JP4258922B2 - 車両の制動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動装置、特に緊急時にブレーキ力を助勢するブレーキ力助勢手段が備えられた車両の制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ力を助勢することにより、緊急時に所要のブレーキ力が確実に得られるようにするブレーキアシストシステムを搭載した車両が知られている(例えば特開平8−34326号公報参照)。このものでは、運転者によるブレーキ及びステアリングの操作状態に基づいて緊急度を判定し、緊急度大と判定されたときには、ブレーキカが最大となるフルブレーキ状態にブレーキを作動させるようにしている。そして、緊急度判定のためのブレーキの操作状態としては、ブレーキペダルの踏み込み量と踏み込み速度の少なくとも一方を検出し、この踏み込み量、または踏み込み速度が所定値より大きいときに緊急度大と判定するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようにブレーキペダルの踏み込み強さ(踏み込み量)や踏み込み速度によって緊急度を判定する方法では、障害物の回避等のための緊急時のブレーキ操作と、急な登坂降坂の繰り返しや連続したカーブ路を走行するいわゆるワインディング走行等のスポーツ走行時における強くて、素早いブレーキ操作とを確実に判別できないという問題がある。
【0004】
つまり、単にブレーキペダルの踏み込み開始時から所定時間内におけるブレーキペダルの踏み込み速度等を検出するだけでは、スポーツ走行中のブレーキ操作を緊急時のブレーキ操作と誤判定して、不必要にブレーキアシストを行う場合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、緊急時におけるブレーキアシストの開始の判定の精度を向上させることにより、不要なブレーキアシストを回遊すると共に、必要時にはブレーキアシストを確実に行うことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の点に着目して完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、図9に示すように、ブレーキペダルの踏み込み量に対するブレーキ力、つまり倍力装置におけるブースト率は、踏み込み開始直後の立ち上がりの後に、この倍力装置の応答遅れが生じることによって、一旦下がってその上昇が停滞するようになる。そして、この応答遅れ後に、再び上昇が開始されて本格的な立ち上がりが生じるようになる。ここで、緊急時のブレーキ操作とスポーツ走行時のブレーキ操作とでは、上記ブースト率が増加傾向から減少傾向に転じる減少側変曲点が生じてから、上記ブースト率が減少傾向から増加傾向に転じる増加側変曲点が生じるまでの時間が明らかに異なっている。
【0008】
そこで、第1の発明は、上記ブースト率がマスタシリンダ圧と等価であることから、このマスタシリンダ圧の減少側変曲点が発生してから増加側変曲点が発生するまでの時間に着目して、そのブレーキ操作が緊急時のものかスポーツ走行時のものかを判別する。具体的には、請求項1記載の如く、ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度を検出するペダル操作検出手段と、上記ブレーキペダルの踏み込み操作によって発生するマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、上記マスタシリンダ圧の上昇に伴い発生するブレーキ力を助勢するブレーキ力助勢手段と、上記ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度の少なくとも一方が所定値以上であるかの条件と、上記ブレーキペダルの踏み込み操作後、上記マスタシリンダ圧が増加から減少に転じる最初の減少側変曲点が発生してから、上記マスタシリンダ圧が減少から増加に転じる最初の増加側変曲点が発生するまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件とが成立するか否かの判定を行い、上記2つの条件の双方が成立する場合に、上記ブレーキ力助勢手段を作動させる制御手段とを備えることを特定事項とするものである。ここで、「ペダル操作検出手段」は、例えばマスタシリンダ圧の値及びその昇圧速度を用いることによってブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度を検出するように構成してもよいし、ブレーキペダルのストロークを直接検出して、その踏み込み量及び踏み込み速度を検出するように構成してもよい。
【0009】
この場合、ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度のいずれか一方が所定値以上であるかを判定することによって、強くて素早いブレーキ操作が検出され、緊急時のブレーキ操作であるか否かの予備判定が行われる。
【0010】
そして、マスタシリンダ圧の減少側変曲点が生じてから、増加側変曲点が生じるまでの時間に基づき、ブレーキ力の助勢を行うか否かを決定するため、緊急時とスポーツ走行時とブレーキ操作の区別が適正に行われ、緊急時におけるブレーキ操作が正確にかつ速やかに判定される。そして、緊急時以外の場合における不要なブレーキ力の助勢を回避しながら、しかも、緊急時にはブレーキ力の助勢が確実かつ迅速に行われる。
【0011】
上記ブレーキ力助勢手段としては、マスタシリンダとは別に、ブレーキ液圧を昇圧させる昇圧ポンプを備えるようにし、ブレーキ力の助勢を行う場合は、制御手段がこの昇圧ポンプを作動させることによってブレーキ液をブレーキ装置に供給するようにすればよい。この場合、上記昇圧ポンプを始動させてからブレーキ液圧を上昇させるまでには時間を要することから、例えば請求項2記載の如く構成すれば、迅速なブレーキ力の助勢が可能となる。
【0012】
具体的には、ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度の少なくとも一方が所定値以上であるかの条件が成立する場合は、ブレーキ力の助勢を行う前に、ブレーキ液を昇圧させる昇圧ポンプの作動を開始させるようにしてもよい。つまり、ブレーキペダルの踏み込み操作が強くて素早いとの予備判定を行い、この条件が成立する場合には昇圧ポンプを始動させる。そして、上記マスタシリンダ圧の減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件が成立する場合には、上記昇圧ポンプからブレーキ装置にブレーキ液を供給して、ブレーキ力の助勢を行う。一方、上記減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件が成立しない場合には、上記昇圧ポンプからブレーキ装置へのブレーキ液の供給を禁止してブレーキ力の助勢は行わない。これにより、緊急時以外の場合における不要なブレーキ力の助勢を回避しながら、しかも、緊急時にはブレーキ力の助勢が確実かつより一層迅速に行われる。
【0013】
また、上記制御手段は、例えば請求項3記載の如く構成すれば、より一層正確に緊急時とスポーツ走行時とのブレーキ操作の判別を行い得る。すなわち、2つの条件が成立するか否かの判定をブレーキペダルの踏み込み操作後、第2所定時間内に行うようにしてもよい。つまり、ブレーキペダルを比較的ゆっくりと踏み込んだ後に、素早く踏み込むようなブレーキ操作をした場合は、緊急時ではないにも拘わらず、減少側変曲点から増加側変曲点までの時間が第1所定時間よりも短いとの条件が成立し、緊急時であるとの判定がなされるおそれがある。そこで、ブレーキペダルの踏み込み開始から第2所定時間内におけるマスタシリンダ圧に基づきブレーキ力の助勢を行うかの判定をすることによって、緊急時であるとの判定がより一層的確になされ、不必要なブレーキ力の助勢と運転者のブレーキ操作との干渉が回避される。
【0014】
さらに、上記制御手段としては、例えば請求項4記載の如く、減少側変曲点が発生してから増加側変曲点が発生するまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件が成立しても、マスタシリンダ圧の上昇する速度が昇圧ポンプがブレーキ液を昇圧させる速度の限界値よりも速い場合は、ブレーキ力助勢手段の作動を禁止するようにしてもよい。つまり、運転者がブレーキ操作をする方が、昇圧ポンプがブレーキアシストするよりも大きなブレーキ力をより素早く得られる場合には、ブレーキ力の助勢を行わずに運転者のブレーキ操作を優先させることによって、ブレーキ力の助勢と運転者のブレーキ操作との干渉が回避される。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における車両の制動装置によれば、マスタシリンダ圧の減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間に基づいてブレーキ力の助勢を行うか否かの判定を行うようにしたため、緊急時におけるブレーキ操作をそれ以外の例えばスポーツ走行中におけるブレーキ操作と確実にかつ応答性よく判別することができる。
【0016】
これにより、不必要にブレーキ力の助勢を行って運転者に違和感や不快感を与えることを防止することができると共に、緊急時には、迅速かつ確実にブレーキ力の助勢を行うことができ、ブレーキアシストシステムの信頼性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の制動装置を示し、この車両の制動装置は、運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル1と、このブレーキペダル1の踏み込み操作により倍力装置2を介してマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダ3と、各車輪4,4,…(1つのみ図示)にそれぞれ備えられたディスクロータ5a及びキャリパ5b等でなるブレーキ装置5と、上記マスタシリンダ圧がブレーキ系統6を介して供給されたときに上記ブレーキ装置5を作動させて上記車輪4にブレーキ力を付与するホイールシリンダ7とで構成されている。
【0019】
この制動装置には、アンチスキッドブレーキシステム(以下、ABSという)及びブレーキ力助勢手段としてのブレーキアシストシステム(以下、BASという)が組み込まれており、これらのシステムは、次の構成要素によって構成されている。すなわち、上記ブレーキ系統6のマスタシリンダ3側に配設されてこのブレーキ系統6を開通または遮断するカットバルブ21と、その下流側(ホイールシリンダ7側)に配置されて、ブレーキ系統6を開通または遮断する増圧バルブ22と、さらにその下流側から分岐されてオイルパン23に至る減圧ライン24上に配置されて、この減圧ライン24を開通または遮断する減圧バルブ25とが備えられている。
【0020】
また、上記ブレーキ系統6におけるカットバルブ21と増圧バルブ22との間に接続された増圧ライン26上に、モータ27によって駆動されてブレーキ液を昇圧すると共に、上記ブレーキ液を上記オイルパン23からブレーキ系統6に供給する昇圧ポンプ28が設置されている。そして、その吐出側には、上記増圧ライン26を開通または遮断する開閉バルブ29が設置されている。
【0021】
なお、上記マスタシリンタ3にはリザーバタンク30が備えられ、このリザーバタンク30からオイルパン23にかけてブレーキ液の回収管31が設けられている。
【0022】
そして、ABS及びBASの制御用の制御手段としてのコントローラ40が備えられ、このコントローラ40に、各車輪4,4,…の回転速度(車輪速)をそれぞれ検出する車輪速センサ41,41,…(1つのみ図示)からの信号と、ブレーキペダル1の踏み込みを検出するペダル操作検出手段の一つとしてのブレーキスイッチ42からの信号と、アクセルペダル(図示せず)の踏み込みを検出するアイドルスイッチ43からの信号が入力されるようになっており、また、後述するBASの作動開始判定制御用として、上記マスタシリンダ3で発生されるマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段としてのマスタシリンダ圧センサ44が備えられ、このセンサ44からの信号もコントローラ40に入力されるようになっている。なお、上記コントローラ4は、上記マスタシリンダ圧センサ44によって検出されたマスタシリンダ圧の値に基づきブレーキペダル1の踏み込み量及びその踏み込み速度を検出するようになっており、上記マスタシリンダ圧センサ44は、ペダル操作検出手段としても用いられるようになっている。
【0023】
そして、上記コントローラ40は、上記各バルブ21,22,25,29、及びモータ27の作動をそれぞれ制御するようになっている。
【0024】
ここで、ABSの動作を簡単に説明すると、上記コントローラ40は、制動時に各車輪速センサ41,41,…からの信号で車速に対して車輪速が不自然に低下した車輪4があることを検出したときに、その車輪4に対しては、液圧バルブ25を開いてホイールシリンダ7内のブレーキ液を減圧ライン24を介してドレンさせることによりブレーキ力を低下させ、これによりスキッド状態を解消、もしくは未然に回避する。それと共に、ブレーキ力の低下によりその車輪4の車輪速が上昇すれば、上記減圧バルブ25を閉じると同時に増圧バルブ22,開閉バルブ29を開いて昇圧ポンプ28から増圧ライン26を介して上記ホイールシリンダ7にブレーキ液を供給することによりブレーキ力を高める。これを車輪速に応じて繰り返すことにより、この車輪のスキッド状態を防止しながら所要のブレーキ力が得られるように制御する。
【0025】
なお、この実施の形態においては、上記のようなABS作動時にカットバルブ21を閉じることにより、ホイールシリンダ7側で生じる制動圧の脈動がブレーキペダル1に伝達して運転者に不快感を与えることを防止するようになっている。
【0026】
次に、緊急時のためのBASの動作を簡単に説明すると、上記コントローラ40は、マスタシリンダ圧センサ44等からの信号に基づいて、ブレーキ力の助勢を行うべきであると判断したときには、各車輪4,4,…について、開閉バルブ29及び増圧バルブ22を開き、かつカットバルブ21及び減圧バルブ25を閉じた状態にし、昇圧ポンプ28の駆動用モータ27を作動させる。これにより、オイルパン23から増圧ライン26及びブレーキ系統6を介して各車輪4,4,…のホイールシリンダ7,7,…にブレーキ液が一斉に供給され、緊急時に車両全体として所要の制動力が得られるようにする。
【0027】
なお、上記アイドルスイッチ43は、緊急時におけるブレーキ操作時に誤ってアクセルペダルも踏み込んだときに、ブレーキ力の助勢のためのブレーキ液圧を高める等の制御を行うためのものであり、これに代えてエンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサを用いることも可能である。
【0028】
次に、上記コントローラ40による昇圧ポンプ28の作動開始の判定制御について説明する。
【0029】
(その1)
図2は、「その1」における制御のフローチャートを示し、まず、ステップS11で、以下の制御で用いるマスタシリンダ圧の減少側変曲点検出用の減少カウンタCdecと、増加側変曲点検出用の増加カウンタCincとを0にクリアすると共に、ステップS12で、ブレーキペダル1の操作後の時刻を検出するタイマTをクリアする。
【0030】
そして、ステップS13で、ブレーキスイッチ42、アイドルスイッチ43及びマスタシリンダ圧センサ44からの信号を入力し、ステップS14で、上記マスタシリンダ圧センサ44によって検出される今回の制御サイクル時におけるマスタシリンダ圧Pの前回の制御サイクル時における値P′に対する差分dP(=P−P′)と、その差分dPを制御周期tで割ることにより得られるマスタシリンダ圧Pの上昇速度vPとを算出する。
【0031】
次に、ステップS15でブレーキスイッチ42がONか否か、すなわちブレーキペダル1が踏み込まれたか否かを判定し、踏み込まれていない場合には、ステップS16,S17に進み、上記減少カウンタCdec及び増加カウンタCinc、並びにタイマTをクリアすると共に、ステップS18で昇圧ポンプ28をOFFに保持する。そして、ステップS13にリターンする。
【0032】
一方、ブレーキペダル1が踏み込まれ、上記ブレーキスイッチ42がONになると、ステップS15からステップS19に進み、上記昇圧ポンプ28がOFFか否かを判定する。そして、ブレーキペダル1の踏み込み直後においてはこの昇圧ポンプ28はOFFの状態にあるから、ステップS110でタイマTのカウントを一つ上げて、ステップS111,S112で、上記増加カウンタCinc及び減少カウンタCdecの値が2であるか否かをそれぞれ判定する。
【0033】
これらのカウンタCinc、Cdecは、ブレーキペダル1の踏み込み直後は0にクリアされた状態にあるから、上記ステップS111,S112からステップS113に進み、今回の制御サイクル時に求めたマスタシリンダ圧Pの差分dPと前回の制御サイクル時に求めた差分dP′とを比較し、今回の差分dPが前回の差分dP′より小さいか否かを判定する。そして、NOの場合には、ステップS114で減少カウンタCdecを0に保持して、ステップS13にリターンする。
【0034】
一方、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときにはステップS115に進み、減少カウンタCdecに1を加えることによって、その値を1とする。
【0035】
そして、ステップS116〜ステップS118において、今回の制御サイクル時におけるマスタシリンダ圧Pの上昇速度vPをvP1、マスタシリンダ圧PをP1、及びタイマTをTdとして、それぞれの値を保存する。
【0036】
次の制御サイクルにおいても、そのサイクルで求めた差分dPが前回の差分dP′より小さくなっているときは、上記ステップS115で再び減少カウンタCdecに1を加え、その値を2とする。
【0037】
このようにして2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときに、マスタシリンダ圧Pが増加傾向から減少傾向に移行し、このマスタシリンダ圧Pの減少側変曲点が発生したものと判断する。
【0038】
この場合に、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より一旦小さくなっても、次の制御サイクルで求めた差分dPがその前の差分dP′以上となったときには、ステップS113からステップS114に進み、減少カウンタCdecがクリアされる。このため、さらに次のサイクルで求めた差分dPがその前の差分dP′より再び小さくなっても、減少側変曲点が発生したとは判断しない。このように、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より小さくなったときに初めて減少側変曲点が発生したものと判断する。これは、検出データの外乱等によるばらつきを排除し、変曲点を正確に検出するためである。
【0039】
上記のようにして、減少カウンタCdecが2になり、減少側変曲点が発生したものと判断すれば、次は上記ステップS112からステップS119に進む。
【0040】
上記ステップS119は、上記ステップS116において保存したマスタシリンダ圧Pの上昇速度vP1が所定の上昇速度vP0より大きいか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS120に進む一方、NOであればステップS13にリターンする。
【0041】
ステップS120では、上記ステップS117において保存したマスタシリンダ圧P1が所定の圧力P0より大きいか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS121に進む一方、NOであればステップS13にリターンする。
【0042】
上記ステップS119及びステップS120は、ブレーキペダル1の踏み込み量及びその踏み込み速度の双方が所定値以上であるかを判定するようにしており、これによって、強くて素早いブレーキ操作が検出されることになる。つまり、緊急時のブレーキ操作に関する予備判定が行われる。
【0043】
上記ステップS121では、今回の制御サイクルで求めたマスタシリンダ圧Pの差分dPが前回の制御サイクル時に求めた差分dP′より大きいか否かを判定する。そして、大きくない場合には、ステップS122で、増加カウンタCincを0に保持する。
【0044】
一方、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときには、ステップS123で増加カウンタCincに1を加えることにより、その値を1とする。そして、ステップS124でタイマTをTiとして、その値を保存する。
【0045】
次の制御サイクルにおいても、そのサイクルで求めた差分dPが前回の差分dP′より大きくなっているときは、上記ステップS123で再び増加カウンタCincに1を加えることにより、その値を2とする。
【0046】
このようにして、減少カウンタCdecの場合と同様に、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときに、マスタシリンダ圧Pが減少傾向から増加傾向に移行し、このマスタシリンダ圧Pの増加側変曲点が発生したものと判断する。その場合に、2回連続して今回の差分dPが前回の差分dP′より大きくなったときに初めて増加側変曲点が発生したものと判断するのは、減少側変曲点の場合と同様である。
【0047】
以上のようにして、減少カウンタCdec及び増加カウンタCincの値がいずれも2となり、マスタシリンダ圧Pがブレーキペダル1の踏み込み直後に立ち上がった後、減少側変曲点及び増加側変曲点を経由し、倍力装置2の倍カ動作開始に伴ってこのマスタシリンダ圧Pが本格的に上昇を開始すれば、ステップS111からステップS125に進み、上記減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間(Ti−Td)が所定の時間T1(第1所定時間T1)よりも短いか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS126で昇圧ポンプ28をONにする。
【0048】
これにより、昇圧ポンプ28が作動することになるが、いずれの車輪4についても増圧バルブ22は開、減圧バルブ25は閉の状態にあり、さらに、カットバルブ21が閉、開閉バルブ29が開とされるから、上記昇圧ポンプ28の作動により発生したブレーキ液が各車輪4,4,…のホイールシリンダ7,7,…に供給されることになり、各車輪4,4,…に上記昇圧ポンプ28の作動に基づくブレーキ力が付与されることになる。
【0049】
その場合に、昇圧ポンプ28を作動させるか否かを、減少側変曲点に至るまでのマスタシリンダ圧P、及びその上昇速度vPが所定値以上であるかの予備判定を行い、さらに、減少側変曲点と増加側変曲点との時間に基づき判定するようにしたため、上記昇圧ポンプ28をスポーツ走行中におけるブレーキ操作時に不必要に作動させることなく、緊急時のブレーキ操作時にのみ作動させることが可能となる。
【0050】
つまり、図9に示すように、減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間は、緊急時のブレーキ操作とスポーツ走行中のブレーキ操作とでは明らかに異なった特性を示すため、このブレーキ操作が緊急時のものかスポーツ走行中のものかを正しく判別することができる。その結果、スポーツ走行中に不要なブレーキアシストを行うことなく、しかも、緊急時には確実かつ迅速にブレーキアシストを実行することができるようになる。
【0051】
以上のようにして、昇圧ポンプ28がONになってブレーキアシストが開始されれば、その後は、図2のフローチャートのステップS19からステップS127に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)より低下したか否かを判定する。そして、ブレーキペダル1の路み込み力の減少等に伴い、マスタシリンダ圧Pが上記圧力(P0−p)より低下した時点で、ステップS128を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0052】
このとき、終了の条件としての所定圧P0より所定値pだけ低く設定したことにより、マスタシリンダ圧Pがこの所定圧P0の近辺で変動する場合の制御のハンチングが防止される。
【0053】
なお、ステップS19以降の各ステップで示される昇圧ポンプ28の作動開始判定中及びその作動中であっても、ブレーキペダル1が戻されてブレーキスイッチ42がOFFになれば、ステップS15からステップS16、S17に進み、その時点で減少カウンタCdec及び増加カウンタCinc、並びにタイマTがクリアされて次のブレーキ操作時に備えられる。それと共に、ステップS18で昇圧ポンプ28がOFFとなってブレーキアシストの制御が終了する。
【0054】
(その2)
図3は、「その2」に係るフローチャートを示している。同図において、ステップS21〜ステップS219、及びステップS221〜ステップS228は、それぞれ図2に示すフローチャートのステップS11〜ステップS119、及びステップS121〜ステップS128と同一であるため、その説明は省略する。
【0055】
そして、「その2」は、「その1」とは異なり、ブレーキペダル1の踏み込み量及びその踏み込み速度のいずれか一方が所定値以上であるかを判定する予備判定が行われる。
【0056】
すなわち、ステップS219で、マスタシリンダ圧Pの上昇速度vP1が所定値vP0よりも大きい場合は、ステップS221に進み、増加側変曲点の検出を行う。一方、上記上昇速度vP1が所定値vP0より小さい場合でも、ステップS220においてマスタシリンダ圧P1が所定圧P0よりも大きいときは、ステップS221に進み、増加側変曲点の検出を行うようにしている。
【0057】
そして、この場合、昇圧ポンプ28を作動させるか否かを、減少側変曲点に至るまでのマスタシリンダ圧P、またはその上昇速度vPが所定値以上であるかの予備判定を行い、さらに、減少側変曲点と増加側変曲点との時間に基づき判定するようにしたため、上記昇圧ポンプ28をスポーツ走行中におけるブレーキ操作時に不必要に作動させることなく、緊急時のブレーキ操作時にのみ作動させることができるようになる。
【0058】
<第2実施形態>
図4は本発明の第2実施形態に係るフローチャートを示している。このものでは、ブレーキ操作が強くて素早いか否かを判定する予備判定の結果に応じて、ブレーキアシストの前に、昇圧ポンプ28駆動用のモータ27を予め始動させるようにしている。
【0059】
同図において、ステップS31〜ステップS320は、図2に示すフローチャートのステップS11〜ステップS120と同一であるため、その説明は省略する。
【0060】
そして、この制御フローチャートでは、ステップS319及びステップS320において、減少側変曲点近傍のマスタシリンダ圧の上昇速度vP1、及びマスタシリンダ圧P1が所定値vP0,P0以上であるとの条件が成立すれば、ステップS321で、昇圧ポンプ28を駆動するモータ27の回転を開始する。上記いずれかの条件が該当しない場合は、ステップS326に進み、昇圧ポンプ28をOFFに保持する。
【0061】
そして、ステップS322〜ステップS325において、増加側変曲点を検出するようにし、増加側変曲点が生じた場合には、ステップS311からステップS327に進む。
【0062】
上記ステップS327では、上記減少側変曲点が発生してから増加側変曲点が発生するまでの時間(Ti−Td)が第1所定時間T1よりも短いか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS328でカットバルブ21を閉にする一方、開閉バルブ29を開にする。
【0063】
これにより、ブレーキ液が昇圧ポンプ28から各車輪4,4,…のホイールシリンダ7,7,…に供給されることになり、各車輪4,4,…に昇圧ポンプ28の作動に基づくブレーキ力が付与されることになる。
【0064】
この場合、予備判定の結果に応じて、昇圧ポンプ28(モータ27)を予め作動させることによって、ブレーキアシストの前に、時間を要する昇圧ポンプ28の始動からブレーキ液圧の上昇開始までを予め準備しておくことができるようになる。その結果、緊急時には、昇圧ポンプ28からより迅速にブレーキ液が供給されることになり、ブレーキアシストを確実かつより一層迅速に行うことができるようになる。
【0065】
そして、ブレーキアシストが開始されれば、その後は、ステップS39からステップS329に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)より低下したか否かを判定し、YESの場合はステップS330を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0066】
なお、ステップS39においては、モータ27が作動したのみでは昇圧ポンプ28はOFFであるとし、上記モータ27が回転し、かつ開閉バルブ29は開になって、昇圧ポンプ28がONになったと判定するようにしている。
【0067】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係るフローチャートを示している。このものでは、昇圧ポンプ28の作動開始の判定をブレーキペダル1の踏み込み操作開始後、第2所定時間T2内に行うようにしており、上記第2所定時間T2以降に昇圧ポンプ28の作動開始条件が満たされた場合でも、ブレーキアシストを行わないようにしている。
【0068】
同図において、ステップS41〜ステップS415までは、図2に示すフローチャートのステップS11〜ステップS115と同一であるため、その説明は省略する。
【0069】
この制御フローチャートでは、ステップS413〜ステップS416によって減少側変曲点を検出し、その発生時刻Tdを保存する一方、ステップS417〜ステップS420によって増加側変曲点を検出し、その発生時刻Tiを保存する。
【0070】
そして、減少側変曲点及び増加側変曲点が発生すれば、ステップS411からステップS421に進み、タイマTの値が第2所定時間T2よりも小さいか否かを判定する。YESであればステップS422に進み、上記減少側変曲点が生じてから増加側変曲点が生じるまでの時間(Ti−Td)が第1所定時間T1よりも短いか否かを判定する。YESの場合はステップS423に進み、昇圧ポンプ28をONにして、ブレーキアシストを開始する。
【0071】
一方、上記ステップS421において、NOの場合はステップS13にリターンし、ブレーキアシストを行わない。
【0072】
このようにブレーキペダル1の踏み込み操作後、第2所定時間T2を経過するような場合は、緊急時ではないと考えられる。例えば、ブレーキペダルを比較的ゆっくりと踏み込んだ後に、素早く踏み込むようなブレーキ操作をした場合等が該当する。このような場合に、ブレーキアシストを行わないようにすることで不必要なブレーキアシストと、運転者によるブレーキペダル1の操作とが互いに干渉することを回避できるようになる。
【0073】
そして、上記ブレーキアシストが開始されれば、ステップS49からステップS424に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)より低下したか否かを判定し、YESの場合はステップS425を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0074】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係るフローチャートを示しており、このものでは、運転者のブレーキペダル1操作によってマスタシリンダ圧の上昇速度の方が、昇圧ポンプ28がブレーキ液圧を上昇させる速度よりも大きい場合は、ブレーキアシストを行わないようにしている。
【0075】
同図において、ステップS51〜ステップS520は、図5に示すフローチャートのステップS41〜ステップS420と同一であるため、その説明は省略する。
【0076】
そして、この制御フローチャートにおいては、減少側変曲点と増加側変曲点とが発生すれば、ステップS521で減少側変曲点と増加側変曲点との間の時間(Ti−Td)が第1所定時間T1よりも短いか否かを判定する。そして、YESの場合は、ステップS522で運転者のブレーキペダル1の操作によるブレーキ液圧の上昇速度、つまりマスタシリンダ圧Pの上昇速度vPが昇圧ポンプ28によるブレーキ液圧の昇圧速度vP0よりも小さいか否かを判定する。なお、このvP0は、昇圧ポンプ28の性能に応じて設定される値である。そして、YESであれば、昇圧ポンプ28を作動させることによってブレーキアシストを行った方がより確実かつ迅速に必要なブレーキ力が得られるため、ステップS523で昇圧ポンプ28をONにし、ブレーキアシストを開始する。一方、NOであれば、運転者のブレーキ操作の方が、昇圧ポンプ28によってブレーキアシストをするよりも大きなブレーキ力をより素早く得られるため、ステップS13にリターンする。このように、ブレーキアシストを行わずに運転者のブレーキ操作を優先させることによって、ブレーキアシストと、運転者のブレーキ操作との干渉を回避することができるようになる。
【0077】
そして、ブレーキアシストを行った場合には、ステップS59からステップS524に進み、マスタシリンダ圧Pの上昇速度vPの方が、昇圧ポンプ28によるブレーキ液の上昇速度vP0よりも大きくなれば、ステップS525でポンプをOFFにし、ブレーキアシストを終了する。また、上記上昇速度vPの方が昇圧ポンプ28の上昇速度vP0よりも小さくても、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)に低下した時点で、ステップS527を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0078】
<第1参考形態>
図7は第1参考形態に係るフローチャートを示しており、このものは、増加側変曲点近傍のマスタシリンダ圧Pが所定値以上である場合にブレーキアシストを開始するようにしている。
【0079】
この制御フローチャートでは、まず、ステップS61で、減少カウンタCdecと、カウンタCincとを0にクリアすると共に、ステップS62で、図1に示すブレーキスイッチ42、アイドルスイッチ43及びマスタシリンダ圧センサ44からの信号を入力する。
【0080】
そして、ステップS63でマスタシリンダ圧Pの差分dP(=P−P′)と、マスタシリンダ圧Pの上昇速度vPとを算出する。
【0081】
次に、ステップS64でブレーキスイッチ42がONか否かを判定し、踏み込まれていない場合には、ステップS65で、上記減少カウンタCdec及び増加カウンタCincをクリアすると共に、ステップS66で昇圧ポンプ28をOFFに保持する。
【0082】
一方、ブレーキペダル1が踏み込まれ、上記ブレーキスイッチ42がONになると、ステップS64からステップS67を実行し、上記昇圧ポンプ28がOFFか否かを判定する。昇圧ポンプ28がOFFの場合は、ステップS68,S69で上記増加カウンタCinc及び減少カウンタCdecの値が2であるか否かをそれぞれ判定する。
【0083】
ブレーキペダル1の踏み込み直後は、上記Cinc及びCdecが共に0であるため、上記ステップS68,S69からステップS610に進み、このステップS610〜ステップS612によって、減少側変曲点を検出する。
【0084】
そして、減少側変曲点が発生したものと判断すれば、次は上記ステップS69からステップS613に進み、このステップS613〜ステップS616によって増加側変曲点を検出する。このとき、上記ステップS613において、マスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′より大きい場合には、ステップS615でマスタシリンダ圧Pの値をP1に保存する。
【0085】
以上のようにして、減少カウンタCdec及び増加カウンタCincの値がいずれも2となり、減少側変曲点及び増加側変曲点を経由し、倍力装置2の倍カ動作開始に伴ってこのマスタシリンダ圧Pが本格的に上昇を開始すれば、次にステップS68からステップS617に進み、上記増加側変曲点での圧力P1が所定の圧力P2よりも大きいか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS618で昇圧ポンプ28をONにする。NOであればステップS13にリターンする。
【0086】
以上のようにして、昇圧ポンプ28がONになってブレーキアシストが開始されれば、その後は、ステップS67からステップS619に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)より低下した時点で、ステップS620を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0087】
本参考形態では、図9に示すように、緊急時とスポーツ走行時とでは明らかに異なる値となる増加側変曲点のマスタシリンダ圧Pに基づき、ブレーキアシストを行うか否かを判定することによって、緊急時とスポーツ走行時との区別を適正に行うことができ、緊急時におけるブレーキ操作を正確にかつ速やかに判定することができるようになる。そして、緊急時以外の場合における不要なブレーキ力の助勢を回避しながら、しかも、緊急時にはブレーキ力の助勢を確実かつ迅速に行うことができるようになる。
【0088】
<第2参考形態>
図8は第2参考形態に係るフローチャートを示しており、このものは、ブレーキペダル1の踏み込み操作後、上記マスタシリンダ圧Pの最初の減少側変曲点の生じてから、上記マスタシリンダ圧が上記減少側変曲点での圧力になるまでの時間が所定時間(第3所定時間T3)よりも短い場合にブレーキアシストを開始するようにしている。
【0089】
同図において、ステップS71〜ステップS715までは、図2に示すフローチャートにおけるステップS11〜ステップS115と同一であるため、その説明は省略する。
【0090】
そして、この制御フローチャートでは、ステップS713〜ステップS717において減少側変曲点を検出するが、上記ステップS713でマスタシリンダ圧Pの今回の差分dPが前回の差分dP′よりも小さい場合には、ステップS716で減少カウンタCdecに1を加え、ステップS717及びステップS718で、マスタシリンダ圧PをP1、及びタイマTをTdとして、それぞれの値を保存する。
【0091】
そして、減少カウンタCdecが2になり、減少側変曲点が発生したものと判断すれば、次は上記ステップS712からステップS718に進み、このステップS718〜ステップS720によって増加側変曲点を検出する。
【0092】
そして、減少カウンタCdec及び増加カウンタCincの値がいずれも2となれば、ステップS711からステップS721に進み、マスタシリンダ圧Pが減少側変曲点でのマスタシリンダ圧P1以上であるか否かを判定する。NOであればステップS13にリターンする一方、YESであれば、ステップS722で上記減少側変曲点が生じてから現在までの時間(T−Td)が第3所定時間T3よりも短いか否かを判定する。YESであればステップS723で昇圧ポンプ28をONにする。これによって、ブレーキアシストが開始される。
【0093】
この場合、図9に示すように、減少側変曲点以降、特に増加側変曲点以降のマスタシリンダ圧Pの上昇速度が、緊急時とスポーツ走行時とでは明らかに異なる傾向を示している。そこで、上記減少側変曲点以降、マスタシリンダ圧Pが減少側変曲点での圧力になるまでの時間(同図の一点鎖線参照)が、第3所定時間T3よりも短いことを条件にブレーキアシストを開始するか否かを判定することによって、緊急時とスポーツ走行時との区別を適正に行うことができるようになる。そして、緊急時以外の場合における不要なブレーキ力の助勢を回避しながら、しかも、緊急時にはブレーキ力の助勢を確実かつ迅速に行うことができるようになる。
【0094】
そして、ブレーキアシストが開始されれば、その後は、ステップS79からステップS724に進み、マスタシリンダ圧Pが所定圧P0より所定値pだけ低い圧力(P0−p)より低下したか否かを判定し、YESの場合はステップS725を実行して昇圧ポンプ28をOFFにし、ブレーキアシストを終了する。
【0095】
なお、上記ステップS721においては、マスタシリンダ圧Pが減少側変曲点でのマスタシリンダ圧P1にほぼ等しいか否かを判定するようにしてもよい。
【0096】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ブレーキペダルの操作量をマスタシリンダ圧を用いることによって検出しているが、これに限らず、例えばブレーキペダルのストローク量をポテンショメータ等を用いて直接検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の制動装置を示す説明図である。
【図2】 第1実施形態(その1)に係るフローチャートである。
【図3】 第1実施形態(その2)に係るフローチャートである。
【図4】 第2実施形態に係るフローチャートである。
【図5】 第3実施形態に係るフローチャートである。
【図6】 第4実施形態に係るフローチャートである。
【図7】 第1参考形態に係るフローチャートである。
【図8】 第2参考形態に係るフローチャートである。
【図9】 緊急時とスポーツ走行時とにおけるブレーキ操作に対するブースト率の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル
3 マスタシリンダ
21 カットバルブ(ブレーキ力助勢手段)
22 増圧バルブ(ブレーキ力助勢手段)
25 減圧バルブ(ブレーキ力助勢手段)
27 昇圧ポンプ駆動用モータ(ブレーキ力助勢手段)
28 昇圧ポンプ(ブレーキ力助勢手段)
29 開閉バルブ(ブレーキ力助勢手段)
40 コントローラ(制御手段)
42 ブレーキスイッチ(ペダル操作検出手段)
44 マスタシリンダ圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)
Claims (4)
- ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度を検出するペダル操作検出手段と、
上記ブレーキペダルの踏み込み操作によって発生するマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
上記マスタシリンダ圧の上昇に伴い発生するブレーキ力を助勢するブレーキ力助勢手段と、
上記ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度の少なくとも一方が所定値以上であるかの条件と、上記ブレーキペダルの踏み込み操作後、上記マスタシリンダ圧が増加から減少に転じる最初の減少側変曲点が発生してから、上記マスタシリンダ圧が減少から増加に転じる最初の増加側変曲点が発生するまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件とが成立するか否かの判定を行い、上記2つの条件の双方が成立する場合に、上記ブレーキ力助勢手段を作動させる制御手段とを備えている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項1において、
制御手段は、ブレーキペダルの踏み込み量及びその踏み込み速度の少なくとも一方が所定値以上であるかの条件が成立する場合は、ブレーキ力の助勢を行う前に、ブレーキ液を昇圧させる昇圧ポンプの作動を開始させるように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項1において、
制御手段は、2つの条件が成立するか否かの判定をブレーキペダルの踏み込み操作後、第2所定時間内に行うように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。 - 請求項1において、
制御手段は、減少側変曲点が発生してから増加側変曲点が発生するまでの時間が第1所定時間よりも短いかの条件が成立しても、マスタシリンダ圧の上昇する速度が昇圧ポンプがブレーキ液を昇圧させる速度の限界値よりも速い場合は、ブレーキ力助勢手段の作動を禁止するように構成されている
ことを特徴とする車両の制動装置。
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