JP4322104B2

JP4322104B2 - ゴルフクラブヘッド

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Publication number: JP4322104B2
Application number: JP2003410763A
Authority: JP
Inventors: 久嗣垣内; 正秀大貫
Original assignee: Ｓｒｉスポーツ株式会社
Priority date: 2003-12-09
Filing date: 2003-12-09
Publication date: 2009-08-26
Anticipated expiration: 2023-12-09
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Description

本発明は、耐久性を損ねることなく反発性能を向上しうるゴルフクラブヘッドに関する。

従来、フェース部の周辺部分の厚さを中央部分の厚さよりも小さくして低剛性化を図ることにより、打球時のフェース部を大きく弾性変形させて反発性能を向上させる試みがなされている（例えば下記特許文献１ないし２参照）。ところが、フェース部の周辺部分を薄肉化すると、フェース部の耐久性を悪化させるため、このような薄肉化にはおのずと限界がある。

特開２００１−１２９１３１号公報特開平９−２９９５１９号公報

発明者らは、フェース部のみならずヘッドのより広い範囲で剛性を低下させるために、フェース部に連なるクラウン部、ソール部において、そのヘッド前側の剛性を改善することにより、さらに反発性を向上させうることを見出した。

他方、クラウン部やソール部の厚さを改善する技術として、例えば下記特許文献３ないし４が知られている。特許文献３は、フェース部、ソール部、クラウン部又はサイド部の中央部を薄くすることを、また特許文献４では、打球面から２０〜４０mm範囲におけるヘッド前部側の剛性をヘッド後部側よりも高めることをそれぞれ教えているに過ぎない。また、これらは、打球音を改善することを課題とし、本発明の課題とは相違している。

特開平１１−１５５９８２号公報特開平１０−３３７２３号公報

本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、クラウン部及び／又はソール部の少なくともそのヘッド前側において、トウ、ヒール方向のほぼ中央から前記トウ及びヒールに向かって厚さが段階的又は滑らかに減少する厚さ変化部を設けることを基本として、ヘッドの耐久性を損ねることなしに反発性能を向上しうるゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。

本発明のうち請求項１記載の発明は、ボールを打球するフェース面を有するフェース部と、前記フェース部に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド上面をなすクラウン部と、前記フェース部に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド底面をなすソール部とを有する中空構造のゴルフクラブヘッドであって、前記クラウン部及び／又はソール部は、ヘッド前後方向のヘッド前側に、トウ側端から中央側へ実質的に一定の厚さでのびるトウ側部と、ヒール側端から中央側へ実質的に一定の厚さでのびるヒール側部と、前記トウ側部とヒール側部との間に設けられ前記トウ側部及びヒール側部よりも大きい厚さを有する中央部とからなる厚さ変化部を具え、かつ前記中央部は、前記トウ側部及びヒール側部に向かって厚さが段階的又は滑らかに減少するとともに、前記厚さ変化部は、シャフト軸線を垂直面内に配して規定のライ角で傾けるとともにフェース面を規定のロフト角に傾けてソール部を水平面に接地させた基準状態において、そのヘッド前後方向の長さＬ１が、ヘッド奥行き長さＬの８〜５０％であり、かつ前記フェース部に連なりヘッド後方にのびることを特徴としている。

また請求項２記載の発明は、前記中央部は、そのトウ、ヒール方向の長さがＷ１が、ヘッドのトウ、ヒール方向の最大長さＷの１０〜６０％であることを特徴とする。

また請求項３記載の発明は、前記トウ側部の厚さｔ２及びヒール側部の厚さｔ３は、０．５mm以上、１．５mm以下であることを特徴とする。
。

また請求項４記載の発明は、前記中央部の前記最大の厚さｔ１は、クラウン部においては、０．６mm以上、２．０mm以下であることを特徴とする。
ブヘッド。

また請求項５記載の発明は、前記厚さ変化部が、前記中央部の最大の厚さｔ１と前記トウ側部の厚さｔ２との比（ｔ１／ｔ２）及び中央部の最大の厚さｔ１と前記ヒール側部の厚さｔ３との比（ｔ１／ｔ３）が１．２〜３．０であることを特徴とする。

一般に、中空構造のゴルフクラブヘッドでボールを正しく打球すると、フェース部の中央に最も大きな力が作用する。また、この力はクラウン部、ソール部のヘッド前側のとりわけ中央部付近にも大きく伝達される。クラウン部ないしソール部のヘッド前側を均一に薄肉化すると反発性は向上できるが、中央部付近には局部的に大きな応力が生じヘッド耐久性が低下する。

本発明では中空構造のゴルフクラブヘッドにおいて、クラウン部及び／又はソール部は、その少なくともヘッド前側に、トウ、ヒール方向のほぼ中央から前記トウ及びヒールに向かって厚さが段階的又は滑らかに減少する厚さ変化部が設けられる。これにより、クラウン部及び／又はソール部のヘッド前側は、均一ないしそれに近い応力が生じ耐久性を維持しつつ剛性を低下させることが可能になる。したがって、ヘッドの耐久性を維持しつつ、打球時にクラウン部及び／又はソール部を最大限に変形させることでボールとの反発性が向上し、ひいては打球の飛距離が増大する。

以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図１は本発明の実施形態のゴルフクラブヘッドの平面図、図２はフェース面側から見た正面図、図３は図１のＡ−Ａ端面図、図４は同Ｂ−Ｂ端面図である。本実施形態のゴルフクラブヘッド（以下、単に「ヘッド」ということがある。）１は、ボールを打撃するフェース面２を区画するフェース部３と、このフェース部３に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド上面をなすクラウン部４と、前記フェース部３に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド底面をなすソール部５と、前記クラウン部４とソール部５との間をのびるヘッド側面を形成するサイド部６と、図示しないシャフトが装着されるホーゼル部７とを具え、本実施形態では、ドライバー（＃１）であるウッド型のものが示されている。

前記ホーゼル７には、シャフト（図示せず）が差し込まれるシャフト差込孔７ａが設けられる。このシャフト差込孔７ａの軸中心線ＣＬは、後に差し込まれるシャフトの軸線と実質的に一致する。従って、本明細書において、シャフト軸線はこのシャフト差込孔７ａの軸中心線ＣＬで代用できる。

図１及び図２は、ヘッド１の基準状態が示されている。本明細書において、ヘッド１の基準状態とは、シャフト軸線（シャフト差込孔７ａの軸中心線ＣＬ）を任意の垂直面ＶＰ１内に配して規定のライ角αで傾けるとともにフェース面２を規定のロフト角β（リアルロフト角）に傾けてソール部５を水平面ＨＰに接地させた状態とする。

本実施形態のヘッド１は、全てが金属材料により形成されたものが示される。好ましい材料としては、例えばチタン合金、ステンレス又はアルミニウム合金等である。軽量化を図るために、必要に応じて一部に繊維強化樹脂などを用いることができる。またヘッド１は、図３、図４に示されるように、内部に中空部ｉを有する中空構造で形成される。中空部ｉは、そのままでも良いし、また重量体や発泡樹脂などが充填される場合もありうる。この場合、フェース部３の反発性を損ねないように、充填物はフェース部３の背面に接触しないように配されるのが望ましい。また、このような中空構造のヘッド１は、ヘッド体積が２８０cm³以上、より好ましくは３００cm³以上、さらに好ましくは３２０cm³以上が望ましい。上限は、特に制限はないがヘッド重量の兼ね合いより、例えば４６０cm³程度とすることができる。

本発明のヘッド１は、クラウン部４及び／又はソール部５の少なくともそのヘッド前側に、トウ、ヒール方向のほぼ中央から前記トウ及びヒールに向かって厚さが段階的又は滑らかに減少する厚さ変化部４Ｆ及び／又は５Ｆが設けられたことを特徴事項の一つとしている。

中空構造のゴルフクラブヘッドでボールを打球すると、フェース部３はもとより、クラウン部４やソール部５のヘッド前側において、トウ、ヒール方向の中央部付近に大きな衝撃力が加わる。一方、ヘッド前側のトウ、ヒール側部分には、比較的小さな衝撃力しか作用しない。従来、クラウン部４ないしソール部５のヘッド前側は、実質的に均一の厚さでトウからヒールにのびており、その厚さは中央部付近の強度に合わせて設定されていたため、そのトウ、ヒール側部分では不必要に大きい厚さになっていた。

耐久性を維持しつつヘッドを低剛性化するためには、前記クラウン部４ないしソール部５のヘッド前側において、大きな力が作用する部分は大きい厚さとし、他方、小さな力しか作用しない部分はより小さい厚さとすることにより、打球時に生じる応力の均一化を図ることが重要である。これにより、クラウン部４ないしソール部５のヘッド前側において、トウ、ヒール側の低剛性化を可能として耐久性と反発性能とをバランス良く向上することができる。即ち、ボールの打球時において、クラウン部４ないしソール部５のヘッド前側の強度を維持しながら大きく撓ませることができ、ボールとの反発性が向上し飛距離を増大させ得る。

図３ないし図４の実施形態において、クラウン部４は、トウ、ヒール方向に厚さが変化しているヘッド前側の厚さ変化部４Ｆと、トウ、ヒール方向に実質的に一定厚さが続く一定厚さ部４Ｂとから構成されている。この例では、ソール部５の厚さは実質的に一定で形成される。

前記厚さ変化部４Ｆは、トウ、ヒール方向のほぼ中央から前記トウ及びヒールに向かって厚さが滑らかに減少している。本実施形態の厚さ変化部４Ｆは、そのトウ側端４ｔから中央側へ実質的に一定の厚さｔ２でのびるトウ側部４Ｆｔと、そのヒール側端４ｈから中央側へ実質的に一定の厚さｔ３でのびるヒール側部４Ｆｈと、前記トウ側部４Ｆｔとヒール側部４Ｆｈとの間に設けられ、かつ、これらの厚さｔ２、ｔ３よりも大きい厚さを有する中央部４Ｆｃとから構成されたものが例示される。

また中央部４Ｆｃの最大の厚さｔ１と前記トウ側部４Ｆｔの厚さｔ２との比（ｔ１／ｔ２）及び中央部４Ｆｃの最大の厚さｔ１と前記ヒール側部４Ｆｈの厚さｔ３との比（ｔ１／ｔ３）は、好ましくは１．２以上、より好ましくは１．４以上、さらに好ましくは１．５以上である。前記各比がいずれも１．２未満であると、中央部４Ｆｃをより厚くかつトウ側部４Ｆｔないしヒール側部４Ｆｈをより薄くすることができず耐久性と反発性能とを向上させる効果が低下しやすい。逆に前記比が大きすぎても、中央部４Ｆｃが厚くなりすぎて過度の重量増加を招いたり、逆にトウ側部４Ｆｔないしヒール側部４Ｆｈが過度に薄くなりすぎて強度不足が生じるおそれがある。このような観点より、前記各比（ｔ１／ｔ２）、（ｔ１／ｔ３）の上限は、前記下限値のいずれかとの組み合わせにおいて３．０以下、より好ましくは２．５以下が望ましい。

トウ側部４Ｆｔの厚さｔ２及びヒール側部４Ｆｈの厚さｔ３は、特に制限はないが、クラウン部４においては好ましくは１．５mm以下、より好ましくは１．２mm以下、さらに好ましくは１．０mm以下が望ましい。前記各厚さｔ２ないしｔ３が１．５mmを超えると厚さ変化部４Ｆによる低剛性化が不十分となり、反発性能を向上させる効果が低下するおそれがある。他方、前記各厚さｔ２ないしｔ３が小さすぎても厚さ変化部４Ｆの耐久性を損ねる傾向があるため、各厚さｔ２ないしｔ３の下限は、前記上限値のいずれかとの組み合わせにおいて０．５mm以上、より好ましくは０．６mm以上、さらに好ましくは０．７mm以上が望ましい。なお本実施形態では、トウ側部４Ｆｔの厚さｔ２と、ヒール側部４Ｆｈの厚さｔ３とは実質的に同一であるが、厚さを異ならせることでも良い。

また前記中央部４Ｆｃは、本実施形態では中央からトウ、ヒール側に向かって厚さが滑らかに減少するものが示されている。これは、中央部４Ｆｃと、トウ側部４Ｆｔないしヒール側部４Ｆｈとの厚さの変化が滑らかとなるため、厚さ変化部４Ｆの中に局部的な剛性段差が生じない。従って、打球時の応力集中などを抑制し、より一層耐久性を向上するのに役立つ。

中央部４Ｆｃは、トウ、ヒール方向のほぼ中央に最大の厚さｔ１となる部分を含んでいる。ここで、「トウ、ヒール方向のほぼ中央」とは、図１に示されるように、前記基準状態において、フェース面２のスイートスポットＳＳを通りかつ前記垂直面ＶＰ１と直角な第２の垂直面ＶＰ２を中心としてトウ、ヒール方向にそれぞれ１０mmの幅を持った範囲とする。

中央部４Ｆｃの前記最大の厚さｔ１は、特に制限はないが、クラウン部においては、好ましくは０．６mm以上、より好ましくは０．９mm以上、さらに好ましくは１．０mm以上である。前記厚さｔ１が０．６mm未満であると、中央部４Ｆｃにおいて打球時の応力が局部的に大きくなる傾向があり、ヘッドの耐久性を悪化させやすくなる。他方、前記厚さｔ１が大きすぎても、中央部４Ｆｃの剛性が過度に高められてしまい打球時に撓み難くなるなど反発性を悪化させやすい。このような観点より、前記厚さｔ１の上限値は、前記下限値のいずれかとの組み合わせにおいて、２．０mm以下、より好ましくは１．５mm以下、さらに好ましくは１．２mm以下である。この実施形態では、クラウン部４の厚さ変化部４Ｆは、外面の輪郭線が滑らかな凸曲面を有し、中央部４Ｆｃの内面が中空部ｉ側に凸状となるものが例示される。

また図３に示されるように、中央部４Ｆｃのトウ、ヒール方向の長さＷ１は、ヘッド１のトウ、ヒール方向の最大長さＷの１０％以上、より好ましくは１５％以上、さらに好ましくは２０％以上が望ましい。前記中央部４Ｆｃのトウ、ヒール方向の長さＷ１が、前記最大長さＷの１０％未満の場合、中央部４Ｆｃの剛性が不足して耐久性の低下を招くおそれがある。他方、中央部４Ｆｃの前記長さＷ１が大きすぎても、厚さ変化部４Ｆの剛性が過度に高められ、ヘッドの反発性能が低下する傾向がある。このような観点より、前記長さＷ１は、前記最大長さＷの６０％以下、より好ましくは５５％以下、さらに好ましくは５０％以下が望ましい。

なおヘッド１のトウ、ヒール方向の最大長さＷや、中央部４Ｆｃのトウ、ヒール方向の長さＷ１は、いずれも前記シャフト軸線が配された垂直面ＶＰ１における断面において測定されるものとし、前記最大長さＷは、クラウン部４のトウ側端４ｔからはホーゼル部７を含まないヒール端４ｈまでとする。

また図４に示されるように、厚さ変化部４Ｆのヘッド前後方向の長さＬ１は前記基準状態において、ヘッド奥行き長さＬの５％以上、より好ましくは８％以上、さらに好ましくは１０％以上が望ましい。厚さ変化部４Ｆの前記長さＬ１がヘッド奥行き長さＬの５％未満であると、クラウン部４（ないしソール部５）において厚さを変化させて剛性をコントロールした効果が得られ難い。上限は特に制限が無く、例えば厚さ変化部４をクラウン部４（ないしソール部５）の全域に形成することもできる。ただし、これによってクラウン部４ないしソール部５の重量が増すような場合には、上限をヘッド奥行き長さＬの５０％以下、より好ましくは４０％以下、さらに好ましくは３０％以下とし、その後方には本実施形態のように一定厚さ部４Ｂを設けるのが望ましい。本発明においては、ヘッド前後方向の長さＬ１はヘッド奥行き長さＬの８〜５０％としている。前記具体的な値としては前記長さＬ１は１０mm以上が望ましい。さらに、前記厚さ変化部４Ｆは、フェース部３に連なりヘッド後方へのびる。

前記ヘッド奥行き長さＬは、図４に示されるように、前記基準状態において、第２の垂直面ＶＰ２における断面図での水平方向の最大長さとする。また前記厚さ変化部４Ｆの長さＬ１も、第２の垂直面ＶＰ２における断面図での水平方向の最大長さとする。

またクラウン部４において、前記一定厚さ部４Ｂの厚さｔ４は、厚さ変化部４Ｆにおけるトウ側部４Ｆｔの厚さｔ２（この実施形態では、ヒール側部４Ｆｈの厚さｔ３とも同じ）と実質的に同一の厚さを有する。一定厚さ部４Ｂは、ヘッド後方に設けられるため、このような薄い厚さでその全域を形成してもヘッドの耐久性を損ねることはない。

次に、本発明の他の実施形態について説明する。図５、図７、図９及び図１１は図１のＡ−Ａ切断面の位置に相当する端面図、図６、図８、図１０及び図１２は同Ｂ−Ｂ切断面の位置に相当する端面図がそれぞれ示されている。いずれもヘッド１の外観は、図１ないし２と同じである。また以下の図５〜図１３に示されたいずれの実施形態においても、中央部４Ｆｃのトウ、ヒール方向の長さＷ１、さらには厚さ変化部４Ｆ又は５Ｆの前後方向の長さＬ１等は、図１〜４の実施形態において述べた好ましい値ないし範囲を適用することができる。

先ず図５、図６の実施形態のヘッド１は、クラウン部４のヘッド前側に厚さ変化部４Ｆが設けられており、それはトウ、ヒール方向に厚さが段階的に変化している。その他の点は図３の実施形態と同一である。また厚さ変化部４Ｆは、一定厚さｔ２の前記トウ側部４Ｆｔと、一定厚さｔ３（＝ｔ２）の前記ヒール側部４Ｆｈと、これらの間の中央部４Ｆｃとを含んでいる。

中央部４Ｆｃは、例えば最大の厚さｔ１でトウヒール方向にのびる主部ａと、その両側に設けられそれぞれトウ、ヒール方向に厚さが滑らかに変化する第１の減厚部ｂ、ｂと、そこから実質的に一定の厚さでのびる等厚部ｃ、ｃと、その両側に設けられそれぞれトウ、ヒール方向に厚さが滑らかに変化する第２の減厚部ｄ、ｄとを含むものが示されている。各減厚部ｂないしｄは、厚さが滑らかに変化する。また、減厚部ｂないしｄをトウ、ヒール方向にそれぞれ複数個設けることによって、厚さの変化を段階的としつつもその変化量を小にできるため、剛性段差の影響を減じ応力集中の緩和などに有効である。

またソール部５における厚さ変化部５Ｆにおいて、前記トウ側部４Ｆｔの厚さｔ２及びヒール側部４Ｆｈの厚さｔ３は、好ましくは１．８mm以下、より好ましくは１．６mm以下が望ましい。前記各厚さｔ２ないしｔ３が１．８mmを超えると厚さ変化部５Ｆによる低剛性化が不十分となり、反発性能を向上させる効果が低下するおそれがある。他方、前記各厚さｔ２ないしｔ３が小さすぎても厚さ変化部５Ｆの耐久性を損ねる傾向があるため、各厚さｔ２ないしｔ３の下限は、前記上限値のいずれかとの組み合わせにおいて０．６mm以上、より好ましくは０．８mm以上、さらに好ましくは１．０mm以上が望ましい。なお本実施形態では、トウ側部５Ｆｔの厚さｔ２と、ヒール側部５Ｆｈの厚さｔ３とは実質的に同一であるが、厚さを異ならせることでも良い。

またソール部５における厚さ変化部５Ｆにおいて、中央部５Ｆｃの前記最大の厚さｔ１は、特に制限はないが、好ましくは０．８mm以上、より好ましくは１．０mm以上、さらに好ましくは１．２mm以上である。前記厚さｔ１が０．８mm未満であると、中央部５Ｆｃにおいて打球時の応力が局部的に大きくなる傾向があり、ヘッドの耐久性を悪化させやすくなる。他方、前記厚さｔ１が大きすぎても、中央部５Ｆｃの剛性が過度に高められてしまい打球時に撓み難くなるなど反発性を悪化させやすい。このような観点より、前記厚さｔ１の上限値は、前記下限値のいずれかとの組み合わせにおいて、２．０mm以下、より好ましくは１．８mm以下、さらに好ましくは１．６mm以下である。この実施形態では、ソール部５の厚さ変化部５Ｆは、外面の輪郭線が滑らかな凸曲面を有し、中央部５Ｆｃの内面が中空部ｉ側に凸状となるものが例示される。

次に図７、図８の実施形態のヘッド１は、ソール部５が、そのヘッド前側の厚さ変化部５Ｆと、そのヘッド後方の一定厚さ部５Ｂとで構成されたものが例示される。他方、クラウン部４は、バックフェース側からフェース部側に向かって厚さが滑らかに漸増しているが、トウ、ヒール方向では厚さが実質的に一定で形成されたものが例示される。

厚さ変化部５Ｆは、トウ、ヒール方向に厚さが滑らかに変化している。具体的には、トウ、ヒール方向のほぼ中央から前記トウ及びヒールに向かって厚さが滑らかに減少している。本実施形態の厚さ変化部５Ｆは、そのトウ側端５ｔから中央側へ実質的に一定の厚さｔ２でのびるトウ側部５Ｆｔと、そのヒール側端５ｈから中央側へ実質的に一定の厚さｔ３でのびるヒール側部５Ｆｈと、前記トウ側部５Ｆｔとヒール側部５Ｆｈとの間に設けられ、かつ、これらの厚さｔ２、ｔ３よりも大きい厚さを有する中央部５Ｆｃとから構成されたものが例示される。即ち、図３ないし図４の実施形態と同様の厚さ変化部５Ｆが、ソール部５に設けられた態様が示される。このような実施形態のヘッド１は、ソール部５の耐久性を損ねることなく低剛性化を可能とする。よって、耐久性と飛距離とがバランス良く向上できる。

また前記一定厚さ部５Ｂの厚さｔ４は、トウ側部５Ｆｔの厚さｔ２（又はヒール側部５Ｆｈの厚さｔ３）と実質的に同一の厚さで形成されている。なおソール部５とサイド部６との境界が明りょうでない場合、図７に示されるように、ヘッド１の基準状態において、水平面ＨＰから１６mmの高さｈを隔てる第２の水平面ＨＰ２と交わる部分をソール部５とサイド部６との境界として定める。

また図９、図１０の実施形態はソール部５にトウ、ヒール方向に向かって厚さが段階的に減少する厚さ変化部５Ｆが設けられている。図５と同じ符号については、同じ構成で有している。さらに図１１、図１２の実施形態のヘッド１は、クラウン部４及びソール部５にそれぞれ厚さ変化部４Ｆ、５Ｆが設けられている。各厚さ変化部４Ｆ、５Ｆの構成については、図３、図４、図７及び図８の実施形態のものと実質的に同一である。

図１３には、厚さ変化部４Ｆの他の実施形態を説明する例として、クラウン部４の厚さ変化部４Ｆの断面図を示している。（Ａ）の態様では、中央部４Ｆｃが、断面三角形状をなすものが示される。また（Ｂ）のものでは、厚さが中央側からトウ側端４ｔ、ヒール側端４ｈまで連続的に変化するものが示される。このように、本発明は、種々の形態で実施することができる。また本実施形態では、ウッド型のヘッド１を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、中空構造であれば、アイアン型やパター型など各種のヘッドにおいて適用することができる。

表１の仕様に基づくヘッド体積が３５０cm³のウッド型のゴルフクラブヘッドを試作し、反発係数と耐久性能とを以下の方法によりテストした。なおいずれのヘッドも、ヘッド重量１８５ｇとし、Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖのチタン合金からなる２ピース構造で形成された。フェース部の厚さはいずれも中央部が２．８mm、周辺部が２．５mmの周辺薄肉構造とし、サイド部の厚さは１．０〜１．２mmの範囲で設定した。

＜反発係数＞
ヘッドの反発特性は、Ｕ．Ｓ．Ｇ．Ａ．の Procedure for Measureing the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (February 8, 1999) に基づき行った。数値が大きいほど良好である。

＜耐久性能＞
各供試ヘッドにＦＲＰ製の同一のシャフトを装着し４５インチのウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボットに取り付け、ヘッドスピードが５０ｍ／ｓとなるように調節してゴルフボールを各クラブ毎に３０００球づつ打撃し、ヘッドの損傷具合を観察した。
テストの結果などを表１に示す。

テストの結果、実施例のヘッドは、いずれも実用上充分な耐久性能を発揮しつつ反発係数を顕著に向上していることが確認できる。

本発明の実施形態を示すヘッドの基準状態における平面図である。そのフェース面側から見た正面図である。図１のＡ−Ａ端面図である。図１のＢ−Ｂ端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＡ−Ａ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＢ−Ｂ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＡ−Ａ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＢ−Ｂ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＡ−Ａ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＢ−Ｂ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＡ−Ａ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す図１のＢ−Ｂ切断面に相当する端面図である。本発明の他の実施形態を示す部分端面図である。比較例のゴルフクラブヘッドを示す図１のＡ−Ａ切断面に相当する端面図である。比較例のゴルフクラブヘッドを示す図１のＢ−Ｂ切断面に相当する端面図である。

符号の説明

１ゴルフクラブヘッド
２フェース面
３フェース部
４クラウン部
４Ｆクラウン部の厚さ変化部
４Ｆｃクラウン部の厚さ変化部の中央部
４Ｆｔクラウン部の厚さ変化部のトウ側部
４Ｆｈクラウン部の厚さ変化部のヒール側部
５ソール部
５Ｆソール部の厚さ変化部
５Ｆｃソール部の厚さ変化部の中央部
５Ｆｔソール部の厚さ変化部のトウ側部
５Ｆｈソール部の厚さ変化部のヒール側部
６サイド部
７ホーゼル部
７ａシャフト差込孔
ＣＬシャフト差込孔の軸中心線

Claims

ボールを打球するフェース面を有するフェース部と、前記フェース部に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド上面をなすクラウン部と、前記フェース部に連なりヘッド後方にのびるとともにヘッド底面をなすソール部とを有する中空構造のゴルフクラブヘッドであって、
前記クラウン部及び／又はソール部は、ヘッド前後方向のヘッド前側に、トウ側端から中央側へ実質的に一定の厚さでのびるトウ側部と、ヒール側端から中央側へ実質的に一定の厚さでのびるヒール側部と、前記トウ側部とヒール側部との間に設けられ前記トウ側部及びヒール側部よりも大きい厚さを有する中央部とからなる厚さ変化部を具え、
かつ前記中央部は、前記トウ側部及びヒール側部に向かって厚さが段階的又は滑らかに減少するとともに、
前記厚さ変化部は、シャフト軸線を垂直面内に配して規定のライ角で傾けるとともにフェース面を規定のロフト角に傾けてソール部を水平面に接地させた基準状態において、そのヘッド前後方向の長さＬ１が、ヘッド奥行き長さＬの８〜５０％であり、かつ
前記フェース部に連なってヘッド後方にのびることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
前記中央部は、そのトウ、ヒール方向の長さがＷ１が、ヘッドのトウ、ヒール方向の最大長さＷの１０〜６０％であることを特徴とする請求項１記載のゴルフクラブヘッド。
前記トウ側部の厚さｔ２及びヒール側部の厚さｔ３は、０．５mm以上、１．５mm以下であることを特徴とする請求項１又は２記載のゴルフクラブヘッド。
前記中央部の前記最大の厚さｔ１は、クラウン部においては、０．６mm以上、２．０mm以下であることを特徴とする請求項１又は２記載のゴルフクラブヘッド。
前記厚さ変化部は、前記中央部の最大の厚さｔ１と前記トウ側部の厚さｔ２との比（ｔ１／ｔ２）及び中央部の最大の厚さｔ１と前記ヒール側部の厚さｔ３との比（ｔ１／ｔ３）が１．２〜３．０であることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。