JP7308673B2 - 合成皮革用工程紙及び合成皮革の製造方法 - Google Patents

合成皮革用工程紙及び合成皮革の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成皮革用工程紙及び合成皮革の製造方法に関する。
合成皮革は、工程紙を用いて製造される。工程紙は、紙などの基材と、剥離剤樹脂組成物からなる剥離剤層と、を有する。合成皮革の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、工程紙の剥離剤層の上にウレタン樹脂又は塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を主成分とする塗工液を塗布し、塗布した塗工液を乾燥させて樹脂層を形成する。必要に応じて樹脂層の上に、接着剤を介して基布をさらに貼合する。最終的に、工程紙から樹脂層を剥離することにより合成皮革が製造される。
このような合成皮革の製造方法においては、工程紙の剥離剤層の表面状態が合成皮革の表面に転写されるため、工程紙の表面状態によって合成皮革の光沢、艶消又は柄模様等が異なる。
エナメル調合成皮革用の工程紙には高い表面平滑性が求められ、マット調合成皮革用の工程紙には表面凹凸を設けた高い艶消し性が求められる。
例えば、特許文献1には、一般的に光沢度が非常に高く、いわゆるエナメル調と称される合成皮革を製造するために、シリコーン変性アルキド樹脂を含む、工程紙剥離用樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、エンボス加工や起毛加工等を行わずに、マット調合成皮革の製造に好適なマット層形成用組成物が開示されている。特許文献2に記載のマット層形成用組成物は、艶消し剤として多孔性微粒子を含む。
特開平10-306253号公報 特開2004-115972号公報
現在市販されている多くの合成皮革用工程紙は、高光沢のエナメル調のグレード又は非光沢のマット調のグレードに大別される。ところで、エナメル調の合成皮革では光沢が強過ぎ、ぎらついた印象を受けかえって安っぽく感じられたり、マット調の合成皮革では風合いが単調であったりして、いずれも高級感に乏しいと捉えられる傾向にある。近年、消費者志向は多様化しており、新たな外観を有する合成皮革として、艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する合成皮革が求められている。
特許文献1に記載のエナメル調合成皮革で使用される工程紙及び特許文献2に記載のマット調合成皮革で使用される工程紙では、艶消し性と光沢感とを兼ね備えた合成皮革を製造できない。この理由は、エナメル調用の工程紙及びマット調用の工程紙は、いずれも、艶消し性と光沢感とを呈するための表面状態を有していないことに起因する。また、エナメル調ほど光沢感が強過ぎず、マット調ほど艶消し感が強過ぎない外観は、セミマット調と称される場合がある。セミマット調の外観を有する合成皮革についても、さらに高級感を増すことが求められている。
本発明の目的は、艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する合成皮革を製造できる合成皮革用工程紙を提供すること、並びに艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する合成皮革の製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、基材と、前記基材上に形成された剥離剤層とを備えた合成皮革用工程紙であって、JIS Z 8741-1997に準拠した前記剥離剤層の鏡面光沢度が、20°グロス値で5.0%以下であり、60°グロス値で3.0%以上、10.0%以下であり、85°グロス値で2.0% 以上、8.0%以下である合成皮革用工程紙が提供される。
本発明の一態様に係る合成皮革用工程紙において、前記剥離剤層は、不定形粒子を含有することが好ましい。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る合成皮革用工程紙の前記剥離剤層上に、合成樹脂を含む塗工液を塗布する工程と、塗布された前記塗工液を乾燥して合成皮革を形成する工程と、乾燥後、前記合成皮革用工程紙を前記合成皮革から剥離する工程と、を含む、合成皮革の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する合成皮革を製造できる合成皮革用工程紙を提供できる。
また、本発明の別の一態様によれば、艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する合成皮革の製造方法を提供できる。
本発明の実施形態に係る工程紙の構造を示す断面図。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る合成皮革用工程紙1が示されている。合成皮革用工程紙1は、基材2及び剥離剤層3を備える。
[1]基材
合成皮革用工程紙1の基材2は、剥離剤層3を支持する。
基材2は、剥離剤層3を支持できる部材であれば、特に限定されず、適宜選択できる。基材2としては、例えば、紙基材及び樹脂フィルム等が挙げられる。
紙基材としては、例えば、上質紙、中質紙、グラシン紙、アート紙及びコート紙等が挙げられる。
基材2としては、例えば、紙基材と、ラミネート層と、を備えるラミネート紙も挙げられる。ラミネート層は、紙基材に熱可塑性樹脂をラミネートすることで形成される。ラミネート層における熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルからなるフィルム及びポリオレフィンからなるフィルムなどが挙げられる。ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリブチレンテレフタレート等のフィルムが挙げられる。ポリオレフィンフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等のフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムは、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の樹脂フィルムからなる多層であってもよい。
基材2は、強度及び入手が容易である観点から、紙基材であることが好ましい。
紙基材としては、例えば、コート紙であることも好ましい。基材2としてコート紙を用いることにより、工程紙に耐熱性、強度及びバリア性を付与することができる。コート紙は、紙に顔料及びバインダーを含む塗工液を塗布して製造される。
コート紙としては、例えば、キャストコート紙及びクレーコート紙等が挙げられる。キャストコート紙は、原紙にコートした塗料面を鏡面加工することから平滑性に優れる。また、クレーコート紙は、顔料にクレーを用い鏡面加工が行われないことから、安価で比較的粗めの表面となる。合成皮革に求められる風合いがエナメル調寄りのセミマット調であれば、基材2としてキャストコート紙が好適であり、求められる風合いがマット調寄りのセミマット調であれば、基材2としてクレーコート紙が好適である。
キャストコート紙の市販品としては、例えば、日本製紙(株)製のエスプリシリーズ及び王子製紙(株)製のミラーコートシリーズ等が挙げられる。クレーコート紙の市販品としては、例えば、リンテック(株)製のEV130RE-6Sカイ2等が挙げられる。
基材2の厚さは、特に限定されないが、5μm以上、300μm以下であることが好ましく、10μm以上、200μm以下であることがより好ましい。
[2]剥離剤層
剥離剤層3は、基材2の上に形成されている。
基材2と剥離剤層3とは、図1に示すように、直接、接していても良いし、基材2と剥離剤層3との間に中間層を有していてもよい。中間層としては、例えば、基材2と剥離剤層3との密着性を向上させるための接着剤層等が挙げられる。
(鏡面光沢度)
本実施形態に係る合成皮革用工程紙1において、剥離剤層3は、所定範囲の鏡面光沢度を有する。鏡面光沢度は、JIS Z 8741-1997に準拠して測定される。
JIS Z 8741-1997に準拠した剥離剤層3の鏡面光沢度の範囲は、20°グロス値で5.0%以下であり、60°グロス値で3.0%以上、10.0%以下であり、85°グロス値で2.0%以上、8.0%以下である。
合成皮革用工程紙1の剥離剤層3が、3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度が上述の範囲を満たしていれば、当該合成皮革用工程紙1を用いて製造した合成皮革は、艶消し性と光沢感とを兼ね備え、高級感を有する。艶消し性は、防眩性及び耐指紋性を合成皮革に付与して、落ち着いた印象を与えることができ、光沢感を兼ね備えることで、よりしっとりとした高級感を合成皮革に付与できる。
また、合成皮革用工程紙1を用いて合成皮革を製造することで、剥離剤層3の表面形状が転写された合成皮革の樹脂層表面の鏡面光沢度は、高角度では小さく、低角度では中程度である。合成皮革がこのような鏡面光沢度を有することで、合成皮革を用いて作られる立体的な製品の見え方として、艶消しされる領域と、淡く光沢のある領域とが混在するようになり、特に光源に対向する稜線が淡く光ることになる。このため、合成皮革を用いて作られる製品の立体感が強調され、高級感を感じることができる。
したがって、本実施形態に係る合成皮革用工程紙1を用いることで、通常のセミマット調合成皮革よりも優れた外観(高級感)を有する合成皮革を製造できる。
剥離剤層3の鏡面光沢度は、20°グロス値で1.0%以上、5.0%以下であることが好ましく、1.0%以上、3.0%以下であることがより好ましい。
剥離剤層3の鏡面光沢度は、60°グロス値で3.5%以上、9.0%以下であることが好ましく、3.5%以上、8.5%以下であることがより好ましい。
剥離剤層3の鏡面光沢度は、85°グロス値で2.0%以上、7.5%以下であることが好ましく、2.0%以上、7.0%以下であることがより好ましい。
剥離剤層3の膜厚は、特に限定されないが、3.0μm以上、12.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上、8.0μm以下であることがより好ましい。剥離剤層3の膜厚を上述の範囲とすることで、3つの角度(20°、60°及び85°)における剥離剤層3の鏡面光沢度が上述の範囲を満たし易くなる。
[2-1]剥離剤組成物
剥離剤層3は、剥離剤組成物により形成されることが好ましい。
図1に示す剥離剤層3は、剥離剤組成物31により形成されている。剥離剤組成物31は、剥離性主剤と充填剤32を含有する。剥離剤組成物31は、必要に応じて、例えば、添加剤及び溶媒等の少なくともいずれかを含有する。
(剥離性主剤)
剥離剤組成物31を形成する剥離性主剤としては、
(1)低極性でそれ自身が剥離性を示すポリマー化合物、
(2)化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料、
(3)ポリマー材料に剥離性の低分子又はオリゴマー成分を添加して剥離性を付与された組成物等が挙げられる。
低極性でそれ自身が剥離性を示すポリマー化合物としては、ポリオルガノシロキサン;フルオロポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ポリマー等が挙げられる。
化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料において、化学修飾されるポリマー成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、水酸基含有アクリル酸エステル共重合体、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。これらポリマー成分は、化学修飾されていなければ剥離性を示さない場合が多い。
また、化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料において、化学修飾する成分としては、官能基を有するポリオルガノシロキサン又はオルガノシロキサンオリゴマー;官能基を有するフルオロカーボン化合物;官能基を有する長鎖アルキル化合物が挙げられる。このうちの長鎖アルキル化合物としては、炭素数12以上のアルキル基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、ラウリル基、パルミチル基及びステアリル基等が挙げられる。
化学修飾する化合物の官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、チオール基及びアルコキシシリル基等が挙げられる。
化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料は、通常、シリコーン変性樹脂、フルオロ変性樹脂又は長鎖アルキル変性樹脂のように呼称される。
ポリマー材料に剥離性の低分子又はオリゴマー成分を添加して剥離性を付与された組成物において、用いられるポリマー材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。
これらのポリマー材料に添加される剥離性の低分子又はオリゴマー成分としては、ワックス(炭化水素化合物);ポリオルガノシロキサン又はオルガノシロキサンオリゴマー;フルオロカーボン;長鎖アルキル化合物が挙げられ、さらに、これら剥離性の低分子又はオリゴマー成分のポリエーテル付加物及びポリエステル付加物等も挙げられる。
これらの中でも、剥離性主剤としては、剥離性又は耐熱性が向上し易いという観点、また、充填剤又は他の添加剤との親和性が良好になり得るという観点から、化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料が好ましく、ポリオルガノシロキサンで化学修飾されたアルキド樹脂(いわゆるシリコーン変性アルキド樹脂)がより好ましい。
剥離剤組成物31は、一種の剥離性主剤を含有していてもよく、二種以上の剥離性主剤を含有していてもよい。
[2-2]充填剤32
充填剤32は、不定形粒子であることが好ましい。不定形粒子としては、一つの粒子自体で不定形である場合、並びに複数の一次粒子又は多次粒子(二次以上の粒子)が凝集して形成された凝集粒子の形状が不定形である場合も含む。そのため、一次粒子が球形であっても、当該球形の一次粒子が凝集してなる凝集粒子が不定形であれば、本実施形態における充填剤32として用いることができる。充填剤32の形状は、電子顕微鏡等により確認できる。
充填剤32が不定形粒子であることにより、3つの角度(20°、60°及び85°)における剥離剤層3の鏡面光沢度を前述の範囲に制御し易い。また、充填剤32が不定形粒子であることにより、剥離剤層3への配合量を少なくしても、3つの角度(20°、60°及び85°)における剥離剤層3の鏡面光沢度を前述の範囲に制御し易い。
一次粒子の不規則な凝集からなる不定形粒子は、一次粒子又は多次粒子(二次以上の粒子)の凝集による、幅広い空隙径分布の空隙を有する。このような空隙が、マット調として視認される不規則な光の散乱に寄与すると考える。一次粒子の不規則な凝集からなる不定形粒子を充填剤32として用いることによって、剥離剤層3への添加量が少なくても、3つの角度(20°、60°及び85°)における剥離剤層3の鏡面光沢度を前述の範囲に制御でき、所望の艶感を発現する工程紙を得ることができる。さらに、剥離剤層3への充填剤32の添加量を少なくすることができるので、剥離剤組成物31の塗工適性が良好になったり、合成皮革用工程紙1から合成皮革を剥離する際の離型性を向上させたりすることもできる。また、剥離剤層3への充填剤32の添加量を少なくすることで、剥離剤層3から充填剤32が脱落し難くなるので、合成皮革用工程紙1を繰り返し使用しても剥離剤層3の鏡面光沢度が維持され易くなる。また、剥離剤層3への充填剤32の添加量を少なくすることで、合成皮革用工程紙1のコストを低減することもできる。
充填剤32の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー及び尿素樹脂等が挙げられる。
耐熱性の観点から、充填剤32の材質としては、シリカ又はアルミナであることが好ましい。経済的な観点から、充填剤32の材質としては、シリカであることが好ましい。
充填剤32は、上述の材質の不定形粒子であることがより好ましい。充填剤32として用いる不定形粒子は、シリカ及びアルミナ等の原材料の塊状体を破砕又は粉砕して得た粒子でもよい。
分散性を向上させ易くする観点及び剥離性主剤との反応性を付与する観点から、充填剤32を構成する粒子表面は、有機基又は官能基等で修飾されていてもよいし、未修飾であってもよい。
剥離剤組成物31中の充填剤32の含有率は、5.0質量%以上、25.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以上、23.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以上、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
剥離剤組成物31中の充填剤32の含有率を上述の範囲とすることで、3つの角度(20°、60°及び85°)における剥離剤層3の鏡面光沢度を前述の範囲に制御し易く、かつ、剥離剤層3に適度な剥離力を付与できる。
充填剤32の平均粒子径D50は、3μm以上、15μm以下であることが好ましく、4μm以上、12μm以下であることがより好ましい。
充填剤32の平均粒子径D50が3μm以上であることにより、充填剤32が剥離剤層から露出し難くなることを抑制でき、所望の艶消し性(マット感)を得易くなる。充填剤32が剥離剤層から露出していないと、合成皮革の光沢感が強くなり、所望のマット感を得難くなるおそれがある。
充填剤32の平均粒子径D50が15μm以下であることにより、充填剤32が剥離剤層から露出し過ぎることを抑制でき、所望のマット感を得易くなる。充填剤32が大き過ぎると、剥離剤層から露出し過ぎて、合成皮革のマット感が強くなり過ぎるおそれがある。
なお、平均粒子径D50は、充填剤32が配合された剥離剤組成物を計測対象として、レーザー回折式粒度分布計により測定できる。具体的な測定方法は、実施例の項で説明する。
剥離剤組成物31は、剥離性主剤及び充填剤の他に、さらに、添加剤を含有していてもよい。剥離剤組成物31が含有しても良い添加剤としては、例えば、硬化剤、架橋剤、反応開始剤及び触媒等が挙げられる。剥離剤組成物31は、有機溶媒で希釈されていてもよい。
剥離剤組成物31に用いられる硬化剤、架橋剤及び反応開始剤としては、例えば、剥離性主剤が有する官能基と化学結合できる官能基を有する化合物が選択される。硬化剤、架橋剤及び反応開始剤は、剥離性主剤と反応して三次元網目構造を形成する。三次元網目構造が形成されることにより、剥離剤層3の被膜の強度及び耐熱性が向上する。
剥離剤組成物31に使用される硬化剤、架橋剤又は反応開始剤は、剥離性主剤が有する官能基と化学結合できる官能基を有する化合物であれば特に制限がないが、例えば、多価ヒドロシリル基含有オルガノシロキサン化合物、メラミン化合物、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アルデヒド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物及び金属錯体等が挙げられる。
剥離剤組成物31に使用される触媒は、剥離剤組成物の硬化反応(架橋反応)を低温及び短時間で進むよう反応促進させる化合物である。剥離剤組成物31に使用される触媒としては、例えば、当該硬化反応(架橋反応)に応じた化合物が選択される。例えば、多価ヒドロシリル基含有オルガノシロキサン化合物による付加反応には、白金触媒が用いられる。また、メラミン化合物による脱水、脱アルコールを伴う反応では、例えば、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒が用いられる。
剥離剤組成物31において、剥離性主剤への硬化剤、架橋剤又は反応開始剤の配合比率は、必要とされる工程紙の諸物性に適合するよう適宜選択されればよいが、例えば、剥離性主剤の不揮発成分100質量部に対して、0.1質量部以上、400質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、200質量部以下であることがより好ましい。
また、剥離剤組成物31において、剥離性主剤への触媒の配合比率も同様に、必要とされる剥離剤組成物の反応速度及び必要とされる工程紙の諸物性に適合するよう適宜選択されればよい。触媒の配合比率は、例えば、剥離性主剤の不揮発成分100質量部に対して、0.01質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。触媒の配合比率を前述の下限値以上とすることで、十分な硬化性により剥離力の経時安定性を得ることができる。触媒の配合比率を前述の上限値以下とすることで、塗工液のポットライフ安定性を得ることができる。
剥離剤組成物31を有機溶剤で希釈することにより剥離剤組成物溶液を調製してもよい。剥離剤組成物31を希釈する有機溶剤としては、剥離剤組成物31に対する溶解性及び揮発性が良好であって、剥離剤組成物31の各成分に対し化学的に不活性な溶剤であれば、特に限定されず、公知の溶剤の中から適宜選択して用いることができる。
剥離剤組成物31を希釈する有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。これら有機溶剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
剥離剤組成物31の溶液(剥離剤組成物溶液)中の不揮発分濃度は、塗工適性及び乾燥性の観点より、5質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上、40質量%以下であることがさらに好ましい。
[3]合成皮革用工程紙1の製造方法
合成皮革用工程紙1の製造方法は、特に限定されない。
合成皮革用工程紙1の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、剥離性主剤に充填剤32を適量添加して剥離剤組成物31を調製する。剥離剤組成物31には、必要に応じて前述の添加剤を添加してもよい。次に、調製した剥離剤組成物31を基材2の上に塗布する。次に、塗布した剥離剤組成物31の塗膜を硬化させることにより、基材2の上に剥離剤層3を形成できる。
剥離剤組成物31の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法及びグラビアコート法等が挙げられる。
剥離剤組成物31として前述の剥離剤組成物溶液を用いる場合の合成皮革用工程紙1の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、剥離剤組成物溶液を基材2の上に塗布し、次に、塗布した剥離剤組成物溶液の塗膜を加熱して乾燥させることにより、基材2の上に剥離剤層3を形成できる。
基材2の上に形成した塗膜を、乾燥させると共に加熱により硬化させてもよい。剥離剤組成物31に含まれる成分が活性エネルギー線で反応する官能基を有する場合、活性エネルギー線の照射により塗膜を硬化させてもよく、加熱と活性エネルギー線の照射とを併用して塗膜を硬化させてもよい。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線及び電子線等が挙げられる。
基材2の上に形成した塗膜を加熱する温度は、80℃以上、250℃以下であることが好ましく、100℃以上、230℃以下であることがより好ましい。
基材2の上に形成した塗膜を加熱する時間は、15秒間以上、5分間以下であることが好ましく、20秒間以上、3分間以下であることがより好ましい。
基材2の上に形成した塗膜を、乾燥時の加熱により硬化させてもよく、加熱以外の他の手段により硬化させてもよい。加熱以外の他の手段としては、例えば、活性エネルギー線の照射等が挙げられる。
合成皮革用工程紙1は、前述の製造方法に代えて、次のような製造方法により製造してもよい。まず、剥離性主剤に用いるポリマー材料として熱可塑性の樹脂を使用して、基材2の上に剥離剤組成物31を塗布又は溶融押出して剥離剤層3を形成する。基材2の上に形成された剥離剤層3に、エンボスロールを用いて、所定の凹凸形状を転写することにより、所望の合成皮革用工程紙1を製造できる。
例えば、上述のような製造方法の過程において、剥離剤組成物31の組成及び加工条件を調整することによって、合成皮革用工程紙1における剥離剤層3の鏡面光沢度(JIS Z 8741-1997に準拠)は、20°グロス値で5.0%以下であり、60°グロス値で3.0%以上、10.0%以下であり、85°グロス値で2.0%以上、8.0%以下となる。
[4]合成皮革用工程紙1の使用方法
合成皮革用工程紙1は、合成皮革の製造工程で使用される。
合成皮革用工程紙1を用いた合成皮革の製造方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、合成皮革用工程紙1の剥離剤層3の上に合成樹脂を主成分とする塗工液を塗布し、塗膜を乾燥させて樹脂層を形成する。必要に応じて、形成した樹脂層の上に、接着剤を介して基布をさらに貼合してもよい。合成皮革用工程紙1から樹脂層を剥離することにより、合成皮革を製造できる。
合成皮革の製造方法において用いる合成樹脂としては、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられ、合成皮革としての風合い及び耐久性の観点から、ウレタン樹脂が好ましい。
具体的には、合成皮革用工程紙1の剥離剤層3の上にウレタン樹脂を塗布し、適宜、塗膜を乾燥させてウレタン樹脂層を形成する。ウレタン樹脂層の上に接着剤を介して基布をさらに貼合して、熟成させる。熟成後、基布と共にウレタン樹脂層を合成皮革用工程紙1の剥離剤層3から剥離することにより、合成皮革を製造できる。なお、合成樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合、基布を用いずに合成皮革を製造してもよい。
合成皮革用工程紙1の剥離剤層3は、合成皮革の樹脂層に対する剥離力が、30mN/30mm以上、3000mN/30mm以下であることが好ましく、50mN/30mm以上、2000mN/30mm以下であることがより好ましく、60mN/30mm以上、1000mN/30mm以下であることがさらに好ましく、70mN/30mm以上、500mN/30mm以下であることがよりさらに好ましく、90mN/30mm以上、200mN/30mm以下であることがさらになお好ましい。
合成皮革の樹脂層に対する、剥離剤層3の剥離力が、上述の下限値以上であると、合成皮革の樹脂層が剥離剤層3から不意に剥がれることを防止できる。
合成皮革の樹脂層に対する、剥離剤層3の剥離力が、上述の上限値以下であると、合成皮革用工程紙1を繰り返し使用した後でも、合成皮革から合成皮革用工程紙1を安定して剥離でき、また、所望の光沢度を有する合成皮革を製造することができる。
合成皮革において、JIS Z 8741-1997に準拠した樹脂層の鏡面光沢度が、20°グロス値で1.0%以下であり、60°グロス値で2.0%以上、9.0%以下であり、85°グロス値で15.0%以上、30.0%以下であることが好ましい。合成皮革の樹脂層が、3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度が上述の範囲を満たしていることによっても、艶消し性と光沢感とを兼ね備えた外観を呈することができる。
合成皮革用工程紙1の剥離剤層3の3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度と、合成皮革用工程紙1を用いて製造した合成皮革の樹脂層の3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度と、を対比すると、いずれの角度についても一致せず、特に85°のように光源と測定面との角度が低角度の領域で鏡面光沢度の乖離が大きくなる。
従来、合成皮革用工程紙の表面粗さによって、合成皮革の樹脂層の低角度における鏡面光沢度を独立で中程度(例えば、15.0%以上、30.0%以下)の範囲に制御するという発想がなかった。
本実施形態に係る合成皮革用工程紙1を用いることで、合成皮革の樹脂層の3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度は、上述の範囲を満たし、高角度では小さく、低角度では中程度に制御できる。したがって、本実施形態に係る合成皮革用工程紙1によれば、通常のセミマット調の合成皮革よりも優れた外観(高級感)を有する合成皮革を提供できる。
合成皮革用工程紙1を用いて製造した合成皮革は、様々な用途に適用でき、用途としては、例えば、靴、鞄、ソファ、ランドセル、及び車両の内装材等が挙げられる。
〔実施形態の変形〕
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等を含むことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、実施例に限定されない。
[合成皮革用工程紙の作製]
本実施例及び比較例で使用した剥離剤組成物及び剥離剤層について、表1に示す。
[実施例1]
シリコーン変性アルキド樹脂溶液(商品名:テスファイン309、日立化成ポリマー(株)製)100質量部(固形分濃度:50質量%)及びトルエン113質量部を含む混合溶液中に、一次粒子の不規則な凝集から成る不定形粒子(商品名:E-200A、東ソー・シリカ(株)製)6質量部(固形粉末)を充填剤として添加し、ディスパーを用いて3,000rpmで10分間分散した。表1中の充填剤の平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布計(Malvern Panalytical社製の製品名「マスターサイザー3000」)を用いて体積基準の粒度分布D50(体積粒度分布におけるD50)を測定して得た値である。
分散後の混合溶液に硬化触媒としてのp-トルエンスルホン酸メタノール溶液(固形分濃度50質量%)2.7質量部を添加し攪拌した。なお、表1に示す剥離剤組成物における配合比は、剥離性主剤の固形分の質量部を100質量部として固形分比に換算した値である。
攪拌後の混合溶液を、紙基材であるクレーコート紙(商品名:EV130RE-6Sカイ2、リンテック(株)製、坪量:140g/m)のコート層の上に塗布し、180℃で60秒間、乾燥及び硬化させ、硬化後の膜厚が約6.5μmである剥離剤層を有する合成皮革用工程紙を得た。
[実施例2]
実施例2に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を一次粒子の不規則な凝集から成る不定形粒子(商品名:SS-50A、東ソー・シリカ(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。表1中、PDMSは、ポリジメチルシロキサンを表す。
[実施例3]
実施例3に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を一次粒子の不規則な凝集から成る不定形粒子(尿素樹脂)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[実施例4]
実施例4に係る合成皮革用工程紙は、充填剤の配合比を24質量部(固形粉末)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[実施例5]
実施例5に係る合成皮革用工程紙は、硬化後の剥離剤層の膜厚を約4.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[実施例6]
実施例6に係る合成皮革用工程紙は、剥離性主剤をシリコーン・ステアリル変性アクリル樹脂(商品名:X-62-9088、信越化学(株)製、固形分濃度:38.3質量%)に変更し、充填剤を一次粒子の不規則な凝集から成る不定形粒子(商品名:E-200A、東ソー・シリカ(株)製)3.7質量部(固形粉末)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[実施例7]
実施例7に係る合成皮革用工程紙は、剥離性主剤をシリコーン・ステアリル変性アクリル樹脂(商品名:X-62-9088、信越化学(株)製、固形分濃度:38.3質量%)に変更し、充填剤を球形多孔質のメラミン/シリカ複合粒子(商品名:オプトビーズ6500M、日産化学工業(株)製)9.5質量部(固形粉末)に変更し、さらに、硬化後の剥離剤層の膜厚を約4.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[比較例1]
比較例1に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を添加しない以外は実施例1と同様にして作製した。
[比較例2]
比較例2に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を球形のシリコーン粒子(商品名:トスパール145、(株)タナック製)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[比較例3]
比較例3に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を球形多孔質のメラミン/シリカ複合粒子(商品名:オプトビーズ6500M、日産化学工業(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
[比較例4]
比較例4に係る合成皮革用工程紙は、充填剤を不定形粒子のでんぷん(添加量8.5質量部)に変更し、さらに、硬化後の剥離剤層の膜厚を約6.0μmに変更した以外は実施例1と同様にして作製した。
Figure 0007308673000001
[合成皮革用工程紙の評価]
(鏡面光沢度)
光沢計「VG7000」(日本電色工業(株))を用いて、合成皮革用工程紙の剥離剤層の鏡面光沢度として、角度20°、60°及び85°の光沢度を測定した。鏡面光沢度は、「JIS Z8741-1997の鏡面光沢度-測定方法」に準じて測定した。
[合成皮革の評価]
以下に示すように合成皮革を作製し、作製した合成皮革の鏡面光沢度及び外観について評価した。評価結果を表2に示す。
(合成皮革の作製)
合成皮革用工程紙の剥離剤層の面に樹脂層塗工液を150μmアプリケーターにて塗工し、100℃で180秒、乾燥及び硬化させた。硬化後の樹脂層の膜厚は、36μmであった。樹脂層の上に接着剤層塗工液を75μmアプリケーターにて塗布し、塗布した接着剤層塗工液に基布を貼り合せてハンドローラーで圧着した後、100℃で180秒、乾燥及び硬化させた。硬化後の接着剤層の膜厚は、35μmであった。
接着剤層を硬化させた後、室温にて3分間放置した。放置後、基布を把持して合成皮革用工程紙の剥離剤層と樹脂層との界面を引き剥がすことで合成皮革を作製した。
(樹脂層塗工液の調製方法)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(商品名:クリスボン7367SL、DIC(株)製)100質量部(固形分濃度:35質量%)、黒色顔料(商品名:UST-3794black、大日精化工業(株)製)15質量部(固形分濃度:15質量%)、メチルエチルケトン30質量部及びジメチルホルムアミド10質量部を混合し撹拌して、樹脂層塗工液を調製した。
(接着剤層塗工液の調製方法)
ポリウレタン樹脂(商品名:クリスボン4010、DIC(株)製)100質量部(固形分濃度:50質量%)、アミン系触媒(商品名:クリスボンアクセルHM、DIC(株)製)3質量部(固形分濃度100質量%)、ジメチルホルムアミド5質量部及びトルエン10質量部を混合し撹拌して、接着剤層塗工液を調製した。接着剤層塗工液を使用する前にポリイソシアネート架橋剤(商品名:バーノックD-750、DIC(株)製)10質量部(固形分濃度:75質量%)を混合し、撹拌後、接着剤層塗工液を使用した。
(鏡面光沢度)
光沢計「VG7000」(日本電色工業(株))を用いて、合成皮革の樹脂層表面の鏡面光沢度として、角度20°、60°及び85°の光沢度を測定した。光沢度は、「JIS Z8741-1997の鏡面光沢度?測定方法」に準じて測定した。
(外観)
光源としての蛍光灯を、合成皮革の真上に配置し、合成皮革の樹脂層表面を真上から観察し、任意の角度で折り曲げたときの光沢有無を目視で評価した。平面部分には光沢が無いが、折り曲げた部分に追従して光沢を発現する合成皮革が望ましい。平面部の光沢が無く、かつ折り曲げ部の光沢が有る場合に、A判定とした。平面部の光沢が有る場合及び折り曲げ部に光沢が無い場合の少なくとも一方に該当する場合に、B判定とした。
Figure 0007308673000002
実施例1~7に係る合成皮革用工程紙については、剥離剤層の鏡面光沢度が、20°グロス値で5.0%以下であり、60°グロス値で3.0%以上、10.0%以下であり、85°グロス値で2.0%以上、8.0%以下である範囲を満たしていた。このような実施例1~7に係る合成皮革用工程紙を用いて作製した合成皮革の外観は、平面部の光沢が無く、かつ折り曲げ部の光沢が有るA判定であった。合成皮革用工程紙の鏡面光沢度と、合成皮革の鏡面光沢度と、を対比すると、20°グロス値及び60°グロス値に関しては、大きな変化はなかったが、85°グロス値に関しては、10%以上、増加した。このように、実施例1~7に係る合成皮革用工程紙を用いて作製した合成皮革は、見る角度によって、異なる外観(艶消し性及び光沢感)を呈した。
すなわち、実施例1~7に係る合成皮革用工程紙によれば、艶消し性と光沢感とを兼ね備えた合成皮革を製造できた。
比較例1に係る合成皮革用工程紙については、剥離剤層の鏡面光沢度が、20°、60°及び85°グロス値でいずれも90%以上であった。比較例1に係る合成皮革用工程紙を用いて作製した合成皮革の鏡面光沢度についても、20°、60°及び85°グロス値がいずれも大きく、高光沢であり、艶消し性が得られずB判定であった。
比較例2及び3に係る合成皮革用工程紙については、剥離剤層の鏡面光沢度が、20°、60°及び85°グロス値において、前記実施形態で説明した所望の外観を得るための3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度の範囲から外れていた。そのため、比較例2及び3に係る合成皮革用工程紙を用いて作製した合成皮革は、平面部にも光沢が有ったため、艶消し性と光沢感と兼ね備えておらず、B判定であった。
比較例4に係る合成皮革用工程紙については、剥離剤層の鏡面光沢度が、20°、60°及び85°グロス値でいずれも小さな値であり、前記実施形態で説明した所望の外観を得るための3つの角度(20°、60°及び85°)における鏡面光沢度の範囲から外れていた。そのため、比較例4に係る合成皮革用工程紙を用いて作製した合成皮革は、平面部及び折曲部にも光沢が無く、艶消し性と光沢感と兼ね備えておらず、B判定であった。
1…合成皮革用工程紙、2…基材、3…剥離剤層、31…剥離剤組成物、32…充填剤。

Claims (3)

  1. 基材と、前記基材上に形成された剥離剤層とを備えた合成皮革用工程紙であって、
    前記剥離剤層は、剥離剤組成物により形成され、
    前記剥離剤組成物は、剥離性主剤と、充填剤と、を含有し、
    前記充填剤は、不定形粒子であり、
    前記剥離性主剤は、化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料であり、
    JIS Z 8741-1997に準拠した前記剥離剤層の鏡面光沢度が、
    20°グロス値で5.0%以下であり、
    60°グロス値で3.0%以上、10.0%以下であり、
    85°グロス値で2.0%以上、8.0%以下である、
    合成皮革用工程紙。
  2. 請求項1に記載の合成皮革用工程紙において、
    前記充填剤の材質は、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー及び尿素樹脂からなる群から選択されるいずれかである
    合成皮革用工程紙。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の合成皮革用工程紙の前記剥離剤層上に、合成樹脂を含む塗工液を塗布する工程と、
    塗布された前記塗工液を乾燥して合成皮革を形成する工程と、
    乾燥後、前記合成皮革用工程紙を前記合成皮革から剥離する工程と、を含む、
    合成皮革の製造方法。
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