JP2001150603A - 強光沢印刷用シート - Google Patents

強光沢印刷用シート

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JP2001150603A
JP2001150603A JP34170299A JP34170299A JP2001150603A JP 2001150603 A JP2001150603 A JP 2001150603A JP 34170299 A JP34170299 A JP 34170299A JP 34170299 A JP34170299 A JP 34170299A JP 2001150603 A JP2001150603 A JP 2001150603A
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JP
Japan
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electron beam
sheet
coating layer
resin coating
curable resin
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JP34170299A
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Nobuyasu Sasakuri
暢康 笹栗
Kanako Inagi
可奈子 稲木
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキブロッキングを抑え、かつインキ着肉
性を損なわない強光沢印刷用シートを提供する。 【解決手段】 シート状支持体と、その少なくとも一面
上に形成され、かつ電子線硬化性樹脂組成物の電子線硬
化体からなる電子線硬化樹脂被覆層とを有し、前記電子
線硬化樹脂被覆層表面の水に対する接触角が60〜90
度であることを特徴とするものである。また前記電子線
硬化樹脂被覆層が、少なくとも前記シート状支持体に隣
接する内側樹脂被覆層と、最外側に配置された最外側樹
脂被覆層とを含む積層体からなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、強光沢印刷用シ
ートに関するものであり、さらに詳しく述べるならば、
本発明は、印刷後の光沢面同士が直接接するアルバムや
書籍の表紙、袋もの、折り込み印刷物などに使用されて
も、インキ転移のない強光沢印刷用シートに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】 従来、キャスト塗被紙と呼ばれる光沢
塗被紙は、顔料および接着剤を主成分とする塗被層を、
それが水を含んで可塑状態にある間に加熱された鏡面に
圧接し、乾燥仕上げして形成された強光沢塗被層を設け
たものであるが、強光沢塗被紙としての光沢度は満足で
きるものではなく、さらに高い光沢のものが望まれてい
る。
【0003】この問題点を解決するために、印刷物の表
面にクリアラッカー状の塗料を塗布乾燥するプレスコー
ト法や、シート状支持体に溶融した樹脂をフィルム状に
して重ね、平滑で強光沢な金属製円筒型回転体に圧接し
て冷却し、冷却後に金属製円筒型回転体から剥離して強
光沢塗被層を形成するいわゆるラミネートコーティング
方式が用いられるようになった。しかしこれらの方法で
は、印刷後にさらにオーバーコートする工程が加わるた
め、コスト高となるばかりでなく、歩留まりの低下を招
き、光沢などの品質も十分に満足できるものではなかっ
た。
【0004】その後、近年になって、電子線硬化性有機
化合物を主成分とした塗料組成物(以下、電子線硬化性
樹脂組成物という。)から形成された塗布液層を成形基
体表面あるいは金属製円筒型回転体に圧接し、これに電
子線を照射して硬化するキャスト電子線照射方式が行わ
れ、これらの方式により高い光沢度を有する印刷用シー
トが得られるようになった。
【0005】これらの印刷シートを形成する電子線硬化
性樹脂被覆層は1層であってよいが、インキセット性や
柔軟性、表面白色度や美粧性の良い強光沢印刷用シート
を製造する場合、電子線硬化樹脂被覆層を2層以上の多
層構造とし、内側樹脂被覆層と最外側樹脂被覆層とを、
異なる電子線硬化性樹脂組成物を用いて多層構造を形成
する場合もある。
【0006】しかしながら、シート状支持体表面上にこ
のような電子線硬化樹脂被覆層を設けた強光沢印刷用シ
ートは、印刷後の光沢面同士が直接接するような使用方
法、例えばアルバム用紙や書籍の表紙、折込み製品など
の場合に、印刷インキが反対側の光沢面上に転移してし
まう、いわゆるインキ転移の現象が発生するという問題
が生じていた。このように電子線硬化型樹脂組成物を主
成分とする塗被層を最外側樹脂被覆層に設けた強光沢印
刷用シートは、光沢面の白紙部と印刷部が重なり合った
際、印刷部の乾燥しているインキが白紙部に転移する現
象(以下、この現象をインキブロッキングという。)が
発生しやすい。このインキブロッキング発生により印刷
物の商品価値を損なう恐れがある。そのため、このイン
キブロッキングを抑えることが望まれている。
【0007】この問題点を解決するために、白紙表面に
インキブロッキングが発生し難い層を最外側層に設ける
といった対応をとっているが、インキブロッキングは抑
制されるが、印刷時にインキの着肉不良が発生し、所望
の印刷品質が得られ難い問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は従来技術の
前記の問題点を解決し、インキブロッキングを抑え、か
つインキ着肉性を損なわない強光沢印刷用シートを提供
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明に係る強光沢印
刷用シートは、シート状支持体と、その少なくとも一面
上に形成され、かつ電子線硬化性樹脂組成物の電子線硬
化体からなる電子線硬化樹脂被覆層とを有し、前記電子
線硬化樹脂被覆層表面の水に対する接触角が60〜90
度であることを特徴とするものである。
【0010】また本発明に係る強光沢印刷用シートは、
シート状支持体と、その少なくとも一面上に形成され、
かつ電子線硬化性樹脂組成物の電子線硬化体からなる電
子線硬化樹脂被覆層とを有し、前記電子線硬化樹脂被覆
層が、少なくとも前記シート状支持体に隣接する内側樹
脂被覆層と、最外側に配置された最外側樹脂被覆層(以
下、最外側層という。)とを含む積層体からなり、前記
最外側層表面の水に対する接触角が、60〜90度であ
ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】 本発明者らは、インキブロッキ
ングの抑制を種々検討した結果、シート状支持体に電子
線硬化樹脂被覆層を最外側層に設けてなる強光沢印刷用
シートにおいて、電子線硬化樹脂被覆層形成後の表面の
水5μリットルでの接触角が、滴下10秒後に60〜9
0度、好ましくは65〜80度である時、インキブロッ
キングが無くかつインキ着肉性に優れた効果が得られる
ことを見出して、本発明を完成した。
【0012】前記接触角が60度未満の場合、インキブ
ロッキングの防止効果が小さく、光沢面の白紙部と印刷
部が重なり合った際、印刷部の乾燥しているインキが白
紙部へ転移することがある。
【0013】一方、前記接触角が90度を超える場合、
インキブロッキングの防止効果は大きいが、印刷物のイ
ンキ着肉性が劣ることがあり、このため印刷物の商品価
値を損なう。
【0014】本発明において、前記電子線硬化樹脂被覆
層または前記最外側層の形成に用いる電子線硬化性樹脂
組成物中には、水酸基を有する有機基を含有するポリジ
メチルシロキサンと、芳香族、脂肪族もしくは脂環式の
ポリイソシアネート類との反応生成物に、ヒドロキシ
(メタ)アクリレート類を反応させた生成物(以下、シ
リコーン−アクリル変性物という。)を配合する。この
水酸基を有する有機基としては、カルビノール基、フェ
ノール基、シラノール基、水酸基を有するポリエステル
基、水酸基を有するポリエーテル基が挙げられ、これら
はポリジメチルシロキサンの末端や側鎖に位置してお
り、両末端や片末端、あるいは側鎖と末端に併せ持つタ
イプでも何ら差し支えない。勿論有機基数には、特に制
限はない。
【0015】前記ポリイソシアネート類としては、2,
4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイ
ソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソ
シアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイ
ソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5
−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、メチレン
ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族
ジイソシアネート、またはテトラメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネ
ートが例示できる。ヒドロキシ(メタ)アクリレート類
としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例
示できる。
【0016】また前記電子線硬化樹脂被覆層または前記
最外側層の形成に用いる電子線硬化性樹脂組成物中に
は、前記シリコーン−アクリル変性物と、印刷適性を付
与する目的から、下記の電子線硬化性有機化合物を配合
することが好ましい。
【0017】特に限定されるものではないが、この電子
線硬化性有機化合物としては、 (1)直鎖状もしくは側鎖を有する分子量300〜10
000のアルキル構造含有不飽和有機化合物 (2)分子量30〜300のアルキルジオールと硬化ヒ
マシ油の反応生成物の構造含有不飽和有機化合物 (3)不飽和高級脂肪酸の二量体に由来するダイマー酸
構造含有不飽和有機化合物 (4)分子量1000〜10000のポリエーテル構造
含有不飽和有機化合物等を挙げることができる。これら
は、ウレタン変性、エステル変性、エポキシ変性等され
ていても何ら差し支えない。
【0018】またこれらの印刷適性を付与する電子線硬
化性有機化合物は、通常高粘度のものが多いため、ハン
ドリングを良くする目的から、希釈モノマーとして低粘
度の電子線硬化性有機化合物を配合しても何ら差し支え
ない。この希釈モノマーの種類には特に限定されるもの
ではないが、下記の化合物を単独あるいは数種類併用し
ても良い。
【0019】この希釈モノマーとしては、 (1)脂肪族、脂環族および芳香族の1〜6価のアルコ
ールおよびポリアルキレングリコールのアクリレート化
合物類 (2)脂肪族、脂環族および芳香族の1〜6価のアルコ
ールにポリアルキレンオキシドを付加させたもののアク
リレート化合物類 (3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類 (4)多塩基酸とポリオールとアクリル酸との反応生成
物 (5)イソシアネートとポリオールとアクリル酸との反
応生成物 (6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物 (7)エポキシ化合物とポリオールとアクリル酸との反
応生成物 等を挙げることができる。
【0020】具体的に述べるならば、単官能希釈モノマ
ーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、
N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、2−
エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルアクリレート、テトラヒドロフルフ
リルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフ
ルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアク
リレート、イソボロニルアクリレート、ベンジルアクリ
レート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、
メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキ
シプロピレングリコールアクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトー
ルアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクタンモ
ノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリ
レート、アクリル酸ダイマー、アクリル酸−9,10−
エポキシ化オレイル、メタクリル酸−9,10−エポキ
シ化オレイル、マレイン酸エチレングリコールモノアク
リレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロ
ペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエ
チレンアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キソランのカプロラクタン付加物のアクリレート、3−
メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカ
プロラクトン付加物のアクリレート、エチレンオキシド
変性フェノキシ化リン酸アクリレート等が用いられる。
【0021】多官能希釈モノマーとしては、エタンジオ
ールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノ
ナンジオールジアクリレート、1,14−テトラデカン
ジオールジアクリレート、1,15−ペンタデカンジオ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパ
ンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ビス
フェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変
性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキ
シド変性水添ビスフェノールAジアクリレート、プロピ
レンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポ
リプロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレ
ート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリ
コールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸
エステルネオペンチルグリコールエステルのカプロラク
トン付加物ジアクリレート、エチレンオキシド変性イソ
シアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジア
クリレートモノステアレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリオキシ
エチレンエピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジア
クリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチ
レンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレンオキ
シド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキシ
ド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、エチレンオキ
シド変性グリセロールトリアクリレート、ポリエチレン
オキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレ
ンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリプ
ロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、ポリカプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート等がある。
【0022】また電子線硬化性樹脂組成物中に、消泡
剤、滑剤、顔料等の材料が必要に応じて配合されていて
も何ら差し支えない。表面滑り性を付与するため、ある
いは消泡剤やインキブロッキング防止剤等として用いる
ために以下に挙げるシリコーンオイルを少量添加するこ
とは何ら差し支えない。具体的にはジメチルシリコーン
オイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイ
ドロジエンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーン
オイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変
性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイ
ル、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリ
コーンオイル、アルコール変性シリコンオイル、エポキ
シ変性シリコーンオイル、エポキシポリエーテル変性シ
リコーンオイル等である。
【0023】電子線硬化性樹脂組成物中に配合する場
合、用いられる顔料には特に限定はなく、クレー、カオ
リン、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化
チタン(アナターゼ型およびルチル型)、亜鉛華、硫酸
バリウム等の無機顔料、およびプラスチックピグメント
として知られているポリスチレンのような密実型、中空
型または貫通孔型の有機顔料を使用することができる。
これらの顔料は通常白色であり、表面無処理のまま使用
してもよいが、シロキサン、アルミナ、アルコール、シ
ランカップリング剤等で表面処理したものを使用しても
よい。また顔料は、単一種からなるものでもよく、また
は2種類以上を混合して使用してもよい。またこのよう
な顔料が配合された電子線硬化性樹脂組成物には分散
剤、離型剤、着色剤、染料、防腐剤等の公知の助剤を必
要に応じて配合することもできる。
【0024】顔料の配合量は、電子線硬化性樹脂組成物
100重量部(固形分)中、80重量部以下であること
が好ましい。顔料配合量が80重量部より多くなると、
塗料粘度が過度に高くなり、流動性が不良になってしま
うことがある。
【0025】顔料を前記電子線硬化性有機化合物中に分
散するには、3本ロールミル(スリーロールミル)、2
本ロールミル(ツーロールミル)、カウレスデゾルバ
ー、ホモミキサー、サンドグラインダー、プラネタリー
ミキサーおよび超音波分散機等を使用することができ
る。
【0026】本発明に用いられるシート状支持体の種類
に関しては特に制限はなく、紙基体(例えば上質紙)、
プラスチックフィルム、布、不織布、またはアルミニウ
ム箔等の比較的厚さの薄いものを用いることができる
が、好ましくは紙基体を用いる。紙基体としては、通常
50〜300g/m2の重量を有し、表面の平滑な紙基
体が用いられる。本発明で用いられる紙基体の種類に
は、特に制限は無い。紙基体を形成するパルプとして
は、一般的には、樅、栂等から製造した針葉樹パルプ、
楓、ブナ、ポプラ等から製造した広葉樹パルプ、針葉樹
広葉樹混合パルプ等の天然パルプを主成分とするものが
広く用いられ、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、
ソーダパルプ等の晒パルプを使用できる。また合成繊維
や合成パルプを含むパルプから製造した紙基体も使用で
きる。前記紙基体には、通常の各種添加剤、例えば乾燥
紙力増強剤、サイズ剤、填料、湿潤紙力増強剤、定着
剤、pH調整剤等を1種類以上含むことができる。
【0027】さらに本発明に用いられる紙基体の代わり
に、プラスチックフィルムや、いわゆる合成紙のような
シート状支持体を使用することは、何ら差し支えない。
例えば、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポ
リオレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融押
し出し法で形成したフィルムをシート状支持体として使
用することもできる。また合成樹脂フィルムを擬紙化し
たいわゆる合成紙もシート状支持体として用いることが
できる。シート状支持体として用いられるプラスチック
フィルムや、いわゆる合成紙には、クレー、タルク、カ
オリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化マグネ
シウム等の顔料、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、
各種の界面活性剤等の分散剤、および有色顔料等の1種
類以上が含まれてもよい。
【0028】また本発明に用いるシート状支持体は、特
にその素材を限定するものではないが、例えば、上質紙
のような紙基体の片面または両面にクレー、タルク、カ
オリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化
チタン、水酸化マグネシウム、プラスチックピグメント
等の顔料および、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エ
チレン−アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレ
ン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、
塩化ビニリデン樹脂等の合成樹脂を主成分とする顔料塗
被層を有するコート紙、キャストコート紙、アート紙な
どの顔料塗被紙、ポリエチレンのようなポリオレフィン
樹脂で片面あるいは両面にラミネートを施したラミネー
ト紙であってもよく、また紙基体を使用する場合は、電
子線硬化性樹脂組成物の浸透を防止するため、別途ポリ
ビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、酸化
澱粉等のバリヤー剤でアンダーコート層を設けてもよ
い。
【0029】本発明の強光沢印刷用シートの表面平滑性
および光沢度を高めるためには、電子線硬化樹脂被覆層
を、キャスト法を用いて製造することが好ましく、また
白色度等を向上させる目的から、電子線硬化性樹脂組成
物に、顔料を配合することが好ましい。またシート状支
持体として地合いの良好でない紙基体を用いる場合に
は、紙基体の地合ムラに基づく表面の美粧性の低下を解
消するため、電子線硬化樹脂被覆層を2層以上の積層構
造にすること、すなわち内側樹脂被覆層を、顔料を含有
していないクリアー電子線硬化性樹脂組成物の電子線照
射による硬化体から形成し、最外側層を、顔料含有電子
線硬化性樹脂組成物の電子線照射による硬化体から形成
し、これらの形成にキャスト法を用いることが好まし
い。ただし地合いの良好な紙基体や、溶融ラミネート層
やアルキッド樹脂層などのバリヤー層などを設けた場合
などで地合いの影響を受けない場合には、特に2層にす
る必要はない。
【0030】本発明に係る強光沢印刷用シートの製造方
法としては、シート状支持体の一面上に印刷適性を有す
る電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、当該樹脂組成物を
塗布したシート状支持体を成形基体表面上に押圧し、そ
れによって形成された積層体に電子線照射を施して硬化
させ、このようにして得られた積層体を前記成形基体表
面から剥離する方法がある。
【0031】本発明に係る強光沢印刷用シートが2層以
上の電子線硬化樹脂被覆層を有する場合には、シート状
支持体と接する内側樹脂被覆層に使用する電子線硬化性
有機化合物には、特に限定するものではないが、内側樹
脂被覆層および最外側層との接着性を付与するために、
類似した分子構造を有する電子線硬化性有機化合物を用
いるのが好ましい。
【0032】成形基体として使用する金属製円筒型回転
体は、その材質形状を特に限定するものではないが、ス
テンレススチール、銅、クロム等で鏡面仕上げされた平
滑な周面を有しているもので、最外側層との剥離を容易
にするために、金属製円筒型回転体の表面にシリコーン
オイルやワックス等の剥離助剤を供給することもでき
る。
【0033】成形基体として使用する成形用シート状材
料は、平滑で柔軟性があればその材質に限定はないが、
具体的にはポリエステルフィルムのようなプラスチック
フィルム、金属シート、樹脂コート紙、金属蒸着フィル
ム、金属蒸着紙などが好ましく、成形用シート状材料の
表面には、最外側層の剥離を容易にするために、シリコ
ーンやワックスなどの剥離助剤を供給してもよい。さら
にシート状材料の表面に適宜の処理、例えばシリコーン
処理のような処理を施して、硬化した最外側層の剥離を
容易にしてもよい。成形基体として使用されるシート状
材料は、エンドレスベルト状に加工されていてもよい。
成形基体として使用するシート状材料は繰り返して使用
することもできるが、度重なる電子線照射による衝撃は
シート状材料を劣化させるため、この繰り返し使用の回
数には限度がある。
【0034】また成形基体である金属製円筒型回転体の
表面あるいはシート状材料の表面、またはシート状支持
体の表面に電子線硬化性樹脂組成物を塗布する方法とし
ては、例えばバーコート法、エアードクターコート法、
ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコ
ート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランス
ファーコート法、コンマコート法、スムージングコート
法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート
法、マルチロールコート法、ディップコート法、キスコ
ート法、ゲートロールコート法、落下カーテンコート
法、スライドコート法、ファウンテンコート法、および
スリットダイコート法等を用いることができる。特に成
形基体として金属製円筒型回転体を使用する場合には、
金属製円筒型回転体の表面に傷を付けないために、塗布
用ゴムロールを使用するロールコート法あるいはオフセ
ットグラビアコート法が用いることが好ましく、さらに
は非接触タイプのファウンテンコーターやスリットダイ
コーター等が有利に用いられる。
【0035】本発明の強光沢印刷用シートにおいて、1
層の電子線硬化樹脂被覆層、もしくは少なくとも1層の
内側樹脂被覆層と最外側層からなる電子線硬化樹脂被覆
層の合計塗被量は、硬化後において3〜60g/m2
あることが好ましく、より好ましくは5〜40g/m2
である。この塗被量が3g/m2未満では、得られる塗
被体の表面平滑性が不十分になり、美粧性が得られず、
光沢度が低下することがある。またこの塗被量が60g
/m2より多くなると、効果が飽和し、コスト高になる
ことがある。
【0036】電子線硬化樹脂被覆層が、少なくとも1層
の内側樹脂被覆層と、最外側層からなる場合、最外側層
の美粧性と印刷適性を付与するためには、その硬化後の
塗被量が0.1g/m2以上であることが好ましく、よ
り好ましくは0.5〜20g/m2である。最外側層の
塗被量が0.1g/m2未満であると、顔料の配合量が
多くても隠蔽性が不十分になることがある。また内側樹
脂被覆層の機能を確保するためには、その硬化後の塗被
量3g/m2以上であることが好ましく、より好ましく
は5〜20g/m2である。内側樹脂被覆層の塗被量が
3g/m2未満では紙基体の地合ムラを埋めきれないこ
とがある。
【0037】なお本発明の強光沢印刷用シートにおいて
は、平滑性を向上し、またシート状支持体と、それに接
する電子線硬化樹脂被覆層との接着性を向上させるため
に、シート状支持体と、それに接する樹脂被覆層との間
に合成樹脂を主成分とするアンダーコート層を設けても
よい。このアンダーコート層に使用される合成樹脂とし
ては、例えばアルキッド系樹脂、(メタ)アクリル系樹
脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂またはこれらの共重合体樹脂等
が挙げられ、溶剤系あるいは水性系媒体に溶解または分
散して塗布する。またアンダーコート層形成のために電
子線硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂も使用することがで
きる。さらにはアンダーコート層として溶融ポリエチレ
ンやポリプロピレンなどをラミネートした、ラミネート
型アンダーコート層を設けることもできる。このような
アンダーコート層を設けることは、シート状支持体に電
子線硬化性樹脂組成物を塗被して電子線硬化樹脂被覆層
を形成する分野では一般に行われている手段であり、例
えば電子線硬化樹脂被覆層を設けた写真印画紙用支持
体、電子写真用転写紙、感熱用基紙、工程用剥離紙、熱
転写受容紙、インクジェット記録用紙、包装紙等の製造
において用いられている。
【0038】電子線照射に用いられる電子線照射装置と
しては、特にその方式に制限はないが、例えばハンデグ
ラーフ型スキャニング方式、タブルスキャニング方式、
ブロードビーム方式、およびカーテンビーム方式等の電
子線照射装置を用いることができるが、この中でも比較
的安価で大出力の得られるカーテンビーム方式のものが
本発明に有効に用いられる。
【0039】電子線照射の際の加速電圧は100〜30
0kVであることが好ましく、吸収線量としては、0.
1〜8Mradであることが好ましく、0.5〜5Mr
adがより好ましい。
【0040】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は、勿論これらに限定されるもの
ではない。
【0041】実施例1 下記の操作により強光沢印刷用シートを作製した。下記
の組成物1を35℃に加温しながらホモミキサーを用い
て2000rpm、30分間攪拌して調製した。 組成物1 成 分 配合量 2官能ウレタンアクリレートオリゴマー 15重量部 (商標:KU511−23,荒川化学工業社製) 6官能ウレタンアクリレートオリゴマー 45重量部 (商標:KUP2001,荒川化学工業社製) 1,9―ノナンジオールジアクリレート 30重量部 (商標:ニューフロンティアL−C9A,第一工業製薬社製) 酸化チタン 10重量部 (商標:CR−58,石原産業社製) シリコーン−アクリル変性物 4.0重量部 (ただし、両末端に水酸基を有するカルビノール基を含
有するポリジメチルシロキサン(分子量約1800)と
イソホロンジイソシアネートとの反応生成物に2−ヒド
ロキシエチルアクリレートを反応させた生成物)
【0042】強光沢印刷用シートの作成 坪量157g/m2の上質紙をシート状支持体として用
い、その片面に8g/m2のPEラミネートによるアン
ダーコート層を設けたシート状支持体を作成し、その一
表面上に硬化後の塗布量が10g/m2になるように組
成物1を塗布して塗布液層を形成し、その塗布面をクロ
ムメッキを施した金属性円筒型回転体表面に貼り合わせ
た後、加速電圧280kV、吸収線量2Mradの条件
で紙基体の背面からの電子線を照射して塗布液層を硬化
し、表面樹脂被覆層を形成し、金属円筒型回転体より剥
離させて強光沢印刷用シートを作成した。以下の評価方
法で評価し、その結果を表1に示す。
【0043】試験並びに評価方法 (1)接触角測定方法 得られた強光沢印刷用シートに下記の測定器を用い、純
水5μリットルを測定サンプル表面に滴下し10秒後の
接触角を測定する。測定値を表1に示す。 測定器:FIBRO社製 ダイナミックアブソープショ
ンテスター1100DAT MKII
【0044】(2)インキブロッキング評価 得られた強光沢印刷用シートの表面にRI印刷機(明製
作所製、RI―2型)を用いて次の条件で印刷した後、
20℃65%RH雰囲気下で24時間乾燥させ印刷サン
プルを得る。 インキの種類:DIC GEOS−G Nタイプ 墨色
(大日本インキ化学工業社製) インキ量:0.2g 印刷速度:20rpm また得られた強光沢印刷用サンプルの裏面同士を糊(カ
ネビノールTV―545,日本エヌエスシー社製)20
g/m2で貼合し、板状の白紙サンプルを得る。こうし
て得られた印刷サンプルと白紙サンプルを重ね合せ(印
刷面と白紙面)た上に、2.0kg/cm2の加重をか
け、1時間後両サンプルを剥がす。そして、印刷面から
白紙面に転移したインキ量を目視にて官能評価した。評
価結果を表1に示す。 評価基準 ◎:白紙部に全くインキが転移していない。 ○:白紙部に極僅かインキの転移がみられるが、実機印
刷では商品価値を損なわないと思われるレベル。 △:白紙部にややインキの転移がみられ、実機印刷でも
商品価値を損なうと思われるレベル。 ×:白紙部にかなりインキ転移がみられる。
【0045】(3)インキ着肉性評価 前項(2)で得た印刷サンプルを用い、その印刷部のイ
ンキ濃度をマクベス濃度計RD―914にて測定し、測
定値を表1に示す。測定値が1.00以下では商品価値
がないと判定した。
【0046】実施例2 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、両末端に水酸基を有するシラノール基を含有するポ
リジメチルシロキサン(分子量約2500)のシリコー
ン−アクリル変性物を用いた以外は、実施例1と同様の
操作を行い、強光沢印刷用シートを作成し、評価した。
評価結果を表1に示す。
【0047】実施例3 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、末端に水酸基を有するフェノール基を含有するポリ
ジメチルシロキサン(分子量約3000)のシリコーン
−アクリル変性物を用いた以外は、実施例1と同様の操
作を行い強光沢印刷用シートを作成し、評価した。評価
結果を表1に示す。
【0048】実施例4 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、両末端に水酸基を有するポリエーテル基を含有する
ポリジメチルシロキサン(分子量約3800)のシリコ
ーン−アクリル変性物を用いた以外は実施例1と同様の
操作を行い強光沢印刷用シートを作成し、評価した。評
価結果を表1に示す。
【0049】実施例5 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、両末端に水酸基を有するポリエステル基を含有する
ポリジメチルシロキサン(分子量約4000)のシリコ
ーン−アクリル変性物を用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行い強光沢印刷用シートを作成し、評価した。
評価結果を表1に示す。
【0050】実施例6 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、片末端に水酸基を有するカルビノール基を含有する
ポリジメチルシロキサン(分子量約5000)のシリコ
ーン−アクリル変性物を用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行い強光沢印刷用シートを作成し、評価した。
評価結果を表1に示す。
【0051】実施例7 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物に替り
に、側鎖に水酸基を有するカルビノール基を含有するポ
リジメチルシロキサン(分子量約4000)のシリコー
ン−アクリル変性物を用いた以外は、実施例1と同様の
操作を行い強光沢印刷用シートを作成し、評価した。評
価結果を表1に示す。
【0052】比較例1 実施例1で用いたシリコーン−アクリル変性物を配合し
ない組成物を用いた以外は、実施例1と同様の操作をし
て強光沢印刷用シートを作成し、評価した。評価結果を
表1に示す。
【0053】比較例2 組成物2を用いた以外、実施例1と同様の操作を行い強
光沢印刷用シートを作成し、評価した。評価結果を表1
に示す。 組成物2 成 分 分子中に2つ以下の直鎖状アルキル側鎖構造を有するアルキル系ジアクリレート オリゴマー(分子量約1600) 45重量部 1,9―ノナンジオールジアクリレート 45重量部 (商標:ニューフロンティアL−C9A,第一工業製薬社製) 酸化チタン 10重量部 (商標:CR−58,石原産業社製)
【0054】
【表1】
【0055】表1からわかるように、本発明に係る強光
沢印刷用シートはインキ着肉性を保ちながらインキブロ
ッキング防止に優れている(実施例1〜7)。一方、接
触角が本発明の範囲より小さい場合(比較例1)には、
インキ着肉性は保っているが、インキブロッキングが発
生する。反対に、大きい場合(比較例2)には、インキ
ブロッキング防止にかなりの効果が得られるが、インキ
濃度が低下し、インキ着肉性が大幅に低下してしまう。
【0056】
【発明の効果】 本発明で得られた強光沢印刷用シート
は、インキブロッキングの発生を抑え、かつインキ着肉
性に優れたものであり、実用上極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK04D AK25B AK25C AK51B AK51C AK52B AK52C AT00A BA02 BA03 BA04 BA06 BA07 BA10B BA10C DG10A EJ53 GB90 JB14B JB14C JD20B JD20C JN21 YY00B YY00C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、その少なくとも一面
    上に形成され、かつ電子線硬化性有機化合物を主成分と
    して含む塗料組成物の電子線硬化体からなる電子線硬化
    樹脂被覆層とを有する強光沢印刷用シートにおいて、前
    記電子線硬化樹脂被覆層表面の水に対する接触角が60
    〜90度であることを特徴とする強光沢印刷用シート。
  2. 【請求項2】 シート状支持体と、その少なくとも一面
    上に形成され、かつ電子線硬化性有機化合物を主成分と
    して含む塗料組成物の電子線硬化体からなる電子線硬化
    樹脂被覆層とを有し、前記電子線硬化樹脂被覆層が、少
    なくとも前記シート状支持体に隣接する内側樹脂被覆層
    と、最外側に配置された最外側樹脂被覆層とを含む積層
    体からなる強光沢印刷用シートにおいて、前記最外側樹
    脂被覆層表面の水に対する接触角が、60〜90度であ
    ることを特徴とする強光沢印刷用シート。
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