JP2017007280A - 離型シート - Google Patents

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Abstract

【課題】微粘着シートのように粘着力の小さい粘着シートに対しても適度な剥離性を有する離型シートを提供する。
【解決手段】基材の少なくとも片面に、樹脂層が積層された離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物からなる架橋剤を0.1〜50質量部含有し、前記、酸変性ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有することを特徴とする離型シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型シートに関するものである。
離型シートは、粘着シート、プリプレグシート、ゴムシート、合成皮革等のシート状製品や積層セラミックコンデンサやプリント配線板や液晶ディスプレイ等に用いられる偏光板の表面保護や製造時のキャリアとして工業的に広く使用されている。
離型シートは、紙やポリエステルフィルム等の基材に離型層をコーティングしたものが多く使用されている。また、離型層の成分としては、シリコーン系離型剤が最も多く使用されている。シリコーン系離型剤を用いた場合、シリコーン系離型剤の中に含まれる低分子量のシリコーン化合物が、製品の表面に移行して残存することがあった。低分子量のシリコーン化合物により、製品の表面が汚染された場合、例えば粘着シートでは実際に使用する際に粘着保持性が低下するといった問題が指摘されていた。
離型シート用の非シリコーン系離型層として特許文献1には、酸変性されたエチレン系重合体を用いることが提案されている。
国際公開第2009/025063号パンフレット
しかしながら、特許文献1記載の離型シートには、ぬれ性と適度な剥離力を有しているものの、相手材(被着体)によっては剥離が軽すぎるという欠点があった。特に材料の仮止めや表面保護のために一時的に貼り付けて最終的に剥離される微粘着シートに対しては、剥離力が小さくなりすぎるため製造工程中や保存中に粘着シートに浮きが発生し、歩留まりが悪くなるという問題を生じる場合があった。
本発明は、上記の欠点を解消するものであり、微粘着シートのように粘着力の小さい粘着シートに対しても適度な剥離性を有する離型シートを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定組成のプロピレン系ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを組み合わせて用いることで上記の課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材の少なくとも片面に、樹脂層が積層された離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物からなる架橋剤を0.1〜50質量部含有し、前記、酸変性ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有することを特徴とする離型シート。
(2)樹脂層における、不飽和カルボン酸モノマー量が10000ppm以下であることを特徴とする(1)に記載の離型シート。
(3)プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする(1)または(2)記載の離型シート。
(4)基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の離型シート。
(5)樹脂材料が、ポリエステル樹脂フィルムであることを特徴とする(4)記載の離型シート。
本発明の離型シートは、特定組成のポリオレフィン樹脂と架橋剤からなる樹脂層を有しており、微粘着テープに対しても適度な離型性を示し、シート状構造体を形成するための離型シートとして好適に使用できる。さらに、本発明の離型シートは熱処理後においても良好な離型性を示し、離型後の残留接着率も良好であった。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の離型シートは、基材上に樹脂層を設けたものである。
本発明における樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を含む。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有するものである。離型性の観点から、プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との質量比(A/B)は、60/40〜95/5の範囲にあることが必要であり、60/40〜80/20の範囲にあることが好ましい。プロピレン成分の割合が本発明で規定する範囲を外れると、適度な離型性を有することが困難となる。
プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられる。中でも、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さの点から、ブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)が好適である。
上記のポリオレフィン樹脂において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。また、必要に応じて複数種のポリオレフィン樹脂を混合して使用してもよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂には、必要に応じて上記以外の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類並びにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。
他の成分の含有量(質量比)としては、一般にポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下が好ましい。
本発明では、ポリオレフィン樹脂として市販のものを用いてもよい。一例として、住友化学社製のエクセレン、タフセレンシリーズ、三井化学社製のタフマーシリーズ、REXtac社製のAPAOシリーズ(非晶性ポリアルファオレフィン)、グライアント社製のリコセンPPシリーズ、エボニック・デグサ社製のベストプラストなどが挙げられる。なお、市販のもので酸変性されていないポリオレフィン樹脂を用いる際には、別途公知の方法で不飽和カルボン酸単位を導入すればよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂に含まれるオレフィン成分の総量(A+B)に対し、不飽和カルボン酸単位を0.5〜15質量%含有している必要がある。分散性の観点から、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、さらに好ましくは1〜7質量%であり、最も好ましくは1.5〜7質量%である。不飽和カルボン酸単位が0.5質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難となり、一方、15質量%を超える場合は、離型性が悪くなる傾向があり、好ましくない。
不飽和カルボン酸単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物も用いることができる。中でも未変性ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。そうすると、本発明では、上述のようにプロピレン以外のオレフィン成分(B)としてブテン成分が好適であることから、ポリオレフィン樹脂として、プロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体が好ましく使用されるということになる。
不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部又は全部が開環し、カルボン酸又はその塩となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位を未変性ポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤存在下、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを未変性ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、未変性ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により未変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜、選択して使用すればよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の重量平均分子量としては、5000〜200000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましく、20000〜120000であることがさらに好ましく、30000〜100000であることが特に好ましく、35000〜80000であることが最も好ましい。重量平均分子量が5000未満の場合は、基材との接着性が低下したり、得られる塗膜が硬くてもろくなる傾向がある。一方、重量平均分子量が200000を超える場合は、樹脂の水性化が困難になる傾向がある。なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明において、ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸モノマー量が10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましく、1000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下が特に好ましく、100ppm以下が最も好ましい。
通常、上述のような方法により不飽和カルボン酸成分を未変性ポリオレフィン樹脂に導入した場合、未反応の不飽和カルボン酸モノマー成分が、ポリオレフィン樹脂に残存する。
不飽和カルボン酸モノマー量が多い場合、残存したモノマーが離型シートと粘着剤等の被着体を貼りあわせた場合に、被着体表面への移行が生じ、製品の品質を劣化させる場合がある。また、不飽和カルボン酸モノマー量が多い場合、粘着剤等と貼りあわせた場合に経時で離型性が悪化する場合もある。
ポリオレフィン樹脂中の、不飽和カルボン酸モノマー量を除去する方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末やペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法、ソックスレー抽出法により除去する方法などが挙げられる。中でも、操作性や除去効率の観点から、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末やペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法が好ましい。
ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸モノマー量を定量する方法としては、公知の方法を用いることができる。一例としては、抽出溶媒にて樹脂から不飽和カルボン酸モノマー成分を抽出し、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどを用いて定量することができる。また、不飽和カルボン酸モノマーの酸無水物を定量する際は、水で加水分解することにより対応する不飽和カルボン酸モノマーとして定量しても良い。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、架橋剤を含有する。架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが必要である。1〜50質量部であることがより好ましく、3〜30質量部であることがさらに好ましく、5〜20質量部であることが特に好ましい。0.1質量部未満では添加効果が乏しく、50質量部を超えると離型性や耐熱性が低下する場合がある。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物の架橋剤を含有する。
オキサゾリン基含有化合物は、分子中に少なくともオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。より具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」や、エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
カルボジイミド化合物の場合は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからポリカルボジイミドが好ましい。ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。商品名を用いて説明すると、より具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」、エマルションタイプの「E−01」、「E−02」、有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」、無溶剤タイプの「V−05」が挙げられる。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、ポリビニルアルコールを含有してもよい。その含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、10〜600質量部であることがより好ましく、20〜400質量部であることがさらに好ましく、30〜300質量部であることが特に好ましい。ポリビニルアルコールをこの範囲で含有することで、各種工程フィルムとして使用した際に、高温で処理された場合でも離型性の変化が小さいという効果を奏する。
酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含む液状物を製造する方法は、各成分が液状媒体中に均一に混合される方法であれば、特に限定されるものではない。たとえば、次のような方法が挙げられる。
(A):酸変性ポリオレフィン樹脂の分散液または溶液に、架橋剤の分散液または溶液を添加して混合する方法。
(B):酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤との混合物を液状化する方法。
上記(A)の方法の場合は、分散液または溶液を適宜混合すればよい。上記(B)の手法の場合は、酸変性ポリオレフィン樹脂を液状化する際に、架橋剤を添加すればよい。
また、他の成分を添加する場合においても、(A)または(B)の製法における任意の段階で添加することができる。
本発明の離型シートの製造に際して、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含む液状物における溶媒は、基材上への塗工が可能であれば、特に限定されずに用いることができる。例えば、水、有機溶剤、あるいは水と両親媒性有機溶剤とを含む水性媒体などが挙げられる。なかでも、環境上の観点から、水または水性媒体を使用することが好ましい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類;加えて後述の両親媒性有機溶剤などが挙げられる。
水と両親媒性有機溶剤とを含む水性媒体とは、ここでは、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味する。ここにいう両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう〔20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている〕。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコール−n−ブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類;そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン等の有機アミン化合物;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を上記のような水性媒体に分散化する方法は、特に限定されない。例えば、国際公開第WO02/055598号パンフレットに記載されたものが挙げられる。
水と両親媒性有機溶剤とを含む水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は、前記国際公開第WO02/055598号パンフレットに記載の製法により達成可能である。
液状物の固形分含有率は、積層条件、目的とする離型層の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、液状物の粘性を適度に保ち、かつ良好な離型層を形成させるためには、1〜60質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
液状物を基材に塗工する際には、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により基材表面に均一に塗工し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理または乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な離型層を基材に密着させて形成することができる。
このときの乾燥装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被塗布物である基材の特性や水性分散体中に任意に配合しうる前述の各種材料の添加具合により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮し、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜210℃が特に好ましい。一方、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜10分がより好ましく、5秒〜1分が特に好ましい。架橋剤とポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度及び時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。さらに、十分に反応を進行させるために、乾燥処理後に、エージング処理を行ってもよい。エージング温度は、基材へのダメージを軽減させる観点からは、比較的低いことが好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましい。エージング処理は20〜100℃でおこなうことが好ましく、30〜70℃でおこなうことがより好ましく、40〜60℃でおこなうことがさらに好ましい。
離型シートを構成する基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等で形成されたものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。
基材に用いることができる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;ナイロン6、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリイミド樹脂;これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。
樹脂材料は延伸処理されていてもよい。中でも、基材は、機械的特性および熱的特性に優れるポリエステル樹脂フィルムが好ましく、安価で入手が容易という点からポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムに液状物を塗布する場合、二軸延伸されたフィルムに塗布後乾燥、熱処理してもよく、また、配向が完了する以前の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸の終了したフィルムに液状物を塗布し、乾燥後加熱して延伸するか、あるいは加熱して乾燥と同時に延伸して、配向を完了させてもよい。後者の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸終了後のフィルムに液状物を塗布後、乾燥、延伸配向する方法は、熱可塑性樹脂フィルムの製膜と同時に樹脂層を積層することができるため、コストの点から好ましい。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。熱可塑性樹脂フィルムは、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層などの他の層が積層されていてもよい。その他の材料と積層する場合、密着性を良くするために熱可塑性樹脂フィルムの表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等が施されてもよい。
基材として用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等が挙げられる。紙には、目止め層などが設けてあってもよい。
基材として用いることができる合成紙は、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙も使用することができる。
基材として用いることができる布としては、上述した合成樹脂からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる不織布、織布、編布などが挙げられる。
基材として用いることができる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔や、アルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。
基材として用いることができるガラス材料としては、ガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
本発明の離型シートは、様々な材料に対して良好な離型性を有することから、様々な材料に対して使用することができるが、特に粘着材料に対して好適に使用することができる。
粘着材料としては、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどが挙げられる。より具体的には、基材に粘着剤が積層されたものである。特に微粘着の粘着剤用の離型シートとして好適に使用することができる。粘着剤の成分や基材は特に限定されないが、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられ、ここには、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。また、粘着性を調整することを目的として、シリカやシリコーン等の粒子が混合されていても良い。粘着材料の基材としては、上述の紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
本発明の離型シートは、樹脂層が耐熱性に優れている。この効果によって、離型シートが貼り付けられた粘着材料が、保管、流通の過程において、高温下に長時間曝されても、経時で剥離強度が変化することがなく、貼り付け後長時間経過した後も、樹脂層と粘着材料との剥離強度の変化を小さく抑えることができる。
本発明の離型シートは、微粘着シート以外にも様々な材料の工程フィルムとして使用することができる。具体的には液晶ディスプレー用部品などの保護材料、プリント配線板のプレス工程材料や航空機等の構造材等に用いられるプリプレグの工程材料、シート状構造体の製造時のベース基材、転写印刷用の離型シートとして好適に使用できる。
液晶ディスプレイ用部品としては、偏光板、位相差偏光板、位相差板などが挙げられる。
プリプレグの工程材料としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの樹脂および硬化剤等を含む溶液を離型シート上に、塗布、乾燥することにより、シート状に形成される際のキャリアシートとして、好適に使用することができる。本発明の離型シートは、耐熱性も併せ持つため、硬化工程における高温処理後においても、離型性を維持することができる。プリプレグには、補強効果を高めるために前述の樹脂以外にも、炭素繊維やガラス繊維等の織物等の補強材を使用していても良い。上記プリプレグの使用される用途は、特に限定されないが、プリント配線板のプレス工程、航空機、自転車、風車等の構造部材の成形工程、ゴルフシャフト、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用品の成型工程において使用することができる。プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
その他にも、シート状構造体の例としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムシート、塩化ビニルやウレタンからなる合成皮革、パーフロロスルホン酸樹脂などの高分子電解質などからなるイオン交換膜や、誘電体セラミックスやガラスなどからなるセラミックグリーンシート、放熱材料等を含有する放熱シート等があげられる。これらの製造工程においては、ベース基材となる本発明の離型シートに、溶媒でペースト状あるいはスラリー状とした原料を離型シート上に塗布、乾燥することにより形成することができる。あるいは、溶融させた樹脂を離型シート上に押し出して成型することで形成することができる。
転写印刷用の離型シートは、本発明の離型シート上に、印刷層、電極、保護層などの様々な機能層をコーティングして形成して作られ、被転写体に対して、加熱、圧着することにより機能層を転写させて、離型シートと機能層間で剥離させて転写させるものをいい、スタンピング箔とも呼ばれる。機能層としては、メタリック箔、顔料箔、多色印刷箔、ホログラム箔、静電気破壊箔、ハーフミラーメタリック箔等を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.ポリオレフィン樹脂
(1)不飽和カルボン酸成分の含有量
プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との合計に対する不飽和カルボン酸成分の含有量は、赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer System−2000 フーリエ変換赤外分光光度計、分解能4cm−1)により求めた。
(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成
プロピレン成分(A)と、プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との質量比は、オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法に基づき測定した。
(3)重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1mL/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。
(4)不飽和カルボン酸モノマー量
凍結粉砕して微粉化したポリオレフィン樹脂ペレット約0.05gを精秤し、20mLのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液をディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μm C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
不飽和カルボン酸モノマー量が1,000ppm未満の場合、ポリオレフィン樹脂ペレット量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の不飽和カルボン酸モノマー標準サンプルを用いて作成した。
2.水性分散体
(1)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径、重量平均粒子径、および分散度
日機装社製、Nanotrac Wave−UZ152粒度分布測定装置を用いて、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
分散度は、下記式に基づき算出した。
分散度=重量平均粒子径(mw)/数平均粒子径(mn)
(2)不飽和カルボン酸モノマー量
水性分散体を乾燥することにより得た乾燥残渣を凍結粉砕して得られた微粉末を約0.05g精秤し、20mLのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液をディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μm C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
不飽和カルボン酸モノマー量が1,000ppm未満の場合、該乾燥残渣量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の不飽和カルボン酸モノマー標準サンプルを用いて作成した。
3.離型シート
(1)微粘着テープに対する剥離強度(常温)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾25mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、FB−MT45SF/アクリル系微粘着テープ)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、25℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分とした。好適に使用するためには、微粘着テープと離型シートとの剥離強度が、0.3N/cm未満であることが望ましい。
(2)微粘着テープに対する剥離強度(70℃)
金属板で挟み試料を放置する条件を、25℃の雰囲気から70℃の雰囲気に変更した以外は上記(1)に記載の方法で剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、上記(1)に記載の方法で測定した。
離型シートが耐熱性を有している場合、70℃処理した後の剥離強度においても良好な離型性を示し、(1)の剥離強度との差が小さくなる。
(3)微粘着テープの残留接着率(常温)
ステンレス板(SUS304)に巾25mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、FB−MT45SF/アクリル系微粘着テープ)をゴムロールで圧着して貼り付け、2kPa荷重、25℃で20時間放置した。その後、微粘着テープとステンレス板の剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定(剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離強度をF2とした。
次いで、上記(1)の剥離強度試験により離型シート表面から剥離した巾25mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープを上記同様にゴムロールで圧着して、ステンレス板(SUS304)に貼り付け、2kPa荷重、25℃の雰囲気で20時間放置した。その後、微粘着テープとステンレス板の剥離強度を上記同様に測定した。この測定により得られた剥離強度をF1とする。
下記式を用いて残留接着率を算出した。
残留接着率(%)=(F1/F2)×100
粘着テープの粘着剤表面が離型フィルムにより汚染された場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。すなわち、残留接着率は高い方が好ましく、実用的には90%以上が好ましい。
(4)微粘着テープの残留接着率(70℃)
剥離強度F1を得るために用いた試料は、上記(2)の剥離強度試験(70℃)で離型シート表面から剥離した巾25mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープを用いた以外は、(3)と同様の操作を行って、残留接着率を算出し、評価した。
(5)微粘着テープとの密着性
得られた離型シートの樹脂層側に、巾25mm、長さ50mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、FB−MT45SF/アクリル系微粘着テープ)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、φ1mmの丸棒に離型シートの樹脂層と反対面が当たるように擦り付けて、試料を屈曲させることを、10回繰り返した。離型シートと微粘着テープの状態を目視で確認し、剥がれがないかを目視で確認し、下記指標にて密着性を評価した。
○:微粘着テープと離型シート間で浮きがなく、十分に密着している。
×:微粘着テープと離型シート間に浮きが発生し、密着性が不十分である。
製造例1:ポリオレフィン樹脂P−1の製造
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。
この析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂P−1を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
製造例2:ポリオレフィン樹脂P−2の製造
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=65/35であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−2を得た。
製造例3:ポリオレフィン樹脂P−3の製造
製造例1において、アセトンの洗浄工程を省いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−3を得た。
製造例4:ポリオレフィン樹脂P−4の製造
製造例1において、トリエチルアミンのアセトン溶液をアセトンに変更し、その後のアセトン洗浄をメタノール洗浄に変更した以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−4を得た。
製造例5:ポリオレフィン樹脂P−5の製造
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=97/3であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−5を得た。
製造例6:ポリオレフィン樹脂P−6の製造
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=50/50であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−6を得た
製造例1〜6において得られたポリオレフィン樹脂P−1〜P−6の特性などは表1に示した。
参考例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂P−1、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのDMEAおよび137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン、5.0gのDMEAおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−1を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
参考例2〜6
参考例1において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、参考例2ではP−2を、参考例3ではP−3を、参考例4ではP−4を、参考例5ではP−5を、参考例6ではP−6を用いた以外は同様の操作を行って、水性分散体E−2、E−3、E−4、E−5、E−6を得た。
参考例1〜6において得られた水性分散体E−1〜E−6の特性などは表2に示した。
実施例1
水性分散体E−1と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製 エポクロス WS−500、固形分濃度40質量%)とを、水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が10質量部となるように混合して、液状物を得た。この液状物を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレット S−50、厚み50μm)のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に0.2μmの樹脂層を形成した離型シートを得た。
実施例2〜4
実施例1において、水性分散体E−1に変えて、水性分散体E−2〜E−4をそれぞれ用いた以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例5
実施例1において、オキサゾリン化合物の含有量を、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が1質量部となるように混合した以外は、同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例6
実施例1において、オキサゾリン化合物の含有量を、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が20質量部となるように混合した以外は、同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例7
実施例6において、オキサゾリン化合物の水性溶液に変えて、カルボジイミド化合物の水分散体(日清紡社製、カルボジライト E−02、固形分濃度40質量%)を用いた以外は、同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例8
実施例7において、カルボジイミド化合物の含有量を、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が50質量部となるように混合した以外は、同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例9
実施例1において、さらに、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製「VC−10」、重合度:1,000)10質量%水溶液を、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリビニルアルコール固形分質量で50質量部となるように、混合した以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
実施例10
実施例9において、ポリビニルアルコールの添加量を50質量部に変えて、100質量部とした以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例1
実施例1において、水性分散体E−1に変えて、水性分散体E−5を用いた以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例2
実施例1において、水性分散体E−1に変えて、水性分散体E−6を用いた以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例3
実施例1において、水性分散体E−1のみを用いて、オキサゾリン化合物を添加しなかった以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例4
実施例2において、水性分散体E−2のみを用いて、オキサゾリン化合物を添加しなかった以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例5
実施例1において、オキサゾリン化合物の含有量を60質量部とした以外は同様の操作を行って離型シートを得た。
比較例6
実施例7において、カルボジイミド化合物の含有量を60質量部とした以外は、同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例1〜10、比較例1〜6において得られた離型シートの物性などは表3に示した。
表3に示すように、実施例1〜10で得られた本発明の離型シートは、微粘着テープに対して良好な離型性と耐熱性を示したため、室温での離型性や離型後の微粘着テープの残留接着率はもちろんのこと、70℃の熱処理後の離型性や離型後の微粘着テープの残留接着率が良好であった。
比較例1の離型シートは、オレフィン成分の組成比が本発明で規定する範囲外であったため、微粘着テープに対する剥離強度が大きく、好ましい離型性は得られなかった。比較例2の離型シートも、オレフィン成分の組成比が本発明で規定する範囲外であるが、比較例1とは対照的に微粘着テープに対する剥離強度が小さすぎて、微粘着シートと離型シートの間に浮きが発生した。比較例3、4の離型シートは架橋剤を含まないものであり、十分な耐熱性は得られず、70℃熱処理後の剥離強度が大きくなり、残留接着率が小さくなる傾向にあった。比較例5、6の離型シートは、架橋剤の含有量が本発明で規定する範囲を超えていたため、耐熱性に劣り70℃熱処理後の剥離強度が大きくなり、残留接着率が小さくなる場合があった。

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも片面に、樹脂層が積層された離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物からなる架橋剤を0.1〜50質量部含有し、
    前記、酸変性ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有することを特徴とする離型シート。
  2. 樹脂層における、不飽和カルボン酸モノマー量が10000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の離型シート。
  3. プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする請求項1または2記載の離型シート。
  4. 基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型シート。
  5. 樹脂材料が、ポリエステル樹脂フィルムであることを特徴とする請求項4記載の離型シート。
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