JP2023141372A - 感光性樹脂層積層用支持フィルム、感光性樹脂積層体、および、感光性樹脂積層体ロール - Google Patents

感光性樹脂層積層用支持フィルム、感光性樹脂積層体、および、感光性樹脂積層体ロール Download PDF

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Abstract

【課題】感光性樹脂層表面を保護フィルムで保護せずにロール状に巻取っても、感光性樹脂層表面の平滑性を損なうことがなく、また、ロール巻取時およびその後の保管において、巻き締まりやシワが発生することがない、感光性樹脂層積層用支持フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの一方の面に樹脂層が積層された支持フィルムであって、樹脂層面の表面粗さSaが20nm以下であり、樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分が、表面自由エネルギーの総和の15%以下であることを特徴とする感光性樹脂層積層用支持フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂層積層用支持フィルム、感光性樹脂積層体、それを巻き取ってなるロールに関する。
パソコンや電化製品のような電子機器にはプリント配線板などが用いられている。プリント配線板などの製造には、支持フィルム上に感光性樹脂層が積層され、さらに感光性樹脂組成物層上に保護フィルムが積層されてなる感光性樹脂積層体、いわゆるドライフィルムレジストが用いられている。
ドライフィルムレジストを用いてプリント配線板等を作製するには、例えば、以下の工程を経由する。ドライフィルムレジストから保護フィルムを剥離した後、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上に、ラミネーター等を用いて、感光性樹脂層側をラミネートし、配線パターンマスクフィルム等を通して露光を行う。次に、必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未硬化部分(例えばネガ型では未露光部分)の感光性樹脂層を溶解または分散除去し、基板上に硬化レジストパターン(以下、単にレジストパターンと呼ぶこともある)を形成させる。
上記保護フィルムの、感光性樹脂層に接触する面に粗大突起が存在すると、感光性樹脂層には、粗大突起による押し跡が発生し、精細な回路描画が阻害されるため、感光性樹脂層に接触する保護フィルムには表面の平滑性が求められている。
例えば、特許文献1には、支持フィルムと保護フィルムの表面粗さを調整した感光性樹脂積層体ロールについて開示されている。
特開2019-101405号公報
特許文献1の感光性樹脂積層体ロールは、上記のように保護フィルムが用いられており、保護フィルムを剥がすための設備が必要なことから、工程が煩雑となるばかりではなく、保護フィルムそのものが廃棄物になる。
また、感光性樹脂層の表面を保護する目的で用いられている保護フィルムと、支持フィルムとは、材料や製法が異なり、感光性樹脂積層体を巻き取る際の長手方向の引張に対して、発生する応力がそれぞれ異なることから、感光性樹脂積層体は、ロール巻取時およびその後の保管において、巻き締まりが発生し、シワの発生につながるという問題がある。
本発明は、前記課題に鑑み、感光性樹脂層表面を保護フィルムで保護せずにロール状に巻取っても、感光性樹脂層表面の平滑性を損なうことがなく、また、ロール巻取時およびその後の保管において、巻き締まりやシワが発生することがない、感光性樹脂層積層用支持フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、支持フィルムの、感光性樹脂層を積層する面の反対面に、特定の樹脂層を積層した支持フィルムが、上記課題を容易に解決できることを見い出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)基材フィルムの一方の面に樹脂層が積層された支持フィルムであって、
樹脂層面の表面粗さSaが20nm以下であり、
樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分が、表面自由エネルギーの総和の15%以下であることを特徴とする感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(2)樹脂層面と基材フィルム面とを重ね合わせて測定した動摩擦係数が1.0以下であることを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(3)基材フィルムが複層フィルムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(4)樹脂層面の表面自由エネルギーの総和が40mN/m以下であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(5)樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(6)基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の支持フィルムの基材フィルム面上に、保護層を有しない感光性樹脂層が積層されてなることを特徴とする感光性樹脂積層体。
(8)上記(7)に記載の感光性樹脂積層体が巻き取られてなることを特徴とする感光性樹脂積層体ロール。
本発明の感光性樹脂層積層用支持フィルムは、感光性樹脂層を積層したのち、巻取および巻き出すにあたって、粗大突起による感光性樹脂層の欠点発生や、巻取、保管などのハンドリング不良によるシワ発生を抑制することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂層積層用支持フィルムは、基材フィルムの一方の面に樹脂層が積層されたものであり、本発明の感光性樹脂積層体は、前記感光性樹脂層積層用支持フィルムの基材フィルム面上に感光性樹脂層が積層されたものであり、本発明の感光性樹脂積層体ロールは、前記感光性樹脂積層体が巻き取られてなるものである。
<基材フィルム>
本発明の支持フィルムを構成する基材フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T、ナイロン11T、ナイロン12T等の半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、直鎖状ポリイミドからなるフィルムあるいは前記樹脂の混合物からなるフィルムなどが挙げられる。
これらの中でも、汎用性や経済面を考慮すると、ポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルムが好ましく、具体的には、ナイロン6フィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。なかでも、弾性率や引張強度、引張伸度などの支持フィルムの基材フィルムとしての機械物性面で、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
基材フィルムを構成する樹脂の固有粘度は0.55~0.80であることが好ましく、0.60~0.75であることがより好ましい。基材フィルムを構成する樹脂は、固有粘度が上記範囲未満であると、製膜時に切断が起こり易く、安定的にフィルムを生産することが困難であり、得られたフィルムは、強度が低いことがある。一方、基材フィルムを構成する樹脂は、固有粘度が上記範囲を超えると、フィルムの生産工程において、溶融押出時に剪断発熱が大きくなり、押出機にかかる負荷が大きくなり、生産速度を犠牲になったり、フィルムの厚み制御が難しくなったりする等、フィルムの生産性が低下する。また、得られたフィルムは、熱分解やゲル化物が増加して、表面欠点や異物、表面粗大突起が増加する。また、あまりに固有粘度の高い樹脂は、重合時間や重合プロセスが長く、コストを押し上げる要因ともなる。
基材フィルムの厚さは、1~150μmであることが好ましく、5~125μmであることがより好ましく、10~100μmであることがさらに好ましい。基材フィルムは、厚さが150μmを超えると、感光性樹脂積層体をロールとして巻き取った際に、感光性樹脂層が剥離して、感光性樹脂層に欠点が発生するおそれがあり、5μm未満ではキャリアフィルムとしての力学的強度に劣ったものとなる。
基材フィルムの構成は、例えば、単層でもよく、2種2層、2種3層のような複層構成でもよく、超多層構造でもよい。
樹脂層面の平滑性を向上する観点で、基材フィルムは、樹脂層を積層する面に粒子を含有しない複層構成であることが好ましく、特に、2種2層構成であることが好ましい。
基材フィルムは、必要に応じ、添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ピニング剤等を含有することができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、熱安定剤としては、リン系化合物等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
基材フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、粒子を含有してもよい。基材フィルムが含有する粒子は、無機系粒子、有機系粒子のいずれもよい。
無機系粒子としては、たとえば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等を挙げることができる。また、有機系粒子として、たとえば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子などを挙げることができる。中でも基材フィルム中での分散性、取扱いが良好な点で、シリカ、アクリル系樹脂粒子が好ましい。
粒子の平均粒子径は、0.05~5.0μmであることが好ましく、0.1~4.0μmであることがより好ましい。また、平均粒子径が異なる微粒子を2種以上組合せて用いることもできる。
粒子の含有量は、0~0.2質量%であることが好ましく、0.01~0.2質量%であることがより好ましく、0.02~0.1質量%であることがさらに好ましい。
上記のように、粒子の平均粒子径と含有量は、摩擦特性、光学特性、その他のフィルムに対する要求特性に応じて適宜選択することができる。
基材フィルムは、樹脂層との密着性を調整するために、樹脂層を積層する面に、コロナ処理、アンカーコーティング処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理等を施してもよい。
基材フィルムは、感光性樹脂層を積層する面に機能層を設けておいてもよい。付与する機能としては、感光性樹脂層積層時の濡れ性能や、易成形性能、感光性樹脂層との剥離性能、表面加飾機能、帯電防止性能、易滑性能などが挙げられ、必要に応じてコーティング等で機能を付与することが可能である。
支持フィルムも、必要に応じて表面の改質を行ってもよい。改質の手段として、コーティングによる易滑性樹脂層の付与、サンドブラストやエンボス加工などが挙げられる。
<樹脂層>
本発明の支持フィルムを構成する樹脂層は、基材フィルム面に感光性樹脂層が積層された積層体をロール状に巻き取った際、感光性樹脂層に凹みを与えないために、感光性樹脂層と接する面が平滑であることが重要である。
本発明においては、樹脂層面の表面粗さSaは、20nm以下であることが必要であり、18nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。樹脂層の表面粗さSaが20nmより大きいと、感光性樹脂層は、樹脂層の凹凸が転写され、ゆがみが生じることで、微細な回路描写ができなくなる。
樹脂層面のSaを前記範囲にするためには、基材フィルムは、樹脂層積層面側の深さ5μmまでに粒子を含有しないことが好ましい。具体的には、支持フィルムの断面について、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍の拡大画像を10視野採取し、基材フィルムにおける、樹脂層との境界面から5μmまでの深さに存在する粒子の個数は、10視野中、5個以下であることが好ましく、3個以下がさらに好ましく、全くないことが最も好ましい。
本発明の支持フィルムにおける樹脂層面の表面自由エネルギーは、感光性樹脂層を積層した積層体ロールの巻き出しにおいて重要である。樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分は、表面自由エネルギーの総和の15%以下であることが必要であり、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが最も好ましい。樹脂層は、表面自由エネルギーの極性成分が総和の15%よりも大きいと、感光性樹脂層との密着性が強くなり、巻き取った際のブロッキングや巻き出し時の剥離不良によって、感光性樹脂層は、欠点が増加する。
感光性樹脂積層体ロールから巻出した感光性樹脂積層体におけるレジスト欠損を抑制する観点で、支持フィルムにおける樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分は、感光性樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分より小さいことが好ましい。
また、樹脂層面は、表面自由エネルギーの総和が40mN/mより大きくなると、感光性樹脂層との密着性がより顕著になり、感光性樹脂層の欠点の増加につながる場合があるため、表面自由エネルギーの総和は、40mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以下であることがより好ましく、25mN/m以下であることがさらに好ましい。
一方、ロールに巻き取られた本発明の支持フィルムにおいては、巻き出し時のブロッキングを防止する観点から、支持フィルムの基材フィルム面の表面自由エネルギーの極性成分は、樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分よりも大きいことが好ましい。
また、本発明の支持フィルムは、樹脂層面と基材フィルム面とのスリップ性が、感光性樹脂層積層工程において、また感光性樹脂積層体のシワ発生による欠点抑制において、重要である。
本発明においては、支持フィルムの樹脂層面と基材フィルム面と重ね合わせて測定した動摩擦係数が1.0以下であることが好ましく、0.05~1.0であることがより好ましく、0.1~0.75であることがさらに好ましく、0.15~0.65であることが最も好ましい。
樹脂層面と基材フィルム面とは、動摩擦係数が1.0以上であると、滑り性が十分ではなく、ロールに巻き取られた支持フィルムは、巻き出し時にシワが発生し、0.05以下であると、支持フィルムは、滑りすぎて巻き出し時に巻きずれによる蛇行が発生し、感光性樹脂層を積層することが困難となる場合がある。
本発明の支持フィルムにおける樹脂層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。樹脂層は、厚みが0.01μmを下回ると、上記表面特性を十分に得ることができないことがある。
樹脂層を構成する樹脂は、例えば、シリコーン系化合物、含フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、長鎖アルキル基含有化合物、アクリル樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類、およびそれらの混合物等が挙げられる。本発明の支持フィルムにおける樹脂層は、前記樹脂で構成されることによって、表面自由エネルギーの極性成分を、表面自由エネルギーの総和の15%以下とすることができ、感光性樹脂層との剥離性を向上することができる。中でも、ロール巻き出し時のブロッキング抑制の観点から、ポリオレフィン系樹脂、含フッ素系樹脂、長鎖アルキル基含有化合物等がより好ましく、ポリオレフィン系樹脂がさらに好ましい。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、支持フィルムにおける、樹脂層と基材フィルムとの密着性向上の観点から、酸変性成分により変性された酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、オレフィン成分を主成分とし、酸変性成分により変性された重量平均分子量5000以上の樹脂を用いることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、巻き出し時の剥離性の観点でプロピレンまたはオクテンを含むことがより好ましい。
剥離性をさらに向上させる観点で、オレフィン成分におけるプロピレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における酸変性成分の割合は、1~10質量%であることが好ましく、2~9質量%であることがより好ましい。酸変性成分が1質量%未満の場合は、樹脂層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂中の極性基の割合が少なくなるため、樹脂層は、基材フィルムとの十分な密着性が得られない傾向にあり、ロールから巻き出した感光性樹脂層を汚染することがある。さらに後述する樹脂の水性分散化において、樹脂を安定的に分散することが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の割合が10質量%を超える場合は、極性基の割合が多くなるため、樹脂層は、基材フィルムとの密着性が十分にはなるが、感光性樹脂積層体ロールにおいて、感光性樹脂層との密着性も同時に高くなるため、巻き出し時に感光性樹脂層との剥離性が低下する傾向がある。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分を含有してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂中における、側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分の割合は、特に限定されないが、1~40質量%であることが好ましく、2~35質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることがさらに好ましく、6~18質量%であること特に好ましい。
本発明に用いることができる酸変性ポリオレフィン樹脂、または、酸変性するためのポリオレフィン樹脂は市販品を用いることができ、例えば、アルケマ社製のボンダインシリーズ、三井・デュポンポリケミカル社製のニュクレルシリーズや、日本ポリエチレン社製のレクスパールシリーズ、三洋化成社製のユーメックスシリーズ、エボニック社製のベストプラストシリーズ、ダウ・ケミカル社製のプリマコールシリーズ、エンゲージシリーズ、アフィニティシリーズ、三井化学社製のアドマーシリーズ、東洋紡社製のトーヨータックシリーズなどが挙げられる。
本発明において、基材フィルムの一方の面上に樹脂層を形成する方法は、後述するように、樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布、乾燥することによって行うことができる。酸変性ポリオレフィン樹脂の液状物としては、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化する方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第02/055598号に記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は、国際公開第02/055598号に記載の製法により達成可能である。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は動的光散乱法によって測定される。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、水性分散体の粘性を適度に保つためには、1~60質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
(長鎖アルキル基含有化合物)
本発明における長鎖アルキル基含有化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。なお、アルキル基の炭素数の上限は通常30である。長鎖アルキル基含有化合物の種類としては、例えば、各種の長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に剥離性が得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物がより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、反応性基を有する高分子化合物と、この反応性基と反応可能な長鎖アルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。これらの反応性基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも剥離性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールが好ましい。
上記の反応性基と反応可能な長鎖アルキル基を有する化合物としては、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも剥離性や取り扱い易さを考慮すると長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(含フッ素系樹脂)
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、クロロトリフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの3元共重合体、フッ素ゴム等を挙げることができる。
(シリコーン系樹脂)
シリコーン系樹脂としては、分子内にシリコーン骨格を有する化合物が挙げられ、ポリオルガノシロキサンなどを好適に使用することができる。また、ポリオルガノシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やアルキッド樹脂なども使用することができる。ポリオルガノシロキサンの中でもポリジメチルシロキサンを好適に使用することができ、ポリジメチルシロキサンの一部に官能基を有するものも好ましい。官能基を有することでバインダー成分と水素結合などの分子間相互作用が発現しやすくなり樹脂層表面の耐溶剤性が向上するため好ましい。
本発明において、樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、架橋剤やその他の樹脂等を含有してもよい。
(架橋剤)
樹脂層は、架橋剤を含有することで、感光性樹脂層との剥離性が向上し、凝集力が向上し、感光性樹脂層に移行しにくくすることができる。
架橋剤としては、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素化合物、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。このうち、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、多官能エポキシ化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物等が好ましく、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物がより好ましく、オキサゾリン基含有化合物がさらに好ましい。また、これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。
(ポリビニルアルコール)
本発明において、樹脂層形成用塗工液を塗工して樹脂層を形成する際、液安定性向上、濡れ性向上の観点から、その他の樹脂としてポリビニルアルコール(PVA)を含有してもよい。ポリビニルアルコールは、特に限定されないが、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。本発明におけるポリビニルアルコールは、水溶性を有していることが好ましい。
ポリビニルアルコールは、樹脂層形成用水性分散体の液安定性向上の観点から、ケン化度が93.0%以上であることが好ましく、98.0%以上であることがより好ましく、99.0%以上であることがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールは、樹脂層形成用水性分散体の液安定性向上の観点から、重合度が300~2000であることが好ましく、500~1500であることがさらに好ましく、800~1200であることが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの含有量は、樹脂層の表面粗さ(平滑性)や、樹脂層と基材フィルムとの密着性向上や、樹脂層と感光性樹脂層との剥離性を向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10~1000質量部であることが好ましく、100~1000質量部であることがより好ましく、210~800質量部であることがさらに好ましく、300~600質量部であることが特に好ましい。ポリビニルアルコールの含有量が10質量部を下回ると、樹脂層形成用水性分散体の増粘傾向が大きくなり、ハンドリング性の低下やゲル化が起こることがある。ポリビニルアルコールの含有量が1000質量部を超えると、樹脂層形成用水性分散体から得られる樹脂層において、感光性樹脂層との剥離性能が損なわれることがある。
本発明においては、ポリビニルアルコールとして市販のものを使用することができ、例えば、日本酢ビ・ポバール社製の「VC-10」や「JP-15」、「JT-05」、「JL-05E」、「JM-33」、「JM-17」、「JF-05」、「JF-10」、クラレ社製の「クラレポバール」の「PVA-CST」、「PVA-624」、「PVA-203」、「PVA-220」、「PVA-405」などを使用することができる。
樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、防腐剤、消泡剤、濡れ剤、粘度調整剤などをさらに含有してもよい。
<支持フィルムの製造方法>
基材フィルムに樹脂層を積層する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂層形成用液状物が塗布された基材フィルムを乾燥、延伸する工程を含むインラインコート法や、延伸工程を経た基材フィルムに樹脂層形成用液状物を塗布、乾燥するオフラインコート法が挙げられる。
逐次二軸延伸法を採用して、一軸方向に延伸された基材フィルムに前記液状物を塗布し、液状物の塗布されたフィルムを乾燥し、前記方向と直交する方向にさらに延伸し、熱処理することが、簡便さや操業上の理由から好ましい。
(基材フィルムの製造方法)
基材フィルムの製造方法の一例として、ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
まず、十分に乾燥されたポリエステル樹脂を押出機に供給し、十分に可塑化され流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させ、Tダイを通じてシート状に押出す。その後、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に押し出されたシートを密着させて急冷固化し未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムを一軸延伸法により一軸配向させるか、もしくは二軸延伸法により二軸配向させる。二軸延伸法としては、特に限定はされないが、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法を用いることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手もしくは巾方向に、2~6倍程度の延伸倍率となるよう延伸する。
同時二軸延伸法では、未延伸フィルムを、樹脂のTg~Tgより50℃高い温度の範囲で、長手および巾方向にそれぞれ2~4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。同時二軸延伸機に導く前に、未延伸フィルムに1.2倍程度までの予備縦延伸を施しておいてもよい。
また、逐次二軸延伸法では、未延伸フィルムを、加熱ロールや赤外線等で加熱し、長手方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用し、ポリエステルのTg~Tgより40℃高い温度の範囲で、延伸倍率2.5~4.0倍とすることが好ましい。縦延伸フィルムを、続いて連続的に、巾方向に横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して、二軸配向フィルムとする。横延伸は樹脂のTg~Tgより40℃高い温度で開始し、最高温度は樹脂の融点(Tm)より(100~40)℃低い温度であることが好ましい。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上、さらには3.8倍以上とすることが好ましく、4.0倍以上とすることがより好ましい。長手方向と巾方向に延伸後、さらに、長手方向および/または巾方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることもできる。
延伸に続き、樹脂のTmより(50~10)℃低い温度で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム巾方向に1~10%の弛緩することが好ましい。熱固定処理後、フィルムをTg以下に冷却して二軸延伸フィルムを得る。
上記製造方法によって単層の延伸フィルムが得られるが、前記したように基材フィルムは、2種以上の層を積層してなる複層フィルムであってもよい。
複層フィルムは、上記製造方法において、それぞれの層を構成する樹脂を別々に溶融して、複層ダイスを用いて押出し(共押出し)、冷却固化前に積層融着させた後、二軸延伸、熱固定する方法や、2種以上の樹脂を別々に溶融、押出してそれぞれフィルム化し、未延伸状態で、または延伸後に、それらを積層融着させる方法などによって製造することができる。プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、冷却固化前に積層融着させることが好ましい。
(樹脂層形成用液状物)
樹脂層形成用液状物を構成する液状媒体は、水性媒体であることが好ましい。水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み、水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。
両親媒性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール-n-ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン等の有機アミン化合物、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
樹脂層形成用液状物の固形分濃度は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。
樹脂層形成用液状物には、その性能が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添加することもできる。
(樹脂層の積層)
樹脂層形成用液状物を基材フィルムに塗布する方法としては、公知の方法が用いられ、例えば、グラビアロールコーティング、ダイコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等を挙げることができ、塗工性の観点から、ワイヤーバーコーティングおよびグラビアロールコーティングが好ましく、グラビアロールコーティングが特に好ましい。
基材フィルムの一方の面上に樹脂層を積層した後、一定の温度にコントロールされた環境下でエージング処理をおこなってもよい。エージング温度は、基材フィルムへのダメージを軽減させる観点から、比較的低い温度が好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましい。エージング処理は20~100℃でおこなうことが好ましく、30~70℃でおこなうことがより好ましく、40~60℃でおこなうことがさらに好ましい。
<感光性樹脂積層体、ロール>
本発明の感光性樹脂積層体は、支持フィルムの基材フィルム面上に、保護層を有しない感光性樹脂層が積層されてなるものであり、また、感光性樹脂積層体ロールは、本発明の感光性樹脂積層体が巻き取られてなるものである。
本発明の感光性樹脂積層体は、支持フィルムと物性が異なる保護フィルムを有しないため、長手方向に巻き取られたロールは、巻取時およびその後の保管において、巻き締まりやシワの発生が抑制されたものとなる。また、ロールから巻き出した感光性樹脂積層体の感光性樹脂層は、特定の表面粗さの樹脂層面と接していたため、レジスト欠損が少ないものとなる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。支持フィルムや積層体の特性は下記の方法で測定した。
(1)基材フィルムの粒子数
支持フィルムをレザー刃で断面が露出するようにカットし、断面部にAu蒸着を施して、日立ハイテク社製卓上SEM(TM3030Plus)を用いて、断面部の観察を行った。倍率を1000倍にして得た観察図より、樹脂層との境界面から5μmまでの深さに存在する粒子を観察し、10視野あたりの個数を計測した。
(2)動摩擦係数
滑り片試料の接触面を樹脂層面とし、また、固定側試料の接触面を基材フィルム面として支持フィルムを設置し、JIS K 7125に基づいて測定した。
(3)表面自由エネルギー
KRUSS社製自動接触角計DSA30を用いて、水とジヨードメタンで接触角を測定し、その結果から同装置ソフトウェアによる計算を行い、表面自由エネルギーおよび極性成分の算出をOWRK法で実施した。2μLの液滴を用い、サンプルへの着滴後2秒経過した時の接触角を測定した。
(4)表面粗さパラメーターSa(算術平均高さ)
日立ハイテク社製ナノ3D光干渉計測システムVS1800を使用し、支持フィルムの樹脂層表面について、表面粗さパラメーターSa(算術平均高さ、nm)を10箇所測定し、平均値を測定結果とした。
(5)支持フィルムロールのシワ
幅300mmの支持フィルムを、張力100N/mで巻取り、巻取時のシワの発生を評価した。
また、上記条件で巻取を行った支持フィルムロールを、23℃、50%RHで48時間保管し、外観を確認し、巻き締まりによるシワの有無を評価した。
(6)感光性樹脂積層体ロールのシワ
幅300mmの感光性樹脂積層体を、張力300N/mで巻取り、巻取時のシワの発生を評価した。
また、上記条件で巻取を行った感光性樹脂積層体ロールを、23℃、50%RHで48時間保管し、外観を確認し、巻き締まりによるシワの有無を評価した。
(7)レジスト欠損の評価
感光性樹脂積層体ロールを1.5m/minの速さで巻き出し、外観検査装置(東京計器社製)を用いて、反射方式で感光性樹脂層の外観検査を行った。検査幅を200mmとし、長さ5mの検査を行い、検知数で評価した。
◎:検知無し。
○:検知数5未満。
△:検知数5以上10未満。
×:検知数10以上
基材フィルム、樹脂層を製造するための材料として、下記のものを使用した。
<基材フィルム製造材料>
A-1:ポリエチレンテレフタレート(重合触媒 三酸化アンチモン、固有粘度0.62、ガラス転移温度78℃、融点255℃)
A-2:A-1に平均粒径2.3μmの無定形シリカ粒子を1.5質量%添加したもの
A-3:A-1に平均粒径4.0μmの無定形シリカ粒子を1.5質量%添加したもの
<樹脂層形成用液状物製造材料>
(酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-1の製造)
プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体(プロピレン/ブテン/エチレン=68.0/16.0/16.0(質量比))280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応生成物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(酸変性量7.0%、融点135℃)を得た。
次に、ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、上記方法で製造した60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂と、45.0gのエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点171℃)と、6.9gのN,N-ジメチルエタノールアミン(沸点134℃、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.0倍当量)と、188.1gの蒸留水とを、上記のガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)することで、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-1(固形分濃度25質量%)を得た。なお、フィルター上には残存樹脂はほとんどなかった。
(酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-2、O-3の製造)
上記酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-1の製造において、プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体を、エチレン/オクテン共重合体(質量比:エチレン/オクテン=95/5(質量比))に変更する以外は、同様にして、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-2(酸変性量2.8%)を得た。
また、プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体を、プロピレン-エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=99/1(質量比))に変更する以外は、同様にして、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-3(酸変性量2.3%、融点145℃)を得た。
(長鎖アルキル基含有化合物T-1の製造)
4つ口フラスコにキシレン200部、オクタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物T-1を得た。
含フッ素系樹脂として、以下のものを使用した。
・GW-4510:ダイフリーGW-4510(ダイキン工業社製)
シリコーン系樹脂として、以下のものを使用した。
・KM3951:硬化型シリコーン樹脂の水系エマルジョンKM3951(信越シリコーン社製)
ポリビニルアルコール(PVA)として、下記の水溶液を使用した。
・VC-10:日本酢ビ・ポバール社製VC-10、ケン化率99.3%、重合度1,000、固形分濃度8質量%
・JT-05:日本酢ビ・ポバール社製JT-05、ケン化率94.5%、重合度500、固形分濃度8質量%
架橋剤として、以下のものを使用した。
・WS-700:日本触媒社製エポクロスWS-700、オキサゾリン基含有化合物の水性溶液、固形分濃度25質量%
<樹脂層形成用液状物の製造>
樹脂層形成用液状物を、以下の方法で製造した。
(樹脂層形成用液状物P-1)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-3の固形分100質量部に対し、上述したポリビニルアルコールJT-05水溶液の固形分500質量部、架橋剤WS-700の固形分7質量部を加え、1時間攪拌し均一化させ、さらに水を加えて固形分濃度7質量%の樹脂層形成用液状物P-1を得た。
(樹脂層形成用液状物P-2)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-2の固形分100質量部に対し、架橋剤WS-700の固形分20質量部を加え、1時間攪拌し均一化させ、さらに水を加えて固形分濃度7質量%の樹脂層形成用液状物P-2を得た。
(樹脂層形成用液状物P-3)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体O-1の固形分100質量部に対し、上述したポリビニルアルコールVC-10水溶液の固形分300質量部、架橋剤WS-700の固形分7質量部を加え、1時間攪拌し均一化させ、さらに水を加えて固形分濃度7質量%の樹脂層形成用液状物P-3を得た。
(樹脂層形成用液状物P-4)
含フッ素系樹脂GW-4510を水に溶解し、固形分濃度7質量%の樹脂層形成用液状物P-4を得た。
(樹脂層形成用液状物P-5)
硬化型シリコーン樹脂の水系エマルジョンKM3951と、白金触媒と、炭酸水素ナトリウムとを、各成分の固形分質量比が100/1/50となるように混合し、水とイソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコール=8:2(質量比))を加えて固形分濃度が7質量%である樹脂層形成用液状物P-5を得た。
(樹脂層形成用液状物P-6)
長鎖アルキル基含有化合物T-1をトルエンに溶解し、固形分濃度7質量%の樹脂層形成用液状物P-6を得た。
(樹脂層形成用液状物P-7)
上述したポリビニルアルコールVC-10水溶液に水を加えて固形分濃度7質量%に調整し、樹脂層形成用液状物P-7を得た。
<感光性樹脂>
感光性樹脂として下記のものを使用した。
・Z-1:東洋合成工業社製PAK-01
・Z-2:東京応化製ネガレジスト PMER N-HC600
実施例1
(支持フィルムF-1の製造)
ポリエチレンテレフタレートA-1とA-2を95質量部と5質量部となるように混合し、押出機I(スクリュー径:50mm)に、またポリエチレンテレフタレートA-1を、押出機II(スクリュー径:65mm)にそれぞれ投入して280℃で溶融後、それぞれの溶融体をTダイの出口に至る前で層状に合流積層させた。層の厚み比(I/II)が4/6となり、総厚みが600μmとなるよう調整してTダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール式縦延伸機で85℃の条件下、3.5倍に延伸した。
次いで、樹脂層形成用液状物P-1を、押出機IIからのフィルム層の表面に、120メッシュのグラビアロールで5g/mとなるように塗布したのち、連続的にフィルムの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、100℃の条件下、横4.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を3%として、243℃で3秒間の熱処理を施した後、ロールにフィルムを巻取り、2種2層の基材の片面に厚み0.08μmの樹脂層が設けられた厚さ38μmの支持フィルムF-1を得た。
(感光性樹脂積層体の製造)
支持フィルムF-1の樹脂層の反対面に、コンマコーター(ヒラノテクシード社製)を用いて、感光性樹脂Z-1を乾燥後の樹脂厚みが25μmとなるように塗布した。乾燥はドライヤーゾーンを95℃で6分間となるように行い、巻き取ることで感光性樹脂積層体およびそのロールを得た。
また、感光性樹脂Z-1に代えて、感光性樹脂Z-2を使用して、同様に感光性樹脂積層体およびそのロールを得た。
実施例2~18、比較例1~4
表1、2に記載したように、押出機Iに投入する樹脂の種類、押出機IIに投入する樹脂の種類、樹脂層形成用液状物の種類をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で支持フィルムF-2~22を得た。
また、得られた支持フィルムF-2~22を使用して、実施例1と同様に、感光性樹脂積層体およびそのロールを得た。
参考例5
実施例1で得られた感光性樹脂積層体の感光性樹脂層Z-1の上に保護フィルムC-1(ポリエチレンフィルム、タマポリ社製、GF-818、膜厚19μm)をラミネートし巻取を行うことで、感光性樹脂積層体およびそのロールを得た。
参考例6
保護フィルムC-1をC-2(ポリエステルフィルム、ユニチカ社製、S-16、膜厚16μm)に代えた以外は比較例5と同様の手順で感光性樹脂積層体およびそのロールを得た。
実施例1~18、比較例1~4、参考例5、6で得られた支持フィルム、感光性樹脂積層体およびそのロールの組成や物性結果を表1、2に示す。
なお、比較例1においては、基材フィルムに樹脂層を設けていないため、表2の樹脂層面に関する物性の欄には、基材フィルムにおける押出機IIからの層の表面について測定した値を括弧書きで表示した。
Figure 2023141372000001
Figure 2023141372000002
実施例1~18の支持フィルムは、樹脂層面の表面粗さSaが規定の範囲内であったため、感光性樹脂積層体ロールから巻き出した感光性樹脂層は、いずれもレジスト欠損が少ないものであった。さらに支持フィルムは、両面での動摩擦係数が1.0以下であることから、支持フィルムの巻取や保管時にシワの発生がないものであった。さらに樹脂層表面の表面自由エネルギーの極性成分が、総和の15%以下であり、感光性樹脂層の表面自由エネルギーの極性成分が樹脂層の値より大きいことから、感光性樹脂積層体は、巻取時や保管時のシワ発生が抑制されると同時に、巻き出した感光性樹脂層は、レジスト欠損の発生が少ないものであった。
樹脂層を設けていない比較例1の支持フィルムは、両面とも、表面自由エネルギーにおける極性成分の占める割合が本発明で規定する範囲を超えていたため、動摩擦係数が高く、ロールにシワが発生するだけでなく、感光性樹脂積層体ロールから巻き出した感光性樹脂層は、レジスト欠損が多数発生した。
比較例2、3の支持フィルムの基材フィルムは、樹脂層側の表面に粒子が多く観察され、その凹凸により、樹脂層面の表面粗さSaが20nmを超え、感光性樹脂積層体ロールから巻き出した感光性樹脂層は、レジスト欠損が発生した。
比較例4の支持フィルムの樹脂層は、表面自由エネルギーにおける極性成分の占める割合が15%を超えていたため、感光性樹脂層との密着性が強くなり、感光性樹脂積層体ロールは、巻出す際に剥離が不良となり、感光性樹脂積層体には、レジスト欠損が発生した。
参考例5、6の感光性樹脂積層体は、保護フィルムが積層されており、そのロールは、巻取時の張力に対する応力の発生により、保管後において、シワ発生が顕著であった。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの一方の面に樹脂層が積層された支持フィルムであって、
    樹脂層面の表面粗さSaが20nm以下であり、
    樹脂層面の表面自由エネルギーの極性成分が、表面自由エネルギーの総和の15%以下であることを特徴とする感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  2. 樹脂層面と基材フィルム面とを重ね合わせて測定した動摩擦係数が1.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  3. 基材フィルムが複層フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  4. 樹脂層面の表面自由エネルギーの総和が40mN/m以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  5. 樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  6. 基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂層積層用支持フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の支持フィルムの基材フィルム面上に、保護層を有しない感光性樹脂層が積層されてなることを特徴とする感光性樹脂積層体。
  8. 請求項7に記載の感光性樹脂積層体が巻き取られてなることを特徴とする感光性樹脂積層体ロール。
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