JP2005004140A - 反射防止フィルム、偏光板、光学素子及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、光学素子及び画像表示装置 Download PDF

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昌宏 吉岡
Shigeo Kobayashi
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Abstract

【課題】透明基材フィルム上に低屈折率材料により形成された反射防止層を有する反射防止フィルムであって、反射防止特性に優れ、かつ反射光が無彩色である反射防止フィルムを提供すること。また、当該反射防止フィルムを用いた偏光板、光学素子、及びこれらを搭載した画像表示装置を提供すること。
【解決手段】透明基材フィルムの少なくとも片面に、直接または別の層を介して反射防止層が形成されている反射防止フィルムにおいて、前記反射防止層の表面形状が下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする反射防止フィルム。
(1):0.01μm<表面うねり平均高さ(Wa)<0.1μm
(2):0.2mm<表面うねり平均間隔(WSm)<2.5mm
(但し、Wa及びWSmはJIS B 0601−2001に準拠して測定される値である。)
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射防止フィルムに関する。さらには当該反射防止フィルムを用いた偏光板、光学素子及び画像表示装置に関する。本発明の反射防止フィルムは、反射防止層、すなわち低屈折率層を有することにより表面反射光を低減でき視認性が良好である。かかる反射防止フィルムを用いた反射防止偏光板等の光学素子は、液晶ディスプレイ、有機EL表示装置、PDP、及びCRT等の各種画像表示装置において好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは近年の研究開発によりディスプレイとしての確固たる地位を確保しつつある。しかし、液晶ディスプレイを、明るい照明下において、使用頻度の高いカーナビゲーション用モニターやビデオカメラ用モニターに用いた場合には、表面反射による視認性の低下が顕著である。このため、これらの機器に装着される偏光板には、反射防止処理を施すことが必要不可欠になっている。屋外使用頻度の高い液晶ディイスプレイには、ほとんどが反射防止処理を施した偏光板が使用されている。また蛍光灯や太陽光等の照明光、キーボーダー等の外部環境が画面上に映り込むゴースト現象で視認性が阻害される。このため偏光板には防眩処理が施される。
【0003】
反射防止処理は、一般的に真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の手法により、屈折率の異なる材料からなる複数の薄膜の多層積層体を作製し、可視光領域の反射をできるだけ低減させるような設計が行われている。しかし、多層積層体の各層の膜厚が同一層の内において一定であるために、原理上、可視光領域全域にわたる完全な反射防止は極めて困難である。このため、通常は視感度の強い550nm付近の反射防止に重点を置き、かつ、できるだけ広い波長領域で反射防止できるような構造の設計が行われている。
【0004】
しかしながら、従来の技術では特定波長領域以外の反射防止効果が十分でなく、可視光の短波長領域の一部及び可視光の長波長領域の一部の反射率が、可視光の他の波長領域の反射率より大きいために反射光が特定の色相を呈し、表示品位を低下させるという問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明基材フィルム上に低屈折率材料により形成された反射防止層を有する反射防止フィルムであって、反射防止特性に優れ、かつ反射光が無彩色である反射防止フィルムを提供することを目的とする。また本発明は、当該反射防止フィルムを用いた偏光板、光学素子、及びこれらを搭載した画像表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記反射防止フィルムにより前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明は、透明基材フィルムの少なくとも片面に、直接または別の層を介して反射防止層が形成されている反射防止フィルムにおいて、前記反射防止層の表面形状が下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする反射防止フィルム、に関する。
(1):0.01μm<表面うねり平均高さ(Wa)<0.1μm
(2):0.2mm<表面うねり平均間隔(WSm)<2.5mm
(但し、Wa及びWSmはJIS B 0601−2001に準拠して測定される値である。)
本発明の反射防止フィルムの反射防止層は、その表面形状が上記(1)及び(2)を満足するような構造になっているため、反射スペクトルにおける視感度の強い550nm付近の干渉波の高さが一定値以下になる。それにより反射光にムラがなく、反射光が無彩色であり、表示品位の高い反射防止フィルムとなる。干渉波は、ハードコート層を含むフィルムにおいて、実際のハードコート層の厚さが設計される光学厚みd=λ/4nからずれている場合に、該ハードコート層の上下における界面反射光の位相にずれが生じ、界面反射が完全に相殺されないために生じる。この干渉波が大きい場合には、反射光の色彩にムラが生じ、偏光板などの光学素子に用いると画面の品位が低下する傾向にある。
【0008】
本発明においては、透明基材フィルムの少なくとも片面に、別の層を介して反射防止層が形成されている反射防止フィルムにおいて、前記別の層が、透明導電層とハードコート層とであり、前記ハードコート層の表面形状も下記(1)及び(2)を満足することが好ましい。
(1):0.01μm<表面うねり平均高さ(Wa)<0.1μm
(2):0.2mm<表面うねり平均間隔(WSm)<2.5mm
(但し、Wa及びWSmはJIS B 0601−2001に準拠して測定される値である。)
ハードコート層の表面形状も上記(1)及び(2)を満足するような構造にすることにより、干渉波によるムラを抑えた良好な画像品位となる。
【0009】
前記反射防止フィルムにおいて、透明導電層が、平均粒子径0.1μm以下の金属及び/又は導電性金属酸化物の超微粒子を分散含有したものであることが好ましい。
【0010】
また、前記反射防止フィルムにおいて、ハードコート層が、平均粒子径0.1μm以下の金属及び/又は導電性金属酸化物の超微粒子を分散含有したものであることが好ましい。
【0011】
さらに、前記反射防止フィルムにおいて、透明導電層の屈折率ncとハードコート層の屈折率nhとが、nh>ncを満足することが好ましい。
【0012】
透明導電層、ハードコート層は、金属及び/又は導電性金属酸化物の超微粒子を分散含有させることにより、それらの屈折率を適宜に調整することができる。また透明導電層の屈折率ncを、ハードコート層nhの屈折率よりも低くすることにより、ハードコート層と透明基材フィルムの屈折率差によって生じる界面反射を抑制しハードコート層の厚みムラを低減でき、反射率を抑制できる。特に、透明導電層の屈折率を、透明基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率の中間値に調整することが好ましい。
【0013】
本発明は、偏光子の片面又は両面に、前記反射防止フィルムの透明基材フィルムが保護フィルムとして設けられている偏光板、に関する。また本発明は、前記反射防止フィルム又は前記偏光板を用いた光学素子、に関する。さらに本発明は、前記反射防止フィルム、前記偏光板、又は前記光学素子を用いた画像表示装置、に関する。
【0014】
本発明の偏光板及び光学素子は、反射光を低減することでき、かつその反射光は無彩色である。これら偏光板、光学素子は、各種の用途に用いることができ、これを搭載した液晶表示装置等の画像表示装置は表示品位に優れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、透明基材フィルム4上に低屈折率材料により反射防止層1が形成されている反射防止フィルムである。図2は、透明基材フィルム4の片面に透明導電層3、ハードコート層2、次いでハードコート層2の屈折率より低い屈折率材料よりなる反射防止層1が形成されている反射防止フィルムである。
【0016】
透明基材フィルム4としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。透明基材フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0017】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0018】
また、透明基材フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである透明保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、偏光板の保護フィルムとして用いた場合に、偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。透明基材フィルムは、特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
【0019】
透明基材フィルム4は可視光の光線透過率に優れ(透過率90%以上)、透明性に優れる(ヘイズ1%以下)のものが好ましい。透明基材フィルム4の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。透明基材フィルム4の屈折率は1.45〜1.7程度、好ましくは1.48〜1.65程度である。
【0020】
反射防止層1は、その表面が微細凹凸形状になっており、上記表面うねり平均高さ(Wa)及び表面うねり平均間隔(WSm)の各規定範囲を満たせば、その形成材料及び形成方法は特に制限されない。表面うねり平均高さ(Wa)が0.1μm以上の場合には、干渉波による反射色相ムラを低減することができるが、表面の凹凸が大きくなり、画像の乱れが生じる傾向にある。一方、表面うねり平均高さ(Wa)が0.01μm以下の場合には、ロール状物にしたときにブロッキング等の製造上の不具合が発生するおそれがある。また、表面うねり平均間隔(WSm)が、2.5mm以上の場合には、干渉波による反射色相ムラが目立ち、画像品位を低下させる傾向にある。一方、表面うねり平均間隔(WSm)が0.2mm以下の場合には、耐擦傷性等の実用特性に不具合が発生するおそれがある。
【0021】
反射防止層1の形成法は特に制限されないが、低屈折率材料を用いた湿式塗工法が真空蒸着法等に比べて簡易な方法であり好ましい。反射防止層1を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性を付与するためフッ素基含有化合物を併用することが好ましい。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率材料が優れる傾向にあり、特にゾル−ゲル系材料が好ましい。ゾル−ゲル系材料は部分縮合して用いることができる。
【0022】
前記フッ素基を含有するゾル−ゲル系材料としては、例えばパーフルオロアルキルアルコキシシランが挙げられる。パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、たとえば、一般式(1):CF (CF CH CH Si(OR) (式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物があげられる。具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどがあげられる。これらのなかでも前記nが2〜6の化合物が好ましい。
【0023】
また反射防止層1にはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム、セリア等をアルコール溶媒に分散したゾルなどを添加しても良い。その他、金属塩、金属化合物、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び屈折率調整剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0024】
反射防止層1の屈折率は、透明基材フィルム4の屈折率よりも0.2以上低くなるように調整することが好ましい。反射防止層1の屈折率は、低くなりすぎると反射光が色相を呈しやすくなるため、1.35〜1.45であることが好ましく、さらに好ましくは1.37〜1.40である。
【0025】
反射防止層1の形成法は、特に制限されず適宜な方式にて透明基材フィルム4上に施される。例えば、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、ディッピング法等の適宜な方式にて形成することができる。反射防止層1表面の微細凹凸形状は適宜な方法で形成される。例えば、サンドブラスト、エンボスロール、塗膜面をエアナイフ等の風乾装置により微振動させる方法、化学エッチング、金型により転写させる方法、及び金属や金属酸化物の超微粒子を分散含有させる方法などが挙げられる。
【0026】
風乾装置により微振動させる方法の場合、風乾装置先端から塗膜表面までの距離は、50〜150mmが好ましく、さらに好ましくは85〜120mmである。この距離が短すぎると塗膜が吹き飛ばされて均一な膜が形成され難い傾向にあり、一方、距離が長すぎると風の当たる範囲が広がりすぎて弱まり、目的とする微細凹凸形状を形成し難い傾向にある。また、風速が最大となる位置は、塗工部から20〜500mmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜250mmである。この距離が短すぎると塗工部の塗工状態を乱す要因となり、均一な膜が形成され難い傾向にある。一方、この距離が長すぎると風乾装置によることなく塗膜表面が乾燥してしまい、目的とする微細凹凸形状を形成し難い傾向にある。さらに、基材搬送速度は、毎分2〜20mであることが好ましく、さらに好ましくは毎分5〜15mである。この速度が遅すぎると風乾装置が塗膜表面に与える影響が大きすぎて均一な膜が形成されない傾向にある。一方、搬送速度が速すぎると風乾装置による乾燥効果が十分に得られず、目的とする微細凹凸形状を形成し難い傾向にある。
【0027】
反射防止層1の厚さは特に制限されず、通常、平均80〜150nm程度である。最も効果的には視感度の最も高い波長550nmの光の反射率を制御する条件として(厚さ:nm)=550nm/(4×反射防止層の平均屈折率)を目標とすることが好ましい。
【0028】
透明基材フィルム4上に反射防止層1を形成するが、その中間に別の層を設けることができる。別の層としてはハードコート層2があげられる。反射防止層1の屈折率は、ハードコート層2の屈折率よりも低く、また透明基材フィルム4の屈折率よりも低くなるように調整するのが好ましい。
【0029】
前記ハードコート層2を形成する有機樹脂材料としては層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よくハードコート層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーを成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0030】
前記ハードコート層2は、無機または有機の定形(例えば、球形)もしくは不定形のフィラーを含有させることができる。たとえば、平均粒子径0.1μm以下の超微粒子を含有させることができる。かかる超微粒子としては、例えばガラス、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の無機系粒子や、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンまたはこれらの複合物等の導電性無機系粒子などがあげられる。前記超微粒子のなかでも導電性無機系粒子を用いると効果的に挨付着性を改善できる。超微粒子としては、特に、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫等を用いるのが好ましい。
【0031】
ハードコート層2の屈折率nhは、透明基材フィルム4の屈折率より0.1以上高くなるように調整するのが好ましく、通常、屈折率が、1.49〜1.80程度になるように調整するのが好ましく、さらに好ましくは1.65〜1.75である。反射率の観点からハードコート層2には高屈折率が求められ、屈折率が低くなると、反射防止機能の点で好ましくない。
【0032】
ハードコート層2の屈折率の調整は特に制限されない。ハードコート層の屈折率の調整は、ハードコート層の形成材料そのものとして上記屈折率を有するものを用いるのが好ましいが、通常、用いうる樹脂の屈折率は、S、N、Pなどの元素や芳香族環などの原子、分子を導入しても1.6 以上は到達しにくい。そのため、ハードコート層の屈折率は、ハードコート層形成用の樹脂に高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加して調整することができる。金属や金属酸化物の微粒子としては、例えば、TiO 、SnO 、ZnO 、ZrO 、及び酸化アルミニウム等の金属酸化物の超微粒子があげられる。超微粒子の平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましい。
【0033】
本発明の反射防止フィルムの反射防止層1は、その表面が凹凸形状になっており、前記のように反射防止層1を凹凸形状にする方法は特に制限されないが、透明基材フィルム4と反射防止層1との間にハードコート層2を設ける場合には、ハードコート層2の表面を凹凸形状にして、その凹凸形状を反射防止層1の表面に反映させてもよい。
【0034】
本発明においては、ハードコート層2の表面は凹凸構造にして防眩性を付与することが好ましい。ハードコート層の表面を凹凸形状とすることにより光拡散による防眩性を付与することができる。光拡散性の付与は、全反射率および可視光の長・短波長における反射率を低減するうえでも好ましい。
【0035】
表面に凹凸構造を形成する方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記ハードコート層2の形成に用いたフィルムの表面を、予めサンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸構造を付与する方法等により、ハードコート層2を形成する材料そのものの表面を微細凹凸構造に形成する方法があげられる。また、ハードコート層2上に別途ハードコート層2を塗工付加し、当該樹脂皮膜層表面に、金型による転写方式等により微細凹凸構造を付与する方法があげられる。また、ハードコート層2に、無機または有機の定形もしくは不定形のフィラーを分散含有させて微細凹凸構造を付与する方法などがあげられる。これら微細凹凸構造の形成方法は、二種以上の方法を組み合わせ、異なる状態の微細凹凸構造表面を複合させた層として形成してもよい。
【0036】
微細凹凸構造表面のハードコート層2の形成方法としては、形成性等の観点より、無機または有機の定形もしくは不定形のフィラーを分散含有するハードコート層2を設ける方法が好ましい。無機または有機の定形もしくは不定形のフィラーとしては、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、メラミン樹脂等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の無機系粒子や、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンまたはこれらの複合物等の導電性無機系粒子などがあげられる。前記フィラーの平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.08μm以下である。微粒子により微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は樹脂100重量部に対して、1〜30重量部程度とするのが好ましい。
【0037】
なお、ハードコート層(防眩層)2の形成には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。ハードコート層2の形成に当たり、チクソトロピー剤(0.1μm以下のシリカ、マイカ等)を含有させることにより、防眩層表面において、突出粒子により微細凹凸構造を容易に形成することができる。
【0038】
ハードコート層2の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、透明基材フィルム4上などに前記樹脂を塗工し、乾燥後、硬化処理する。前記樹脂が前記フィラー等を含有する場合には表面に凹凸形状を呈するようなハードコート層2を形成する。前記樹脂の塗工は、ドクターブレード、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビアロールコーター等の適宜な方式で塗工される。なお、塗工にあたり、前記樹脂は、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等の一般的な溶剤で希釈してもよく、希釈することなくそのまま塗工することもできる。また、ハードコート層2の厚さは特に制限されないが0.5〜20μm程度が好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。また、ハードコート層を予め作成し、それを透明基材フィルム4などに貼りつけてもよい。
【0039】
前記ハードコート層2の表面凹凸形状は、前記表面うねり平均高さ(Wa)及び表面うねり平均間隔(WSm)の各規定範囲を満たすことが好ましい。表面うねり平均高さ(Wa)が0.1μm以上の場合には、干渉波による反射色相ムラを低減することができるが、表面の凹凸が大きくなり、画像の乱れが生じる傾向にある。一方、表面うねり平均高さ(Wa)が0.01μm以下の場合には、ロール状物にしたときにブロッキング等の製造上の不具合が発生するおそれがある。また、表面うねり平均間隔(WSm)が、2.5mm以上の場合には、干渉波による反射色相ムラが目立ち、画像品位を低下させる傾向にある。一方、表面うねり平均間隔(WSm)が0.2mm以下の場合には、耐擦傷性等の実用特性に不具合が発生するおそれがある。
【0040】
前記反射防止フィルムにおいて、ハードコート層2の屈折率が透明基材フィルム4の屈折率より高く、反射防止層1の屈折率が透明基材フィルム4の屈折率より低いことが好ましい。反射率の観点からハードコート層2には高屈折率が求められ、反射防止層1にはより低い屈折率が求められる。反射防止効果がよく、表示品位の高い反射防止フィルムを得るには、屈折率が前記関係:ハードコート層2>透明基材フィルム4>反射防止層1となるようにするのが好ましい。
【0041】
本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルム4とハードコート層2との間に、透明基材フィルム4の屈折率よりも屈折率が高く、ハードコート層2の屈折率よりも屈折率が低い透明導電層3を有することが好ましい。
【0042】
透明導電層3の形成方法は特に制限はない。たとえば、透明基材フィルム4上に、蒸着、スパッタその他の方法により、金属薄膜、ITO、SnO 、ZnO などの無機半導体薄膜を形成する方法、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料およびイオン導電性材料により形成する方法、バインダーへ導電性超微粒子を添加したものを塗布製膜する方法等があげられる。
【0043】
これらのなかでも、透過率、屈折率の制御、膜厚の制御の観点から、バインダーへ導電性超微粒子を添加したものを塗布製膜する方法が好ましい。バインダーは特に制限されず、透明基材フィルムへの密着性や屈折率のコントロールおよび製膜性、分散する導電性超微粒子との混和性などの観点により適宜に選択される。
【0044】
バインダーとしては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく透明導電層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0045】
紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーを成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0046】
導電性超微粒子としては、たとえば、アルミニウム、チタン、錫、金、銀などの金属微粒子、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、SnO 、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの金属酸化物の超微粒子があげられる。これらのなかでもITO、ATO、SnO を用いるのが好ましい。超微粒子の平均粒子径は0.1μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.09μm以下である。
【0047】
透明導電層3の屈折率ncは、ハードコート層2の屈折率nhより小さくなるように調整することが好ましい。透明導電層3の屈折率ncは、1.58〜1.61、さらには1.59〜1.6であるのが好ましい。屈折率nc=(ハードコート層の屈折率nh+透明基材フィルムの屈折率)/2となるように調整するのが好ましい。透明導電層3の厚さdは50〜500nmであることが好ましく、さらには好ましくは70〜100nmである。特に透明導電層3の厚さdは、d=(550nm)/(4nc)を満たすように調整するのが好ましい。前記条件を満たさない場合には、入射光の界面反射による干渉縞が発生し、画面の表示品位を低下させる傾向にあるため好ましくない。なお、透明導電層3は、表面抵抗値が、1.0×1011Ω/□以下になるように調整することが好ましい。
【0048】
前記反射防止フィルムの透明基材フィルム4には、光学素子を接着することができる。光学素子としては、偏光子があげられる。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0049】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0050】
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フィルムが設けられ偏光板として用いられる。透明保護フィルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムとしては前記例示の透明基材フィルムと同様の材料のものが用いられる。前記透明保護フィルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。また透明保護フィルムは、位相差等の光学的異方性が少ないほど好ましい場合が多い。前記の透明保護フィルムを形成するポリマーとしてはトリアセチルセルロースが最適である。前記反射防止フィルムを、偏光子 (偏光板)の片側または両側に設ける場合、反射防止フィルムの透明基材フィルムは、偏光子の透明保護フィルムを兼ねることができる。透明保護フィルムの厚さは、特に制限されないが10〜300μm程度が一般的である。
【0051】
反射防止フィルムに偏光板を積層した反射防止偏光板は、反射防止フィルムに透明保護フィルム、偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよいし、反射防止フィルムに偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよい。
【0052】
その他、透明保護フィルムの偏光子を接着させない面は、ハードコート層やスティッキング防止や目的とした処理を施したものであってもよい。ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。なお、前記ハードコート層、スティッキング防止層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0053】
また偏光板の層間へ、例えばハードコート層、プライマー層、接着剤層、粘着剤層、帯電防止層、導電層、ガスバリヤー層、水蒸気遮断層、水分遮断層等を挿入、または偏光板表面へ積層しても良い。また。偏光板の各層を作成する段階では、例えば、導電性粒子あるいは帯電防止剤、各種微粒子、可塑剤等を各層の形成材料に添加、混合等することにより改良を必要に応じておこなっても良い。
【0054】
光学素子としては、実用に際して、前記偏光板に、他の光学素子(光学層)を積層した光学フィルムを用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2 や1/4 等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。楕円偏光板、光学補償付き偏光板等では偏光板側に反射防止フィルムが付与される。
【0055】
さらに必要に応じて、耐擦傷性、耐久性、耐候性、耐湿熱性、耐熱性、耐湿性、透湿性、帯電防止性、導電性、層間の密着性向上、機械的強度向上等の各種特性、機能等を付与するための処理、または機能層の挿入、積層等を行うこともできる。
【0056】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ、前記透明保護フィルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0057】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
【0058】
反射板は前記偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0059】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0060】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1 /4 波長板(λ/4 板とも言う)が用いられる。1 /2 波長板(λ/2 板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0061】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0062】
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0063】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0064】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0065】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0066】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0067】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0068】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0069】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0070】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0071】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0072】
前記光学素子への光拡散性シートの積層、さらには偏光板への各種光学層の積層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行うことができるが、これらを予め積層したのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0073】
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルム等の光学素子の少なくとも片面には、前記光拡散性シートが設けられているが、光拡散性シートが設けられていない面には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0074】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0075】
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0076】
偏光板、光学フィルム等の光学素子への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で光学素子上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを光学素子上に移着する方式などがあげられる。粘着層は、各層で異なる組成又は種類等のものの重畳層として設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0077】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0078】
なお本発明において、上記した光学素子を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学層等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0079】
本発明の光拡散シートを設けた光学素子は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0080】
液晶セルの片側又は両側に前記光学素子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学素子は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0081】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0082】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0083】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0084】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0085】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0086】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0087】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0088】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0089】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら制限されるものではない。
【0090】
実施例1
透明導電層形成塗布液として、ATO微粒子含有ポリシロキサン系熱硬化樹脂溶液(住友大阪セメント社製、ATOの粒子径:0.01〜0.1μm、固形分1.5重量%、硬化後の屈折率nc:1.59)を用いた。また、ハードコート層形成塗布液として、ZrO 微粒子含有紫外線硬化型ハードコート樹脂溶液(JSR社製、Z7405、ZrO の粒子径:0.01〜0.1μm、固形分48重量%、硬化後の屈折率nh:1.69)を用いた。また、反射防止層形成塗布液としてフッ素含有ポリシロキサン系コーティング樹脂溶液(JSR社製、JTA105、固形分5重量%、硬化後の屈折率:1.40)を用いた。
ヨウ素−ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を介してトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm)を貼りつけて偏光板を作成した。この偏光板の片面にワイヤーバーを用いて前記透明導電層形成塗布液を塗布し、乾燥後、紫外線照射することにより硬化させ、透明導電層(厚さ0.9μm)を形成した。その後、形成した透明導電層上にアプリケーターを用いて前記ハードコート層形成塗布液を塗布し、エアナイフ型風乾装置(スリットギャップ1mm)を用いて塗布部分からフィルム搬送方向に5cm後の塗膜表面の風速が最大(平均風速12m/s)になるように調整して風乾し、加熱乾燥後、紫外線照射することにより硬化させて表面に微細凹凸形状を有するハードコート層(厚さ3μm)を形成した。次に、形成したハードコート層上にワイヤーバーを用いて前記反射防止層形成塗布液を塗布し、乾燥・硬化処理を行うことにより表面に微細凹凸形状を有する反射防止層(厚さ0.1μm)を形成し、反射防止フィルム付き偏光板を作成した。
【0091】
実施例2
エアナイフ型風乾装置(スリットギャップ1mm)を用いて塗布部分からフィルム搬送方向に10cm後の塗膜表面の風速が最大(平均風速15m/s)になるように調整して風乾した以外は実施例1と同様の方法で反射防止フィルム付き偏光板を作成した。
【0092】
比較例1
実施例1のハードコート層形成工程において、エアナイフ型風乾装置を使用せずに加熱乾燥し、その後紫外線照射することにより硬化させてハードコート層(厚さ3μm)を形成した以外は実施例1と同様の方法により反射防止フィルム付き偏光板を作成した。
【0093】
比較例2
実施例1のハードコート層形成工程において、エアナイフ型風乾装置(スリットギャップ1mm)を用いて塗布部分からフィルム搬送方向に5cm後の塗膜表面の風速が最大(平均風速25m/s)になるように調整した以外は実施例1と同様の方法により反射防止フィルム付き偏光板を作成した。
【0094】
比較例3
実施例1のハードコート層形成工程において、エアナイフ型風乾装置(スリットギャップ1mm)を用いて塗布部分からフィルム搬送方向に1m後の塗膜表面の風速が最大(平均風速12m/s)になるように調整した以外は実施例1と同様の方法により反射防止フィルム付き偏光板を作成した。
【0095】
(評価試験)
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた反射防止フィルム付き偏光板を用いて以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0096】
<反射率>
反射防止フィルム付き偏光板の透明基材フィルム側をスチールウールを用いて荒らした後、黒のアクリルラッカーをスプレーして反射防止層に対して裏面側の反射光をなくした状態で、傾斜積分球付き分光光度計(島津製作所製、UV−2400)を用いて分光反射率を測定した。その結果よりC光源2°視野でのY値を算出した。
【0097】
<表面うねり平均高さ(Wa)及び表面うねり平均間隔(WSm)>
反射防止フィルム付き偏光板の反射防止層表面のWa及びWSmをET4000(小阪研究所製)を用いて、JIS B 0601−2001に準拠して測定した。また、実施例1、2及び比較例1〜3の反射防止フィルム付き偏光板の製造工程中、反射防止層を形成する前に、前記と同様にしてハードコート層表面のWa及びWSmを測定した。
【0098】
<干渉縞>
反射防止フィルム付き偏光板の偏光板表面に黒のアクリルラッカーをスプレーして裏面反射をなくし、暗室内で三波長蛍光灯下にて干渉縞を目視により下記基準で評価した。
○:干渉による色ムラが見えない
×:干渉による色ムラが目立つ
<凹凸感>
反射防止フィルム付き偏光板の偏光板表面に黒のアクリルラッカーをスプレーして裏面反射をなくし、暗室内で三波長蛍光灯下にてフィルム表面の凹凸感を目視により下記基準で評価した。
【0099】
○:反射像のゆがみやざらつき感がない
×:反射像のゆがみやざらつき感がある
【表1】
Figure 2005004140
上記表1に示す通り、本発明の反射防止フィルムは光反射を効果的に防止することができ、しかも反射光の色彩にムラが生じることがないため該反射防止フィルムを用いた偏光板は画像品位に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの一例である。
【図2】本発明の反射防止フィルムの他の一例である。
【図3】本発明の偏光板の一例である。
【図4】本発明の光学素子の一例である。
【符号の説明】
1:反射防止層
2:ハードコート層
3:透明導電層
4:透明基材フィルム
5:偏光子

Claims (8)

  1. 透明基材フィルムの少なくとも片面に、直接または別の層を介して反射防止層が形成されている反射防止フィルムにおいて、前記反射防止層の表面形状が下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする反射防止フィルム。
    (1):0.01μm<表面うねり平均高さ(Wa)<0.1μm
    (2):0.2mm<表面うねり平均間隔(WSm)<2.5mm
    (但し、Wa及びWSmはJIS B 0601−2001に準拠して測定される値である。)
  2. 透明基材フィルムの少なくとも片面に、別の層を介して反射防止層が形成されている反射防止フィルムにおいて、前記別の層が、透明導電層とハードコート層とであり、前記ハードコート層の表面形状が下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
    (1):0.01μm<表面うねり平均高さ(Wa)<0.1μm
    (2):0.2mm<表面うねり平均間隔(WSm)<2.5mm
    (但し、Wa及びWSmはJIS B 0601−2001に準拠して測定される値である。)
  3. 前記透明導電層が、平均粒子径0.1μm以下の金属及び/又は導電性金属酸化物の超微粒子を分散含有したものであることを特徴とする請求項2記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層が、平均粒子径0.1μm以下の金属及び/又は導電性金属酸化物の超微粒子を分散含有したものであることを特徴とする請求項2又は3記載の反射防止フィルム。
  5. 前記透明導電層の屈折率ncと前記ハードコート層の屈折率nhとが、nh>ncを満足することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 偏光子の片面又は両面に、請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルムの透明基材フィルムが保護フィルムとして設けられている偏光板。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム又は請求項6記載の偏光板を用いた光学素子。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム、請求項6記載の偏光板、又は請求項7記載の光学素子を用いた画像表示装置。
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