JP6574468B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ポリメチルペンテン樹脂を含む積層体からなる離型フィルムが記載されている。特許文献2には、表面粗さを定めたポリブチレンテレフタレートを含む厚みの薄い離型層とクッション層と副離型層とを有する離型フィルムが記載されている。特許文献3には、シンジオタクチックポリスチレン樹脂からなる離型層とクッション層とを有する離型フィルムが記載されている。
従って、離型フィルムに対してシワの発生を抑制できることが要求されているが、他の要求性能(例えば、埋め込み性、離型性等)を維持したままでシワの発生を抑制できる離型フィルムを得ることは困難であった。
以下、本発明を詳述する。
本発明の離型フィルムは、表面及び背面が粗面化されている。片面だけではなく、表面及び背面の両面が粗面化されていることにより、本発明の離型フィルムは、離型性を維持したままでシワの発生を抑制できるものとなる。
上記表面の十点平均粗さRzと、上記背面を構成する離型層の厚みとが上記範囲を満たすことにより、本発明の離型フィルムは、離型性を維持したままでシワの発生を抑制できるものとなる。上記表面の十点平均粗さRzが上記範囲より小さいと、離型フィルムにシワが多数発生してしまう。上記表面の十点平均粗さRzが上記範囲を超えると、離型フィルムの離型性が低下する。また、上記背面を構成する離型層の厚みが上記範囲より小さくても、離型フィルムにシワが多数発生してしまう。上記背面を構成する離型層の厚みの上限は特に限定されないが、好ましい上限は100μm、より好ましい上限は50μmである。
離型性を維持したままで効果的にシワの発生を抑制する観点から、上記表面の十点平均粗さRzが4μm以上20μm以下であり、かつ、上記背面を構成する離型層の厚みが37μm以上であるか、又は、上記表面の十点平均粗さRzが8μm以上15μm以下であり、かつ、上記背面を構成する離型層の厚みが35μm以上37μm未満であることがより好ましい。
図1に、実施例(いくつかの実施例を除く)及び比較例で得られた「表面の十点平均粗さRz」と、「背面を構成する離型層の厚み」とをプロットしたグラフを示す。図1では、本発明で規定する「表面の十点平均粗さRz」と、「背面を構成する離型層の厚み」との範囲を斜線で示す。ただし、「背面を構成する離型層の厚み」の上限は、図1の斜線で示される範囲に限定されない。
上記表面に模様が加工された冷却ロールを製造する方法は特に限定されず、例えば、平滑なロールの表面に凹模様を形成した後に、該ロールの平滑部分の粗さを調整する方法等が挙げられる。上記冷却ロール表面に加工された模様は特に限定されず、例えば、単一な形状の凹凸模様、大きなブラスト材による凹凸模様に細かな凹凸を重畳した複数の形状の凹凸模様等が挙げられる。
上記離型処理の方法は特に限定されず、例えば、上記表面及び/又は上記背面にシリコーン系、フッ素系等の離型剤を塗布又は散布する方法、熱処理、摩擦処理等を行う方法等の公知の方法を用いることができる。これらの離型処理は単独で用いてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらの結晶性芳香族ポリエステル樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、非汚染性及び結晶性に優れることから、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好適に用いられる。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂は特に限定されず、一般に用いられているものを使用することができ、具体的には例えば、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリブチレンテレフタレート樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、耐熱性、離型性、フレキシブル回路基板の凹凸への追従性等のバランスの観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を混合した混合樹脂が好ましい。
上記表面を構成する離型層の厚みが1μm未満であると、離型フィルムにシワが発生することがある。上記表面を構成する離型層の厚みが20μmを超えると、離型フィルムの離型性が低下することがある。上記表面を構成する離型層の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は18μmである。
上記ポリオレフィン樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−アクリル系モノマー共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記中間層は、本発明の目的を阻害しない範囲で、更に、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等の樹脂を含有してもよい。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は特に限定されず、上述したような多層フィルムに含まれる結晶性芳香族ポリエステル樹脂と同じものが挙げられる。また、上述したような多層フィルムに含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂と同じものが好適に用いられる。
本発明の離型フィルムが多層フィルムからなる場合、該多層フィルムを作製する方法は特に限定されず、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法、一方の離型層となるフィルムを作製した後、このフィルムに中間層を押出ラミネート法にて積層し、次いで他方の離型層をドライラミネーションする方法、一方の離型層となるフィルム、中間層となるフィルム及び他方の離型層となるフィルムをドライラミネーションする方法、溶剤キャスティング法、熱プレス成形法等が挙げられる。なかでも、各層の厚み制御に優れる点から、共押出Tダイ法で製膜する方法が好適である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリプロピレン樹脂とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、厚み65μmのポリプロピレン樹脂層(中間層)の表裏に、それぞれ表1に示す厚みを有する2つのポリブチレンテレフタレート樹脂層(背面を構成する離型層、及び、表面を構成する離型層)が積層された3層樹脂フィルムを得た。
次いで、得られた3層樹脂フィルムの表面を構成する離型層の離型面に対して、表面に模様が加工された冷却ロールを押し当て、冷却ロール表面に加工された模様を転写させることにより離型面に凹凸を形成し、離型フィルムを得た。なお、凹凸を形成した離型面が表面、他方の離型面が背面である。得られた離型フィルムの表面及び背面の粗面化状態を光学顕微鏡により確認し、表面の十点平均粗さRzを測定して、これらの結果を表1に示した。なお、実施例及び比較例で得られた離型フィルムそれぞれの背面の十点平均粗さRzは1.0〜3.0μmの範囲内であった。
実施例1〜38及び比較例1〜18で得られた離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
離型フィルム表面を光学顕微鏡(キーエンス社製、レーザーマイクロスコープVK8710)を用いて20倍に拡大して観察した。観察視野(700μm×525μm)における平滑面の面積を測り、観察視野に占める平滑面の面積の百分率を求め、得られた値を光沢面比率(%)とした。なお、光沢面比率が38%、42%、72%、82%、77%、0%であった離型フィルム表面の光学顕微鏡写真をそれぞれ図2〜7に示した。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚15μm、エポキシ系樹脂接着剤層25μm)、及び、離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、真空条件下、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるフレキシブル回路基板(FPC)評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、離型フィルムを剥がした後、カバーレイ表面上に転写されたシワの個数を測定した。シワの個数が0個であった場合を「◎」と、1〜10個であった場合を「○」と、11〜20個であった場合を「△」と、21個以上であった場合を「×」と評価した。
なお、シワの個数が20個以内の場合には、フレキシブル回路基板を製造する際の離型フィルムとして充分な防シワ性を有するといえる。より好ましくは、シワの個数が10個以内である。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、机上に放置し、離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれるまでの時間を計測した。具体的には、離型フィルムとFPC評価サンプルとが密着している状態から、離型フィルムとFPC評価サンプルとの間に空気が入っていくことにより、離型フィルム側から見た色調が変わるため、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出した時点から、色調の変化が完了した時点までの時間を離型フィルムが剥がれるまでの時間とした。
離型フィルムが剥がれるまでの時間が30秒以下であった場合を「◎」と、30秒は超えるが60秒以下であった場合を「○」と、60秒は超えるが90秒以下であった場合を「△」とした。
なお、離型フィルムが剥がれるまでの時間が60秒以下の場合には、フレキシブル回路基板を製造する際の離型フィルムとして充分な離型性を有するといえる。より好ましくは、離型フィルムが剥がれるまでの時間が30秒以下である。
Claims (4)
- フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、
表面及び背面をそれぞれ構成する2つの離型層と、中間層とを有する多層フィルムからなり、
表面及び背面が粗面化されており、
前記表面の十点平均粗さRzが4μm以上20μm以下であり、かつ、前記背面を構成する離型層の厚みが35μm以上であり(ただし、前記表面の十点平均粗さRzが4μm以上5μm以下であり、かつ、前記背面を構成する離型層の厚みが35μm以上36μm以下である場合を除く)、
前記表面及び背面をそれぞれ構成する2つの離型層のうち、表面を構成する離型層がポリブチレンテレフタレート樹脂を含有する
ことを特徴とする離型フィルム。 - 表面の光沢面比率が35%以上85%以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
- 表面の十点平均粗さRzが4μm以上20μm以下であり、かつ、前記背面を構成する離型層の厚みが37μm以上であるか、又は、表面の十点平均粗さRzが8μm以上15μm以下であり、かつ、前記背面を構成する離型層の厚みが35μm以上37μm未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の離型フィルム。
- 表面及び背面をそれぞれ構成する2つの離型層の合計厚みが、離型フィルムの厚みのうち半分を超える厚みを占めることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
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