JP2020147723A - 離型フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクリル系被着体、エポキシ系被着体という種類の異なる被着体に対して、離型性に優れた非シリコーン系の離型フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有し、アクリル系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が1.5N/cm以下であり、かつ、エポキシ系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が0.2N/cm以下であることを特徴とする離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
離型フィルムは、医療分野、工業分野に広く使用されている。その具体例としては、医療用テープやハップ剤の保護フィルム、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などの製造のための工程材料、粘着材料、液晶ディスプレイ用部品などの保護材料などが挙げられる。
離型層としてシリコーン樹脂が用いられた離型フィルムは、剥離性能が高く軽剥離であり安価であることから、一般的に広く使用されている。ただし、離型層にシリコーン樹脂を用いた場合には、離型フィルムから被着体側にシリコーン樹脂の一部が転写してしまい、被着体を汚染してしまう問題があった。
非シリコーン系の離型フィルムとしては、各社開発が行われており、例えば特許文献1、2に開示されているように、樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂である離型フィルムが挙げられる。
近年、電子部品等には小型化、軽量化が求められており、より形状の自由度が求められている。例えば、離型フィルムの離型層上の一部にアクリル粘着剤シートとエポキシプリプレグという異なる被着体をそれぞれ一面上に積層し、その後、アクリル粘着剤とエポキシ被着体とから剥離する場合があった。
国際公開第2014/109340号 国際公開第2018/056276号
しかしながら、特許文献1、2に開示された離型フィルムは、特定種類の被着体に対しての離型性は良好であるが、アクリル系被着体とエポキシ系被着体の両方に対しての離型性は有しておらず、両被着体に対して良好な離型性を示す非シリコーン系の離型フィルムはなかった。
本発明の課題は、上記のようにアクリル系被着体とエポキシ系被着体という異なる種類の被着体に対して離型性に優れており、同時に剥離できるような非シリコーン系の離型フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、あらかじめ酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体にγ線を照射し、γ線照射後の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて樹脂層を形成することで、アクリル系被着体、エポキシ系被着体という種類の異なる被着体に対して、離型性に優れた非シリコーン系の離型フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有し、以下の(イ)、(ロ)の要件を満たす離型フィルム。
(イ)アクリル系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が1.5N/cm以下であること
(ロ)エポキシ系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が0.2N/cm以下であること
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のオレフィン成分が、プロピレンを含む(1)に記載の離型フィルム。
(3)ゴム系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が0.3N/cm以下である(1)または(2)に記載の離型フィルム。
(4)樹脂層に、さらにポリビニルアルコールを含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の離型フィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法であって、γ線を照射した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を基材フィルムに塗工することで樹脂層を形成する離型フィルムの製造方法。
(6)γ線照射量が10〜400kGyである(5)記載の離型フィルムの製造方法。
本発明の離型フィルムは、アクリル系被着体、エポキシ系被着体という種類の異なる被着体に対して、離型性に優れており、両面テープや粘着材料の保護フィルムや液晶ディスプレイ用部品、プリント配線板などを製造する際の保護材料や工程材料、イオン交換膜やセラミックグリーンシート、放熱シートなどのシート状構造体成形用途など様々な用途に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含有する樹脂層が設けられたものである。
本発明の離型フィルムは、粘着材料としてのアクリル系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの被着体との剥離力を1.5N/cm以下とすることができ、好ましくは1.2N/cm以下、より好ましくは1.0N/cm以下とすることができる。剥離力が1.5N/cmを超えると、アクリル系被着体以外の被着体との剥離の際にハンドリング性が悪くなる場合がある。
また、本発明の離型フィルムは、エポキシ系被着体としてエポキシプリプレグを樹脂層に貼り付けて測定したときの、樹脂層とエポキシプリプレグとの剥離力を0.2N/cm以下とすることができ、好ましくは0.005〜0.1N/cm、より好ましくは0.01〜0.05N/cmとすることができる。剥離力が0.2N/cmを超える場合、エポキシプリプレグとの剥離力が大きくなりハンドリング性が悪くなる場合がある。
前記剥離力は、あらかじめγ線を照射した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体から媒体を除去した樹脂生成物を樹脂層に用いることにより達成される。
また、本発明の離型フィルムは、アクリル系被着体とエポキシ系被着体との離型性に優れた離型フィルムであるが、粘着材料としてのゴム系被着体との離型性にも優れている。ゴム系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの被着体との剥離力を、好ましくは0.3N/cm以下、より好ましくは0.2N/cm以下、さらに好ましくは0.1N/cm以下とすることができる。
本発明の離型フィルムにおける樹脂層について説明する。
樹脂層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分とし、酸変性成分により変性された樹脂である。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、エチレン、プロピレン、ブテンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシプリプレグに対する離型性の観点で、プロピレンを含むことがより好ましく、オレフィン成分の主成分がプロピレン成分であることがより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の割合は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜9質量%であることがより好ましい。酸変性成分が1%未満の場合は、樹脂層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂中の極性基の割合が少なくなるため、樹脂層は、基材フィルムとの十分な密着性が得られず、樹脂層から離型した被着体を汚染することがある。さらに後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するのが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の割合が10質量%を超える場合は、極性基の割合が多くなるため、樹脂層と基材フィルムとの密着性が十分にはなるが、樹脂層と被着体との密着性も同時に高くなるため、被着体との離型性が低下する傾向がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていてもよい。その他のモノマーとして、例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
本発明において酸変性ポリオレフィン樹脂として市販のものを使用することができ、例えば、三井・デュポンポリケミカル社製「ニュクレル」の「AN42115C」、「N1050H」、「N1110H」;日本ポリエチレン社製「レクスパール」の「A210K」;三洋化成社製「ユーメックス」の「1001」;アルケマ社製「ボンダイン」の「LX−4110」、「HX−8210」、「HX−8290」、「TX−8030」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、架橋剤を含有することが必要である。
架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が1質量部未満であると、樹脂層の凝集力が弱くなり、樹脂層が被着体に移行しやすく、被着体が粘着材料であると残存接着率が低下する傾向にある。一方、20質量部を超えると、樹脂層と被着体との間で反応を生じ、剥離強度が大きくなることがある。
架橋剤としては、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が好ましく、特に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が効果的である。これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。
架橋剤として用いるカルボジイミド化合物は、分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。カルボジイミド化合物は、1つのカルボジイミド部分において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における2つのカルボキシル基とエステルを形成し、架橋を達成する。
カルボジイミド化合物の具体例として、例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」が挙げられる。
架橋剤として用いるオキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。オキサゾリン化合物は、2つのオキサゾリン部分のそれぞれにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における1つのカルボキシル基とアミドエステルを形成し、架橋を達成する。オキサゾリン化合物の具体例として、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、ポリビニルアルコールを含有してもよい。
ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されないが、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。
後述のように、樹脂層の形成に水性分散体を用いるため、ポリビニルアルコールは水溶性であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではなく、例えば、300〜5000であるものを使用することができるが、樹脂層を形成するための液状物の安定性向上の観点からは、300〜2000であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1000質量部以下であることが好ましい。1000質量部を超えると、樹脂層を形成するための液状物の粘度が高くなり塗工ムラを生じやすくなるとともに、ゲルが生じることがあり、樹脂層表面粗さが劣る傾向にある。ポリビニルアルコールの含有量は、500質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
本発明においてポリビニルアルコールとして市販のものを使用することができ、例えば、日本酢ビ・ポバール社製「J−ポバール」の「JF−03」、「JF−05」、「JT−05」、「VC−10」、「JP−18」、「ASC−05X」、「UMR−10HH」;クラレ社製「クラレポバール」の「PVA−103」、「PVA−105」や、「エクセバール」の「AQ4104」、「HR3010」;電気化学工業社製「デンカポバール」の「PC−1000」、「PC−2000」などが挙げられる。
また、樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤を含有してもよい。滑剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機粒子や、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機粒子、界面活性剤等が挙げられる。
本発明において樹脂層の厚みは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.7μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚みが0.01μm未満であると、十分な離型性が得られず、1μmを超えると、離型性は飽和して改善しないばかりか、凝集力を低下させ、被着体に移行しやすくなる。
本発明の離型フィルムにおける樹脂層は、予めγ線を照射させた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体と、架橋剤とを液状媒体中に含有してなる樹脂層形成用液状物を、未延伸または延伸された基材フィルムの少なくとも片面に塗布して乾燥することで形成される。
本発明において使用するγ線の照射線量は、離型性能向上の観点で、10〜400kGyであることが好ましく、50〜300kGyがより好ましく、100〜200が特に好ましい。照射線量が10kGyより少ないと、得られる樹脂層の離型性能向上効果が不十分となる場合があり、400kGyを超えると水性分散体の架橋構造が破壊され、剥離強度が大きくなる場合がある。
本発明において、樹脂層形成用液状物を構成する液状媒体は、水性媒体であることが好ましい。水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。
両親媒性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール−n−ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の有機アミン化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
樹脂層形成用液状物は、この方法に限定されるものではないが、たとえば酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に、架橋剤を添加することにより、調製することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、水性分散体の粘性を適度に保つためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
樹脂層形成用液状物の固形分濃度は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、液状物の粘性を適度に保ち、かつ、均一な樹脂層を形成させるためには、2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
樹脂層形成用液状物には、その性能が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などを添加することもできる。
本発明において、前記樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する方法としては、公知の方法、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等を挙げることができ、上記樹脂層形成用液状物は、コートスジの発生を抑制できるため、特にグラビアロールコーティングする場合に有効である。
基材フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9Tなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、ポリイミドなどが挙げられる。
基材フィルムとしては、これらの樹脂からなる単層体や、複層体(例えば、ポリアミド6/MXD6ナイロン/ポリアミド6、ポリアミド6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリアミド6)や、混合体などが挙げられ、機械的強度や寸法安定性を有するポリエステルフィルムや、ポリアミドフィルムが好ましい。
基材フィルムを構成する樹脂の固有粘度は、特に限定されず、例えばポリエステルの場合であれば、0.55〜0.80であることが好ましく、0.60〜0.75であることがより好ましい。樹脂の固有粘度が上記範囲未満であると、製膜時にフィルムの切断が起こり易く、安定的にフィルムを生産するのが困難であり、得られたフィルムは強度が低いことがある。一方、固有粘度が上記範囲を超える場合には、フィルムの生産工程において、樹脂の溶融押出時に剪断発熱が大きくなり、押出機にかかる負荷が大きくなることで、生産速度を犠牲にせざるを得なかったり、フィルムの厚み制御も難しくなる等、フィルムの生産性が低下することがある。また、得られたフィルムは、熱分解やゲル化物が増加して、表面欠点や異物、表面粗大突起が増加することがある。また、あまりに固有粘度の高いものは、重合時間や重合プロセスが長く、コストを押し上げる要因ともなる。
基材フィルムを構成する樹脂の重合方法は特に限定されず、例えばポリエステルの場合であれば、エステル交換法、直接重合法等が挙げられる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Geなどの酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒド等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合してもよい。
基材フィルムには必要に応じ、添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ピニング剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、熱安定剤としては、リン系化合物等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
基材フィルムとしてのポリエステルフィルムの製造方法の一例を示す。
十分に乾燥されたポリエステル樹脂を、押出機に供給し、十分に可塑化され、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させ、その後Tダイを通じてシート状に押出す。このシートを、ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて、未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムを一軸延伸法により一軸配向させるか、もしくは二軸延伸法により二軸配向させる。二軸延伸法としては、特に限定はされないが、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を用いることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg〜Tgより50℃高い温度の範囲で、長手もしくは巾方向に、2〜6倍程度の延伸倍率となるよう延伸する。
同時二軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg〜Tgより50℃高い温度の範囲で、長手および巾方向にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、未延伸フィルムに1.2倍程度までの予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、逐次二軸延伸法では、未延伸フィルムを、加熱ロールや赤外線等で加熱し、長手方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用し、樹脂のTg〜Tgより40℃高い温度の範囲で、延伸倍率2.5〜4.0倍とするのが好ましい。縦延伸フィルムを、続いて連続的に、巾方向に横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して、二軸配向フィルムとする。横延伸は樹脂のTg〜Tgより40℃高い温度で開始し、最高温度は樹脂の融点(Tm)より(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上、さらには3.8倍以上とするのが好ましく、4.0倍以上とするのがより好ましい。長手方向と巾方向に延伸後、さらに、長手方向および/または巾方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることもできる。
延伸に続き、樹脂のTmより(50〜10)℃低い温度で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム巾方向に1〜10%の弛緩することが好ましい。熱固定処理後、フィルムをTg以下に冷却して二軸延伸フィルムを得る。
上記製造方法によって単層のフィルムが得られるが、離型フィルムを構成する基材フィルムは、2種以上の層を積層してなる多層フィルムであってもよい。
多層フィルムは、上記製造方法において、それぞれの層を構成する樹脂を別々に溶融して、複層ダイスを用いて押出し、固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法や、2種以上の樹脂を別々に溶融、押出してそれぞれフィルム化し、未延伸状態で、または延伸後に、それらを積層融着させる方法などによって製造することができる。プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させることが好ましい。
本発明の離型フィルムの製造方法においては、樹脂層形成用液状物を基材フィルムの製造工程中に塗布する工程と、基材フィルムと共に乾燥する工程を含む。さらに、配向延伸や熱固定処理する工程を含むことが好ましい。
樹脂層形成用液状物を基材フィルムの製造工程中に塗布することにより、基材フィルム表面の配向結晶化の程度が小さい状態で樹脂層を形成することができるため、基材フィルムと樹脂層の密着力が向上する。また、基材フィルムが緊張した状態で、より高温で樹脂層を熱処理できるので、基材フィルムの品位を低下させることなく、離型性や残存接着力を向上させることができる。
逐次二軸延伸法を採用して、一軸方向に延伸された基材フィルムに前記液状物を塗布し、液状物の塗布された基材フィルムを乾燥、その後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸し、熱処理することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。離型フィルムの特性は下記の方法で測定した。
<アクリル系粘着剤に対する剥離力>
得られた離型フィルムの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して剥離強度測定用試料を得た。
剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型フィルムとの剥離強度を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で測定した。
<エポキシプリプレグに対する剥離力>
60mm×100mmの大きさのエポキシプリプレグ(住友ベークライト社製EI−6765)の両面を、得られた離型フィルムの樹脂層側で挟み、1.07kPa(8Torr)の真空プレス機中で、30℃から150℃まで15℃/分で昇温し、150℃で22分間保持した後、さらに5℃/分で190℃まで昇温し、5kg/cmの圧力を10分間のかけた後、15kg/cmの圧力をかけながら、190℃で70分間保持した。その後、室温まで冷却を行うことで、剥離強度測定用試料を得た。
得られた試料の、硬化後のエポキシプリプレグと離型フィルムとの剥離力を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて、剥離角度は180度、剥離速度300mm/分の条件で測定した。
<ゴム系粘着剤に対する剥離力>
得られた離型フィルムを10cm角に切り取り、外径が10.5cmの紙管に貼り付け、その上から、下記の方法によって調製したゴム系被着体のゴム層が離型フィルムの樹脂層と接するように貼り付けた。その上に、ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、PET−12)を、巻取り張力118N/m、巻取り接圧118N/m、巻取り速度100m/分の条件で2000m巻き付け、60℃×3日間、熱風乾燥器中で静置した。圧着処理終了後、冷却し、表層の巻き付けたポリエステルフィルムを除去して、離型フィルムとゴム系被着体とが貼り付いた状態の試料を取り出した。
23℃×50%RHで2時間以上調湿した試料を15mm幅に切り出した後、離型フィルムの樹脂層とゴム系被着体との間の剥離抵抗を、島津製作所社製オートグラフを使って測定した。すなわち、離型フィルムを上部のチャックに固定し、ゴム系被着体を下部のチャックに固定し、離型フィルムが一直線になるように未剥離部分をゴム系被着体側に折り曲げ、300mm/分で剥離した際の剥離抵抗を計測した。5回の測定結果の平均を剥離力とした。
<ゴム系被着体の調製>
ゴム層として、スチレン−ブタジエン共重合体(電気化学工業社製「クリアレン」、スチレン/ブタジエン=30/70(質量比))45質量部と、ポリオレフィン樹脂(三井化学社製「タフマー」)45質量部と、耐衝撃性ポリエチレン(東洋スチレン社製「HI−E6」)10質量部とからなる樹脂混合物を用い、支持層として、ポリオレフィン樹脂(三井化学社製「タフマー」)60質量部と、低密度ポリエチレン(宇部興産社製「UBEポリエチレン」)40質量部とからなる樹脂混合物を用いて、T−ダイ法共押出法により、総厚み30μmの2層フィルム(ゴム層厚み10μm/支持層厚み20μm)を作製した。その際、T−ダイより押出されたフィルムを、シリコンゴム製のマットロール(支持層側)と、平均表面粗さを0.8μmに調整した金属製の冷却ロール(ゴム層側)で挟持して引き取った。
厚さ16μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製「エンブレットS−16」)を基材層として、この上に、前記2層フィルムの支持層側の面を積層面として、溶融押出した低密度ポリエチレンを介して、押出ラミネーションをおこない、ゴム系被着体(ゴム層/支持層/低密度ポリエチレン/基材層)を作製した。
<酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1の製造>
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(プロピレン/ブテン/エチレン=68.0/16.0/16.0質量%)280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、上記方法で製造した60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂と、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点171℃)と、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(沸点134℃、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを、上記のガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1(固形分濃度25質量%)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−2の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製ボンダインLX−4110、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=91/7/2(質量%)、MFR:5g/10分、融点:107℃、ビカット軟化点:83℃)、90.0gのイソプロパノール(IPA)、3.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)および147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、60分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。その後、水性媒体から有機溶剤を除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で水性媒体の一部を留去した。その後、空冷にて室温(25℃)まで冷却したあと、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−2(固形分濃度20質量%)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−3の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、酸変性プロピレン樹脂(三洋化成社製ユーメックス1001、プロピレン/無水マレイン酸=97.7/2.3(質量%)、酸価:26mgKOH/g、MFR:65g/10分(160℃下での測定結果)、融点:153℃)を60g、DMEAを6.3g、IPAを60g、蒸留水を174g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌翼しながら160℃(内温)まで加熱した。撹拌下、160℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り室温まで撹拌下で自然冷却し、冷却後、水性媒体から有機溶剤を除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で水性媒体の一部を留去した。その後、空冷にて室温(25℃)まで冷却したあと、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン水性分散体O−3(固形分濃度:20質量%、IPA:0質量%、DMEA:2.0質量%)を得た。数平均粒子径は90nmであった。
樹脂層形成用液状物を調製するためにポリビニルアルコールを使用する場合、下記の水溶液を使用した。
VC−10:日本酢ビ・ポバール社製VC−10、ケン化率99.3%以上、重合度1,000、固形分濃度8質量%
架橋剤としては以下の化合物を使用した。
WS−700:日本触媒社製エポクロスWS−700、オキサゾリン化合物、固形分濃度25質量%
SV−02:日清紡社製カルボジライトSV−02、カルボジイミド化合物、固形分濃度25質量%
実施例1
<樹脂層形成用液状物の調製>
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1にγ線を150kGy照射し、得られたγ線照射後の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体と、ポリビニルアルコール水溶液「VC−10」と、架橋剤としてWS700とを、それぞれ固形分が、100質量部と、300質量部と、7質量部とになるように混合し、最終固形分濃度が6.0質量%になるように水で調整して、液状物U−10を得た。
<離型フィルムの製造>
平均粒径2.3μmの無定形シリカ粒子を0.08質量%含有するポリエチレンテレフタレート(重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)を280℃で溶融押出し、Tダイ法−静電ピニング方式でキャスティングドラムに密着急冷し、厚さ600μmの未延伸フィルムを成形した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸した。
この縦延伸したフィルムの片面に、リバースグラビアコーターを用いて、液状物U−10を6g/m(WET換算)の塗布量になるように塗布し、横延伸テンターにおいて120℃で4.5倍延伸後、230℃で10秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。得られた離型フィルムの厚さは38μmであり、樹脂層の厚さはおよそ0.12μmであった。
実施例2〜10、比較例2〜4、6〜7
実施例1の樹脂層形成用液状物の調製と同様に、液状物U−11〜U−19、U−21〜U−23、U−25〜U−26を得た。なお、樹脂層形成用液状物の組成、γ線照射量は表1に記載した。
また、液状物U−10に代えて液状物液状物U−11〜U−19、U−21〜U−23、U−25〜U−26を用いた以外は、実施例1と同様に離型フィルムを製造した。
比較例1
<樹脂層形成用液状物の調製>
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1と、ポリビニルアルコール水溶液「VC−10」と、架橋剤としてWS700とを、それぞれ固形分が、100質量部と、300質量部と、7質量部とになるように混合し、最終固形分濃度が6.0質量%になるように水で調整して、液状物U−20を得た。
<離型フィルムの製造>
平均粒径2.3μmの無定形シリカ粒子を0.08質量%含有するポリエチレンテレフタレート(重合触媒:三酸化アンチモン、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)を280℃で溶融押出し、Tダイ法−静電ピニング方式でキャスティングドラムに密着急冷し、厚さ600μmの未延伸フィルムを成形した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸した。
この縦延伸したフィルムの片面に、リバースグラビアコーターを用いて、液状物U−10を6g/m(WET換算)の塗布量になるように塗布し、横延伸テンターにおいて120℃で4.5倍延伸後、230℃で10秒間熱処理したのち、冷却し巻き取った。次いで、離型フィルムの樹脂層面にγ線を150kGy照射した。得られた離型フィルムの厚さは38μmであり、樹脂層の厚さはおよそ0.12μmであった。
比較例5
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体をO−1に代えてO−2を用いた以外は、比較例1と同様に行い、厚さ38μm、樹脂層厚み0.12μmの離型フィルムを得た。
比較例8〜10
樹脂層形成用液状物の組成を表1の組成に変更し、γ線の照射を行わなかった以外は比較例1と同様に行い、厚さ38μm、樹脂層厚み0.12μmの離型フィルムを得た。
実施例、比較例で得られた離型フィルムについて各種評価を行った結果を表1に示す。
実施例1〜10の離型フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体にγ線を10〜400kGyの範囲で照射した樹脂層形成用液状物を塗布して形成した樹脂層であるため、アクリル系粘着剤やエポキシプリプレグに対する剥離強度が本発明で規定する範囲内という良好な離型性を示した。
比較例1、5の離型フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体にγ線を照射せず、離型フィルム形成後の樹脂層にγ線照射を施したため、離型性能は向上しなかった。
比較例2、6の離型フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体へのγ線照射量が少なすぎたため、γ線照射による効果が小さく、本発明で規定する離型性能を示す離型フィルムが得られなかった。
比較例3、7の離型フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体へのγ線照射量が多すぎたため、水性分散体の架橋構造が破壊され、離型性に劣っていた。
比較例4の離型フィルムは、樹脂層に架橋剤を含有していなかったため、離型性が劣っていた。
比較例8〜10の離型フィルムは、γ線照射を行わなかったため、各種被着体に対して優れた離型性能を得ることができなかった。

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂および架橋剤を含有し、以下の(イ)、(ロ)の要件を満たす離型フィルム。
    (イ)アクリル系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が1.5N/cm以下であること
    (ロ)エポキシ系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が0.2N/cm以下であること
  2. 酸変性ポリオレフィン樹脂のオレフィン成分が、プロピレンを含む請求項1に記載の離型フィルム。
  3. ゴム系被着体を樹脂層に貼り付けて測定したときの剥離力が0.3N/cm以下である請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 樹脂層に、さらにポリビニルアルコールを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法であって、γ線を照射した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を基材フィルムに塗工することで樹脂層を形成する離型フィルムの製造方法。
  6. γ線照射量が10〜400kGyである請求項5記載の離型フィルムの製造方法。
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