JPH11115115A - 強光沢シート状材料 - Google Patents

強光沢シート状材料

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JPH11115115A
JPH11115115A JP28861897A JP28861897A JPH11115115A JP H11115115 A JPH11115115 A JP H11115115A JP 28861897 A JP28861897 A JP 28861897A JP 28861897 A JP28861897 A JP 28861897A JP H11115115 A JPH11115115 A JP H11115115A
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JP
Japan
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electron beam
curable resin
coating
sheet
resin composition
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JP28861897A
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English (en)
Inventor
Masashi Kobayashi
正史 小林
Masahiro Kamiya
昌博 神谷
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素による硬化阻害を受け易い塗布開始部分
や継手部分、および塗布両端部の硬化阻害を極めて少な
くし、成型基体表面に残留物を付着せず、連続生産可能
な柔軟性を有する強光沢シート状材料を提供する。 【解決手段】 シート状基体と、その少なくとも一表面
上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物の電子線硬化樹
脂層とを有し、前記電子線硬化性樹脂組成物が、分子量
400〜10000のポリプロピレンオキサイド鎖を有
する電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴマーを少
なくとも1種含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は強光沢シート状材
料に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本
発明は電子線硬化樹脂層をシート状基体の一表面上に形
成する際、シート状基体と金属製円筒型回転体とを、電
子線硬化性不飽和有機化合物を主成分とする塗料組成物
(以下、電子線硬化性樹脂組成物という)からなる塗布
液層を介して貼り合わせ、電子線照射による硬化後に電
子線硬化樹脂層とシート状基体からなる強光沢シート状
材料を金属製円筒型回転体表面から歩留まりよく、安定
かつ容易に剥離し、柔軟で表面平滑性の優れた強光沢シ
ート状材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来から紙の加工方法として塗布紙、
金属蒸着ラベル用支持体、剥離紙、光沢紙、紙印刷物、
ラミネート紙、感熱記録紙、感圧記録紙、化粧紙などの
分野において紙の一面に耐水性、あるいはしみ込み防止
用や接着用に樹脂層を設けることは広く行なわれてい
る。このような樹脂層の設ける方法として、各種樹脂を
適宜選択して配合した樹脂組成物を水もしくは溶剤に分
散もしくは溶解させて、シート状基材に塗り付け、乾燥
させる方法、並びに樹脂を熔融してシート状基材にラミ
ネートする方法やホットメルト塗布する方法が広く用い
られている。
【0003】近年、商品のアピ−ル性を重視した美麗な
強光沢を持つ情報用紙、印刷用紙、金属蒸着紙等がラベ
ルまたはポスター、包装材などに広く利用されている。
従来、キャスト塗被紙と呼ばれる光沢塗被紙は、顔料お
よび接着剤を主成分とする塗被層を水を含んで可塑状態
にある間に加熱された鏡面に圧接して乾燥仕上げした強
光沢塗被層を設けたものであるが、強光沢塗被紙として
の光沢度は満足のゆくものではなく、さらに高い光沢度
のものが望まれている。
【0004】この問題点を解決するためにシート状基体
に溶融した樹脂をフィルム状にして重ね、平滑で強光沢
な表面を有する金属製円筒型回転体に圧接して冷却し、
冷却後に金属製円筒型回転体から剥離して強光沢塗被層
を得るいわゆるラミネートコーティング方式や、前記の
ラミネートコーティング方式の溶融樹脂の代わりに、電
子線硬化性樹脂組成物から形成された塗布液層を成型面
あるいは金属製円筒型回転体に圧接し、電子線を照射す
るキャスト電子線照射方式が行われ、高い光沢度が得ら
れるようになった。
【0005】このような電子線硬化技術を用いて平滑な
強光沢シート状材料を得る方法としては、金属製円筒型
回転体や高分子フィルムのような平滑な成型基体表面上
に塗布された電子線硬化性樹脂組成物の塗布液層を介し
て、走行するシート状支持体と貼り合わせ、電子線照射
して硬化後、成型基体表面から剥離する方法、もしくは
走行するシート状基体の表面上に電子線硬化性樹脂組成
物を塗布し、平滑な成型基体と貼り合わせ、硬化した
後、成型基体表面から剥離する方法が有効である。
【0006】平滑な成型基体表面としての高分子フィル
ムは繰り返し使用することで電子線による劣化が起こ
り、その使用回数には限度がある。そのため成型基体と
しては高分子フィルムよりは金属製円筒型回転体のほう
がコスト的に有利である。この金属製円筒型回転体を用
いる場合には、電子線硬化樹脂層の金属製円筒型回転体
からの剥離性が連続操業において非常に重要である。
【0007】金属製円筒型回転体からの剥離性が劣る場
合には、金属製円筒型回転体の表面から電子線硬化樹脂
層が剥がれずに断紙してしまい、強光沢シート状材料が
製造できない。また電子線硬化樹脂層の金属製円筒型回
転体の表面からの剥離が重いと、電子線硬化樹脂層、ま
たは強光沢シート状材料の電子線硬化樹脂層側が伸びて
しまいカールを引き起こすという問題も生じる。
【0008】金属製円筒型回転体からの剥離が軽い電子
線硬化性樹脂組成物を使用することや、シリコーン等の
添加剤を配合することは上記問題を解決するには有効な
場合がある。しかし、空気混入による硬化阻害を受けた
際の剥離力は通常の剥離より非常に重くなるため、硬化
阻害を受けない場合の剥離力が軽くても、硬化阻害を受
けた場合に著しく剥離が重くなる電子線硬化性樹脂組成
物がある。この電子線硬化性樹脂組成物は、電子線照射
によりラジカル重合をするため、空気中の酸素による硬
化阻害を受け易いものが多く、硬化阻害を受けた部分の
電子線硬化性樹脂組成物は、硬化後、電子線硬化物が金
属製円筒型回転体表面に付着し、残留物となる。
【0009】この硬化阻害は、塗布開始部分や使用する
シート状基体に継手部分において、金属製円筒型回転体
とニップロールで貼り合わせるために圧接(以下、キャ
ストという)した後、塗工部分と未塗工部分の境界や継
手部分に空気を巻き込み、その部分の電子線硬化性樹脂
組成物が空気中の酸素により硬化阻害を受けるため、金
属製円筒型回転体からの強光沢シート状材料の剥離力
が、硬化阻害を受けない場合に比べ大きくなり、場合に
よってはシート状基体から破れる。
【0010】塗布始め部分や継手部分に空気混入してで
きる硬化阻害部分は剥離する方向に対して垂直方向、す
なわち走行ラインに対して垂直に全巾に亘るため、非常
に大きな剥離力になり、シート状基体自体が破断した
り、シート状基体の層間剥離や、電子線硬化樹脂層がシ
ート状基体から剥離し、金属製円筒型回転体の全巾方向
に残留物が付着する。このような残留物は徐々に除去さ
れる場合もあるが、除去されるまでは金属製円筒型回転
体の回転周期にあわせて強光沢シート状材料に対して欠
陥を発生させ、製品ロスになる。また残留物が徐々に増
大する場合がある。
【0011】金属製円筒型回転体表面上に残留物がある
と、この残留物がシート状支持体と金属製円筒型回転体
との間に間隙を作るため、残留物の部分はさらに空気が
混入し、空気中の酸素により硬化不良部がさらに広が
る。このよなことが繰り返されて残留物が徐々に大きく
なり、ついにはシート状基体が破断してしまう場合があ
る。
【0012】電子線硬化性樹脂組成物の塗布液層の塗布
両端部分は、数千m以上連続で塗布、硬化していると、
空気による硬化阻害の影響を受け、徐々に塗布端部に相
当する金属製円筒型回転体の表面が汚れてくる。
【0013】通常、電子線硬化性樹脂組成物の塗布巾は
シート状基体の巾より数mm〜数十mm狭くし、塗布端
部はシート状基体の端より若干内側に位置するようにし
ている。
【0014】ところがシート状基体より内側に位置して
いる塗布端部分もシート状基体と金属製円筒型回転体を
貼り合わせてニップロールでキャストした後、極僅かに
空気を巻き込むため塗布端部分が空気中の酸素により硬
化阻害を受ける。そのため連続で数千m製造している
と、金属製円筒型回転体上の塗布端部に相当する両端部
分が硬化不良の電子線硬化体で汚れてくることがある。
また使用するシート状基体の端が伸びて波打ったり、反
っている場合は金属製円筒型回転体に貼り合わされたシ
ート状支持体の端が若干浮いてしまうため、塗布端部が
さらに空気に曝されやすくなり硬化阻害を受ける部分が
多くなり、最終的にシート状基体自体が破断してしまう
ことがある。前記塗布端部に混入した空気はシート状基
体と金属製円筒型回転体との間に挟まれており、窒素等
の不活性ガスで置換が困難でもある。
【0015】上記問題を解決するために金属製円筒型回
転体表面からの剥離力を下げるために電子線硬化性樹脂
組成物中に離型剤を使用することや、金属製円筒型回転
体などからの剥離力が小さい特定の電子線硬化性樹脂組
成物を使用することで良好な操業性得られる。しかしこ
れらはいずれも酸素による硬化阻害を受けていない場合
の剥離力を改善するものであり、酸素による硬化阻害の
防止には不十分である。
【0016】金属製円筒型回転体表面にあらかじめ脂肪
酸等の剥離助剤を塗布しておくことにより、塗工開始部
分の硬化阻害を受けた電子線硬化樹脂層が金属製円筒型
回転体に残留物として付着することを防止することは可
能であるが、剥離助剤による電子線硬化性樹脂組成物の
塗布液層にハジキが発生し、ハジキの影響がなくなるま
で製造した数百mの強光沢シート状材料がロスになり、
歩留まりが低下する。
【0017】また塗布端部の硬化阻害による残留物が、
金属製円筒型回転体に付着することを防止するために、
塗布端部に相当する金属製円筒型回転体の表面に脂肪酸
等の剥離助剤を連続的にあるいは断続的に塗布すること
は、電子線硬化性樹脂組成物の塗布液層がシート状基体
にのみ塗布されている場合は有効であるが、電子線硬化
樹脂層が2層以上の場合、電子線硬化性樹脂組成物の塗
布液層を金属製円筒型回転体上にも塗布する場合には、
金属製円筒型回転体に塗布された電子線硬化性樹脂組成
物の塗布液層の塗布液と混ざらないように、塗工端部に
相当する部分に剥離助剤を塗布することは困難である。
【0018】一方、4官能以上の電子線硬化性官能基を
持つ多官能アクリレートは酸素による重合阻害を受け難
いが、硬化後の架橋密度が増大し、塗膜が硬くて脆いも
のになってしまう。
【0019】このように金属製円筒型回転体表面に硬化
不良による残留物を付着させずに剥離性が良好で、柔軟
な塗膜を与える電子線硬化樹脂層が望まれていた。
【0020】電子線硬化性樹脂組成物が金属製円筒型回
転体のような金属表面に塗布硬化された場合に、電子線
硬化樹脂層の剥離性は、電子線硬化性樹脂組成物の硬化
性に影響される。硬化性不良の場合には、金属製円筒型
回転体の表面からの剥離性が劣り、安定して製造できな
い。
【0021】また金属表面と密着しやすい電子線硬化性
不飽和有機化合物を多く含有することは好ましくない。
このような電子線硬化性不飽和有機化合物を多く含有す
ると電子線硬化樹脂層が金属製円筒型回転体の表面に全
面的に密着し、剥離不能となり、シート状基体自体が破
断してしまう。
【0022】すなわち電子線硬化樹脂層を設けた強光沢
シート状材料の従来の技術として、特開平2−7469
6号公報、特開平2−99694号公報、特開平2−2
10099号公報および特開平3−124897号公報
で開示されている電子線硬化性樹脂組成物には、放射線
硬化性カルボン酸を含有しており、このような電子線硬
化性不飽和有機化合物は酸価が高く、平滑な金属製円筒
型回転体に電子線硬化樹脂層が密着しやすく、金属製円
筒型回転体の表面から剥離出来ない。金属製円筒型回転
体にキャストしてある程度良好に剥離することが本発明
の強光沢シート状材料を製造する上で不可欠である。そ
のため金属に対して密着性の強いアクリル酸や、硬化性
の劣る単官能アクリレートを多く配合することは好まし
くない。ある程度良好な電子線硬化性樹脂組成物である
ことが好ましい。このような組成物には硬化性の良好な
2官能以上のアクリレートを含むことが望ましい。また
電子線硬化性樹脂組成物中にシリコーン等の剥離助剤を
少量添加することで剥離力を低くすることは酸素による
重合阻害を受けない場合の剥離性改善には有効な手段で
あるが、酸素による重合阻害を受けた場合には不十分で
ある。
【0023】紫外線や電子線などの放射線硬化性不飽和
有機化合物で最も多く利用されているのはアクリレート
類である。これは不飽和ポリエステル樹脂、スチレン、
エポキシ樹脂、ビニルエーテルに比べ、アクリレート類
の方が硬化性が優れているものが多く、その種類も比較
的多いことがその理由として挙げられる。
【0024】アクリレートの不飽和二重結合部は電子線
照射によりラジカル反応で重合反応が進行していく。こ
の反応系に酸素が存在すると、重合反応が阻害され、重
合度が上がらず、粘着剤のようになってしまうため金属
表面等に密着し易くなる。
【0025】アクリレートと開始剤を含んだ紫外線硬化
の場合、アミンの添加により酸素による重合阻害を軽減
効果がある。例えば水素引き抜き型の光重合開始剤2,
4−ジエチルチオキサントンと芳香族第3級アミンの4
−ジメチルアミノイソアミルベンゾエートを添加した系
において空気中で良好な硬化性が得られていることが報
告されている(日本化薬株式会社 KAYACURE 技術資料
No1 第2版)。しかし電子線硬化では、アミン添加によ
る酸素の重合阻害を軽減するには有効でない。
【0026】酸素による重合阻害を受け難い電子線硬化
性不飽和有機化合物としては多官能アクリレートが挙げ
られるが、架橋密度が大きいため、硬化後の塗膜が著し
く脆いものになり、また電子線硬化樹脂層側へのカール
を増大させる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者らは鋭意検
討した結果、電子線硬化性樹脂組成物中に分子量が大き
いポリプロピレンオキサイド鎖構造を含むウレタンアク
リレートオリゴマーを配合することにより、酸素による
重合阻害の影響が殆どなく、塗布端部の、金属製円筒型
回転体からの剥離が良好であり、金属製円筒型回転体表
面に残留物のない強光沢シート状材料を得ることができ
た。
【0028】すなわち本発明の目的は、前記のような従
来の問題点を解決するため、酸素による硬化阻害を受け
易い塗布開始部分や継手部分、および塗布両端部の硬化
阻害を極めて少なくし、金属製円筒型回転体表面に残留
物が付着せず、連続生産可能な柔軟性を有する強光沢シ
ート状材料を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】 本発明に係る強光沢シ
ート状材料は、シート状基体と、その少なくとも一表面
上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物の電子線硬化樹
脂層とを有し、前記電子線硬化性樹脂組成物が、分子量
400〜10000のポリプロピレンオキサイド鎖を有
する電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴマーを少
なくとも1種含有することを特徴とするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】 本発明における分子量400〜
10000、好ましくは700〜6000のポリプロピ
レンオキサイド鎖を有する電子線硬化性ウレタンアクリ
レートオリゴマーは、酸素による重合阻害を軽減するた
め、電子線硬化性樹脂組成物の塗布液層が特に硬化阻害
を受けやすい塗布開始部分、塗布端部分、および継手部
分の金属製円筒型回転体表面からの剥離性を良好にして
安定した長尺製造を可能にし、またウレタンアクリレー
トオリゴマーを使用することにより電子線硬化樹脂層に
強靱性および柔軟性を有する強光沢シート状材料を得る
ことができる。
【0031】一般にウレタンアクリレートオリゴマー
は、ジイソシアネート、ポリオール、ヒドロキシアクリ
レートから合成され、それらの配合比率または合成方法
は、電子線硬化性、耐光性、耐水性、耐薬品性、引張強
度、柔軟性および耐衝撃性を付与するため、適宜選択さ
れる。
【0032】本発明に用いるウレタンアクリレートオリ
ゴマーはポリオール部が分子量700〜10000のポ
リプロピレンオキサイドであることにより酸素による重
合阻害を軽減する。ポリオール部がポリエステルやポリ
カーボネート、ポリオレフィンでは重合阻害軽減の効果
が低い。
【0033】プロピレンオキサイドが酸素による重合阻
害を軽減する機構について詳細は定かでないが、プロピ
レンオキサイドの4級炭素に結合している水素が酸素ラ
ジカルを還元しているためではないかと推察される。
【0034】本発明で用いるウレタンアクリレートオリ
ゴマーのプロピレンオキサイドの分子量は400〜10
000、好ましくは700〜6000であることが望ま
しい。プロピレンオキサイドの分子量が400より小さ
い場合には重合阻害軽減の効果が小さくなる。プロピレ
ンオキサイドの分子量10000以上の場合には酸素に
よる重合阻害軽減の効果はあるが、オリゴマー自体の硬
化性が劣る。
【0035】本発明に使用する電子線硬化性樹脂組成物
における分子量400〜10000、好ましくは700
〜6000のポリプロピレンオキサイド鎖を有するウレ
タンアクリレートオリゴマーの配合量は20〜90重量
部、好ましくは30〜80重量部であることが望まし
い。20重量部より少ないときは酸素による硬化阻害を
軽減する効果が劣ってしまう。また90重量部より多い
場合は電子線硬化性樹脂組成物の粘度が高く、塗工性が
劣る。
【0036】本発明で用いる電子線硬化性ウレタンアク
リレートオリゴマーの合成に使用するイソシアネート、
ヒドロキシアクリレートには、特に制限はない。
【0037】電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴ
マーの合成に使用するイソシアネートとしては、芳香族
系、脂肪族系または脂環族系化合物などを使用すること
ができる。例えばトリレンジイソシアネート、4,4−
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添
加メチレンビスジイソシアネート、トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−
2,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエ
ンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネー
ト)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−ト
リレンジイソシアネート)、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、
3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(トリジンジイソシアネート)、テトラメチ
ルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイ
ソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、ジ
シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシア
ネートなどをウレタンアクリレートオリゴマーの原料と
して使用できる。
【0038】電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴ
マーの合成に使用するヒドロキシアクリレートとして
は、特に限定されるものではなく、例えば2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒド
ロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピルアクリレート、ジエチレングリ
コールクリレート、ポリエチレングリコールアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げら
れる。
【0039】電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴ
マーは通常、高粘度であるため、ウレタンアクリレート
オリゴマーの配合量が多くなると、良好な塗布面を得る
ことが困難になる。またこのような高粘度の電子線硬化
性樹脂組成物をシート状基体に塗布した後に、塗布面を
金属製円筒型回転体の表面に圧着して貼り合わせる際、
あるいは金属製円筒型回転体に塗布した高粘度の電子線
硬化性樹脂組成物の塗布面を走行するシート状基体に圧
着して貼り合わせる際には、貼り合わせ時に巻き込んだ
空気が抜けず、気泡状の硬化不良の発生を引き起こし、
金属製円筒型回転体の表面に微小の付着物を多数発生さ
せると同時に、製品にくぼみ状の微小欠陥すなわちピッ
トを多数発生させる。このため電子線硬化性モノマーで
希釈して低粘度化する必要がある。
【0040】一般に1官能電子線硬化性モノマーの多く
は、硬化性が劣るため、粘着性を生じることがある。こ
のような1官能電子線硬化性モノマーを多く配合する
と、金属製円筒型回転体の表面からの剥離性が悪くなる
ことがある。そのため硬化性が良好で粘着性のない多官
能アクリレートの配合が、金属製円筒型回転体からの剥
離性を良好にする。3官能以上の多官能アクリレートを
多く配合すると、電子線硬化樹脂層の柔軟性が低下し、
脆くなる。そのため配合する電子線硬化性モノマーとし
ては、2官能アクリレート、あるいは2官能アクリレー
トと同等の硬化性を有する1官能電子線硬化性モノマー
であることが好ましい。
【0041】本発明に用いる2官能アクリレートと同等
の硬化性を有する1官能電子線硬化性モノマーとして
は、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、
Nービニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0042】また本発明で用いる2官能アクリレートと
しては以下のものが挙げられる。すなわち、1,4−ブ
タンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオー
ルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、
1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノ
ナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオー
ルジアクリレート、1,11−ウンデカンジオールジア
クリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレー
ト、1,13−トリデカンジオールジアクリレート、
1,14−テトラデカンジオールジアクリレート、1,
15−ペンタデカンジオールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチ
ルプロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリ
ン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、
カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチル
グリコールエステルジアクリレート、アルキレンオキサ
イドネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチ
レングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エ
チレンオキサイド変性ビスフェノール−A−ジアクリレ
ート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート
などである。
【0043】本発明において、配合可能な1官能アクリ
レートモノマーとしては、エチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、エトキシジエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールア
クリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレー
ト、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニ
ルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、エ
チレンオキサイド変性フェノキシエチルアクリレート、
ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレー
ト、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、テ
トラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変
性テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペン
タニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート
などがある。
【0044】また本発明において、配合可能な3官能以
上の多官能アクリレートモノマーとしては、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変
性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレ
ンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス
アクリロイルキシエチルイソシアヌレート、ジペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレートなどがある。
【0045】本発明に用いるシート状基体には、その種
類には特に制限はなく、紙支持体を用いる場合、通常5
0〜300g/m2の坪量を有し、表面の平滑なものが
用いられる。本発明で用いられる紙支持体を形成するパ
ルプとしては、一般的には、樅、栂等から製造した針葉
樹パルプ、楓、ブナ、ポプラ等から製造した広葉樹パル
プ、針葉樹広葉樹混合パルプ等の天然パルプを主成分と
するものが広く用いられ、クラフトパルプ、サルファイ
トパルプ、ソーダパルプ等の晒パルプを使用できる。ま
た合成繊維や合成パルプを含むパルプから製造した紙基
体も使用できる。前記紙支持体には、通常の各種添加
剤、例えば乾燥紙力増強剤、サイズ剤、填料、湿潤紙力
増強剤、定着剤、pH調整剤等を1種類以上含むことが
できる。
【0046】また前記紙支持体には水溶性高分子添加
剤、表面サイズ剤、無機電解質、顔料、pH調節剤、染
料、帯電防止剤、ポリビニルアルコ−ル等の1種類以上
を含む処理液でタブサイズ、またはサイズプレスされた
ものであってもよい。
【0047】さらに前記紙支持体の代わりに、プラスチ
ックフィルムや、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
エステル、塩化ビニルなどからなる合成樹脂フィルムを
擬紙化したいわゆる合成紙のようなシート状基体を使用
することは、強度、耐水性、寸法安定性、防湿性の面で
好ましく、必要に応じて用いることができる。例えば、
ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフ
ィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融押し出し法
で形成したフィルムをシート状基体として使用すること
もできる。またシート状基体として使用するプラスチッ
クフィルムや、いわゆる合成紙には、クレー、タルク、
カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化マグ
ネシウム等の顔料、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸
や各種の界面活性剤等の分散剤、および有色顔料等の1
種類以上が含まれても良い。
【0048】本発明に用いるシート状基体としては、紙
支持体の片面または両面にクレー、タルク、カオリン、
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、
水酸化マグネシウム、プラスチックピグメント等の顔
料、およびアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン
−アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重
合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビ
ニリデン樹脂等の合成樹脂を主成分とする顔料塗被層を
有するコート紙、キャストコート紙、アート紙、軽量コ
ート紙、艶消し塗布紙などの顔料塗被紙、ポリエチレン
のようなポリオレフィン樹脂で片面あるいは両面にラミ
ネートを施したラミネート紙、また紙基支持体を使用す
る場合は、電子線硬化性樹脂組成物の浸透を防止するた
め、別途ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセル
ロース、酸化澱粉等のバリヤー剤でアンダーコート層を
設けてもよい。
【0049】本発明で用いられるシート状基体には、塗
布する電子線硬化性樹脂組成物の浸透防止のため、また
はシート状基体と電子線硬化樹脂層との接着性を向上す
るため、必要に応じてアンダーコート層を設けることが
できる。アンダーコート層に用いられる水系、エマルジ
ョン系または溶剤系の合成樹脂として、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ
アセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスチ
レン、ポリブタジエン、ポリオレフィン、およびアミノ
アルキッド樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは
混合物として使用することができる。
【0050】またアンダーコート層には、顔料を配合す
ることができる。使用される顔料としては、クレー、タ
ルク、シリカ、炭酸カルシウム、サチンホワイト、リト
ポン、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムおよ
び種々のプラスチック顔料を用いることができる。
【0051】本発明に用いるアンダーコート層の塗布量
は、乾燥重量で1〜25g/m2、好ましくは5〜20
g/m2である。1g/m2未満では均一な塗膜が得にく
く、また25g/m2より多いと、浸透防止効果および
接着効果が飽和するばかりでなく、コスト高になること
がある。
【0052】また本発明においては、前記の電子線硬化
性樹脂組成物中において、用いられる顔料には特に限定
はなく、クレー、カオリン、タルク、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、二酸化チタ
ン(アナターゼ型およびルチル型)、亜鉛華、硫酸バリ
ウム等の無機顔料、およびプラスチックピグメントとし
て知られているポリスチレンのような有機顔料を使用す
ることができる。これらの顔料は通常白色であり、表面
無処理のまま使用してもよいが、シロキサン、アルミ
ナ、アルコール、シランカップリング剤等で表面処理し
たものを使用してもよい。また顔料は、単独または2種
類以上を混合して使用してもよい。またこのような顔料
が配合された電子線硬化性樹脂組成物には、着色剤、染
料、防腐剤等の公知の助剤を必要に応じて配合すること
もできる。
【0053】顔料の配合量は、電子線硬化性樹脂組成物
全体100重量部に対し、80重量部以下であることが
好ましく、より好ましくは60重量部以下である。顔料
配合量が、80重量部より多くなると、塗料粘度が過度
に高くなり、流動性が不良になってしまうことがある。
【0054】本発明において金属製円筒型回転体からの
剥離を軽くするため、あるいは製造された強光沢シート
状材料の表面の滑り性を付与するために用いる電子線硬
化性樹脂組成物中に、剥離助剤、滑剤などの添加剤を配
合することができる。これらの添加剤としては、シリコ
ーンオイル、金属石鹸、各種脂肪酸等を使用することが
可能である。
【0055】アンダーコート層用塗料に用いる合成樹脂
中あるいは電子線硬化性樹脂組成物中に、顔料を分散す
るには、3本ロール(スリーロールミル)、2本ロール
(ツーロールミル)、カウレスディゾルバー、ホモミキ
サー、サンドグラインダー、ペイントコンディションナ
ーおよび超音波分散機等を使用することができる。
【0056】本発明の強光沢シート状材料は、電子線硬
化樹脂層が2層以上に塗布された積層体であってもかま
わない。この場合、各層に用いられる電子線硬化樹脂層
は異なる組成であっても良いし、あるいは同一の組成で
あっても差し支えなく、目的に合わせた電子線硬化性樹
脂組成物を用いることができる。
【0057】本発明のシート状基体表面上に電子線硬化
樹脂層を形成する方法を、添付した図面によりさらに説
明する。図1はそれぞれ本発明の製造方法の一実施態様
を示す説明図である。図1に示された塗布液塗布硬化設
備1において、最外側層を形成するための最外層用電子
線硬化性樹脂組成物3は、塗料容器2から、オフセット
グラビアコーター等のコーター4a、4bを用いて成型
用金属製円筒型回転体5の成型基体表面上に塗布され、
この最外側塗布液層7aは第1電子線照射装置6から照
射される電子線により硬化され、最外側層7となる。こ
の時、第1電子線照射装置6における電子線照射は、一
般的に酸素濃度500ppm以下の雰囲気で行われる
が、多層積層構造を形成する場合は、外側層と内側層の
接着性が高いことが重要となるので、このために酸素濃
度を600ppm以上、好ましくは1000ppm以上
に高くした雰囲気中で行う場合もある。
【0058】一方、塗料容器8中の内層用電子線硬化性
樹脂組成物9は、コーター10a、10b、10cを用
いてシート状基体11の1面上に塗布され、内側塗布液
層12aが形成される。次いで、内側塗布液層12aは
ガイドロール13により成型用金属製円筒型回転体5の
表面上に導かれて、前記硬化最外側層7と貼合わされ、
第2電子線照射装置14により硬化、合体されて表面樹
脂被覆層が形成され、その後、シート状基体−表面樹脂
被覆層からなる電子線硬化樹脂層積層体はガイドロール
15を経て成型用金属製円筒型回転体5から剥離され、
強光沢シート状材料16が得られる。
【0059】図1に示された製造方法において、第1電
子線照射装置6による電子線照射を行わずに最外側塗布
液層7aと、内側塗布液層12aを貼り合わせた後に、
第2電子線照射装置14のみで電子線照射を行い、電子
線硬化樹脂層を有する強光沢シート状材料16を製造す
ることも可能である。またシート状基体あるいは金属製
円筒型回転体のどちらか一方にのみに塗布液層を塗布し
てシート状基体上に電子線硬化樹脂層を有する積層体を
製造することも可能である。そのような場合には第1電
子線照射装置6は不要であり、第2電子線照射装置14
によってのみ電子線照射を行えばよい。
【0060】成型基体として使用する金属製円筒型回転
体は、その材質形状を特に限定するものではないが、例
えばステンレススチール、銅、クロム等から形成され、
鏡面仕上げされた平滑な周面を有しているものが用いら
れる。電子線硬化樹脂層と成型基体との剥離を容易にす
るために、金属製円筒型回転体の表面にシリコーンオイ
ルやワックスなどの剥離助剤を供給することもできる。
【0061】またシート状基体の表面あるいは成型基体
表面に前記電子線硬化性樹脂組成物を塗布する方法とし
ては、例えばバーコート法、ブレードコート法、スクイ
ズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、
グラビアコート法、コンマコート法、スムージングコー
ト法、マイクログラビアコート法、リバースロールコー
ト法、マルチロールコート法、ディップコート法、キス
コート法、ゲートロールコート法、落下カーテンコート
法、スライドコート法およびトランスファーコート法等
のいずれを用いても良い。さらにファウンテンコーター
あるいはスリットダイコーターを用いることもできる。
特に金属製円筒型回転体の表面を成型基体として使用
し、この成型基体表面に電子線硬化性樹脂組成物を塗布
する場合には、成型基体表面に傷を付けない配慮から、
塗布用ゴムロールを使用するロールコート法あるいはオ
フセットグラビアコート法が用いられ、さらには非接触
タイプのファウンテンコーターやスリットダイコーター
等が有利に用いられる。
【0062】本発明に係る強光沢シート状材料におい
て、その電子線硬化樹脂層の被覆量は、1〜35g/m
2が好ましく、より好ましくは5〜25g/m2である。
被覆量が1g/m2未満であると、塗膜に欠陥を生じ、
電子線硬化樹脂層表面の平滑性が不十分となり、満足し
た性能が得られず、また被覆量が35g/m2より多い
と、コスト高になることがある。
【0063】また本発明に係る強光沢シート状材料にお
いて、内側樹脂層と最外側樹脂層からなる場合には、最
外側樹脂層の美粧性や光沢等の表面特性を付与するため
には、その硬化後の塗被量0.1g/m2以上、好まし
くは0.3g/m2以上とする必要がある。最外側樹脂
層の塗被量が0.1g/m2未満であると、所望の表面
特性が得られない。また内側樹脂層の柔軟性を確保する
ためには、その硬化後の塗被量3g/m2以上、好まし
くは5g/m2以上とする必要がある。内側樹脂層の塗
被量が3g/m2未満では、強光沢シート状材料の柔軟
性が劣ることがある。
【0064】電子線照射に用いられる電子線照射装置と
しては、特にその方式に限定はないが、例えばバンデグ
ラーフ型スキャニング方式、ダブルスキャニング方式、
ブロードビ−ム方式、およびカーテンビーム方式等の電
子線照射装置をいずれでも使用できる。これらの中でも
比較的安価で大出力の得られるカーテンビーム方式のも
のが本発明に有効に用いられる。
【0065】電子線照射の際の加速電圧は100〜30
0kVであることが好ましく、吸収線量としては、0.
5〜8Mradであることが好ましく、1〜5Mrad
が特に好ましい。
【0066】電子線照射時における雰囲気中の酸素濃度
は、1000ppm以下、好ましくは500ppm以下
で行う。酸素濃度が1000ppmより高い場合、電子
線硬化性樹脂組成物は酸素の存在により重合反応が阻害
され、硬化が不十分になることがある。しかし電子線照
射によるオゾン発生を抑制する目的で、あるいは電子線
が通過する際に発熱するウィンドウの冷却等の目的で不
活性ガスを使用し、酸素濃度を下げることにはもちろん
支障はない。さらに共存するガスの種類やその濃度、ま
たは雰囲気の温度、湿度は特に限定せず、窒素ガスのよ
うな不活性ガスとの共存も差し支えない。
【0067】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、もちろん本発明はこれらの態様に制限さ
れるものではない。
【0068】実施例1 下記の電子線硬化性樹脂組成物(組成物1)をカウレス
ディゾルバーにて1500rpm、20分間混合分散さ
せて調製した。組成物1 成 分 配合量 ポリオールが分子量2000のポリプロピレンオキサイド であるウレタンオリゴマーを主成分とする電子線硬化性 60重量部 有機化合物 (商標:KU511−23、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート 40重量部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製)
【0069】成型基体と強光沢シート状材料との積層体
の作成 坪量64g/m2の片面コート紙(商標:Bラベル原
紙、王子製紙社製)をシート状基体として用い、この片
面コート紙のコート層表面に、硬化後の塗布量が15g
/m2になるように前記組成物1をメイヤバーを用いて
塗布液層を設ける。次に組成物1の塗布液層と、表面に
クロムメッキを施した成型基体(浅沼商会、King、
フェロタイププレート、ステンレス製、ハードクロムメ
ッキ仕上げ)の表面に密着するようにして前記両面コー
ト紙を貼り合わせ、片面コート紙の背面側から加速電圧
200kV、吸収線量5Mradで電子線を照射し、前
記塗布液層を硬化させ、成型基体と強光沢シート状材料
との積層体を得た。
【0070】成型基体からの剥離性評価 前記積層体を引張り試験機(商標:TENSILON/
UTM−100)を用いて150mm/minのスピー
ドで180°の角度で剥離し、成型基体表面から組成物
1の塗布始め部分(組成物1の塗布部と未塗布部の境界
線:以下、硬化阻害部という)の剥離力を測定した。硬
化阻害部の剥離力を次の様に評価した。 ○:剥離力が500g/100mm未満 △:剥離力が500〜2000g/100mm ×:剥離力が2000g/100mmより大 ここで、剥離力が、500g/100mm以下である○
および△は、実用性はあるが、2000g/100mm
より大きい×の場合には、実用性がないと判定する。評
価した結果を表1に示す。
【0071】強光沢シート状材料の柔軟性の評価 成型基体から剥離した強光沢シート状材料の電子線硬化
樹脂層が外側になるようにして、直径1mmの円管に巻
き付けクラックの長さを目視により評価した。 ○:クラックがない △:クラックが30%以下 ×:クラックが30%より大きい ここで、クラックが30%以下である○および△は、実
用性はあるが、30%より大きい×の場合には、実用性
がないと判定する。評価した結果を表1に示す。
【0072】光沢度の評価 JIS Z8741によりグロスメーターVGS−1D
(日本電色工業社製)を用い、60゜/60゜の光沢度
を測定した。測定値が75%以上であれば、光沢度が優
れていると判断される。
【0073】実施例2 実施例1の組成物1で用いたウレタンアクリレートオリ
ゴマーの代わりにポリオール部が分子量4185のポリ
プロピレンオキサイド鎖で、イソホロンジイソシアネー
トとヒドロキシエチルアクリレートを用いて合成された
2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量487
9)に変えた組成物2を調製し、これを用いて実施例1
と同様の操作および評価し、その結果を表1に示す。
【0074】実施例3 実施例1の組成物1で用いたウレタンアクリレートオリ
ゴマーの代わりにポリオール部が分子量700のポリプ
ロピレンオキサイドである2官能ウレタンアクリレート
オリゴマー(商標:ウレタンアクリレートオリゴマーP
PG−700:荒川化学工業社製)に変えた組成物3を
調製し、これを用いて実施例1と同様の操作および評価
を行い、その結果を表1に示す。
【0075】実施例4 実施例1の組成物1で用いたウレタンアクリレートオリ
ゴマーの代わりにポリオール部が分子量400のポリプ
ロピレンオキサイドである2官能ウレタンアクリレート
オリゴマー(商標:ウレタンアクリレートオリゴマーP
PG−400:荒川化学工業社製)に変えた組成物4を
調製し、これを用いて実施例1と同様の操作および評価
を行い、その結果を表1に示す。
【0076】比較例1 実施例1の組成物1で用いたウレタンアクリレートオリ
ゴマーの代わりにポリオール部がないヒドロキシアクリ
レートとイソホロンジイソシアネートから合成された2
官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商標:ウレタン
アクリレートオリゴマーIPDI−HEA:荒川化学工
業社製)に代えた組成物5を調整し、これを用いて実施
例1と同様の操作および評価を行ない、その結果を表1
に示す。
【0077】比較例2 実施例1の組成物1で用いたウレタンアクリレートオリ
ゴマーの代わりにポリオール部が分子量800のポリエ
ステルである2官能ウレタンアクリレートオリゴマー
(商標:OA−130;荒川化学工業社製)に変えた組
成物6を調整し、これを用いて実施例1と同様の操作お
よび評価を行ない、その結果を表1に示す。
【0078】比較例3 実施例1の組成物1の代わりにジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート(商標:KAYARAD DPHA 日本化薬社
製)に変えた組成物7を調整し、これを用いて実施例1
と同様の操作および評価を行ない、その結果を表1に示
す。
【0079】比較例4 坪量128g/m2の片面キャストコート紙(商標:ミ
ラーコートプラチナ、王子製紙社製)のキャストコート
面の光沢度および柔軟性を実施例1と同様に評価した。
【0080】
【表1】
【0081】電子線硬化性樹脂組成物中に少なくとも1
種以上の電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴマー
を含有し、かつ前記電子線硬化性ウレタンアクリレート
オリゴマーが分子量400〜10000のポリプロピレ
ンオキサイド鎖を有する場合(実施例1〜4)には、硬
化阻害を受けた部分の金属製円筒型回転体からの剥離性
が良好で、かつ柔軟性の良好な強光沢シート状材料が得
られた。
【0082】一方、電子線硬化性ウレタンアクリレート
オリゴマーのポリール部のポリプロピレンオキサイド鎖
でない場合(比較例1、2)には硬化阻害を受けた部分
の金属製円筒型回転体からの剥離性が悪く、また6官能
アクリレートを使用した場合(比較例3)には硬化阻害
を受けた部分の剥離力は良好であるが、塗膜が硬く柔軟
性が悪い。また一般のキャストコート紙(比較例4)で
は光沢度が低い。
【0083】
【発明の効果】 本発明により得られた強光沢シート状
材料は、柔軟性があり、金属製円筒型回転体の表面から
剥離する際に、硬化阻害を受けやすい塗工開始部分、継
手部分および塗工端部分の剥離が軽く、金属製円筒型回
転体に残留物を残さずに剥離することができ、歩留まり
よく連続して製造することが出来、実用上極めて有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法の1実施態様を示す説明図
である。
【符号の説明】
1・・塗布液塗布硬化設備 2・・塗料容器 3・・最外層用電子線硬化性樹脂組成物 4a,4b,10a,10b,10c・・コーター 5・・成型用金属製円筒型回転体 6・・第1電子線照射装置 7・・硬化最外側層 7a・・最外側塗布液層 8・・塗料容器 9・・内層用電子線硬化性樹脂組成物 11・・シート状基体 12・・硬化内側層 12a・・内側塗布液層 13・・ガイドロール 14・・第2電子線照射装置 15・・ガイドロール 16・・強光沢シート状材料

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基体と、その少なくとも一表面
    上に形成され、電子線硬化性不飽和有機化合物を主成分
    として含む塗料組成物の電子線硬化樹脂層とを有する強
    光沢シート状材料において、前記塗料組成物が、分子量
    400〜10000のポリプロピレンオキサイド鎖を有
    する電子線硬化性ウレタンアクリレートオリゴマーを少
    なくとも1種含有することを特徴とする強光沢シート状
    材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003535721A (ja) * 2000-06-06 2003-12-02 クライオバック・インコーポレイテツド 放射線で硬化したオーバープリントワニスを伴う印刷された熱可塑性フィルム
JP2007001111A (ja) * 2005-06-23 2007-01-11 Riken Technos Corp 高光沢化粧シート
JP2007253425A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Tdk Corp 転写用導電性フィルム及びそれを用いた透明導電層が付与された物体

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