JP4303355B2 - ポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜およびその多孔膜を用いた電池 - Google Patents

ポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜およびその多孔膜を用いた電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱変形性の優れたポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜およびその多孔膜をセパレータとして用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノートブック型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報端末が急速に普及し、これに伴って小型二次電池の重要性が増してきている。小型二次電池としては、非水溶液系高エネルギー密度二次電池であるリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータなどから構成されており、電解液中で正極と負極を分離する役割を有するセパレータには、種々の合成樹脂製多孔膜の使用が検討されている。
【0004】
リチウムイオン二次電池の電解液は、LiCF3SO3、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiPF4などの電解質を、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、γ-ブチルラクトン、スルフォランなどの高誘電率溶媒を主体とする溶媒中に溶解させたものが使用されているため、セパレータにはこれらの溶媒に対する濡れ性が良いことが要求される。
【0005】
また、セパレータには、一定の温度に達すると自動的に孔が閉塞して実質的に非多孔膜になる性質(以下、「シャットダウン特性」と称する)が要求される。これは、外部短絡による過大電流が生じた際に、ジュール熱によってセパレータが溶融あるいは軟化し、セパレータの孔が閉塞して電流を遮断することにより、それ以上の危険な発熱を防止する働きをするものである。
【0006】
さらに、孔が閉塞した後、直ちには温度上昇が収まらなかった場合、あるいは、何らかの原因で外部から加熱された場合に、正極と負極の絶縁を維持する必要があるため、孔が閉塞する上記の温度より高い温度でその膜形状を保持する性質(以下「耐熱性」と称する)が要求される。
【0007】
リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、特開平3−64334号公報にポリオレフィン微多孔膜が開示されている。しかし、ポリオレフィン微多孔膜は電解液に対する濡れ性が悪いため、電池として組み上げた際に電気抵抗値が大きくなるという問題がある。
【0008】
また、特開平5−94812号公報には界面活性剤による処理を施したポリオレフィン微多孔膜が開示されており、界面活性剤で処理することによりポリオレフィン微多孔膜が親溶媒化し電解液に対する濡れ性が向上するとされている。しかし、界面活性剤による処理では親溶媒化は十分でなく、電池の組み上げの際に電解液の含浸を減圧下で行う必要があり電池の生産性が悪いという問題を有している。
【0009】
上記のような問題点を解決するために、電解液に対して良好な親和性を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂をセパレータとして使用することが検討されている。
【0010】
例えば、特開平7−173323号公報には、電解液の含浸性に優れかつ機械的強度にも優れたポリふっ化ビニリデン多孔膜が開示され、特開平8−323910号公報には、ポリふっ化ビニリデン多孔膜とポリ4−メチルペンテン−1などに代表される樹脂の多孔膜とからなる積層多孔膜が開示されている。
【0011】
ポリふっ化ビニリデンは通常170〜180℃に融点を有するが、電解液により110〜130℃付近で膨潤するため、電池に組み込まれたポリふっ化ビニリデン多孔膜は110〜130℃付近で孔の閉塞を生じ、シャットダウン特性を発現する。しかし、上記従来のポリふっ化ビニリデン多孔膜は孔の閉塞温度より高い温度に曝されると膨潤がさらに進み、実質的には膜形状を保持できなくなり、正極と負極の絶縁を維持できなくなる。したがって、ポリ4−メチルペンテン−1に代表されるような高融点で電解液に膨潤し難い樹脂からなる多孔膜を、支持体膜としてポリふっ化ビニリデン多孔膜と積層して用いる必要がある。
【0012】
すなわち、上記の公報に開示された従来のポリふっ化ビニリデン多孔膜は耐熱性が不足しており、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性を向上させる手法に関しては上記の公報には全く述べられていない。
【0013】
一方、特開平10−316793号公報には、電子線などの輻射エネルギーで架橋したポリふっ化ビニリデン系樹脂製多孔膜が開示されている。しかし、電子線などの輻射エネルギーで樹脂を架橋する際には多くの電気および熱エネルギーが必要となり、経済的に好ましいものではない。また、電子線などを照射した際に樹脂が分解してガスが発生する可能性がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、耐熱変形性の優れたポリふっ化ビニリデン系樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、電解液への親和性が優れ、シャットダウン特性および耐熱性を有した、前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記多孔膜をセパレータとして用いた安全性がより優れた電池を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量が2×105〜7×105であり、かつ分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有することを特徴とするポリふっ化ビニリデン系樹脂が、耐熱変形性が優れていることを見出した。
【0016】
また、上記のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜が、電解液への親和性に優れ、加えてシャットダウン特性および耐熱性にも優れていることを見出した。さらに、上記多孔膜をセパレータとして用いることで安全性がより優れた電池が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち、本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、重量平均分子量が2×105〜7×105のポリふっ化ビニリデン系樹脂であって、分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有することを特徴とする。
【0018】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有することが好ましい。
【0019】
また、本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、175℃以上の融点を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂であることが好ましい。
【0021】
本発明の多孔膜は、重量平均分子量が2×10〜7×10であり、かつ分子量が1×10以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有し、且つ、フッ化ビニリデンのホモポリマーにより構成されるポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることを特徴とする。
【0022】
本発明の多孔膜は、1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
【0023】
また、本発明の多孔膜は、175℃以上の融点を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
【0024】
また、本発明の多孔膜は、未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
【0025】
また、本発明の多孔膜は、膜の厚さが10〜50μmで、空孔率が20〜60%で、ガーレー値が2000秒以下であることが好ましい。
【0026】
本発明の電池は、上記の多孔膜をセパレータとして用いることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0028】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、重量平均分子量が2×105〜7×105のポリふっ化ビニリデン系樹脂であって、分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するものである。
【0029】
また、本発明の多孔膜は、重量平均分子量が2×105〜7×105であり、かつ分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなるものである。
【0030】
本発明において、ポリふっ化ビニリデン系樹脂とは、ふっ化ビニリデンのホモポリマー(すなわち、ポリふっ化ビニリデン)、およびふっ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物を意味する。ふっ化ビニリデンと共重合されるモノマーとしては、四ふっ化エチレン、六ふっ化プロピレン、三ふっ化エチレン、三ふっ化塩化エチレン、ふっ化ビニルなどが挙げられ、これら1種または2種以上を用いることができる。本発明においては、ふっ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとからなるコポリマーは、ふっ化ビニリデンを構成単位として70モル%以上含有することが好ましい。なかでも、機械的強度の高さからふっ化ビニリデン100モル%からなるふっ化ビニリデンのホモポリマーを用いることがより好ましい。
【0031】
また、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてN−メチルピロリドン溶媒で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0032】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、重量平均分子量が2×105〜7×105であり、かつ分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するため、分子量が1×106以上のいわゆる超高分子量成分を選択的に増加させた分子量分布を有する。
【0033】
このような分子量分布にすることにより、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が向上し、かかるポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜の耐熱性が向上する。
【0034】
ここで、耐熱変形性とは樹脂の熱変形に対する耐性であり、一定の形状寸法の樹脂に所定の荷重を与えながら加熱し樹脂が破断したときの温度として測定されるものである。
【0035】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、重量平均分子量が2×105〜7×105であるが、好ましくは3×105〜6×105、さらに好ましくは4×105〜5.5×105である。
【0036】
重量平均分子量が2×105より小さい場合は、溶融粘度が低すぎて安定的に成形することが困難となる傾向があり、ポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の機械的強度も低下する傾向がある。一方、7×105より大きい場合は、溶融粘度が高すぎて成形が困難となり、無理に成形すると分解などを生じる恐れがある。
【0037】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するが、分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂の含有量は、好ましくは7〜50重量%であり、より好ましくは7〜20重量%である。
【0038】
含有量が7重量%より小さい場合は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が十分でない傾向があり、また、それからなる多孔膜の耐熱性が低下する傾向がある。含有量が65重量%より大きい場合は、成形性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有することが好ましい。
【0040】
また、本発明の多孔膜は、1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
【0041】
重量平均分子量が1.7×105〜6.5×105であるポリふっ化ビニリデン系樹脂(以下、場合により通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と称す)と、重量平均分子量が1.0×106〜6.5×106であるポリふっ化ビニリデン系樹脂(以下、場合により超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と称す)とを上記の割合で含有させることにより、重量平均分子量を2×105〜7×105の範囲に保ちつつ分子量が1×106以上の超高分子量成分を選択的に増加させたポリふっ化ビニリデン系樹脂が得られる。
【0042】
このことにより、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が向上し、かかるポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜の耐熱性が向上する。
【0043】
通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、1.7×105〜6.5×105であることが好ましく、より好ましくは、1.8×105〜5.5×105であり、最も好ましくは、3.2×105〜5.5×105である。
【0044】
通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が1.7×105より小さい場合は、溶融粘度が低くポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜を安定的に成形することが困難となる傾向があり、6.5×105より大きい場合は、溶融粘度が高くポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の成形性が低下する傾向がある。
【0045】
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、1.0×106〜6.5×106であることが好ましく、より好ましくは、1.0×106〜6.0×106であり、最も好ましくは、1.0×106〜5.5×106である。
【0046】
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が1.0×106より小さい場合は、得られるポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が十分でない傾向があり、また、それからなる多孔膜の耐熱性が低下する傾向がある。重量平均分子量が6.5×106より大きい場合は、溶融粘度が上昇しポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の成形性が低下する傾向がある。
【0047】
通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂との含有比率は、前者が35〜99重量%であり、後者が1〜65重量%であることが好ましく、より好ましくは、前者が55〜99重量%であり、後者が1〜45重量%であり、最も好ましくは、前者が75〜98重量%であり、後者が2〜25重量%である。
【0048】
超高分子量ポリふっ化ビニリデン系樹脂の含有比率が1重量%より小さい場合は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が十分でない傾向があり、また、それからなる多孔膜の耐熱性が低下する傾向がある。超高分子量ポリふっ化ビニリデン系樹脂の含有比率が65重量%より大きいである場合は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の成形性が低下する傾向がある。
【0049】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は175℃以上の融点を有することが好ましい。また、本発明の多孔膜は前記の175℃以上の融点を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。ポリふっ化ビニリデン系樹脂の融点は、好ましくは175〜220℃である。
【0050】
ここで、融点とは示差走査熱量計(DSC)により測定される樹脂の結晶の融解ピーク温度を意味する。ポリふっ化ビニリデン系樹脂の融点が175℃より小さい場合、結晶内部の分子相互作用が小さいため、融点が175℃以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂に比べてより低温で溶媒に膨潤する傾向がある。したがって、融点が175℃より小さいポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜はシャットダウン特性を発現する温度が低くなる傾向がある。
【0051】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は未架橋のものであることが好ましい。また、本発明の多孔膜は前記未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
【0052】
ここで、未架橋とは、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の分子同士が「化学的に」3次元に架橋していないことを意味する。「化学的に」3次元に架橋した樹脂は、溶融押出しなどの成形が不可能または困難な傾向にある。なお、フィラーなどを含有させることにより分子同士に例えばイオン的な引き合いを生じさせた樹脂を、稀に「物理的に」架橋した樹脂と呼ぶことがあるが、そのような樹脂は溶融押出しなどの成形が可能であり、ここでは未架橋の樹脂に含むこととする。
【0053】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂は、分子量が1×106以上の超高分子量成分を選択的に増加させた分子量分布を有するため、未架橋でも耐熱変形性が優れる傾向にある。したがって、かかるポリふっ化ビニリデン系樹脂から成る多孔膜は耐熱性が高くなる傾向にある。
【0054】
本発明の多孔膜の厚さは、10〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは15〜35μmである。厚みが10μmより小さい場合は、多孔膜の機械的強度が劣る傾向があり、例えば電池用のセパレータとして使用したときに電池を組み上げる際に膜の破れを生じたり、導電性の微粒子が多孔膜を突き抜けて短絡などの不良を生じる恐れがある。厚みが50μmより大きい場合は、電池の容積が増大し電池のエネルギー密度が低下する傾向がある。
【0055】
本発明の多孔膜の空孔率は、20〜60%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50%である。空孔率が20%より小さい場合は、透気度(ガーレー値)を低めることが困難となるため、例えば電池用のセパレータとして使用したときに電気抵抗が増大する傾向があり、60%より大きい場合は機械的強度が劣る傾向がある。
【0056】
本発明の多孔膜の透気度は、ガーレー値として2000秒以下であることが好ましく、より好ましくは1200秒以下であり、最も好ましくは800秒以下である。ガーレー値が2000秒より大きい多孔膜では電気抵抗が増大する傾向がある。
【0057】
ここで、ガーレー値とは、JIS P8117に準拠してB型ガーレー式デンソメーターを用いて測定される値であり、透気度の一つの指標である。
【0058】
本発明の電池は、上記の多孔膜をセパレータとして用いるものである。本発明の多孔膜は上記のように電解液への親和性、シャットダウン特性および耐熱性に優れていることから電池のセパレータとして好適に用いることができる。
【0059】
本発明の電池の種類としては、セパレータとして本発明の多孔膜を用いる電池であれば制限はなく、例えば、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などの水溶液系電解液を含有する電池;リチウムイオン一次電池、リチウムイオン二次電池などの非水溶液系電解液を含有する電池などが挙げられる。なかでも、本発明の多孔膜をセパレータとして用いる電池は、非水溶液系電解液を含有する電池であることが好ましい。
【0060】
以下に本発明の電池の一実施形態である、非水溶液系電解液を含有するリチウムイオン二次電池について図面を参照しつつ説明する。
【0061】
図1は、上記リチウムイオン二次電池の構成の一例を示す一部引出し断面図である。正極2と負極3はセパレータ1で仕切られ四層構造のフィルムとなる。この四層構造のフィルムはセンターピン5を中心として渦巻き状に巻き付けられ、正極2は正極リード6を介して正極端子7に接続され、負極3は負極リード4を介して負極缶8に接続される。なお、正極2と負極3の間は電解液で満たされておりセパレータ1は正極2と負極3とを分離する働きを有する。また、セパレータ1は孔を有しておりそれを通して両極間でイオンの移動が起こる。
【0062】
ここで、セパレータ1は本発明の多孔膜からなるため、電解液への親和性が優れ、外部短絡などによりセパレータ1が異常に加熱された場合はシャトダウン特性により孔が閉塞してイオンの移動を阻止し、孔が閉塞する温度より高い温度においても膜形状を保持する耐熱性を有する。
【0063】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂およびポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜には、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。このような各種添加剤としては、タルク、マイカ、ガラス粉、無機顔料などの粒状または粉末状フィラー、ガラス繊維などの繊維状フィラーなどが挙げられる。これらの添加剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で使用目的に応じて適宜加えることができる。
【0064】
本発明の多孔膜は、積層することなく単層の膜として用いることもできるが、他のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる膜やポリふっ化ビニリデン系樹脂以外の樹脂の膜と積層してもよい。
【0065】
また、本発明の多孔膜は、未延伸のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなるものであっても、延伸されたポリふっ化ビニリデン系樹脂からなるものであってもよい。
【0066】
本発明の多孔膜は、上記のように電池のセパレータとして使用する以外にも、気体隔膜分離、気液分離、固液分離などの分離膜、あるいは絶縁材、保温材、断熱材、遮音材などとして使用することが可能である。
【0067】
次に、本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の製造方法を説明する。
【0068】
本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂の製造方法は、特に制限されないが、連続式混練機を用いる方法が好ましく採用される。連続式混練機としては、同方向噛み合い型二軸混練機、異方向噛み合い型二軸混練機、ブス・コ・ニーダーのような特殊単軸混練機などが挙げられるが、同方向噛み合い型二軸混練機が特に好ましい。
【0069】
通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂に超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を含有させる方法の一例として、同方向噛み合い型二軸混練を用いた例を説明する。
【0070】
同方向噛み合い型二軸混練には複数のヒートブロックが備わっており、使用するポリふっ化ビニリデン系樹脂の種類などに基づいて、それぞれ100〜300℃で加温される。通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂は同方向噛み合い型二軸混練の最上流部に設けられた少なくとも1つのポリマー供給部から供給され、超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解させた溶液は、ポリマー供給部の下流に設けられた少なくとも1つの溶液供給部からギアポンプなどの定量送り出し装置を用いて供給され、混練される。溶液供給部の下流には少なくとも1つの減圧吸引部が設けられ、この減圧吸引部からコールドトラップなどの溶媒回収装置を介して溶媒が吸引除去され、その後吐出口から混練物が吐出される。
【0071】
一方、多孔膜は、上記の同方向噛み合い型二軸混練を用いた方法に準じて通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を混練した後に、製膜および多孔化することにより得ることができる。
【0072】
すなわち、上記の同方向噛み合い型二軸混練のポリマー供給部から、通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を供給することに代えて、通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と多孔化剤との混合物を供給する以外は上記と同様な混練を行い、同方向噛み合い型二軸混練の吐出口に接続されたTダイを通して混練物をフィルム状に押し出して製膜する。あるいは、Tダイの代わりにペレットダイを設けて混練物をペレット化した後、別の押出し機を用いて製膜する。
【0073】
次に、得られた膜を、使用する多孔化剤の種類に基づいて処理し多孔膜を得る。すなわち、抽出により孔の発生源として作用する多孔化剤を用いた場合は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を有機溶媒、酸またはアルカリに浸漬あるいは暴露することで多孔化剤を抽出、除去し、多孔膜を得る。延伸により孔の発生源として作用する物質を多孔化剤に用いた場合は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を延伸することにより多孔膜を得る。
【0074】
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶解させる溶媒としては、20〜250℃の範囲内でポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶解できる溶媒であればよい。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、プロピレンカーボネート、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、ジメチルフタレート、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。なかでも高温での安定性からN−メチルピロリドンが好ましい。
【0075】
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解させる方法としては、例えば、オートクレーブを用いて超高分子量ポリふっ化ビニリデン系樹脂が溶媒に完全に溶解する温度で撹拌する方法が挙げられる。この温度は使用する溶媒により異なるが、N−メチルピロリドンを溶媒として用いた場合は40〜190℃の範囲である。
【0076】
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の濃度は1〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。濃度が15重量%より大きい場合は、超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂の分子鎖の解きほぐしが十分に進まず、また、溶液粘度が高くなるため取り扱いにくくなる傾向がある。濃度が1重量%より小さい場合は、混練物中の溶媒濃度が高くなりすぎ、減圧吸引部から溶媒を吸引する時間が長くなったり、溶媒を所定量吸引できなくなる傾向がある。
【0077】
抽出により孔の発生源として作用する多孔化剤としては、二塩基酸とグリコールからなる脂肪族系ポリエステル(例えば、アジピン酸−プロピレングリコール系、アジピン酸−1,3−ブチレングリコール系などのアジピン酸系ポリエステル;セバシン酸−プロピレングリコール系、セバシン酸−1,3−ブチレングリコール系などのセバシン酸系ポリエステル;アゼライン酸−プロピレングリコール系、アゼライン酸−1,3−ブチレングリコール系などのアゼライン酸系ポリエステルなどが挙げられる);無機化合物(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムなどが挙げられる);あるいは、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルアクリレートなどのアクリル樹脂などの有機化合物が挙げられる。これらの多孔化剤を含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を有機溶媒、酸、またはアルカリに浸漬あるいは暴露すると、多孔化剤が抽出、除去され、残された空間が孔となる。
【0078】
延伸により孔の発生源として作用する多孔化剤としては、微粉珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、微粉タルク、酸化チタン、珪藻土などの無機化合物微粉体が挙げられる。これらの微粉体を含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を延伸すると微粉体の周囲にボイドが生じ、そのボイドが互いに連通することにより孔が発生する。
【0079】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における測定は下記の測定方法に基づいて行った。
【0080】
(重量平均分子量および分子量1×106以上の成分の含有量)
日本分光社製のGPC装置(GPC−900)を用い、カラムに昭和電工社製のshodex KD−806M、プレカラムにshodex KD−G、溶媒にN−メチルピロリドンを使用し、温度40℃、流量1.0ml/分にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
【0081】
(耐熱変形性)
メトラー社製TA4000熱分析システムを用い、長さ10mm、幅6mmの短冊状の試料に負荷応力6.5kPaを与え、この試料を30℃から毎分10℃で260℃まで昇温して試料が破断する温度を測定した。
【0082】
(融点)
メトラー社製TA3000型熱分析システムを用い、窒素ガス雰囲気下で30℃から毎分10℃で250℃まで昇温してDSC曲線を測定し、結晶の融解による吸熱ピーク温度を融点とした。
【0083】
(膜の厚さ)
ソニー社製デジタルマイクロメータM−30を用いて測定した。
【0084】
(空孔率)
一辺が40mmの正方形に切り出した試料多孔膜を秤量し(この重量をW1とする)、ついでミネラルオイル(Aldrich Chemical社製Mineral oil,white,light)に室温中で6時間浸漬した後、試料多孔膜を取り出して表面のミネラルオイルを拭き取り、再び秤量し(この重量をW2とする)、下に示す式(A)から空孔率(%)を算出した。ここでρ1は、ポリふっ化ビニリデンの比重(密度)を表し、ρ2はミネラルオイルの比重(密度)を表す。
【0085】
【数1】
空孔率(%)=(ρ1(W2−W1)/(ρ2W1+ρ1(W2−W1)))×100 (A)
(ガーレー値)
JIS P8117に準拠して、B型ガーレー式デンソメータを用いて測定した。
【0086】
(シャットダウン特性)
電解液を含浸させた試料多孔膜を面積5cm2の白金板2枚で挟んで固定し測定セルとした。白金板と試料多孔膜の間には熱電対を挿入して試料多孔膜の温度を測定できるようにした。電解液は富山薬品社製のLIPASTE-EP3BLF7を用いた。この電解液は、エチレンカーボネート20.9重量%、プロピレンカーボネート18.9重量%、γ-ブチロラクトン52.8重量%の混合溶媒に電解質としてLiBF4を7.4重量%溶解したものである(重量%はいずれも電解液を100重量%としたときのものである)。
【0087】
このセルをホットプレート上に載せ、2枚の白金板の間に電圧0.1Vの直流電圧を印加しつつ、ホットプレートの熱盤を室温から毎分15℃で昇温して、試料多孔膜の温度と、回路電流から直流抵抗Ω・cm2を測定した。試料多孔膜のシャットダウン特性は、直流抵抗Ω・cm2が100℃でのそれの2倍に達したときの温度で表した。
【0088】
(耐熱性)
多孔膜の耐熱性の測定器の構造を図2に示す。片方の底面が開放されたテフロン製円筒容器11を使用し、閉じた底面の中央に直径1.5mmの穴を開け、そこに直径1.05mm、先端半径0.5mmの金属針12を挿入し、金属針12はテフロン製円筒容器11に開けられた穴の中を自由に出し入れできるようにした。一方の開放された底面にはアルミニウム板13を取り付け、電解液を含浸させた試料多孔膜14をアルミニウム板13に接触させ、金属針12を先端荷重4gで試料多孔膜14に垂直に押し当てた。なお、アルミニウム板13と試料多孔膜14の間には熱電対を挿入して試料多孔膜14の温度を測定できるようにした。
【0089】
電解液は富山薬品社製のLIPASTE-EP3BLF7を用いた。この電解液は、エチレンカーボネート20.9重量%、プロピレンカーボネート18.9重量%、γ-ブチロラクトン52.8重量%の混合溶媒に電解質としてLiBF4を7.4重量%溶解したものである(重量%はいずれも電解液を100重量%としたときのものである)。
【0090】
アルミニウム板13をホットプレート15上に載せ、交流インピーダンス測定器16(横河ヒューレットパッカード社製4274A MULTI-FREQUENCY LCR METER)を用いて、金属針12とアルミニウム板13に周波数100kHz、印加電圧0.1Vの交流電圧を印加しつつ、ホットプレート15を室温から毎分15℃で昇温して、試料多孔膜14の温度と交流インピーダンス(抵抗R)を測定した。
【0091】
試料多孔膜14の耐熱性は、金属針12が試料多孔膜14を突き抜けてアルミニウム板13と接触し、抵抗Rが1Ω以下となったときの温度で表した。
【0092】
(実施例1および2)
同方向回転噛み合い型二軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、商品名:BT−30、スクリュー直径30mm、L/D=48)のシリンダ最上流部から80mmの位置に設けられたポリマー供給部から表1に示す重量で通常分子量のポリふっ化ビニリデンを供給し、シリンダ最上流部から480mmの位置に設けられた溶液供給部から表1に示す重量比で作成された超高分子量のポリふっ化ビニリデンのN−メチルピロリドン溶液を100℃にて供給し、バレル温度190℃で混練し、シリンダ最上流部から1080mmの位置に設けられた減圧吸引部(バレル温度210℃)から、コールドトラップを介した水封式ポンプで減圧にすることにより混練物中のN−メチルピロリドンを80%以上吸引除去し、混練物を直径3mmのダイより押出し、冷却ドラム上で冷却固化させた後、ペレット化した。なお、減圧吸引部の真空ゲージは600mHgを示すように減圧状態を維持した。
【0093】
このようにして得られたペレットを35mm単軸押出機に供給して、温度190℃で、幅350mmのTダイより押出し、溶融状態のまま表面温度80℃に維持された冷却ドラム上に導き、そこで冷却固化させた。次にこれを塩化メチレンに室温で10分間浸漬して、N−メチルピロリドンを抽出し、次いで100℃のオーブン内で30分間乾燥して塩化メチレンを除去した。
【0094】
(比較例1および2)
比較例1および2として、超高分子量のポリふっ化ビニリデンを含有しない表1に示す通常分子量のポリふっ化ビニリデンを用いた。
【0095】
【表1】
Figure 0004303355
実施例1および2、比較例1および2の重量平均分子量、分子量1×106以上の成分の含有量、耐熱変形性および融点の測定結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
Figure 0004303355
実施例1および2は比較例1および2と同一の融点を有したが、耐熱変形性の値は比較例1および2に比べて高く非常に優れていた。
【0097】
(実施例3〜7)
表3に示す重量比で通常分子量のポリふっ化ビニリデンとアジピン酸系ポリエステル系の多孔化剤(旭電化工業株式会社製、PN−150)をヘンシェルミキサーを用いて室温にて混合した。これを混合物Aと呼ぶ。
【0098】
また、表3に示す重量比で超高分子量のポリふっ化ビニリデンとN−メチルピロリドンとを撹拌機付のオートクレーブを用いて170℃で混合し、超高分子量ポリふっ化ビニリデンの溶液を調製した。これを溶液Bと呼ぶ。
【0099】
同方向回転噛み合い型二軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、商品名:BT−30、スクリュー直径30mm、L/D=48)のシリンダ最上流部から80mmの位置に設けられたポリマー供給部から混合物Aを供給し、シリンダ最上流部から480mmの位置に設けられた溶液供給部から100℃に加熱された溶液Bをギアポンプで供給し、バレル温度190℃で混練し、シリンダ最上流部から1080mmの位置に設けられた減圧吸引部(バレル温度210℃)から、コールドトラップを介した水封式ポンプで減圧にすることにより混練物中のN−メチルピロリドンを80%以上吸引除去し、混練物を直径3mmのダイより押出し、冷却ドラム上で冷却固化させた後、ペレット化した。なお、減圧吸引部の真空ゲージは600mHgを示すように減圧状態を維持した。
【0100】
このようにして得られたペレットを35mm単軸押出機に供給して、温度190℃で、幅350mmのTダイより押出し、溶融状態のまま表面温度80℃に維持された冷却ドラム上に導き、そこで冷却固化させた。次にこれを塩化メチレンに室温で10分間浸漬して、多孔化剤とN−メチルピロリドンを抽出し、次いで100℃のオーブン内で30分間乾燥して塩化メチレンを除去し多孔膜を得た。
【0101】
(比較例3)
溶液供給部から供給するものをN−メチルピロリドンのみとした以外は実施例3〜7と同様にして多孔膜を作成した。
【0102】
【表3】
Figure 0004303355
実施例3〜7の、重量平均分子量、分子量1×106以上の成分の含有量、融点、膜の厚さ、空孔率、ガーレー値、シャットダウン特性および耐熱性を上に述べた方法に基づいて測定した。得られた結果を表4に示す。なお、表4には超高分子量のポリふっ化ビニリデンを含有しない多孔膜である比較例3の結果も示した。
【0103】
【表4】
Figure 0004303355
実施例3〜7の多孔膜は比較例3に比べて耐熱性が非常に優れていた。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば耐熱変形性が優れたポリふっ化ビニリデン系樹脂が得られ、また、かかる本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂を採用することによって、電解液への親和性、シャットダウン特性および耐熱性が優れた多孔膜を得ることが可能になる。さらに、かかる本発明の多孔膜をセパレータとして用いることにより、万が一過大電流が生じて発熱した場合はセパレータの孔が閉塞し電流を遮断し、発熱がおさまらない場合においても膜形状が保持され絶縁が保たれるため、安全性がより優れた電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の一部引出し断面図である。
【図2】多孔膜の耐熱性の測定器の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…セパレータ、2…正極、3…負極、4…負極リード、5…センターピン、6…正極リード、7…正極端子、8…負極缶、11…テフロン製円筒容器、12…金属針、13…アルミニウム板、14…試料多孔膜、15…ホットプレート、16…交流インピーダンス測定器。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が2×10〜7×10であり、かつ分子量が1×10以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有し、且つ、フッ化ビニリデンのホモポリマーにより構成されるポリふっ化ビニリデン系樹脂からなることを特徴とする多孔膜。
  2. 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、1.7×10〜6.5×10の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×10〜6.5×10の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有することを特徴とする請求項記載の多孔膜。
  3. 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、175℃以上の融点を有することを特徴とする請求項1または2記載の多孔膜。
  4. 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔膜。
  5. 膜の厚さが10〜50μmで、空孔率が20〜60%で、ガーレー値が2000秒以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔膜をセパレータとして用いることを特徴とする電池。
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