JP2001038850A - 電子線硬化型工程用剥離シート - Google Patents

電子線硬化型工程用剥離シート

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JP2001038850A
JP2001038850A JP21348099A JP21348099A JP2001038850A JP 2001038850 A JP2001038850 A JP 2001038850A JP 21348099 A JP21348099 A JP 21348099A JP 21348099 A JP21348099 A JP 21348099A JP 2001038850 A JP2001038850 A JP 2001038850A
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Masashi Kobayashi
正史 小林
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が良好で、かつ所望の安定した表面光
沢を有する電子線硬化型工程用剥離シートを提供する。 【解決手段】 JIS P 8140に準じたアクリル
モノマーの10秒間の吸液量が20g/m2以下である
紙基体と、その少なくとも一面上に、電子線硬化性有機
化合物および艶消しフィラーを含有する塗料組成物から
形成された電子線硬化樹脂被覆層とを有し、前記艶消し
フィラーの累積平均粒径が1〜15μm、およびその累
積90%頻出粒径が20μm以下であり、かつ前記電子
線硬化樹脂被覆層の、60°入射の鏡面光沢度測定法に
よる表面光沢度が10〜70%である。また前記艶消し
フィラー含有電子線硬化性樹脂組成物100重量部中の
艶消しフィラーの配合量が2〜50重量部であることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、合成皮革作製用
の低光沢を有する電子線硬化型工程用剥離シートに関す
るものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は耐
熱性を有し、表面光沢度が10〜70%の任意の低光沢
を示し、表面光沢を一定に保ちながら長尺加工を可能に
した電子線硬化型工程用剥離シートに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 合成皮革作製のための工程用剥離シー
トは、従来からクレーコート等の目処めを施した耐熱性
のある中性紙を原紙として、その表面に溶剤と合成樹脂
剥離剤、例えばアミノ・アルキッド樹脂、あるいはシリ
コーン変性・アミノアルキッド樹脂等を主成分とする塗
料組成物を塗布乾燥して製造されている。しかし、有機
溶剤の使用により、作業環境に問題がある。
【0003】また最近ではポリプロピレン(以下、PP
という。)を主成分とするポリオレフィンを原紙に溶融
押出しタイプの工程用剥離シートが多く使用されてい
る。
【0004】PP系工程用剥離シートの表面性は、PP
樹脂を原紙に溶融溶融押出し塗工する際、表面形状の異
なったクーリングロールに接触させることにより鏡面や
マット調の表面形状を変化させることが出来る。マット
調の表面形状を得るにはマット調のクーリングロールが
必要であり、さまざまな光沢を要求される場合は多くの
クーリングロールを必要とし、対応には設備コストがか
かる。あらかじめPPラミ中に各種マット化材を分散し
てマット化する方法においては任意の光沢が可能になる
が、耐熱性が130℃程度と低く、また表面が傷つき易
いという欠点も有している。またPP層のラミネート量
が20〜50μmと厚いため、廃棄物処理等の環境面で
の問題がある。
【0005】このように環境面に配慮し、耐熱性を有
し、かつ表面が硬く傷つきにくい工程用剥離シートが望
まれるなかで、電子線硬化技術を利用した電子線硬化型
工程用剥離シートの開発が盛んに行われている。
【0006】一般に使用する電子線硬化性樹脂組成物中
にはほとんど有機溶剤等の揮発成分を含有しないため、
作業環境が良好であるばかりでなく、熱乾燥硬化型に比
べて塗膜乾燥に要するエネルギーも低いため、環境面に
配慮された製造シルテムである。また使用する電子線硬
化樹脂被覆層は3次元架橋が容易に起こるため、耐熱性
や耐傷性に優れたものが多いというメリットがある。
【0007】電子線硬化技術を利用して、エナメル調、
マット調、エンボス調等様々な表面を有する電子線硬化
型工程用剥離シートの製造方法としては、様々な表面を
有する成形材料に電子線硬化樹脂塗布液をキャストして
硬化する方法(特開昭59−102972号、特開平4
−144742号、特開平5−138736号、特開平
5−269880号および特開平6−158555号参
照)、エンボス加工する方法(特開昭58−14418
7号、特開平5−177704号、特開平5−2540
61号および特開平5−269931号参照)が開示さ
れている。しかしこれらの方法ではユーザーの嗜好が多
様化した現在、さまざまな光沢を有する工程紙を製造す
る場合。表面成形用の成形体を多く取り揃える必要があ
り、設備的にコストがかかる。
【0008】顔料含有電子線硬化樹脂塗布液を塗工・硬
化して製造する方法(特開平5−177778号および
特開平5−269935号参照)が開示されているが、
これらの方法では光沢度が10〜70%の適度の低光沢
を有する電子線硬化型工程用剥離シートを製造する場合
には製造中に表面光沢が低下してゆき、一定の表面性を
有する電子線硬化型工程用剥離シートを安定して長く製
造することが出来ないという問題を有している。これは
基材に対して樹脂の浸透が大きいため、樹脂の基材に対
する選択的吸収が発生して樹脂とフィラーが分離する、
あるいは粒子径の大きい艶消しフィラーが掻き落とされ
たり、沈降等を起こして塗工中に艶消しフィラーの濃度
が増加することが原因の1つであることが判明した。ま
た艶消しフィラーが凝集することにより、製造中に表面
光沢が低下することも確認された。
【0009】このように、塗料中に艶消しフィラーを配
合して塗工する場合は、一定表面を有する低光沢電子線
硬化型工程用剥離シートを安定して製造することが困難
であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、耐熱性が
良好で、かつ所望の安定した表面光沢を有する電子線硬
化型工程用剥離シートを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】 本発明に係る電子線硬
化型工程用剥離シートは、JIS P 8140に準じ
たアクリルモノマーの10秒間の吸液量が20g/m2
以下である紙基体と、その少なくとも一面上に、電子線
硬化性有機化合物および艶消しフィラーを含有する塗料
組成物(以下、艶消しフィラー含有電子線硬化性樹脂組
成物という。)から形成された電子線硬化樹脂被覆層と
を有し、前記艶消しフィラーの累積平均粒径が1〜15
μm、およびその累積90%頻出粒径が20μm以下で
あり、かつ前記電子線硬化樹脂被覆層の、60°入射の
鏡面光沢度測定法による表面光沢度が10〜70%であ
ることを特徴とするものである。
【0012】また前記艶消しフィラー含有電子線硬化性
樹脂組成物100重量部中の艶消しフィラーの配合量が
2〜50重量部であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の態様】 本発明に用いられる紙基体は、
耐熱性を要求されることから、中性紙であることが好ま
しく、電子線硬化型工程用剥離シートとしての強度が必
要とされるため、坪量が100〜250g/m2である
ことが好ましく、より好ましくは120〜200g/m
2である。
【0014】本発明に用いる吸液量試験用のアクリルモ
ノマーとしては、粘度が5〜30cpsで、揮発性が少
ないモノマーを用いることが出来る。具体的には、ラウ
リルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−
エチル−2−ブチルプロパンジオールジアクリレートな
どが挙げられる。
【0015】本発明に用いる紙基体は、艶消しフィラー
含有電子線硬化性樹脂組成物の浸透が少ないこと、すな
わちJIS P 8140に準じたアクリルモノマーの
10秒間の吸液量が20g/m2以下であることが必要
であり、10g/m2以下であることがより好ましい。
吸液量が20g/m2より多い紙基体であると、艶消し
フィラー含有電子線硬化性樹脂組成物を紙基体に塗布す
る際に、前記組成物中の電子線硬化性有機化合物成分が
紙基体中に多く吸収されることにより、艶消しフィラー
含有電子線硬化性樹脂組成物中の艶消しフィラー濃度が
少しづつ高くなり、連続操業に伴って表面光沢が低下し
てしまうことがある。
【0016】本発明に用いる紙基体は、前記吸液量が2
0g/m2以下になるように天然パルプを主成分とする
原紙上に浸透防止層を設けたものを用いることができ
る。浸透防止層としては、クレー、タルク、カオリン、
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、
水酸化マグネシウム、各種有機顔料等の顔料成分、およ
びアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、
エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチ
レン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、でんぷん、ポリビニルアルコ
ール、ポリアセタール樹脂、ヒドロキシエチルセルロー
ル等をバインダー成分とする顔料塗布層や、前記バイン
ダー成分のみからなるクリア層とすることが出来る。浸
透防止性を向上されるためには、顔料成分に対し、上記
バインダー成分を増加させることが有効である。また通
常のコート紙、アート紙、キャストコート紙のなかか
ら、浸透防止性能が高いものを選定して使用することも
できる。
【0017】ポリエチレンやポリプロピレンを原紙にラ
ミネートした紙基体については、浸透防止性能は高いも
のの、耐熱性が130℃程度しかないため、本発明の電
子線硬化型工程用剥離シートに使用するには好ましくな
い。しかしポリエステル樹脂のような耐熱性を有する合
成樹脂であれば、原紙にラミネートした紙基体を使用す
ることは可能である。
【0018】本発明に用いる艶消しフィラーは、艶消し
フィラー含有電子線硬化性樹脂組成物中に分散した時
に、特定の粒度分布、特定の累積平均粒径を有している
ことが必要である。本発明に用いる艶消しフィラーは、
レーザー回折式粒度分布計を用いてトルエン希釈で循環
して測定した艶消しフィラーの累積平均粒径が1〜15
μmであり、累積90%頻出粒径が20μm以下である
必要がある。累積平均粒径が15μmより大きい、ある
いは累積90%頻出粒径が20μmより大きい場合に
は、艶消しフィラーが沈降しやすく、もしくは樹脂成分
と分離しやすくなり、艶消しフィラー含有電子線硬化性
樹脂組成物の、貯蔵中や連続操業に伴って艶消しフィラ
ー濃度の増加や、累積平均粒径の大きい状態への変化に
より、連続操業に伴って電子線硬化型工程用剥離シート
の表面光沢が低下することがある。しかしながら累積平
均粒径が1μ未満では艶消し効果が得難いことがある。
【0019】本発明においては、艶消しフィラー含有電
子線硬化性樹脂組成物中における艶消しフィラーの粒度
分布や累積平均粒径が前述の条件を満たしていることが
必要であり、粒子径が前述の条件より大きくても強分散
することによって粒子径を前述の範囲にすることも出来
る。
【0020】艶消しフィラーを電子線硬化性有機化合物
中に分散するには、カウレスディゾルバー、ホモミキサ
ー等で軽度に行うものから、必要に応じて2本ロールミ
ル、3本ロールミル、ビーズミル、、サンドグラインダ
ー、および超音波分散機等を使用して強分散することが
できる。
【0021】本発明に用いる艶消しフィラーとしては、
有機顔料あるいは無機顔料を、単独または混合して用い
ることができる。無機顔料としては、シリカ、炭酸カル
シウム、カオリン、クレー、アルミナ、水酸化マグネシ
ウム、ケイ酸等が使用でき、有機顔料としては、ポリス
チレン、尿素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベ
ンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等
を用いることができる。これらの有機顔料あるいは無機
顔料は、密実型、貫通孔型、中空型、多孔質型等の任意
の形状のものを使用可能である。
【0022】本発明に用いる艶消しフィラーの形状は不
定形でも良いが、球形であることがより好ましい。球形
フィラーでは、少量で艶消し効果を得られるだけでな
く、球形であることによりフィラー同士の接触面積が小
さく、フィラーの凝集等が発生しにくいため、安定した
塗工が可能になる。球形フィラーの場合は、強分散する
と球形状が破壊され、球形による凝集し難い特徴が生か
せないことがあるので、強分散するのは好ましくない。
【0023】本発明に用いる艶消しフィラーの配合量は
2〜50重量部であり、好ましくは5〜30重量部であ
る。2重量部未満では艶消し硬化が不十分となることが
あり、50重量部より多いと、合成皮革の剥離性が悪化
したり、艶消しフィラー含有電子線硬化性樹脂組成物の
粘度が高くなりすぎ、塗工適性が低下することがある。
【0024】本発明に用いる艶消しフィラー含有電子線
硬化性樹脂組成物の塗工時の粘度は400cps以上が
好ましい。400cps未満では、塗料中の艶消しフィ
ラーが電子線硬化性有機化合物と分離しやすくなり、光
沢低下が発生することがある。粘度の上限については、
塗工適性から5000cps以下であることが好まし
い。
【0025】電子線硬化型工程用剥離シートに要求され
る耐熱性を持たせることから、電子線硬化樹脂被覆層
は、3次元架橋していることが好ましい。すなわち一分
子中にアクリロイル基を2つ以上有する多官能アクリレ
ートであること好ましい。また合成皮革剥離性を良好に
するために、シリコーン変性アクリレートが一部配合さ
れていることが好ましい。
【0026】本発明に用いるシリコーン変性アクリレー
トは、少なくとも1つのアクリロイル基を有している必
要があるが、他にシラノール基、エポキシ基、エーテル
基、水酸基、フェノール基、エステル基、ウレタン結合
等を有していてもよい。
【0027】本発明に用いるシリコーン変性アクリレー
トのシリコーン成分の分子量としては、300〜100
00が好ましい。シリコーン成分の分子量が300未満
では合成皮革剥離性が劣ることがあり、10000より
高いと、硬化性不良になることがある。
【0028】本発明に用いるシリコーン変性アクリレー
トの配合量は、電子線硬化性有機化合物100重量部中
に、0.1〜50重量部であることが好ましく、0.5
〜10重量部であることがより好ましい。その配合量が
0.1重量部未満では合成皮革の剥離性が劣ることがあ
り、50重量部より多いと、コスト高になることがあ
る。
【0029】本発明に用いるシリコーン変性アクリレー
トの他に、下記の電子線硬化性有機化合物を配合でき
る。 (1)脂肪族、脂環族、芳香族の、1〜6価のアルコー
ル及びポリアルキレングリコールのアクリレート化合物
類。 (2)脂肪族、脂環族、芳香族の、1〜6価のアルコー
ルにアルキレンオキサイドを付加させたもののアクリレ
ート化合物類。 (3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類。 (4)カルボン酸と、ポリオールと、アクリル酸との反
応生成物。 (5)イソシアネートと、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物。 (6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物。 (7)エポキシ化合物と、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物。 (8)ビニルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0030】さらに具体的には、電子線硬化性有機化合
物として、1,4−ブタジエンジオールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−
ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジア
クリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ
アクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオー
ルジアクリレート、長鎖脂肪族ジアクリレート(例え
ば、サートマー社製:SR−2000)、ジシクロペン
タニルジアクリレート、ポリオキシエチレンエピクロル
ヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、エピク
ロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸
アクリレート、カプロラクタン変性テトラヒドロフルフ
リルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソ
シアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロ
パンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ト
リエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサ
ンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、およびプロペ
ニルエーテルプロピレンカーボネート等を例示すること
が出来る。
【0031】本発明で用いる非シリコーン変性アクリレ
ートのオリゴマーとしては、ポリブタジエン、水素添加
ポリブタジエン、ポリエチレン、脂肪酸等を単独あるい
は複数組み合わせて含むアクリレートが例示でき、塗膜
の硬化性や強靭性を高め、あるいは他の樹脂との相溶性
を高めるために、ウレタン変性、エポキシ変性、カプロ
ラクタム変性、エステル変性、エーテル変性等の各種変
性物も使用可能である。
【0032】本発明で用いる非シリコーン変性アクリレ
ートの配合量は、電子線硬化性有機化合物100重量部
中に、50〜99.8重量部、好ましくは60〜99重
量部である。50重量部未満であると、コストが高くな
ることがあり、配合量が99.8重量部より多いと、合
成皮革剥離性が劣ることがある。
【0033】本発明の電子線硬化樹脂被覆層の被覆量
は、1〜30g/m2が好ましく、より好ましくは2〜
20g/m2である。被覆量が1g/m2未満の場合に
は、均一な塗工が難しくなるため、塗工欠陥も多くな
り、外観を損なうばかりでなく、塗工欠陥部においては
基材の原紙が露出しているため、電子線硬化型工程用剥
離シート上に合成皮革用の塗料が塗布された場合、合成
皮革が塗工欠陥部において電子線硬化型工程用剥離シー
トから剥離しないというトラブルが生じることがある。
電子線硬化型工程用剥離シートの性能を維持する上で被
覆量に特に上限はないが、被覆量が30g/m2を越え
ると、高価な電子線硬化性有機化合物を多量使用するた
め、コスト高となることがある。
【0034】本発明での塗布方法としては、例えばロー
ルコート法、スクイズコート法、リバースロールコート
法、グラビアコート法、トランスファーコート法、ファ
ウンテンコート法、あるいはスリットダイコート法等の
塗工方法を用いることができる。
【0035】本発明に用いられる電子線照射装置は特に
その方式を限定するものではなく、例えばバンデグラー
フ型スキャニング方式、ダブルスキャニング方式、およ
びカーテンビーム方式等の電子線照射装置を使用するこ
とができ、これらの中でも比較的安価で大出力の得られ
るカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
【0036】電子線照射の際の加速電圧は100〜50
0kVであることが好ましい。電子線の透過率を上げる
ため、250kV以上であることがより好ましい。電子
線の吸収線量は、艶消しフィラー含有電子線硬化性樹脂
組成物を所望の硬化状態を得る量であればよく、特に限
定するものではないが、一般的には0.1〜6Mrad
であり、好ましくは0.2〜4Mradである。吸収線
量が0.1Mrad未満の場合には、艶消しフィラー含
有電子線硬化性樹脂組成物の硬化が不十分となることが
ある。また吸収線量が6Mradを越えると、紙基体を
劣化させたり、変色させることがあり、また照射エネル
ギーの無駄でもある。
【0037】電子線照射時における雰囲気中の酸素濃度
は、500ppm以下であることが好ましい。酸素濃度
が500ppmを越えると、酸素が重合反応の抑制剤と
して働き、艶消しフィラー含有電子線硬化性樹脂組成物
の硬化が不十分になることがある。また酸素濃度を下
げ、冷却する目的で、アルゴンガスや窒素ガス等の不活
性ガスを使用することが好ましい。
【0038】本発明の電子線硬化型工程用剥離シートは
塗料コストを下げる目的で、あるいは艶消しフィラー含
有電子線硬化性樹脂組成物に適度のチキソトロピー性を
付与して塗工性を改善する目的で、分散剤、粘度調整
剤、濡れ剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
【0039】
【実施例】 本発明を下記実施例により、さらに詳しく
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお実施例中の「部」は、特に指定しない限り、
それぞれ「重量部」を表す。
【0040】実施例1 下記成分の艶消しフィラー含有電子線硬化性樹脂組成物
(組成物1)をカウレスディソルバーで30分間混合分
散させて、塗布液を調製した。 組成物1 成 分 配合量 シリコーン変性ウレタンアクリレート含有ポリブタジエン系4官能 30部 ウレタンオリゴマー(シリコーン変性2%) (商標:KU511−13XB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 62部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 球形シリカ顔料 8部 (商票:サイロスフェアC−1510、富士シリシア化学社製) 上記組成物1の粘度をB型粘度計30rpm、25℃で
測定したところ、1100cpsであった。
【0041】累積平均粒径(D50%)と累積90%頻
出粒径(D90%)の測定 前記組成物1をレーザー回折式粒度分布計(商標:マイ
クロトラックHRA、日機装社製)を用いて、トルエン
で循環させて艶消しフィラーのD50%とD90%を測
定した結果、D50%=12.6μm、D90%=1
7.2μmであった。
【0042】電子線硬化型工程用剥離シートの作製 前記組成物1を、JIS P 8140に準じて、2−
ブチル−2−エチルブロパンジオールジアクリレート
(B型粘度30rpmで20cps/25℃)であるア
クリルモノマーの10秒間の吸液量が8g/m2である
キャストコート紙(商標:OKエナメル、坪量171g
/m2、王子製紙社製、)の片面上に、組成物1を塗工
時にチューブポンプで循環しながら、塗工温度約25
℃、塗布量7g/m2となるようにマイクログラビアコ
ーターを用いて塗布し、塗布液層を形成し、電子線照射
装置を用いて、前記塗布液層の表面より、加速電圧16
5kV、吸収線量2Mradの条件で電子線照射して硬
化し、電子線硬化型工程用剥離シートを連続して製造し
た。
【0043】光沢度および光沢低下の測定 塗工開始直後の電子線硬化型工程用剥離シートと、塗工
終了時の電子線硬化型工程用剥離シートの光沢度JIS
Z 8741に準じて、入射角60°でそれぞれ測定
し、光沢度の低下の度合いを評価し、以下のように判定
した。 ○:光沢低下が2%未満 △:光沢低下が2.5%以上〜5%未満 ×:光沢低下が5%以上 この試験方法で光沢低下が△の場合は、実際の製造機に
て、塗料の循環量を多くした場合には、光沢低下が2%
以内に抑えられるため、△までを良好とした。
【0044】合成皮革の作製 1)合成皮革用スキン層の調製 下記成分の合成皮革スキン層用塗料をカウレスディソル
バーで15分間混合分散させて調製した。 成 分 配合量 ウレタン樹脂(商標:レザミンNE−5250NP、大日精化社製) 50部 MEK(メチルエチルケトン) 20部 DMF(ジメチルホルムアミド ) 20部 黒顔料配合塗料 10部 (商標:SEIKASEVEN DUT−4794、大日精化社製)
【0045】2)接着層用塗料の調製 下記成分の接着層用塗料をカウレスディソルバーで15
分間混合分散させて調製した。 成 分 配合量 接着剤用合成樹脂(商標:AD−527、東洋モートン社製) 100部 架橋剤(商標:CAT−HY91、東洋モートン社製) 6部
【0046】得られた電子線硬化型工程用剥離シートを
巾120mm×長さ180mmの大きさに断裁し、電子
線硬化型工程用剥離シートの電子線硬化樹脂被覆層上
に、前記スキン層用塗料を間隙が80μm、塗布巾10
0mmあるアプリケーターを用いて、乾燥後のスキン層
が15g/m2になるように塗布し、180℃、3分間
乾燥させた後、スキン層皮膜の上に、前記接着層用塗料
をメイヤバーで乾燥後の塗布量が10g/m2になるよ
うに塗布し、合成皮革用の基布(湿式フラットベース、
角田化学社製)を張り合わせた後、再度180℃、3分
間乾燥させて、電子線硬化型工程用剥離シートと合成皮
革の積層体を得た。
【0047】合成皮革剥離性の評価方法 得られた電子線硬化型工程用剥離シートと合成皮革との
積層体から、電子線硬化型工程用剥離シートを剥離して
以下のように判定した。 耐熱性評価: ○:(合成皮革製造前の電子線硬化型工程用剥離シート
光沢)−(合成皮革作製後の電子線硬化型工程用剥離シ
ートの光沢)≦3% △:3%<(合成皮革製造前の電子線硬化型工程用剥離
シート光沢)−(合成皮革作製後の電子線硬化型工程用
剥離シートの光沢)≦5% ×:(合成皮革製造前の電子線硬化型工程用剥離シート
光沢)−(合成皮革作製後の電子線硬化型工程用剥離シ
ートの光沢)>5% 耐熱性の評価においては○、および△を良好とした。 剥離性評価 ○:合成皮革を問題なく剥離した。 ×:剥離が重く、合成皮革の外観に剥離ムラを生じた
り、電子線硬化型工程用剥離シートが破損した。 合成皮革外観の評価 ○:合成皮革の外観が良好で、白化やムラがない。 ×:合成皮革表面に白化やムラがある。
【0048】実施例2 実施例1の組成物1を下記の組成物2に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し、評価を行った。 組成物2 成 分 配合量 シリコーン変性ウレタンアクリレート含有ポリブタジエン系4官能 27部 ウレタンオリゴマー(シリコーン変性2%) (商標:KU511−13XB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 63部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 球形シリカ顔料 10部 (商票:サイロスフェアC−1504、富士シリシア化学社製) 上記組成物2の粘度をB型粘度計30rpm、25℃で
測定したところ、900cpsであった。
【0049】前記組成物2をレーザー回折式粒度分布計
(商標:マイクロトラックHRA:日機装社製)を用い
て、トルエンで循環させて艶消しフィラーのD50%と
D90%を測定した結果、D50%=5.1μm、D9
0%=7.0μmであった。
【0050】実施例3 実施例2の塗布量を3g/m2とした以外は実施例2と
同様に試料を調製し、評価を行った。
【0051】実施例4 実施例1の組成物1を下記の組成物3に変更し、塗布量
を5g/m2とした以外は実施例1と同様に試料を作製
し、評価を行った。 組成物3 成 分 配合量 シリコーン変性ウレタンアクリレート含有ポリブタジエン系4官能 27部 ウレタンオリゴマー(シリコーン変性2%) (商標:KU511−13XB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 63部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 樹脂ビーズ(商票:トスパール2000B、東芝シリコーン社製) 10部 上記組成物3の粘度をB型粘度計30rpm、25℃で
測定したところ、1100cpsであった。
【0052】前記組成物3をレーザー回折式粒度分布計
(商標:マイクロトラックHRA:日機装社製)を用い
て、トルエンで循環させて艶消しフィラーのD50%と
D90%を測定した結果、D50%=7.2μm、D9
0%=8.2μmであった。
【0053】実施例5 実施例1の組成物1を下記の組成物4に変更し、塗布量
を5g/m2とした以外は実施例1と同様に試料を作製
し、評価を行った。 組成物4 成 分 配合量 シリコーン変性ウレタンアクリレート含有ポリブタジエン系4官能 20部 ウレタンオリゴマー(シリコーン変性2%) (商標:KU511−13XB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 75部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 樹脂ビーズ(商票:トスパール2000B、東芝シリコーン社製) 5部 上記組成物4の粘度をB型粘度計30rpm、25℃で
測定したところ、250cpsであった。
【0054】前記組成物4をレーザー回折式粒度分布計
(商標:マイクロトラックHRA:日機装社製)を用い
て、トルエンで循環させて艶消しフィラーのD50%と
D90%を測定した結果、D50%=7.2μm、D9
0%=8.2μmであった。
【0055】比較例1 実施例1の紙基材を下記のものに変更した以外は実施例
2と同様に試料を作製し、評価を行った。JIS P
8140に準じて、2−ブチル−2−エチルブロパンジ
オールジアクリレート(B型粘度30rpmで20cp
s/25℃)であるアクリルモノマーの10秒間の吸液
量が30g/m2である坪量181g/m2で、表面にポ
リビニルアルコールが1.0g/m2塗布された紙基
材。
【0056】比較例2 実施例1の組成物1を下記の組成物6に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し、評価を行った。 組成物6 成 分 配合量 シリコーン変性ウレタンアクリレート含有ポリブタジエン系4官能 27部 ウレタンオリゴマー(シリコーン変性2%) (商標:KU511−13XB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 63部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 樹脂ビーズ(商票:ジュリマーMB20X、日本純薬社製) 10部 上記組成物6の粘度をB型粘度計30rpm、25℃で
測定したところ、900cpsであった。
【0057】前記組成物6をレーザー回折式粒度分布計
(商標:マイクロトラックHRA:日機装社製)を用い
て、トルエンで循環させて艶消しフィラーのD50%と
D90%を測定した結果、D50%=15.8μm、D
90%=27.0μmであった。
【0058】
【表1】
【0059】実施例1〜5では基材の吸液量が少なく、
フィラーと樹脂成分が分離しにくく、塗工前後の光沢低
下が少なかった。しかし基材の吸液量が大きい場合(比
較例1)およびフィラー粒径が大きい場合(比較例2)
には、いずれも塗工前後での光沢低下が大きく、表面光
沢の一定した電子線硬化型工程用剥離シートが得られな
かった。
【0060】
【発明の効果】 本発明に係る電子線硬化型工程用剥離
シートは、耐熱性が良好で、適度かつ安定した表面光沢
または艶消し表面を有し、この電子線硬化型工程用剥離
シートによって得られる合成皮革はムラのない、漆黒性
の良好な合成皮革を作製することが可能となり、その産
業界に寄与するところ大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS P 8140に準じたアクリル
    モノマーの10秒間の吸液量が20g/m2以下である
    紙基体と、その少なくとも一面上に、電子線硬化性有機
    化合物および艶消しフィラーを含有する塗料組成物から
    形成された電子線硬化樹脂被覆層とを有する電子線硬化
    型工程用剥離シートにおいて、前記艶消しフィラーの累
    積平均粒径が1〜15μm、およびその累積90%頻出
    粒径が20μm以下であり、かつ前記電子線硬化樹脂被
    覆層の、60°入射の鏡面光沢度測定法による表面光沢
    度が10〜70%であることを特徴とする電子線硬化型
    工程用剥離シート。
  2. 【請求項2】 前記塗料組成物100重量部中の艶消し
    フィラーの配合量が2〜50重量部である請求項1記載
    の電子線硬化型工程用剥離シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006521222A (ja) * 2003-02-14 2006-09-21 アベリー・デニソン・コーポレイション 感圧接着剤を有する自己巻取り型多層乾性ペイント装飾ラミネートの示差剥離システム
JP2012040707A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Unitika Ltd 離型用シート
KR20190008883A (ko) * 2016-05-20 2019-01-25 히타치가세이가부시끼가이샤 이형 필름

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