JP2002361802A - 電子線硬化型工程用剥離シート - Google Patents

電子線硬化型工程用剥離シート

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JP2002361802A
JP2002361802A JP2001175465A JP2001175465A JP2002361802A JP 2002361802 A JP2002361802 A JP 2002361802A JP 2001175465 A JP2001175465 A JP 2001175465A JP 2001175465 A JP2001175465 A JP 2001175465A JP 2002361802 A JP2002361802 A JP 2002361802A
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electron beam
curable
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synthetic leather
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JP2001175465A
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Masashi Kobayashi
正史 小林
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】剥離性が良好で表面にくもりやムラのない漆黒
性のある合成皮革の作成を可能にし、巻き取り保存時の
ブロッキングによる凹みの発生を防止して外観の良好な
電子線硬化型工程用剥離シートの提供。 【解決手段】シート状基体と、その少なくとも一面上に
電子線硬化樹脂被覆層を有する工程用剥離シートにおい
て、前記電子線硬化性有機化合物100重量部に対し、
非電子線硬化性のアルキル基を有するスルホン酸誘導
体、スルホン酸塩を少なくとも0.01〜3.0重量部
含有、または、電子線硬化性樹脂被覆層がアルキルジオ
ール残基を有する2官能アクリレートモノマーを50〜
85重量部、かつ水素添加ポリブタジエン鎖を有するウ
レタンアクリレートオリゴマーを10〜30重量部、さ
らに電子線硬化性官能基数が4以上で、かつ、数平均分
子量/電子線硬化性官能基数で表されるアクリル当量が
200以下である電子線硬化性樹脂が5〜30重量部配
合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子線硬化型工程用
剥離シートに関するものである。さらに詳しく述べるな
らば、本発明は、シート状基体上に、電子線硬化性有機
化合物を主成分として含む塗料組成物(以下、電子線硬
化性樹脂組成物という。)を平滑な成形基体にキャスト
して硬化することにより平滑な電子線硬化樹脂被覆層を
有するエナメル調工程用剥離シートに関するものであ
り、前記電子線硬化樹脂被覆層上に形成した、合成樹脂
を主成分とする合成皮革スキン層/接着剤/基布からな
る合成皮革を、電子線硬化樹脂被覆層より容易に剥離
し、表面に曇りのない平滑な合成皮革を得る電子線硬化
型工程用剥離シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成皮革作製のための工程用剥離シート
は、従来からクレーコートなどの目処めを施した耐熱性
のある中性紙を原紙として、その表面に溶剤と合成樹脂
剥離剤、例えばアミノ・アルキッド樹脂、あるいはシリ
コーン変性・アミノアルキッド樹脂などを主成分とする
塗料組成物を塗布乾燥して製造されていた。
【0003】また最近ではポリプロピレン(PP)を主
成分とするポリオレフィンを原紙に溶融押し出しタイプ
の工程用剥離シートが多く使用されている。PP系工程
用剥離シートの表面性は、PP樹脂を原紙に溶融押し出
し塗工する際、表面形状の異なったクーリングロールに
接触させることにより鏡面やマット調の表面形状を変化
させることが出来る。
【0004】しかし、溶剤系工程用剥離シートにおいて
は作業環境の問題があり、PP系工程用剥離シートにお
いても、PP層のラミネート量が20〜50g/m2
多いため、廃棄物処理などの環境面での問題があり、他
に耐熱性150℃程度と低く、また表面が傷つき易いと
いう欠点も有している。
【0005】それに対して一般に使用する電子線硬化性
樹脂組成物中にはほとんど有機溶剤などの揮発成分を含
有しないため、作業環境が良好であるばかりでなく、熱
乾燥硬化型に比べて塗膜乾燥に要するエネルギーも低い
ため、環境面に配慮された製造システムである。また使
用する電子線硬化樹脂被覆層は3次元架橋が容易に起こ
るため、耐熱性や耐傷性に優れたものが多いというメリ
ットがあることから、電子線硬化技術を利用した電子線
硬化型工程用剥離シートの開発が盛んに行われている。
【0006】電子線硬化技術を利用したエナメル調、マ
ット調など様々な表面を有する電子線硬化型工程用剥離
シートの製造方法としては、様々な表面を有する成形材
料に電子線硬化樹脂塗布液をキャストして硬化する方法
(特開昭59−102972号公報、特公昭63−27
80号公報、特開平4−144742号公報、特開平5
−138736号公報、特開平5−269880号公報
および特開平6−158555号公報)が開示されてい
る。
【0007】しかし、上記のように成型材料に電子線硬
化樹脂塗布液をキャストして製造される電子線硬化型工
程用剥離シートは合成皮革の剥離性能が悪くなる問題が
ある。その剥離性能を改善する目的で剥離剤として、シ
リコーンモノアクリレート、シリコーンジアクリレー
ト、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンヘキサ
アクリレートなどのアクリル系電子線硬化性シリコー
ン、メルカプト/オレフィン系電子線硬化性シリコー
ン、エポキシ系電子線硬化性シリコーンが挙げられる
が、これらの電子線硬化性シリコーンは非常に高価であ
るため、このような電子線硬化性シリコーンを主成分と
して使用した電子線硬化型工程用剥離シートは、コスト
が高くなるという難点があった。
【0008】しかしシリコーン変性されていない電子線
硬化性有機化合物からなる電子線硬化樹脂被覆層を有す
る電子線効果型工程用剥離シートは電子線硬化樹脂被覆
層上に設ける合成樹脂を主成分としたスキン層を有する
合成皮革の剥離性が悪く、全く剥がれないという問題が
発生する。
【0009】一般的に電子線硬化性樹脂組成物として
は、種々のアクリレート、ビニルエーテル、不飽和ポリ
エステルおよびビニル基やエポキシ基を有する不飽和有
機化合物が挙げられるが、硬化性が良好で電子線硬化性
有機化合物の種類が多く、かつ比較的低コストのものが
多いアクリレートが、広く使用される。しかしアクリレ
ートはシリコーンなどに比べ極性が高く、アクリレート
を主成分とする電子線硬化性樹脂組成物からなる電子線
硬化樹脂被覆層を有する電子線硬化型工程用剥離紙は合
成皮革の剥離が重く、全く剥離できないことが多い。
【0010】また、成型材料にキャストしない場合、電
子線硬化樹脂塗布液層が気体(空気や置換ガス)界面と
接するため電子線硬化樹脂塗布液層中に含まれる合成皮
革剥離に効果のある剥離性物質が電子線硬化樹脂塗布液
層の最外層に分布しやすく、そのため合成皮革剥離性を
発現する層を形成する。一方成型材料にキャストして製
造する方法では成型材料の表面エネルギーの影響を受
け、前記剥離性物質が電子線硬化樹脂塗布液層の最外層
に分布する量がキャストしない場合と比べて少なくな
り、結果として合成皮革剥離強度が悪化するという問題
があった。
【0011】工程用剥離シートの合成皮革剥離性を改善
するためにシリコンオイルのような剥離性物質を工程用
剥離シートの剥離層を形成するための電子線硬化性塗料
組成物に添加しても、キャストすると添加したシリコン
オイルが有効に表面に分布せずに剥離性改善効果が得ら
れないことがある。また剥離性改善効果が当初は見られ
る場合があるが、繰り返し合成皮革を作製することによ
り工程紙表面の剥離性物質が合成皮革に取られてしま
い、剥離性改善効果が減少してしまうと言う問題があっ
た。また前記電子線硬化樹脂層にシリコンオイル等の剥
離剤を添加した場合、本来黒々とした合成皮革表面が青
白く曇ることがある。このように表面の曇った合成皮革
の表面を観察すると、大きさが0.4μm以上の微細な
穴が多数存在し、曇りの原因となっている。これは合成
皮革を作製する際、工程紙表面に剥離剤成分が移行して
きて、これが原因で合成皮革が部分的にハジキを発生
し、多数の穴があいてしまうと推測される。
【0012】また、平滑な表面を有するエナメル調工程
用剥離紙が巻取りで保存された場合に、原紙裏面の凹凸
が工程用剥離紙表面の電子線硬化樹脂被覆層に凹みの押
し跡を発生されるという問題があった。この押し跡は数
十μ〜数百μ程度の大きさで、不定形、あるいは原紙の
繊維状の形をしており、水銀灯などの特殊な光で見た場
合に観察されやすい。このような押し跡は工程紙の外観
をそこね、工程紙のユーザーに悪い印象を与え、また合
成皮革に悪影響を及ぼす場合もあり改善が望まれてい
た。
【0013】このような電子線硬化樹脂樹脂被覆層の凹
みの押し跡を改善する方法として、電子線硬化性官能基
を多く有し、かつ分子量が小さい、すなわちアクリル当
量が小さい高架橋樹脂の配合を検討した結果、高架橋樹
脂の配合量が多いと得られた工程用剥離紙の凹みは改善
されるが、作製された合成皮革の表面に曇りやムラが発
生したり、あるいは合成皮革剥離強度が重くなるという
現象がみられ、満足のいく工程剥離シートを得ることが
できなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は成型材料のキ
ャストして得られるエナメル調やマット調の合成皮革作
製用の電子線硬化型工程用剥離シートにおいて、剥離性
が良好でかつ表面にくもりやムラのない漆黒性のある合
成皮革剥の作成を可能にし、更には巻き取り保存時にシ
ート表面がその上に重ね合わされたときのブロッキング
による凹みが発生して外観を損ねることを防止した電子
線硬化型工程用剥離シートを提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは工程用剥離
シートを平滑な成形材料にキャストして製造する場合で
も効果的に合成皮革剥離性を改善し、かつ得られる合成
皮革に曇りを生じさせない工程用剥離シートを検討した
結果、剥離剤層を形成する電子線硬化塗料組成物中に非
電子線硬化性のアルキル基を有するスルホン酸誘導体や
スルホン酸塩を少量配合することで改善効果を得ること
を見出した。
【0016】合成皮革の曇りやムラの詳細な原因は明ら
かではないが、電子線硬化性樹脂と高架橋樹脂の相溶性
が悪いために発生していると考えられる。電子線硬化樹
脂層の相溶性が悪いと、硬化後の塗膜においても海島構
造となり、この上に形成される合成皮革用樹脂の塗工性
が微細レベルで異なり、合成皮革表面に可視光の波長程
度の微細な穴が発生したり、もっと大きいレベルのムラ
が発生し、合成皮革外観を悪化させると思われる。特
に、水素添加ポリブタジエンウレタンアクリレートオリ
ゴマーにおいて、ウレタンアクリル化されていない、あ
るいは官能基数が少ない水素添加ポリブタジエンが少量
存在していると考えられる。通常水素添加ポリブタジエ
ンウレタンアクリレートオリゴマーを合成する際の原料
として用いられるポリブタジエンジオールを重合する際
に、水酸基率は80〜95%程度であり、主成分が水酸
基2個のポリブタジエンジオールであるのに対し水酸基
が1個あるいは、まったく水酸基のないブタジエンが存
在すると考えられている。このためウレタンアクリレー
ト化する際にウレタンアクリレート基を付与されない、
あるいはウレタンアクリレート基数の少ないポリブタジ
エンが残存してしまう。適切に合成されたポリブタジエ
ンウレタンアクリレートオリゴマーと比べ、前述の官能
基の無いあるいは少ない水素添加ポリブタジエンは極性
が低いため、他の電子線硬化性樹脂との相溶性が非常に
悪く、相溶性悪化の原因になっているとも考えられる。
【0017】また剥離強度の悪化においても、一般に高
架橋樹脂はアクリロイル基が多く極性が強いため、合成
皮革剥離性が悪化すると思われる。これら工程剥離シー
トのブロッキングによる凹み、および合成皮革外観、剥
離強度を改善するため誠意検討した結果、特定の高架橋
樹脂を特定量配合することによって上記問題を改善する
ことを見出した。
【0018】本発明は下記の発明を包含する。 (1)シート状基体と、その少なくとも一面上に形成さ
れ、電子線硬化性有機化合物を主成分として含む塗料組
成物の電子線硬化樹脂被覆層を有する電子線硬化型工程
用剥離シートにおいて、前記電子線硬化性有機化合物1
00重量部に対し、非電子線硬化性のアルキル基を有す
るスルホン酸誘導体、あるいは該そのスルホン酸塩を少
なくとも0.01〜3.0重量部含有する電子線硬化型
工程用剥離シート。
【0019】(2)前記電子線硬化性樹脂被覆層は水素
添加ポリブタジエン鎖を有するウレタンアクリレートオ
リゴマーを配合されている(1)記載の電子線硬化型工
程剥離シート。
【0020】(3)シート状基体と、その少なくとも一
面上に形成され、電子線硬化性有機化合物を主成分とし
て含む塗料組成物の電子線硬化樹脂被覆層を有する電子
線硬化型工程用剥離シートにおいて電子線硬化性樹脂被
覆層が、アルキルジオール残基を有する2官能アクリレ
ートモノマーを50〜85重量部、かつ水素添加ポリブ
タジエン鎖を有するウレタンアクリレートオリゴマーを
5〜30重量部有し、さらに電子線硬化性官能基数が4
以上で、数平均分子量/電子線硬化性官能基数で表され
るアクリル当量が200以下である電子線硬化性樹脂が
5〜30重量部配合されている電子線硬化型工程剥離シ
ート。
【0021】
【発明の実施の態様】前記スルホン酸やスルホン酸誘導
体が合成皮革表面に曇りを発生させずに合成皮革の剥離
性を改善するメカニズムについては明らかでないが、例
えば電子線硬化型工程用剥離シートを製造する際に、成
型材料にキャストしても電子線硬化型工程用剥離シート
と成型材料の界面、すなわち電子線硬化型工程用剥離シ
ートの剥離層最外側層に分布し易いことが考えられる。
また、前記スルホン酸誘導体やスルホン酸塩は疎水基と
親水基をバランス良く有するため、電子線硬化樹脂組成
物との相溶性が良く、移行しにくい、また合成皮革組成
物をハジクことがな少ないのではないかと考えられる。
【0022】本発明に用いるスルホン酸誘導体が非電子
線硬化性であることが好ましい理由としては、電子線硬
化性のスルホン酸誘導体では金属性円筒型回転体にキャ
ストして平滑なエナメル調工程用剥離シートを製造す
る、工程用剥離シートを金属性円筒系回転体から剥離す
る際の剥離強度が重く、電子線硬化樹脂層が金属製円筒
型回転体に引張られることにより表面性を損ねたり、場
合によっては十分に操業できないためである。非電子線
硬化性のアルキル基を有するスルホン酸誘導体であれば
このような問題は発生しない。
【0023】本発明で用いる非電子線硬化性のアルキル
基を有するスルホン酸誘導体やスルホン酸塩はアルキル
基が直鎖状でも分岐状でも良く、炭素数4〜24、好ま
しくは8〜24のアルキル基を少なくとも1つ以上有す
ることが必要である。アルキル基が炭素数4未満では合
成皮革剥離性改善効果が小さく、アルキル基が炭素数2
4より多いものはあまり一般的でない。
【0024】例えばアルキルスルホン酸、アルキルスル
ホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸、ア
ルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク
酸、アルキルスルホコハク酸塩などであり、塩としては
ナトリウム、カルシウム、カリウム、リチウム、バリリ
ウム等が挙げられる。
【0025】本発明の非電子線硬化性のスルホン酸誘導
体はスルホン酸の水酸基部分がアルキルエステル化され
たものでも良く、スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基
を有したままアルキル基を有するものであっても良い。
さらに他の置換基としてハロゲン、窒素含有基、水酸
基、エーテル基、オキソ基、カルボキシル基、エステル
化されたカルボキシル基等を有していても良い。
【0026】本発明の非電子線硬化性のスルホン酸誘導
体、あるいはスルホン酸塩はアルキル基の一部、あるい
は全部が炭素=炭素の二重結合を有するアルケンであっ
ても良い。ただし、アルケンよりはアルカンの方が合成
皮革剥離性の点で有利である。
【0027】本発明の非電子線硬化性のアルキル基を有
するスルホン酸誘導体、あるいはアルキル基を有するス
ルホン酸塩の電子線硬化性塗料組成物中への配合量は、
前記電子線硬化塗料組成物中の電子線硬化性有機化合物
100重量部に0.01〜3重量部、好ましくは0.0
3〜2.0重量部であることが必要である。0.01重
量部未満では合成皮革剥離性改善効果が不十分になるこ
とがあり、3.0重量部より多いと電子線硬化樹脂層の
硬化性を悪化させる恐れがあるばかりでなく、得られた
工程紙より作製される合成皮革の表面に曇りを生じるこ
とがある。
【0028】本発明に用いる電子線硬化型工程用剥離シ
ートに要求される耐熱性を持たせるために、電子線硬化
樹脂被覆層は、3次元架橋していることが好ましい。す
なわち一分子中にアクリロイル基を2つ以上有する多官
能アクリレートを多く含むことが好ましい。特に、水素
添加ポリブタジエンアクリレートやシリコンアクリレー
トなどの疎水性の強いオリゴマーの場合、単官能アクリ
レートであると電子線硬化性が不足し、未反応物や低分
子量成分が電子線硬化樹脂被覆層内に残留し、時間が経
つと電子線硬化型工程用剥離シートの表面に析出し、得
られる合成皮革の表面を曇らせる原因になることがあ
る。
【0029】本発明には、下記の電子線硬化性有機化合
物を配合できる。 (1)脂肪族、脂環族、芳香族の、1〜6価のアルコー
ル及びポリアルキレングリコールのアクリレート化合物
類。 (2)脂肪族、脂環族、芳香族の、1〜6価のアルコー
ルにアルキレンオキサイドを付加させたものアクリレー
ト化合物類。 (3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類。 (4)カルボン酸と、ポリオールと、アクリル酸との反
応生成物。 (5)イソシアネートと、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物。 (6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物。 (7)エポキシ化合物と、ポリオールと、アクリル酸と
の反応生成物。 (8)ビニルエーテル化合物 等を挙げることができる。
【0030】さらに具体的には、電子線硬化性有機化合
物として、1,4−ブタジエンジオールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−
ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジア
クリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ
アクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオー
ルジアクリレート、長鎖脂肪族ジアクリレート(例え
ば、サートマー社製:SR−2000)、3−メチルメ
ンタンジオールジアクリレート、1−プロピル−2−エ
チルプロパンジオールジアクリレート、3−メチルヘプ
タンジオールジアクリレート、1−メチル−4−メチル
ヘプタンジオールジアクリレート、2−エチル−4−エ
チルヘプタンジオールジアクリレートジシクロペンタニ
ルジアクリレート、ポリオキシエチレンエピクロルヒド
リン変性ビスフェノールAジアクリレート、エピクロル
ヒドリン変性ポリエチレングリコールジアクリレート、
ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール
ジアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アク
リレート、カプロラクタン変性テトラヒドロフルフリル
アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシア
ヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリア
クリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロール
プロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパン
テトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
変性トリメチロールプロパンジアクリレート、トリエチ
レングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメ
タノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエ
ーテル、ドデシルビニルエーテル、およびプロペニルエ
ーテルプロピレンカーボネート等を例示することが出来
る。
【0031】本発明において、下記の1官能モノマーも
使用可能であるが、本発明の電子線硬化型工程用剥離シ
ートは耐熱性を要求されることから比較的硬化性の劣る
1官能モノマーの配合量としては20重量部以下が望ま
しい。1官能モノマーとしてはアクリロイルモルホリ
ン、N−ビニルピロリドン、Nービニルカプロラクタム
等、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メ
トキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシ
プロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエ
チレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレ
ングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチ
レングリコールアクリレート、エチレンオキサイド変性
フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリ
プロピレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシ
ルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフ
リルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、
ジシクロペンテニルアクリレート等を例示することがで
きる。
【0032】本発明で用いる電子線硬化性有機化合物は
アクリレートのオリゴマーが配合されていてもよく、ア
クリレートオリゴマーとしてはポリブタジエン、水素添
加ポリブタジエン、ポリエチレン、脂肪酸、シリコン等
を単独あるいは複数組み合わせて含むアクリレートが使
用可能であり、塗膜の硬化性や強靭性を高め、あるいは
他の樹脂との相溶性を高めるために、ウレタン変性、エ
ポキシ変性、カプロラクタム変性、エステル変性、エー
テル変性等の各種変性物も使用可能である。中でも水素
添加ポリブタジエン鎖を有するものが好ましい。
【0033】水素添加ポリブタジエンの原料ポリブタジ
エンジオールの水酸基率は80%以上、好ましくは90
%以上であることが好ましい。原料ポリブタジエンの水
酸基率が80%未満であると、後の工程で水素添加ポリ
ブタジエンウレタンアクリレートオリゴマー製造した際
にウレタンアクリレート化されていない、あるいはウレ
タンアクリレートの官能基が少ない水素添加ポリブタジ
エンが増加し、これが相溶性悪化を引き起こし、合成皮
革曇りを悪化させる可能性が高くなる。なお、一般的に
は水酸基率90%以上のものが市販されている。
【0034】水素添加ポリブタジエンウレタンアクリレ
ートオリゴマーの原料に用いる水素添加ポリブタジエン
の水素添加率は70%以上、好ましくは90%以上が望
ましい。水素添加率が低いと、つまり水素添加されてい
ないとポリブタジエンが増加すると、合成皮革剥離強度
が悪化する傾向にある。水素添加率は100%は望まし
いが現実的には困難であるが、一般的には水素添加率9
5%以上のものが市販されている。
【0035】水素添加ポリブタジエンウレタンアクリレ
ートオリゴマーの数平均分子量としては500〜100
00、望ましくは1500〜5000であることが望ま
しい。分子量が500未満では合成皮革剥離強度が重く
なり悪化し、分子量が10000より大きい多い場合に
は粘度が高くなり過ぎたり、硬化性が悪化する恐れがあ
る。
【0036】本発明に用いるウレタンアクリレートに
は、ウレタン成分に用いられるイソシアネートには特に
制限はなく、脂肪族系、芳香族系、脂環族系などを使用
することが出来る。例えばトリレンジイソシアネート、
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、水素添加メチレンビスジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネートなどである。
【0037】本発明に用いる水素添加ウレタンアクリレ
ートオリゴマーの官能基数は2官能以上、あるいは4官
能以上が好ましい。2官能未満では硬化性の悪化や相溶
性の悪化、ひいては得られた工程用剥離紙より製造され
る合成皮革に表面に曇り等が発生し外観を損ねることが
ある。
【0038】本発明に用いる希釈用モノマーとしては、
ポリブタジエンと高架橋樹脂との相溶性を良くするた
め、また合成皮革の剥離性をより良くするために、アル
キルジオール残基を2官能アクリレートが望ましい。硬
化性を良好にするという観点から1分子中のアクリロイ
ル基は2つ以上が望ましいが、アクリロイル基数が多く
なるとその極性が大きくなり、水素添加ポリブタジエン
ウレタンアクリレートとの相溶性が悪化するため、1分
子中に2個のアクリロイル基を有するものが望ましい。
【0039】アルキルジオール残基を有する2官能アク
リレートモノマーの配合量としては50〜85重量部で
あることが望ましい。配合量が50重量部より小さい場
合は他の樹脂との相溶性が劣ったり、希釈効果が不十分
で粘度が高くなりすぎることがある。配合量が85重量
部より多い場合は、必然的に水素添加ポリブタジエンウ
レタンアクリレートオリゴマーや高架橋樹脂の配合量が
少なくなるため、合成皮革剥離強度が劣ったりブロッキ
ングによる凹みが悪化することがある。
【0040】電子線硬化樹脂被覆層では、電子線硬化型
工程用剥離シートに要求される耐熱性を持たせることか
ら、前記非シリコーン変性アクリレートの硬化性が良好
で、3次元架橋していることが好ましい。すなわち一分
子中にアクリロイル基を2つ以上有する多官能アクリレ
ートであること必要がある。この非シリコーン変性アク
リレートが単官能アクリレートであると、電子線硬化性
が不足し、未反応物が電子線硬化樹脂被覆層内に残留
し、経時で電子線硬化型工程用剥離シートの表面に析出
し、得られる合成皮革の表面を曇らせる原因になること
がある。
【0041】本発明で使用するアルキルジオールを有す
る2官能アクリレートモノマーとしては、分子量が14
0〜1000であり、好ましくは200〜500であ
る。分子量が140より小さいものでは分子中に閉める
アクリロイル基の割合が多くなりすぎ、極性が強くなる
ため水素添加ポリブタジエンウレタンアクリレートオリ
ゴマーと相溶性が悪化し、分子量が1000より大きい
と硬化性が不足する。
【0042】本発明で用いるアルキルジオール残基を有
する2官能アクリレートモノマーとしては、1,4−ブ
タジエンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、2−ブ
チル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、長
鎖脂肪族ジアクリレート(例えば、サートマー製:SR
−2000)、ジシクロペンタニルジアクリレート、3
−メチルメンタンジオールジアクリレート、1−プロピ
ル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、3−
メチルヘプタンジオールジアクリレート、1−メチル−
4−メチルヘプタンジオールジアクリレート、2−エチ
ル−4−エチルヘプタンジオールジアクリレートなどが
例示できる。
【0043】本発明において電子線硬化性官能基数が4
以上で、アクリル当量が200以下である高架橋タイプ
の電子線硬化性樹脂を5〜30重量部配合することは合
成皮革表面の外観向上だけでなく、ブロッキング改善に
おいて重要である。ここでアクリル当量=数平均分子量
/官能基数であるが、上記電子硬化性樹脂において官能
基数が4未満および/またはアクリル当量が200より
多い場合、および/または配合量が5重量部未満では、
ブロッキング改善効果が不十分になる。配合量が30重
量部を超える場合には水素添加ポリブタジエンウレタン
アクリレートオリゴマーとの相溶性が悪化し、工程紙よ
り作製する合成皮革の表面に曇りやムラが発生し外観を
損ねる。
【0044】本発明に用いる電子線硬化性官能基数が4
以上で、アクリル当量が200以下である電子線硬化性
樹脂としては特に制限はないが、水素添加ポリブタジエ
ンとの相溶性を良好にするという観点から水酸基、エチ
レンオキサイド基、プロピレンオキサイド基などはあま
り多く含まない方が好ましい。
【0045】本発明に用いる電子線硬化性官能基数が4
以上で、アクリル当量が200以下である電子線硬化性
樹脂としては、下記のような樹脂が具体的に挙げられ
る。ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヒドロキシヘキサアクリレート、アルキル変性ジペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが例示
でき、さらに多官能ウレタンアクリレートとして、例え
ばNKエステルU−324A(新中村化学製、10官
能、アクリル当量130)、NKエステルU−15HA
(新中村化学製、15官能、アクリル当量153)の
他、ジイソシアネート1molに対してペンタエリスリ
トールトリアクリレートを2モル付加したような多官能
アクリレートなども使用することができる。
【0046】本発明の電子線硬化樹脂塗布組成物の中に
水素添加ポリブタジエンウレタンアクリレートオリゴマ
ーとその他の電子性硬化性樹脂を相溶性を改善する目的
で、あるいは粘度の高いオリゴマーを希釈する目的で、
下記の1官能アクリレートを少量配合することは可能で
ある。配合量が多くなるとブロッキングによる凹み改善
効果を損ねるため15部以下、好ましくは10部以下で
ある。具体的に挙げるとブチルアクリレート、イソブチ
ルアクリレート、ペンチチルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、へプチチルアクリレート、オクチルアクリ
レート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリ
レート、トリデシルアクリレート、イソアミルアクリレ
ート、ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレ
ート、ステアリルアクリレート、イソボロニルアクリレ
ート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペン
テニルアクリレートなどを挙げることができる。
【0047】本発明には相溶性改善の目的で、あるいは
合成皮革剥離強度改善の目的でシリコンアクリレートや
その他の添加剤を配合すること、および、ウレタンオリ
ゴマーのい一部をシリコン変性することは差し支えな
い。
【0048】本発明の電子線硬化樹脂被覆層の被覆量
は、1〜30g/m2が好ましく、より好ましくは、2
〜20g/m2である。被覆量が1g/m2未満の場合に
は、均一な塗工が難しくなるため、塗工欠陥も多くなり
外観を損なうばかりでなく、塗工欠陥部においては基材
の原紙が露出しているため、電子線硬化型工程用剥離シ
ート上に合成皮革用の塗料が塗布された場合、合成皮革
が塗工欠陥部において電子線硬化型工程用剥離シートか
ら剥離しないというトラブルが生じることがある。電子
線硬化型工程用剥離シートの性能を維持する上で被覆量
に特に上限はないが、被覆量が30g/m2を越える
と、高価な電子線硬化性樹脂組成物を多く必要とするた
め、コスト高となることがある。
【0049】本発明の電子線硬化型工程用剥離シートの
製造方法として、シート状基体に塗布した塗布液層表面
を鏡面やマット調表面を有する金属製円筒型回転体の表
面を成型面としてキャストし、シート状基体の背面から
電子線を照射して電子線硬化樹脂被覆層を形成し、成型
面から剥離することでエナメル調からマット調のさまざ
まな表面光沢を有する電子線硬化型工程用剥離シートを
得ることができる。
【0050】本発明の電子線硬化型工程用剥離シート
は、合成皮革を作成する際に150℃以上の高温で乾燥
される場合があるため、使用するシート状基体について
は耐熱性が要求され、使用されるシート状基体は耐熱性
があれば、紙基体であっても良いし、合成樹脂フィルム
や金属箔のようなものであっても良い。
【0051】シート状基体に紙基体を用いる場合、耐熱
性を要求されることから中性紙であることが好ましく、
工程用剥離シートとしてのある程度の強度が必要とされ
るため、坪量が100〜250g/m2であることが好
ましく、更に好ましくは120〜200g/mがよ
い。また電子線硬化性樹脂組成物の浸透を防止する目的
で、紙基体上にポリビニルアルコールのようなバリヤー
剤でのアンダーコート層を設けてもよく、また中性紙を
紙基材とするコート紙、キャストコート紙、アート紙な
どを使用することも出来る。
【0052】合成樹脂フィルムをシート状基体として使
用する場合には、耐熱性が良い二軸延伸ポリプロピレン
フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフ
ィルムなどが好ましい。
【0053】本発明の工程用剥離紙の製造方法として、
紙状基体に塗布した塗布液層表面を平滑な鏡面を有する
金属製円筒型回転体の表面を成型面としてキャストし、
紙基体の背面から電子線を照射して電子線硬化樹脂被覆
層を形成し、成型面から剥離することでエナメル調の表
面光沢を有する工程用剥離シートを得る方法が挙げられ
る。
【0054】本発明の電子線硬化型工程用剥離シートの
製造方法において、電子線硬化性樹脂組成物の塗布方法
には制限がなく、例えばバーコート法、ロールコート
法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スク
イズコート法、エアーナイフコート法、リバースロール
コート法、グラビアコート法、トランスファーコート
法、ファウンテンコート法、あるいはスリットダイコー
ト法などの塗工方法を用いることができる。特に金属製
円筒型回転体の表面に塗布する場合には、成型面表面に
傷を付けないための配慮からゴムロールを使用するロー
ルコート法あるいはオフセットグラビアコート法が用い
られ、さらには非接触タイプのファウンテンコーターや
スリットダイコーターが好ましい。
【0055】本発明に用いられる電子線照射装置は特に
その方式を限定するものではなく、例えばバンデグラー
フ型スキャニング方式、ダブルスキャニング方式、およ
びカーテンビーム方式などの電子線照射装置を使用する
ことができ、これらの中でも比較的安価で大出力の得ら
れるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
【0056】電子線照射の際の加速電圧は100〜50
0kVであることが好ましい。電子線の透過率を上げる
ため、250kV以上であることがより好ましい。電子
線の吸収線量は、電子線硬化性樹脂組成物に所望の硬化
を施すことができるものであればよく、特に限定するも
のではないが、一般的には、0.1〜6Mradであ
り、好ましくは0.2〜4Mradである。吸収線量が
0.1Mrad未満の場合には、電子線硬化性樹脂組成
物の硬化が不十分となることがある。また吸収線量が6
Mradを越えると、シート状基体を劣化させたり、変
色させることがあり、またエネルギーの無駄でもある。
【0057】電子線照射時における雰囲気中の酸素濃度
は、500ppm以下であることが好ましい。酸素濃度
が500ppmを越えると、酸素が重合反応の抑制剤と
して働き、電子線硬化性樹脂組成物の硬化が不十分にな
ることがある。また酸素濃度を下げ、冷却する目的で、
アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスを使用するこ
とが好ましい。
【0058】本発明の電子線硬化型工程用剥離シート
は、マット調にする目的で電子線硬化性樹脂組成物中に
粒子の大きい顔料を配合することができる。マット調に
するために配合される顔料としては、粒子径が1〜20
μmの顔料が望ましく、シリカのような無機顔料、各種
有機顔料や有機ビーズを配合することができる。
【0059】本発明の電子線硬化型工程用剥離シート
は、塗料コストを下げる目的で、あるいは電子線硬化性
樹脂組成物に適度のチキソトロピー性を付与して塗工性
を改善する目的でも、各種顔料を含有させることも出来
る。また必要に応じてその他の添加剤を含有させてもよ
い。
【0060】本発明の電子線硬化性樹脂組成物に用いら
れる無機顔料は、カオリン、クレー、二酸化チタン(ア
ナターゼ型およびルチル型)、酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸化マグ
ネシウムなどが例示できる。
【0061】顔料の含有量は、電子線硬化樹脂被覆層の
全固形分重量の2〜50重量部であることが好ましい。
ただし、その含有量が50重量部を越えると、電子線硬
化型工程用剥離シートの合成皮革剥離性が低下したり、
また得られる電子線硬化樹脂被覆層の柔軟性が低下し、
膜割れを生ずることもある。
【0062】顔料を上記のような電子線硬化性樹脂組成
物中に分散するには、3本ロールミル、2本ロールミ
ル、カウレスディゾルバー、ホモミキサー、サンドグラ
インダー、および超音波分散機などを使用することがで
きる。
【0063】
【実施例】本発明を下記実施例により、さらに詳しく説
明する。しかし、これらは本発明の範囲を限定するもの
ではない。なお実施例中の「部」は、特に指定しない限
り、それぞれ「重量部」を表す。
【0064】実施例1 下記成分の電子線硬化性樹脂組成物(組成物1)をカウ
レスディソルバーで1時間混合分散させて、塗布液を調
製した。 組成物1 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ドデシルベンゼンスルホン酸(試薬:和光純薬製) 0.1部
【0065】<電子線硬化型工程用剥離シートの作製>
前記組成物1を、キャストコート紙(商標:OKエナメ
ル、坪量171g/m 2、王子製紙社製)の片面上に塗
布し、15g/m2となるようにグラビアコーターを用
いて塗布し、塗布液層を表面にクロムメッキを施した平
滑な金属製円筒形回転体の成型材料表面に貼り合わせて
キャストし、電子線照射装置を用いて、背面より加速電
圧270kV、吸収線量3Mradの条件で電子線照射
して硬化し、成型材料表面から電子線硬化型工程用剥離
シートを剥離して製造した。なお、評価方法を以下に示
した。
【0066】<合成皮革の作製> 1)合成皮革用スキン層の調製 下記成分の合成皮革スキン層用塗料をカウレスディソル
バーで5分混合分散させて調製した。 成 分 配合量 ウレタン樹脂(商標:レザミンME―44ELP、大日精化社製) 100部 MEK(メチルエチルケトン) 25部 DMF(ジメチルホルムアミド ) 25部 黒顔料配合塗料 15部 (商標:SEIKASEVEN DUT−4794、大日精化社製)
【0067】2)接着層用塗料の調製 下記成分の接着層用塗料をカウレスディソルバーで5分
混合分散させて調製した。 成 分 配合量 接着剤用合成樹脂(商標:AD−527、東洋モートン社製) 100部 架橋剤(商標:CAT−HY91、東洋モートン社製) 6部
【0068】得られた電子線硬化型工程用剥離シートを
巾120mm×長さ180mmの大きさに断裁し、工程
用剥離シートの電子線硬化樹脂被覆層上に、前記スキン
層用塗料を間隙が80μm、塗布巾100mmあるアプ
リケーターを用いて、乾燥後のスキン層が15g/m2
になるように塗布し、165℃、3分間乾燥させた後、
スキン層皮膜の上に、前記接着層用塗料をメイヤバーで
乾燥後の塗布量が10g/m2になるように塗布し、合
成皮革用の基布(湿式フラットベース、角田化学社製)
を張り合わせた後、再度165℃、3分間乾燥させて、
電子線硬化型工程用剥離シートと合成皮革の積層体試料
を得た。前記積層体試料から合成皮革を剥し、残った電
子線硬化型工程用剥離シートに前述と同様の方法を繰り
返して2回目の電子線硬化型工程用剥離シートと合成皮
革の積層体試料を得た。
【0069】実施例2 実施例1の組成物1を下記の組成物2に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物2 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ドデシルベンゼンスルホン酸(試薬:和光純薬製) 2部
【0070】実施例3 実施例1の組成物1を下記の組成物3に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物3 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ドデシルベンゼンスルホン酸(試薬:和光純薬製) 0.02部
【0071】実施例4 実施例1の組成物1を下記の組成物4に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物4 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 直鎖アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1部 (商標:ソフト王洗550A、日本油脂社製)
【0072】実施例5 実施例1の組成物1を下記の組成物5に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物5 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na 30%含有液 0.1部 (商標:ラピゾールA30、日本油脂社製)
【0073】実施例6 実施例1の組成物1を下記の組成物6に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物6 水素添加ポリブタジエン変性4官能アクリレートオリゴマー 10部 (アクリル当量770、商標:BS−1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 68部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) ペンタエリスリトールテトラアクリレート 22部 (アクリル当量75、商標:BS710、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部 ドデシルベンゼンスルホン酸(試薬:和光純薬製) 0.1部
【0074】実施例7 実施例1の組成物1を下記の組成物7に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物7 水素添加ポリブタジエン変性4官能アクリレートオリゴマー 10部 (アクリル当量770、商標:BS−1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 68部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) ペンタエリスリトールテトラアクリレート 22部 (アクリル当量75、商標:BS710、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部
【0075】実施例8 実施例1の組成物1を下記の組成物8に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物8 成 分 配合量 水素添加ポリブタジエン変性4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 15部 (アクリル当量770、商標:BS1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 15部 (アクリル当量116、商標:カヤラッドD310、日本化薬製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部
【0076】実施例9 実施例1の組成物1を下記の組成物9に変更した以外は
実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物9 成 分 配合量 水素添加ポリブタジエン変性6官能ウレタンアクリレートオリゴマー 22部 (アクリル当量430、商標:KU−15N−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 69部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) 15官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリル当量153) 9部 (商標:NKエステル U−15HA、新中村化学社製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部
【0077】比較例1 実施例1の組成物1を下記の組成物10に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物10 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部
【0078】比較例2 実施例1の組成物1を下記の組成物11に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物11 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ドデシルベンゼンスルホン酸(試薬:和光純薬製) 0.001部
【0079】比較例3 実施例1の組成物1を下記の組成物12に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物12 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ジメチルシリコンオイル 0.1部 (商標:SH−200 100cst、東レダウコーニング)
【0080】比較例4 実施例1の組成物1を下記の組成物13に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物13 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム 0.1部 (商標:ニッサンアノンLA、日本油脂製)
【0081】比較例5 実施例1の組成物1を下記の組成物14に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物14 成 分 配合量 ポリオレフィン系4官能ウレタンアクリレートオリゴマー 30部 (商標:KU511−2B、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 70部 (商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商標:サイリシア310、富士シリシア化学社製) 5部 アルコール変性シリコンオイル 0.5部 (商標:BY16−848、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
【0082】比較例6 実施例1の組成物1を下記の組成物15に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価を行った。 組成物15 成 分 配合量 水素添加ポリブタジエン変性4官能アクリレートオリゴマー 10部 (アクリル当量770、商標:BS−1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 90部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部
【0083】比較例7 実施例1の組成物1を下記の組成物16に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価した。 組成物16 成 分 配合量 水素添加ポリブタジエン変性4官能アクリレートオリゴマー 10部 (アクリル当量770、商標:BS−1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 68部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、アクリル当量荒川化学工業社製) トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート 22部 (アクリル当量150、商標:ビスコート#360、大阪有機化学社製) シリカ顔料(商票:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製) 10部
【0084】比較例8 実施例1の組成物1を下記の組成物21に変更した以外
は実施例1と同様に試料を作製し評価した。 組成物21 成 分 配合量 水素添加ポリブタジエン変性4官能アクリレートオリゴマー 3部 (アクリル当量430、商標:BS−1302NB、荒川化学工業社製) 2−ブチル−2エチルプロパンジオールジアクリレート 75部 (アクリル当量134、商標:KU−C9A、荒川化学工業社製) ペンタエリスリトールテトラアクリレート 22部 (アクリル当量75、商標:BS710、荒川化学工業社製)
【0085】実施例1〜9および比較例1〜8で得られ
た電子線硬化型工程用剥離シートと合成皮革の積層体の
剥離強度を測定し、その外観を評価した結果を表1に示
す。 <合成皮革剥離力の測定>小型万能測定機(テスター産
業株式会社)を用い、剥離速度200mm/minで、
巾50mmの電子線硬化型工程用剥離シートより合成皮
革を剥して測定し、次のように判定した。評価結果を表
1に示す。 ○:剥離強度が300g未満 △:剥離強度が300g以上400g ×:剥離強度が401g以上 ○や△では実用性があるが、×は実用性がないと判断す
る。
【0086】<合成皮革外観評価>1回目、および2回
目で得られた合成皮革の外観を暗室でカドニカライトの
光を照射し、目視で評価し判定した。 ○:白化、曇り、剥離ムラがない ×:白化、曇り、剥離ムラがある
【0087】さらに電子線硬化性樹脂被覆層がアルキル
ジオール残基を有する2官能アクリレートモノマーを5
0〜85重量部、かつ水素添加ポリブタジエン鎖を有す
るウレタンアクリレートオリゴマーを10〜30重量
部、さらに電子線硬化性官能基数が4以上で、かつ、数
平均分子量/電子線硬化性官能基数で表されるアクリル
当量が200以下である電子線硬化性樹脂が5〜30重
量部配合されている実施例6〜9、比較例1〜8につい
てさらにブロッキングについて評価した。
【0088】<ブロッキングによる凹み評価>得られた
工程用剥離紙を10cm角に切り、使用した紙基材の原
紙裏面を電子線硬化層樹脂層表面に密着させ、平方セン
チメートルあたり1Kgの荷重で50℃で3時間処理し
た。ブランクとして、同様に処理した汎用のエナメル調
工程用剥離紙(セパックCE、王子化工社製)と比較
し、ブロッキングによる凹みをズームステレオダイナス
コープ(Model:TS4、セナー株式会社販売)で
40倍の倍率で観察し、20μm以上の凹み跡について
以下のように観察し評価した。 :凹み跡の個数がブランクの凹みの個数の0.7倍未満
である。 :凹み跡の個数がブランクの凹みの個数の0.7倍以上
〜1.3倍未満 ×:凹みの個数がブランクの1.3倍より多い。 評価結果が○や△であれば合格であるが、×では見た目
の表面性が劣り不合格である。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】表1に示す通り、本発明アルキル基を有す
るスルホン酸やアルキル基を有するスルホン酸塩を適量
含有する電子線硬化型工程用剥離シートは繰り返し合成
皮革を作製した場合でも合成皮革剥離強度が軽く、かつ
合成皮革の外観に曇り等がなく良好である。(実施例1
〜6) しかし、本発明のアルキル基を有するスルホン
酸やアルキル基を有するスルホン酸塩を含有しない場
合、あるいは配合量が少なすぎる場合は剥離強度を改善
する効果がないか、あるいは合成皮革の表面に曇りを発
生させ実用的でない。(比較例1〜6)
【0092】表2に示す通り、電子線硬化性樹脂被覆層
がアルキルジオール残基を有する2官能アクリレートモ
ノマーを50〜85重量部、かつ水素添加ポリブタジエ
ン鎖を有するウレタンアクリレートオリゴマーを10〜
30重量部、さらに電子線硬化性官能基数が4以上で、
かつ、数平均分子量/電子線硬化性官能基数で表される
アクリル当量が200以下である電子線硬化性樹脂が5
〜30重量部配合した電子線硬化型工程用剥離シートは
ブロッキングがなく、外観が良好である。(実施例6〜
9)
【0093】
【発明の効果】本発明に係る電子線硬化型工程用剥離シ
ートは、得られる合成皮革の表面に曇りを発生して外観
を損なうこと無く、合成皮革剥離性が良好であり、その
産業界に寄与するところ大である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月20日(2001.12.
20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは工程用剥離
シートを平滑な成形材料にキャストして製造する場合で
も効果的に合成皮革剥離性を改善し、かつ得られる合成
皮革に曇りを生じさせない工程用剥離シートを検討した
結果、剥離剤層を形成する電子線硬化塗料組成物中に非
電子線硬化性のアルキル基を有するスルホン酸誘導体を
少量配合することで改善効果を得ることを見出した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本発明は下記の発明を包含する。 (1)シート状基体と、その少なくとも一面上に形成さ
れ、電子線硬化性有機化合物を主成分として含む塗料組
成物の電子線硬化樹脂被覆層を有する電子線硬化型工程
用剥離シートにおいて、前記電子線硬化性有機化合物1
00重量部に対し、非電子線硬化性のアルキル基を有す
るスルホン酸誘導体を少なくとも0.01〜3.0重量
部含有する電子線硬化型工程用剥離シート。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【発明の実施の態様】前記スルホン酸誘導体が合成皮革
表面に曇りを発生させずに合成皮革の剥離性を改善する
メカニズムについては明らかでないが、例えば電子線硬
化型工程用剥離シートを製造する際に、成型材料にキャ
ストしても電子線硬化型工程用剥離シートと成型材料の
界面、すなわち電子線硬化型工程用剥離シートの剥離層
最外側層に分布し易いことが考えられる。また、前記ス
ルホン酸誘導体は疎水基と親水基をバランス良く有する
ため、電子線硬化樹脂組成物との相溶性が良く、移行し
にくい、また合成皮革組成物をハジクことがな少ないの
ではないかと考えられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】本発明で用いる非電子線硬化性のアルキル
基を有するスルホン酸誘導体はアルキル基が直鎖状でも
分岐状でも良く、炭素数4〜24、好ましくは8〜24
のアルキル基を少なくとも1つ以上有することが必要で
ある。アルキル基が炭素数4未満では合成皮革剥離性改
善効果が小さく、アルキル基が炭素数24より多いもの
はあまり一般的でない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】本発明の非電子線硬化性のスルホン酸誘導
体はアルキル基の一部、あるいは全部が炭素=炭素の二
重結合を有するアルケンであっても良い。ただし、アル
ケンよりはアルカンの方が合成皮革剥離性の点で有利で
ある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】本発明の非電子線硬化性のアルキル基を有
するスルホン酸誘導体の電子線硬化性塗料組成物中への
配合量は、前記電子線硬化塗料組成物中の電子線硬化性
有機化合物100重量部に0.01〜3重量部、好まし
くは0.03〜2.0重量部であることが必要である。
0.01重量部未満では合成皮革剥離性改善効果が不十
分になることがあり、3.0重量部より多いと電子線硬
化樹脂層の硬化性を悪化させる恐れがあるばかりでな
く、得られた工程紙より作製される合成皮革の表面に曇
りを生じることがある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09J 7/02 C09J 7/02 Fターム(参考) 4F055 AA03 DA16 FA04 FA10 FA16 GA11 HA15 4F100 AH04B AK01B AK07A AK25B AK29B AK41A AK45A AL05B AL06B AT00A BA02 CC00B DG10A GB90 JB14B JL14 4J004 AA01 AA05 AA07 AA13 AA14 AA15 AB06 BA02 DA03 DB02 DB04 EA01 FA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状基体と、その少なくとも一面上に
    形成され、電子線硬化性有機化合物を主成分として含む
    塗料組成物の電子線硬化樹脂被覆層を有する工程用剥離
    シートにおいて、前記電子線硬化性有機化合物100重
    量部に対し、非電子線硬化性のアルキル基を有するスル
    ホン酸誘導体、あるいは非電子線硬化性のアルキル基を
    有するスルホン酸塩を少なくとも0.01〜3.0重量
    部含有することを特徴とする電子線硬化型工程用剥離シ
    ート。
  2. 【請求項2】前記電子線硬化性有機化合物は水素添加ポ
    リブタジエン鎖を有するウレタンアクリレートオリゴマ
    ーを配合されていることを特徴とする請求項1記載の電
    子線硬化型工程剥離シート。
  3. 【請求項3】シート状基体と、その少なくとも一面上に
    形成され、電子線硬化性有機化合物を主成分として含む
    塗料組成物の電子線硬化樹脂被覆層を有する電子線硬化
    型工程用剥離シートにおいて電子線硬化性樹脂被覆層が
    アルキルジオール残基を有する2官能アクリレートモノ
    マーを50〜85重量部、かつ水素添加ポリブタジエン
    鎖を有するウレタンアクリレートオリゴマーを10〜3
    0重量部、さらに電子線硬化性官能基数が4以上で、か
    つ、数平均分子量/電子線硬化性官能基数で表されるア
    クリル当量が200以下である電子線硬化性樹脂が5〜
    30重量部配合されていることを特徴とする電子線硬化
    型工程剥離シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI395064B (zh) * 2005-10-28 2013-05-01 Sumitomo Chemical Co 適用於酸產生劑之鹽及含有該鹽之化學放大光阻組成物
KR101921064B1 (ko) 2017-12-28 2019-02-13 주식회사 연우 방수 필름, 방수 필름용 조성물 및 방수 필름의 제조방법
CN116837659A (zh) * 2023-07-06 2023-10-03 南京盛凯新材料有限公司 一种离型纸电子束固化加工设备及其固化方法

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