JP2020049777A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】離型性および帯電防止性に優れ、離型した際に樹脂層成分の被着体表面への移行を低減し、被着体の汚染を抑制した離型フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性成分の割合が1〜10質量%である酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤およびアニオン性帯電防止剤を含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してアニオン性帯電防止剤1〜50質量部を含有する離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止性能を有する非シリコーン系の離型フィルムに関する。
離型フィルムは、工業分野に広く使用され、その具体的用途として、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などの製造のための工程材料や、粘着材料、液晶ディスプレー用部品などの保護材料や、イオン交換膜、セラミックグリーンシートなどのシート状構造体の成形材料などを挙げることができる。
離型フィルムを被着体から剥離した際に、剥離面に静電気が生じた場合には、大気中のゴミや塵、埃等が、被着体である製品表面に付着することがあり、製品欠陥の原因となったり、被着体が粘着材料の場合、粘着力が低下するということがあった。そのため、離型フィルムには被着体との離型性に加えて、帯電防止性能も求められている。
そこで、離型性と帯電防止性を併せ持つ離型フィルムの開発が行われており、例えば特許文献1、2が開示されている。
特許文献1には、シリコーン樹脂とカーボンナノ材料からなる塗剤をポリエステルフィルム表面にコーティングする方法が開示されており、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂と高分子の帯電防止剤からなる樹脂層を基材フィルム上に形成した離型フィルムが開示されている。
特開2007−237496号公報 特開平10−086289号公報
しかしながら、特許文献1に記載の離型フィルムは、シリコーン系の離型剤を用いており、シリコーン系離型剤の中に含まれる低分子量のシリコーン化合物が被着体の表面に移行し、被着体を汚染するおそれがあった。さらに、ポリエステルフィルムに帯電防止性を付与させるための導電材料として、カーボンナノ材料を使うことから、高価であるという問題もあった。
一方、特許文献2に記載の離型フィルムは、離型層にポリオレフィン樹脂からなる低分子量のワックス成分を用いているため、離型時にワックス成分が被着体の表面に移行し、被着体の表面を汚染するおそれがあった。
このように被着体表面を汚染すると、被着体の残存接着率が低下する場合があったり、印刷インクを弾く場合があった。
本発明の課題は、かかる問題を解消し、離型性および帯電防止性に優れ、離型した際に樹脂層成分の被着体表面への移行を低減し、被着体の汚染を抑制した離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂と、架橋剤とを含有し、さらに、アニオン性帯電防止剤を特定量含有する樹脂層を基材フィルムに設けることで、優れた離型性、帯電防止性を有するとともに、剥離後の被着体表面を汚染しない離型フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性成分の割合が1〜10質量%である酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤およびアニオン性帯電防止剤を含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して架橋剤1〜20質量部およびアニオン性帯電防止剤1〜50質量部を含有する離型フィルム。
(2)樹脂層が、さらにポリビニルアルコールを含み、その含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1000質量部以下である(1)記載の離型フィルム。
(3)樹脂層における算術平均高さ(Sa)が0.001〜0.100μmである(1)または(2)に記載の離型フィルム。
本発明の離型フィルムは、被着体との離型性に優れ、帯電防止性能も有しており、ワックス類や低分子量のシリコーン化合物、界面活性剤などの離型剤を必要としないため、剥離の際に樹脂層成分の被着体への移行を低減し、被着体表面の汚染を抑制できる。また、フッ素などのハロゲン元素を含む離型剤も用いていないため、廃棄時の環境への負荷も少ない。
以下、本発明を詳細に説明する。

本発明の離型フィルムは、基材フィルムの一方の面に樹脂層が設けられたものであり、樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とアニオン性帯電防止剤とを含有する。
本発明の基材フィルムについて説明する。
基材フィルムを構成する樹脂としては、
特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等や、それらの共重合体などのポリエステルが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
上記共重合体を構成することができる成分としては特に限定されず、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸等が挙げられる。
また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。
これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。また、2種以上のポリエステルをブレンドして用いてもよい。
基材フィルムを構成する樹脂の固有粘度は特に限定されず、例えばポリエステルの場合であれば生産性の観点から、0.55〜0.80であることが好ましく、0.60〜0.75であることがより好ましい。
基材フィルムには必要に応じ、添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、熱安定剤としては、リン系化合物等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
基材フィルムの製造方法は特に限定されず、未延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよい。
延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであっても二軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムの延伸方法としては、逐次二軸延伸法であっても同時二軸延伸法であってもよい。
また、延伸フィルムの延伸倍率は特に限定されないが、2〜16倍程度が好ましい。
本発明における基材フィルムは、単層であっても2種以上の層を積層してなる多層フィルムであってもよい。
多層フィルムの層構成は特に限定されないが、例えば異なる樹脂を押し出した二種三層(A/B/A)、三種三層(A/B/C)、二種二層(A/B)等が挙げられる。なかでも二種二層の複層フィルムは、スリップ剤を含む層と含まない層を積層することができ、巻き取り性と平滑性を兼ね備えることができるため好ましい。
基材フィルムは、塗工性や接着性を改良する目的で、コロナ放電やイオンブロー等をフィルム表面に施してもよい。
次に、樹脂層について説明する。
基材フィルム上に設けられる樹脂層は酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤およびアニオン性帯電防止剤を含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分とし、酸変性成分により変性された樹脂である。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましい。これらの混合物であってもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンがさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の割合は、1〜10質量%であることが必要であり、2〜9質量%であることが好ましい。酸変性成分が1質量%未満の場合は、樹脂層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂中の極性基の割合が少なくなるため、基材フィルムとの十分な密着性が得られず、被着体を汚染することがある。さらに後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するのが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の割合が10質量%を超える場合は、極性基の割合が多くなるため樹脂層と基材フィルムとの密着性が十分にはなるが、樹脂層と被着体との密着性も同時に高くなるため、被着体との離型性が低下する傾向がある。
また、基材フィルムとの密着性をさらに向上させる理由から、酸変性ポリオレフィン樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性成分と同様、分子内に極性基を有している。そのため(メタ)アクリル酸エステル成分を酸変性ポリオレフィン樹脂中に含有することによって、基材フィルムとの密着性が高くなる。しかし、(メタ)アクリル酸エステル成分量が多すぎると、オレフィン由来の樹脂の性質が失われ、被着体との離型性が低下する可能性があるため、(メタ)アクリル酸エステル成分の割合は、40質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていてもよい。その他のモノマーとして、例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は80〜200℃であることが好ましく、90〜150℃であることがより好ましい。融点が200℃を超える場合は、基材フィルム表面への樹脂層形成時に高温処理が必要となる場合がある。一方、融点が80℃未満では離型性が低下する。
本発明において酸変性ポリオレフィン樹脂として市販のものを使用することができ、例えば、三井・デュポンポリケミカル社製「ニュクレル」の「AN42115C」、「N1050H」、「N1110H」;日本ポリエチレン社製「レクスパール」の「A210K」;三洋化成社製「ユーメックス」の「1001」;アルケマ社製「ボンダイン」の「LX−4110」、「HX−8210」、「HX−8290」、「TX−8030」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、上記酸変性ポリオレフィン樹脂とともに、さらにポリビニルアルコールを含有することが好ましい。樹脂層において、ポリビニルアルコールが、酸変性ポリオレフィン樹脂中に含有することによって、離型性が向上する。
ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されないが、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。
ポリビニルアルコールは、後述のように液状物として使用する場合のために、水溶性を有していることが好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではなく、例えば、300〜5000であるものを使用することができるが、樹脂層を形成するための液状物の安定性向上の観点からは、300〜2000であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1000質量部以下であることが好ましい。1000質量部を超えると、樹脂層を形成するための液状物の粘度が高くなり塗工ムラを生じやすくなるとともに、ゲルが生じることがあり、樹脂層表面粗さが劣る傾向にある。ポリビニルアルコールの含有量は、500質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
本発明においてポリビニルアルコールとして市販のものを使用することができ、例えば、日本酢ビ・ポバール社製「J−ポバール」の「JT−05」、「VC−10」、「JP−18」、「ASC−05X」、「UMR−10HH」;クラレ社製「クラレポバール」の「PVA−103」、「PVA−105」や、「エクセバール」の「AQ4104」、「HR3010」;電気化学工業社製「デンカポバール」の「PC−1000」、「PC−2000」などが挙げられる。
本発明において、樹脂層は、上記酸変性ポリオレフィン樹脂とともに架橋剤を含有することが必要である。
架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が1質量部未満であると、樹脂層の凝集力が弱くなり、樹脂層が被着体に移行しやすく、被着体が粘着材料であると残存接着率が低下する傾向にある。一方、20質量部を超えると、樹脂層と被着体との間で反応を生じ、剥離強度が大きくなることがある。
架橋剤としては、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が好ましく、特に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が効果的である。これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。
架橋剤として用いるカルボジイミド化合物は、分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。カルボジイミド化合物は、1つのカルボジイミド部分において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における2つのカルボキシル基とエステルを形成し、架橋を達成する。
カルボジイミド化合物の具体例として、例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」が挙げられる。
架橋剤として用いるオキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。オキサゾリン化合物は、2つのオキサゾリン部分のそれぞれにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性部分における1つのカルボキシル基とアミドエステルを形成し、架橋を達成する。オキサゾリン化合物の具体例として、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
本発明の離型フィルムの樹脂層には、アニオン性帯電防止剤が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜50質量部含まれている必要があり、その含有量は10〜40質量部が好ましく、15〜35質量部がより好ましい。アニオン性帯電防止剤の含有量が1質量部未満では、水性分散体を基材にコーティングして得られる樹脂層の帯電防止性が不十分になる傾向にあり、アニオン性帯電防止剤の含有量が50質量部を超えると、樹脂層と基材との密着性や、被着体との離型性能が低下する傾向にある。
一方、カチオン性帯電防止剤を添加した場合、塗剤が凝集するため、基材にコーティングできなくなる。
本発明におけるアニオン性帯電防止剤としては、置換カルボン酸塩を有する化合物、置換硫酸エステル塩を有する化合物、置換スルホン酸塩を有する化合物、置換リン酸エステル塩を有する化合物などが挙げられ、なかでも樹脂層表面の平坦性が要求される用途では置換スルホン酸アンモニウム塩を有する化合物が好ましい。具体的には、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩を含む帯電防止剤が好ましい。
本発明においてアニオン性帯電防止剤として市販のものを使用することができ、例えば、日新化学研究所社製「カプロン」の「L−50」、富士ケミカル社製「フジスタット」の「YE―910」、「YE―915」、アグファ社製「オルカゴン」の「ICP1010」、ミヨシ油脂社製「ダスパー」の「ダスパー 802DS」、タナカ化学研究所社製の「アンチスタ80D」などが挙げられる。
本発明において樹脂層の厚みは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.7μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚みが0.01μm未満であると、十分な離型性が得られない場合があり、1μmを超えると、離型性は飽和して改善しないばかりか、凝集力を低下させ、被着体に移行しやすくなる場合がある。
本発明の離型フィルムを使用することによって、離型フィルムの樹脂層と被着体としての粘着材料とを加熱圧着した後の、樹脂層と粘着材料との間の剥離強度を3.0N/cm以下、好ましくは2.5N/cm以下とすることができる。剥離強度が3.0N/cmを超えると、離型フィルムとして使用することが難しい。
本発明の離型フィルムの樹脂層表面における表面固有抵抗値は、1.0×1012Ω/□以下であることが好ましく、好ましくは1.0×1011Ω/□、より好ましくは1.0×1010Ω/□である。表面固有抵抗値が、1.0×1012Ω/□よりも大きい場合は、帯電防止性が十分でないため、静電気を帯びやすい。その結果、大気中の塵や埃が付着することにより、製品に欠陥が生じたり、粘着剤の粘着力が低下したりする可能性がある。
本発明の離型フィルムにおいて、樹脂層表面の表面粗さは特に限定されないが、算術平均高さSaが0.001〜0.100μmであることが好ましく、樹脂層表面の平坦性が要求される用途ではSaが0.001〜0.050μmであることがより好ましく、0.001〜0.020μmであることがさらに好ましい。樹脂層の表面粗さが上記範囲であることにより、離型フィルムを剥離した後の被着体表面に、凹凸形状を転写させることが少ない。
本発明の離型フィルムにおいて、樹脂層の形成方法は特に限定されない。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤およびアニオン性帯電防止剤を含む樹脂組成物(以下、樹脂層形成用組成物という)を溶融し、基材フィルム上に層状に積層する方法や、樹脂層形成用組成物を液状媒体に溶解または分散させた樹脂層形成用液状物を基材フィルム上に塗布、乾燥して積層する方法が挙げられる。後者の方法は樹脂層を薄膜で形成できるという観点から好ましい。
本発明において、樹脂層形成用液状物を構成する液状媒体は、水性媒体であることが好ましい。水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。
両親媒性有機溶剤の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール−n−ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の有機アミン化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
樹脂層形成用液状物は、これらに限定されるものではないが、たとえば酸変性ポリオレフィン樹脂の液状物に、架橋剤やアニオン性帯電防止剤を添加することにより、調製することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の液状物としては、たとえば酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化する方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第02/055598号に記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は、国際公開第02/055598号に記載の製法により達成可能である。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は動的光散乱法によって測定される。
樹脂層形成用液状物における固形分含有率は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、樹脂層形成用液状物の粘性を適度に保ち、かつ良好な樹脂層を形成させるためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
樹脂層形成用液状物には、その性能が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などの他の添加剤を含有することもできる。
本発明において、上記樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する方法としては、公知の方法、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等を挙げることができる。
本発明においては、樹脂層形成用液状物を基材フィルムの製造工程中に塗布し、基材フィルムと共に乾燥、配向延伸および熱固定処理する工程を含むことが好ましい。製造工程中に塗布することにより、基材フィルム表面の配向結晶化の程度が小さい状態で樹脂層を塗布することができるため、基材フィルムと樹脂層の密着力が向上する。また、基材フィルムが緊張した状態で、より高温で樹脂層を熱処理できるので、基材フィルムの品位を低下させることなく、離型性や残存接着力を向上させることができる。
なお、逐次二軸延伸法を採用する場合には、一軸方向に延伸された基材フィルムに前記液状物を塗布後、基材フィルムを前記方向と直交する方向にさらに延伸し、熱処理することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
本発明の離型フィルムを構成する樹脂層は、工程および被着体に対して汚染を抑制するものであり、樹脂層成分が被着体に移行しがたいため、本発明の離型フィルムをロール状に巻いても、樹脂層が設けられた面の反対面が、樹脂層によって汚染されにくいものである。
本発明の離型フィルムは、様々な被着体に対して優れた離型性を有し、帯電防止性能も併せ持ち、樹脂層表面が平滑であることから、粘着材料の保護材料や偏光板、位相差偏光板、位相差板などの液晶ディスプレー用部品の保護材料、プリント配線板のプレス工程材料やシート状構造体の成形工程材料として好適に使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)剥離強度
得られた離型フィルムの樹脂層側に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して剥離強度測定用試料を得た。剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型フィルムとの剥離強度を、23℃の恒温室で引張試験機(島津製作所社製オートグラフAGS−100B)にて測定した。測定用試料は、剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分である。
(2)残存接着率
(1)剥離強度試験により離型フィルム表面から剥離した巾50mm、長さ150mmの(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面に貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープとフィルムの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分である。この測定により得られた剥離強度をF1とする。二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープとフィルムの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定(剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離強度をF2とし、下記式を用いて残存接着率を得た。
残存接着率(%)=(F1/F2)×100
粘着テープの粘着剤表面が離型フィルムにより汚染された場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。すなわち、残存接着率は高い方が好ましい。
(3)表面固有抵抗値(帯電防止性)
JIS−K6911に基づいて、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計、R8340を用いて、離型フィルムの樹脂層表面の表面抵抗値を、温度23℃、湿度65%雰囲気下で測定した。
(4)表面粗さSa(算術平均高さ)
TAYLOR/Hobson社製タリサーフCCI6000を使用し、下記の条件で表面粗さSa(算術平均高さ、μm)を10箇所測定し、平均して求めた。
測定長:0.66mm×0.66mm
カットオフ:ロバストガウシアンフィルタ、0.25mm
<PE系酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの(アルケマ社製ボンダインLX−4110、酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=91/7/2(質量%)、融点:107℃、ビカット軟化点:83℃)、90.0gのイソプロパノール(IPA)、3.0gのN,N−ジメチルアミン(DMEA、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)および147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、60分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。その後、水性媒体から溶剤を一部除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒を留去した。その後、空冷にて室温(25℃)まで冷却したあと、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1(固形分濃度:20質量%、IPA:0質量%、DMEA:0.9質量%)を得た。数平均粒子径は80nmであった。
<PP系酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−2の製造>
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3(質量%))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸=60.3/22.2/10.5/7.0(質量%)、融点:135℃)を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた攪拌機を用いて、前記酸変性ポリオレフィン樹脂60.0gと、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル(Bu−EG)と、6.9gのDMEA(樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを上記のガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を300rpmとして攪拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間攪拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。その後、水性媒体から溶剤を一部除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒を留去した。その後、空冷にて室温(25℃)まで冷却したあと、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−2(固形分濃度:20質量%、Bu−EG:0質量%、DMEA:1.0質量%)を得た。数平均粒子径は80nmであった。なお、フィルター上には残存樹脂は殆どなかった。
<PP系酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−3の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(三洋化成社製ユーメックス1001、プロピレン/エチレン/無水マレイン酸=94.5/1.0/4.5(質量%)、酸価:26mgKOH/g)を60g、DMEAを6.3g、IPAを60g、蒸留水を174g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌翼しながら160℃(内温)まで加熱した。撹拌下、160℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り室温まで撹拌下で自然冷却し、冷却後、水性媒体から溶剤を一部除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒を留去した。その後、空冷にて室温(25℃)まで冷却したあと、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン水性分散体O−3(固形分濃度:20質量%、IPA:0質量%、DMEA:2.0質量%)を得た。数平均粒子径は90nmであった。
<PE系酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−4の製造>
撹拌機とヒーターを備えた1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、N1560、エチレン/メタクリル酸=85/15(質量%))を75g、IPAを50g、DMEAを7g、蒸留水を368g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、IPAと水を除去した。IPAと水を130g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂P−6の濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体O−4を得た。
実施例、比較例において、以下の架橋剤、帯電防止剤、ポリビニルアルコールを用いた。
<架橋剤>
WS−700:日本触媒社製エポクロスWS−700、オキサゾリン化合物、固形分濃度25質量%
SV−02:日清紡社製カルボジライトSV−02、カルボジイミド化合物、固形分濃度25質量%
<帯電防止剤>
ICP1010:アグファ社製ICP1010、アニオン性、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の分散体、固形分濃度1質量%
YE−915:富士ケミカル社製フジスタットYE−915、アニオン性、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩水溶液、固形分濃度15質量%
YE−910:富士ケミカル社製フジスタットYE−915、アニオン性、ポリスチレンスルホン酸リチウム塩水溶液、固形分濃度15質量%
F−50:日新化学研究所社製カプロンF−50、カチオン性、固形分濃度2.6質量%
ST−2000H:三菱化学社製サフトマーST−2000H、カチオン性、固形分濃度34質量%
<ポリビニルアルコール>
VC−10:日本酢ビ・ポバール社製J−ポバールVC−10、平均重合度1000、固形分濃度10質量%
<樹脂層形成用液状物U−1の製造>
水性分散体O−1と、ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製VC−10、平均重合度:1,000、固形分濃度:10質量%)と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製エポクロスWS−700、固形分濃度:25質量%)とアニオン性帯電防止剤(アグファ社製ICP1010、固形分濃度:1質量%)を、各成分の固形分質量比率(酸変性ポリオレフィン樹脂:ポリビニルアルコール:オキサゾリン化合物:アニオン性帯電防止剤)が100:100:5:10になるように混合し、その後、水で希釈して固形分濃度6質量%の樹脂層形成用液状物U−1を得た。
<樹脂層形成用液状物U−2〜U−23の製造>
表1に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の種類、架橋剤の種類や含有量、帯電防止剤の種類や含有量、ポリビニルアルコールの含有量をそれぞれ変更した以外は樹脂層形成用液状物U−1と同様に樹脂層形成用液状物U−2〜U−23を得た。
<離型フィルムの製造>
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(日本エステル社製UT−CBR、固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)をスクリュー径90mmの押出機に投入して280℃で溶融したA層と、シリカ粒子(日揮触媒化成社製OSCAL(EN−5001SIV)、粒径1.0μm)を含有量が0.030質量%になるように添加したポリエチレンテレフタレートI(固有粘度:0.62、ガラス転移温度:78℃、融点:255℃)をスクリュー径65mmの押出機に投入して280℃で溶融したB層とを、2層フィードブロック内で合流させ、総厚みが580μm、厚みの比がA層/B層=30/8となるよう調整してTダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムをロール式縦延伸機で85℃の条件下、3.5倍に延伸し、その後、樹脂層形成用液状物U−1を、グラビアロールで6.0g/mとなるように、A層表面に塗布した。
その後、連続的にシート端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、100℃の条件下、横4.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を3%として、200〜210℃で2秒間以上熱処理した後で、230℃で3秒間の熱処理を施して、厚さ25μmの2軸延伸基材フィルムの一方の面に、厚さ0.1μmの樹脂層が設けられた離型フィルムを得た。
実施例2〜16、比較例1〜7
実施例1において、樹脂層形成用液状物の種類を表1示すU−2〜U−23に変更した以外は同様に樹脂層を形成し、離型フィルムを得た。
実施例1〜16、比較例1〜7で得られた離型フィルムについて性能評価を行い、結果を表2に示す。
なお、樹脂層形成用液状物U−20、U−21については、液状物の樹脂粒子が凝集し、フィルムへのコーティングができず、離型フィルムを得ることができなかった(比較例4、5)。
実施例1〜16の離型フィルムは、いずれも離型性、帯電防止性ともに優れており、高い残存接着率を示すことから、離型した際に樹脂層成分の粘着材料への移行を低減し、粘着材料表面の汚染が抑制されていた。なかでも、実施例3〜7、9、12〜14の離型フィルムは、樹脂層の表面粗さが小さく平滑であった。
比較例1の離型フィルムは、樹脂層に架橋剤を含有していなかったため、離型性に劣り、残存接着率も低かった。
比較例2の離型フィルムは、樹脂層における帯電防止剤の含有量が本発明で規定する範囲を超えていたため、離型性に劣っていた。
比較例3の離型フィルムは、樹脂層において本発明で規定する帯電防止剤の含有量を満たしていなかったため、帯電防止性能が劣っていた。
比較例4、5の離型フィルムは、帯電防止剤が本発明で規定するアニオン性帯電防止剤ではなく、カチオン性帯電防止剤を含有していたため、樹脂層形成用液状物の樹脂粒子が凝集し、フィルムへコーティングができなかった。
比較例6の離型フィルムは、樹脂層に帯電防止剤を含有していなかったため、帯電防止性能が劣っていた。
比較例7の離型フィルムは、酸変性成分の割合が本発明で規定する範囲を超えた酸変性ポリオレフィン樹脂を用いたため、離型性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられた離型フィルムであって、
    樹脂層が、酸変性成分の割合が1〜10質量%である酸変性ポリオレフィン樹脂、架橋剤およびアニオン性帯電防止剤を含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対してアニオン性帯電防止剤1〜50質量部を含有する離型フィルム。
  2. 樹脂層が、さらにポリビニルアルコールを含み、その含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1000質量部以下である請求項1記載の離型フィルム。
  3. 樹脂層における算術平均高さ(Sa)が0.001〜0.100μmである請求項1または2に記載の離型フィルム。
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