JP2013111884A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックグリーンシートの工程用フィルムにおいて、離型層を構成するシリコーン系樹脂に由来する問題を解消し、軽剥離性及び表面平滑性に優れた離型シートを提供する。
【解決手段】表面粗さSaが6〜20nmであるポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に樹脂層を設けてなる離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物が1〜50質量部であることを特徴とする離型フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックグリーンシート製造において、好適に使用できる離型フィルムに関するものである。
従来より、セラミックコンデンサ等の材料であるセラミックグリーンシートを製造する際の工程用キャリアフィルムとして、耐熱性、寸法安定性、平滑性、透明性、強度に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)を主とするポリエステルフィルムの表面に、離型層を設けた離型フィルムが使用されている。
セラミックグリーンシート製造の工程用キャリアフィルムとしては、離型層が、軽剥離性に優れることが重要であり、このため、離型層を構成する樹脂としては、硬化性シリコーン系樹脂が一般的に使用されている。
しかし、シリコーン系樹脂を用いた場合、シリコーン系樹脂中に含まれる低分子量のシリコーン化合物やシリコーン樹脂被膜の一部が、該セラミックグリーンシート表面に移行し、残存することにより、該セラミックグリーンシートの積層時におけるシート間の密着強度が不足したり、あるいは移行したシリコーン樹脂被膜の一部がセラミックグリーンシート積層後の焼成工程でセラミックコンデンサ内部に気泡を生じさせるため、積層型セラミックコンデンサの耐電圧不良率が大幅に上昇し好ましくない。
そのため、架橋反応が付加反応で行われるシリコーン系樹脂を用いる方法(特許文献1)や、樹脂被膜に、水酸基を有するシリコーンオイルとイソシアネート化合物を反応させたシリコーン化合物を含有させる方法(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、これらの方法は、シリコーン系樹脂中に含まれる低分子量のシリコーン化合物やシリコーン樹脂被膜の一部が、該セラミックグリーンシート表面に移行することを減少させることはできるが、皆無にすることはできないものであった。
近年、セラミックチップコンデンサの小型・大容量化が進むのに伴い、セラミック層の1層の厚さをより薄膜化し、かつ、多層積層することが要望されている。しかしながら、厚さが数μm以下のセラミックグリーンシートを製造しようとした場合に、離型フィルムの離型層側の表面に粗大突起があると、離型フィルム上にセラミックスラリーを塗布する場合に、はじきやピンホールの発生といった問題が起こる場合があり、離型フィルムには表面平滑性も求められている。
特開平11−300719号公報 特開2005−313601号公報
本発明は、セラミックグリーンシートの工程用フィルムにおいて、離型層を構成するシリコーン系樹脂に由来する問題を解消し、軽剥離性及び表面平滑性に優れた離型フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤とを含有する樹脂層は、離型性に優れ、この樹脂層を特定の表面粗さを有するポリエステルフィルムに積層してなる離型フィルムは、セラミックグリーンシート製造の工程用フィルムとして有効であることを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)表面粗さSaが6〜20nmであるポリエステルフィルムの少なくとも片方の面に樹脂層を設けてなる離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物が1〜50質量部であることを特徴とする離型フィルム。
(2)樹脂層とポリエステル粘着テープとの剥離強度が、0.5N/cm以下であることを特徴とする(1)記載の離型フィルム。
(3)ポリエステルフィルムが、体積平均粒子径0.5〜1.5μmの粒子A0.03〜0.20質量%と、体積平均粒子径0.05〜0.3μmの粒子B0.05〜0.20質量%とを含有することを特徴とする(1)または(2)記載の離型フィルム。
本発明の離型フィルムを用いることで、シリコーン系樹脂を離型層とすることなく、セラミックグリーンシートの剥離性を満足することができ、また、シリコーン系樹脂中に含まれる低分子量のシリコーン化合物やシリコーン樹脂被膜の一部が、該セラミックグリーンシート表面に移行することや残存することがないので、セラミックグリーンシートを効率良く製造できる。また離型フィルムは表面平滑性に優れるため、はじきやピンホールの発生といった問題を生じることがなく、厚さが数μm以下のセラミックグリーンシートを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムと、このポリエステルフィルムの少なくとも片方の面に設けられた樹脂層とを有する。そして樹脂層は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、架橋剤とを含有する。
本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)あるいはポリ−p−エチレンオキシベンゾエート(PEOB)、ポリ乳酸(PLA)等の熱可塑性ポリエステル系樹脂であれば特に制限はない。これらは、単独で使用してもよいし、また、二種以上の樹脂を混合してもよいし、2層以上に積層してもよい。
中でもポリエチレンテレフタレートが安価であり、フィルムの延伸性に優れることから好適に使用される。ポリエチレンテレフタレートは、通常、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとからのエステル交換方法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコールとからの直接エステル化法によりオリゴマーを得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合して得られる。
本発明に使用するポリエステル樹脂は、目的とする樹脂物性を得るため、他の成分を共重合することによって得ることもできる。他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、グリコール成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。
本発明において用いられるポリエステル樹脂の分子量については特に制限はなく、溶融押出しによりフィルム化することができる範囲であればよい。溶融押出し時に溶融樹脂の粘度が低すぎるとフィルム化できないため、フェノール/テトラクロルエタン=1/1(質量%比)の混合溶媒を用いて25℃で測定した時のポリエステル樹脂の極限粘度は、0.4(dl/g)以上であることが好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムは、表面粗さSa(平均偏差)が6〜20nmであることが必要である。ポリエステルフィルムの表面粗さSaが6nm未満であると、滑り性が劣り、フィルム巻取り時にシワが入ったり、ロール保管時にブロッキングして繰り出しの際にフィルム表面が荒れたりする場合がある。表面粗さSaが20nmを超えると、滑り性やブロッキング性は良化するが、フィルム表面が荒れて、セラミックグリーンシート製造工程において、セラミックシートのピンホール発生などの不良が発生する場合がある。
本発明においてポリエステルフィルムは、特定の体積平均粒子径を有する粒子Aと粒子Bとを含有することが好ましい。ポリエステルフィルムが2層以上に積層されている場合は、最外層に粒子Aと粒子Bとが含有されていることが好ましく、例えば、層1/層2からなる2層の場合においては、層1と層2に、また中間層を有する層1/層2/層3からなる3層の場合においては、層1と層3に含有されていることが好ましい。
本発明で用いられる粒子Aは、体積平均粒子径が0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.3μmの範囲、さらに好ましくは0.8〜1.2μmの範囲である。粒子Aの体積平均粒子径が0.5μm未満では、たとえ多くの粒子を添加しても、易滑性が不十分なため巻取り難いフィルムになり、巻取りロールに多量の空気溜まりやシワが入りやすくなる。巻取れたとしても、フィルム同士の密着性が強いために、繰り出し時にブロッキングしやすくなる。セラミックグリーンシート製造工程において、問題が発生する可能性がある。また粒子Aの体積平均粒子径が1.5μmを超えると、フィルム表面の突起高さが高すぎるため、セラミックグリーンシート製造工程において、ピンホールを発生させるリスクが高くなる。
また粒子Aの含有量は、0.03〜0.20質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.12質量%の範囲、さらに好ましくは0.06〜0.10質量%の範囲である。粒子Aの含有量が0.03質量%未満の場合、易滑性が不十分なため巻取り難いフィルムになり、巻取りロールに多量の空気溜まりやシワが入りやすくなる。巻取れたとしても、フィルム同士の密着性が強いために、繰り出し時にブロッキングしやすくなる。粒子Aの含有量が0.20質量%を超える場合、優れた巻取り性を有するが、平滑性が損なわれ、セラミックグリーンシート製造工程中に問題が発生しやすくなる。
本発明において、ポリエステルフィルムに、粒子Aよりも粒子径が小さい粒子Bが含有されると、透明性を維持したまま、空気抜け性や易滑性を向上させ、巻取り性が向上するため、耐スリキズ性も向上し、より高い品位のポリエステルフィルムを提供することができる。
粒子Bは、体積平均粒子径が0.05〜0.3μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.08〜0.2μmの範囲、さらに好ましくは0.12〜0.18μmの範囲である。粒子Bの体積平均粒子径が0.05μm未満では、溶融押し出し工程において粒子同士の二次凝集しやすく、数μm以上の凝集物が発生する危険性が高くなる。体積平均粒子径が0.3μmを超えると、平滑性を損なうため好ましくない。
粒子Bの含有量は、0.05〜0.20質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.15質量%の範囲である。粒子Bの含有量が0.05質量%未満の場合、粒子Bの効果が発揮されず、巻取り性の向上が期待できず、またスリキズがつきやすくなってしまう。粒子Bの含有量が0.20質量%を超えると、さらなる巻取り性、耐スリキズ性の向上はほとんどなく、平滑性、透明性が損なわれてしまう。
粒子Aおよび粒子Bを構成する素材としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ゼオライト、カオリン、クレー、タルク、マイカ等が用いられる。粒子Aとしては、二次凝集しにくい炭酸カルシウムが好適である。粒子Bとしては、特に酸化ケイ素(シリカ)が、粒径分布、製膜性に優れ、安価なことから好適である。しかし、粒子Aおよび粒子Bは、特にこれら素材に限定されるものではなく、粒子径と含有量が重要なファクターである。
粒子Aおよび粒子Bは、ポリエステルフィルムとの相溶性を良くし、ボイドの発生を防止するために、あらかじめ表面処理を行うことも可能である。表面処理方法としては、シランカップリング剤による処理、アクリル酸、アクリル酸エステルなどアクリル系化合物を添着させる処理などの化学的処理、およびコロナ処理などの物理的処理のどちらも可能である。
ポリエステル樹脂中に粒子Aおよび粒子Bを添加する時期は、特に制限はないが、エステル化工程が終了してから実質的重縮合に入る任意の時点に添加すると、粒子Aおよび粒子Bの分散性がよく、好適である。また、従来公知のミキサー等によってポリエステル樹脂中に直接粒子Aおよび粒子Bを添加しミキシングしてもよいが、粒子Aおよび粒子Bがポリエステル樹脂中で十分均一に分散されている必要がある。
粒子AおよびBを該樹脂中に十分分散させるには、撹拌機、サンドミル、高圧分散機等公知の機械を使用して、十分一次粒子まで解砕しておくことが好ましい。また粒子がポリエステル樹脂中で凝集しないような従来公知の重合方法の採用や分散助剤の添加が好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、12〜350μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましい。
本発明においてポリエステルフィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。ポリエステルフィルムは、その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等を施したものでもよい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層などの他の層が積層されていてもよい。
次にポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂と粒子Aと粒子Bとを単軸あるいは二軸押出機で、ポリエステル樹脂の融点〜(融点+40℃)の温度範囲で溶融混合する。
得られたポリエステル樹脂組成物は、絶対濾過径10〜30μmのフィルターを介して単独で、あるいは積層させる場合は他の積層させるポリマーと共に、Tダイやサーキュラーダイから膜状に溶融押出し、静電印加キャスト法、エアーナイフ法等の公知の方法により40℃以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて急冷し、ガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化して所望の厚さの未延伸シートを得る。
このようにして得られた未延伸フィルムは、表面上は比較的滑らかであるが、延伸することによりフィルム表面上に突起物が形成される。
二軸延伸方法としては、テンター式同時二軸機により縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸方法、ロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式横延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸方法等を用いることができる。
未延伸フィルムの延伸温度は熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移温度より低い温度では熱可塑性ポリエステル樹脂が溶融しにくくなるためフィルムの延伸性が悪くなるからである。
延伸倍率は、一軸延伸の場合は1.5倍以上が好ましく、縦横二軸延伸の場合も、縦横に各々1.5倍以上が好ましく、面積倍率で通常3倍以上、好ましくは面積倍率にして6〜20倍、より好ましくは、6.5〜13倍の範囲である。面積倍率が3倍未満の場合、空気抜け時間の短いフィルムを得ることは困難である。
さらに、延伸後のフィルムはテンター内で縦及び横方向に弛緩率を0〜10%として150℃〜(熱可塑性樹脂の融点−5℃)以下で数秒間熱処理した後、室温まで冷却し、20〜200m/分の速度で巻き取って所望の厚さのフィルムを得る。
延伸後の熱処理は、フィルムの熱収縮率を小さくするために必要な工程である。熱処理方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等を用いることができるが、均一に精度良く加熱するためには熱風を吹き付ける方法が好ましい。
二軸延伸フィルムの製造においては、テンター内でクリップで把持しているフィルム端部を延伸処理後に切断(耳トリミング)しているが、この耳トリミング部をスクラップ処理せずに、リサイクルのために本発明にて使用する単軸押出機または二軸押出機に再投入してフィルム原料として使用しても構わない。
本発明の離型フィルムは、上記ポリエステルフィルムの少なくとも片方の面に樹脂層が設けられ、樹脂層は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、架橋剤とを含有する。
本発明に用いられる酸変性ポリブタジエンにおけるブタジエンの骨格は、1,2−ビニル型、1,4−トランス型、または1,4−シス型のいずれの構造を有するものでよく、これらの混合物であってもよく、その比率も特に限定されない。
酸変性ポリブタジエンの酸変性成分としては、不飽和カルボン酸が使用でき、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、入手のし易さからマレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリブタジエン中の不飽和カルボン酸の含有量は、架橋剤との反応の観点および後述する酸変性ポリブタジエンの水性分散体を得やすいという観点から、酸変性ポリブタジエンの酸価として1〜400mgKOH/gが好ましく、30〜300mgKOH/gがより好ましく、50〜300mgKOH/gがさらに好ましく、ポリエステルフィルムとの密着性や離型性の観点から、70〜250mgKOH/gが特に好ましい。
酸変性ポリブタジエンの酸価が1mgKOH/g未満の場合、樹脂層は、ポリエステルフィルムとの密着性が低下することにより、セラミックグリーンシート剥離時に該セラミックグリーンシートに樹脂層が移行する可能性があるだけでなく、酸変性ポリブタジエンの水性分散体を得ることが困難になることがある。一方、酸価が400mgKOH/gを超える場合、樹脂層がセラミックグリーンシートと強く密着することにより、離型性が低下してしまう可能性がある。
また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリブタジエン中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。
酸変性ポリブタジエンの数平均分子量は、200〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
酸変性ポリブタジエンは、ポリブタジエンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものを用いるのが簡便である。市販のものとしては、例えば、日本曹達社製マレイン化ブタジエン(BN−1010等)、JX日鉱日石エネルギー社製マレイン化ブタジエン(M−1000−20、M−1000−80、M−2000−20、M−2000−80等)、エボニック・デグサ社製マレイン化ブタジエン(polyvest OC800S等)を使用することができる。
一方、酸変性ポリイソプレンにおけるイソプレンの骨格は、1,2−ビニル型、3,4−ビニル型、1,4−シス型、1,4−トランス型のいずれの構造を有するものでもよく、これらの混合物であってもよい。
酸変性ポリイソプレンの酸変性成分としては、不飽和カルボン酸が使用でき、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、入手のし易さからマレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性ポリイソプレン中の不飽和カルボン酸の含有量は、架橋剤との反応の観点および後述する酸変性ポリイソプレンの水性分散体を得やすいという観点から、酸変性ポリイソプレンの酸価として1〜400mgKOH/gが好ましく、3〜300mgKOH/gがより好ましく、4〜200mgKOH/gがさらに好ましく、ポリエステルフィルムとの密着性や離型性の観点から、5〜100mgKOH/gが特に好ましい。
酸変性ポリイソプレンの酸価が1mgKOH/g未満の場合、樹脂層は、ポリエステルフィルムとの密着性が低下することにより、セラミックグリーンシート剥離時に該セラミックグリーンシートに樹脂層が移行する可能性があるだけでなく、酸変性ポリイソプレンの水性分散体を得ることが困難になることがある。一方、酸価が400mgKOH/gを超える場合、樹脂層がセラミックグリーンシートと強く密着することにより離型性が低下してしまう可能性がある。
また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリイソプレン中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。
酸変性ポリイソプレンの数平均分子量は、200〜100000が好ましく、3000〜70000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
酸変性ポリイソプレンは、ポリイソプレンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものを用いるのが簡便である。市販のものとしては、例えば、クラレ社製無水マレイン酸変性ポリイソプレン「LIR−403」、「LIR−410」などを使用することができる。
本発明の離型フィルムの樹脂層は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤を含有する。架橋剤としては、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンの酸変性成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物が用いられ、反応性の観点から、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤であることが必要である。
オキサゾリン化合物は、分子中にオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられる。具体的な商品名としては、例えば、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)などのカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミドは、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオールなどが共重合されていてもよい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的な商品としては、例えば、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」などが挙げられる。
メラミン化合物とは、トリアジン環の3つの炭素原子にアミノ基がそれぞれ結合した、いわゆるメラミン[1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン]のアミノ基に種々の変性を施した化合物の総称であり、トリアジン環が複数縮合したものも含む。変性の種類としては、3つのアミノ基の水素原子のいくつかがアルキル化もしくはメチロール化されたものが広く使用される。一般にアルキル化されたものよりもメチロール化もしくは置換されていない水素原子の方が反応性が高く、用途に応じて適正な種類のメラミン化合物を選定することができる。この中で好ましいのは、トリアジン環の縮合数が平均3以下で、少なくとも1つ以上のアミノ基がメチロール置換されたものであり、これらは水性媒体への分散性と樹脂との反応性の点で優れている。
メラミン化合物の市販品としては、例えば、日本サイテックインダストリー社製のサイメルシリーズ、住友化学社製のスミマール、DIC社製のベッカミンなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物の含有量は、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、1〜50質量部であることが必要であり、2〜30質量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることがさらに好ましい。含有量が1質量部未満では添加効果が乏しく、経時的に離型性が低下する場合があり、含有量が50質量部を超えると離型性が低下する場合がある。なお、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物は、複数の種類を同時に用いることもでき、同時に用いた場合、合計量が上記の含有量の範囲を満たしていればよい。
樹脂層をポリエステルフィルム上に積層する方法は特に限定されないが、例えば、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、架橋剤と、媒体とを含む液状物を作成し、この液状物をポリエステルフィルムに塗布して媒体を乾燥させる方法が樹脂層の厚みを均一にしやすく、大量生産が可能という点で好ましい。さらに、地球環境や作業者の健康を考慮するという点で、液状物として、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤が水性媒体に分散された水性分散体を用いることが好ましい。
酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンを水性媒体に分散させ、水性分散体を得る方法は特に限定されないが、例えば、密閉可能な容器に酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン、有機溶剤、水などの原料を投入し、槽内の温度を40〜150℃程度の温度に保ちつつ攪拌を行うことにより、水性分散体とする方法などが挙げられる。例えば、国際公開02/055598号パンフレットに記載された方法が挙げられ、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンを水性媒体中で塩基性化合物を用いて中和することにより、良好な水性分散体が得られる。
上記塩基性化合物は、樹脂層形成後の塗膜の耐水性の点から、揮発性であることが好ましい。本発明において、「揮発性」とは常圧における沸点が250℃以下であることを指すものとする。沸点が250℃を超えると、樹脂塗膜から乾燥によって塩基性化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
本発明でいう水性媒体とは、水を主成分とする媒体であって、有機溶剤や水溶性の塩基性化合物を含有していてもよい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類、加えて後述の親水性の有機溶剤などが挙げられる。
親水性の有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセトニトリル等が挙げられ、水溶性の塩基性化合物の具体例としては、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等の有機アミン化合物等を挙げることができる。
水性分散体中の酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン粒子の数平均粒子径(以下、mn)は、水性分散体の保存安定性、塗膜の透明性、30℃以下の低温での造膜性が向上する点から、いずれも0.5μm以下が好ましく、0.005〜0.3μmがより好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。さらに、重量平均粒子径(以下、mw)に関しては、1μm以下が好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましく、0.01〜0.2μmが特に好ましい。
酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤を混合する方法は、各成分が液状媒体中に均一に混合される方法であれば、特に限定されない。例えば、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンの分散液に、架橋剤の分散液または溶液を添加して混合する方法や、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤との混合物を液状化する方法が挙げられる。
本発明で使用される液状物における固形分の含有率は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択することができ、特に限定されるものではない。しかし、液状物の粘度を適度に保ち、かつ良好な樹脂層を形成させるためには、固形分の含有率は1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
さらに、液状物に、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加してもよい。また、液状物の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を液状物に添加することもできる。
上述のように、本発明の離型フィルムは、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤とを含有する液状物を、ポリエステルフィルムの少なくとも片方の面に塗布したのち乾燥するという製造方法によって、工業的に簡便に得ることができる。
すなわち、上記のような液状物を用いて、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により基材表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な樹脂層をポリエステルフィルムに密着させて形成することができる。
ポリエステルフィルム上に樹脂層を形成した後、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤との反応を促進させるために、一定の温度にコントロールされた環境下でエージング処理をおこなってもよい。エージング温度は、ポリエスエルフィルムへのダメージを軽減させる観点からは、比較的低いことが好ましく、反応を十分かつ速やかに進行させるという観点からは、高温で処理することが好ましい。エージングは20〜100℃でおこなうことが望ましく、30〜70℃でおこなうことがより好ましく、40〜60℃でおこなうことがさらに好ましい。
ポリエステルフィルムに液状物を塗布する場合、二軸延伸されたポリエステルフィルムに塗布後乾燥、熱処理してもよく、また、配向が完了する以前の未延伸フィルムもしくは一軸延伸の終了したフィルムに液状物を塗布し、乾燥後加熱して延伸するか、または加熱して乾燥と同時に延伸して、配向を完了させてもよい。後者の未延伸フィルムもしくは一軸延伸終了後のフィルムに液状物を塗布後、乾燥、延伸配向する方法は、ポリエステルフィルムの製膜と同時に樹脂層を積層することができるため、コストの点から好ましく、また延伸工程において樹脂層に高温の熱がかかることにより酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと架橋剤との反応を効率的に進められるという点からも好ましい。また、液状物として水性分散体を使用することが、製造工程内に防爆設備が不要であるなどの点からより好ましい。
本発明の離型フィルムにおける樹脂層の厚みは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.02〜1μmであることがより好ましく、0.03〜0.5μmであることがさらに好ましく、0.05〜0.3μmであることが特に好ましい。樹脂層の厚みが0.01μm未満では十分な離型性が得られず、厚みが5μmを超える場合はコストアップとなるだけでなく、離型性が低下したり、離型フィルムをロール状に巻いた場合にブロッキングする場合がある。
本発明の離型フィルムの樹脂層とポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)との剥離強度は、0.5N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.4N/cm以下、さらに好ましくは0.3N/cm以下、最も好ましくは、0.2N/cm以下である。ポリエステル粘着テープとの剥離強度が0.5N/cmを超える場合、該離型フィルムにセラミックシートなどを積層した積層シートからセラミックシートなどを剥離する際に、剥離が困難となることがある。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)酸変性ポリブタジエン、酸変性ポリイソプレンの酸価
樹脂0.15gを20mlのテトラヒドロフランに溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOH水溶液で滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数から樹脂中の酸価(mgKOH/g)を求めた。
(2)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(3)水性分散体の平均粒子径
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径(mn)および重量平均粒子径(mw)を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(4)樹脂層の厚み
得られた離型フィルムの全体の厚さを接触式膜厚計により測定し、その測定値からポリエステルフィルムの厚さを減じて求めた。
(5)剥離強度(常温)
得られた離型フィルムの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、剥離強度測定用試料とした。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型フィルムとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180°、剥離速度は300mm/minとした。
(6)粒子A、粒子Bの体積平均粒子径
島津製作所社製のレーザー回折散乱式粒子径測定機SALD−7100により測定し、体積平均粒子径を求めた。測定溶液の調製は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50質量%の混合溶媒に、マスターバッチチップを回折・散乱光強度が40〜60%になるように溶解し、これを測定溶液とした。
(7)表面粗さSa(平均偏差)
非接触式表面形状測定装置であるTaylor/Hobson社製、タリサーフCCI6000を使用し、得られた離型フィルムの樹脂層側と反対側の表面について、スライドガラス上に固定した試料を対物レンズ20倍で実態計測し、ロバストガウシアンフィルター0.25mmを使用して、試料の表面粗さを解析して、平均値からの偏差の算術平均値を表面粗さSa(平均偏差)(nm)とした。
参考例1
(酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリブタジエン(エボニック・デグサ社製、polyvest OC800S、数平均分子量2400、酸価70〜90mgKOH/g)、60.0gのイソプロパノール(和光純薬社製、以下、IPA)、15gのトリエチルアミン(和光純薬社製、以下、TEA)および165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ系は乳白色になった。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を80℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1を得た。
参考例2
(酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリイソプレン(クラレ社製、クラプレン LIR−403、数平均分子量34000、酸価9〜11mgKOH/g)、60.0gのIPA、15gのTEAおよび165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌しながら、加熱し、系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2を得た。
参考例3
(酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリイソプレン(クラレ社製、クラプレン LIR−410、数平均分子量30000、酸価23〜30mgKOH/g)、60.0gのIPA、15gのTEAおよび165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ系は乳白色になった。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3を得た。
参考例4
(酸変性ポリブタジエン水性分散体T−4の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリブタジエン(エボニック・デグサ社製、polyvest OC800S、数平均分子量2400、酸価70〜90mgKOH/g)、60.0gのIPA、9.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(和光純薬社製、以下、DMEA)および165gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ系は乳白色になった。そこでこの状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を80℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。その後、水性分散体から、IPAを一部除去するために、ロータリーエバポレーターを用い、水を添加しながら、浴温80℃で溶媒留去した。その後、空冷にて室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリブタジエン水性分散体T−4を得た。
参考例5
(酸変性ポリオレフィン水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダイン LX−4110)、90.0gのIPA、3.0gのTEAおよび147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
参考例1〜5で製造した水性分散体の組成、平均粒子径を表1に示す。
Figure 2013111884
参考例6
(ポリエステルフィルムIの製造)
粒子A(体積平均粒子径0.6μmのシリカ(日本触媒社製アモルファスシリカ))および粒子B(体積平均粒子径0.2μmのシリカ(日揮触媒化成社製オルガノシリカゾル))を、質量比(粒子A/粒子B)が1/2となり、また合計の濃度が5質量%となるように、エチレングリコールへ投入して、均一に分散させ、粒子A・粒子B/エチレングリコール分散液を作液した。この分散液を、ポリエチレンテレフタレート組成物中の粒子Aおよび粒子Bの合計含有量が1質量%となるように、280℃のポリエチレンテレフタレート低重合体に添加した。続いて、ポリエチレンテレフタレート低重合体の溶融を確認した後、圧力を徐々に減じて1時間後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら重縮合反応を3時間行った後、常法により払い出してペレット化し、極限粘度が0.68dl/gのポリエチレンテレフタレート組成物のマスターバッチを得た。
このマスターバッチペレットを常法により乾燥し、粒子Aおよび粒子Bを含有しない極限粘度0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートペレットに、ブレンド後の粒子Aおよび粒子Bの含有量が表2に示す量になるようにブレンドした。
ブレンドしたポリエチレンテレフタレートを押出機にて溶融したのち、Tダイより押し出し、表面温度を20℃に温調した冷却ドラム上に静電印加法で密着させて急冷して厚さ500μmの未延伸フィルムを得た。
続いて90℃に温調した予熱ロール群で予熱した後、90℃に温調した延伸ロール間で周速を変化させて4.0倍に縦延伸し、厚さ125μmの縦延伸フィルムを得た。
続いて縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、予熱温度90℃、延伸温度120℃で5倍に横延伸し、続いて245℃で熱処理を行い、200℃で横方向に3%の弛緩処理を行った。
テンターから出たフィルムは、フィルム速度150m/minで巻き取った。こうして厚さ25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面には、濡れ張力が54mN/mとなるようにコロナ処理を施し、ポリエステルフィルムIを得た。
参考例7〜10
(ポリエステルフィルムII、III、V、VIの製造)
粒子Aおよび粒子Bの種類と含有量とを、表2に示すように変更した以外は、ポリエステルフィルムIと同様にして、片面にコロナ処理を施したポリエステルフィルムII、III、V、VIを得た。
粒子Aとして、ポリエステルフィルムIIでは、体積平均粒子径0.6μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製微粉グレード)を、フィルムIIIでは、体積平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製微粉グレード)を、フィルムVでは、体積平均粒子径0.3μmのシリカ(日本触媒社製アモルファスシリカ)を、フィルムVIでは、体積平均粒子径1.0μmのシリカ(富士シリシア化学社製球状微粉末シリカ)を使用した。
また粒子Bとして、フィルムII、III、VIでは、実施例1の粒子Bと同様のシリカを、フィルムVでは、体積平均粒子径0.1μmのシリカ(日本触媒化成社製オルガノシリカゾル)を使用した。
参考例11
(ポリエステルフィルムIVの製造)
ポリエステルフィルムI製造の場合と同様に、粒子A(体積平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製微粉グレード))および粒子B(体積平均粒子径0.2μmのシリカ(日揮触媒化成社製オルガノシリカゾル))を含有するマスターバッチペレットを、粒子Aおよび粒子Bを含有しない極限粘度0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートペレットに、ブレンド後の粒子Aと粒子Bの含有量が表2に示す量になるようにブレンドした。
ブレンドしたポリエチレンテレフタレート(樹脂1)を押出機1から溶融押出し、また粒子Aおよび粒子Bを含有しない極限粘度0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートペレット(樹脂2)を押出機2から溶融押出し、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、樹脂1/樹脂2/樹脂1からなる3層積層としてTダイより押出した。以降の工程はポリエステルフィルムI製造の場合と同様に実施して、片面にコロナ処理を施したポリエステルフィルムIVを得た。
参考例6〜11で製造したポリエステルフィルムの組成、層構成を表2に示す。
Figure 2013111884
実施例1
酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロス WS−500、固形分濃度40質量%)とを、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が15質量となるように混合して、液状物を得た。
液状物を、ポリエステルフィルムIのコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に0.2μmの樹脂層を形成した離型フィルムを得た。
実施例2〜3
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が20質量部(実施例2)、1質量部(実施例3)となるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例4
実施例1において、オキサゾリン化合物の水性溶液に代えて、カルボジイミド化合物の水分散体(日清紡社製、カルボジライト E−02、固形分濃度40質量%)を用い、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が20質量部となるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例5
実施例4において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が50質量部となるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例6
実施例1において、オキサゾリン化合物の水性溶液に代えて、メラミン化合物含有溶液(DIC社製、ベッカミン J−101、固形分濃度71質量%)を用い、170℃で30秒間乾燥を行って、離型フィルムを得た。
実施例7
実施例3において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2を用いた以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例8
実施例7において、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が5質量部となるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例9
実施例8において、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2に代えて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−3を用いた以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例10
実施例9において、オキサゾリン化合物の水性溶液に代えて、カルボジイミド化合物の水分散体(日清紡社製、カルボジライト E−02、固形分濃度40質量%)を用い、酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が10質量部となるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例11〜13
実施例1において、ポリエステルフィルムIをポリエステルフィルムII(実施例11)、ポリエステルフィルムIII(実施例12)、ポリエステルフィルムIV(実施例13)に変更した以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例14
参考例6と同様にして、厚さ125μmの縦延伸フィルムを得て、グラビアコート機を用いて、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−4と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製、エポクロス WS−700、固形分濃度25質量%)とを、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が20質量部となるように混合した液状物を、乾燥、延伸後の塗布量が0.1g/mになるように塗布し、続いて縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、予熱温度90℃、延伸温度120℃で5倍に横延伸し、続いて245℃で熱処理を行い、200℃で横方向に3%の弛緩処理を行った。テンターから出たフィルムは、フィルム速度150m/minで巻き取った。こうして樹脂層の厚さが0.05μmで、樹脂層とポリエステル層を合わせた厚さが25μmである離型フィルムを得た。
比較例1
実施例1において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が5質量部となるようにした以外は同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例2
酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1を、ポリエステルフィルムIのコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で15秒間乾燥させることで、フィルム上に0.2μmの樹脂層を形成した離型フィルムを得た。
比較例3
比較例2において、酸変性ポリブタジエン水性分散体T−1に代えて、酸変性ポリイソプレン水性分散体T−2を用いた以外は同様の操作を行って、離型フィルムを得た。
比較例4
実施例1において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、オキサゾリン化合物固形分の量が60質量部になるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例5
実施例4において、酸変性ポリブタジエン100質量部に対して、カルボジイミド化合物固形分の量が60質量部になるようにした以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例6
酸変性されていないポリブタジエン(日本曹達社製、B−1000)を、ポリエステルフィルムIのコロナ処理面に、0.2μmになるように樹脂層を形成して離型フィルムを得た。
比較例7〜8
実施例1において、ポリエステルフィルムIをポリエステルフィルムV(比較例7)、ポリエステルフィルムVI(比較例8)に変更した以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例、比較例で得られた離型フィルムについて、離型フィルムの構成、剥離強度、樹脂層と反対面の表面粗さを測定した結果を表3に示す。
Figure 2013111884
実施例1〜14で得られた離型フィルムは、酸変性ポリブタジエンまたは酸変性ポリイソプレン100質量部に対して架橋剤を1〜50質量部含有する樹脂層を形成したため、離型性に優れるものであり、また、表面粗さSa(平均偏差)が6〜20nmであるポリエステルフィルムを使用したため、表面平滑性に優れるものであった。
これに対し、比較例1では、酸変性ポリブタジエンや酸変性ポリイソプレン以外の樹脂を使用したため、剥離強度がやや大きく、不十分な離型性であった。
比較例2、3では、架橋剤を使用しないため、離型性が不十分であり、セラミックグリーンシート製造工程でセラミックシート等を剥離する際に剥離が困難となる場合があった。さらに比較例4、5では、本発明で規定する範囲を超える量の架橋剤を使用したため、離型性が低いものであった。
比較例6では、酸変性されていないポリブタジエンを用いたため、基材との密着性が非常に低く、基材と樹脂層の間で剥離してしまい、樹脂層は粘着テープ側に全面的に移行し、離型フィルムとして使用することができないものであった。
比較例7では、離型性に優れるが、ポリエステルフィルムの表面粗さが小さいため、セラミックグルーンシート製造において、巻きズレやフィルムの蛇行といった問題が発生することがあった。また、比較例8では、離型性に優れるが、ポリエステルフィルムの表面粗さが大きいため、セラミックグリーンシート製造において、ピンホールが発生することがあった。

Claims (3)

  1. 表面粗さSaが6〜20nmであるポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に樹脂層を設けてなる離型フィルムであって、樹脂層が、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレンと、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物から選ばれる少なくとも一つを含む架橋剤とを含有し、酸変性ポリブタジエンおよび/または酸変性ポリイソプレン100質量部に対して、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、メラミン化合物が1〜50質量部であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 樹脂層とポリエステル粘着テープとの剥離強度が、0.5N/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
  3. ポリエステルフィルムが、体積平均粒子径0.5〜1.5μmの粒子A0.03〜0.20質量%と、体積平均粒子径0.05〜0.3μmの粒子B0.05〜0.20質量%とを含有することを特徴とする請求項1または2記載の離型フィルム。

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