JP5653123B2 - 離型用シート - Google Patents

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本発明は、離型用シートに関する。
近年、離型用シートは工業的に広く用いられている。該離型用シートの用途としては、例えば、粘着シート、粘着テープなどの粘着材料の粘着・接着面保護材料用途、該粘着材料の製造のための工程材料用途、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板等の製造のための工程材料用途、液晶ディスプレー用部品である偏光板や位相差板の保護材料用途、さらには、シート状構造体の成形用途などが挙げられる。
離型用シートの一般的な構成としては、離型性を有する樹脂をフィルム化したもの、またはフィルムや紙などの基材の上に離型剤を含む離型層を積層したものなどが挙げられる。しかしながら、離型性を有する樹脂は概して高価であるため、該樹脂単体をフィルム化して得られた離型用シートは高価になってしまうという問題があった。
そのため、押出ラミネートまたはコーティングにより、安価な基材上に離型層を積層し、離型用シートを得ることが数多く提案されている。しかしながら、押出ラミネートによる積層では、離型層を薄くすることが難しく、コストダウンの効果が低い場合があった。また、離型層と基材との密着性に劣る場合があった。
一方、コーティングによる積層は、離型層をより薄くすることができるという点では効果的な方法であり、様々なコーティング方法が提案されている。溶剤系のコーティング剤を用いて、離型用シートを得る方法としては、例えば、ビニル基含有ポリジメチルシロキサンを含むシリコーン樹脂をポリエステルフィルム上に積層する方法(特許文献1)や、フッ素樹脂を含有するコート剤を基材上に積層する方法(特許文献2)などが知られている。
しかしながら、特許文献1の場合は、離型層を積層し硬化させるために高温での処理を必要とするため、フィルムが損傷を受け平面性が損なわれるという問題があった。また、特許文献2の場合は、フッ素樹脂を含有するコート剤は高価であるうえ、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題があった。また、特許文献1および特許文献2のいずれの場合においても、コート剤や離型剤を均一にコーティングするためには大量の有機溶剤を使用する必要があるため、環境や安全衛生上の問題があった。
また、水系の離型用コーティング剤を用いて、離型用シートを得る方法も提案されている。このような方法としては、例えば、基材上に、ワックス類や低分子量のシリコーン化合物やフッ素系界面活性剤を含有する離型層を積層する方法が挙げられる。しかしながら、かかる場合は、離型用シートを被着体に接着させ、各種用途に供した後に剥離する際に、離型剤が被着体に転写し、粘着性などの被着体の各種機能を低下させるという問題がある。
このような問題を解決するために、シリコーンエマルジョンを含有する樹脂を基材上にコーティングする方法(特許文献3、特許文献4)や、フッ素系単量体の構成割合が異なるセグメントから構成されたコーティング剤を基材上にコーティングする方法(特許文献5)が提案されている。
しかしながら、特許文献3や特許文献4の場合においては、水系のコーティング剤を使用するため、離型層と基材との密着性に乏しく、しかも離型性が十分ではないという問題があった。また、特許文献5の場合には、特許文献2と同様に、コーティング剤が高価なうえ、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題があった。
これらの問題を解決するために、様々なコーティング剤を使用して、離型用シートを得ることが検討されている。例えば、マレイン酸変性ポリオレフィンオリゴマーとポリエチレングリコールアルキルエーテルを含有するポリオレフィン系オリゴマーの水性分散液を、基材上に積層する方法や(特許文献6)、4−メチル−1−ペンテン系重合体またはその変性物およびα−オレフィンを含有する水性分散液を、基材上に積層する方法(特許文献7)などが提案されている。
しかしながら、特許文献6の場合は、密着性が十分ではなく、離型用シートとしての実用に耐えうるものではなかった。しかも、コーティング剤に界面活性剤が含まれるため、該界面活性剤により被着体が汚染される場合があった。一方、特許文献7の場合は、高価な樹脂を使用しているためコストアップにつながり、しかも融点が高いため、離型用シートとするために高温での処理を必要とし、フィルムが損傷を受け平面性が損なわれる場合があった。
また、ポリビニルアルコールを長鎖アルキル化合物と反応させて得られた離型剤と、酸変性ポリオレフィン共重合体からなる水系離型剤組成物を、基材上に積層する方法(特許文献8)などが開示されている。しかしながら、特許文献8の場合においては、ポリビニルアルコールを長鎖アルキル化合物と予め反応させて離型剤とする工程が必要であるためコストアップにつながり、加えて、コーティング剤を調製する場合には、界面活性剤の添加が必須であるため、被着体を汚染する場合があった。
また、離型用シートを、ゴムまたはFRP(繊維強化プラスチック)からなるシートや、不飽和ポリエステルからなるシート等の形成に用いる場合がある。かかる場合には、凹凸形状が転写されてつや消し調となった剥離面を得ることを目的として、マット化されたフッ素フィルム、梨地のポリビニルアルコールフィルム、またはサンドマット等が用いられた離型用シートが使用される。すなわち、シートが形成された後に、該シートから離型用シートを剥離させると、該剥離面には凹凸形状が転写し、つや消し調となった表面が得られる。このようなつや消し調の表面を有するシートは、その他の樹脂との接着性に優れるものであり、加えて建材用途などに用いられた場合には高級感や防眩性を発現することができるという利点がある。しかしながら、かかる場合においては、離型用シート自体が高価であったり、ポリビニルアルコールが湿度の影響を受けるため加工しにくい場合があったり、離型用シートに異物が付着したりするという問題を抱えていた。
特開2002−182037号公報 特開2007−002066号公報 特開平07−196984号公報 特開2005−125656号公報 特開2004−114620号公報 特開2007−031639号公報 特開2002−265719号公報 特開平09−104851号公報
本発明は、これらの問題を鑑み、製造が容易で、被着体への離型層の移行が抑制されており、離型性に優れ、被着体の汚染や廃棄時の環境負荷が少なく、離型層のつやが抑制された離型用シートを提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の離型層を有する離型用シートは、製造が容易で、被着体への離型層の移行が抑制されており、離型性に優れ、被着体の汚染や廃棄時の環境負荷が少なく、離型層のつやが抑制されていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)基材上に下記(i)および(ii)を含有する離型層を有し、離型層と被着体との間の剥離強度が10N/50mm以下であり、かつ前記離型層表面の60°光沢度が50%以下であることを特徴とする離型用シート。
(i)酸変性ポリオレフィン樹脂
(ii)カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種、および/またはポリビニルアルコール
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の割合が1〜10質量%であることを特徴とする(1)の離型用シート。
(3)離型層が平均粒径0.1〜10μmの微粒子を含有することを特徴とする(1)または(2)の離型用シート。
(4)微粒子が非架橋の熱可塑性樹脂微粒子であることを特徴とする(3)の離型用シート。
本発明の離型用シートは、濡れ性を有しながらも良好な離型性を備えており、被着体への離型層の移行が抑制されている。しかも、離型性を発現するにあたって、ワックス類や低分子量のシリコーン化合物、界面活性剤などの離型剤を必要としないため、剥離の際に被着体を汚染することがない。また、フッ素などハロゲン元素を含む離型剤を用いる必要がないため、廃棄時の環境への負荷も少ない。
さらに、本発明の離型用シートは、製造の際に、離型層を積層させる工程が煩雑になることがない。
さらに、本発明の離型用シートは、つやが抑制された離型層を有するものである。そのため、この離型用シートを用いてゴムシートやFRPシートなどを形成すると、剥離した後のゴムシートやFRPシートなどの表面が防眩性に優れるという効果を奏する。加えて、視認性の低下を抑制できる(すなわち、本発明の離型用シートを剥離した後に、前記ゴムシートなどの表面の印刷や画像が不明瞭とならない)という効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型用シートは、基材上に離型層を設けてなるものである。
離型層は、下記(i)および(ii)を含有する。
(i)酸変性ポリオレフィン樹脂
(ii)カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種、および/またはポリビニルアルコール
(i)について以下に説明する。
酸変性ポリオレフィン樹脂の主成分であるオレフィン成分は、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましい。また、これらの混合物を用いてもよい。中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂中の、酸変性成分としては、例えば、不飽和カルボン酸成分が挙げられる。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。
上記のなかでも、分散安定化に優れる面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、その酸変性成分の変性割合が酸変性ポリオレフィン樹脂の1〜10質量%であることが好ましく、1〜7質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましく、2〜3質量%が特に好ましい。酸変性成分の変性割合が1質量%未満の場合は、離型層と基材との十分な密着性が得られない場合があり、また被着体を汚染する場合がある。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体として用いる場合には、水性分散化が困難となる場合がある。一方、酸変性成分の変性割合が10質量%を超えると、離型性が低下する場合がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、離型層と基材との接着性を向上させることを目的として、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分を含む場合、その含有量は、様々な基材に対する良好な密着性の観点から、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられる。なかでも、入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。なかでも、基材との密着性に優れる点から、(メタ)アクリル酸メチル(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中において共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の形態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は、80〜150℃であることが好ましく、85〜130℃がより好ましく、90〜100℃がさらに好ましい。融点が150℃を超えると、離型層を形成するために高温での処理が必要となる場合があり、一方、80℃未満では離型性が著しく低下する場合があるため、ともに好ましくない。
酸変性ポリオレフィン樹脂のビカット軟化点は、50〜130℃であることが好ましく、53〜110℃がより好ましく、55〜90℃がさらに好ましい。ビカット軟化点が130℃を超えると離型層を形成するために高温での処理が必要となる場合があり、一方、50℃未満であると離型性が著しく低下する場合があるため、ともに好ましくない。
酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2160g荷重において、1〜1000g/10分であることが好ましく、1〜500g/10分であることがより好ましく、2〜300g/10分であることがさらに好ましく、2〜200g/10分であることが特に好ましい。MFRが1g/10分未満であると、酸変性ポリオレフィン樹脂を製造することが困難となる場合があり、さらに酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体とすることが困難になる場合がある。一方、MFRが1000g/10分を超えると、離型層と基材との密着性が低下する場合があり、さらに被着体への移行が起こりやすくなる場合がある。
(ii)について以下に説明する。
本発明の離型用シートの離型層は、上述のように、カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種、および/またはポリビニルアルコールを含有する。カルボジイミド化合物およびオキサゾリン化合物は、樹脂を架橋させる役割、すなわち架橋剤としての役割を担う。以下、カルボジイミド化合物およびオキサゾリン化合物を、単に「架橋剤」と称する場合がある。
カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物以外の反応性を有する化合物や樹脂(たとえば、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂など)を用いた場合は、得られる離型層の離型性に劣るものとなるため、実用に耐え得るものではない。
架橋剤として、カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物とを併用してもよいが、カルボジイミド化合物またはオキサゾリン化合物を単独で用いる場合には、混合安定性および保存安定性に優れる点から、オキサゾリン化合物を単独で用いることがより好ましい。
本発明で用いられるカルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物を有するものであれば、特に限定されるものではない。このようなカルボジイミド化合物としては、例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などの2以上のカルボジイミド基を有する化合物や、2以上のカルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、取り扱い易さの観点から、ポリカルボジイミドが好ましい。ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。
カルボジイミド化合物は市販品も好適に使用でき、例えば、日清紡社製のカルボジライトシリーズなどを用いることができる。より具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」、エマルションタイプの「E−01」、「E−02」、有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」、無溶剤タイプの「V−05」が挙げられる。
本発明に用いられるオキサゾリン化合物は、分子中に少なくともオキサゾリン基を2つ以上有するものであれば、特に限定されるものではない。オキサゾリン化合物が好ましい。このようなオキサゾリン化合物としては、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどの2以上のオキサゾリン基を有する化合物や、2以上のオキサゾリン基含有する重合体(以下、オキサゾリン基含有ポリマーと称する場合がある)が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。中でも、取り扱い易さの観点から、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させる方法が挙げられる。その重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。また、オキサゾリン化合物には、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。
オキサゾリン化合物は市販品も好適に使用でき、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。より具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」、エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。1質量部未満では添加効果が乏しい場合がある。一方、50質量部を超えると離型性が低下する場合がある。なお、カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物を併用する場合には、カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物の合計量が、上記した含有量の範囲を満たしていればよい。
ポリビニルアルコールはOH基を有するものであり、酸変性ポリオレフィン樹脂中のH基と反応して、樹脂中に架橋構造を形成する役割を担うものである。ポリビニルアルコールとしては、特に限定されないが、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化して得られたものが挙げられる。ケン化方法としては公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を用いることができる。なかでも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。本発明に用いられるポリビニルアルコールは、後述のように、液状物として使用する場合のために、水溶性を有していることが好ましい。
上記のビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。なかでも、酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
上述のビニルエステルには、本発明の効果を損ねない範囲で、他のビニル系モノマーが共重合されていてもよい。他のビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、そのエステル類、その塩、その無水物、そのアミド類およびそのニトリル類;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩;炭素数2〜30のα−オレフィン類;アルキルビニルエーテル類;ビニルピロリドン類などが挙げられる。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではないが、300〜2000が好ましい。300未満であると、離型層を得た場合にその凝集性が低下する場合があり、一方、2000を超えると離型層を得た場合に増粘する場合がある。
本発明において、ポリビニルアルコールを用いる場合、その含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましく、10〜600質量部がより好ましく、20〜400質量部がさらに好ましく、30〜200質量部が最も好ましい。含有量が5質量部未満では添加効果が乏しい場合がある。一方、1000質量部を超えても添加効果の向上は乏しく、また、ポリビニルアルコールを液状物としての使用する際には、その液安定性が低下する場合がある。
ポリビニルアルコールとしては、市販品を好適に使用でき、例えば、日本酢ビ・ポバール社「J−ポバール」の「JC−05」、「VC−10」、「ASC−05X」、「UMR−10HH」、クラレ社「クラレポバール」の「PVA−103」、「PVA−105」や「エクセバール」の「AQ4104」、「HR3010」、電気化学工業社「デンカ ポバール」の「PC−1000」、「PC−2000」などが挙げられる。
本発明において、架橋剤とポリビニルアルコールは併用されてもよい。両者を併用する場合は、架橋剤とポリビニルアルコールの酸変性ポリオレフィン樹脂に対する含有量は、それぞれが、上述の含有量の範囲を満たす必要がある。
離型層には、突起部の形成し離型層のつやを抑制することを目的として、無機フィラーや有機フィラー等の微粒子(以下、「マット剤」と称する場合がある)が含有されることが好ましい。該微粒子の形状は特に限定されないが、不定形、球状、連鎖状、中空、扁平、針状等、平板状等が挙げられる。微粒子は、単独もしくは2種類以上配合して使用することができる。さらに、離型層を形成する樹脂との親和性や、離型層を積層する際の溶媒中での分散安定性に優れる観点から、マット剤の表面には表面処理が施されていることが望ましい。
有機フィラーとしては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチルやポリアクリル酸エステル共重合体、ゴム等の架橋微粒子、熱可塑性樹脂の微粉体等が挙げられる。これらの有機フィラーの製法としては、乳化・懸濁重合時に2価以上のエチレン性不飽和化合物を併用し末端基同士で二次架橋する方法、熱可塑性ポリマーと水溶性ポリマーとを混合し、加熱・溶融して、熱可塑性ポリマーを微粒子化する物理的溶融分散法が挙げられる。粒径を制御しやすく、また様々な熱可塑性樹脂を微粒子化できるという点で、物理的溶融分散法が好適である。
有機フィラーとしては、非架橋の熱可塑性樹脂粒子が好ましい。非架橋の熱可塑性樹脂粒子は、ガラス転移温度(Tg)以上の熱で変形するという特性を有する。特に、融点を超えるような温度まで加熱することにより流動性が発現する。そのため、非架橋の熱可塑性樹脂粒子を用いると、離型層の表面がなだらかな突起が連なった状態となり、離型用シートを剥離させた後の、被着体の防眩性が発現することに加え、視認性が向上する。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、クレ−、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シリカさらにはコロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。これらは、単独で、もしくは二種以上組み合わせて用いることができる。無機微粒子は、分散性の向上を目的として、シランカップリング剤等で表面処理されていることが望ましい。
無機フィラー、特に無定型の無機粒子を用いた場合は、離型層の光沢度は低下するが、離型層中に該無機粒子が存在していない平面部が多くなる場合がある。そのため、該離型用シートを剥離した後に得られた被着体の光沢が柔らかくなる。つまり、光沢が高すぎず、かつ低すぎない適度な状態となる。具体的には、60°光沢度が30〜50%程度の数値となる。しかしながら、離型層の光沢度は無機フィラー以外のフィラーを用いた場合と同程度であっても、離型用シートを剥離した後に得られた被着体の光沢度が高くなる場合があるため、被着体の防眩性を向上させるという本発明の効果においては、好ましくない場合がある。
離型層中の、マット剤の含有量は、特に限定されず、基材フィルムの表面粗さに応じて適宜調整されるが、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。マット剤の含有量が5質量部未満であると、離型層の光沢度が高くなり、被着体に防眩性が発現しないことがある。一方、マット剤の含有量が30質量部を超えると、マット剤が凝集し塗膜(離型層)の凝集性が低下して離型性を損なう場合がある。
離型層中のマット剤の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、光沢度が低下せず、被着体に防眩性が発現しない場合がある。一方、10μmを超えると分散性が悪くなり、離型層を得る場合に塗液中で沈降する場合がある。
離型層には、本発明の効果を損なわない範囲で、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類、界面活性剤などが含有されていてもよい。その場合には、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類、界面活性剤の合計の含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部以下であることが好ましい。該含有量が少ないほど、離型層と基材との密着性が向上するとともに、被着体の汚染が抑制されるため、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましく、含有していないことが特に好ましい。
ワックス類としては、数平均分子量が10,000以下の、植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、石油化学ワックス等が挙げられる。ワックスの具体例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ベリーワックス、ホホバワックス、シアバター、蜜蝋、セラックワックス、ラノリンワックス、鯨蝋、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ポリエチレンワックス合成ポリプロピレンワックス、合成エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス等が挙げられる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。
離型用シートにおける離型層の厚みは、0.01〜5μmであることが必要であり、0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1μmであることがより好ましく、0.3〜0.7μmであることがさらに好ましい。0.01μm未満では十分な離型性が得られない場合があり、一方、5μmを超える場合は離型性が低下する場合がある。
離型層表面のぬれ張力は、30mN/m以上であることが好ましく、32mN/m以上であることがより好ましい。ぬれ張力が30mN/m未満では、離型層上に別のコーティング剤や液状物を積層するのが困難になる場合がある。本発明におけるぬれ張力とは、Zismanによる臨界表面張力を示すものであり、JIS K6768記載の方法で測定することができる。
離型用シートにおける基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等が挙げられる。基材の厚みは特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。
基材に用いることのできる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂、6−ナイロン、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリイミド樹脂、これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6など)や、これらの樹脂の混合体等が挙げられる。
樹脂材料は延伸処理されていてもよい。また、樹脂材料は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。さらに、樹脂材料においては、その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の表面処理を施しておいてもよい。また、樹脂材料の表面にはシリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層、接着層などの他の層が積層されていてもよい。
基材に用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等を挙げることができる。
基材に用いることのできる合成紙としては、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。また、基材における各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよい。また、微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙であってもよい。
基材に用いることのできる布としては、上述した樹脂材料からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる不織布、織布、編布などが挙げられる。
基材に用いることのできる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔やアルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。ガラス材料の例としてはガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
上記樹脂材料を用いた基材には、離型層が積層された反対側に、紙、合成紙、布、他の樹脂材料、金属材料等を積層してもよい。
上記のような構成を有する本発明の離型用シートの60°光沢度は、50%以下であることが必要であり、30〜50%であることが好ましく、40〜50%であることがより好ましい。60°光沢度が50%を超えると、離型用シートを被着体に接着し剥離した後に、被着体に突起部形状が十分に転写されない。そのため、被着体の光沢度が上がり、防眩性が低下する。その結果、この被着体を、例えば建材として使用した場合に、蛍光灯の姿が写り込み下地の印刷が見えなくなったり、液晶ディスプレー用部品として使用した場合にタッチパネル面の表示が見にくくなったりする。すなわち、視認性が低下する。なお、上記の光沢度が低すぎる場合においても、かえって視認性が低下する場合がある。
離型用シートのつや(光沢度)を抑制する方法としては、布、サンドマットやコーティングマット、エンボス加工シートなどの凹凸が大きい基材に対して離型層をコーティングする方法、基材上に離型層を厚く設けておいて、該離型層にエッチングやブラスト処理、エンボス等の処理を施すことにより凹凸を付与する方法、離型層にマット剤と呼ばれる微粒子や発泡剤を含有させることにより表面を荒らす方法等が挙げられる。
上記の方法のなかでも、本発明の離型用シートのつやを抑制し、60°光沢度を50%以下にするためには、凹凸を有する基材に、上述のマット剤を含有させた離型層を、所定の厚みで積層する方法がもっとも好ましい。このような方法を用いることで、コストアップを抑制することができ、容易に光沢度を調整することができる。
本発明においては、離型層に含有されるマット剤の種類、粒径および含有量、離型層の厚みを適宜調整することにより、60°光沢度を50%以下とすることができ、つやを効果的に抑制することができる。
本発明において、離型層表面の中心面平均粗さは、離型層表面の凹凸部を示すための指標であり、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.6μmであることがより好ましい。離型層表面の中心面平均粗さが0.1μm未満であると、離型層のつやが発現し、離型シートを剥離させた後の被着体表面の防眩性が乏しくなる場合がある。一方、1.0μmを超えると、離型シートを剥離させた後の被着体表面の視認性が著しく悪くなり、該被着体に設けられた下地の印刷や画像などが見えにくくなる場合がある。
本発明の離型用シートは良好な離型性を有するものである。そのため、2kPa荷重、70℃の雰囲気下で20時間放置した後の、離型層と被着体との間の剥離強度を、例えば、10N/50mm以下とすることができる。該剥離強度は、8N/50mm以下であることが好ましく、より好ましくは7N/50mm以下である。剥離強度が10N/50mmを超えると、離型性が不十分であり、離型用シートとして使用することが困難な場合がある。
本発明の離型用シートを製造する方法を、以下に説明する。
本発明の離型用シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂と、前述の架橋剤および/またはポリビニルアルコールとを含有する液状物を、基材上に塗工した後に乾燥することで離型層を積層する製造方法が挙げられる。この方法によれば、工業的に簡便に、離型用シートを得ることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤および/またはポリビニルアルコールとを含む液状物を製造する方法は、各成分が液状媒体中に均一に混合される方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、以下の(A)や(B)の方法が挙げられる。
(A):酸変性ポリオレフィン樹脂の分散液または溶液に、架橋剤および/またはポリビニルアルコールの分散液や溶液を添加して、それらを混合して液状物とする方法。
(B):酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤および/またはポリビニルアルコールとの混合物を液状化する方法。
上記(A)の方法を用いる場合において、架橋剤および/またはポリビニルアルコールの分散液または溶液の溶質濃度は特に制限されるものではないが、取り扱いやすさの点から、5〜10質量%が好ましい。
上記(B)の方法を用いる場合においては、酸変性ポリオレフィン樹脂を液状化する際に、架橋剤および/またはポリビニルアルコールを添加してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤、ポリビニルアルコール以外の成分(例えば、前述のマット剤など)を配合する場合は、(A)や(B)の方法における任意の段階で配合することができる。
本発明の離型用シートを製造する場合において、酸変性ポリオレフィン樹脂の分散液または溶液を得るための溶媒、架橋剤および/またはポリビニルアルコールの分散液や溶液を得るための溶媒、酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤および/またはポリビニルアルコールとを液状物とするための溶媒は、基材上への塗工が可能であれば、特に限定されない。該溶媒としては、たとえば、水、有機溶剤、あるいは水と両親媒性有機溶剤を含む水性媒体などが挙げられる。なかでも、環境負荷低減の観点から、水または水性媒体を使用することが好ましい。ポリビニルアルコールを用いる場合は、ポリビニルアルコールの溶解性に優れる観点から、水または水性媒体を使用することが特に好ましい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類;加えて後述の両親媒性有機溶剤などが挙げられる。
水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤からなり、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味する。両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう。なお、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている。
水性媒体の具体例としては、メタノール、エタノール(以下「EA」と略称する)、n−プロパノール(以下「NPA」と略称する)、イソプロパノール(以下「IPA」と略称する)等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類;そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン(以下「TEA」と略称する)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン(以下「DMEA」と略称する)、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン等の有機アミン化合物;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を上記のような水性媒体に分散化する方法は、特に限定されず、例えば、国際公開02/055598号パンフレットに記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような数平均粒子径は、前記国際公開02/055598号パンフレットに記載の製法により達成することが可能である。
上記の(A)や(B)の方法において、液状物の固形分含有率は、離型層と基材の積層条件、目的とする離型層の厚さ、性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、液状物の粘性を適度に保ち、かつ良好な離型層を形成させるためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
上述のようにして得られた液状物を基材に塗工する方法は、公知慣用の方法が挙げられる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により基材表面に均一に塗工し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、加熱処理に供して乾燥させる方法が挙げられる。このようにすることで、均一な離型層を基材に密着させて形成することができる。さらに、エージング処理を行うことによって、離型層の凝集性や、基材との密着性の向上を高め、離型性能を安定することができる。
本発明の離型用シートは、様々な被着体に対して良好な離型性を有している。そのため、離型層を介して、他の被着体に積層することで積層体とし、その後離型する用途において、好適に用いられる。具体的には、粘着材料や液晶ディスプレー用部品などの保護材料、プリント配線板を製造する際の工程材料、建材用に不飽和ポリエステルシートや表面の保護層を転写する際の工程材料、イオン交換膜やセラミックグリーンシートなどのシート状構造体成形工程材料として好適に使用できる。
粘着材料としては、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどが挙げられる。より具体的には、基材に粘着剤が積層されたものである。粘着剤の成分や基材は特に限定されないが、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤が挙げられ、ここには、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。基材としては、上述の、紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
液晶ディスプレー用部品としては、偏光板、位相差偏光板、位相差板などが挙げられる。
シート状構造体の例としては、パーフロロスルホン酸樹脂などの高分子電解質などからなるイオン交換膜や、誘電体セラミックスやガラスなどからなるセラミックグリーンシートなどが挙げられる。これらは、溶媒でペースト状あるいはスラリー状とした原料を、離型用シート上へキャストすることで形成される。
上記の中でも、本発明の離型用シートは、防眩性および視認性を必要とする粘着材料や液晶ディスプレー用部品などの保護材料や建材などの用途に、好適に用いられる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
・測定または評価方法
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂の融点
樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 商品名「DSC7」)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線から融点を求めた。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂のビカット軟化点
JIS K7206−1979に従って測定した。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K6730(190℃、2160g荷重)に従って測定した。
(5)水性分散体の有機溶剤含有率
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−8A」)[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール]を用い、水性分散体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(6)固形分濃度
液状物を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(7)酸変性ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、商品名「UPA150」)(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径を求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.57とした。
(8)離型層の厚み
接触式膜厚計により、液状物を基材にコーティングし、乾燥して離型層を積層して得られたシート(離型用シート)の全体の厚さから、基材の厚さを減じて求めた。
(9)中心面表面粗さ
光干渉型非接触表面粗さ計(テーラーホブソン社製、商品名「CCI6000」)を用い、中心面表面粗さ(Sa)を測定した。
(10)剥離強度
得られた離型用シートの離型層側に、幅50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、「No.31B」)(アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して試料とした。この試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻し、剥離強度測定用試料を得た。剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型用シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社、「製精密万能材料試験機2020型」)にて測定した。測定時の剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分であった。
(11)防眩性
0.1mm幅の黒色の直線が20mmピッチで印刷されたメラミン樹脂含浸化粧紙表面に、アミノ基を有するポリエステルアミド樹脂(軟化点:160℃)を2g/m塗布し、ポリエステルアミド樹脂層が形成された化粧シートを準備した。この化粧シートのポリエステルアミド樹脂層の上に、下記の組成物(a)を塗布した。次いで、実施例または比較例で作成した離型用シートで、上記の組成物(a)の塗布面を被覆し、ローラーで延展脱気し、樹脂を硬化させた。その後、離型用シートを剥離除去して、樹脂シートを得た。なお、硬化後の組成物(a)層の厚みは100μmであった。
得られた樹脂シートにおいて、離型用シートを剥離させた面の真上30cmから、蛍光灯の光を照射し、蛍光灯の映り具合を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の反射光が、直線状の帯として観察されず、ぼやけて見える。
×:蛍光灯の反射光が、直線状の帯として明瞭に確認される。
なお、組成物(a)の組成は以下の通りである。
エポキシメタクリレート(スチレンモノマー20質量%含有)100重量部、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド1.5重量部、8質量%オクチル酸コバルト0.15重量部
(12)視認性
(11)の防眩性評価で作成した樹脂シートにおいて、離型用シートを剥離させた真上30cmから蛍光灯の光を照射し、蛍光灯と照射面とを結ぶ垂線とが45°の角度をなす方向から照射面を観察した。樹脂シートを構成するメラミン樹脂含浸化粧紙表面に印刷された黒線の視認性を目視にて確認し、以下の基準で評価した
○:黒線が直線状にはっきり見える。
△:黒線が存在していることは確認できるが、ぼやけて見える。
×:黒線が存在していることが確認できない。
(13)光沢度
光沢度計(村上色彩技術研究所製 商品名「True GlOSS GM−26PRO」)を用いて、離型層表面の光沢度を測定した。
実施例において用いた材料を以下に示す。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂
・無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、「ボンダインLX−4110」)(以下、「LX−4110」と称する場合がある)
・アクリル酸変性ポリオレフィン樹脂(ダウケミカル社製、「プリマコール5980I」)(以下、「5980I」と称する場合がある)
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂の水性分散体
・ポリウレタン樹脂水性分散体(アデカ社製、「アデカボンタイターHUX380」)(固形分濃度:38質量%)(以下、「HUX380」と称する場合がある)
・ポリエステル樹脂水性分散体(ユニチカ社製、「エリーテルKZA−3556」)(固形分濃度:30質量%)(以下、「KZA−3556」と称する場合がある)
(3)カルボジイミド化合物
・日清紡社製、「カルボジライトE−01」(固形分濃度:40質量%)(以下、「E−01」と称する場合がある)
・日清紡社製、「カルボジライトE−02」(固形分濃度:40質量%)(以下、「E−02」と称する場合がある)
(4)オキサゾリン化合物
・日本触媒社製、「エポクロスWS−500」(以下、「WS−500」と称する場合がある)
(5)その他の反応性を有する化合物
・イソシアネート化合物(BASF社製、「Basonat HW−100」)(固形分濃度:100質量%)(以下、「HW−100」と称する場合がある)
・エポキシ化合物水分散体(アデカ社製、「アデカレジン EM−051R」)(固形分濃度:50質量%)(以下、「EM−051R」と称する場合がある)
(6)ポリビニルアルコール
・日本酢ビ・ポバール社製、「VC−10」(重合度:1,000)(以下、「VC−10」と称する場合がある)
(7)マット剤
・不定形微粉状シリカ(富士シリシア化学社製、「サイリシア310P」)(平均粒径:2.0μm)(以下、「310P」と称する場合がある)
・破砕シリカ(東亞合成社製、「FS−3DC」)(平均粒径:2.9μm)(以下、「FS−3DC」と称する場合がある)
・球状シリカ(東亞合成社製、「FB−ISDX」)(平均粒径:1.7μm)(以下、「FB−ISDX」と称する場合がある)
・ポリプロピレンフィラー(トライアル社製、「TRL−PP−101」)(平均粒径:1.8μm)(以下、「TRL−PP」と称する場合がある)
・アミド系フィラー(トライアル社製、「TRL−12PA−101」)(平均粒径:2.1μm)(以下、「TRL−12」と称する場合がある)
・ポリプロピレン微粒子(セイシン企業社製、「PPW−5パウダー」)(平均粒径:5μm)(以下、「PPW−5」と称する場合がある)
・ポリプロピレン微粒子(セイシン企業社製、「PPW−10パウダー」)(平均粒径:10μm)(以下、「PPW−10」と称する場合がある)
・コロイダルシリカ(日産化学社製、「スノーテックスXS」)(平均粒径:0.005μm、平均粒径固形分濃度:20%)(以下、「XS」と称する場合がある)
・アモルファスシリカ(日本触媒社製、「シーホスターKE−P10」)(平均粒径:0.11μm)(以下「KE−P10」と称する場合がある)
・ポリエチレン製パウダー(セイシン企業社製、「SK−PE−20Lパウダー」)(平均粒径20μm)(以下「SK−PE−20L」と称する場合がある)
・ポリメタクリル酸メチル系架橋物(日本触媒社製 「エポスターM1002」)(平均粒径 2.5μm)(以下「MA1002」と称する場合がある)
(8)基材フィルム
・二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、「エンブレットS-38」)(厚み:38μm、中心面平均粗さ:0.035)(以下、「S-38」と称する場合がある)
・ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、「エンブレットPTHA−25」)(厚み:25μm、中心面平均粗さ:0.240)(以下、「PTHA−25」と称する場合がある)
・サンドマットフィルム(ユニチカ社製、「エンブレットSM−38」)(厚み:38μm、中心面平均粗さ:0.360)(以下、「SM−38」と称する場合がある)
・コーティングマットフィルム(ユニチカ社製、「エンブレットCM−38 DM20」)(厚み:38μm、中心面平均粗さ:0.353)(以下、「CM−38」と称する場合がある)
〔水性分散体(M−1)の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのLX−4110、90.0gのIPA(和光純薬社製)、3.0gのTEA(和光純薬社製)、および147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとした。そして系内温度を140〜145℃に保って、さらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(M−1)を得た。
〔水性分散体(M−2)の製造〕
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの5980I、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そして系内温度を140〜145℃に保って、さらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(M−2)を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
水性分散体(M−1)、(M−2)の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂の組成を表1に、水性分散体(M−1)、(M−2)の組成を表2に示した。
Figure 0005653123
Figure 0005653123
実施例1
(M−1)、WS−500の水性溶液(固形分濃度:40質量%)、310PおよびVC−10を配合して、10質量%の液状物を得た。配合量は、(M−1)の固形分100質量部に対し、WS−500が5質量部(固形分)、310Pが20質量部、VC−10が30質量部であった。
得られた液状物を、S-38のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした後、150℃で90秒間乾燥させて、0.2μmの離型層をフィルム上に形成させた。次いで、60℃で一週間エージング処理することで離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価を表3に示した。
Figure 0005653123
実施例2〜11
実施例1において使用したマット剤の種類と配合量を、それぞれ表3に示すように変更し、実施例1と同様の操作を行って離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表3に示した。
実施例12〜14
実施例1において用いた基材フィルムの種類を、それぞれ表4に示すように変更し、実施例1と同様に離型用シートを得た。各々の離型用シートの評価結果を表4に示した。
Figure 0005653123
実施例15
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(M−1)、WS−500の水溶液(固形分濃度:40質量%)および310Pを配合して、固形分濃度10質量%の液状物を得た。配合量は、(M−1)の固形分100質量部に対し、WS−500が5質量部(固形分)、310Pが20質量部であった。
得られた液状物を、S−38のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした。次いで、150℃で90秒間乾燥させて、0.2μmの離型層をフィルム上に形成させた後、60℃で一週間エージング処理することで離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例16
実施例7において使用した不定形球状シリカを、それぞれ0質量部とし、さらに基材フィルムの種類をSM−38とした以外は、実施例7と同様にして離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例17
基材フィルムの種類をSM−38とした以外は、実施例7と同様にして離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例18
実施例1において使用した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(M−1)を(M−2)に変更し、WS−500の含有量を(M−2)100質量部に対して固形分で15質量部とした以外は、実施例1と同様にして離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例19〜21
表4に示すように、WS−500の有無または配合量、E−01の有無と配合量、E−02の有無と配合量、マット剤の種類を変更した以外は、実施例1と同様に離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例22
(M−1)、WS−500の水性溶液(固形分濃度:40質量%)、E−02、310Pを配合して、10質量%の液状物を得た。配合量は、(M−1)の固形分100質量部に対し、WS−500が3質量部(固形分)、E−02が2質量部、310Pが20質量部、VC−10が30質量部であった。得られた液状物を、S−38のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした。次いで、150℃で90秒間乾燥させて、0.2μmの離型層をフィルム上に形成させたあと、60℃で一週間エージング処理することで離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
実施例23
実施例1のWS−500をE−02に変更した以外は、実施例1と同様にして離型シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表4に示した。
比較例1、比較例2
実施例1で用いた不定形粉状シリカの添加量を、それぞれ0質量部、2質量部とした以外は実施例1と同様にして離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
Figure 0005653123
比較例3、4
比較例1において使用した基材フィルムを表4に示したように変更し、塗布厚みをそれぞれ1μm、2μmとした以外は比較例1と同様に離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
比較例5
実施例1において使用した310Pの代わりに、XSを酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体100質量部に対して20質量部となるように添加した以外は実施例1と同様に離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
比較例6
比較例1において(M−1)を(M−2)に変えた以外は、比較例1と同様に離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
比較例7
実施例9において、(M−1)に代えて、HUX380を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
比較例8
実施例9において(M−1)に代えて、KZA−3556を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
比較例9、10
実施例9において、オキサゾリン化合物に代えて、HW−100の10質量%水溶液、またはEM−051Rを、それぞれ、(M−1)の固形分100質量部に対して固形分量が5質量部となるように添加して液状物を得た。得られた液状物を実施例1と同様にして、それぞれ、離型用シートを得た。得られた離型用シートの評価結果を表5に示した。
実施例1〜23の離型用シートは離型性に優れていた。また、離型層のつや(光沢)が抑制されていたため、この離型用シートに貼り付けられた後に剥離された被着体は、防眩性が優れていた。加えて、該被着体においては、視認性も維持されていた。
特に、マット剤として、非架橋の熱可塑性樹脂微粒子を用いた実施例5〜9においては、60°光沢度が40〜50%の範囲であったため、防眩性に加えて視認性においても優れるものであった。
比較例1、2および6より明らかなように、離型層中のマット剤の含有量が少ない場合には、離型層の中心面平均粗さが低下し、60°光沢度が非常に高いものとなった。その結果、離型用シートに貼り付けられた後に剥離された被着体表面の防眩性および視認性において劣るものであった。
比較例3および4は、マット剤が含有されていなかったため、60°光沢度が非常に高いものとなった。その結果、離型用シートに貼り付けられた後に剥離された被着体表面の防眩性および視認性において劣るものであった。
比較例5は、マット剤の平均粒径が小さいものであったため、60°光沢度が非常に高いものとなった。その結果、離型用シートに貼り付けられた後に剥離された被着体表面の防眩性および視認性において劣るものであった。
比較例7および8より明らかなように、本発明で規定する酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を用いた場合には、離型性に劣り、実用に耐えうるものではなかった。特に、比較例8では、剥離強度を測定する際に粘着テープが切れてしまったため、剥離強度を測ることができず、さらにその後の再粘着性を測ることもできなかった。
比較例9および10より明らかなように、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物の代わりに、イソシアネート化合物やエポキシ樹脂といった他の架橋剤を用いた場合は、離型性に劣り、実用に耐え得るものではなかった。

Claims (4)

  1. 基材上に下記(i)および(ii)を含有する離型層を有し、離型層と被着体との間の剥離強度が10N/50mm以下であり、かつ前記離型層表面の60°光沢度が50%以下であることを特徴とする離型用シート。
    (i)酸変性ポリオレフィン樹脂
    (ii)カルボジイミド化合物とオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種、および/またはポリビニルアルコール
  2. 酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の割合が1〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の離型用シート。
  3. 離型層が平均粒径0.1〜10μmの微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の離型用シート。
  4. 微粒子が非架橋の熱可塑性樹脂微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の離型用シート。
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