以下本発明を詳細に説明する。
本発明の工程フィルムは少なくとも基材層、接着層、離型層がこの順に積層されてなるものである。
本発明の工程フィルムを構成する基材層について説明する。
基材層に用いることができる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;ナイロン6、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリイミド樹脂;これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられ、なかでも融点200℃以上の耐熱性を有する樹脂材料が好ましい。樹脂材料は延伸処理されていてもよい。樹脂材料は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。樹脂材料は、密着性向上の観点から、表面にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の前処理を施してもよい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層、接着層などの他の層が積層されていてもよい。
基材層として用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等を挙げることができる。
基材層として用いることができる合成紙は、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙も使用することができる。
基材層として用いることができる布としては、上述した合成樹脂からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる、不織布、織布、編布などが挙げられる。
基材層として用いることができる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔や、アルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。
基材層として用いることができるガラス材料としては、ガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
上記樹脂材料を用いた基材層には、さらに、紙、合成紙、布、他の樹脂材料、金属材料等を、基材層における樹脂層を設ける側とは反対側に積層してもよい。
基材層の厚みは特に限定されないが、通常5〜500μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましく、12〜25μmが特に好ましい。
本発明の工程フィルムを構成する接着層について説明する。
接着層は、特定組成の酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分とオレフィン成分との共重合体であり、オレフィン成分は、接着層と離型層との密着性を向上させる観点から、プロピレン成分が主成分である、すなわち50質量%を超える範囲にある必要がある。前記オレフィン成分は、プロピレン成分以外のオレフィン成分を含んでいても良い。
プロピレン成分以外のオレフィン成分としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられる。中でも、樹脂製造のし易さ、水性化のし易さ、特に接着層と離型層との密着性などの点から、ブテン成分(1−ブテン、イソブテン等)が好適である。
酸変性ポリオレフィン樹脂において、オレフィン成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等があげられるが、重合の行いやすさの観点から、ランダム共重合が好ましい。また、必要に応じて複数種のポリオレフィン樹脂を混合使用してもよい。
オレフィン成分には、必要に応じて上記以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類並びにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。
前記、他の成分の含有量(質量比)としては、オレフィン成分全体の10質量%以下が好ましい。
本発明では、オレフィン成分として市販のものを用いてもよい。一例として、三井化学社製のタフマーシリーズ、REXtac社製のAPAOシリーズ(非晶性ポリアルファオレフィン)、クラリアント社製のリコセンPPシリーズ、エボニック・デグサ社製のベストプラスト等があげられる。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、後述する水性分散体の分散性を向上させる観点並びに基材層との密着性を向上させる観点から、不飽和カルボン酸単位を含有する必要がある。酸変性ポリオレフィン樹脂中に不飽和カルボン酸単位を0.1〜10質量%含むことが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜7質量%がさらに好ましく、1.5〜5質量%が最も好ましい。不飽和カルボン酸単位が0.1質量%未満の場合は、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難となり、かつ基材層と十分に密着させることが困難となる。一方、10質量%を超えると、樹脂の水性化は容易になるが、離型層との密着性が低下し、工程フィルムの高温での寸法安定性も低下する場合がある。なお、市販のもので酸変性されていないポリオレフィン樹脂を用いる際には、例えば後述する方法で不飽和カルボン酸単位を導入すればよい。
不飽和カルボン酸単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等の他、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物も用いることができる。中でも未変性ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部又は全部が開環し、カルボン酸又はその塩となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位を未変性ポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤存在下、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを未変性ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融し反応させる方法や、未変性ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解した後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌し反応させる方法等により、未変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合することができる。特に操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜、選択して使用すればよい。
本発明では、酸変性ポリオレフィン樹脂として、具体的にはプロピレン/無水マレイン酸二元共重合体、プロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体やプロピレン/エチレン/無水マレイン酸三元共重合体、プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸四元共重合体などが例示できるが、中でも、基材層と離型層との密着性の観点からプロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、15000以上であることが好ましく、20000以上であることがより好ましく、30000以上であることが特に好ましい。重量平均分子量が15000未満になると、基材層や離型層との密着性が低下するだけでなく、高温での寸法安定性も悪くなる場合がある。一方、重量平均分子量が200000を超えると、後述する樹脂の水性化が困難となるため、重量平均分子量は200000以下が好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明の工程フィルムを構成する接着層は、前述した酸変性ポリオレフィン樹脂に加え、さらにポリウレタン樹脂及び/又は架橋剤を含有してもよい。
前記ポリウレタン樹脂としては、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子が使用でき、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応で得られる高分子が使用できる。
本発明において、ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類等の高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族又は脂環族に属する公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類には、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
本発明において、市販の水系のポリウレタン樹脂としては、三井化学社製のタケラックシリーズ(品番:W−615、W−6010、W−511等)、アデカ社製のアデカボンタイターシリーズ(品番:HUX−232、HUX−320、HUX−380、HUX−401等)、第一工業製薬社製のスーパーフレックスシリーズ(品番:500、550、610、650等)、大日本インキ化学工業社製のハイドランシリーズ(品番:HW−311、HW−350、HW−150等)が挙げられる。
本発明で用いる架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、不飽和カルボン酸成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができる。
具体的には、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。中でも、取り扱い易さ及び密着性の観点から、オキサゾリン基含有化合物及び/又はカルボジイミド基含有化合物を添加することが好ましい。
オキサゾリン基含有化合物としては、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものが好ましく使用できる。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド等のオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマー等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いのし易さからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、一般に2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。オキサゾリン基含有ポリマーには、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズ等が挙げられる。具体的な商品名としては、例えば、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱い易さから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオール等が共重合されていてもよい。ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的な商品としては、例えば、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」等が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4´-又は4,4´-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-3、3、5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン、4,4´-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロトルエン2,4-又は2,6-ジイソシアネート、ぺルヒドロ-2,4´-又は4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物、あるいはそれらの改変生成物が挙げられる。ここで、改変生成物とは、多官能イソシアネート化合物のうちのジイソシアネートを公知の方法で変性することによって得られるものであり、例えば、アロファネート基、ビューレット基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基等を有する多官能イソシアネート化合物、さらにはトリメチロールプロパン等の多官能アルコールで変性したアダクト型の多官能イソシアネート化合物を挙げることができる。なお、上記イソシアネート基含有化合物には、20質量%以内の範囲でモノイソシアネートが含有されていてもよい。
イソシアネート基含有化合物は、通常、多官能イソシアネート化合物と一価又は多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールと反応させて得ることができる。そのような水性の多官能イソシアネート化合物の市販品としては、住友バイエルウレタン株式会社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDN、武田薬品工業株式会社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730、旭化成工業株式会社製のデュラネートWB40-100、デュラネートWB40-80D、デュラネートWX-1741、BASF社製のバソナート(Basonat)HW−100、バソナートLR−9056等がある。
接着層において、架橋剤を用いずにポリウレタン樹脂を用いる場合、その含有量は、基材層と離型層との密着性や高温での寸法安定性の観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して300質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1〜150質量部、更に好ましくは2〜130質量部、特に好ましくは3〜100質量部である。ポリウレタン樹脂の含有量が300質量部を超えると、離型層と接着層の間の密着性が不十分となり、高温での寸法安定性が得難くなる場合がある。
接着層において、ポリウレタン樹脂を用いずに架橋剤を用いる場合、その含有量は、基材層と離型層との密着性や高温での寸法安定性の観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部である。架橋剤の含有量が50質量部を超えると、離型層と接着層の間の密着性が不十分となり、高温での寸法安定性が得難くなる場合がある。
接着層にポリウレタン樹脂及び架橋剤の両方を含む場合は、基材層と離型層との密着性と高温での寸法安定性の観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、架橋剤50質量部以下及びポリウレタン樹脂300質量部以下の範囲とし、いずれか一方の成分を1質量部以上含有していることが好ましい。いずれか一方の成分が300質量部を超えると、離型層と接着層の間の密着性が不十分となり、高温での寸法安定性が得難くなる場合がある。
また、本発明における接着層には、基材層との密着性を向上させるなどの観点から、上記以外の他の重合体が少量含有されていてもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分があげられる。これらの他の重合体は、離型層との密着性を損ねない範囲で使用されることが好ましく、その含有量としては、接着層全体の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
接着層の量は、接着面の面積に対して、0.001〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.02〜2g/m2であることがさらに好ましく、0.03〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05〜1g/m2であることが最も好ましい。0.001g/m2未満では、十分な密着性が得られない傾向にあり、一方、5g/m2を超える場合には、経済的に不利となる傾向にある。
本発明の工程フィルムを構成する離型層について説明する。
本発明の工程フィルムにおける離型層は、プロピレン成分を70質量%以上含有するポリオレフィン樹脂(以下、プロピレン系樹脂と称する場合がある)である必要がある。上記離型層の樹脂組成としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
離型層を構成するポリオレフィン樹脂組成物中のプロピレン成分の含有量は、離型性および高温での寸法安定性向上の観点から、70質量%以上が必要であり、85質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
また、本発明における離型層は、多層構造であってもよく、多層構造の最表層以外の構成についてはポリプロピレン系樹脂以外の材料を用いてもよい。
離型層には、本発明から得られる効果を損なわない範囲内で、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、無機充填剤、顔料(着色剤)、滑剤、シランカップリング剤などを添加してもよい。
また、必要に応じて離型層に表面加工を施しても良い。表面加工する処理方法としてはいくつかあり、例えば、練り込みマット、ケミカルマット、サンドマット、エンボス加工等が挙げられる。特に、エンボス加工ではエンボス型を最適化することで表面粗さを広い範囲でコントロールし、かつ均一性の高い粗面とすることができるため好ましい。
本発明の工程フィルムは、基材層上に設けた接着層上に離型層であるプロピレン系樹脂を押出ラミネーションすることによって製造することができるため、押出樹脂の冷却時にエンボス型冷却ロールを併用することで、エンボス処理等の離型層の表面処理を同時に行うことが可能であり、生産性の向上が可能となる。
離型層を設ける方法は特に限定されず、例えば、あらかじめフィルム状にしたプロピレン系樹脂と基材とを貼り合わせて積層する方法や、プロピレン系樹脂を押出ラミネートにより基材上に積層する方法などを用いることができる。
本発明の工程フィルムにおける、基材層、接着層、離型層には、必要に応じて帯電防止剤 、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、発泡剤等が任意の配合量で含有されていてもよい。
本発明の工程フィルムを製造する好ましい方法について説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の工程フィルムの製造方法では、あらかじめ用意された基材層上に、接着層を設ける。接着層を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む液状物を作製し、この液状物を基材層の表面に塗布し、液状物の媒体たる液状媒体を乾燥させる方法が好ましい。液状物の形態としては溶液、または、分散体が好ましく、液状媒体も水性媒体、有機溶剤のいずれでもよいが、本発明では、酸変性ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散された水性分散体を利用することが好ましい。ただし、本発明では、液状物に加工しないで、ホットメルト等の手段により樹脂その他の固形分から直接的に接着層を形成してよく、これを排除するものではないが、液状物を利用することで、接着層の量の調整が容易となる他、接着層の厚みを薄く制御することができ、安価に大量生産が可能という点で好ましい。そして、液状物の中でも水性分散体を使用することは、環境面や性能面からも好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を含む液状物の調製方法としては、特に限定されず、例えば酸変性ポリオレフィン樹脂の分散体や溶液として調製することができる。本発明では、特に、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を調製することが好ましい。
また、上記液状物には、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加してもよい。さらに、液状物の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を液状物に添加することもできる。
接着層の形成に液状物を用いる場合、その固形分の含有率は、特に限定されず、積層条件、目的とする接着層の厚みや性能等に応じて適宜選択することができる。しかし、液状物の粘度を適度に保ち、かつ良好な接着層を形成するという観点から、前記固形分含有率は1〜60質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましく、2〜45質量%であることがさらに好ましく、3〜40質量%が特に好ましく、5〜30質量%であることが最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を得るための方法としては、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン樹脂、水性媒体、必要に応じて有機溶剤、塩基性化合物等を、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法が採用でき、この方法が最も好ましい。
容器としては、公知の固/液撹拌装置や乳化機を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。高速撹拌(例えば1000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも水性分散体の調製が可能である。
例えば、上記の装置に酸変性ポリオレフィン樹脂、水性媒体等の原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を70〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは110〜190℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子がなくなるまで(例えば、5〜300分間)攪拌を続ける。ここで、槽内の温度が70℃未満になると、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性化が進行し難くなる。一方、槽内の温度が240℃を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがある。
当該方法では、塩基性化合物、有機溶剤及び水を適宜追加配合してよく、そのときの割合としては、所望する固形分濃度、粒子径、分散度等に応じて適宜決めればよい。塩基性化合物、有機溶剤又は水を追加配合する方法は特に限定されないが、ギヤポンプを用いて加圧下で配合する方法や、一旦系内温度を下げた後、開封して配合する方法等がある。追加配合する塩基性化合物、有機溶剤又は水の総量によって、配合した後の固形分濃度を調整することができる。酸変性ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくする観点から、水性化の際に有機溶剤を配合することが好ましい。
有機溶剤の含有量としては、水性媒体全体に対し50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。有機溶剤の含有量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤としては、分散安定性良好な水性分散体を得るという点から、20℃の水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、20g/L以上がより好ましく、50g/L以上のものがさらに好ましい。
有機溶剤としては、製膜の過程で効率よく接着層から除去させる観点から、沸点が150℃以下のものが好ましい。沸点が150℃を超える有機溶剤は、乾燥により接着層から飛散させることが困難となる傾向にあり、特に接着層の密着性が悪化する場合がある。好ましい有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。本発明の製造方法では、これらの有機溶剤を複数混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが樹脂の水性化促進により効果的であり、好ましい。
水性分散体の調製時に上記の有機溶剤を用いた場合には、上記したように樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤の含有量を低減させてもよい。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。ストリッピングの工程では、水性化に使用した有機溶剤を実質的に全て留去することもできるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、こうした生産性を考慮した場合、有機溶剤含有量の下限は0.01質量%程度が好ましい。しかし、0.01質量%未満であっても、特に性能面での影響はなく、使用には何ら問題ない。
ストリッピングの方法としては、常圧又は減圧下で当該水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法が挙げられる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるため、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くなるような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。
上記の調製方法を採用することで、酸変性ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に効率よく分散又は溶解され、均一な液状に調製することが可能となる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿、相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体中における酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径は、0.15μm以下が好ましい。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体における前記樹脂粒子径は、架橋剤やポリウレタン樹脂の水性分散液又は水性溶液と混合した場合でも通常変化しない。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体は、不揮発性の水性化助剤を用いなくても製造することができる。不揮発性水性化助剤の使用を排除するものではないが、水性化助剤を用いずとも、ポリオレフィン樹脂を重量平均粒子径0.15μm以下の範囲で水性媒体中に安定的に分散することができる。このような水性分散体を使用して低温乾燥により製膜すると、耐水性や基材層との密着性、さらに耐レトルト性、耐ボイル性、引き裂き特性にも優れる接着層が得られ、これらの性能は長期的にもほとんど変化しない。
ここで、「水性化助剤」とは、水性分散液の調製において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
不揮発性の水性化助剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂成分に対して0.5質量%未満とすることが好ましく、含有していないことが特に好ましい。本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子等が挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるものの他、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
そして、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス等の数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。
また、塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等が挙げられる。塩基性化合物の配合量としては、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量がより好ましく、0.9〜3.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、10倍当量を超えると、接着層形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散液の安定性が低下したりする場合がある。
以上のようにして、得られた液状物は、接着層を形成するために、基材層表面に塗布する。このときの塗布方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が挙げられる。なお、前述の通り、基材層塗布面は表面活性化処理されていることが好ましく、液状物の形態は水性分散体であることが好ましい。また、基材層塗布面には、必要に応じて下塗り層が設けられていてもよい。
このような方法により、基材層表面もしくは表面に設けられた下塗り層面に液状物を均一に塗布することができる。そして、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な接着層を基材層上に形成することができる。
このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被塗布物たる基材層の特性や液状物に任意に配合しうる前述の各種有機溶剤や添加剤の添加具合等を考慮して、適宜決定すればよい。一例として、経済性の観点から、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、80〜150℃が特に好ましい。一方、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜60秒がより好ましく、5秒〜30秒が特に好ましい。
さらに、基材層表面に液状物を塗布する場合、二軸延伸されたフィルムに塗布し、その後乾燥、熱処理してもよく、また、製造工程中の基材層、すなわち配向が完了する以前の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸の終了したフィルムに液状物を塗布し、乾燥後あるいは乾燥と同時に延伸し配向を完了させてもよい。上述の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸終了後のフィルムに、液状物を塗布、乾燥し、延伸配向させる方法が、基材層の製膜と同時に接着層を積層することができるため、コストの点から好ましい。
本発明によれば、紙以外の基材層においても、離型層を基材層上に設けた接着層上に押出ラミネート法によって積層することで、基材層と離型層が密着性に優れた積層体を得ることができ、その積層体を工程フィルムとして好適に使用することができる。
具体的には、離型層形成にあたりTダイからプロピレン系樹脂を溶融押出する際、Tダイから押出された直後の樹脂温度を、好ましくは230〜300℃となるように設定する。特にプロピレン系樹脂の熱分解を抑える観点から、樹脂温度は低温であることが望ましく、具体的には230〜270℃であることが好ましい。さらに、密着性を向上させ熱分解を抑えるという観点から、240〜260℃であることがより好ましい。
本発明では、基材層上に接着層を積層し、その上に離型層を積層する方法として、押出ラミネート法が好ましいが、密着性よく離型層を積層できるのであれば、押出ラミネート法以外の別の方法を採用してもよい。押出ラミネート法以外の方法としては、例えば、接着層と、プロピレン系樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(ドライラミネート法)などが挙げられる。
プロピレン系樹脂を接着層表面に積層した後、得られた積層体の密着性の向上等を目的として、これをエージング処理してもよい。エージング処理は、常温〜100℃程度の温度で行うことが好ましく、積層体への熱によるダメージや経済性の観点から30〜60℃で行うことがより好ましく、40〜50℃で行うことがさらに好ましい。
ラミネート強度としては、引張り試験機を用いて、25℃の恒温下、引張り強度300mm/分の条件で180度剥離試験を行うことで、評価することができる。このとき、ラミネート強度が1.5N/10mm以上であれば、工程フィルムとしての使用に問題ないレベルであり好ましく、より好ましくは2.5N/10mm以上である。なお、ラミネート強度が非常に強い場合は、測定時にシーラント層に伸びや切れが発生し、剥離が不可能となるため、正確なラミネート強度を測定することができないことがある。このような現象は、ラミネート状態として最も好ましい状態といえ、優れた密着性の裏づけとなる。
本発明の工程フィルムは、様々な被着体に対して良好な離型性を有していることから、離型層であるプロピレン系樹脂層を介して被着体に積層することで、積層体とすることができる。具体的には、粘着材料や液晶ディスプレー用部品などのための保護材料、プリント配線板のプレス工程材料、シート状構造体の成形工程材料などとして、好適に使用できる。
粘着材料としては、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどが挙げられる。より具体的には、基材に粘着剤が積層されたものである。粘着剤の成分や基材は特に限定されない。特に好ましい粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤が挙げられる。粘着剤には、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。基材としては、上述の、紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
液晶ディスプレー用部品としては、偏光板、位相差偏光板、位相差板などが挙げられる。
プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
シート状構造体の例としては、合成皮革、ウレタンフォーム、接着性樹脂フィルム、プリプレグセラミックグリーンシート、イオン交換膜などが挙げられる。これらは、ペースト状あるいはスラリー状とした原料を、離型用シート上へキャストすることで形成される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種の特性は以下の方法により測定又は評価した。
1.ポリオレフィン樹脂
(1)不飽和カルボン酸単位の含有量
赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer System−2000 フーリエ変換赤外分光光度計、分解能4cm−1)により求めた。
(2)不飽和カルボン酸単位以外の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)により求めた。13C−NMR分析では、定量性を考慮したゲート付きデカップリング法に基づき測定した。
(3)樹脂の重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC装置(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF−805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作製した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。
2.工程フィルム
(1)接着層の量(塗布量)
あらかじめ面積及び質量を計測した基材に、ポリオレフィン樹脂と架橋剤及び/又はポリウレタン樹脂とを含有する水性分散体を塗布し、100℃で1分間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前の基材の質量を差し引くことにより塗布量を求めた。塗布量と塗布面積とから単位面積当りの塗布量(g/m2)を算出した。
(2)ラミネート強度(密着性評価)
得られた積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、T型剥離により、試験片の端部から基材とシーラント層との界面を剥離して、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
(3)剥離強度(離型性評価)
得られた工程フィルムのプロピレン系樹脂層側(離型層側)に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して、剥離強度測定用サンプルを得た。この剥離強度測定用サンプルの、粘着テープと工程フィルムとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
(4)高温での寸法安定性
得られた工程フィルムを、20cm×20cmの正方形の試験片とした。120℃に設定したオーブンの中に各試験片を5分間静置させ、その後オーブンから取出し、常温冷却させた後に、各試験片の面積を測定した。熱しわが見られず、フィルムの収縮率が1.0%以下のものを「○」、熱しわが確認された、もしくは収縮率が1.0%を超えるものを「×」とした。なお、収縮率は以下の計算式で算出した。
収縮率(%)=〔400(cm2)−熱処理後の試験片の面積(cm2)〕/〔400(cm2)〕×100
(5)表面処理面の十点平均粗さ(エンボス加工適性)
Taylor/Hobson社製、タリサーフCCI6000を使用し、下記の条件で表面処理面の十点平均粗さSz(μm)を測定して求めた。
測定面積:0.9mm×0.9mm
カットオフ:ロバストガウシアンフィルタ、0.25mm
ピークカウントレベル:1.0μm
(製造例1:酸変性ポリオレフィン樹脂P−1の製造)
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂を減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂P−1を得た。
(製造例2、4、8:酸変性ポリオレフィン樹脂P−2、P−4、P−8の製造)
プロピレン/1−ブテンの質量比をP−2はプロピレン/1−ブテン=65/35、P−4はプロピレン/1−ブテン=100/0(P−4)、P−8はプロピレン/1−ブテン=40/60(P−8)にそれぞれ変更した以外は、製造例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂P−2、P−4、P−8をそれぞれ得た。
(製造例3:酸変性ポリオレフィン樹脂P−3の製造)
プロピレン−ブテン共重合体に代えて、プロピレン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=92/8)を用いた以外は、製造例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂P−3を得た。
(製造例5:酸変性ポリオレフィン樹脂P−5の製造)
無水マレイン酸の添加量を26.0gとし、ジクミルパーオキシドの添加量を50.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂P−5を得た。
(製造例6:酸変性ポリオレフィン樹脂P−6の製造)
無水マレイン酸の添加量を48.0gとし、ジクミルパーオキシドの添加量を13.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法で酸変性ポリオレフィン樹脂P−6を得た。
(酸変性ポリオレフィン樹脂P−7)
市販の酸変性ポリオレフィン樹脂であるボンダインLX−4110(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、酸変性ポリオレフィン樹脂P−7とした。
得られた酸変性ポリオレフィン樹脂P−1〜P−8の特性を表1に示す。
(調製例1)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(P−1)、45.0gのエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬社製)、8.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び137.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン(和光純薬社製)、5.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−1を得た。このとき、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
(調製例2〜6、8)
酸変性ポリオレフィン樹脂としてP−2〜P−6、P−8を用いた以外は、調製例1と同様の方法で水性分散体E−2〜E−6、E−8を得た。
(調製例7)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(P−7)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミンおよび147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な水性分散体E−7を得た。
(実施例1)
まず、水性分散体E−1とポリウレタン樹脂水性分散液(三井化学社製、タケラックW−6010、固形分濃度30質量%)とを、ポリオレフィン樹脂100質量部に対してポリウレタン樹脂の含有量が10質量部となるように混合して、塗工液を調製した。次に、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−38」、厚さ38μm)を用意し、ポリエステル樹脂フィルムのコロナ放電処理面に、グラビアコート機を用いて上記塗工液を乾燥後の塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、その後100℃で10秒間乾燥し、接着層を形成した。そして、押出ラミネート装置を用いて、接着層表面にプロピレン系樹脂としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP FL02A)を溶融押出して、30μmの離型層が形成されたフィルムを冷却ロールで冷却後、巻き取って工程フィルムを得た。このとき、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂の温度は240℃であった。
(実施例2〜4)
ポリウレタン樹脂の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してそれぞれ50質量部(実施例2)、100質量部(実施例3)、200質量部(実施例4)とした以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(実施例5〜9)
水性分散体E−1に代えて水性分散体E−2(実施例5)、E−3(実施例6)、E−4(実施例7)、E−5(実施例8)、E−6(実施例9)を用い、ポリウレタン樹脂の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してそれぞれ50質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(実施例10、11)
ポリウレタン樹脂水性分散液に代えてオキサゾリン基含有化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロスWS−700、固形分濃度25質量%)を用いたこと、オキサゾリン基含有化合物の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してそれぞれ10質量部(実施例10)、1質量部(実施例11)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(実施例12、13)
ポリウレタン樹脂水性分散液に代えてカルボジイミド基含有化合物の水性溶液(日清紡社製、カルボジライトV−02−L2、固形分濃度40質量%)を用いたこと、カルボジイミド基含有化合物の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してそれぞれ30質量部(実施例12)、3質量部(実施例13)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(実施例14、15)
ポリウレタン樹脂水性分散液に代えてイソシアネート基含有化合物(BASF社製、バソナートHW−100、固形分濃度:100質量%)の10質量%水溶液を用いたこと、イソシアネート基含有化合物の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してそれぞれ20質量部(実施例14)、2質量部(実施例15)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(実施例16)
二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムに代えて厚さ25μmの二軸延伸ポリアミド6フィルム(ユニチカ社製、エンブレム)を用い、当該ポリアミド6フィルムのコロナ放電処理面に水性分散体E−1を塗布する以外は、実施例2と同様の方法で工程フィルムを得た。
(比較例1)
水性分散体E−1に代えて水性分散体E−7を用い、ポリウレタン樹脂水性分散液を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(比較例2〜5)
水性分散体E−1に代えて水性分散体E−7を用いた以外は、比較例2においては実施例2と同様の方法で、比較例3においては実施例10と同様の方法で、比較例4においては実施例12と同様の方法で、比較例5においては実施例14と同様の方法でそれぞれ工程フィルムを得た。
(比較例6)
水性分散体E−1に代えて水性分散体E−8を用い、ポリウレタン樹脂の含有量を酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部とした以外は、 実施例1と同様の方法で工程フィルムを得た。
(比較例7)
押出ラミネート装置を用いて、接着層表面にポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 ノバテックLD LC600A)を溶融押出した以外は実施例2と同様の方法で工程フィルムを得た。このとき、Tダイから押出されたポリエチレン樹脂の温度は290℃であった。
(比較例8)
押出ラミネート装置を用いて、接着層表面にポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 ノバテックLD LC600A)を溶融押出した以外は比較例2と同様の方法で工程フィルムを得た。このとき、Tダイから押出されたポリエチレン樹脂の温度は290℃であった。
(比較例9)
ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP FL02A)を溶融押出して、70μmのフィルムを冷却ロールで冷却後、巻き取って工程フィルムとした。このとき、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂の温度は240℃であった。
実施例1〜16および比較例1〜9で得られた工程フィルムの特性を表2に示す。
(実施例17〜20)
プロピレン系樹脂であるポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP FL02A)を溶融押出しする際、冷却ロール設置部分をエンボスロールとして表面加工を行った以外は実施例2と同様の方法で工程フィルムを得た。この時、エンボスロール表面の十点平均粗さが10μm(実施例17)、15μm(実施例18)、20μm(実施例19)、25μm(実施例20)となるよう設計したものをそれぞれ用いた。
実施例17〜20で得られた工程フィルムの特性を表3に示す。
表2に示すように、実施例1〜16で得られた工程フィルムは、ラミネート強度(密着性)、高温での寸法安定性に優れるものであり、また剥離強度(離型性)も工程フィルムとして好適に使用できるものであった。加えて、表3に示すように、実施例17〜20で得られた表面加工フィルムは、押出ラミネート法によって、目的とした表面粗さに処理することが出来ており、被着体に意匠性を付与する方法で好適に使用できるものであった。
一方、表2に示すように、接着層にプロピレン成分を含まない比較例1〜5では、基材とプロピレン系樹脂層の間のラミネート強度(密着性)で劣る傾向にあった。さらに、高温での寸法安定性が悪く、表面のプロピレン系樹脂層に熱しわ等が見られた。
比較例6では、接着層のプロピレン成分が主成分ではなかったため、基材とプロピレン系樹脂層間のラミネート強度(密着性)で劣る場合があった。
比較例7では、接着層は本発明の規定するものであるが、離型層がポリエチレン樹脂であったため、基材とポリエチレン樹脂層間のラミネート強度(密着性)で劣る傾向にあった。
比較例8では、接着層がエチレン系で、離型層がポリエチレン樹脂であったため、ラミネート強度(密着性)は良好であったが、剥離強度(離型性)や高温での寸法安定性に劣るものであった。
比較例9では、基材を設けていないポリプロピレンフィルムであるが、熱しわ等が見られ、高温での寸法安定性に劣るものであった。