JP7425643B2 - 工程フィルム及び工程フィルムの製造方法 - Google Patents

工程フィルム及び工程フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、工程フィルム及び工程フィルムの製造方法に関する。
従来、ラベル素材、電子機器やプリプレグ、合成皮革等のシート状製品の製造工程において、いわゆる工程フィルムと呼ばれるフィルムを用いて、当該シート状製品の保護・固定・帯電防止や装飾性の付与を行っている。
近年、表面のグロス(光沢度)を低減させ、マット(艶消し)調とするシート状製品が要望されている。シート状製品のグロスを低減させる工程フィルムの一般的な構成としては、基材の片面側に剥離層が設けられ、剥離層形成組成物中にマット化剤として粒子を添加し、塗膜表面に凹凸形状を形成したものがあげられる。この工程フィルムの凹凸形状部分をシート状製品に転写することにより、表面がマット調のシート状製品を得ることができる。
マット調のシート状製品を製造する際に用いられる工程フィルムとして、例えば、特許文献1には、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有し、艶消し層中の粒子が、不定形シリカである二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている。
特開2016-097522号公報
一般的に、マット化剤としては、特許文献1のように、価格が安く比重が小さいシリカ粒子が使われている。しかし、シリカ粒子表面の水酸基が、樹脂製のシート状製品との相互作用で剥離力が上昇し、シート状製品の剥離が安定して行えないというおそれがあった。
そこで、本発明の1つの側面としては、所望の光沢度(グロス)を達成しつつ、適度な剥離力を有する工程フィルムを提供することを目的とする。
本発明者の鋭意検討の結果、マット化剤のシリカ粒子の一部をシリコーン粒子に変更することで、上記課題を克服できることを見出し、本願発明を成すに至った。
本発明の第1の態様は、
[1]基材と、
上記基材の表面の少なくとも一部に形成された剥離層と、を備え、
上記剥離層が、シリカ粒子と、シリコーン粒子と、剥離剤と、を含むことを特徴とする工程フィルムである。
[2]上記シリカ粒子と上記シリコーン粒子との比率が、質量比で7:3~4:6であることを特徴とする[1]に記載の工程フィルムである。
[3]上記シリコーン粒子が、不定形シリコーン粒子であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の工程フィルムである。
[4]上記剥離剤が、シリコーン変性アルキド樹脂を含むことを特徴とする[1]から[3]のいずれか1項に記載の工程フィルムである。
[5]上記基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする[1]から[4]のいずれか1項に記載の工程フィルムである。
本発明の1つの側面によれば、所望の光沢度(グロス)を達成しつつ、適度な剥離力を有する工程フィルムを提供することが可能となる。
一実施例における工程フィルムの断面を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[工程フィルム]
本発明の工程フィルム1は、図1に示すように、基材30と、上記基材30の表面の少なくとも一部に形成された剥離層20と、を備えている。
1.各部材
(1)基材
工程フィルム1の基材30としては、後述の剥離層20を支持できるものであれば適宜選択でき、例えば、紙基材、樹脂フィルム等が挙げられる。
紙基材としては、例えば、上質紙、中質紙、グラシン紙、アート紙、コート紙及びキャストコート紙等が挙げられ、また、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙も挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルからなるフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンからなるフィルム、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックからなるフィルムが挙げられる。
これらの基材30は単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
これらの基材30の中でも、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが更に好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくく、塗工不良等を効果的に防止することができる。
基材30の厚さは特に限定されないが、5μm以上300μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましい。
(2)剥離層
剥離層20を形成する剥離層形成組成物は、シリカ粒子10と、シリコーン粒子11と、剥離剤12と、を備え、必要に応じて添加剤、有機溶媒を配合する。
(2-1)シリカ粒子
シリカ粒子10としては、特に限定されず、一般的に用いられているシリカ(無水ケイ酸)を構成成分とすることができる。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、表面修飾シリカ(表面が修飾されたシリカ)等が挙げられる。これらの中でも、表面修飾シリカが好ましく、疎水性の表面修飾シリカがより好ましい。
疎水性の表面修飾シリカとしては、表面に、トリメチルシリル基等のトリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基;ジメチルシリル基等のジ炭素数1~20のアルキルシリル基;オクチルシリル基等の炭素数1~20のアルキルシリル基;を結合させたシリカ;シリコーンオイルで表面を処理したシリカ;等が挙げられる。
疎水性の表面修飾シリカは、例えば、シリカ粒子10の表面に存在する水酸基に、トリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基、ジ炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20のアルキルシリル基等を有するシランカップリング剤を用いて表面修飾することにより、あるいは、シリカ粒子10をシリコーンオイルで処理することにより得ることができる。また、表面修飾シリカ粒子として市販されているものをそのまま使用することもできる。
シリカ粒子10の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)、板状、繊維状、又は不定形状があり、任意の形状とすることができる。これらの中でも、剥離層20の表面に効果的に凹凸を付与できることから、不定形シリカ粒子が好ましい。なお、本発明において「不定形」とは、シリカ粒子10を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際、全体の50%以上が、測定した短軸径と長軸径とに1.5倍以上の差があることを意味する。
シリカ粒子10の平均粒子径、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。平均粒子径がこの下限値より小さくなるとシリカ粒子10が剥離層20から露出しにくくなることで光沢感が強くなってしまうおそれがある。また、平均粒子径がこの上限値より大きくなるとシリカ粒子10が剥離層20から露出しすぎることでマット感が強くなってしまうおそれがある。なお、シリカ粒子10の平均粒子径は、シリカ粒子10が配合された剥離層形成組成物を計測対象として、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。
剥離層20中には、シリカ粒子10が10質量%以上35質量%以下添加さていることが好ましく、15質量%以上30質量%以下がより好ましく、20質量%以上25質量%以下が更に好ましい。この範囲とすることで、剥離層20からシリカ粒子10の脱離が無く、工程フィルム1を用いて得られるシート状製品の光沢度を低くすることができる。
(2-2)シリコーン粒子
次に、シリカ粒子10と併用して、剥離層20中に分散させるシリコーン粒子11としては特に限定されず、一般的に用いられているシリコーン粒子11を構成成分とすることができる。シリコーン粒子11を配合することで、シリカ粒子10の表面に存在する水酸基が被着体との相互作用をすることで上昇する剥離力を抑制し、所望の光沢度を達成しつつ、適度な剥離力を有することができる。
ここでいうシリコーンとは、通常、シロキサン結合(-Si-O-Si-)からなるポリシロキサン主骨格を有する重合体が粒子形状を成した粒子である。ここで、ポリシロキサン主骨格は、例えば、ランダムにポリマー化したランダム構造;2次元繰り返し構造を成してポリマー化したラダー構造;3次元繰り返し立体構造を成してポリマー化したカゴ構造;等の構造を有し得る。
シリコーン粒子11としては、例えば、XC99-A8808、トスパール120、トスパール130、トスパール240(いずれもモメンティブ・パーフォマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、「トスパール」は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社の登録商標である)等の市販品を使用することもできる。
シリコーン粒子11の形状は、特に限定されることなく、球状、球突起付き球状、不定形状等があり、任意の形状とすることができる。これらの中でも、剥離力を低減させる観点からは、シリコーン粒子11の形状は、球状であることが好ましい。また、本発明の工程フィルムを用いて製造したシート状製品の光沢度を低くする観点からはシリコーン粒子11の形状は、不定形であることが好ましい。
シリコーン粒子11は、平均粒径(dC)が0.5μm以上5.0μm以下であって、該シリコーン粒子11の平均粒径(dC)/シリカ粒子10の平均粒径(dB)比が0.5以上1以下の範囲にあるものが好ましい。このような性状を有するシリコーン粒子11とシリカ粒子10を併用することにより、剥離層20の表層部近傍に該シリコーン粒子11が偏在する傾向がみられる。シリコーン粒子11の屈折率は1.43程度であり、一方シリカ粒子10の屈折率は1.45~1.46程度である。これらの結果から、光沢度の低い工程フィルムが得られるものと思われる。なお、シリコーン粒子11の平均粒子径は、シリコーン粒子11が配合された剥離層形成組成物を計測対象として、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。
また、これらシリコーン粒子11は、分散性向上や剥離剤12との反応性の付与を目的として、シリコーン粒子11の表面が有機基や反応性官能基等を有することが好ましい。
剥離層20中には、シリコーン粒子11が5質量%以上35質量%以下添加さていることが好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましく、15質量%以上25質量%以下が更に好ましい。この範囲とすることで、適度な剥離力を得ることができる。
剥離層20中には、シリカ粒子10とシリコーン粒子11との比率が、質量比で7:3~4:6であることが好ましく、5.5:4.5~7.5:2.5がより好ましく、6.5:3.5~4.5:5.5が更に好ましい。この範囲とすることで、適度な剥離力と光沢度を得ることができる。
(2-3)剥離剤
剥離層20を形成する剥離層形成組成物に含有する剥離剤12としては、例えば、
(1)低極性でそれ自体が剥離性を示すポリマー化合物、
(2)化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料、
(3)ポリマー材料に剥離性の低分子又はオリゴマー成分を添加して剥離性を付与された組成物等が挙げられる。
低極性でそれ自体が剥離性を示すポリマー化合物としては、例えば、ポリオルガノシロキサン;フルオロポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ポリマー等が挙げられる。
化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料において、化学修飾されるポリマー成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、水酸基含有アクリル酸エステル共重合体、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらポリマー成分は、化学修飾されていなければ剥離性を示さない場合が多い。
また、化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料において、化学修飾する成分としては、例えば、官能基を有するポリオルガノシロキサン又はオルガノシロキサンオリゴマー;官能基を有するフルオロカーボン化合物;官能基を有する長鎖アルキル化合物が挙げられる。このうちの長鎖アルキル化合物としては、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基等の炭素数12以上のアルキル基をもつ化合物が挙げられる。
化学修飾する化合物の官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、チオール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料は、通常、シリコーン変性樹脂、フルオロ変性樹脂、長鎖アルキル変性樹脂のように呼称される。
ポリマー材料に剥離性の低分子又はオリゴマー成分を添加して剥離性を付与された組成物において、用いられるポリマー材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
これらのポリマー材料に添加される剥離性の低分子又はオリゴマー成分としては、例えば、ワックス(炭化水素化合物);ポリオルガノシロキサン又はオルガノシロキサンオリゴマー;フルオロカーボン;長鎖アルキル化合物が挙げられ、更にこれらのポリエーテル付加物、ポリエステル付加物等が挙げられる。これらの中でも、剥離性や耐熱性が向上しやすいこと、また、充填剤や他の添加剤との親和性が良好になり得るという観点から、化学修飾されることにより剥離性を付与されたポリマー材料が剥離性主剤として好ましく、ポリオルガノシロキサンで化学修飾されたアルキド樹脂、いわゆるシリコーン変性アルキド樹脂がより好ましい。なお、上記の剥離性主剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2-4)その他の成分
剥離層形成組成物に用いられる硬化剤、架橋剤及び反応開始剤は、剥離剤12が有する官能基と化学結合が可能な官能基をもつ化合物が選択される。硬化剤、架橋剤、反応開始剤は、剥離剤12と反応して三次元網目構造を形成することにより、剥離層20の被膜の強度や耐熱性を向上させる。剥離層形成組成物に使用される硬化剤、架橋剤及び反応開始剤としては、剥離剤12が有する官能基に反応が可能であれば特に限定はなく、例えば、多価ヒドロシリル基含有オルガノシロキサン化合物、メラミン化合物、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アルデヒド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物、金属錯体等が挙げられる。
剥離層形成組成物に使用される触媒は、剥離層形成組成物の硬化反応(架橋反応)を低温ないし短時間で進むよう反応促進させる化合物であり、当該化学反応に応じた化合物が選択される。多価ヒドロシリル基含有オルガノシロキサン化合物による付加反応に使用される触媒としては、例えば、白金触媒が用いられる。また、メラミン化合物による脱水、脱アルコールを伴う反応に使用される触媒としては、例えば、p-トルエンスルホン酸等の酸触媒が用いられる。
剥離層形成組成物において、剥離剤12の硬化剤、架橋剤及び反応開始剤の配合比率は、必要とされる工程フィルム1の諸物性に適合するよう適宜選択すればよいが、例えば、剥離剤12の不揮発成分100質量部に対して、0.1質量部以上400質量部以下が好ましく、10質量部以上200質量部以下がより好ましい。また、触媒の配合比率も同様に、必要とされる剥離層形成組成物の反応速度及び必要とされる工程フィルム1の諸物性に適合するよう適宜選択すればよく、例えば、剥離剤12の不揮発成分100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上5質量部以下がより好ましい。
本実施形態に係る剥離層20を形成するための剥離層形成組成物は、上記の成分に加えて、貯蔵弾性率調整剤、染料や顔料等の着色剤、難燃剤、シリカ粒子10及びシリコーン粒子11以外のフィラー等の各種添加剤を含有してもよい。また、剥離層形成組成物は、有機溶媒を含む溶液の形態で用いることが好ましい。当該有機溶媒としては、剥離層20に対する溶解性及び揮発性が良好であって、剥離層形成組成物の各成分に対し化学的に不活性な公知の有機溶媒の中から適宜選択して用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2.工程フィルムの物性
本発明の工程フィルム1は、基材30と、基材30の表面の少なくとも一部に形成された剥離層20と、を備え、剥離層20が、シリカ粒子10及びシリコーン粒子11を含むことで、工程フィルム1として所望のグロスを達成しつつ、適度な剥離力を有する。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される31Bテープに対する剥離力が、3000mN/20mm以下、より好ましくは2500mN/20mm以下がよりこのましく、2000mN/20mm以下が更に好ましい。また、当該剥離力の下限値は、特に制限はないが、好ましくは100mN/20mm以上である。併せて、本発明の工程フィルムの表面は、後述する実施例に記載の方法で測定される60°でのグロス値5%以下及び85°でのグロス値25%以下、より好ましくは60°でのグロス値3.5%以下及び85°でのグロス値20%以下、更に好ましくは60°でのグロス値2.0%以下及び85°でのグロス値10%以下である。
3.工程フィルムの製造方法
本実施形態に係る工程フィルム1の製造方法は、シリカ粒子10と、シリコーン粒子11、剥離剤12とを混合して、剥離層形成組成物を調製する第1工程と、剥離層形成組成物を基材30の表面の少なくとも一部に塗布し、塗膜を形成する第2工程と、塗膜を硬化して剥離層20を形成する第3工程と、を含むことが好ましい。
第1工程における剥離層形成組成物の調整方法としては、特に限定されず、例えば、剥離層形成組成物の分散体や溶液として調製することができる。本発明では、有機溶媒を含む溶液を調製することが好ましい。
剥離層形成組成物の溶液の不揮発分濃度は、塗工適性及び乾燥性の観点から、5.0質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下が更に好ましい。
第2工程における塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
第3工程における塗膜を硬化する方法としては、乾燥とともに加熱により硬化させてもよく、塗膜中の成分が活性エネルギー線で反応する官能基を有する場合には、活性エネルギー線の照射により硬化させてもよく、加熱及び活性エネルギー線の照射を併用して硬化させてもよい。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。
加熱温度は、80℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上230℃以下がより好ましい。また、加熱時間は、15秒間以上5分間以下が好ましく、20秒間以上3分間以下がより好ましい。
工程フィルム1において、硬化後の剥離層20の膜厚は、特に限定されないが、0.5μm以上12μm以下が好ましく、1.0μm以上、8μm以下がより好ましい。
4.工程フィルムの用途
本発明の工程フィルム1は、ラベル素材、電子機器やプリプレグ、合成皮革等のシート状製品の製造工程で使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに何ら限定されるものではない。
[実施例1]
シリコーン変性アルキド樹脂溶液(商品名:TA31-209E、日立化成ポリマー株式会社製)100質量部、トルエン216質量部、メチルエチルケトン144質量部の混合溶液中に粒子を添加し、ディスパーを用いて2,000rpmで20分間分散した。粒子は、不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)と、不定形シリコーン粒子(商品名:トスパール240、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)とを質量比6:4の割合で混合し、乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が39.7質量%になるよう添加した。その混合液に硬化触媒としてp-トルエンスルホン酸メタノール溶液(固形分濃度50質量%)を2.5質量部添加し、ディスパーを用いて1,500rpmで5分間撹拌した。この剥離剤組成物の溶液を厚さ50μmPETフィルム(商品名:ダイアホイルT-100、三菱ケミカル株式会社製)の片面に塗工し、150℃で1分間乾燥及び硬化させ、硬化後の厚さが1.5μmである剥離層を有する工程フィルムを作製した。
[実施例2]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)と、シリコーン粒子11として不定形シリコーン粒子(商品名:トスパール240、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)とを5:5の割合で混合し、乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が47.6質量%になるよう添加した以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[実施例3]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)と、シリコーン粒子11として球形シリコーン粒子(商品名:トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)とを6:4の割合で混合し、乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が39.7質量%になるよう添加した以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[比較例1]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)を乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が23.8質量%になるよう添加し、シリコーン粒子11を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[比較例2]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)を乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が34.5質量%になるよう添加し、シリコーン粒子11を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[比較例3]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)を乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が39.7質量%になるよう添加し、シリコーン粒子11を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[比較例4]
シリカ粒子10として不定形シリカ粒子(商品名:ニップシール SS-50B、東ソー・シリカ株式会社製)を乾燥後の塗膜中の粒子質量割合が47.6質量%になるよう添加し、シリコーン粒子11を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして工程フィルムを作製した。
[評価方法]
<31Bテープに対する剥離力>
実施例及び比較例で得られた工程フィルムの表面に、アクリル系粘着剤付ポリエステルテープ(商品名:No.31Bテープ、日東電工株式会社製)を貼り、23℃、相対湿度50%の恒温室内に30分間放置した後、幅20mm、長さ150mmに裁断した。引張試験機(装置名:テンシロン、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、31Bテープを300mm/minの速度で180°方向に引っ張り、剥離した際の剥離力を測定した。結果を表1に示す。
<転写樹脂に対する剥離力>
実施例及び比較例で得られた工程フィルムの表面に、熱硬化性アクリル樹脂(商品名:UC-3000、東亜合成株式会社製)を塗工し、160℃で30秒加熱することにより塗膜を硬化させ、工程フィルム上に厚さ3μmのアクリル樹脂膜を作製した。引張試験機(装置名:テンシロン、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、当該アクリル樹脂膜を300mm/minの速度で180°方向に引っ張り、工程フィルムから剥離した際の剥離力を測定し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〇:剥離力が3000mN/20mm以下
△:剥離力が3001mN/20mm以上4000mN/20mm以下
×:剥離力が4001mN/20mm以上5000mN/20mm以下
<工程フィルムの光沢度>
実施例及び比較例で得られた工程フィルムの表面に対して、光沢計(製品名:VG7000、日本電色工業株式会社製)を用いて、角度60°と85°の光沢度を測定した。結果を表1に示す。
<転写樹脂の光沢度>
実施例及び比較例で得られた工程フィルムの表面に、熱硬化性アクリル樹脂(商品名:UC-3000、東亜合成株式会社製)を塗工し、塗膜と工程フィルムとの積層体を得た。160℃で30秒加熱することにより塗膜を硬化させ、工程フィルム上に厚さ3μmのアクリル樹脂膜を作製した。得られたアクリル樹脂膜を工程フィルムから剥離し、アクリル樹脂膜表面の60°及び85°のグロス値を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007425643000001
実施例1~3の工程フィルムは、適度な剥離力を有しており、また、それを用いて光沢度が低い樹脂膜(シート状製品)を作製することができた。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
1 工程フィルム
10 シリカ粒子
11 シリコーン粒子
12 剥離剤
20 剥離層
30 基材

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材の表面の少なくとも一部に形成された剥離層と、を備え、
    前記剥離層が、シリカ粒子と、シリコーン粒子と、剥離剤と、を含み、
    前記シリカ粒子と前記シリコーン粒子との比率が、質量比で7:3~4:6である、工程フィルム。
  2. 前記シリコーン粒子が、不定形シリコーン粒子であることを特徴とする請求項1に記載の工程フィルム。
  3. 前記剥離剤が、シリコーン変性アルキド樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の工程フィルム。
  4. 前記基材が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の工程フィルム。
JP2020054921A 2020-03-25 2020-03-25 工程フィルム及び工程フィルムの製造方法 Active JP7425643B2 (ja)

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