JP5231913B2 - 離型フィルム - Google Patents
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離型フィルムは、カバーレイフィルムとプレス熱板とが接着するのを防止するために用いられるが、近年、フレキシブルプリント基板に用いるカバーレイフィルムとしてより薄物が主流となってきており、薄いカバーレイフィルムを用いる場合、離型フィルムで発生したシワがプレス時に転写し易くなり、フレキシブルプリント基板の歩留まりが悪化するという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、フィルム表面の凹凸形状のうねり曲線に着目し、高さ方向のパラメータである最大高さうねりWzと横方向のパラメータであるうねり曲線要素の平均長さWSmとを一定の範囲内にした場合にはじめて、高い防シワ性と離型性とを両立させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。特許文献1、2等でも高い防シワ性を発揮させるために凹凸の高さについては詳細に検討されているものの、このような観点で凹凸形状を検討した例はない。
下記式(1)又は下記式(2)を満たさないと、滑り性等に異方性が生じ、防シワ性に影響を及ぼすことがある。
耐熱性の観点では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂やポリナフタレンテレフタレート系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
これらの樹脂は複数混合されてもよいし、共重合されてもよい。
また、ボイド低減の観点で、上記樹脂に可とう性を付与するために、エラストマー成分が混合されたり、共重合されてもよい。これらの成分は、離型フィルムを構成する樹脂成分に対し、5〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満であると、ボイド低減の効果が少なく、50重量%を超えると、フィルムの腰が弱くなってハンドリング性が悪くなったり、離型性が低下したりする恐れがある。
また、必要に応じて安定剤、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を含有させてもよい。
このような積層フィルムは、熱融着や接着剤を介して積層されてもよい。また、厚さとしては、回路基板の凹凸の工程差によって適宜選ぶことができるが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。10μm未満であると、ボイドの低減効果が薄れる。300μmを超えると、圧着する圧力を高くしないと、ボイドの低減効果が発現しにくくなる。また、製造コストが上昇してしまう。
また、離型フィルムと可とう性フィルムの厚さの比は1:0.5〜1:3であることが好ましい。1:0.5未満であると、ボイドの低減効果が薄れる。1:3を超えると、圧着する圧力を高くしないと、ボイドの低減効果が発現しにくくなる。また、製造コストが上昇してしまう。
ここで、ロール表面に加工された模様には、単一な形状の凹凸模様の他、大きなブラスト材による凹凸模様に細かな凹凸を重畳した複数の形状の凹凸模様等が挙げられる。
上記離型処理の具体的な方法としては、例えば、離型フィルムの表面にシリコーン系、フッ素系等の離型剤を塗布又は散布する方法や、熱処理や摩擦処理を行う方法等が挙げられる。
ポリエステル樹脂とオレフィン樹脂とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、オレフィン層(80μm)の表裏をポリエステル樹脂(20μm)で挟持した3層樹脂フィルム(120μm)を得た。
次いで、この3層樹脂フィルムの表面に対して、冷却ロール表面に加工された模様を転写させることにより3層樹脂フィルムの表面に凹凸を形成させた。
更に、この表面にシリコーン系離型剤塗布により離型処理を施すことにより、Wz=0.5μm、WSm=100μmの離型フィルムを得た。
凹凸の形状を変えたこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。
Wz、WSm及びRz(AFM)の値は表1、表2のとおりである。
なお、Wz、WSmの値は、離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断したものをサンプルとして、ミツトヨ社製サーフテストSJ−500を用いて、JIS B0651:2001に準拠する方法により、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λf=2.5mm、λc=0.08mmの条件にて測定した。
実施例1〜18及び比較例1〜21で得られた離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表3〜5に示した。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚15μm、エポキシ系樹脂接着剤層25μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるフレキシブルプリント基板(FPC)評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、離型フィルムを剥がした後、カバーレイ表面上に転写されたシワの個数を測定した。
なお、シワの個数が30個以内の場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして充分な防シワ性を有するといえる。より好ましくは、シワの個数が5個以内である。一方、シワの個数が30個を超える場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして防シワ性が不充分である。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、机上に放置し、離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれるまでの時間を計測した。
離型フィルムがFPC評価サンプルから剥がれた指標は以下の通りである。
離型フィルムとFPC評価サンプルが密着している状態から、離型フィルムとFPC評価サンプルとの間に空気が入っていくことにより、離型フィルム側から見た色調が変わるので、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出した時から、前記色調の変化が完了したまでの時間を、剥がれた時間とした。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、得られた離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。なお、カバーレイには、予め接着剤流れ出し量評価用の穴(Φ1mm)を作製しておいた。
その後、FPC評価サンプル及び離型フィルムを取り出し、カバーレイ上の接着剤流れ出し量評価用の穴を顕微鏡で観察することにより、流れ出した接着剤の長さを測定した。流れ出した接着剤の長さが100μm未満であった場合を「○」と、100μm以上、120μm未満であった場合を「△」と、120μm以上であった場合を「×」と評価した。
Claims (5)
- 少なくとも一方の表面性状が、JIS B0651:2001に準拠する方法により、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λf=2.5mm、λc=0.08mmの条件にて測定されるうねり曲線の最大高さうねりWzが0.5〜20μm、かつ、うねり曲線要素の平均長さWSmが100〜900μmであることを特徴とする離型フィルム。
- 最大高さうねりWzが0.5〜10μm、うねり曲線要素の平均長さWSmが200〜800μmであることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
- うねり曲線の最大高さうねりWzが0.5〜20μm、かつ、うねり曲線要素の平均長さWSmが100〜900μmである表面の性状が、JIS B0601:1994に準拠する方法により、原子間力顕微鏡で測定する谷部における50μm四方観察にて測定される表面粗さRz(AFM)が500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
- 表面粗さRz(AFM)が100nm以下であることを特徴とする請求項4記載の離型フィルム。
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