JP5294888B2 - 離型用シート - Google Patents

離型用シート Download PDF

Info

Publication number
JP5294888B2
JP5294888B2 JP2009002090A JP2009002090A JP5294888B2 JP 5294888 B2 JP5294888 B2 JP 5294888B2 JP 2009002090 A JP2009002090 A JP 2009002090A JP 2009002090 A JP2009002090 A JP 2009002090A JP 5294888 B2 JP5294888 B2 JP 5294888B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyolefin resin
modified polyolefin
aqueous dispersion
functional layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009002090A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010158816A (ja
Inventor
暢康 奥村
昌文 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2009002090A priority Critical patent/JP5294888B2/ja
Publication of JP2010158816A publication Critical patent/JP2010158816A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5294888B2 publication Critical patent/JP5294888B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、離型用シートに関する。
近年、産業分野および工業分野における工程材料の需要は著しい伸びを示しており、特に工程材料の一つである離型材料は電子・電機分野で広く用いられている。離型材料の用途例としては、粘着シート、粘着テープなどの粘着材料の粘着・接着面保護材料または工程材料、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板等の製造のための工程材料、液晶ディスプレー用部品である偏光板や位相差板の保護材料、さらには、シート状構造体の成形用途などが挙げられる。
離型材料の構成としては、離型性を有する樹脂自体をフィルム化してフィルム表面に離型性を付与したもの、または基材フィルム上に離型剤を含む離型層を積層して基材表面に離型性を付与したものが一般的である。ところが、離型性を有する樹脂は概して高価であるため、前者のように離型性を有する樹脂自体をフィルム化して得られた離型材料は高価になってしまう。そのため、離型材料を得るにあたって安価な樹脂を基材フィルムに用い、このフィルム表面をコーティングすることによって離型層を形成させる方法が数多く提案されている。
一方、離型フィルムには、単に離型フィルムと被着体との離型性だけでなく、帯電防止性、透明性、耐久性なども求められる。特に、離型フィルムを被着体から剥離した場合、剥離時に剥離面に発生した静電気により大気中のゴミや塵、埃等が、被着体である製品表面や離型フィルム表面に付着するため製品の欠陥となる問題や粘着力が低下する問題が生じる。そのため、離型性以外にも、帯電防止性能を併せ持つ離型フィルムが求められていた。その要求に応える方法として、例えば予め帯電防止処理された基材フィルム表面に離型剤をコーティングして離型フィルムを得る方法がある。しかしながら、このような方法は、離型剤をコーティングする前工程として基材フィルム表面に予め帯電防止処理を施す必要があるため、加工工程が増加することになりコストアップとなる。
そこで、基材フィルムへの離型層のコーティングを1度に行う工程として、基材上に離型性と帯電防止性を付与する方法が検討されてきた。例えば特許文献1には、シリコーン樹脂とカーボンナノ材料からなる塗剤をポリエステルフィルム表面にコーティングする方法が示されている。
特許文献2には、ポリオレフィン樹脂と高分子の帯電防止剤からなる機能層をポリエステルフィルム上に形成した離型フィルムが示されている。
特開2007−237496号公報 特許3687216号公報
しかしながら、特許文献1に記載のコーティング剤は、離型性を付与させるためにシリコーン樹脂を使用しているため、基材フィルムとシリコーン樹脂からなるコーティング層との接着が悪くなる。そのため、基材フィルムとシリコーン樹脂からなるコーティング層との密着性をよくする必要性から基材フィルム表面に予めアンカーコート層を積層し、このアンカーコート層面にシリコーン樹脂をコーティングしなければならないという課題があった。さらに、基材フィルムに帯電防止性を付与させるための導電材料として、カーボンナノ材料を使うことから、高価になるうえ、着色してしまうという問題もあった。
一方、特許文献2に記載の離型フィルムには、離型成分としてポリオレフィン樹脂からなる低分子量のワックス成分が使用されているため、離型フィルムとして使用した場合、離型フィルム表面のワックス成分が被着体の表面に移行し、被着体の表面を汚染するおそれがあるという問題点があった。
本発明の課題は、基材表面にアンカーコート層を設けることなく、離型性、帯電防止性、ぬれ性に優れ、成分の移行の軽減された機能層が設けられた離型用シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂と、特定量の金属酸化物を含有する機能層は、離型性、帯電防止性、ぬれ性に優れるとともに被着体を汚染することがないため、基材に積層することで離型用シートとして有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に機能層を設けてなる離型用シートであって、機能層が金属酸化物と酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有し、金属酸化物の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部であり、かつ酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜15質量%と、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物からなる成分1〜40質量%とを含有することを特徴とする離型用シート、
(2)機能層に含まれる、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類および界面活性剤の合計含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部未満であることを特徴とする(1)に記載の離型用シート、
(3)機能層と、アクリル系粘着剤を用いた粘着材料との剥離強度が2N/cm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の離型用シート、
(4)機能層の表面抵抗率が1012Ω/□以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(5)金属酸化物が酸化スズ系化合物と酸化亜鉛系化合物のうち少なくとも1種類からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(6)機能層表面のぬれ張力が、30mN/m以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(7)機能層を設ける基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(8)粘着材料に対して使用されるものであり、前記粘着材料が、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種類の粘着剤を積層したシートまたはテープであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(9)プリント配線板、偏光板、位相差板のいずれかに対して使用されるものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(10)シート状構造体の成形に使用されるものであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の離型用シート、
(11)水性分散体を基材上にコーティングしたのち乾燥する離型用シートの製造方法であって、前記水性分散体として金属酸化物と酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有し、金属酸化物の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部であり、酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜15質量%と、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物からなる成分1〜40質量%とを含有する水性分散体を用いることを特徴とする離型用シートの製造方法、
(12)酸化スズ系化合物と酸化亜鉛系化合物のうち少なくとも1種類の金属酸化物を含有する水性分散体を用いることを特徴とする(11)に記載の離型用シートの製造方法、
を要旨とするものである。
本発明の離型用シートは、帯電防止性および透明性に優れるほか、被着体との離型性にも優れ、適度なぬれ性を有している。しかも、被着体との離型性を発現するにあたって、ワックス類や低分子量のシリコーン化合物、界面活性剤などの離型剤を必要としないため、剥離の際に被着体を汚染することがない。しかも、フッ素などのハロゲン元素を含む離型剤を用いなくて済むので、廃棄時の環境への負荷も少ない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、基材上に機能層を設けてなる離型用シートであって、機能層が金属酸化物と酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有し、金属酸化物の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部であり、かつ酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性成分の割合が1〜15質量%であることを特徴とする。
機能層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂の酸変性成分の割合は、1〜15質量%であることが必要で、1〜12質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、2〜9質量%が特に好ましい。酸変性成分の割合が1質量%未満の場合は、機能層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂中の極性基の割合が少なくなるため、基材との十分な密着性が得られないことがあり、被着体を汚染する可能性がある。さらに、当該樹脂を安定的に水性分散化するのが困難になる傾向がある。一方、酸変性成分の割合が15質量%を超える場合は、極性基の割合が多くなるため機能層と基材との密着性が十分にはなるが、機能層と被着体との密着性も同時に高くなるため、被着体との離型性が低下する傾向がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられる。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、樹脂の分散安定性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
また、基材との接着性をさらに向上させる理由から、上記の酸変性成分1〜15質量%の酸変性ポリオレフィン樹脂は、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分を含有していることが必要である。(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物は、入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分は、酸変性成分と同様、分子内に極性基を有している。そのため(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分を酸変性ポリオレフィン樹脂中に含めることによって、基材との密着性が高くなる一方、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分量が多すぎるとオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、被着体との離型性が低下する可能性がある。酸変性ポリオレフィン樹脂中に含まれる(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分の割合は、1〜40質量%であることが必要であり、2〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、6〜18質量%であること特に好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂を用いても、基材との接着性以外に機能層が有する帯電防止性、離型性、ぬれ性等を損ねることがない。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分として含有していることが必要である。オレフィン成分としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましい。これらの混合物であってもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていても良い。例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
本発明の離型用シートの機能層に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は80〜150℃であることが好ましく、90〜130℃がより好ましい。融点が150℃を超える場合は基材表面への機能層形成時に高温処理が必要となる場合がある。一方、融点が80℃未満では離型性が低下する。
酸変性ポリオレフィン樹脂のビカット軟化点は、50〜130℃であることが好ましく、53〜110℃がより好ましく、55〜90℃がより好ましい。ビカット軟化点が50℃未満の場合は基材にコーティングして得られる機能層が溶融しやすくなるため被着体との密着性が高くなり離型性が低下する。一方、130℃を超える場合は基材表面への機能層形成時に高温下での処理が必要となる。
酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートは、190℃、2160g荷重において1〜1000g/10分であることが好ましく、1〜500g/10分であることがより好ましく、1〜100g/10分であることがさらに好ましい。特に、ポリオレフィン樹脂100質量%中に含まれる酸変性成分の割合が10質量%以上の場合には、メルトフローレートは1〜30g/10分であることが好ましい。メルトフローレートが1g/10分未満の場合は、後述する分散安定性の優れた水性分散体の製造が困難となる。一方、メルトフローレートが1000g/10分を超える場合は、基材にコーティングして得られる機能層と基材との密着性が低下する場合がある。
本発明に用いることができる酸変性ポリオレフィン樹脂としては、三井・デュポン ポリケミカル社製の酸変性ポリオレフィン樹脂であるニュクレルシリーズ(商品名)、日本ポリエチレン社製の酸変性ポリエチレン樹脂であるレクスパールシリーズ(商品名)が挙げられる。具体的な商品名として、ニュクレルシリーズの「AN42115C」、「N1050H」、「N1110H」、レクスパールシリーズの「A210K」などがある。
また、本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物成分を含む酸変性ポリオレフィン樹脂としては、アルケマ社製の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂であるボンダインシリーズ(商品名)が挙げられる。具体的な商品名として、「LX−4110」、「HX−8210」、「HX−8290」、「TX−8030」などがある。
本発明の離型用シートの機能層には、金属酸化物が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部含まれている必要があり、その含有量は40〜1000質量部が好ましく、50〜800質量部がより好ましい。金属酸化物の含有量が30質量部未満では、水性分散体を基材にコーティングして得られる機能層の帯電防止性が不十分になり、一方金属酸化物の含有量が2000質量部を超えると、機能層と基材との密着性や、被着体との離型性能が低下する。
本発明の離型用シートに用いる金属酸化物の具体例としては、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウム、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体などの酸化スズ系化合物や、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛などの酸化亜鉛系化合物や、フッ素ドープ酸化インジウム、カドミウムドープ酸化インジウムなどの酸化インジウム系化合物やニオブドープ酸化チタンなどの酸化チタン系化合物などが挙げられる。また、これらの溶媒和物や配位化合物も用いることができる。なかでも導電性などの性能に優れ、かつそれとコストとがバランスのとれた酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウム、アルミドープ酸化亜鉛およびそれらの溶媒和物や配位化合物が好ましく用いられる。
上記金属酸化物の粒子径は特に限定されるものではないが、超微粒子であることが好ましい。本発明において、超微粒子とは、数平均粒子径が200nm以下のものを意味する。数平均粒子径が200nmを超える場合、水性分散体としての安定性や機能層の透明性が低下する場合がある。ここで、金属酸化物の数平均粒子径は、動的光散乱法や電子顕微鏡によって測定される。
上記金属酸化物の製造方法は特に限定されないが、たとえば、酸化スズ超微粒子の製造方法としては、金属スズやスズ化合物を加水分解または熱加水分解する方法や、スズイオンを含む酸性溶液をアルカリ加水分解する方法、スズイオンを含む溶液をイオン交換膜やイオン交換樹脂によりイオン交換する方法など何れの方法も用いることができる。
また、金属酸化物は市販のものを使用することもできる。例えば、酸化スズ超微粒子水分散体としては、ユニチカ製「AS11T」、アンチモンドープ酸化スズ系超微粒子水分散体としては、石原産業社製「SN−100D」、酸化スズドープインジウム超微粒子としては、シーアイ化成社製「ITO」、アルミドープ酸化亜鉛超微粒子としては、ハクスイテック社製「23−K」などがある。
本発明の離型用シートの機能層は、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類および界面活性剤の合計含有量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部未満であることが好ましい。機能層中に含まれるこれらの成分の割合が少ないほど、基材と機能層の界面および機能層表面への低分子量成分のブリードアウトが抑制されるため、機能層と基材との密着性が向上するとともに、剥離時の被着体の汚染が抑制される。そのため、0.5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以下であることがより好ましく、含んでいないことが特に好ましい。
ここにいうワックス類とは、数平均分子量が10,000以下の、植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、石油化学ワックス等を意味する。具体的には、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ベリーワックス、ホホバワックス、シアバター、蜜蝋、セラックワックス、ラノリンワックス、鯨蝋、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ポリエチレンワックス、合成ポリプロピレンワックス、合成エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス等が挙げられる。
また、上記にいう界面活性剤とは、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤等が挙げられる。一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。
例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の、反応性二重結合を有する化合物が挙げられる。
本発明の離型用シートの基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等で形成されたものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。
基材に用いることができる樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、6−ナイロン、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、これらの樹脂の複層体(例えば、ナイロン6/MXD/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。樹脂材料は延伸処理されていてもよい。樹脂材料は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。樹脂材料は、その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、表面に前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等を施したものでもよい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよく、バリア層や易接着層、帯電防止層、紫外線吸収層、接着層などの他の層が積層されていてもよい。
基材として用いることができる紙としては、和紙、クラフト紙、ライナー紙、アート紙、コート紙、カートン紙、グラシン紙、セミグラシン紙等を挙げることができる。
基材として用いることができる合成紙は、その構造は特に限定されず、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造としては、例えば基材層と表面層の2層構造、基材層の表裏面に表面層が存在する3層構造、基材層と表面層の間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造を例示することができる。各層は、無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙も使用することができる。
基材として用いることができる布としては、上述した合成樹脂からなる繊維や、木綿、絹、麻などの天然繊維からなる、不織布、織布、編布などが挙げられる。
基材として用いることができる金属材料としては、アルミ箔や銅箔などの金属箔や、アルミ板や銅板などの金属板などが挙げられる。
基材として用いることができるガラス材料としては、ガラス板やガラス繊維からなる布などが挙げられる。
上記樹脂材料を用いた基材には、さらに、紙、合成紙、布、他の樹脂材料、金属材料等を、基材における機能層を設ける側とは反対側に積層してもよい。
本発明の離型用シートにおける機能層の厚みは、0.01〜5μmの範囲とすることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましく、0.2〜1μmであることがさらに好ましく、0.3〜0.7μmであることが特に好ましい。0.01μm未満では十分な離型性が得られず、5μmを超える場合は離型性が低下する場合がある。
本発明の離型用シートを使用することによって、離型用シートの機能層と被着体としての粘着材料とを加熱圧着した後の、機能層と被着体としての粘着材料との間の剥離強度を2N/cm以下、好ましくは1.8N/cm以下、より好ましくは1.6N/cm以下とすることができる。剥離強度が2N/cmを超えると、離型用シートとして使用することが難しい。
機能層の表面抵抗率は、1012Ω/□以下であることが望ましく、好ましくは1011Ω/□、より好ましくは1010Ω/□である。表面抵抗率が、1012Ω/□よりも大きい場合は、帯電防止性が十分でないため、静電気を帯びやすい。その結果、大気中の塵や埃が付着することにより、製品に欠陥が生じたり、粘着剤の粘着力が低下したりする可能性がある。
機能層表面のぬれ張力は、30mN/m以上であることが好ましく、32mN/m以上であることがより好ましい。ぬれ張力が30mN/m未満では、機能層上に別のコーティング剤や液状物を積層するのが困難になる場合がある。ぬれ張力とは、Zismanによる臨界表面張力を意味する。これは、JIS K6768記載の方法で測定することができる。
本発明の離型用シートは、酸変性ポリオレフィン樹脂、金属酸化物が水性媒体中に分散されてなる水性分散体を、基材上にコーティングしたのち乾燥するという製造方法によって、工業的に簡便に得ることができる。
本発明において、水性媒体とは、水と両親媒性有機溶剤とを含み水の含有量が2質量%以上である溶媒を意味し、水のみでもよい。両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。具体的には、メタノール、エタノール(以下「EA」と略称する)、n−プロパノール(以下「NPA」と略称する)、イソプロパノール(以下「IPA」と略称する)等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン(以下「DEA」と略称する)、トリエチルアミン(以下「TEA」と略称する)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン(以下「DMEA」と略称する)、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン等の有機アミン化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂と金属酸化物を含む水性分散体を製造する方法は、各成分が水性媒体中に均一に混合される方法であれば、特に限定されるものではない。たとえば、次のような方法が挙げられる。
(i)酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体に、金属酸化物またはその水性分散液を添加して混合する方法。
(ii)酸変性ポリオレフィン樹脂と金属酸化物との混合物を水性分散化する方法。
上記(i)の方法の場合は、適宜混合すればよい。金属酸化物の水性分散液を用いる場合、その濃度は特に制限されるものではない。しかし、取り扱いやすさの点から5〜10質量%が好ましい。上記(ii)の手法の場合は、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散化する際に、金属酸化物を添加すればよい。
また、他の成分を添加する場合においても(i)または(ii)の製法における任意の段階で添加を行うことができる。
例えば、水性分散体に架橋剤を混合して機能層の耐溶剤性を上げることができる。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物等が好ましく、特に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が効果的である。これらの架橋剤は組み合わせて使用してもよい。凝集力や耐水性などの各種性能をさらに向上させるための好ましい架橋剤の添加量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜60質量部である。
その他、その機能が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などを添加することもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を上記のような水性分散体に分散化する方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開WO02/055598号に記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径はWO02/055598号に記載の製法により達成可能である。酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径は、前述の金属酸化物超微粒子同様、動的光散乱法によって測定される。
水性分散体における固形分含有率は、積層条件、目的とする厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、水性分散体の粘性を適度に保ち、かつ良好な機能層を形成させるためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
得られた水性分散体を基材に塗工する方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等を挙げることができる。これらの方法により水性分散体を基材の表面に均一に塗工し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な機能層を基材に密着させて形成することができる。
本発明の離型用シートにおける機能層は、帯電防止性能に優れ、適度なぬれ性を有して、様々な被着体に対して良好な離型性を有していることから、機能層上に被着体を積層することで、積層体とすることができる。具体的には粘着材料や液晶ディスプレー用部品などの保護材料、プリント配線板のプレス工程材料やシート状構造体の成形工程材料として好適に使用できる。
粘着材料とは基材に粘着剤が積層されたものであり、粘着材料としては、粘着シート、接着シート、粘着テープ、接着テープなどが挙げられる。より具体的には、基材に粘着剤が積層されたものである。粘着剤の成分や基材は特に限定されないが、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤が挙げられ、ここには、ロジン系、クマロン−インデン系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、キシレン系などの粘着付与剤が含まれていてもよい。基材としては、上述の、紙、布、樹脂材料などが挙げられる。
液晶ディスプレー用部品としては、偏光板、位相差偏光板、位相差板などが挙げられる。
プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
シート状構造体の例としては、パーフロロスルホン酸樹脂などの高分子電解質などからなるイオン交換膜や、誘電体セラミックスやガラスなどからなるセラミックグリーンシートなどが挙げられる。これらは、溶媒でペースト状あるいはスラリー状とした原料を、離型用シート上へキャストすることで形成される。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H−NMR分析(バリアン社製 GEMINI2000/300、300MHz)より求めた。オルトジクロロベンゼン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂の融点
樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線から融点を求めた。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂のビカット軟化点
JIS K7206記載の方法で測定した。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
(5)水性分散体の有機溶剤含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A(FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール)を用い、水性分散体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(6)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(7)酸変性ポリオレフィン樹脂粒子および金属酸化物の数平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径を求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50、酸化スズおよびアンチモンドープ酸化スズの屈折率は2.00、アルミドープ酸化亜鉛の屈折率は2.03とした。
(8)機能層の厚み
接触式膜厚計により、水性分散体を基材フィルムにコーティングし、乾燥して機能層を積層したフィルム(以下、離型フィルムという)の全体の厚さから、基材フィルムの厚さを減じて求めた。
(9)剥離強度
得られた離型フィルムの機能層側に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して試料とする。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で20時間放置し、その後30分以上冷却して常温に戻して剥離強度測定用試料を得た。剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型フィルムとの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分である。
(10)残留接着率
上記剥離強度試験により離型フィルム表面から剥離した巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面に貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープとフィルムの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分である。この測定により得られた剥離強度をF1とする。二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面に巾50mm、長さ150mmのポリエステル粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、ポリエステル粘着テープとフィルムの剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)にて測定(剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離強度をF2とし、下記式を用いて残留接着率を得た。
残留接着率(%)=(F1/F2)×100
粘着テープの粘着剤表面が離型フィルムにより汚染された場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。すなわち、残留接着率は高い方が好ましい。
(11)離型フィルムの帯電防止性
JIS−K6911に基づいて、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計、R8340を用いて、離型フィルムの機能層表面の表面抵抗値を、温度23℃、湿度65%雰囲気下で測定した。
(12)機能層面のぬれ張力
JIS K6768記載の測定法に準じて、表面張力が順を追って異なるように調製した標準液(エチレングリコールモノエチルエーテル/ホルムアミド)を離型フィルムに塗布し、機能層表面をぬらすと判定された標準液の表面張力を示した。
(水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、30.0gのニュクレル「AN42115C」(三井・デュポン ポリケミカル社製、メタクリル酸変性ポリエチレン樹脂)105.0gのNPA(和光純薬社製)、DEA(和光純薬社製)9.0g、および蒸留水156.0gをガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとした。そして系内温度を170℃に保って30分間撹拌した。回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−1を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
(水性分散体E−2の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として、ニュクレル「N1050H」(三井・デュポン ポリケミカル社製、メタクリル酸変性ポリエチレン樹脂)30.0g、TEA(和光純薬社製)10.6g、蒸留水259.4gを用い、水性分散体E−1の製造と同様の操作を行って酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
(水性分散体E−3の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として、ニュクレル「N1110H」(三井・デュポン ポリケミカル社製、メタクリル酸変性ポリエチレン樹脂)30.0g、NPA(和光純薬社製)90.0g、TEA(和光純薬社製)9.7g、蒸留水200.3gを用い、水性分散体E−1の製造と同様の操作を行って酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
(水性分散体E−4の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として、レクスパールEAA「A210K」(日本ポリエチレン社製、アクリル酸変性ポリエチレン樹脂)30.0g、NPA(和光純薬社製)105.0g、7.8gのTEA(和光純薬社製)、157.2gの蒸留水を用い、水性分散体E−1の製造と同様の操作を行って酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。
(水性分散体E−5の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「ボンダイン LX−4110」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)、90.0gのIPA(和光純薬社製)、3.0gのTEA(和光純薬社製)および147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)した。これによって、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を得た。
(水性分散体E−6の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として「ボンダイン HX−8210」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、水性分散体E−5の製造の際と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を得た。
(水性分散体E−7の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として「ボンダイン HX−8290」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、水性分散体E−5の製造の際と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−7を得た。
(水性分散体E−8の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として「ボンダイン TX−8030」(アルケマ社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)を用い、水性分散体E−5の製造の際と同様の操作を行って、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−8を得た。
(水性分散体E−9の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「プリマコール5980I」(ダウケミカル社製、アクリル酸変性ポリオレフィン樹脂)、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を140〜145℃に保って、30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)して、微白濁の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−9を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
(水性分散体E−10の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの「ボンダイン HX−8210」、208.3gのEA、3.3gのDMEAおよび28.4gの蒸留水をガラス容器内に仕込んだ。そして、撹拌翼の回転速度を300rpmとし、系内温度を120℃に保って、40分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)して、乳白色の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−10を得た。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1〜E−10の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂ア〜ケの組成を表1に示す。また、得られた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1〜E−10の組成を表2に示す。
Figure 0005294888
Figure 0005294888
表1に示すように、水性分散体E−1に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ニュクレルAN42115C」、水性分散体E−2に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ニュクレルN1050H」、水性分散体E−3に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ニュクレルN1110H」、水性分散体E−4に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「レクスパールEAA A210K」、水性分散体E−5に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ボンダインLX−4110」と、水性分散体E−6、E−10に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ボンダインHX−8210」と、水性分散体E−7に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「ボンダインHX−8290」と、水性分散体E−8に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「TX−8030」とは、いずれも酸変性成分が1〜15質量%の範囲で、本発明に適合するものであった。これに対し、水性分散体E−9に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂「プリマコール5980I」は、酸変性成分が15質量%を超えており、本発明に適合しないものであった。
参考例
酸化スズ超微粒子分散体(ユニチカ社製 AS11T、固形分濃度:11.5質量%、数平均粒子径:9.8nm)に得られる水性分散体の20質量%になるようにイソプロピルアルコールを加え、撹拌することで、透明な水性分散体を得た。これに、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が800質量部となるように添加し、撹拌することによって、酸変性ポリオレフィン樹脂と酸化スズ超微粒子とを含有した水性分散体を得た。その固形分濃度は10.0質量%であった。得られた水性分散体を二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした後、120℃で30秒間乾燥させて、0.6μmの機能層をフィルム上に形成させることで離型フィルムを得た。
参考例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が400質量部となるように添加した以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が200質量部となるように添加した以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が100質量部となるように添加した以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が50質量部となるように添加した水性分散体を使用した以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例2で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、参考例2と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例2で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を用いた以外は、参考例2と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例
参考例4で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を用いた以外は、参考例4と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例10
参考例4で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を用いた以外は、参考例4と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例11
参考例5で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を用いた以外は、参考例5と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例12
参考例3で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、アンチモンドープ酸化スズ超微粒子分散体(石原産業社製 SN−100D、固形分濃度:30.0質量%、数平均粒子径:60nm)を添加した以外は、参考例3と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例13
参考例9で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、アンチモンドープ酸化スズ超微粒子分散体SN−100Dを用いた以外は、参考例9と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例14
参考例7で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、アルミドープ酸化亜鉛超微粒子(ハクスイテック社製 23−K、数平均粒子径:890nm))を添加した以外は、参考例7と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
参考例1〜14の各離型フィルムの評価結果を表3に示す。
Figure 0005294888
実施例
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を用いた以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が400質量部となるように添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が200質量部となるように添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が100質量部となるように添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が50質量部となるように添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が2000質量部となるように添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−7を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例10
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−7を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例11
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−8を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例12
実施例11で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が50質量部となるように添加した以外は、実施例11と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例13
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の代わりに酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−10を用いた以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例14
実施例で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、アンチモンドープ酸化スズ超微粒子分散体(石原産業社製 SN−100D、固形分濃度:30.0質量%、数平均粒子径:60nm)を添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例15
実施例14で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が100質量部となるように添加した以外は、実施例14と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例16
実施例15で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5のかわりに、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−6を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例17
実施例で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、アルミドープ酸化亜鉛超微粒子(ハクスイテック社製 23−K)を添加した以外は、実施例と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
実施例17で得られた各離型フィルムの評価結果を表4に示す。
Figure 0005294888
比較例1
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした後、120℃で30秒間乾燥させて、0.6μmの層をフィルム上に形成させることで離型フィルムを得た。
比較例2
酸化スズ超微粒子分散体(ユニチカ社製 AS11T 固形分濃度:11.5質量%、数平均粒子径:9.8nm)に得られる水性分散体の20質量%になるようにIPAを加え、撹拌することで、透明な水性分散体を得た。水性分散体を二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレットPET−12」、厚さ12μm)のコロナ処理面にマイヤーバーを用いてコートした後、120℃で30秒間乾燥させて、0.6μmの層をフィルム上に形成させることで離型フィルムを得た。
比較例3
比較例2で用いた酸化スズ超微粒子分散体AS11Tの代わりに、アンチモンドープ酸化スズ超微粒子分散体(石原産業社製 SN−100D 固形分濃度:30.0質量%)を使用した。それ以外は、比較例2と同様の操作を行って、離型フィルムを得た。
比較例4
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりにポリエステル樹脂水性分散体(ユニチカ社製 エリーテルKZA−3556 固形分濃度:30質量%、数平均粒子径:24nm)を用いた。それ以外は、参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例5
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が2500質量部となるように添加した、酸変性ポリオレフィン樹脂と酸化スズ超微粒子とを含有した水性分散体を使用した以外は、同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例6
参考例1で用いた酸化スズ超微粒子AS11Tの代わりに、導電性カーボン分散液(ライオン社製 WS310A 固形分濃度17.5質量%)を添加した。それ以外は参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例7
参考例1で用いた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の代わりに、オレフィン成分が80質量%であり、酸成分が20質量%であって本発明の範囲を外れた酸変性ポリオレフィン樹脂水生分散体体E−9を用いた。それ以外は参考例1と同様の操作を行って離型フィルムを得た。
比較例1〜7で得られた各離型フィルムの評価結果を表5に示す。
Figure 0005294888
参考例1〜14および実施例1〜17は、表1〜表4に示すように酸変性成分1〜15質量%の酸変性ポリオレフィン樹脂と金属酸化物とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対する金属酸化物の割合が30〜2000質量部である機能層を有する離型フィルムであるため、被着体に対する良好な離型性および優れた帯電防止性を示した。すなわち、粘着材料を貼り付け、2kPa荷重、70℃の雰囲気下で放置した後の剥離験後において、2N/cm以下の剥離強度を示し、表面抵抗率が1012Ω/□以下であった。また、残留接着率が93%以上と高かったことから、被着体への汚染が低減されていた。更に、機能層のぬれ張力が32mN/mであったことから、当該機能層へ新たな別のコーティング層を積層するのに適していた。
比較例1では、金属酸化物を含有しないポリオレフィン樹脂のみを離型フィルムの機能層とした。そのため、当該機能層が設けられた離型フィルムは、離型性、帯電防止性ともに劣っていた。
比較例2では、金属酸化物のみを離型フィルムの機能層とした。そのため、当該機能層が設けられた離型フィルムは、帯電防止性、ぬれ性に優れていたが機能層と被着体である粘着材料との密着性が高く、十分な離型性が得られなかった。
比較例3では、比較例2と同様に金属酸化物のみを離型フィルムの機能層とした。そのため、当該機能層が設けられた離型フィルムは、帯電防止性、ぬれ性に優れていたが機能層と被着体である粘着材料との密着性が著しく悪く、機能層と被着体である粘着材料との剥離強度や残留接着率を測定することさえできなかった。
比較例4では、酸変性成分1〜15質量%の酸変性ポリオレフィン樹脂とは異なるポリエステル樹脂と金属化合物とを離型フィルムの機能層とした。そのため、当該機能層が設けられた離型フィルムは、帯電防止性、ぬれ性に優れていたが被着体である粘着材料との密着性が高く、十分な離型性が得られなかった。
比較例5では、酸変性成分1〜15質量%の酸変性ポリオレフィン樹脂と金属酸化物とを離型フィルムの機能層としたが、機能層の酸変性ポリオレフィン100質量部に対する金属酸化物の割合が2500質量部であり、本発明で規定する30〜2000質量部の範囲を超えていた。そのため、当該離型フィルムは、比較例5と同様、帯電防止性、ぬれ性に優れていたが、被着体である粘着材料との密着性が高く十分な離型性が得られなかった。
比較例6では、機能層を構成する帯電防止成分として、金属酸化物以外を用いたため、当該機能層を設けた離型フィルムは、帯電防止性、ぬれ性には優れていたが機能層と基材との密着性が著しく悪く、機能層と被着体である粘着材料との剥離強度や残留接着率を測定することさえできなかった。
比較例7では、酸変性成分20質量%の酸変性ポリオレフィン樹脂を機能層に用いたため、当該機能層を有する離型フィルムは、帯電防止性に優れていたが機能層と被着体である粘着材料との密着性が高く十分な離型性が得られなかった。
本発明の離型用シートは、離型性、帯電防止性に優れるほか、適度なぬれ性を有するため、粘着材料や液晶ディスプレー用部品などの保護材料、プリント配線板を製造する際の工程材料、イオン交換膜やセラミックグリーンシートなどのシート状構造体形成用途などに好適である。

Claims (12)

  1. 基材上に機能層を設けてなる離型用シートであって、機能層が金属酸化物と酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有し、金属酸化物の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部であり、かつ酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜15質量%と、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物からなる成分1〜40質量%とを含有することを特徴とする離型用シート。
  2. 機能層に含まれる、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類および界面活性剤の合計含有量が、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1質量部未満であることを特徴とする請求項1に記載の離型用シート。
  3. 機能層と、アクリル系粘着剤を用いた粘着材料との剥離強度が2N/cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型用シート。
  4. 機能層の表面抵抗率が1012Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の離型用シート。
  5. 金属酸化物が酸化スズ系化合物と酸化亜鉛系化合物のうち少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の離型用シート。
  6. 機能層表面のぬれ張力が、30mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の離型用シート。
  7. 機能層を設ける基材が、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の離型用シート。
  8. 粘着材料に対して使用されるものであり、前記粘着材料が、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種類の粘着剤を積層したシートまたはテープであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の離型用シート。
  9. プリント配線板、偏光板、位相差板のいずれかに対して使用されるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の離型用シート。
  10. シート状構造体の成形に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の離型用シート。
  11. 水性分散体を基材上にコーティングしたのち乾燥する離型用シートの製造方法であって、前記水性分散体として金属酸化物と酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有し、金属酸化物の含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜2000質量部であり、酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸変性成分1〜15質量%と、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物からなる成分1〜40質量%とを含有する水性分散体を用いることを特徴とする離型用シートの製造方法。
  12. 酸化スズ系化合物と酸化亜鉛系化合物のうち少なくとも1種類の金属酸化物を含有する水性分散体を用いることを特徴とする請求項11に記載の離型用シートの製造方法。
JP2009002090A 2009-01-08 2009-01-08 離型用シート Active JP5294888B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009002090A JP5294888B2 (ja) 2009-01-08 2009-01-08 離型用シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009002090A JP5294888B2 (ja) 2009-01-08 2009-01-08 離型用シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010158816A JP2010158816A (ja) 2010-07-22
JP5294888B2 true JP5294888B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=42576359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009002090A Active JP5294888B2 (ja) 2009-01-08 2009-01-08 離型用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5294888B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104210204A (zh) * 2014-09-28 2014-12-17 常熟市爱尚纺织科技有限公司 一种纳米不粘布

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63189227A (ja) * 1987-02-03 1988-08-04 Teijin Ltd 離型性ポリエステルフイルムの製造法
JP3687216B2 (ja) * 1996-09-13 2005-08-24 東洋紡績株式会社 離型フィルム
JP2000141570A (ja) * 1998-11-12 2000-05-23 Mitsubishi Polyester Film Copp 離型用積層ポリエステルフィルム
JP3676644B2 (ja) * 2000-02-22 2005-07-27 積水化学工業株式会社 離型フィルム及びその製造方法
JP4005392B2 (ja) * 2002-03-13 2007-11-07 ユニチカ株式会社 水性分散体および積層フィルム
JP4339645B2 (ja) * 2002-08-06 2009-10-07 三菱樹脂株式会社 離型シート及び粘着体
JP2006143893A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Unitika Ltd 水性分散体および積層フィルム
JP5254698B2 (ja) * 2007-10-04 2013-08-07 ユニチカ株式会社 離型用シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010158816A (ja) 2010-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5619085B2 (ja) 離型用シート
JP5774857B2 (ja) 易滑性ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP5697808B2 (ja) 離型フィルムおよびその製造方法
JP2013141793A (ja) 成形用離型ポリエステルフィルム
JP5657936B2 (ja) 易滑性ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2020012031A (ja) 粘着剤組成物、及び粘着シート
JP5653123B2 (ja) 離型用シート
JP2006045313A (ja) 水性分散体および水性ヒートシール剤
JP5254698B2 (ja) 離型用シート
JP5361589B2 (ja) 離型シート
JP5504837B2 (ja) ホットメルト型粘着組成物及びそれを用いた積層体
JP2016132211A (ja) 離型フィルム
JP5294888B2 (ja) 離型用シート
JP6139123B2 (ja) 成形用離型ポリエステルフィルム
JP2012171230A (ja) 離型用シート
JP2014054811A (ja) 離型シートおよびその製造方法
JP2012020402A (ja) 離型用フィルム、およびその製造方法
JP2016168691A (ja) 離型シート
JP4876667B2 (ja) 離型フィルム用樹脂組成物及び離型フィルム
JP2013006299A (ja) 帯電防止フィルム
JP2017057257A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体、離型シート、及び離型シートの製造方法
JP2016203570A (ja) 離型シートおよびその製造方法
JP2013184461A (ja) 離型シートおよびその製造方法
JP2010274496A (ja) 転写シートおよびその製造方法
JP2014133420A (ja) 易滑性ポリエステルフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130611

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5294888

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150