JP2013184462A - 離型シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着材料との離型性に優れるだけでなく、ロール状に巻き取った場合にもブロッキングを起こさず、また製造が容易な離型シートを提供する。
【解決手段】基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする離型シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型シートおよびその製造方法に関するものである。
粘着シートは、半導体装置、精密機器など電子部品の製造工程において使用されている。この粘着シートの表面には、粘着剤の表面を保護する目的で、使用するまで離型シートが貼り合わされており、また粘着シートを製造する際のキャリアシートとしても離型シートが使用されている。
離型シートは基材表面に離型層が設けられたものであり、離型層は基材表面に離型剤を塗布して形成されている。離型シート用の離型剤としては、一般的にシリコーン系の離型剤が使用されている。しかし、シリコーン系の離型剤を用いた場合、シリコーン系離型剤の中に含まれる低分子量のシリコーン化合物が、粘着シートの粘着剤表面に移行、残存することにより、粘着剤の粘着力が低下するおそれや、この粘着シートを電子材料等に使用すると、残存したシリコーンが電子材料に悪影響を与えるおそれがあることが指摘されていた。
非シリコーン系の離型剤を用いた離型シートとして、特許文献1には、酸変性ポリオレフィンを含む離型剤を塗布して離型層を形成した離型シートが提案され、また特許文献2には、ポリブタジエンを含む剥離剤を塗布し、紫外線照射することにより離型層を形成した離型シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1の離型シートは、様々な被着体に対して良好な離型性を示すものの、粘着剤に対しては剥離が重く、粘着シートから離型シートを剥離する際にハンドリングが悪い場合や、離型シートを剥離した際に粘着シートの粘着剤の表面が粗くなり、粘着シート表面の平滑性や透明性が損なわれる場合があった。
また、特許文献2の離型シートは、粘着剤に対して離型性が良好であるものの、離型層の樹脂が柔らかいため、離型シートをロール状に巻き取った場合に、離型層がブロッキングしてしまい、使用の際にロールから巻き出すことができなくなるおそれがあった。また離型層は、紫外線照射により硬化させる必要があり、製造において特殊な設備や工程が必要であった。またこの離型シートは、基材と離型層との密着性が劣るために、基材と離型層の間にアンカーコート層を設ける必要があり、工程が増える分、コストアップになるという問題があった。さらに、この離型シートは、離型層を設けるために、樹脂を有機溶剤に溶解させた液状物が使用されており、環境面からも好ましくなかった。
特開2009−101680号公報 特開2005−212121号公報
本発明は、これらの問題に鑑み、粘着材料との離型性に優れるだけでなく、ロール状に巻き取った場合にもブロッキングを起こさず、また製造が容易な離型シートを提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有する樹脂層を設けてなる離型シートは、粘着材料との離型性に優れ、かつロール状に巻き取った場合の耐ブロッキング性にも優れ、また容易に製造できることを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
(1)基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする離型シート。
(2)樹脂層とアクリル系粘着剤との剥離強度が、0.5N/cm以下であることを特徴とする(1)記載の離型シート。
(3)基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする(1)または(2)記載の離型シート。
(4)樹脂材料がポリエステル樹脂フィルムであることを特徴とする(3)記載の離型シート。
(5)上記(1)記載の離型シートを製造するための方法であって、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とが、水性媒体に分散されてなり、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部である液状物を、基材上に塗布した後、乾燥することにより、樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。
(6)上記(4)記載の離型シートを製造するための方法であって、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とが、水性媒体に分散されてなり、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部である液状物を、未延伸または一軸延伸ポリエステル樹脂フィルム上に塗布した後、乾燥、フィルムとともに配向延伸することにより、樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。
本発明の離型シートは、離型層に、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有するため、粘着材料との離型性に優れるだけでなく、ロール状に巻き取った場合にもブロッキングを起こすことがない。したがって、本発明の離型シートは、粘着シートの表面を保護することができ、粘着シートの使用時にこれを剥離しても、粘着シートの品質を損なわない。また離型層が、酸変性されたポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンを含有するため、基材上に設けられた離型層は、基材との密着性が良好である。また、本発明の離型シートは、樹脂を水性媒体に分散させた液状物を基材に塗布、乾燥することによって、容易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型シートは、基材と、この基材上に設けられた樹脂層とを有する。そして樹脂層は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有する。
酸変性ポリブタジエンにおけるブタジエンの骨格は、1,2−ビニル型、1,4−トランス型、または1,4−シス型のいずれの構造を有するものでもよく、これらの混合物であってもよく、その比率も特に限定されない。
酸変性ポリブタジエンの酸変性成分としては、不飽和カルボン酸が使用でき、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、入手のし易さからマレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリブタジエン中の不飽和カルボン酸の含有量は、架橋剤との反応の観点および後述する酸変性ポリブタジエンの水性分散体を得やすいという観点から、酸変性ポリブタジエンの酸価として1〜400mgKOH/gが好ましく、30〜300mgKOH/gがより好ましく、50〜300mgKOH/gがさらに好ましく、基材との密着性や離型性の観点から、70〜250mgKOH/gが特に好ましい。
酸変性ポリブタジエンの酸価が1mgKOH/g未満の場合、樹脂層は、基材との密着性が低下することにより、粘着剤表面に移行する可能性があるだけでなく、酸変性ポリブタジエンの水性分散体を得ることが困難になることがある。一方、酸価が400mgKOH/gを超える場合、粘着剤と強く密着することにより離型性が低下してしまう可能性がある。
また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリブタジエン中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。
酸変性ポリブタジエンの数平均分子量は、200〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
酸変性ポリブタジエンは、ポリブタジエンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものを用いるのが簡便である。市販のものとしては、例えば、日本曹達社製マレイン化ブタジエン(BN−1010等)、JX日鉱日石エネルギー社製マレイン化ブタジエン(M−1000−20、M−1000−80、M−2000−20、M−2000−80等)、エボニック・デグサ社製マレイン化ブタジエン(polyvest OC800S等)を使用することができる。
一方、酸変性ポリイソプレンにおけるイソプレンの骨格は、1,2−ビニル型、3,4−ビニル型、1,4−シス型、1,4−トランス型のいずれの構造を有するものでもよく、これらの混合物であってもよい。
酸変性ポリイソプレンの酸変性成分としては、不飽和カルボン酸が使用でき、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、入手のし易さからマレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリイソプレン中の不飽和カルボン酸の含有量は、架橋剤との反応の観点および後述する酸変性ポリイソプレンの水性分散体を得やすいという観点から、酸変性ポリイソプレンの酸価として1〜400mgKOH/gが好ましく、3〜300mgKOH/gがより好ましく、4〜200mgKOH/gがさらに好ましく、基材との密着性や離型性の観点から、5〜100mgKOH/gが特に好ましい。
酸変性ポリイソプレンの酸価が1mgKOH/g未満の場合、樹脂層は、基材との密着性が低下することにより、粘着剤表面に移行する可能性があるだけでなく、酸変性ポリイソプレンの水性分散体を得ることが困難になることがある。一方、酸価が400mgKOH/gを超える場合、粘着剤と強く密着することにより離型性が低下してしまう可能性がある。
また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリイソプレン中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。
酸変性ポリイソプレンの数平均分子量は、200〜100000が好ましく、3000〜70000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
酸変性ポリイソプレンは、ポリイソプレンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものを用いるのが簡便である。市販のものとしては、例えば、クラレ社製無水マレイン酸変性ポリイソプレン「LIR−403」、「LIR−410」などを使用することができる。
本発明の離型シートの樹脂層は、上記酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンとともに架橋剤を含有する。架橋剤としては、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンの酸変性成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物が用いられ、反応性の観点から、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤であることが必要である。
オキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。具体的な商品名としては、例えば、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミドは、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオールなどが共重合されていてもよい。ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的な商品としては、例えば、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」などが挙げられる。
メラミン化合物とは、トリアジン環の3つの炭素原子にアミノ基がそれぞれ結合した、いわゆるメラミン[1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン]のアミノ基に種々の変性を施した化合物の総称であり、トリアジン環が複数縮合したものも含む。変性の種類としては、3つのアミノ基の水素原子のいくつかがアルキル化もしくはメチロール化されたものが広く使用される。一般にアルキル化されたものよりもメチロール化もしくは置換されていない水素原子の方が反応性が高く、用途に応じて適正な種類のメラミン化合物を選定することができる。この中で好ましいのは、トリアジン環の縮合数が平均3以下で、少なくとも1つ以上のアミノ基がメチロール置換されたものであり、これらは水性媒体への分散性と樹脂との反応性の点で優れている。
メラミン化合物の市販品としては、例えば、日本サイテックインダストリー社製のサイメルシリーズ、住友化学社製のスミマール、DIC社製のベッカミンなどが挙げられる。
架橋剤としてのオキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物の合計含有量は、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、1〜50質量部であることが必要であり、2〜30質量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることがさらに好ましい。含有量が1質量部未満では添加効果が乏しく、経時的に離型性が低下する場合があるだけでなく、ロール状に巻き取った際にブロッキングするおそれがある。含有量が50質量部を超えると離型性が低下する場合がある。なお、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から2種以上を選んで同時に用いることもでき、同時に用いる場合、それらの合計量が上記の含有量の範囲を満たしていればよい。
本発明の離型シートの樹脂層は、長鎖アルキル系化合物を含む。長鎖アルキル系化合物は、主に、離型シートをロール状に巻き取った際のブロッキングを防止する役割を果たす。本発明でいう長鎖アルキル系化合物とは、長鎖アルキル基を有する化合物を指し、長鎖アルキル基を含む化合物であれば特に限定されないが、主鎖ポリマーの側鎖に長鎖アルキル基を有するものが挙げられる。
主鎖ポリマーの側鎖に長鎖アルキル基を有する化合物において、主鎖ポリマーとしては、アクリレート系の重合体もしくは共重合体、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物も含む)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物も含む)、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸共重合体の部分ケン化物も含む)、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリウレタンなどが挙げられる。
一方、側鎖の長鎖アルキル基は、炭素数が6以上であるものが好ましく、10〜30であるものがより好ましく、12〜30であるものがさらに好ましい。側鎖の長鎖アルキル基の炭素数が少ない場合、ブロッキングを防止する効果が小さい場合があり、一方、側鎖に炭素数が大きい長鎖アルキル基を有する長鎖アルキル基化合物は、実際に得ることが困難となる場合がある。
アクリレート系の重合体もしくは共重合体を主鎖ポリマーとする長鎖アルキル系化合物は、長鎖アルキル基を有する不飽和単量体をラジカル重合させることにより得ることができる。具体的には、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル基を有する不飽和単量体を重合させたもの、またはその他の単量体と共重合させたものが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを指す。
またポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリウレタンなどを主鎖ポリマーとする長鎖アルキル系化合物は、これら主鎖ポリマーに長鎖アルキル基を導入することによって得ることができる。すなわち、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基を有する上記主鎖ポリマーと、これらの官能基と反応しうる官能基と長鎖アルキル基とを有する化合物を反応させることにより、主鎖ポリマーに長鎖アルキル基を導入することができる。
主鎖ポリマーに含まれる官能基と反応しうる官能基としては、イソシアネート基、カルボン酸基、酸ハライド基、ケテン基、アルデヒド基、エポキシ基などが挙げられ、これらの官能基とともに長鎖アルキル基を有する化合物が主鎖ポリマーとの反応に用いられる。
イソシアネート基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ドコサニルイソシアネート等が挙げられ、カルボン酸基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、オクタン酸、ドデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸等が挙げられ、酸ハライド基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、オクタノイルクロライド、ドデカノイルクロライド、ドコサノイルクロライド等が挙げられ、ケテン基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、オクチルケテンダイマー、ドデシルケテンダイマー、オクタデシルケテンダイマー、ドコサニルケテンダイマー等が挙げられ、アルデヒド基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、ドコサニルアルデヒド等が挙げられ、エポキシ基と長鎖アルキル基とを有する化合物としては、オクチルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、ドコサニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
長鎖アルキル系化合物中の長鎖アルキル基の割合が少なくなると、十分なブロッキング防止効果が得られないおそれや、また離型性能が低下するおそれがあるので、主鎖ポリマーの反応性官能基1当量に対して、長鎖アルキル基を有する化合物が0.5当量以上導入されていることが好ましく、0.6当量以上導入されていることがより好ましい。
長鎖アルキル系化合物は市販されているものを使用してもよく、具体的には、中京油脂社製の長鎖アルキル系化合物の水性分散体であるレゼムシリーズの「K−256」、「N−137」、「P−677」、「Q−472」、アシオ産業社製の長鎖アルキル系化合物であるアシオレジンシリーズの「RA−95H」、「RA−585S」、一方社油脂社製の長鎖アルキル化合物であるピーロイルシリーズの「HT」、「1050」、「1010」、「1070」、「406」、日本酢ビ・ポバール社製の長鎖アルキル化合物である「ZF−15」、「ZF−15H」などが挙げられる。
長鎖アルキル系化合物の含有量は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、1〜50質量部であることが必要であり、2〜30質量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることがさらに好ましい。長鎖アルキル系化合物の含有量が1質量部未満では添加効果が乏しく、ロール状に巻き取った場合にブロッキングするおそれがある。含有量が50質量部を超えると離型性が低下する場合がある。なお、長鎖アルキル系化合物は、複数の種類を同時に用いることもでき、同時に用いた場合、長鎖アルキル系化合物の合計量が上記の長鎖アルキル系化合物の含有量の範囲を満たしていればよい。
離型シートの基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等で形成されたものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。
基材に用いることができる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;ナイロン6、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリイミド樹脂;これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。樹脂材料は延伸処理されていてもよい。中でも、基材は、機械的特性および熱的特性に優れるポリエステル樹脂フィルムが好ましく、安価で入手が容易という点からポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂からなるフィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。熱可塑性樹脂フィルムは、その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等を施したものでもよい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層などの他の層が積層されていてもよい。
基材として用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等を挙げることができる。紙には、目止め層などが設けてあってもよい。
基材として用いることができる合成紙は、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙も使用することができる。
基材として用いることができる布としては、上述した合成樹脂からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる不織布、織布、編布などが挙げられる。基材として用いることができる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔や、アルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。基材として用いることができるガラス材料としては、ガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
本発明の離型シートの樹脂層は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤とを特定の割合で含有するため、アクリル系粘着材料を貼り付けた後の樹脂層とアクリル系粘着材料の間の剥離強度を、0.5N/cm以下とすることができ、より好ましくは、0.4N/cm以下、さらに好ましくは0.3N/cm以下、最も好ましくは、0.2N/cm以下とすることができる。剥離強度が0.5N/cmを超える場合、粘着材料用の離型シートとして使用することが困難となることがある。
また本発明の離型シートの樹脂層は、粘着材料を貼り付け後長時間経過した後も、樹脂層と粘着材料との剥離強度の変化を小さく抑えることができる。離型シートを貼り付けた粘着材料は、保管、流通の過程において、高温下に長時間曝される場合があるので、経時で剥離強度変化が大きいと、離型シートとして使用することが困難になることがあり、好ましくない。そのため、離型シートにアクリル系粘着材料を貼り付けて、70℃の高温条件下で保存した場合の樹脂層と粘着材料との間の剥離力についても、上記剥離強度の範囲を満たすことが好ましい。70℃処理の前後で剥離強度が大きく異なる場合、離型シートと粘着材料を貼り付けた後、長期保存したり高温で放置したときに、剥離強度が大きく変化することがあり、離型シートとして使用する上で好ましくない。
離型シートにおける樹脂層の厚みは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.02〜1μmであることがより好ましく、0.03〜0.5μmであることがさらに好ましく、0.05〜0.3μmであることが特に好ましい。樹脂層の厚みが0.01μm未満では十分な離型性が得られず、厚みが5μmを超える場合はコストアップとなるだけでなく、離型性が低下したり、離型シートをロール状に巻いた場合にブロッキングする場合がある。
本発明において樹脂層を基材上に積層する方法は特に限定されないが、例えば、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、架橋剤と、長鎖アルキル系化合物と、媒体とを含む液状物を作成し、この液状物を基材に塗布して媒体を乾燥させる方法が樹脂層の厚みを均一にしやすく、大量生産が可能という点で好ましい。さらに、作業環境向上の観点から媒体として、水性媒体を用いることが好ましい。
酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤と長鎖アルキル系化合物を混合する方法は、各成分が液状媒体中に均一に混合される方法であれば、特に限定されない。例えば、酸変性ポリブタジエンおよび/または変性ポリイソプレンの分散液に、架橋剤の分散液または溶液、長鎖アルキル系化合物の溶液または分散液を添加して混合する方法や、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤と長鎖アルキル系化合物との混合物を液状化する方法が挙げられる。
酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンを水性媒体に分散させ、水性分散体を得る方法は特に限定されないが、例えば、密閉可能な容器に酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン、有機溶剤、水などの原料を投入し、槽内の温度を40〜150℃程度の温度に保ちつつ攪拌を行うことにより、水性分散体とする方法などが挙げられる。例えば、国際公開02/055598号パンフレットに記載された方法が挙げられ、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンを水性媒体中で塩基性化合物を用いて中和することにより、良好な水性分散体が得られる。
上記塩基性化合物は、樹脂層形成後の塗膜の耐水性の点から、揮発性であることが好ましい。本発明において、「揮発性」とは常圧における沸点が250℃以下であることを指すものとする。沸点が250℃を超えると、樹脂塗膜から乾燥によって塩基性化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
本発明でいう水性媒体とは、水を主成分とする媒体であって、有機溶剤や水溶性の塩基性化合物を含有していてもよい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類、加えて後述の親水性の有機溶剤などが挙げられる。
親水性の有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセトニトリル等が挙げられる。
水溶性の塩基性化合物の具体例としては、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等の有機アミン化合物等を挙げることができる。
水性分散体中の酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン粒子の数平均粒子径(以下、mn)は、水性分散体の保存安定性、塗膜の透明性、30℃以下の低温での造膜性が向上する点から、いずれも0.5μm以下が好ましく、0.005〜0.3μmがより好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。さらに、重量平均粒子径(以下、mw)に関しては、1μm以下が好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましく、0.01〜0.2μmが特に好ましい。
上記の方法により得られる酸変性ポリブタジエンおよび/または変性ポリイソプレンの水性分散体に、架橋剤の分散液または溶液、また長鎖アルキル系化合物の溶液または分散液を添加、混合して液状物を得ることができる。
液状物に添加される長鎖アルキル系化合物は、水性媒体中に溶解されたものでも、分散されたものでもよい。長鎖アルキル化合物の分散には乳化剤が使用されていてもよい。乳化剤としては、一般的に使用されているものを用いてもよいが、中でも、高分子量の界面活性剤を用いることが好ましい。すなわち、乳化剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ブチル(メタ)アクリレート−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体などポリアルキル(メタ)アクリル酸の単独重合体又は共重合体;酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−マレイン酸共重合体等のマレイン酸共重合体;メチル(メタ)アクリレート−フマール酸共重合体、酢酸ビニル−フマール酸共重合体等のフマール酸共重合体;ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ブチルナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ホルマリン縮合物等の芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物;ポリN−メチルビニルピリジニウムクロライド等のポリアルキルピリジニウム塩(ビニルピリジンとこれと共重合するビニルモノマーとの共重合体からの誘導体も含む);ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール;ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アラビヤゴム、アラビノガラクタンなどの多糖類誘導体などが挙げられ、これらの少なくとも一種が使用できる。これらの化合物のうち、カルボキシル基、スルホン基を有するものは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどのアルカリ塩として使用することもできる。
本発明で使用される液状物における固形分の含有率は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択することができ、特に限定されるものではない。しかし、液状物の粘度を適度に保ち、かつ良好な樹脂層を形成させるためには、固形分の含有率は1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
さらに、液状物に、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加してもよい。また、液状物の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を液状物に添加することもできる。
本発明の離型用シートは、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤と長鎖アルキル系化合物とを含有する液状物を、基材上に塗布したのち乾燥するという製造方法によって、工業的に簡便に得ることができる。
すなわち、上記のような液状物を用いて、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により基材表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な樹脂層を基材に密着させて形成することができる。
基材上に樹脂層を形成した後、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤との反応を促進させるために、一定の温度にコントロールされた環境下でエージング処理をおこなってもよい。エージング温度は、基材へのダメージを軽減させる観点からは、比較的低いことが好ましく、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましい。エージングは20〜100℃でおこなうことが望ましく、30〜70℃でおこなうことがより好ましく、40〜60℃でおこなうことがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂フィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムに液状物を塗布する場合、二軸延伸されたフィルムに塗布後乾燥、熱処理してもよく、また、配向が完了する以前の未延伸フィルムあるいは一軸延伸の終了したフィルムに液状物を塗布し、乾燥後加熱して延伸するか、あるいは加熱して乾燥と同時に延伸して、配向を完了させてもよい。後者の未延伸フィルムあるいは一軸延伸終了後のフィルムに液状物を塗布後、乾燥、延伸配向する方法は、熱可塑性樹脂フィルムの製膜と同時に樹脂層を積層することができるため、コストの点から好ましく、また延伸工程において樹脂層に高温の熱がかかることにより、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤との反応を効率的に進められるという点からも好ましい。また、液状物として水性分散体を使用することが、製造工程内に防爆設備が不要であるなどの点からより好ましい。
本発明の離型シートは、様々な材料に対して良好な離型性を有することから、様々な材料に対して使用することができ、特に粘着材料に対して好適に使用することができる。
粘着材料としては、基材に粘着剤が積層されたものが挙げられ、実務上は、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどの形態で使用される。粘着剤の成分や基材は特に限定されない。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられ、中でもアクリル系粘着剤に対して本発明の離型フィルムは優れた離型性を示す。粘着剤には、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。粘着材料における基材としては、上述の紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)樹脂の酸価
樹脂0.15gを20mlのテトラヒドロフランに溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOH水溶液で滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数から樹脂中の酸価(mgKOH/g)を求めた。
(2)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(3)水性分散体の平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径(mn)および重量平均粒子径(mw)を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(4)樹脂層の厚み
得られた離型シートの全体の厚さを接触式膜厚計により測定し、その測定値から基材フィルムの厚さを減じて求めた。
(5)剥離強度(常温)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、剥離強度測定用試料とした。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180℃、剥離速度は300mm/分とした。
(6)剥離強度(常温−24時間経過後)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、25℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180℃、剥離速度は300mm/分とした。
(7)剥離強度(70℃−24時間経過後)
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180℃、剥離速度は300mm/分とした。
(8)耐ブロッキング性
得られた離型シートを50mm×50mmの大きさに切り出し、樹脂層と基材の樹脂層を積層していない面とが接触するように2枚を重ね、60℃で10kPaの荷重をかけた状態で、24時間放置したあと、荷重を取り除いて室温まで冷却した後、樹脂層と基材の樹脂層を積層していない面との密着状態を調べることで耐ブロッキング性を評価した。2枚のシートに密着が見られない、または、2枚のシートが非常に軽く剥がれ、樹脂層に白化などの変化が見られないものを○(良好)、2枚のシートが軽く密着し、2枚のシートは剥がれるもの、樹脂層の一部に白化が見られるものを△(やや不良)、樹脂層が凝集破壊を起こしたり、2枚のシートを剥がした後の樹脂層が全体的に白くなっているものを×(不良)とした。
参考例1
(酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリブタジエン(エボニック・デグサ社製、polyvest OC800S、数平均分子量2400、酸価70〜90mgKOH/g)、60.0gのイソプロパノール(和光純薬社製、以下、IPA)、15gのトリエチルアミン(和光純薬社製、以下、TEA)および165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ系は乳白色になった。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を80℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1を得た。
参考例2
(酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリイソプレン(クラレ社製、クラプレン LIR−403、数平均分子量34000、酸価9〜11mgKOH/g)、60.0gのIPA、15gのTEAおよび165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌しながら、加熱し、系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2を得た。
参考例3
(酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリイソプレン(クラレ社製、クラプレン LIR−410、数平均分子量30000、酸価23〜30mgKOH/g)、60.0gのIPA、15gのTEAおよび165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ系は乳白色になった。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3を得た。
参考例4
(酸変性ポリイソプレン水性分散体T−4の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリイソプレン(クラレ社製、クラプレン LIR−403、数平均分子量34000、酸価9〜11mgKOH/g)、60.0gのIPA、9.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製、以下、DMEA)および165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌しながら、加熱し、系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。その後、水性分散体から、IPAを除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒留去した。その後、空冷にて室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリイソプレン水性分散体T−4を得た。
参考例5
(酸変性ポリオレフィン水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダイン LX−4110)、90.0gのIPA、3.0gのTEAおよび147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
参考例1〜5で製造した水性分散体の組成、平均粒子径を表1に示した。
Figure 2013184462
実施例1
酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロス WS−500、固形分濃度40質量%、以下、WS−500)と、長鎖アルキル系化合物(部分ケン化されたポリ酢酸ビニルとオクタデシルイソシアネートとを反応させて得られた長鎖アルキルカルバメート)の水性分散体(中京油脂社製、レゼム K−256、固形分濃度20質量%、以下、K−256)とを、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が15質量部、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が20質量部となるように混合して液状物を得た。
この液状物を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エンブレット S−50、厚み50μm、以下、S−50)のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に厚み0.2μmの樹脂層を形成した離型シートを得た。
実施例2
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が30質量部となるように、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が10質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例3
酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2と、オキサゾリン化合物の水性溶液WS−500と、長鎖アルキル系化合物の水性分散体K−256とを、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が5質量部となるように、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が1質量部となるように混合して液状物を得た。
この液状物を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムS−50のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に厚み0.2μmの樹脂層を形成した離型シートを得た。
実施例4
実施例3において、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、長鎖アルキル系化合物固形分の量が50質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例5
実施例4において、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が1質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例6
実施例3において、オキサゾリン系化合物の水性溶液WS−500に代えて、オキサゾリン化合物の水性分散体(日本触媒社製、エポクロス K−2030E、固形分濃度40質量%、以下、K−2030E)を用い、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が15質量部となるように、また長鎖アルキル化合物固形分の量が10質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例7
実施例3において、オキサゾリン化合物の水性溶液WS−500に代えて、カルボジイミド化合物の水性分散体(日清紡社製、カルボジライト E−02、固形分濃度40質量%、以下、E−02)を用い、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が10質量部となるように、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が20質量部となるようにした以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例8
実施例3において、長鎖アルキル系化合物の水性分散体K−256に代えて、長鎖アルキル基グラフトポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製、ZF−15)の水溶液を用い、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して長鎖アルキル化合物固形分の量が5質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例9
実施例8において、長鎖アルキル系化合物固形分の量を1質量部となるようした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例10
実施例3において、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2に代えて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3を用い、酸変性ポリイソプレン100質量部に対してオキサゾリン化合物固形分の量が10質量部となるように、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が25質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例11
実施例10において、オキサゾリン系化合物の水性溶液WS−500に代えて、オキサゾリン化合物の水性分散体K−2030Eを用いて、酸変性ポリイソプレン100質量部に対してオキサゾリン化合物固形分の量が50質量部となるように、また長鎖アルキル系化合物固形分の量が1質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
実施例12
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)をTダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み500μmの未延伸フィルムとした。
続いて、未延伸フィルムを90℃で縦方向に3.4倍延伸させた後、グラビアコート機を用いて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−4と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロス WS−700、固形分濃度25質量%、以下、WS−700)と、長鎖アルキル系化合物K−256とを、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が5質量部、長鎖アルキル化合物固形分の量が5質量部となるように混合した液状物を、乾燥、延伸後の塗布量が0.1g/mになるように塗布し、次に温度90℃で2秒間予熱した後、240℃で横方向に3.5倍の倍率で延伸し、離型シートを得た。得られたポリエステルフィルムと樹脂層を合わせた厚みは50μmであり、樹脂層の厚みは、0.05μmであった。
実施例13
実施例12において、オキサゾリン化合物の水性溶液WS−700に代えて、メラミン化合物含有溶液(DIC社製、ベッカミン J−101、固形分濃度71質量%)を用いて、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、メラミン化合物固形分の量が30質量部となるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
比較例1
実施例1において、長鎖アルキル系化合物を用いなかった以外は、同様の操作を行なって離型シートを得た。
比較例2
実施例1において、オキサゾリン系化合物を用いなかった以外は、同様の操作を行なって離型シートを得た。
比較例3
酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムS−50のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に厚み0.2μmの樹脂層を形成した離型シートを得た。
比較例4
比較例3において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2を用いた以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
比較例5
実施例1において、酸変性ポリブタジエンとオキサゾリン系化合物とを用いずに、長鎖アルキル系化合物のみを用いた以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
比較例6
実施例1において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が5質量部となるようにした以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
比較例7
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が60質量部になるようにした以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
比較例8
実施例7において、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が60質量部になるようにした以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
比較例9
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、長鎖アルキル系化合物固形分の量が0.5質量部になるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
比較例10
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、長鎖アルキル系化合物固形分の量が60質量部になるようにした以外は同様の操作を行なって、離型シートを得た。
比較例11
比較例2において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性されていないポリイソプレンの水性分散体(クラレ社製、クラプレン、LIR−700)を用いた以外は同様の操作を行って、離型シートを得た。
実施例、比較例で得られた離型シートについて、剥離強度を測定した結果と、耐ブロッキング性を評価した結果とを表2に示す。
Figure 2013184462
実施例1〜13で得られた離型シート、すなわち、基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有し、酸変性ポリブタジエン、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物の含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部である離型シートは、離型性と耐ブロッキング性とに優れるものであった。なかでも、酸変性ポリイソプレンを使用した樹脂層は、高温で放置後も剥離強度の変化が小さい傾向にあり、好ましいものであった。
比較例1、9に示すように、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンと架橋剤とを含むが、長鎖アルキル系化合物の含有量が本発明の範囲未満のものは、剥離性に優れるものの、耐ブロッキング性に劣るものであった。比較例2に示すように、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンと長鎖アルキル化合物とを含むが、架橋剤を含まないものは、剥離強度が大きいものであり、耐ブロッキング性にも劣るものであった。
比較例3、4に示すように、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンまたは酸変性ポリイソプレンのみの場合、離型性に劣るだけでなく、耐ブロッキング性も不十分であった。比較例5に示すように、樹脂層が、長鎖アルキル系化合物のみの場合、高温処理後の剥離強度が大きいものであった。
比較例6に示すように、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン以外の樹脂を使用した場合、剥離強度が大きいものであった。
比較例7、8、10に示すように、架橋剤、長鎖アルキル化合物の含有量が本発明の範囲を超えるものは、剥離強度が大きいものであった。
比較例11に示すように、酸変性されていないポリイソプレンを用いた場合、基材との密着性が非常に低いために、基材と樹脂層の間で剥離してしまい、樹脂層は粘着テープ側に全面的に移行し、離型シートとして使用することができないものであった。さらに、耐ブロッキング性も十分とはいえないものであった。

Claims (6)

  1. 基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部であることを特徴とする離型シート。
  2. 樹脂層とアクリル系粘着剤との剥離強度が、0.5N/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の離型シート。
  3. 基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の離型シート。
  4. 樹脂材料がポリエステル樹脂フィルムであることを特徴とする請求項3記載の離型シート。
  5. 請求項1記載の離型シートを製造するための方法であって、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とが、水性媒体に分散されてなり、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部である液状物を、基材上に塗布した後、乾燥することにより、樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。
  6. 請求項4記載の離型シートを製造するための方法であって、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤と、長鎖アルキル系化合物とが、水性媒体に分散されてなり、酸変性ポリブタジエンおよび酸変性ポリイソプレンの合計100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびメラミン化合物の合計含有量が1〜50質量部であり、長鎖アルキル系化合物の含有量が1〜50質量部である液状物を、未延伸または一軸延伸ポリエステル樹脂フィルム上に塗布した後、乾燥、フィルムとともに配向延伸することにより、樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。

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