JP6955756B2 - ポリオレフィン樹脂水性分散体、塗膜および離型シート - Google Patents

ポリオレフィン樹脂水性分散体、塗膜および離型シート Download PDF

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本発明は、ポリオレフィン樹脂水性分散体と、それから得られる塗膜および離型シートに関するものである。
粘着シートは、半導体装置、精密機器などの電子部品の製造工程をはじめ、様々な用途において使用されている。このような粘着シートは、その表面を保護するために、使用するときまで離型シートが貼り合わされて積層されている。
離型シートを構成する基材の表面には、粘着シートから剥がれやすくするために、離型剤を含有する樹脂層が設けられている。離型シート用の離型剤として、シリコーン系離型剤が最も多く使用されている。しかしながら、シリコーン系離型剤を用いた場合、シリコーン系離型剤の中に含まれる低分子量のシリコーン化合物が、粘着シートの粘着剤表面に移行して、残存することがあった。粘着シートの粘着剤表面に残存するシリコーン化合物は、粘着剤の粘着力の低下を起すだけでなく、徐々に気化して、たとえば、粘着シートが用いられた電子部品の表面に堆積することにより、その性能に悪影響を与えることが指摘されていた。
離型シート用の非シリコーン系離型剤として、特許文献1、2には、オレフィン系エラストマーを用いることが提案され、特許文献3、4には、酸変性ポリオレフィンを用いることが提案されている。また、特許文献5には、酸変性ポリブタジエンまたは酸変性ポリイソプレンを用いることが提案され、特許文献6には、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体を用いることが提案されている。
特許文献1、2の離型シートは、粘着シートに対して良好な離型性を示す。しかしながら、これらの離型シートは、耐熱性が低いため、粘着シートと貼り合せた状態で、高温で保存した場合に、粘着シートと強く接着してしまい、ハンドリング性が低下することがあった。特に、粘着剤を塗工した後の乾燥時や、粘着シートの転写時などにおいて、熱がかかると、離型シートは離型性が変化しやすく、ハンドリング上好ましくないものであった。
一方、特許文献3、4の離型シートは、離型剤として酸変性されたエチレン系重合体が使用されており、様々な被着体に対して、良好な離型性を示すものである。しかしながら、粘着シートに対しては、やや剥離強度が大きいため、粘着シートを剥離する際のハンドリング性が良好でない場合があり、特に粘着シートから離型シートを高速で剥離した際に、ジッピングを起こし、粘着シート表面の平滑性や透明性が損なわれる場合があった。
特許文献5の離型シートは、粘着剤に対して離型性が良好であるものの、離型層が柔らかいため、離型シートをロール状に巻き取った場合に、シートのブロッキングが生じ、ロールから巻き出すことができなくなるおそれがあるという生産上の課題があった。
特許文献6の離型シートは、粘着材料との離型性に優れ、高速での剥離においてもハンドリング性が良好であり、耐熱性、耐ブロッキング性にも優れ、特許文献1〜5の離型シートにおける問題を解決したものである。しかしながら、特許文献6では、酸変性量が多い酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体を作製することができず、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体を実質的に有機溶剤に溶解した溶液を塗布して離型層を形成しており、離型シートの製造において作業環境に問題があった。このことから、離型性に優れた離型シートを溶剤系に代えて水系の塗布液を使用して製造することが望まれていた。
特許第4907724号公報 特許第4367082号公報 特開2009−101680号公報 国際公開第2009/025063号 特開2012−152965号公報 国際公開第2015/064599号
本発明は、これらの問題に鑑み、粘着材料との離型性に優れ、高速での剥離においてもハンドリング性が良好であり、耐熱性、耐ブロッキング性にも優れた離型シートを提供しようとするものであり、そのための離型性を有する樹脂層を形成することができる水系の塗布液を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、共重合比を特定の範囲に設定することにより、水性分散化が可能であり、この共重合体を離型剤として含む水性分散体を塗布することによって、基材上に樹脂層を形成することができ、この樹脂層を基材上に設けてなる離型シートが上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体が水性媒体中に分散されたポリオレフィン樹脂水性分散体であって、
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を構成するα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)が、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であり、
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体における酸変性成分の含有量が、0.5質量%以上であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)架橋剤を含有し、架橋剤の含有量が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)架橋剤がオキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物であることを特徴とする(2)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜。
(5)基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有し、
樹脂層におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)が、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であることを特徴とする離型シート。
(6)アクリル系粘着剤層を有する樹脂テープの前記粘着剤層を離型シートの樹脂層表面に貼り付けることで得られた試料を、室温にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で測定したときの粘着剤層と樹脂層との剥離強度が0.5N/cm以下であることを特徴とする(5)記載の離型シート。
(7)上記(5)または(6)記載の離型シートを製造するための方法であって、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を基材上に塗布する工程と、ポリオレフィン樹脂水性分散体が塗布された基材を乾燥する工程を含むことを特徴とする離型シートの製造方法。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を用いることにより、基材上に離型性を有する樹脂層を形成することができ、有機溶剤の使用による作業環境の問題を解消して離型シートを製造することができる。
本発明の離型シートを用いることにより、粘着材料の粘着剤表面を保護することができ、粘着材料の使用時において離型シートを高速で剥離しても、粘着材料の品質を損なわずに簡単に剥離することができる。また、本発明の離型シートは耐熱性に優れるため、粘着材料等と貼りあわせた後、熱処理後の離型性に優れる。さらに、本発明の離型シートはロール状に巻き取った場合でも、耐ブロッキング性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体が水性媒体中に分散されてなるものである。
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、α−オレフィン/エチレン共重合体が酸変性されたものであり、α−オレフィン/エチレン共重合体は、一種以上のα−オレフィン成分とエチレン成分とを含有する。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらの中でも、経済性の観点や入手のしやすさの観点から、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
α−オレフィン/エチレン共重合体におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)は、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であることが必要である。すなわち、質量比(α−オレフィン/エチレン)は、40/60を超え、80/20以下であることが必要であり、質量比は50/50を超えることが好ましく、51/49以上であることがより好ましく、70/30以下であることが好ましく、65/35以下であることがより好ましい。
α−オレフィン/エチレン共重合体におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比を前記範囲とすることで、酸変性成分を、後述する含有量に調整することができ、得られた酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を水性分散化することができる。また、α−オレフィン成分とエチレン成分の質量比が前記範囲であり、酸変性されたα−オレフィン/エチレン共重合体を含有する樹脂層を設けた離型シートは、優れた離型性を有し、高速剥離性にも優れている。α−オレフィン成分とエチレン成分の質量比がこの範囲外の酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有する樹脂層を設けた離型シートは、離型性が低下し、また高速剥離性が低下する傾向にある。
α−オレフィン/エチレン共重合体は、数平均分子量が500〜25,000であることが好ましく、700〜20,000であることがより好ましく、1,000〜17,000であることがさらに好ましい。数平均分子量が前記範囲であるα−オレフィン/エチレン共重合体は、酸変性成分を後述する含有量に調整することができ、得られた酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、水性分散化することができる。
α−オレフィン/エチレン共重合体は、メタロセン系触媒を使用して製造されることが好ましい。この方法により製造されたα−オレフィン/エチレン共重合体は、分子量分布が狭く、低分子量成分の量が少なく、共重合が均一となる。
本発明において、α−オレフィン/エチレン共重合体は、不揮発性水性化助剤を実質的に使用することなく水性媒体中に分散させることができ、得られる樹脂層と基材との密着性が向上し、また架橋剤と反応させて耐熱性を向上させる観点から、酸変性されていることが必要である。α−オレフィン/エチレン共重合体の酸変性は、たとえば、α−オレフィン/エチレン共重合体に不飽和カルボン酸成分を導入することによっておこなうことができる。
本発明において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を構成する酸変性成分の含有量は、0.5質量%以上であることが必要であり、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましく、1.5〜10質量%であることが最も好ましい。酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、酸変性成分の含有量が0.5質量%未満の場合、水性媒体に分散することが困難となることがあり、得られる樹脂層は、基材との密着性が不十分になったり、架橋剤との反応が不十分となり、耐熱性に劣ることがある。エチレン成分を含有するポリオレフィン樹脂を酸変性させる場合、協奏的に架橋反応も進行するために、酸変性量が高いものを製造することは、操業性の観点から、実質的に困難となることがあるが、本発明で規定するα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比を有するα−オレフィン/エチレン共重合体を用いることで、前記範囲の酸変性量を有する酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を作製できる。
α−オレフィン/エチレン共重合体に導入される不飽和カルボン酸成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物が挙げられる。中でもα−オレフィン/エチレン共重合体への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、α−オレフィン/エチレン共重合体中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
不飽和カルボン酸単位をα−オレフィン/エチレン共重合体へ導入する方法は、特に限定されない。例えば、ラジカル発生剤存在下、α−オレフィン/エチレン共重合体と不飽和カルボン酸とを、α−オレフィン/エチレン共重合体の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、α−オレフィン/エチレン共重合体と不飽和カルボン酸とを有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により、α−オレフィン/エチレン共重合体に不飽和カルボン酸をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。
グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜、選択して使用すればよい。
本発明において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、本発明の効果を損ねない範囲で、他のモノマーが、少量共重合されていてもよい。他のモノマーとしては、たとえば(メタ)アクリル酸エステル、α−オレフィン以外のオレフィン類、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄などが挙げられる。他のモノマー成分の含有量は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
本発明において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の数平均分子量は、1,000〜30,000であることが好ましく、1,200〜25,000であることがより好ましく、1,500〜20,000であることがさらに好ましい。酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、数平均分子量が前記範囲であることで、均一で分散状態が良好な水性分散体を製造することができる。
本発明において酸変性するためのα−オレフィン/エチレン共重合体として、市販のα−オレフィン/エチレン共重合体を用いることができる。市販のα−オレフィン/エチレン共重合体として、三井化学社製ルーカントシリーズのLX020、LX100、LX200、LX400などが挙げられる。このような市販のα−オレフィン/エチレン共重合体を用いて、上記の方法で酸変性を行って、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を得ることができる。
また、本発明における酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、市販のものを用いてもよい。市販の酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体として、三井化学社製ルーカントシリーズのA−5515、A−5260、A−5320Hなどが挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することにより、樹脂層の構成成分が架橋し、樹脂層の離型性、耐熱性、凝集力、耐水性、耐溶剤性などの各種性能を向上させることができる。架橋剤としては、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物が用いられ、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。反応性の観点や、得られる樹脂層が、耐熱性を有し、熱処理後も離型性に優れることから、架橋剤は、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一つの架橋剤であることが好ましい。
オキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」、固形タイプの「RPS−1005」などが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミドは、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであってもよい。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオールなどが共重合されていてもよい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」、エマルジョンタイプの「E−02」、「E−03A」、「E−04」、有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」、無溶剤タイプの「V−05」などが挙げられる。
エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどを含有するエポキシ化合物を用いることができる。
エポキシ化合物の市販品としては、ナガセケムテック社製のデナコールシリーズ(EM−150、EM−101など)、アデカ社製のアデカレジンEM−0517、EM−0526、EM−11−50B、EM−051R、阪本薬品工業社製のSR−GSG、SR−4GSLなどが挙げられる。
イソシアネート化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4′−または4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−または1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、4,4′−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロトルエン2,4−または2,6−ジイソシアネート、ぺルヒドロ−2,4′−または4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらの誘導体が挙げられる。イソシアネート化合物の中でも、水性(水溶性もしくは水分散性)のものが好ましい。
イソシアネート化合物の市販品としては、住化バイエルウレタン社製のバイヒジュール3100、デスモジュールDN、BASF社製のバソナートHW−100等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、2〜20質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部未満では、添加効果が乏しく、得られる樹脂層は、経時的に離型性が低下したり、十分な耐熱性が得られない場合があり、含有量が50質量部を超えると、離型性が低下する場合がある。なお、架橋剤は、2種類以上の化合物を同時に用いることもでき、同時に用いた場合、架橋剤の合計量が上記の架橋剤の含有量の範囲を満たしていればよい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、上記のように、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有するものであるが、必要に応じて、上記架橋剤以外に、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を含有してもよい。また、水性分散体の安定性を損なわない範囲で、上記以外の有機もしくは無機の化合物を液状物に添加することもできる。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、上記の酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体が水性媒体中に分散されたものであり、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体は、水性媒体中に分散もしくは一部溶解している。本発明において、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の水性化促進のため、後述する塩基性化合物や有機溶剤を含有していてもよい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体中の酸変性成分は、塩基性化合物によって中和されていることが好ましい。酸変性成分の中和によって生成したアニオン間の電気反発力により、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。水性化の際に用いる塩基性化合物は酸変性成分を中和できるものであればよい。
塩基性化合物は、塗膜形成時に揮発するアンモニアまたは有機アミン化合物が塗膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには50〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等が挙げられる。
塩基性化合物の配合量は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量がより好ましく、0.9〜3.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、10倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が低下したりすることがある。
本発明においては、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に親水性有機溶剤を配合することが好ましい。親水性有機溶剤の含有量としては、水性媒体全体に対し50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。親水性有機溶剤の含有量が50質量%を超える場合には、実質的に水性媒体と見なせなくなり、本発明の目的の一つ(作業環境改善)を逸脱するだけでなく、使用する親水性有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下することがある。
親水性有機溶剤は、分散安定性良好な水性分散体を得るという点から、20℃の水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、20g/L以上のものがより好ましく、50g/L以上のものがさらに好ましい。
親水性有機溶剤は、製膜の過程で効率よく塗膜から除去させる観点から、沸点が150℃以下のものが好ましい。沸点が150℃を超える親水性有機溶剤は、塗膜から乾燥により飛散させることが困難となる傾向にあり、特に低温乾燥時の塗膜の耐水性や基材との接着性等が低下することがある。
好ましい親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。
中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性化促進により効果的であり、好ましい。
本発明では、これらの親水性有機溶剤を複数混合して使用してもよい。
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の水性化をより促進させるために、疎水性有機溶剤をさらに添加してもよい。疎水性有機溶剤としては、20℃の水に対する溶解性が10g/L未満であり、上記と同じ理由で、沸点が150℃以下であるものが好ましい。このような疎水性有機溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル等のオレフィン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。これらの疎水性有機溶剤の添加量は、水性分散体に対して15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。添加量が15質量%を超えると、ゲル化等を引き起こすことがある。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明は、不揮発性水性化助剤の使用を排除するものではないが、水性化助剤を用いずとも、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を数平均粒子径0.5μm以下の範囲で水性媒体中に安定的に分散することができる。
ここで、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、こうした助剤を製造時(樹脂の水性化時)に用いず、得られる水性分散体が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、樹脂の水性化時は、こうした水性化助剤の含有量がゼロであることが最も好ましい。なお、樹脂の水性化後、得られた水性分散体に、水性化助剤に該当する化合物を他の目的で含有させてもよく、得られる塗膜においては、本発明の効果を損ねない範囲で含有していても差し支えない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。
水性分散体中の共重合体粒子の数平均粒子径(以下、mn)は、水性分散体の保存安定性、塗膜の透明性、30℃以下の低温での造膜性が向上する点から、いずれも0.5μm以下が好ましく、0.05〜0.36μmがより好ましく、0.1〜0.24μmがさらに好ましい。
次に、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を製造する方法について説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を製造する方法としては、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体が水性媒体中に均一に混合・分散される方法であれば、限定されない。例えば、密閉可能な容器に、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体、上記親水性有機溶剤、上記塩基性化合物、水などの原料を投入し、槽内の温度を40〜150℃程度の温度に保ちつつ撹拌を行うことにより、水性分散体とする方法などが挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体における、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の含有率は、成膜条件、目的とする樹脂層の厚さや性能等により適宜調整され、特に限定されるものではないが、水性分散体の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜、樹脂層を得るために、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
本発明の離型シートは、基材上に樹脂層を設けたものであり、樹脂層は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有し、樹脂層におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)は、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であることが必要であり、質量比は50/50を超えることが好ましく、51/49以上であることがより好ましく、70/30以下であることが好ましく、65/35以下であることがより好ましい。
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体における酸変性成分の含有量は、離型性向上、高速剥離性の観点から、0.5質量%以上であることが好ましい。α−オレフィン/エチレン共重合体におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比を前記範囲にすることで、酸変性量が多くなったα−オレフィン/エチレン共重合体を含有する樹脂層においても、離型性が低下することなく良好な離型性を有する。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、本発明の効果を損ねない範囲で上記した酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体以外のポリオレフィン樹脂を含有してもよい。前記ポリオレフィン樹脂の種類は特に限定されないが、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、プロピレン/無水マレイン酸共重合体、プロピレン/ブテン/無水マレイン酸共重合体などの酸変性ポリオレフィン樹脂や、α−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)が80/20を超えるかまたは40/60以下であるエチレン/プロピレン/ブテン/無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン/無水マレイン酸共重合体などの酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、本発明の離型シートの樹脂層に2種類以上含まれていてもよい。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体以外のポリオレフィン樹脂を含有する場合であっても、樹脂層におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比、すなわち、これらの樹脂を構成するすべてのα−オレフィン成分とすべてのエチレン成分の質量比(すべてのα−オレフィン成分/すべてのエチレン成分)が、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であることが必要である。
本発明の離型シートにおける樹脂層は、上記のように離型性等の向上の観点から、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤の含有量は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましい。
また、本発明の離型シートにおける樹脂層は、ポリビニルアルコールを含有することが好ましい。樹脂層において、ポリビニルアルコールが、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体中に分散することによって、剥離強度の経時的増加を抑制することができ、また、ポリビニルアルコール自体が有する基材との密着性を発揮することができる。
ポリビニルアルコールの含有量は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、1〜500質量部であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度は200〜5,000が好ましい。
本発明の離型シートにおいて樹脂層の厚みは、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.03〜3.0μmであることがより好ましく、0.05〜1.0μmであることがさらに好ましい。樹脂層の厚みが0.01μm未満であると、十分な離型性が得られない場合があり、一方、厚みが5.0μmを超えると、コストアップとなるため好ましくない。
本発明の離型シートは、上記構成を有するものであり、例えば、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を、樹脂層形成用水性分散体として基材上に塗布して樹脂層を設けることにより製造することができる。
ポリオレフィン樹脂水性分散体を基材上に塗布して樹脂層を形成する方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により、水性分散体を基材表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理または乾燥のための加熱処理に供する方法が挙げられ、これにより、均一な樹脂層を基材に密着させて形成することができる。
ポリオレフィン樹脂水性分散体が架橋剤を含有する場合、基材上に樹脂層を形成した後、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体と架橋剤との反応を促進させるために、一定の温度にコントロールされた環境下でエージング処理をおこなってもよい。エージング温度は、基材へのダメージを軽減させる観点からは、比較的低いことが好ましいが、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましい。エージング処理は20〜100℃でおこなうことが好ましく、30〜70℃でおこなうことがより好ましく、40〜60℃でおこなうことがさらに好ましい。
本発明の離型シートを構成する基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等で形成されたものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。
基材に用いることができる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;ナイロン6、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリイミド樹脂;これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。
樹脂材料は延伸処理されていてもよい。中でも、基材は、機械的特性および熱的特性に優れるポリエステル樹脂フィルムが好ましく、安価で入手が容易という点からポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
基材としての熱可塑性樹脂フィルムにポリオレフィン樹脂水性分散体を塗布する場合、二軸延伸されたフィルムに塗布後乾燥、熱処理してもよく、また、配向が完了する以前の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸の終了したフィルムに液状物を塗布し、乾燥後加熱して延伸するか、あるいは加熱して乾燥と同時に延伸して、配向を完了させてもよい。後者の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸終了後のフィルムにポリオレフィン樹脂水性分散体を塗布後、乾燥、延伸配向する方法は、熱可塑性樹脂フィルムの製膜と同時に樹脂層を積層することができるため、コストの点から好ましい。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。熱可塑性樹脂フィルムは、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層などの他の層が積層されていてもよい。その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、熱可塑性樹脂フィルムの表面に、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等が施されてもよい。
基材として用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等が挙げられる。紙には、目止め層などが設けてあってもよい。
基材として用いることができる合成紙は、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙も使用することができる。
基材として用いることができる布としては、上述した合成樹脂からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる不織布、織布、編布などが挙げられる。
基材として用いることができる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔や、アルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。
基材として用いることができるガラス材料としては、ガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
本発明の離型シートは、様々な材料に対して良好な離型性を有することから、様々な材料に対して使用することができ、本発明の離型シートを、被着体に積層することで、積層体とすることができる。
本発明の離型シートは、具体的には、粘着材料や液晶ディスプレイ用部品(偏光板、位相差偏光板、位相差板など)などの保護材料として、プリント配線板のプレス工程材料や航空機等の構造材等に用いられるプリプレグの工程材料として、シート状構造体の製造時のベース基材として、転写印刷用の離型シートとして、それぞれ好適に使用することができる。特に、粘着材料に対して好適に使用することができる。
粘着材料としては、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどが挙げられる。より具体的には、粘着剤がシート状に形成されたものであり、粘着剤の層が基材の上に積層されてもよく、また基材を用いなくてもよい。粘着剤の成分や基材は特に限定されないが、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられ、ここには、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。基材としては、上述の、紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
粘着材料に対して使用される離型シートは、その取り扱い上、離型性に優れるものが求められており、たとえば、アクリル系粘着材料との剥離強度が0.5N/cm以下であるものが求められている。本発明の離型シートにおいては、アクリル系粘着剤層を有する樹脂テープの前記粘着剤層を離型シートの樹脂層表面に貼り付けることで得られた試料を、室温にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で測定したときの粘着剤層と樹脂層との剥離強度を、0.5N/cm以下とすることができ、より好ましくは、0.4N/cm以下、さらに好ましくは0.3N/cm以下、最も好ましくは、0.2N/cm以下とすることができる。アクリル系粘着材料との剥離強度が0.5N/cmを超える場合、離型シートを粘着材料から剥離する際に、抵抗を感じたり、粘着材料の表面が荒れることにより、粘着性が低下する場合があるため、アクリル系粘着材料用の離型シートとして使用することが困難となることがある。
また、粘着力が強い粘着材料の代表であるシリコーン系粘着材料に対しても、本発明の離型シートを使用することが可能である。シリコーン系粘着材料に対して従来のようなシリコーン系離型シートを用いると、粘着層と離型層との親和性が高いため密着性が高まり剥離しにくくなる。これに対して、本発明の離型シートはシリコーン系粘着材料に対しても良好な剥離性を保つことができる。シリコーン系粘着材料に対して使用した場合、シリコーン系粘着材料を貼り付けて、放置したあとの樹脂層とシリコーン系粘着材料との剥離強度が1.0N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8N/cm以下、さらに好ましくは0.7N/cm以下である。
本発明の離型シートは、耐熱性に優れるため、離型シートが貼り付けられた粘着材料が、保管、流通の過程において、高温下に長時間曝されても、経時で剥離強度が変化することがなく、また、貼り付け後長時間経過した後も、樹脂層と粘着材料との剥離強度の変化を小さく抑えることができる。
また、工業的に離型シートを剥離する工程においては、作業ラインの高速化に伴い、一般的に10m/分を超える速度で、離型シートを剥離するため、粘着材料からの高速剥離が可能な離型シートが求められている。本発明の離型シートは、十分な離型性を有しているため、粘着材料から高速で剥離しても、音がなく抵抗感がなく剥離ができる。すなわち、本発明の離型シートは高速剥離時に、ジッピングやスティックスリップと呼ばれる音がする現象によって、粘着材料の表面状態が粗くなることにより透明性や粘着性が低下することを抑制することができる。
本発明の離型シートは、プリプレグの工程材料としても好適に用いられるものであり、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの樹脂および硬化剤等を含む溶液を、塗布、乾燥してシートを形成する際のキャリアシートとして、好適に使用することができる。
本発明の離型シートは、耐熱性も併せ持つため、硬化工程における高温処理後においても、離型性を維持することができる。プリプレグは、補強効果を高めるために、炭素繊維やガラス繊維等の織物等の補強材が使用されていてもよい。プリプレグが使用される工程としては、プリント配線板のプレス工程、航空機、自転車、風車等の構造部材の成形工程、ゴルフシャフト、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用品の成形工程が挙げられる。プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
本発明の離型シートをベース基材として用いて製造することができるシート状構造体の例としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムシート、塩化ビニルやウレタンからなる合成皮革、パーフロロスルホン酸樹脂などの高分子電解質などからなるイオン交換膜や、誘電体セラミックスやガラスなどからなるセラミックグリーンシート、放熱材料等を含有する放熱シート等が挙げられる。
これらの製造工程においては、ベース基材となる本発明の離型シート上に、溶媒でペースト状あるいはスラリー状とした原料を塗布、乾燥することにより、シート状構造体を形成することができる。あるいは、離型シート上に、溶融させた樹脂を押出すことにより、シート状構造体を形成することができる。
本発明の離型シートを転写印刷用に使用する場合、本発明の離型シート上にコーティングすることによって、印刷層、電極、保護層などの様々な機能層を形成し、離型シート上の機能層を、被転写体に対して、加熱、圧着することにより、被転写体に機能層を転写し、次いで離型シートを、機能層から剥離する。このように、本発明の離型シートはスタンピング箔とも呼ばれるものに使用することができる。機能層としては、メタリック箔、顔料箔、多色印刷箔、ホログラム箔、静電気破壊箔、ハーフミラーメタリック箔等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の不飽和カルボン酸成分含有量
赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計 System−2000、分解能4cm−1)を行い、不飽和カルボン酸成分の含有量を求めた。
(2)不飽和カルボン酸成分以外の酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の構成
オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にて、H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
(3)数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所社製LC−10AD、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgの共重合体をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から数平均分子量を求めた。
(4)固形分濃度
水性分散化した酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(5)数平均粒子径
日機装社製、Nanotrac Wave−UZ152粒度分布測定装置を用いて、数平均粒子径(mn)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
(6)アクリル系粘着剤に対する剥離強度(常温)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、剥離強度測定用試料とした。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
(7)アクリル系粘着剤に対する剥離強度(常温−24時間経過後)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、25℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
(8)アクリル系粘着剤に対する剥離強度(70℃−24時間経過後)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
(9)高速剥離性
上記(6)に記載された方法で得られた剥離強度測定用試料を用いて、その離型シート部分を両面テープにてステンレス板に固定し、粘着テープの端部を手で持ち、一気に剥離(剥離速度約30m/分)した際の、手の感触及び剥離時に発する音で、下記指標にて評価を行った。
○:音がなく、抵抗感がなく剥離ができる。
△:ジッピングによる音が発生し、剥離時に抵抗を感じる。
×:ジッピングにより、大きな音が発生し、剥離時の抵抗が大きいため、剥離速度約30m/分での剥離が出来ない。
(10)残留接着率
前記(6)の剥離強度試験(常温)、(7)の剥離強度試験(常温−24時間経過後)、(8)の剥離強度試験(70℃−24時間経過後)および(9)の高速剥離試験により離型シート表面から剥離した巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を、それぞれステンレス板(SUS304 厚さ1mm)に貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、アクリル系粘着テープとステンレス板の剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。この測定により得られた剥離強度を、それぞれF1(6)、F1(7)、F1(8)、F1(9)とした。
ステンレス板(SUS304 厚さ1mm)に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、アクリル系粘着テープとステンレス板の剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定(剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離強度をF2とした。
下記式を用いて、それぞれの粘着テープの残留接着率を得た。
常温放置後の残留接着率(%)=(F1(6)/F2)×100
常温、24時間経過後の残留接着率(%)=(F1(7)/F2)×100
70℃、24時間経過後の残留接着率(%)=(F1(8)/F2)×100
高速剥離後の残留接着率(%)=(F1(9)/F2)×100
粘着テープの粘着剤表面が離型シートにより汚染されたり、剥離の際に粘着テープの表面が著しく粗くなった場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。したがって、残留接着率は高い方が好ましい。
(11)シリコーン系粘着剤に対する剥離強度(常温、常温−24時間経過後、70℃−24時間経過後)、高速剥離性、残留接着率
上記(6)〜(10)において、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープに代えて、巾19mm、長さ150mmのシリコーン系粘着テープ(日東電工社製、ニトフロンNo.903UL)を使用した以外は、上記(6)〜(10)と同様の方法で、シリコーン粘着剤に対する剥離強度(常温、常温−24時間経過後、70℃−24時間経過後)の測定、高速剥離性の評価、また残留接着率の測定を行った。
(12)耐ブロッキング性
得られた離型シートを50mm×50mmの大きさに2枚切り出し、樹脂層と樹脂層反対面とが接触するように重ね合せ、60℃で10kPaの荷重をかけた状態で、24時間放置したあと、荷重を取り除いて室温まで冷却した後、樹脂層と樹脂層反対面との密着状態を調べることで耐ブロッキング性を評価した。
○:2枚のシートに密着が見られない、または、2枚のシートが簡単に剥がれ、樹脂層に白化などの変化が見られない。
×:樹脂層が凝集破壊を起こす、または、2枚のシートを剥がした後の樹脂層が全体的に白くなっている。
樹脂層を構成する樹脂として、次のものを使用した。
合成例1:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−1
プロピレン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=56.9/43.1、数平均分子量=8,100)280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って撹拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸30gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド25gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−1を使用した。
合成例2:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−2
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が62.3/37.7であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=3,500)を用い、無水マレイン酸の量を60g、ジクミルパーオキサイドの量を30gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−2を使用した。
合成例3:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−3
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が57.3/42.7であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=5,200)を用い、無水マレイン酸の量を20gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−3を使用した。
合成例4:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−4
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が77.7/22.3であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=7,900)を用い、無水マレイン酸の量を70g、ジクミルパーオキサイドの量を30gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−4を使用した。
合成例5:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−5
合成例2において、プロピレン/エチレン共重合体に代えて、プロピレン/ブテン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン/エチレン=50.5/18.5/31.0、数平均分子量=4,500)を用いた以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−5を使用した。
合成例6:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−6
合成例1において、プロピレン/エチレン共重合体に代えて、ブテン/エチレン共重合体(質量比:1−ブテン/エチレン=60.4/39.6、数平均分子量=10,200)を用いた以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−6を使用した。
合成例7:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−7
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が81.8/18.2であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=8,700)を用い、無水マレイン酸の量を80g、ジクミルパーオキサイドの量を35gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−7を使用した。
合成例8:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−8
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が25.0/75.0であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=7,000)を用い、無水マレイン酸の量を2g、ジクミルパーオキサイドの量を1gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−8を使用した。
合成例9:ポリオレフィン樹脂P−9
合成例1において、プロピレン/エチレン共重合体に代えて、プロピレン/ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=79.5/20.5、数平均分子量=12,700)を用い、無水マレイン酸の量を40g、ジクミルパーオキサイドの量を28gに変更した以外は、同様の操作を行って酸変性した、ポリオレフィン樹脂P−9を使用した。
合成例10:ポリオレフィン樹脂P−10
合成例4において、プロピレン/エチレン共重合体に代えて、ホモポリプロピレン(数平均分子量=9,800)を用いた以外は、同様の操作を行って酸変性した、ポリオレフィン樹脂P−10を使用した。
上記樹脂P−1〜P−10の組成および数平均分子量を表1に示す。
Figure 0006955756
製造例1:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、54.0gの酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−1、57.6gのイソプロパノール、33.9gのトリエチルアミンおよび154.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を120℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、176.7gの蒸留水を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、206.7gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な共重合体P−1の水性分散体E−1を得た。
製造例2:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−2
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gの酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−2、93.0gのテトラヒドロフラン、2.0gのシクロヘキサン、30.6gのトリエチルアミンおよび129.4gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を110℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、165.0gの蒸留水および3.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、DMEA)を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、243.2gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な共重合体P−2の水性分散体E−2を得た。
製造例3:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−3
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gの酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−3、90.9gのテトラヒドロフラン、2.1gのシクロヘキサン、9.0gのトリエチルアミンおよび153.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を110℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、55.2gの蒸留水および7.9gのDMEAを追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、138.1gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な共重合体P−3の水性分散体E−3を得た。
製造例4:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−4
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、54.0gの酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−4、57.6gのイソプロパノール、72.0gのトリエチルアミンおよび116.4gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を120℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、247.2gの蒸留水を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、277.2gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な共重合体P−4の水性分散体E−4を得た。
製造例5:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−5
製造例1において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−5を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一な共重合体P−5の水性分散体E−5を得た。
製造例6:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−6
製造例1において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−6を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一な共重合体P−6の水性分散体E−6を得た。
製造例7:酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体水性分散体E−7
製造例4において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−7を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一な共重合体P−7の水性分散体E−7を得た。
製造例8
製造例3において、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体P−8を用いた以外は、同様の操作を行ったが、多量の樹脂の存在が目視で観察され、実質的に共重合体P−8の水性分散体は得られなかった。
製造例9:ポリオレフィン樹脂水性分散体E−9
製造例1において、ポリオレフィン樹脂P−9を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂P−9の水性分散体E−9を得た。
製造例10:ポリオレフィン樹脂水性分散体E−10
製造例4において、ポリオレフィン樹脂P−10を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂P−10の水性分散体E−10を得た。
製造例11
製造例3において、プロピレン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=56.9/43.1、数平均分子量=8,100)を用いた以外は、同様の操作を行ったが、多量の樹脂の存在が目視で観察され、実質的に樹脂の水性分散体は得られなかった。
製造例12:ポリオレフィン樹脂水性分散体E−12
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダインLX−4110、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=91/7/2質量%)、75.0gのn−プロパノール、2.5gのトリエチルアミンおよび162.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、147.8gの蒸留水および2.2gのDMEAを追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、150.0gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−12を得た。
実施例1
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の水性分散体E−1と、オキサゾリン化合物の水溶液(日本触媒社製、エポクロス「WS−700」、固形分濃度:25質量%)とを、オキサゾリン化合物の固形分が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、10質量部となるように混合して得たポリオレフィン樹脂水性分散体を、樹脂層形成用水性分散体として用いて、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−38」、厚み38μm)のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いてコートした後、140℃で15秒間乾燥させて、厚み0.2μmの樹脂層をフィルム上に形成させたのち、50℃で2日間エージングを行うことで離型シートを得た。
実施例2〜13、比較例1〜4
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体の水性分散体の種類、架橋剤の種類と含有量を表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、離型シートを得た。なお、カルボジイミド化合物からなる架橋剤として日清紡社製カルボジライト「E−02」を、エポキシ化合物からなる架橋剤としてADEKA社製アデカレジン「EM−051R」を、イソシアネート化合物からなる架橋剤としてBASF社製Basonat「HW−100」用いた。
実施例14
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体(P−1)100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−12を固形分で40質量部となるように混合し、架橋剤の含有量を表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、離型シートを得た。なお、両樹脂の混合物において、質量比(α−オレフィン/エチレン)は41.4/58.6である。
実施例15
ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製、VC−10、ケン化度99.3モル%以上)の水溶液(固形分濃度10質量%)を、ポリビニルアルコールの固形分が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体(P−1)100質量部に対して、10質量部となるように混合した以外は、実施例1と同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例16
ポリビニルアルコールの水溶液を、ポリビニルアルコールの固形分が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体(P−1)100質量部に対して、15質量部となるように混合した以外は、実施例14と同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例17
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)をTダイ備え付けの押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み500μmの未延伸フィルムとした。続いて、90℃で縦方向に3.4倍延伸させた後、グラビアコート機を用いて、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1と、オキサゾリン化合物の溶液(日本触媒社製、エポクロス「WS−700」、固形分濃度:25質量%)とを、オキサゾリン化合物の固形分が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、10質量部となるように混合して得た水性分散体を、乾燥、延伸後の塗布量が0.2g/mになるように塗布し、次に温度90℃で2秒間予熱した後、240℃で横方向に3.0倍の倍率で延伸し、離型シートを得た。得られたポリエステルフィルムと樹脂層を合わせた厚みは、50μmであった。
実施例18
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体(P−1)100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−12を固形分で40質量部となるように混合し、架橋剤の含有量を表2に記載のように変更し、ポリビニルアルコールの水溶液を、ポリビニルアルコールの固形分が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体(P−1)100質量部に対して、15質量部となるように混合した以外は、実施例17と同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例、比較例で得られた離型シートについて、製造条件や評価結果を表2、表3に示す。
Figure 0006955756
Figure 0006955756
実施例1〜18で得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体と架橋剤とを含有する樹脂層を設けた離型シートは、離型性、耐熱性、高速剥離性、耐ブロッキング性が良好であった。特に、実施例1〜3、6、17は、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を構成するα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比が好ましい範囲であるため、離型性、高速剥離性に優れていた。また、実施例1〜11、14〜18は、離型シートの樹脂層に、架橋剤としてオキサゾリン化合物またはカルボジイミド化合物を含有しているため、離型性、高速剥離性、残留接着率に優れていた。実施例15、16、18は、離型シートの樹脂層にポリビニルアルコールを含有しているため、剥離強度の経時的増加を低減することができた。樹脂層が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体に加えて他のポリオレフィン樹脂を含有する実施例14、16,18の離型シートは、シリコーン系粘着剤に対する残留接着率が優れていた。
一方、比較例1〜4で得られた離型シートは、樹脂層が本発明で規定するα−オレフィン/エチレンの質量比を満たす酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有していなかったため、離型性、耐熱性、高速剥離性、耐ブロッキング性に劣るものであった。
本発明で規定する酸変性量を満たさないα−オレフィン/エチレン共重合体は、製造例8、11に示すように、実質的に水性分散体を得ることができなかった。

Claims (7)

  1. 酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体が水性媒体中に分散されたポリオレフィン樹脂水性分散体であって、
    酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を構成するα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)が、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であり、
    酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体における酸変性成分の含有量が、1.0質量%以上であることを特徴とする離型性樹脂層形成用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
  2. 架橋剤を含有し、架橋剤の含有量が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする請求項1記載の離型性樹脂層形成用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
  3. 架橋剤がオキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項2記載の離型性樹脂層形成用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の離型性樹脂層形成用ポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜。
  5. 基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体を含有し、
    樹脂層におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン/エチレン)が、40/60〜80/20(ただし、40/60は除く)であり、
    酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体における酸変性成分の含有量が、1.0質量%以上であることを特徴とする離型シート。
  6. アクリル系粘着剤層を有する樹脂テープの前記粘着剤層を離型シートの樹脂層表面に貼り付けることで得られた試料を、室温にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で測定したときの粘着剤層と樹脂層との剥離強度が0.5N/cm以下であることを特徴とする請求項5記載の離型シート。
  7. 請求項5または6記載の離型シートを製造するための方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の離型性樹脂層形成用ポリオレフィン樹脂水性分散体を基材上に塗布する工程と、ポリオレフィン樹脂水性分散体が塗布された基材を乾燥する工程を含むことを特徴とする離型シートの製造方法。
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