JP2018161797A - 離型フィルム - Google Patents

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康平 田中
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Abstract

【課題】プリプレグの製造時にはじきや塗工斑が生じにくく、プリプレグの樹脂を硬化させた後に適度な離型性を有する離型フィルムであって、離型層の表面は高い平滑性を有するとともに、ロール状に巻いても、樹脂層が設けられていない面が汚染されることがない離型フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、架橋剤1〜50質量部とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%以上であることを特徴とする離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、優れた機械特性や耐熱性、耐薬品性を有することから、工業分野において広く使用されている。中でも、ポリエステルフィルムを基材とし、これに離型性を付与した離型材料は、電子・電機分野で広く用いられており、その具体的用途としては、プリント配線板・フレキシブルプリント配線板・多層プリント配線板などの製造のための工程材料、液晶ディスプレイ用部品である偏光板や位相差板の保護材料などが挙げられる。
ポリエステルフィルムを基材とした離型材料として、例えば、特許文献1には、酸変性ポリエチレン系樹脂を有する樹脂層を、インラインコートでポリエステルフィルムに設けてなる離型フィルムが開示され、特許文献2には、酸変性ポリプロピレン系樹脂を有する樹脂層をインラインコートでポリエステルフィルムに設けてなる離型フィルムが開示されている。
特開2012−144021号公報 国際公開第2014/109341号
しかしながら、特許文献1に開示された離型フィルムは、エポキシプリプレグの製造時に使用すると、はじきや塗工斑が生じ、また硬化させたエポキシプリプレグに対しては、離型性が低下する傾向にあった。また特許文献2に開示された離型フィルムは、硬化させたエポキシプリプレグに対して離型性を有するが、樹脂層表面に微細な凹凸が形成されており、離型フィルム剥離後の粘着材料の表面に、凹凸が転写されるおそれがあった。
さらに、特許文献1、2に開示された離型フィルムは、ロール状で保管すると、樹脂層が設けられていない面に、樹脂層の成分が移行して、この面が汚染されることがあった。
本発明は、これらの問題点に鑑み、プリプレグの製造時にはじきや塗工斑が生じにくく、プリプレグの樹脂を硬化させた後に適度な離型性を有する離型フィルムであって、離型層の表面は高い平滑性を有するとともに、ロール状に巻いても、樹脂層が設けられていない面が汚染されることがない離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%以上である酸変性ポリオレフィン樹脂を使用し、この樹脂100質量部と架橋剤1〜50質量部とを含有した樹脂層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、架橋剤1〜50質量部とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%以上であることを特徴とする離型フィルム。
(2)架橋剤の含有量が2〜10質量部であることを特徴とする(1)記載の離型フィルム。
(3)架橋剤がオキサゾリン化合物であることを特徴とする(1)または(2)記載の離型フィルム。
(4)オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が99質量%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の離型フィルム。
本発明の離型フィルムは、エポキシプリプレグや粘着剤などの粘着性を有する材料に対する離型性が良好であり、また離型フィルムを剥離した後の粘着材料表面に、凹凸形状を転写させることが少ない。さらに、ロール状に巻いても、樹脂層が設けられていない面が汚染されることがない。しかも離型性を発現するにあたって、ワックス類や低分子量のシリコーン化合物、界面活性剤などの離型剤を必要としないため、離型の際に粘着材料を汚染することがない。またフッ素などハロゲン元素を含む離型剤を用いなくて済むので、廃棄時の環境への負荷も少ない。したがって、本発明の離型フィルムは、プリント配線板などを製造する際の工程材料に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられたものであり、樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含有する。
[樹脂層]
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸変性成分とオレフィン成分とから構成される樹脂であり、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量は、95質量%以上であることが必要であり、97質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の主成分がプロピレンであることにより、得られる樹脂層は、エポキシプリプレグなどの粘着性を有する材料との間の剥離力を小さくすることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂は、造膜性向上の点から、オレフィン成分としてブテン、エチレンを含有してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。酸変性成分は、上記不飽和カルボン酸を2種類以上含有してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の含有量は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、2〜9質量%であることがさらに好ましい。酸変性成分の含有量が1質量%未満であると、得られる樹脂層は、極性基の含有量が少なくなるため、ポリエステルフィルムとの密着性が十分に得られなくなり、粘着材料を汚染することがある。さらに後述する樹脂の水性分散化において、当該樹脂を安定的に分散するのが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の含有量が10質量%を超えると、得られる樹脂層は、極性基の割合が多くなるため、ポリエステルフィルムとの密着性が十分にはなるが、粘着材料との密着性も同時に高くなるため、粘着材料との離型性が低下する傾向がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、上記成分以外に、他の成分を、当該ポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有してもよい。他の成分としては、1−オクテン、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物などでケン化して得られるビニルアルコール;2−ヒドロキシエチルアクレート;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;スチレン;置換スチレン;ハロゲン化ビニル類;ハロゲン化ビニル類;ハロゲン化ビリニデン類;一酸化炭素;二酸化硫黄;などが挙げられる。これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂における各成分の共重合形態は、限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられ、なかでも、重合のし易さの点から、ランダム共重合が好ましい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、2種以上の酸変性ポリオレフィン樹脂を混合したものであってもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に、酸変性成分としての不飽和カルボン酸成分を導入する方法が挙げられ、その方法は特に限定されない。例えば、ラジカル発生剤の存在下で、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを、ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で、加熱、撹拌して反応させる方法などにより、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸成分をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から、前者の方法が好ましい。
グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレートなどの有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾニトリル類が挙げられる。これらは、反応温度に基づいて適宜に選択して使用すればよい。
本発明において、樹脂層は、上記酸変性ポリオレフィン樹脂とともに架橋剤を含有することが必要である。架橋剤を含むことにより、樹脂層の構成成分が架橋し、樹脂層の凝集力や耐水性などの各種性能を向上させることができる。
架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが必要であり、2〜40質量部であることがより好ましく、2〜30質量部であることがさらに好ましく、2〜10質量部であることが特に好ましい。架橋剤の含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部未満であると、樹脂層の凝集力が弱くなり、離型性が乏しくなるうえに樹脂層が被着体に移行しやすくなり、残存接着率が低下する傾向にある。一方、50質量部を超えると樹脂層と被着体との間で反応を生じ、離型性に乏しくなり、平滑性も乏しくなることがある。
架橋剤としては、酸変性ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物や、樹脂層が後述するポリビニルアルコールを含有する場合は、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを架橋する化合物等を用いることができ、このうち、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が好ましく、特に、オキサゾリン化合物が効果的である。これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。
イソシアネート化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4′−または4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−または1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3、3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、4,4′−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロトルエン2,4−または2,6−ジイソシアネート、ぺルヒドロ−2,4′−または4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物、あるいはそれらの改変生成物が挙げられる。ここで、改変生成物とは、多官能イソシアネート化合物のうちのジイソシアネートを公知の方法で変性することによって得られるものであり、例えば、アロファネート基、ビューレット基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基等を有する多官能イソシアネート化合物、さらにはトリメチロールプロパン等の多官能アルコールで変性したアダクト型の多官能イソシアネート化合物を挙げることができる。なお、上記イソシアネート化合物には、20質量%以下の範囲でモノイソシアネートが含有されていてもよい。また、これらの1種または2種以上を用いることができる。
イソシアネート化合物は、通常、多官能イソシアネート化合物と一価または多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールと反応させて得ることができる。そのような水性の多官能イソシアネート化合物の市販品としては、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDN、武田薬品工業社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730、旭化成工業社製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWX−1741、BASF社製のバソナート(Basonat)HW−100、バソナートLR−9056等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。カルボジイミド化合物は、1つのカルボジイミド部分において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における2つのカルボキシル基と架橋を達成する。
カルボジイミド化合物の具体例として、例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。オキサゾリン化合物は、2つのオキサゾリン部分のそれぞれにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における1つのカルボキシル基とアミドエステルを形成し、架橋を達成する。
オキサゾリン化合物の具体例として、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層はポリビニルアルコールを含有することが好ましい。樹脂層において、ポリビニルアルコールが酸変性ポリオレフィン樹脂中に分散することによって、酸変性ポリオレフィン樹脂が奏する剥離性を適度に軽減させると同時に、ポリビニルアルコール自体が有するポリエステルフィルムとの密着性を向上させる効果を奏する。
ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されないが、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。ポリビニルアルコールは、後述のように液状物として使用する場合のために、水溶性を有していることが好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではなく、例えば、300〜5,000が挙げられ、樹脂層を形成するための液状物の安定性向上の観点からは、300〜2,000であることが好ましい。
ポリビニルアルコールを含有する場合、含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10〜1000質量部であることが好ましく、10〜800質量部であることがより好ましく、20〜700質量部であることがさらに好ましく、30〜600質量部であることが最も好ましい。ポリビニルアルコールの含有量がこの範囲であると、ポリエステルフィルムに樹脂層を形成する際の乾燥や熱処理などの加熱による、樹脂層の剥離性への影響をより低くすることができる。
ポリビニルアルコールの市販品としては、例えば、日本酢ビ・ポバール社製の「J−ポバール」の「JT−05」、「VC−10」、「JP−18」、「ASC−05X」、「UMR−10HH」;クラレ社製の「クラレポバール」の「PVA−103」、「PVA−105」や、「エクセバール」の「AQ4104」、「HR3010」;電気化学工業社製の「デンカ ポバール」の「PC−1000」、「PC−2000」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤を含有してもよい。滑剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機粒子や、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機粒子等が挙げられる。
本発明において、樹脂層の厚さは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.7μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。樹脂層は、厚さが0.01μm未満では、十分な離型性が得られず、一方、厚さが1μmを超えると、離型性が飽和状態で良化しないばかりか、残留接着率が低下することがある。
[ポリエステルフィルム]
本発明において、基材のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。
ポリエステルの好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステルや、それらの共重合体が挙げられる。
上記共重合体を構成することができる成分としては特に限定されず、酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等が少量共重合されてもよい。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。また、2種以上のポリエステルをブレンドして用いてもよい。本発明において、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
ポリエステルの固有粘度は0.55〜0.80であることが好ましく、0.60〜0.75であることがより好ましい。ポリエステルは、固有粘度が上記範囲未満であると、製膜時に切断が起こり易く、安定的にフィルムを生産するのが困難であり、得られたフィルムの強度も低い。一方、ポリエステルは、固有粘度が上記範囲を超えると、フィルムの生産工程において樹脂の溶融押出時に剪断発熱が大きくなり、熱分解やゲル化物が増加して、フィルム中に、表面欠点、異物、表面粗大突起が増加したり、押出機にかかる負荷が大きくなり、生産速度を犠牲にせざるを得なかったり、フィルムの厚さ制御も難しくなる等、フィルムの生産性が低下する。また、あまりに固有粘度の高いポリエステルの製造は、重合時間や重合プロセスが長く、コストを押し上げる要因ともなる。
ポリエステルの重合方法は特に限定されず、例えば、エステル交換法、直接重合法等が挙げられる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Geなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒド等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合してもよい。
ポリエステルの重合においては必要に応じ、添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ピニング剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、熱安定剤としては、リン系化合物等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等が挙げられる。
次に、本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法の一例を説明する。
まず、十分に乾燥されたポリエステルを押出機に供給し、十分に可塑化され、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させ、その後Tダイを通じてシート状に押出す。このシートをポリエステルのガラス転移点(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムを二軸延伸し二軸配向させる。延伸方法としては、特に限定はされないが逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法を用いることができる。
同時二軸延伸法では、未延伸フィルムを用いたポリエステルのTg〜Tgより50℃高い温度の範囲で長手および巾方向にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、1〜1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、ポリエステルフィルムは逐次二軸延伸法によっても好ましく製造することができる。上記未延伸フィルムをロール加熱、赤外線等で加熱し、長手方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。延伸は2個以上のロール周速差を利用し、ポリエステルのTg〜Tgより40℃高い温度の範囲で2.5倍以上、4.0倍以下とするのが好ましい。縦延伸フィルムは続いて連続的に、巾方向に横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとする。横延伸はポリエステルのTg〜Tgより40℃高い温度で開始し、最高温度はポリエステルの融点(Tm)より(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上、さらには3.8倍以上とするのが好ましく、4.0倍以上とするのがより好ましい。
長手方向と巾方向に延伸後、さらに、長手方向および/または巾方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることもできる。
延伸に続き、ポリエステルのTmより(50〜10)℃低い温度で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム幅方向に2〜10%の弛緩することが好ましい。熱固定処理後、フィルムのTg以下に冷却して二軸延伸フィルムを得る。
上記製造方法によって、1種の層からなる単層のポリエステルフィルムが得られるが、ポリエステルフィルムは、2種以上の層を積層してなる多層構造を有することが好ましい。
多層構造を有するフィルムは、上記製造方法において、それぞれの層を構成するポリエステルを別々に溶融して、複層ダイスを用いて押出し、固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法や、2種以上のポリエステルを別々に溶融、押出してそれぞれフィルム化し、未延伸状態でまたは延伸後に、それらを積層融着させる方法などによって製造することができる。プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させることが好ましい。
ポリエステルフィルムを多層構造とすることで、ポリエステルフィルムのそれぞれの面の表面粗さを独立に制御することができる。ポリエステルフィルムとして多層フィルムを使用する場合、多層フィルムの外層のうち、樹脂層が設けられる層は、上記粗面化物質を含有しないことが好ましい。樹脂層が設けられる層に粗面化物質を含有させないことにより、樹脂層との界面および樹脂層表面へ粗面化物質がブリードアウトすることがなく、樹脂層と基材フィルムの密着性低下や、剥離時の粘着材料汚染を防ぐことができる。また、離型層表面を平滑化することが可能である。
[離型フィルム]
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられたものであり、上記ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを液状媒体中に含有してなる液状物を、ポリエステルフィルムに塗布し、液状物の塗布されたポリエステルフィルムを乾燥、延伸および熱処理して樹脂層を設けることによって、工業的に簡便に製造することができる。
本発明において、樹脂層形成用液状物を構成する液状媒体は、水性媒体であることが好ましい。水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。
両親媒性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール−n−ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の有機アミン化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
樹脂層形成用液状物は、酸変性ポリオレフィン樹脂の液状物に架橋剤を添加することにより調製することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の液状物としては、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化する方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第02/055598号に記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は、国際公開第02/055598号に記載の製法により達成可能である。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は動的光散乱法によって測定される。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、水性分散体の粘性を適度に保つためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体と架橋剤とを混合して得られる樹脂層形成用液状物の固形分濃度は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、液状物の粘性を適度に保ち、かつ、均一な樹脂層を形成させるためには、2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
樹脂層形成用液状物には、その性能が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などを添加することもできる。
本発明において、上記樹脂層形成用液状物をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、公知の方法、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等を挙げることができる。
本発明において、樹脂層を基材ポリエステルフィルムに積層する方法は特に限定されないが、上記液状物をポリエステルフィルムに塗布し、液状物の塗布されたポリエステルフィルムを乾燥、延伸および熱処理する工程を含むこと(インラインコート)が好ましい。このようにポリエステルフィルムの製造工程中に塗布することにより、ポリエステルフィルム表面の配向結晶化の程度が小さい状態で樹脂層を塗布することができるため、ポリエステルフィルムと樹脂層の密着力が向上する。また、ポリエステルフィルムを緊張した状態で樹脂層により高温の熱処理できることで、ポリエステルフィルムの品位を低下させることなく、離型性を向上させることができる。さらに、オフラインでの塗布に比べると、製造工程を簡略化することができるばかりか、樹脂層を薄膜化によりコスト面でも有利である。なお、逐次二軸延伸法を採用する場合には、一軸方向に延伸された基材ポリエステルフィルムに前記液状物を塗布し、その後、基材ポリエステルフィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
本発明の離型フィルムは、その樹脂層表面が様々な粘着材料に対して良好な離型性を有していることから、離型フィルムとして、樹脂層上に各種の粘着材料を積層することができる。本発明の離型フィルムは、具体的には、粘着材料や液晶ディスプレイ用部品などの保護材料、プリント配線板のプレス工程材料やシート状構造体の成形工程材料として好適に使用することができる。
本発明の離型フィルムは、エポキシプリプレグを樹脂層に貼り付けて測定したときの、樹脂層とエポキシプリプレグとの間の剥離力を0.04N/cm以下とすることができ、好ましくは0.001〜0.04N/cm、より好ましくは0.005〜0.04N/cmとすることができる。剥離力が0.04N/cmを超えると、エポキシプリプレグとの剥離力が大きくなり、ハンドリング性が低下する。
本発明の離型フィルムは、樹脂層成分が、粘着材料以外の材料にも移行しがたいため、ロール状に巻いても、樹脂層が設けられていない面が樹脂層によって汚染されることがない。樹脂層が設けられていない面が樹脂層によって汚染されると、その面の接触角は上昇する。すなわち、基材ポリエステルフィルム表面における水の接触角は60〜70°であり、一方、樹脂層表面の接触角は90〜100°であり、樹脂層が設けられていない基材面が樹脂層によって汚染されると、その面の接触角は、60〜70°から上昇し、90〜100°に近づく。本発明においては、樹脂層は汚染を生じないものであるため、離型フィルムをロール状に巻いても、樹脂層が設けられていない面における水の接触角を80°以下とすることができる。樹脂層が設けられていない面は、接触角が80°以下であれば、汚染されていないとみなすことができ、接触角が75°以下が好ましい。接触角が80°超えるとその面は汚染されており、工程が汚染される懸念がある。
本発明の離型フィルムにおいて、樹脂層の表面粗さは特に限定されないが、中心線平均粗さSRaが10nm以下、十点平均粗さSRzが0.5μm以下であることが好ましく、SRaが5.0nm以下、SRzが0.3μm以下であることがより好ましい。樹脂層の表面粗さが上記範囲であることにより、離型フィルムを剥離した後の粘着材料表面に、凹凸形状を転写させることが少ない。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
酸変性ポリオレフィン樹脂やその水性分散体、離型フィルムの特性は下記の方法で測定した。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d)を溶媒とし、120℃にてH−NMR分析(バリアン社製GEMINI2000/300、300MHz)を行い求めた。
(2)エポキシプリプレグに対する剥離力
60mm×100mmの大きさのエポキシプリプレグ(住友ベークライト社製EI−6765)の両面を、得られた離型フィルムの樹脂層側で挟み、1.07kPa(8Torr)の真空プレス機中で、30℃から150℃まで15℃/分で昇温し、150℃で22分間保持した後、さらに5℃/分で190℃まで昇温し、190℃で70分間保持した。その後、室温まで冷却を行うことで、試料を得た。この際、5kg/cmの圧力を10分間かけた後、15kg/cmの圧力をかけながら、上記温度条件で保持した。
得られた試料の、硬化後のエポキシプリプレグと離型フィルムとの剥離力を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて測定した。剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分とした。
(3)アクリル系粘着剤に対する剥離力
離型フィルムの樹脂層側に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して剥離力測定用試料を得た。
剥離力測定用試料の、粘着テープと離型フィルムとの剥離力を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて測定した。剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分とした。
(4)残留接着率
上記(3)アクリル系粘着剤に対する剥離力の試験により離型フィルム表面から剥離した巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET−12、厚さ12μm)のコロナ処理面に貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープと二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムとの剥離力を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて測定した。剥離角度は180°、剥離速度は300mm/分とした。この測定により得られた剥離力をF1とした。
一方、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET−12、厚さ12μm)のコロナ処理面に、巾50mm、長さ150mmの未使用のポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープと二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムとの剥離力を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて測定(剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離力をF2とした。
得られた剥離力F1、F2より下記式を用いて残留接着率を得た。
残留接着率(%)=(F1/F2)×100
(5)表面粗さ
離型フィルムの樹脂層側の表面粗さは、TAYLOR/Hobson社製タリサーフCCI6000を使用し、下記の条件で表面粗さSRaおよびSRzを測定した。
測定長:0.66mm×0.66mm
カットオフ:ロバストガウシアンフィルタ、0.25mm
(6)汚染性(樹脂層が設けられていない面の接触角)
得られた離型フィルムを巻取ったフィルムロールを、40℃環境下で3日間静置した。処理終了後、冷却し、表層のフィルムを除去し、巻芯より50m位置の離型フィルムの樹脂層が設けられていない面(樹脂層側の反対面)について、水に対する接触角を液滴法によって測定した。すなわち、20℃65%RH環境下で、協和界面科学社製接触角計CA−Dを用いて、純水が直径2.0mmの水滴を作るよう滴下し、10秒後の接触角を測定した。5回測定して平均値を算出した。
酸変性ポリオレフィン樹脂、その水性分散体、および樹脂層形成用液状物は、以下の方法により製造した。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)の製造>
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=99/1(質量比))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って撹拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応生成物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A−2)〜(A−4)、(B−1)〜(B−2)の製造>
プロピレン−エチレン共重合体を、組成が異なる共重合体に変更した以外は、(A−1)と同様の方法で酸変性し、酸変性ポリオレフィン樹脂(A−2)〜(A−4)、(B−1)〜(B−2)を得た。
Figure 2018161797
<酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X−1)の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(A−1)と、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテルと、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(樹脂中の無水マレイン酸成分のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを上記のガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。ここで、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることを確認した。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X−1)を得た。なお、フィルター上には残存樹脂はほとんどなかった。
<酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X−2)〜(X−4)、(Y−1)〜(Y−2)の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂を、表1記載の組成のものに変更した以外は(X−1)と同様の方法で、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X−2)〜(X−4)、(Y−1)〜(Y−2)を得た。
<樹脂層形成用液状物(P−1)の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(X−1)と、ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製VC−10、重合度:1,000、固形分濃度:8質量%)、架橋剤としてのオキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製エポクロスWS−700、固形分濃度25質量%)を、各成分の固形分比率が100:300:8になるように混合し、最終固形分濃度が6.5質量%になるように水で調整して、樹脂層形成用液状物(P−1)を得た。
<樹脂層形成用液状物(P−2)〜(P−9)、(Q−1)〜(Q−3)の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の種類、架橋剤の種類および架橋剤の量を、表2記載のように変更した以外は(P−1)と同様の方法で、樹脂層形成用液状物(P−2)〜(P−9)、(Q−1)〜(Q−3)を得た。なお、架橋剤のカルボジイミド化合物として、日清紡ケミカル社製カルボジライトV02L2(固形分濃度40質量%)、またイソシアネート化合物として、BASF社製バソナートHW−100(固形分濃度100質量%)を使用した。
実施例1
ポリエチレンテレフタレートA(重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)に、シリカ粒子(粒子径2.3μm)を0.07質量%添加したポリエチレンテレフタレートBを、押出機I(スクリュー径:50mm)に、またポリエチレンテレフタレートAを、押出機II(スクリュー径:65mm)にそれぞれ投入して280℃で溶融後、それぞれの溶融体をTダイの出口に至る前で層状に合流積層させた。層の厚み比(I/II)が4/6となり、総厚みが600μmとなるよう調整してTダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムをロール式縦延伸機で85℃の条件下、3.5倍に延伸した。
次いで、上記の方法で製造した樹脂層形成用液状物(P−1)を、押出機IIからのフィルム層の表面に、120メッシュのグラビアロールで5g/mとなるように塗布したのち、連続的にフィルムの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、100℃の条件下、横4.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を3%として、243℃で3秒間の熱処理を施して、2種2層のポリエステルフィルムの片面に厚さ0.1μmの樹脂層が設けられた厚さ38μmの離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムは、表面にハードクロムメッキが施された接圧ロール(最大高さSRmaxが7μm)を用いて、外径が10.5cmの紙管の上に巾800mm、巻取り張力118N/m、巻取り接圧118N/m、巻取り速度100m/分の条件で、長さ500mのロールに巻取った。接圧ロールの摩擦係数は0.3であり、フィルムの抱き角度は120゜とした。
実施例2〜9、比較例1〜3
樹脂層形成用液状物を表2記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを得た。
実施例10
実施例1と同様にして、未延伸フィルムをロール式縦延伸機で85℃の条件下、3.5倍に延伸して延伸フィルムを得た。この延伸フィルムに樹脂層形成用液状物を塗布することなく、フィルムの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、100℃の条件下、横4.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を3%として、230℃で3秒間の熱処理を施して、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの、押出機IIからのフィルム層の表面に、樹脂層形成用液状物(P−1)を、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で30秒間乾燥させた。その後、50℃で2日間エージングを行うことで、2種2層の厚さ38μmのポリエステルフィルムの片面に厚さ0.5μmの樹脂層が設けられた離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムは、表面にハードクロムメッキが施された接圧ロール(最大高さSRmaxが7μm)を用いて、外径が10.5cmの紙管の上に巾800mm、巻取り張力118N/m、巻取り接圧118N/m、巻取り速度100m/分の条件で、長さ500mのロールに巻取った。接圧ロールの摩擦係数は0.3であり、フィルムの抱き角度は120゜とした。
実施例1〜10、比較例1〜3で得た離型フィルムの特性を表2に示す。
Figure 2018161797
実施例の離型フィルムにおける樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、架橋剤1〜50質量部とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%以上であるため、エポキシプリプレグやアクリル系粘着剤などの粘着材料との剥離力が低く、離型性、平滑性が良好であった。なかでも、実施例1、4〜10の離型フィルムは、樹脂層のオレフィン成分におけるプロピレン含有量が99質量%以上であるため、樹脂層表面の平滑性が優れていた。また、実施例1〜4、8〜10の離型フィルムは、架橋剤が特に好ましい含有量である樹脂層であるため、剥離力が小さく離型性に優れるものであった。
比較例1では、酸変性ポリオレフィン樹脂がオレフィン成分としてプロピレンを含有しないため、樹脂層は、エポキシプリプレグとの剥離力が高く、離型性に劣るものであった。比較例2では、酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分としてプロピレンを含有するが、含有量が95質量%未満であるため、樹脂層は平滑性に劣るものであった。
比較例3では、樹脂層が架橋剤を含有しないため、エポキシプリプレグやアクリル系粘着剤などの粘着材料を剥離することが不可能であった。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、架橋剤1〜50質量部とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分におけるプロピレンの含有量が95質量%以上であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 架橋剤の含有量が2〜10質量部であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
  3. 架橋剤がオキサゾリン化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の離型フィルム。
  4. オレフィン成分におけるプロピレンの含有量が99質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。

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