JP2000309672A - ポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜およびその多孔膜を用いた電池 - Google Patents
ポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜およびその多孔膜を用いた電池Info
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Abstract
樹脂を提供すること。また、かかるポリふっ化ビニリデ
ン系樹脂からなる多孔膜を提供すること。さらに、かか
る多孔膜を用いた安全性がより優れた電池を供給するこ
と。 【解決手段】 重量平均分子量が2×105〜7×105
のポリふっ化ビニリデン系樹脂であって、分子量が1×
106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリ
ふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有する
ことを特徴とするポリふっ化ビニリデン系樹脂。
Description
たポリふっ化ビニリデン系樹脂、それからなる多孔膜お
よびその多孔膜をセパレータとして用いた電池に関す
る。
ナルコンピュータなどの携帯型情報端末が急速に普及
し、これに伴って小型二次電池の重要性が増してきてい
る。小型二次電池としては、非水溶液系高エネルギー密
度二次電池であるリチウムイオン二次電池が注目されて
いる。
電解液、セパレータなどから構成されており、電解液中
で正極と負極を分離する役割を有するセパレータには、
種々の合成樹脂製多孔膜の使用が検討されている。
3SO3、LiAsF6、LiClO4、LiBF4、LiPF4などの電解質を、
プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、γ-
ブチルラクトン、スルフォランなどの高誘電率溶媒を主
体とする溶媒中に溶解させたものが使用されているた
め、セパレータにはこれらの溶媒に対する濡れ性が良い
ことが要求される。
ると自動的に孔が閉塞して実質的に非多孔膜になる性質
(以下、「シャットダウン特性」と称する)が要求され
る。これは、外部短絡による過大電流が生じた際に、ジ
ュール熱によってセパレータが溶融あるいは軟化し、セ
パレータの孔が閉塞して電流を遮断することにより、そ
れ以上の危険な発熱を防止する働きをするものである。
昇が収まらなかった場合、あるいは、何らかの原因で外
部から加熱された場合に、正極と負極の絶縁を維持する
必要があるため、孔が閉塞する上記の温度より高い温度
でその膜形状を保持する性質(以下「耐熱性」と称す
る)が要求される。
ては、特開平3−64334号公報にポリオレフィン微
多孔膜が開示されている。しかし、ポリオレフィン微多
孔膜は電解液に対する濡れ性が悪いため、電池として組
み上げた際に電気抵抗値が大きくなるという問題があ
る。
面活性剤による処理を施したポリオレフィン微多孔膜が
開示されており、界面活性剤で処理することによりポリ
オレフィン微多孔膜が親溶媒化し電解液に対する濡れ性
が向上するとされている。しかし、界面活性剤による処
理では親溶媒化は十分でなく、電池の組み上げの際に電
解液の含浸を減圧下で行う必要があり電池の生産性が悪
いという問題を有している。
解液に対して良好な親和性を有するポリふっ化ビニリデ
ン系樹脂をセパレータとして使用することが検討されて
いる。
は、電解液の含浸性に優れかつ機械的強度にも優れたポ
リふっ化ビニリデン多孔膜が開示され、特開平8−32
3910号公報には、ポリふっ化ビニリデン多孔膜とポ
リ4−メチルペンテン−1などに代表される樹脂の多孔
膜とからなる積層多孔膜が開示されている。
0℃に融点を有するが、電解液により110〜130℃
付近で膨潤するため、電池に組み込まれたポリふっ化ビ
ニリデン多孔膜は110〜130℃付近で孔の閉塞を生
じ、シャットダウン特性を発現する。しかし、上記従来
のポリふっ化ビニリデン多孔膜は孔の閉塞温度より高い
温度に曝されると膨潤がさらに進み、実質的には膜形状
を保持できなくなり、正極と負極の絶縁を維持できなく
なる。したがって、ポリ4−メチルペンテン−1に代表
されるような高融点で電解液に膨潤し難い樹脂からなる
多孔膜を、支持体膜としてポリふっ化ビニリデン多孔膜
と積層して用いる必要がある。
ポリふっ化ビニリデン多孔膜は耐熱性が不足しており、
ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性を向上させる
手法に関しては上記の公報には全く述べられていない。
は、電子線などの輻射エネルギーで架橋したポリふっ化
ビニリデン系樹脂製多孔膜が開示されている。しかし、
電子線などの輻射エネルギーで樹脂を架橋する際には多
くの電気および熱エネルギーが必要となり、経済的に好
ましいものではない。また、電子線などを照射した際に
樹脂が分解してガスが発生する可能性がある。
技術的課題に鑑みてなされたものであり、耐熱変形性の
優れたポリふっ化ビニリデン系樹脂を提供することを目
的とする。また、本発明は、電解液への親和性が優れ、
シャットダウン特性および耐熱性を有した、前記ポリふ
っ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜を提供することを
目的とする。さらに、本発明は、前記多孔膜をセパレー
タとして用いた安全性がより優れた電池を提供すること
を目的とする。
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量
が2×105〜7×105であり、かつ分子量が1×10
6以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ
化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有すること
を特徴とするポリふっ化ビニリデン系樹脂が、耐熱変形
性が優れていることを見出した。
からなる多孔膜が、電解液への親和性に優れ、加えてシ
ャットダウン特性および耐熱性にも優れていることを見
出した。さらに、上記多孔膜をセパレータとして用いる
ことで安全性がより優れた電池が得られることを見出
し、本発明を完成させた。
系樹脂は、重量平均分子量が2×105〜7×105のポ
リふっ化ビニリデン系樹脂であって、分子量が1×10
6以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ
化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有すること
を特徴とする。
1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、
1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有
することが好ましい。
脂は、175℃以上の融点を有することが好ましい。
脂は、未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂であること
が好ましい。
105〜7×105であり、かつ分子量が1×106以上
のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニ
リデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するポリふっ化
ビニリデン系樹脂からなることを特徴とする。
5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリ
デン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106〜6.
5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化ビニリ
デン系樹脂1〜65重量%とを含有するポリふっ化ビニ
リデン系樹脂からなることが好ましい。
融点を有するポリふっ化ビニリデン系樹脂からなること
が好ましい。
っ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
〜50μmで、空孔率が20〜60%で、ガーレー値が
2000秒以下であることが好ましい。
タとして用いることを特徴とする。
ついてさらに詳細に説明する。
重量平均分子量が2×105〜7×105のポリふっ化ビ
ニリデン系樹脂であって、分子量が1×106以上のポ
リふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデ
ン系樹脂基準で7〜65重量%含有するものである。
が2×105〜7×105であり、かつ分子量が1×10
6以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリふっ
化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有するポリ
ふっ化ビニリデン系樹脂からなるものである。
樹脂とは、ふっ化ビニリデンのホモポリマー(すなわ
ち、ポリふっ化ビニリデン)、およびふっ化ビニリデン
と他の共重合可能なモノマーとのコポリマー、あるいは
これらの混合物を意味する。ふっ化ビニリデンと共重合
されるモノマーとしては、四ふっ化エチレン、六ふっ化
プロピレン、三ふっ化エチレン、三ふっ化塩化エチレ
ン、ふっ化ビニルなどが挙げられ、これら1種または2
種以上を用いることができる。本発明においては、ふっ
化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとからなるコ
ポリマーは、ふっ化ビニリデンを構成単位として70モ
ル%以上含有することが好ましい。なかでも、機械的強
度の高さからふっ化ビニリデン100モル%からなるふ
っ化ビニリデンのホモポリマーを用いることがより好ま
しい。
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いてN−メチルピロリドン溶媒で測定されたポ
リスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
重量平均分子量が2×105〜7×105であり、かつ分
子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成
分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量
%含有するため、分子量が1×106以上のいわゆる超
高分子量成分を選択的に増加させた分子量分布を有す
る。
ポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が向上し、か
かるポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜の耐熱
性が向上する。
する耐性であり、一定の形状寸法の樹脂に所定の荷重を
与えながら加熱し樹脂が破断したときの温度として測定
されるものである。
重量平均分子量が2×105〜7×105であるが、好ま
しくは3×105〜6×105、さらに好ましくは4×1
05〜5.5×105である。
合は、溶融粘度が低すぎて安定的に成形することが困難
となる傾向があり、ポリふっ化ビニリデン系樹脂および
それからなる多孔膜の機械的強度も低下する傾向があ
る。一方、7×105より大きい場合は、溶融粘度が高
すぎて成形が困難となり、無理に成形すると分解などを
生じる恐れがある。
分子量が1×106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂
を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%
含有するが、分子量が1×106以上のポリふっ化ビニ
リデン系樹脂の含有量は、好ましくは7〜50重量%で
あり、より好ましくは7〜20重量%である。
ふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が十分でない傾向
があり、また、それからなる多孔膜の耐熱性が低下する
傾向がある。含有量が65重量%より大きい場合は、成
形性が低下する傾向がある。
1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、
1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有
することが好ましい。
〜6.5×105の重量平均分子量を有するポリふっ化
ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、1.0×106
〜6.5×106の重量平均分子量を有するポリふっ化
ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有するポリふっ
化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
×105であるポリふっ化ビニリデン系樹脂(以下、場
合により通常分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と称
す)と、重量平均分子量が1.0×106〜6.5×1
06であるポリふっ化ビニリデン系樹脂(以下、場合に
より超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂と称す)
とを上記の割合で含有させることにより、重量平均分子
量を2×105〜7×105の範囲に保ちつつ分子量が1
×106以上の超高分子量成分を選択的に増加させたポ
リふっ化ビニリデン系樹脂が得られる。
樹脂の耐熱変形性が向上し、かかるポリふっ化ビニリデ
ン系樹脂からなる多孔膜の耐熱性が向上する。
の重量平均分子量は、1.7×10 5〜6.5×105で
あることが好ましく、より好ましくは、1.8×105
〜5.5×105であり、最も好ましくは、3.2×1
05〜5.5×105である。
の重量平均分子量が1.7×105より小さい場合は、
溶融粘度が低くポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれ
からなる多孔膜を安定的に成形することが困難となる傾
向があり、6.5×105より大きい場合は、溶融粘度
が高くポリふっ化ビニリデン系樹脂およびそれからなる
多孔膜の成形性が低下する傾向がある。
の重量平均分子量は、1.0×10 6〜6.5×106で
あることが好ましく、より好ましくは、1.0×106
〜6.0×106であり、最も好ましくは、1.0×1
06〜5.5×106である。
の重量平均分子量が1.0×106より小さい場合は、
得られるポリふっ化ビニリデン系樹脂の耐熱変形性が十
分でない傾向があり、また、それからなる多孔膜の耐熱
性が低下する傾向がある。重量平均分子量が6.5×1
06より大きい場合は、溶融粘度が上昇しポリふっ化ビ
ニリデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の成形性が低
下する傾向がある。
と超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂との含有比
率は、前者が35〜99重量%であり、後者が1〜65
重量%であることが好ましく、より好ましくは、前者が
55〜99重量%であり、後者が1〜45重量%であ
り、最も好ましくは、前者が75〜98重量%であり、
後者が2〜25重量%である。
含有比率が1重量%より小さい場合は、ポリふっ化ビニ
リデン系樹脂の耐熱変形性が十分でない傾向があり、ま
た、それからなる多孔膜の耐熱性が低下する傾向があ
る。超高分子量ポリふっ化ビニリデン系樹脂の含有比率
が65重量%より大きいである場合は、ポリふっ化ビニ
リデン系樹脂およびそれからなる多孔膜の成形性が低下
する傾向がある。
75℃以上の融点を有することが好ましい。また、本発
明の多孔膜は前記の175℃以上の融点を有するポリふ
っ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。ポリふ
っ化ビニリデン系樹脂の融点は、好ましくは175〜2
20℃である。
C)により測定される樹脂の結晶の融解ピーク温度を意
味する。ポリふっ化ビニリデン系樹脂の融点が175℃
より小さい場合、結晶内部の分子相互作用が小さいた
め、融点が175℃以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂
に比べてより低温で溶媒に膨潤する傾向がある。したが
って、融点が175℃より小さいポリふっ化ビニリデン
系樹脂からなる多孔膜はシャットダウン特性を発現する
温度が低くなる傾向がある。
架橋のものであることが好ましい。また、本発明の多孔
膜は前記未架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる
ことが好ましい。
ン系樹脂の分子同士が「化学的に」3次元に架橋してい
ないことを意味する。「化学的に」3次元に架橋した樹
脂は、溶融押出しなどの成形が不可能または困難な傾向
にある。なお、フィラーなどを含有させることにより分
子同士に例えばイオン的な引き合いを生じさせた樹脂
を、稀に「物理的に」架橋した樹脂と呼ぶことがある
が、そのような樹脂は溶融押出しなどの成形が可能であ
り、ここでは未架橋の樹脂に含むこととする。
分子量が1×106以上の超高分子量成分を選択的に増
加させた分子量分布を有するため、未架橋でも耐熱変形
性が優れる傾向にある。したがって、かかるポリふっ化
ビニリデン系樹脂から成る多孔膜は耐熱性が高くなる傾
向にある。
であることが好ましく、さらに好ましくは15〜35μ
mである。厚みが10μmより小さい場合は、多孔膜の
機械的強度が劣る傾向があり、例えば電池用のセパレー
タとして使用したときに電池を組み上げる際に膜の破れ
を生じたり、導電性の微粒子が多孔膜を突き抜けて短絡
などの不良を生じる恐れがある。厚みが50μmより大
きい場合は、電池の容積が増大し電池のエネルギー密度
が低下する傾向がある。
であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50%
である。空孔率が20%より小さい場合は、透気度(ガ
ーレー値)を低めることが困難となるため、例えば電池
用のセパレータとして使用したときに電気抵抗が増大す
る傾向があり、60%より大きい場合は機械的強度が劣
る傾向がある。
して2000秒以下であることが好ましく、より好まし
くは1200秒以下であり、最も好ましくは800秒以
下である。ガーレー値が2000秒より大きい多孔膜で
は電気抵抗が増大する傾向がある。
17に準拠してB型ガーレー式デンソメーターを用いて
測定される値であり、透気度の一つの指標である。
タとして用いるものである。本発明の多孔膜は上記のよ
うに電解液への親和性、シャットダウン特性および耐熱
性に優れていることから電池のセパレータとして好適に
用いることができる。
として本発明の多孔膜を用いる電池であれば制限はな
く、例えば、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、ニッケ
ル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などの水溶液
系電解液を含有する電池;リチウムイオン一次電池、リ
チウムイオン二次電池などの非水溶液系電解液を含有す
る電池などが挙げられる。なかでも、本発明の多孔膜を
セパレータとして用いる電池は、非水溶液系電解液を含
有する電池であることが好ましい。
非水溶液系電解液を含有するリチウムイオン二次電池に
ついて図面を参照しつつ説明する。
成の一例を示す一部引出し断面図である。正極2と負極
3はセパレータ1で仕切られ四層構造のフィルムとな
る。この四層構造のフィルムはセンターピン5を中心と
して渦巻き状に巻き付けられ、正極2は正極リード6を
介して正極端子7に接続され、負極3は負極リード4を
介して負極缶8に接続される。なお、正極2と負極3の
間は電解液で満たされておりセパレータ1は正極2と負
極3とを分離する働きを有する。また、セパレータ1は
孔を有しておりそれを通して両極間でイオンの移動が起
こる。
らなるため、電解液への親和性が優れ、外部短絡などに
よりセパレータ1が異常に加熱された場合はシャトダウ
ン特性により孔が閉塞してイオンの移動を阻止し、孔が
閉塞する温度より高い温度においても膜形状を保持する
耐熱性を有する。
びポリふっ化ビニリデン系樹脂からなる多孔膜には、必
要に応じて各種添加剤を加えることができる。このよう
な各種添加剤としては、タルク、マイカ、ガラス粉、無
機顔料などの粒状または粉末状フィラー、ガラス繊維な
どの繊維状フィラーなどが挙げられる。これらの添加剤
は、本発明の目的を阻害しない範囲で使用目的に応じて
適宜加えることができる。
の膜として用いることもできるが、他のポリふっ化ビニ
リデン系樹脂からなる膜やポリふっ化ビニリデン系樹脂
以外の樹脂の膜と積層してもよい。
っ化ビニリデン系樹脂からなるものであっても、延伸さ
れたポリふっ化ビニリデン系樹脂からなるものであって
もよい。
パレータとして使用する以外にも、気体隔膜分離、気液
分離、固液分離などの分離膜、あるいは絶縁材、保温
材、断熱材、遮音材などとして使用することが可能であ
る。
脂およびそれからなる多孔膜の製造方法を説明する。
造方法は、特に制限されないが、連続式混練機を用いる
方法が好ましく採用される。連続式混練機としては、同
方向噛み合い型二軸混練機、異方向噛み合い型二軸混練
機、ブス・コ・ニーダーのような特殊単軸混練機などが
挙げられるが、同方向噛み合い型二軸混練機が特に好ま
しい。
に超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を含有させ
る方法の一例として、同方向噛み合い型二軸混練を用い
た例を説明する。
トブロックが備わっており、使用するポリふっ化ビニリ
デン系樹脂の種類などに基づいて、それぞれ100〜3
00℃で加温される。通常分子量のポリふっ化ビニリデ
ン系樹脂は同方向噛み合い型二軸混練の最上流部に設け
られた少なくとも1つのポリマー供給部から供給され、
超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解
させた溶液は、ポリマー供給部の下流に設けられた少な
くとも1つの溶液供給部からギアポンプなどの定量送り
出し装置を用いて供給され、混練される。溶液供給部の
下流には少なくとも1つの減圧吸引部が設けられ、この
減圧吸引部からコールドトラップなどの溶媒回収装置を
介して溶媒が吸引除去され、その後吐出口から混練物が
吐出される。
二軸混練を用いた方法に準じて通常分子量のポリふっ化
ビニリデン系樹脂と超高分子量のポリふっ化ビニリデン
系樹脂を混練した後に、製膜および多孔化することによ
り得ることができる。
練のポリマー供給部から、通常分子量のポリふっ化ビニ
リデン系樹脂を供給することに代えて、通常分子量のポ
リふっ化ビニリデン系樹脂と多孔化剤との混合物を供給
する以外は上記と同様な混練を行い、同方向噛み合い型
二軸混練の吐出口に接続されたTダイを通して混練物を
フィルム状に押し出して製膜する。あるいは、Tダイの
代わりにペレットダイを設けて混練物をペレット化した
後、別の押出し機を用いて製膜する。
種類に基づいて処理し多孔膜を得る。すなわち、抽出に
より孔の発生源として作用する多孔化剤を用いた場合
は、ポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を有機溶媒、酸ま
たはアルカリに浸漬あるいは暴露することで多孔化剤を
抽出、除去し、多孔膜を得る。延伸により孔の発生源と
して作用する物質を多孔化剤に用いた場合は、ポリふっ
化ビニリデン系樹脂の膜を延伸することにより多孔膜を
得る。
を溶解させる溶媒としては、20〜250℃の範囲内で
ポリふっ化ビニリデン系樹脂を溶解できる溶媒であれば
よい。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、酢酸エチル、プロピレンカーボネー
ト、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、ジメチ
ルフタレート、およびこれらの混合溶媒などが挙げられ
る。なかでも高温での安定性からN−メチルピロリドン
が好ましい。
を溶媒に溶解させる方法としては、例えば、オートクレ
ーブを用いて超高分子量ポリふっ化ビニリデン系樹脂が
溶媒に完全に溶解する温度で撹拌する方法が挙げられ
る。この温度は使用する溶媒により異なるが、N−メチ
ルピロリドンを溶媒として用いた場合は40〜190℃
の範囲である。
の濃度は1〜15重量%であることが好ましく、より好
ましくは1〜10重量%である。濃度が15重量%より
大きい場合は、超高分子量のポリふっ化ビニリデン系樹
脂の分子鎖の解きほぐしが十分に進まず、また、溶液粘
度が高くなるため取り扱いにくくなる傾向がある。濃度
が1重量%より小さい場合は、混練物中の溶媒濃度が高
くなりすぎ、減圧吸引部から溶媒を吸引する時間が長く
なったり、溶媒を所定量吸引できなくなる傾向がある。
化剤としては、二塩基酸とグリコールからなる脂肪族系
ポリエステル(例えば、アジピン酸−プロピレングリコ
ール系、アジピン酸−1,3−ブチレングリコール系な
どのアジピン酸系ポリエステル;セバシン酸−プロピレ
ングリコール系、セバシン酸−1,3−ブチレングリコ
ール系などのセバシン酸系ポリエステル;アゼライン酸
−プロピレングリコール系、アゼライン酸−1,3−ブ
チレングリコール系などのアゼライン酸系ポリエステル
などが挙げられる);無機化合物(例えば、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、塩化カルシウム、珪酸マグネ
シウム、珪酸アルミニウムなどが挙げられる);あるい
は、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルアクリレ
ートなどのアクリル樹脂などの有機化合物が挙げられ
る。これらの多孔化剤を含有するポリふっ化ビニリデン
系樹脂の膜を有機溶媒、酸、またはアルカリに浸漬ある
いは暴露すると、多孔化剤が抽出、除去され、残された
空間が孔となる。
化剤としては、微粉珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミ
ニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、カオリンクレー、微粉タルク、酸化チタン、珪藻土
などの無機化合物微粉体が挙げられる。これらの微粉体
を含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂の膜を延伸する
と微粉体の周囲にボイドが生じ、そのボイドが互いに連
通することにより孔が発生する。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例および比較例における測定は下記の測
定方法に基づいて行った。
以上の成分の含有量)日本分光社製のGPC装置(GP
C−900)を用い、カラムに昭和電工社製のshod
ex KD−806M、プレカラムにshodex K
D−G、溶媒にN−メチルピロリドンを使用し、温度4
0℃、流量1.0ml/分にて、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
熱分析システムを用い、長さ10mm、幅6mmの短冊
状の試料に負荷応力6.5kPaを与え、この試料を3
0℃から毎分10℃で260℃まで昇温して試料が破断
する温度を測定した。
析システムを用い、窒素ガス雰囲気下で30℃から毎分
10℃で250℃まで昇温してDSC曲線を測定し、結
晶の融解による吸熱ピーク温度を融点とした。
メータM−30を用いて測定した。
出した試料多孔膜を秤量し(この重量をW1とする)、つ
いでミネラルオイル(Aldrich Chemical社製Mineral oi
l,white,light)に室温中で6時間浸漬した後、試料多
孔膜を取り出して表面のミネラルオイルを拭き取り、再
び秤量し(この重量をW2とする)、下に示す式(A)か
ら空孔率(%)を算出した。ここでρ1は、ポリふっ化
ビニリデンの比重(密度)を表し、ρ2はミネラルオイ
ルの比重(密度)を表す。
1(W2−W1)))×100 (A) (ガーレー値)JIS P8117に準拠して、B型ガ
ーレー式デンソメータを用いて測定した。
た試料多孔膜を面積5cm2の白金板2枚で挟んで固定
し測定セルとした。白金板と試料多孔膜の間には熱電対
を挿入して試料多孔膜の温度を測定できるようにした。
電解液は富山薬品社製のLIPASTE-EP3BLF7を用いた。こ
の電解液は、エチレンカーボネート20.9重量%、プ
ロピレンカーボネート18.9重量%、γ-ブチロラク
トン52.8重量%の混合溶媒に電解質としてLiBF4を
7.4重量%溶解したものである(重量%はいずれも電
解液を100重量%としたときのものである)。
の白金板の間に電圧0.1Vの直流電圧を印加しつつ、
ホットプレートの熱盤を室温から毎分15℃で昇温し
て、試料多孔膜の温度と、回路電流から直流抵抗Ω・c
m2を測定した。試料多孔膜のシャットダウン特性は、
直流抵抗Ω・cm2が100℃でのそれの2倍に達した
ときの温度で表した。
を図2に示す。片方の底面が開放されたテフロン製円筒
容器11を使用し、閉じた底面の中央に直径1.5mm
の穴を開け、そこに直径1.05mm、先端半径0.5
mmの金属針12を挿入し、金属針12はテフロン製円
筒容器11に開けられた穴の中を自由に出し入れできる
ようにした。一方の開放された底面にはアルミニウム板
13を取り付け、電解液を含浸させた試料多孔膜14を
アルミニウム板13に接触させ、金属針12を先端荷重
4gで試料多孔膜14に垂直に押し当てた。なお、アル
ミニウム板13と試料多孔膜14の間には熱電対を挿入
して試料多孔膜14の温度を測定できるようにした。
を用いた。この電解液は、エチレンカーボネート20.
9重量%、プロピレンカーボネート18.9重量%、γ
-ブチロラクトン52.8重量%の混合溶媒に電解質と
してLiBF4を7.4重量%溶解したものである(重量%
はいずれも電解液を100重量%としたときのものであ
る)。
上に載せ、交流インピーダンス測定器16(横河ヒュー
レットパッカード社製4274A MULTI-FREQUENCY LCR METE
R)を用いて、金属針12とアルミニウム板13に周波
数100kHz、印加電圧0.1Vの交流電圧を印加し
つつ、ホットプレート15を室温から毎分15℃で昇温
して、試料多孔膜14の温度と交流インピーダンス(抵
抗R)を測定した。
試料多孔膜14を突き抜けてアルミニウム板13と接触
し、抵抗Rが1Ω以下となったときの温度で表した。
型二軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、商
品名:BT−30、スクリュー直径30mm、L/D=
48)のシリンダ最上流部から80mmの位置に設けら
れたポリマー供給部から表1に示す重量で通常分子量の
ポリふっ化ビニリデンを供給し、シリンダ最上流部から
480mmの位置に設けられた溶液供給部から表1に示
す重量比で作成された超高分子量のポリふっ化ビニリデ
ンのN−メチルピロリドン溶液を100℃にて供給し、
バレル温度190℃で混練し、シリンダ最上流部から1
080mmの位置に設けられた減圧吸引部(バレル温度
210℃)から、コールドトラップを介した水封式ポン
プで減圧にすることにより混練物中のN−メチルピロリ
ドンを80%以上吸引除去し、混練物を直径3mmのダ
イより押出し、冷却ドラム上で冷却固化させた後、ペレ
ット化した。なお、減圧吸引部の真空ゲージは600m
Hgを示すように減圧状態を維持した。
m単軸押出機に供給して、温度190℃で、幅350m
mのTダイより押出し、溶融状態のまま表面温度80℃
に維持された冷却ドラム上に導き、そこで冷却固化させ
た。次にこれを塩化メチレンに室温で10分間浸漬し
て、N−メチルピロリドンを抽出し、次いで100℃の
オーブン内で30分間乾燥して塩化メチレンを除去し
た。
して、超高分子量のポリふっ化ビニリデンを含有しない
表1に示す通常分子量のポリふっ化ビニリデンを用い
た。
量、分子量1×106以上の成分の含有量、耐熱変形性
および融点の測定結果を表2に示す。
したが、耐熱変形性の値は比較例1および2に比べて高
く非常に優れていた。
分子量のポリふっ化ビニリデンとアジピン酸系ポリエス
テル系の多孔化剤(旭電化工業株式会社製、PN−15
0)をヘンシェルミキサーを用いて室温にて混合した。
これを混合物Aと呼ぶ。
リふっ化ビニリデンとN−メチルピロリドンとを撹拌機
付のオートクレーブを用いて170℃で混合し、超高分
子量ポリふっ化ビニリデンの溶液を調製した。これを溶
液Bと呼ぶ。
社プラスチック工学研究所製、商品名:BT−30、ス
クリュー直径30mm、L/D=48)のシリンダ最上
流部から80mmの位置に設けられたポリマー供給部か
ら混合物Aを供給し、シリンダ最上流部から480mm
の位置に設けられた溶液供給部から100℃に加熱され
た溶液Bをギアポンプで供給し、バレル温度190℃で
混練し、シリンダ最上流部から1080mmの位置に設
けられた減圧吸引部(バレル温度210℃)から、コー
ルドトラップを介した水封式ポンプで減圧にすることに
より混練物中のN−メチルピロリドンを80%以上吸引
除去し、混練物を直径3mmのダイより押出し、冷却ド
ラム上で冷却固化させた後、ペレット化した。なお、減
圧吸引部の真空ゲージは600mHgを示すように減圧
状態を維持した。
m単軸押出機に供給して、温度190℃で、幅350m
mのTダイより押出し、溶融状態のまま表面温度80℃
に維持された冷却ドラム上に導き、そこで冷却固化させ
た。次にこれを塩化メチレンに室温で10分間浸漬し
て、多孔化剤とN−メチルピロリドンを抽出し、次いで
100℃のオーブン内で30分間乾燥して塩化メチレン
を除去し多孔膜を得た。
をN−メチルピロリドンのみとした以外は実施例3〜7
と同様にして多孔膜を作成した。
上の成分の含有量、融点、膜の厚さ、空孔率、ガーレー
値、シャットダウン特性および耐熱性を上に述べた方法
に基づいて測定した。得られた結果を表4に示す。な
お、表4には超高分子量のポリふっ化ビニリデンを含有
しない多孔膜である比較例3の結果も示した。
に優れていた。
熱変形性が優れたポリふっ化ビニリデン系樹脂が得ら
れ、また、かかる本発明のポリふっ化ビニリデン系樹脂
を採用することによって、電解液への親和性、シャット
ダウン特性および耐熱性が優れた多孔膜を得ることが可
能になる。さらに、かかる本発明の多孔膜をセパレータ
として用いることにより、万が一過大電流が生じて発熱
した場合はセパレータの孔が閉塞し電流を遮断し、発熱
がおさまらない場合においても膜形状が保持され絶縁が
保たれるため、安全性がより優れた電池が得られる。
ン二次電池の一部引出し断面図である。
ある。
ド、5…センターピン、6…正極リード、7…正極端
子、8…負極缶、11…テフロン製円筒容器、12…金
属針、13…アルミニウム板、14…試料多孔膜、15
…ホットプレート、16…交流インピーダンス測定器。
Claims (10)
- 【請求項1】 重量平均分子量が2×105〜7×105
のポリふっ化ビニリデン系樹脂であって、分子量が1×
106以上のポリふっ化ビニリデン系樹脂成分を全ポリ
ふっ化ビニリデン系樹脂基準で7〜65重量%含有する
ことを特徴とするポリふっ化ビニリデン系樹脂。 - 【請求項2】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、
1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、
1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有
することを特徴とする請求項1記載のポリふっ化ビニリ
デン系樹脂。 - 【請求項3】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、1
75℃以上の融点を有することを特徴とする請求項1ま
たは2記載のポリふっ化ビニリデン系樹脂。 - 【請求項4】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、未
架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂であることを特徴と
する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリふっ化ビ
ニリデン系樹脂。 - 【請求項5】 重量平均分子量が2×105〜7×105
であり、かつ分子量が1×106以上のポリふっ化ビニ
リデン系樹脂成分を全ポリふっ化ビニリデン系樹脂基準
で7〜65重量%含有するポリふっ化ビニリデン系樹脂
からなることを特徴とする多孔膜。 - 【請求項6】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、
1.7×105〜6.5×105の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂35〜99重量%と、
1.0×106〜6.5×106の重量平均分子量を有す
るポリふっ化ビニリデン系樹脂1〜65重量%とを含有
することを特徴とする請求項5記載の多孔膜。 - 【請求項7】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、1
75℃以上の融点を有することを特徴とする請求項5ま
たは6記載の多孔膜。 - 【請求項8】 前記ポリふっ化ビニリデン系樹脂が、未
架橋のポリふっ化ビニリデン系樹脂であることを特徴と
する請求項5〜7のいずれか一項に記載の多孔膜。 - 【請求項9】 膜の厚さが10〜50μmで、空孔率が
20〜60%で、ガーレー値が2000秒以下であるこ
とを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の多
孔膜。 - 【請求項10】 請求項5〜9のいずれか一項に記載の
多孔膜をセパレータとして用いることを特徴とする電
池。
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