダ82〜88に流入する。また、そ
のブレーキフルードの残部は、ブレーキフルードの流出
分を補うべくマスタシリンダ18に流入する。このた
め、本実施例によれば、ABS制御の実行中にブレーキ
ペダル12に過大なストロークが生ずることはない。
【0039】図2は、BA機能を実現するためのブレー
キ制御装置の状態を示す。ECU10は、運転者によっ
て制動力の速やかな立ち上がり、すなわち、車両減速度
Gの速やかな増加を要求する緊急ブレーキ操作が実行さ
れた後に、図2に示す状態を実現することでBA機能を
実現する。以下、図2に示す状態をBA状態と称し、ま
た、ブレーキ制御装置においてBA機能を実現するため
の制御をBA制御と称す。
【0040】図2に示す如く、BA状態では、リザーバ
カットソレノイドSRCF30,SRCR32、及び、
マスタカットソレノイドSMFR42,SMFL44,
SMR46をオン状態とし、かつ、フロントポンプ11
0及びリアポンプ112をオン状態とされる。図2に示
すBA状態が実現されると、リザーバタンク24に貯留
されているブレーキフルードがフロントポンプ110及
びリアポンプ112に汲み上げられて液圧通路48,5
0,52に供給される。BA状態では、液圧通路48,
50,52の内圧が、リリーフ弁54,56,58の開
弁圧を超えてマスタシリンダ圧PM/C に比して高圧とな
るまでは、液圧通路48,50,52からマスタシリン
ダ18へ向かうブレーキフルードの流れがSMFR4
2,SMFL44,SMR46によって阻止される。
【0041】このため、図2に示すBA状態が実現され
ると、その後、液圧通路48,50,52には、マスタ
シリンダ圧PM/C に比して高圧の液圧が発生する。BA
状態では、ホイルシリンダ82〜88と、それらに対応
する液圧通路48,50,52とが導通状態に維持され
ている。従って、BA状態が実現されると、その後、全
ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C は、フロントポンプ
110またはリアポンプ112を液圧源として、速やか
にマスタシリンダ圧PM/C を超える圧力に昇圧される。
【0042】ところで、図2に示すBA状態において、
液圧通路48,50,52は、それぞれ逆止弁60,6
2,64を介してマスタシリンダ18に連通している。
このため、マスタシリンダ圧PM/C が各車輪のホイルシ
リンダ圧PW/C に比して大きい場合は、BA状態におい
ても、マスタシリンダ18を液圧源としてホイルシリン
ダ圧PW/C を昇圧することができる。
【0043】このように、本実施例によれば、運転者に
よって緊急ブレーキ操作が実行された後速やかに、ホイ
ルシリンダ圧PW/C をマスタシリンダ圧PM/C に比して
高い圧力に昇圧することができる。従って、本実施例の
ブレーキ制御装置によれば、緊急ブレーキ操作が実行さ
れた場合に、車両の減速度Gを速やかに増加させること
ができる。
【0044】本実施例のブレーキ制御装置において、上
述したBA制御が開始されると、その後、各車輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C が速やかに昇圧されることにより、
何れかの車輪について過剰なスリップ率が生ずる場合が
ある。ECU10は、このような場合には、図2に示す
BA状態において、過剰なスリップ率が生じた車輪につ
いて、保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイドS*
*Rを開閉することにより上記した増圧モード、保持モ
ード、及び減圧モードを適宜実現することでABS制御
を実行する。
【0045】ABS制御中の減圧モードでは、各ホイル
シリンダから流出したブレーキフルードがフロントリザ
ーバ102又はリアリザーバ104へ流入する。従っ
て、ABS制御の実行中には、フロントポンプ110及
びリアポンプ112は、それぞれ、減圧モードにおいて
フロントリザーバ102及びリアリザーバ104へ流入
したブレーキフルードを汲み上げることにより、液圧通
路48,50,52の内圧を上昇させることができる。
また、ABS制御はホイルシリンダ84〜86へ供給し
たブレーキフルードをフロントリザーバ102又はリア
リザーバ104へ流出させることにより、各輪のホイル
シリンダ圧PW/C を、車輪に過剰なスリップ率が生じな
い程度の圧力に抑制する制御である。従って、BA制御
の実行中にABS制御が開始された場合には、リザーバ
タンク24から各ホイルシリンダ82〜88へブレーキ
フルードを供給しないことが望ましいといえる。そこ
で、本実施例では、BA制御の実行中に何れかの車輪に
ついてABS制御が開始されると、その車輪に対応する
系統のSRCF30又はSRCR32をオフ(閉)状態
とすることで、リザーバタンク24からフロントポンプ
110又はリアポンプ112へのブレーキフルードの供
給を禁止することとしている。
【0046】VSC機能は、車両に不安定挙動が生じた
場合に、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を制御するこ
とにより、その不安定挙動を収束させる機能である。V
SC機能は、車両挙動に基づいて、上記したBA制御中
におけるABS制御と同様に、VSC状態においてS*
*H、S**Rを適宜開閉し、フロントポンプ110又
はリアポンプ112を液圧源としてホイルシリンダ圧P
W/C を制御することにより実現される。
【0047】上述の如く、BA制御の実行中は、マスタ
カットソレノイドSMFR42、SMFL44、及びS
MR46がオン(閉弁)状態とされることにより、液圧
通路48,50,52の内部は、マスタシリンダ圧P
M/C に比してリリーフ弁54〜58の開弁圧分だけ高い
液圧まで昇圧され得る。すなわち、BA制御の実行中に
おけるABS制御は、BA制御が実行されていない状態
でのABS制御と比較して、液圧通路48,50,52
が高圧とされた状態で実行されることになる。このた
め、ABS制御での増圧モードにおいて、ABS制御の
対象とされた車輪(以下、ABS対象車輪と称す)のホ
イルシリンダへ供給される液圧が上昇し、ABS対象車
輪のホイルシリンダ圧PW/C に過大な増圧勾配が生ず
る。ABS対象車輪のホイルシリンダ圧PW/C に過大な
増圧勾配が生ずると、その後の減圧モードにおける減圧
量も増大する。その結果、ABS対象車輪における制御
上のハンチングが生じ易くなり、ABS制御の制御性が
低下する。
【0048】また、例えば、右前輪FRについてABS
制御が開始されると、右前輪に対応するSFRH66は
増圧モードが実行される僅かな期間を除いて閉弁状態と
される。このため、BA制御の実行中に右前輪FRにつ
いてABS制御が開始された後は、フロントポンプ11
0が吐出するブレーキフルードの大部分が非ABS対象
車輪である左前輪FLに流入することで、その増圧勾配
が急増する。このように、BA制御中に前輪系統又は後
輪系統の左右何れか一輪についてABS制御が開始され
た場合、非ABS制御車輪である他方の車輪について、
過大な増圧勾配が生ずるという不都合も生ずる。
【0049】更に、BA制御中にABS制御が実行され
ると、保持ソレノイドS**Hがその上流側の液圧、す
なわち、液圧通路48,50,52の液圧が高い状態で
開閉される。このため、保持ソレノイドS**Hの開閉
に伴う動作音が増大し、また、保持ソレノイドS**H
の耐久性が低下する等の不都合も生ずる。このように、
BA制御中にABS制御が実行されると、マスタカット
ソレノイドSMFR42,SMFL44、及びSMR4
6が閉弁されることに起因して、ABS制御の制御性の
低下等の種々の不都合を招く。従って、これらの不都合
を防止する観点から、BA制御中にABS制御が開始さ
れた場合には、マスタカットソレノイドSMFR42,
SMFL44、及びSMR46を閉弁状態に維持する期
間を必要最小限に抑制することが望ましい。
【0050】本実施例のブレーキ制御装置は、BA制御
による制御効果が小さいと判断された場合に、SMFR
42,SMFL44、及びSMR46を開弁することに
より、BA制御の制御性に影響を与えることなく上記の
不都合を回避し得る点に特徴を有している。以下、本実
施例の上記特徴部について説明する。本実施例におい
て、ECU10は、BA制御が開始された後のフロント
ポンプ110又はリアポンプ112により吐出されたブ
レーキフルードの総量(以下、吸入油量QA と称す)、
及び、BA制御が開始された後、ABS制御の実行中に
ホイルシリンダ82〜88からマスタシリンダ18へ回
収されたブレーキフルードの総量(以下、マスタバック
油量QB と称す)を、前後各系統について逐次演算す
る。吸入油量Qは、ポンプがブレーキフルードの吐出動
作を行っている累積時間長(すなわち、リザーバカット
弁SRCF30又はSRCR32がオン(開弁)状態と
され、かつ、ポンプがオン状態とされた累積時間長)T
1 と、ポンプの単位時間当たりの吐出流量K1 に等し
い。従って、吸入油量QA は次式(1)により演算され
る。
【0051】QA =K1 *T1 …(1) マスタバック油量QB は、前後各系統の左右何れか一方
の車輪においてABS制御の減圧モードが実現され、か
つ、同系統の他方の車輪についてABS制御が実行され
ている累積時間長(以下、ABS減圧時間T2 と称す)
に基づいて演算される。すなわち、例えば左右前輪F
L,FRについてABS制御が実行されると、前輪側の
保持ソレノイドSFRH66,SFLH68は増圧モー
ドが行われる僅かな時間を除いて閉弁状態とされる。か
かる状況下で右前輪FRについて減圧モードが行われた
場合、右前輪FRのホイルシリンダ82からフロントリ
ザーバ102に流出したブレーキフルードがフロントポ
ンプ110によって汲み上げられる。この場合、保持ソ
レノイドSFRH66、SFLH68が共に閉弁状態と
され、かつ、マスタカットソレノイドSMFR42,S
MFL44が共に閉弁状態とされているため、フロント
ポンプ110がブレーキフルードを汲み上げることによ
って液圧通路48,50内の液圧が上昇する。そして、
この液圧がリリーフ弁54,56の開弁圧を越えると、
フロントポンプ110が汲み上げたブレーキフルードは
マスタシリンダ18へ回収される。このように、同系統
の左右両輪でABS制御が実行されている場合は、左右
各輪の減圧モードにより各ホイルシリンダ82〜88か
ら流出したブレーキフルードは全てマスタシリンダ18
へ回収されるとみなすことができる。
【0052】減圧モードにおいて各ホイルシリンダ82
〜88から流出するブレーキフルードの単位時間当たり
の流量QW は、減圧モードにおけるホイルシリンダ圧P
W/Cの減圧勾配(以下、減圧勾配ΔPと称す)、及び、
各ホイルシリンダ82〜88の液圧変化に対する消費油
量の勾配(以下、消費油量勾配ΔQと称す)の積に一致
する。減圧勾配ΔP及び消費油量勾配ΔQは、共に、ホ
イルシリンダ82〜88の特性により定まる値であり、
厳密には各時点のホイルシリンダ圧PW/C の値に応じて
変化する。しかし、本実施例では、演算処理を簡易化す
るため、減圧モードが実行される場合のホイルシリンダ
圧PW/C の値はほぼ一定であるとみなし、減圧勾配ΔP
及び消費油量勾配ΔQの値として実験的に求めた定数値
を用いることとしている。
【0053】上記の如く求められたABS減圧時間
2 、減圧勾配ΔP、及び消費油量勾配ΔQを用いて、
マスタバック油量QB は(2)式で表される。ECU1
0は(2)式に基づいてマスタバック油量QB を演算す
る。 QB =dP・dQ・T2 …(2) 吸入油量QA がマスタバック油量QB を上回っている間
は、ホイルシリンダ82〜88に供給されたブレーキフ
ルードの総量は増大し続けていることになる。この場合
は、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C はフロントポンプ
110又はリアポンプ112が吐出したブレーキフルー
ドによって増圧されている、すなわち、BA制御による
ホイルシリンダ圧PW/C の増圧は有効に行われていると
判断することができる。一方、吸入油量QA がマスタバ
ック油量QB を下回った場合は、フロントポンプ110
又はリアポンプ112により各ホイルシリンダ82〜8
8に供給されたブレーキフルードよりも多量のブレーキ
フルードが、ホイルシリンダ82〜88からマスタシリ
ンダ18に回収されたことになる。従って、この場合に
は、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C はフロントポンプ
110又はリアポンプ112が吐出したブレーキフルー
ドによって増圧されていない、すなわち、BA制御によ
るホイルシリンダ圧PW/C の増圧は有効に行われていな
いと判断することができる。
【0054】そこで、本実施例において、ECU10
は、BA制御の実行中に、例えば前輪側について吸入油
量QA がマスタバック油量QB を下回ると、BA制御に
よる制御効果は小さいと判断し、前輪側のマスタカット
ソレノイドSMFR42、SMFL44をオフ(開弁)
状態とする。SMFR42及びSMFL44が開弁状態
とされると、液圧通路48,50とマスタシリンダ18
とが導通状態になることで、フロントポンプ110の吐
出側に連通するブレーキ系内の容積が増大する。このた
め、SMFR42及びSMFL44が開弁されると、液
圧通路48,50の液圧はマスタシリンダ圧PM/C に向
けて低下する。後輪側についても同様に、吸入油量QA
がマスタバック油量QB を下回ると、マスタカットソレ
ノイドSMR46がオフ(開弁)状態とされることで、
液圧通路52の液圧はマスタシリンダ圧PM/C に向けて
低下する。従って、以後、液圧通路52,54,56が
高圧となることに起因して生ずるABS制御の制御性低
下などの上記不都合が防止される。
【0055】このように、本実施例によれば、BA制御
による制御効果が小さいと判断した場合に、マスタカッ
トソレノイドSMFR42及びSMFL44,又はSM
R46を開弁状態とすることにより、BA制御の制御性
に影響を与えることのない範囲で、ABS制御の制御性
の低下等の不都合を防止することができる。なお、吸入
油量QA がマスタバック油量QB を下回るような状況
は、BA制御によるホイルシリンダ圧PW/C の増圧が十
分に行われる前にABS制御が開始された場合、すなわ
ち、ホイルシリンダ圧PW/C が十分に増圧される前に車
輪に過剰なスリップ率が生じた場合に発生する。従っ
て、吸入油量QA がマスタバック油量QB を下回った場
合には、車両が摩擦係数の低い路面(低μ路)を走行し
ていると判断することができる。低μ路の走行中は、車
輪に過剰なスリップ率を生じさせることなくホイルシリ
ンダ圧PW/C を増圧することは困難であるため、BA制
御による有効な制御効果を得難い状態となっている。従
って、吸入油量QAがマスタバック油量QB を下回って
いるか否かの判断は、走行中の路面が低μ路であるか否
かを判断していることにもなる。
【0056】本実施例のブレーキ制御装置が有する上記
の機能は、ECU10が所定のルーチンを実行すること
により実現される。以下、図3を参照して、本実施例に
おいてECU10が実行する具体的な処理の内容につい
て説明する。図3は、本実施例においてECU10が実
行するルーチンの一例のフローチャートである。図3に
示すルーチンは、前後各系統について独立に実行され
る。なお、以下の説明において、「マスタカットソレノ
イド」とは、前輪側について実行されるルーチンについ
てはSMFR42及びSMFL44を、後輪側について
実行されるルーチンについてはSMR46を、それぞれ
意味するものとする。
【0057】図3に示すルーチンが起動されると先ずス
テップ200の処理が実行される。ステップ200で
は、BA制御中であるか否かが判別される。その結果、
BA制御中でなければ、以後何ら処理が実行されること
なく今回のルーチンは終了される。一方、ステップ20
0においてBA制御中であるならば、次にステップ20
2の処理が実行される。ステップ202では、上記
(1)式に従って、吸入油量QA が演算される。
【0058】ステップ202に続くステップ204で
は、左右何れかの車輪についてABS制御の実行中であ
るか否かが判別される。その結果、ABS制御の実行中
でなければ、BA制御を通常通り実行しても何ら不都合
は生じないと判断される。この場合、次にステップ20
6において図2に示すBA状態を維持するための処理、
すなわち、例えば前輪側系統については、フロントポン
プ110をオン状態とし、マスタカットソレノイドSM
FR42,SMFL44をオン(閉弁)状態とし、リザ
ーバカットソレノイドSRCF30をオン(閉弁)状態
とした状態を維持する処理が実行される。ステップ20
6の処理が終了されると今回のルーチンは終了される。
一方、ステップ204において左右何れかの車輪につい
てABS制御が実行中である場合は、次にステップ20
8の処理が実行される。
【0059】ステップ208では、上記(2)式に従っ
て、マスタバック油量QB が演算される。ステップ20
8の処理が終了するとステップ210へ進む。ステップ
210では、マスタカットソレノイドが開弁されている
か否かが判別される。その結果、マスタカットソレノイ
ドが開弁されていなければ、次にステップ212の処理
が実行される。
【0060】ステップ212では、吸入油量QA がマス
タバック油量QB を下回っているか否かが判別される。
その結果、吸入油量QA がマスタバック油量QB を下回
っているならば、上記の如く、BA制御による制御効果
は小さいと判断される。この場合、BA制御を継続する
よりも、ABS制御の制御性低下を防止することが優先
されるべきと判断されて、次にステップ214におい
て、マスタカットソレノイドをオフ(開弁)状態とする
ための処理が実行される。ステップ214の処理が終了
されると今回のルーチンは終了される。一方、ステップ
212において、吸入油量QA がマスタバック油量QB
を下回っていない場合は、上記ステップ206において
BA状態を維持する処理が実行された後、今回のルーチ
ンは終了される。
【0061】上記ステップ210において、マスタカッ
トソレノイドが開弁状態である場合は、既に前回以前の
処理サイクルで吸入油量QA がマスタバック油量QB
下回り、その処理サイクルのステップ214においてマ
スタカットソレノイドを開弁する処理が実行されたこと
になる。上述の如く、吸入油量QA がマスタバック油量
B を下回った場合は、車両が低μ路を走行中であると
考えられる。この場合、走行中の路面が摩擦係数の高い
路面(高μ路)に変化すれば、BA制御を再開すること
によりホイルシリンダ圧PW/C の増圧を図ることが可能
であると判断することができる。
【0062】そこで、ステップ210においてマスタカ
ットソレノイドが開弁状態である場合は、次にステップ
216において、走行中の路面が高μ路へ変化したか否
かが判別される。高μ路へ変化したことは、例えば、車
両の減速度がマスタカットソレノイドが開弁された時点
よりも所定値を越えて増加したことをもって判別するこ
とができる。あるいは、ABS制御の実行が終了された
場合に、高μ路へ変化したと判別することもできる。そ
の結果、高μ路へ変化したと判別されたならば、上記ス
テップ206において、BA状態を実現するための処
理、すなわち、BA制御を再開するための処理が実行さ
れた後、今回のルーチンは終了される。一方、ステップ
216において高μ路に変化していないと判別された場
合は、何ら処理が実行されることなく今回のルーチンは
終了される。
【0063】上述の如く、本実施例では、吸入油量QA
がマスタバック油量QB を下回った場合に、BA制御に
よる有効な制御効果が得られないと判断し、マスタカッ
トソレノイドを開弁状態とする。従って、本実施例によ
れば、BA制御の制御性に影響を与えない範囲で、AB
S制御の制御性低下や、保持ソレノイドS**Hの耐久
性低下及び動作音の増大等の不都合を防止することがで
きる。
【0064】なお、上記実施例においては、BA制御の
実行中にマスタカットソレノイドが開弁された後、走行
中の路面が高μ路に変化した場合には、再びBA制御を
再開するものとした。しかしながら、これらの処理を省
略し、マスタカットソレノイドが開弁された後は、以
後、新たにBA制御を開始すべき条件が成立しない限
り、マスタカットソレノイドを開弁状態に維持すること
としてもよい。
【0065】次に、本発明の第2 実施例について説明す
る。上述の如く、吸入油量QA はBA制御においてホイ
ルシリンダ82、84又はホイルシリンダ86、88に
供給されたブレーキフルードの総量であり、その値が大
きいほどホイルシリンダ圧P W/C は大きく増圧されてい
るといえる。従って、吸入油量QA が所定量に達しない
うちにABS制御が開始された場合は、ホイルシリンダ
圧PW/C が十分に増圧されないうちに車輪に大きなスリ
ップ率が生じたことになり、車両は低μ路を走行中であ
るとみなすことができる。そこで、本実施例では、BA
制御の実行中に、吸入油量QA が所定量に達しないうち
にABS制御が開始された場合には、BA制御による制
御効果は小さいと判断し、マスタカットソレノイドを開
弁させる。
【0066】本実施例のブレーキ制御装置は、図1に示
すシステムにおいて、ECU10が図4に示すルーチン
を実行することにより実現される。図4は、本実施例に
おいてECU10が実行するルーチンの一例のフローチ
ャートである。図4に示すルーチンは、図3に示すルー
チンと同様に、前後各系統について独立に実行される。
なお、図4に示すルーチンにおいて、図3に示すルーチ
ンと同様の処理を行うステップには同一の符号を付して
その説明を省略する。
【0067】図4に示すルーチンでは、ステップ202
において吸入流量QA が演算されると、次にステップ2
50の処理が実行される。ステップ250では、ABS
制御が開始されたタイミングであるか否か(すなわち、
前回の処理サイクルから今回の処理サイクルの間にAB
S制御が開始されたか否か)が判別される。その結果、
ABS制御が開始されたタイミングでなければ、ステッ
プ252へ進む。一方、ステップ250においてABS
制御が開始されたタイミングであれば、ステップ254
へ進む。
【0068】ステップ254では、吸入油量QA が所定
値Q0 を下回っているか否かが判別される。その結果、
A <Q0 が成立するならば、BA制御による増圧が十
分に行われないうちにABS制御が開始されたと判断さ
れる。この場合、BA制御による有効な制御効果は期待
できないと判断され、次にステップ256においてBA
禁止フラグFがセットされる。一方、ステップ254に
おいて、QA <Q0 が不成立ならば、ステップ256に
おいてBA禁止フラグFがリセットされる。ステップ2
54又はステップ256の処理が終了するとステップ2
52へ進む。
【0069】ステップ252では、BA禁止フラグFが
セットされているか否かが判別される。その結果、BA
禁止フラグFがセットされているならば、ステップ21
4においてマスタカットソレノイドが開弁される。一
方、ステップ252においてBA禁止フラグFがセット
されていないならば、次にステップ206においてBA
状態を維持するための処理が実行される。ステップ21
4又は206の処理が終了されると今回のルーチンは終
了される。
【0070】なお、上記第2実施例では、BA制御の開
始後、ステップ254において吸入油量QA が所定値Q
0 に達しないうちにABS制御が開始されたと判別され
た場合に、マスタカットソレノイドを開弁するものとし
たが、これに限らず、BA制御の開始後、所定時間が経
過しないうちにABS制御が開始された場合にマスタカ
ットソレノイドを開弁することとしてもよい。すなわ
ち、BA制御の開始後、短時間のうちにABS制御が開
始された場合は、BA制御によるホイルシリンダ圧P
W/C の増圧が十分に行われないうちに、車輪に過剰なス
リップ率が生じたことになるため、車両は低μ路を走行
中であると判断することができる。従って、かかる場合
には、BA制御による制御効果は小さく、ABS制御の
制御性の低下を防止する観点からマスタカットソレノイ
ドを開弁することが望ましいと判断できるのである。
【0071】また、上記第2実施例では、吸入油量QA
が所定値に達しないうちにABS制御が開始された場合
に、BA制御による制御効果が小さいと判断することと
したが、ホイルシリンダ圧(PW/C )センサを備えるシ
ステムにおいては、ホイルシリンダ圧PW/C が所定値に
達しないうちにABS制御が開始された場合に、BA制
御による制御効果が小さいと判断することとしてもよ
い。
【0072】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。本実施例では、BA制御の実行中にABS制御が開
始された場合に、ABS制御において減圧モードが実行
されている累積時間長が所定値を上回るとマスタカット
ソレノイドを開弁する。すなわち、ABS制御中に減圧
モードが頻繁に実行さわれる場合は、車輪のスリップが
上昇し易い低μ路の走行中であると判断することができ
る。本実施例では、かかる場合にBA制御による制御効
果は小さいと判断して、マスタカットソレノイドを開弁
させる。
【0073】本実施例のブレーキ制御装置は、図1に示
すシステムにおいてECU10が図5に示すルーチンを
実行することにより実現される。図5は、本実施例にお
いてECU10が実行するルーチンの一例のフローチャ
ートである。図5に示すルーチンは図3 に示すルーチン
と同様に前後各系統について独立に実行される。なお、
図5において図3に示すルーチンと同様の処理を行うス
テップには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】図5に示すルーチンでは、ステップ204
においてABS制御中であると判別された場合、次にス
テップ300の処理が実行される。ステップ300で
は、ABS制御において減圧モードが実行されている累
積時間長(以下、減圧時間TRと称す)が演算される。
減圧時間TR は、左右輪それぞれについて減圧モードが
実行されている累積時間長の和として求められる。例え
ば前輪系統では、左右前輪FL,FRについて減圧モー
ドが実行されている累積時間長をされぞれTA ,TB
すると、TR =TA +TB として求められる。ステップ
300の処理が終了するとステップ302へ進む。
【0075】ステップ302では、減圧時間TR が所定
値T0 を上回っているか否かが判別される。その結果、
R >T0 が成立するならば、上記の如く、BA制御に
よる有効な制御効果は期待できないと判断される。この
場合、次に、ステップ214においてマスタカットソレ
ノイドが開弁された後、今回のルーチンは終了される。
一方、ステップ302においてTR >T0 が不成立なら
ば、ステップ206においてBA状態を維持するための
処理が実行された後、今回のルーチンは終了される。
【0076】上述の如く、本実施例によれば、減圧時間
R が所定値を上回っている場合に、マスタカットソレ
ノイドを開弁することにより、BA制御の制御性に影響
を与えない範囲で、ABS制御の制御性低下等の不都合
を防止することができる。次に、本発明の第4実施例に
ついて説明する。本実施例では、車両に発生している減
速度Gが、基準加速度G0 (すなわち、マスタシリンダ
圧PM/C に比例したホイルシリンダ圧PW/C が発生し、
かつ、車輪にスリップが生じていないと仮定した場合の
車両減速度)との比較に基づいてBA制御による有効な
制御効果が得られるか否かを判断する。
【0077】BA制御は緊急ブレーキ操作が行われた場
合に、運転者のブレーキ操作によって得られる減速度よ
りも大きな減速度を得るべく実行される制御である。従
って、BA制御の実行中に車両に発生する減速度Gが、
上記した基準加速度G0 に対して不足する場合には、B
A制御による制御効果は小さいと判断することができ
る。そこで、本実施例では、かかる場合に、BA制御を
継続するよりもABS制御の制御性を向上させることを
優先させるべきと判断し、マスタカットソレノイドを開
弁することとしている。
【0078】本実施例のブレーキ制御装置は上記図1に
示すシステムにおいてECU10が図6に示すルーチン
を実行することにより実現される。図6は、本実施例に
おいてECU10が実行するルーチンの一例のフローチ
ャートである。図6に示すルーチンは前後各ブレーキ系
統について独立に実行される。なお、図6において、図
3に示すルーチンと同様の処理を行うステップについて
は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】図6に示すルーチンでは、ステップ204
においてABS制御中であると判別されると、次にステ
ップ350の処理が実行される。ステップ350では、
目標減速度G0 が演算される。上記の如く、目標減速度
0 はマスタシリンダ圧PM/ C に比例したホイルシリン
ダ圧PW/C が発生し、かつ、車輪にスリップが生じてい
ないと仮定した場合に車両に発生する減速度Gであり、
マスタシリンダ圧PM/ C にほぼ比例する。そこで、ステ
ップ350では、その比例定数をKG として、G0 =K
G ・PM/C により目標減速度G0 を演算する。ステップ
350の処理が終了するとステップ352へ進む。
【0080】ステップ352では、車両に生じている減
速度Gが目標減速度G0 に所定値αを加えた値に比して
小さいか否かが判別される。なお、減速度Gは、例えば
車両に搭載された減速度センサの出力信号に基づいて検
出される。また、所定値αは、例えば、BA制御の実行
により期待される減速度αの上昇量に相当する値であ
る。従って、ステップ352において、G<G0 +αが
成立するならば、BA制御による有効な制御効果は得ら
れていないと判断されて、次にステップ214において
マスタカットソレノイドが開弁された後、今回のルーチ
ンは終了される。一方、ステップ352において、G<
0 +αが不成立ならば、ステップ206においてBA
状態を継続する処理が実行された後、今回のルーチンは
終了される。
【0081】なお、上記第4実施例では、減速度Gが、
目標減速度G0 より所定値αだけ大きな値に満たない場
合にBA制御による制御効果が小さいと判断するものと
したが、これに限らず、減速度Gが、目標減速度G0
りも所定値だけ小さな値に満たない場合にBA制御によ
る制御効果が小さいと判断し、マスタカットソレノイド
を開弁することとしてもよい。
【0082】また、上記第4実施例では、G<G0 +α
が成立した時点でマスタカットソレノイドを開弁するも
のとしたが、誤判別を防止するため、G<G0 +αが成
立した状態が所定期間継続した場合に、マスタカットソ
レノイドを開弁することとしてもよい。なお、上記第1
〜第4実施例においては、SMFR42、SMFR4
4、及びSMR46が請求項に記載した遮断弁に、フロ
ントポンプ110及びリアポンプ112が請求項に記載
した高圧発生機構に、ブレーキアシスト制御(BA制
御)が請求項に記載した制動補助制御に、車両の減速度
Gが請求項に記載した制動効果量に、目標減速度G0
請求項に記載した目標制動効果両に、それぞれ相当し、
また、ECU10が図3〜図6に示すルーチンのステッ
プ202,208、212、ステップ254,256,
252、ステップ300,302、又はステップ35
0,352の処理を実行することにより請求項に記載し
た制御効果判断手段が、ECU10がステップ214の
処理を実行することにより請求項に記載した遮断弁導通
手段が、それぞれ実現されている。
【0083】ところで、上述の如く、上記第1〜第4実
施例のシステムは、VSC機能を有している。一般に、
VSC制御においては、ホイルシリンダ圧PW/C を、B
A制御の場合と比較して高圧まで増圧することが要求さ
れる。また、VSC制御はブレーキ操作が行われていな
い状況、すなわち、マスタシリンダ圧PM/C が昇圧され
ていない状況で実行されることが多い。これらの理由に
より、マスタカットソレノイドSMFR42,SMFL
44,SMR46が備えるリリーフ弁54、56,58
の開弁圧は、VSC機能を備えないシステムの場合より
も高く設定することが必要となる。リリーフ弁54.5
6.58の開弁圧が高く設定されると、それに応じて、
BA制御時における液圧回路48,50,52の液圧が
高圧となる。このため、マスタカットソレノイドSMF
R42,SMFL44,SMR46を閉弁した状態でA
BS制御を実行することに伴う制御性の低下等の不都合
は大きくなる。この意味で、本発明は、本実施例の如く
VSC機能のような、非制動時にもホイルシリンダ圧を
高める制御を有するシステムにおいて特に優れた効果を
奏するものであるといえる。
【0084】また、上記第1〜第4実施例では、本発明
が、マスタシリンダからホイルシリンダへ至る経路の外
部(すなわち、リザーバタンク24)からブレーキフル
ードをホイルシリンダへ供給することによりBA制御を
実現するシステム(アウトライン式ブレーキ制御装置)
に適用された場合について説明した。しかしながら、本
発明は、アウトライン式ブレーキ制御装置に限らず、マ
スタシリンダからホイルシリンダへ至る通路内からブレ
ーキフルードをホイルシリンダへ供給するシステム(イ
ンライン式ブレーキ制御装置)にも有効に適用すること
ができる。
【0085】図7はインライン式ブレーキ制御装置の一
例であるシステムの構成図である。図7には、前輪側の
系統に対応するシステム構成のみを示している。なお、
図7において図1に示すシステムと同様の機能を有する
構成部分については同一の符号を付してその説明を省略
する。図7に示すシステムは、マスタシリンダ18に連
通する主液圧通路400を備えている。主液圧通路40
0にはマスタシリンダ圧PM/C を検出する液圧センサ4
01が配設されている。主液圧通路400には電磁制御
弁402が連通している。電磁制御弁402には、液圧
通路404及び吸入通路406が連通している。電磁制
御弁402は、オフ状態とされた場合に主液圧通路40
0と液圧通路404とを導通させると共に吸入通路40
6を遮断し、オン状態とされた場合に主液圧通路400
と吸入通路406とを導通させると共に液圧通路404
を遮断する2位置3方の電磁弁である。電磁制御弁40
2は図1に示すシステムにおけるマスタカットソレノイ
ドに相当している。
【0086】主液圧通路400と液圧通路404との間
には、電磁制御弁402と並列に、主液圧通路400か
ら液圧通路404側へのフルードの流れを許容する逆止
弁408、及び、液圧通路404側が主液圧通路400
側に比して所定の開弁圧だけ高圧となった場合に開弁す
るリリーフ弁410が配設されている。液圧通路404
には、各輪に対応する保持ソレノイドS**H66,6
8及び減圧ソレノイドS**R74,76が連通してい
る。図7に示すシステムにおいても、上記図1に示すシ
ステムと同様に、車輪のスリップ率に基づいてS**H
66,68及びS**R74,76を適宜開閉すること
によりABS制御が実現される。
【0087】図7に示すシステムは、また、補助リザー
バ412を備えている。補助リザーバ412には上記し
た吸入通路406、及びS**R74,76が連通して
いる。補助リザーバ412は、その内部に収容されるブ
レーキフルード量が所定量に達するまでは吸入通路40
6からのブレーキフルードの流入を許容し、収容される
ブレーキフルード量が所定値を越えるとブレーキフルー
ドの流入を禁止するように構成されている。補助リザー
バ412には、また、ポンプ414の吸入側が連通して
いる。ポンプ414の吐出側は、液圧通路404に連通
している。
【0088】図7に示すシステムにおいて、通常時は、
全ての電磁弁はオフ状態とされる。この場合、マスタシ
リンダ18とホイルシリンダ82,84とが導通状態と
なることで、ホイルシリンダ圧PW/C はマスタシリンダ
圧PM/C と等圧に制御される。一方、緊急ブレーキ操作
が行われると、電磁制御弁402がオン状態とされると
共に、ポンプ414がオン状態とされる。この場合、液
圧通路404と主液圧通路400とが遮断されると共
に、主液圧通路400が吸入通路406を介して補助リ
ザーバ412と連通する。このため、主液圧通路400
から吸入通路406を経て補助リザーバ412へ流入し
たブレーキフルードがポンプ414によって液圧通路4
04へ圧送されることで、液圧通路404の液圧は、マ
スタシリンダ圧PM/C にリリーフ弁410の開弁圧を加
えた圧力を上限として上昇する。そして、この液圧がホ
イルシリンダ82,84へ供給されることでBA制御が
実現される。かかる状態でABS制御が実行された場合
に、液圧通路404内が高圧となった状態でS**H6
6,68が開閉されることに起因して制御性低下等の不
都合が生ずることは、図1に示すシステムの場合と同様
である。
【0089】そこで、図7に示すシステムにおいても、
上記実施例の場合と同様に、BA制御による制御効果が
小さいと判断された場合には、電磁制御弁402をオフ
状態とし、主液圧通路400と液圧通路404とを導通
状態とすることで、液圧通路404の液圧を低下させ、
ABS制御の制御性の低下等の不都合を最小限に抑制す
ることができるのである。
【0090】
【発明の効果】上述の如く、請求項1に記載の発明によ
れば、制動補助制御による制御効果が小さい場合に遮断
弁を開弁することにより、制動補助制御による制御性に
影響を与えない範囲で、アンチロックブレーキ制御の制
御性の低下等の不都合を防止することができる。
【0091】また、請求項2乃至6に記載の発明によれ
ば、制動補助制御による制御効果を適切に判断すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ制御装置のシ
ステム構成図である。
【図2】本実施例のブレーキ制御装置のBA状態を表す
図である。
【図3】本実施例においてECU10が実行するルーチ
ンの一例のフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例においてECU10が実行
するルーチンの一例のフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施例においてECU10が実行
するルーチンの一例のフローチャートである。
【図6】本発明の第4実施例においてECU10が実行
するルーチンの一例のフローチャートである。
【図7】インライン式ブレーキ制御装置の一例を示すシ
ステム構成図である。
【符号の説明】
10 ECU 18 マスタシリンダ 82〜88 ホイルシリンダ 42 右前マスタカットソレノイド(SMFR) 44 左前マスタカットソレノイド(SMFL) 46 リアマスタカットソレノイド(SMR) 54,56,58 リリーフ弁 110 フロントポンプ 112 リアポンプ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダとホイルシリンダとの間
    を遮断状態とし得る遮断弁と、前記遮断弁より下流側に
    連通し、マスタシリンダ圧より高い液圧を発生する高圧
    発生機構とを備え、前記遮断弁を遮断状態とし、前記高
    圧発生機構が発生する液圧をホイルシリンダ圧へ供給す
    る制動補助制御と、ホイルシリンダ圧を車輪に過剰なス
    リップ率が生じない圧力に制御するアンチロックブレー
    キ制御とを実行するブレーキ制御装置において、 前記制動補助制御による制御効果を判断する制御効果判
    断手段と、 前記制御効果が小さい場合に前記遮断弁を導通状態とす
    る遮断弁導通手段とを備えることを特徴とするブレーキ
    制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキ制御装置におい
    て、 前記制御効果判断手段は、ブレーキ操作に基づいて期待
    される目標制動効果量と実際に得られた制動効果量との
    比較に基づいて前記制御効果を判断することを特徴とす
    るブレーキ制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のブレーキ制御装置におい
    て、 前記制御効果判断手段は、前記制動補助制御の開始後、
    所定期間内に前記アンチロックブレーキ制御が開始され
    た場合に、前記制御効果が小さいと判断することを特徴
    とするブレーキ制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のブレーキ制御装置におい
    て、 前記制御効果判断手段は、車両が低μ路を走行中である
    場合に前記制御効果が小さいと判断することを特徴とす
    るブレーキ制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のブレーキ制御装置におい
    て、 前記制御効果判断手段は、前記制動補助制御の実行中に
    実行される前記アンチロックブレーキ制御におけるホイ
    ルシリンダ圧の減圧時間が所定値以上となった場合に、
    前記制御効果が小さいと判断することを特徴とするブレ
    ーキ制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のブレーキ制御装置におい
    て、 前記遮断弁をバイパスし、ホイルシリンダ側からマスタ
    シリンダ側へのブレーキフルードの流れを許容するリリ
    ーフ弁を備えると共に、 前記制御効果判断手段は、前記リリーフ弁を経てマスタ
    シリンダへ戻ったブレーキフルード量が所定値以上とな
    った場合に、前記制御効果が小さいと判別することを特
    徴とするブレーキ制御装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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