JP4332204B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
そして、フィルム表面の凹凸形状の粗さ曲線に着目し、高さ方向のパラメータである最大高さ粗さRzと横方向のパラメータである粗さ曲線要素の平均長さRSmとを一定の範囲内にした場合にはじめて、高い防シワ性と離型性とを両立させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、上記離型面は、本発明の離型フィルムの少なくとも一方の表面であってもよいし、両面であってもよい。
本発明の離型フィルムが単層からなるものである場合、単層のフィルムの片面又は両面に上記要件を満たす凹凸形状が形成される(以下、「単層フィルム」ともいう。)。
本発明の離型フィルムが積層フィルムである場合、例えば、片面に上記要件を満たす凹凸形状が形成されたフィルム(以下、「離型層」ともいう。)の上記凹凸形状が形成されていない側の面に他の樹脂フィルム(以下、「樹脂層」ともいう。)が積層された2層構造体や、上記樹脂層の両面に上記離型層が上記凹凸形状が形成された側が最外面となるように積層された3層構造体等が挙げられる。
なお、本発明の離型フィルムが上記離型層と樹脂層とからなる積層体である場合、上記離型層と樹脂層とは熱融着により積層されてもよいし、接着剤を介して積層されてもよい。
上記冷却ロールや形状を付与するロールの表面温度としては、例えば、70〜160℃の範囲を挙げることができ、用いる樹脂等に応じて設定することができる。
上記エラストマー成分は、単独の樹脂の形で配合してもよいし、共重合体の成分の形で配合してもよい。
このような冷却ロールに樹脂フィルムを押し当てて模様を転写させることによって、上記粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmである表面性状の離型面を有する離型フィルムを得ることができる。また、離型面の粗さ曲線のスキューネスRskが0.05を超える離型フィルムを得ることができる。更に、上記冷却ロールの平滑部分の仕上げ度(平滑性)を調整することにより、離型面の表面粗さRz(AFM)が500nm以下である離型フィルムを得ることができる。
上記離型処理の具体的な方法としては、例えば、離型フィルムの表面にシリコーン系やフッ素系等の離型剤を塗布又は散布する方法や、熱処理や摩擦処理等を行う方法等の公知の方法を用いることができる。これらの離型処理は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱処理の温度としては、上記単層フィルム又は離型層を構成する樹脂のガラス転移温度以上、かつ、融点以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は120℃、好ましい上限は200℃である。熱処理温度が120℃未満であると、熱処理による離型性の向上効果がほとんど得られないことがあり、200℃を超えると、熱処理時に単層フィルム又は離型層が変形しやすくなり、製造できないことがある。熱処理温度のより好ましい下限は170℃、より好ましい上限は190℃である。
上記摩擦の際の速度としては特に限定されないが、離型面に対する速度の好ましい下限は30m/分である。
本発明の離型フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルム又は補強板を熱硬化性接着剤又は熱硬化性接着シートで接着する際に好適に用いることができる。
3層共押出が可能な金型と3機の押出機からなる成形装置に、ポリエステル樹脂とオレフィン樹脂とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、厚さ80μmのオレフィン層(樹脂層)の表裏を、厚さ20μmのポリエステル樹脂(離型層)で挟持した構造の、全厚さ120μmの乳白色の3層樹脂フィルムを得た。
次いで、得られた3層樹脂フィルムの表面に対して、冷却ロール表面に加工された模様を転写させることにより3層樹脂フィルムの表面に凹凸を形成し、Rz=0.5μm、RSm=50μmの離型フィルムを得た。
更に、この表面にシリコーン系離型剤を塗布することにより離型処理を施した。
凹凸の形状を変えたこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
Rz、RSmの値は表1のとおりである。
実施例1〜12及び比較例1〜18で得られた離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表2〜4に示した。
離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し、JIS B0601:2001に準拠する方法により、ミツトヨ社製 サーフテストSJ−301を用いて、Rz及びRSmを測定した。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚15μm、エポキシ系樹脂接着剤層25μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるフレキシブルプリント基板(FPC)評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、離型フィルムを剥がした後、カバーレイ表面上に転写されたシワの個数を測定した。
なお、シワの個数が30個以内の場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして充分な防シワ性を有するといえる。より好ましくは、シワの個数が5個以内である。一方、シワの個数が30個を超える場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして防シワ性が不充分である。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、机上に放置し、離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれるまでの時間を計測した。
離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれた指標は以下の通りである。
離型フィルムとFPC評価サンプルが密着している状態から、離型フィルムとFPC評価サンプルとの間に空気が入っていくことにより、離型フィルム側から見た色調が変わるので、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出した時から、前記色調の変化が完了したまでの時間を、剥がれた時間とした。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。なお、カバーレイには、予め接着剤流れ出し量評価用の穴(Φ1mm)を作製しておいた。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、カバーレイ上の接着剤流れ出し量評価用の穴を顕微鏡で観察することにより、流れ出した接着剤の長さを測定した。流れ出した接着剤の長さが100μm未満であった場合を「○」と、100μm以上、120μm未満であった場合を「△」と、120μm以上であった場合を「×」と評価した。
ポリエステル樹脂とオレフィン樹脂とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、オレフィン層(樹脂層、80μm)の表裏をポリエステル樹脂(離型層、20μm)で挟持した3層樹脂フィルム(120μm)を得た。
次いで、この3層樹脂フィルムの表面に対して、冷却ロール表面に加工された模様を転写させることにより3層樹脂フィルムの表面に凹凸を形成させた。
Rz、RSm及びRz(AFM)の値は表5のとおりである。
実施例13〜21及び比較例19〜24で得られた離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表5に示した。
離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し、JIS B0601:2001に準拠する方法により、ミツトヨ社製 サーフテストSJ−301を用いて、Rz及びRSmを測定した。
上述と同様の方法により、CCLとカバーレイとからなるフレキシブルプリント基板(FPC)評価サンプルを作製した。その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、離型フィルムを剥がした後、カバーレイ表面上に転写されたシワの個数を測定した。
上述と同様の方法により、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、机上に放置し、離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれるまでの時間を計測した。
ポリエステル樹脂とオレフィン樹脂とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、オレフィン層(樹脂層、80μm)の表裏をポリエステル樹脂(離型層、20μm)で挟持した3層樹脂フィルム(120μm)を得た。
次いで、この3層樹脂フィルムの表面に対して、冷却ロール表面に加工された模様を転写させることにより3層樹脂フィルムの表面に凹凸を形成させた。
Rz、RSm及びRskの値は表6のとおりである。
実施例22及び実施例23で得られた離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表6に示した。
離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し、JIS B0601:2001に準拠する方法により、ミツトヨ社製 サーフテストSJ−301を用いて、Rz、RSm及びRskを測定した。
上述と同様の方法により、CCLとカバーレイとからなるフレキシブルプリント基板(FPC)評価サンプルを作製した。その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、離型フィルムを剥がした後、カバーレイ表面上に転写されたシワの個数を測定した。
上述と同様の方法により、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、机上に放置し、離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれるまでの時間を計測した。
Claims (12)
- 樹脂からなり、少なくとも一方の表面性状が、JIS B0601:2001に準拠する方法により、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λs=2.5μm、λc=0.8mmの条件にて測定される粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmであることを特徴とする離型フィルム。
- 粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
- 粗さ曲線要素の平均長さRSmが200〜400μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の離型フィルム。
- 粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmである表面の性状が、JIS B0601:2001に準拠する方法により、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λs=2.5μm、λc=0.8mmの条件にて測定される粗さ曲線のスキューネスRskが0.05を超えることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
- 粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmである表面の性状が、JIS B0601:1994に準拠する方法により、原子間力顕微鏡で測定する谷部における50μm四方観察にて測定される表面粗さRz(AFM)が500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
- 表面粗さRz(AFM)が100nm以下であることを特徴とする請求項5記載の離型フィルム。
- 単層構造体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の離型フィルム。
- 樹脂からなり、粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmである表面を有する離型層と、前記離型層の片面に積層された樹脂層とからなる2層構造体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の離型フィルム。
- 樹脂層の両面に、樹脂からなり、粗さ曲線の最大高さ粗さRzが0.5〜20μm、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが50〜500μmである表面を有する離型層が積層された3層構造体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の離型フィルム。
- プリント配線基板の製造においてプリプレグと銅箔とを熱プレス成形する際に、プレス熱板とプリプレグとの接着、又は、プリプレグ同士の接着を防止するための離型フィルムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の離型フィルム。
- プリント配線基板の製造において熱硬化性樹脂フィルムと銅箔とを熱プレス成形する際に、プレス熱板と熱硬化性樹脂フィルムとの接着、又は、熱硬化性樹脂フィルム同士の接着を防止するための離型フィルムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の離型フィルム。
- プリント基板の製造において熱プレス成形によりカバーレイフィルムを熱硬化性接着剤で接着する際に、カバーレイフィルムと熱プレス板との接着、又は、カバーレイフィルム同士の接着を防止するための離型フィルムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の離型フィルム。
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