JP5325405B2 - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents

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Description

本発明は、物質の分離、選択透過などの分離膜、及びアルカリ、リチウム二次電池や燃料電池、コンデンサーなど電気化学反応装置の隔離材等として広く使用されている微多孔膜に関し、特にリチウムイオン電池用セパレーターとして好適に使用される、ポリオレフィン製微多孔膜、及びそれを用いた非水電解液系二次電池用セパレーター、非水電解液系二次電池に関する。
ポリオレフィン製微多孔膜は、種々の物質の分離や選択透過分離膜、及び隔離材等として広く用いられており、用途例としては、精密濾過膜、燃料電池用セパレーター、コンデンサー用セパレーター、または機能材を孔の中に充填させ新たな機能を出現させるための機能膜の母材、電池用セパレーターなどが挙げられる。これらの用途において、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話、デジタルカメラなどのモバイル機器に広く使用されているリチウムイオン電池用のセパレーターとして、特に好適に使用されている。その理由としては、膜の機械強度や絶縁性能が高いことが挙げられる。
現在、リチウムイオン二次電池は消費電力の上昇に伴い、高容量化、高出力化、長寿命化が求められている。長寿命化とは、充放電を繰り返した際に電池容量の維持率が高いことであり、サイクル特性として評価することが出来る。
充放電を行う時に重要な事は、電池内部の反応が均一に行われることである。反応が不均一であると、不純物の発生や電極の劣化が発生し、電池容量の低下を招く。
反応が均一に行われる為には、正極、負極の電極間距離が均一である事が重要である。その為にセパレーターに求められる事は、充放電で電極が膨張収縮しても、電極とセパレーターが剥離せず、電極間距離を一定に保つ事である。
また、高容量化により電池に蓄えられるエネルギーは高くなるため、電池が高温に晒された際でも、高い安全性も求められる。その為セパレーターに求められる事は、高温状態でも収縮せずに電極表面を覆っていることである。
これら2つの要求を同時に満たす為に、セパレーターと電極との密着性を高める事が検討されている。密着性を高める事で、電極とセパレーターの剥離を防ぎ、更に、高温状態でセパレーターが収縮し電極同士が短絡することを抑制する事が出来る。
例えば、特許文献1や特許文献2では、接着層を設けて電極とセパレーターの密着性を高める方法やセパレーターが提案されている。しかし、これらの方法では、接着層が存在する事でイオンの透過性を阻害し、電池特性を落とす要因となる。特許文献3では、接着層を用いずにセパレーターと電極との密着性を高める手段として、電極とセパレーターを捲回した後に熱プレスを施す方法が提案されている。
特許文献4、6で開示されている技術では熱プレスによる密着性が不十分な上、機械的強度が低い。
特許文献5で開示されている技術では熱プレスによる密着性が不十分である上、透過性が低いものしか開示されていない。
特許文献7、8では密着性が低い微多孔膜の開示がある。また、開示の微多孔膜では元々の透過性も不十分であるために、熱プレス時の透過性が低く電池特性に劣る。
特許文献9では、透過性が高く、機械的強度の高い膜の開示がある。しかしながら、プレス時の密着性が劣る膜しか得られていない。
特許3474853号公報 特開2004−111160号公報 特許3373976号公報 特開平1−318049号公報 特開平11−60791号公報 特開平9−245762号公報 特開2002−194132号公報 特開2005−343958号公報 特開2002−88188号公報
上述したように、熱プレス法は密着性を高める手段としては有効であるが、幾つかの問題点も抱えている。第一に、熱プレスにより微多孔膜が潰れ、微多孔膜の孔が閉塞することが挙げられる。これにより、イオンの透過性が落ち、サイクル特性が低下する。これを解決する為には、微多孔膜はプレス後でも高い透過性を保つ必要がある。
第二に、熱プレスにより微多孔膜が破膜を起こすことが挙げられる。これにより、電極間で短絡を起こしてしまう。これを解決する為に、微多孔膜には高い機械的強度が求められる。
これら問題点を解決すべく、本発明者等は熱プレスにより微多孔膜と電極とが密着するメカニズムを検討した結果、熱プレスにより電極表面と微多孔膜の表面が押し付けられた際、微多孔膜表面と電極表面の接触面積が増え、微多孔膜表面のフィブリルと電極表面の粒子が絡まることによって熱プレスによる微多孔膜と電極との密着性が高まることを見出した。そこで、微多孔膜表面のフィブリルと電極表面の粒子の絡まりを示す指標として、微多孔膜の表面粗さ(Ra)、熱プレスによる微多孔膜の膜厚変化を用いた。
本発明は適度な表面荒れと、熱プレス時に大きな膜厚変形を有する事で、且つ高い機械的強度と高い耐破膜性を有するポリオレフィン製微多孔膜を提供する事を目的とする。特にリチウムイオン二次電池用セパレーターとして用いた際、電極との密着性が高い。これにより、電池寿命を長くする事ができ、且つ高温時の安全性を高める事が可能である。
本発明者らは、前記問題点を解決する為に鋭意検討した結果、電池とした場合の微多孔膜と電極との密着性を改善するために熱プレスにより発生する微多孔膜の変化に着目した。密着性を高めるには、微多孔膜表面のフィブリルと電極表面の粒子が絡まることが重要である。熱プレスにより微多孔膜表面と電極表面の接触面積を増やす事が有効である。その為、熱プレスによる微多孔膜と電極との密着性を高める為には、微多孔膜の表面粗さ(Ra)、熱プレスによる微多孔膜の膜厚変化が重要である。更に、プレスによる破膜を抑制するために、機械的強度も優れた膜を提供するために更に検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]膜厚が2〜60μm、突刺強度が0.07N/μm〜0.50N/μm、長さ方向(MD)弾性率と幅方向(TD)弾性率の比(MD弾性率/TD弾性率)が3〜20、微多孔膜の表面粗さ(Ra)が0.3〜0.6μmであり、温度70℃、圧力2MPaで30秒間の熱プレス条件における膜厚変化が熱プレス前の微多孔膜の表面粗さ(Ra)よりも0.5μm以上大きいことを特徴とする粘度平均分子量が70万以上の超高分子量ポリエチレンを5〜90wt%含むポリオレフィン製微多孔膜。
[2]気孔率が30〜80%であることを特徴とする[1]記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[3]透気度が10〜220秒/100ccであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[4]最大孔径が0.10〜0.25μmであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[5]ポリプロピレンの重量割合が0〜10wt%である[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜を用いた非水電解液系二次電池用セパレーター。
[7][6]記載のセパレーターを用いた非水電解液系二次電池。
[8](a)〜(e)の工程を含み、(e)工程におけるTD延伸の延伸速度が10〜100%/秒、且つTD延伸直後の最終加熱温度が、TD延伸前の膜の融点よりも7〜25℃低い、且つMD延伸の延伸倍率が2.0倍〜8.0倍であり、TD延伸の延伸倍率が1.2倍〜3.0倍であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
(a)少なくともポリオレフィン樹脂、可塑剤、無機微粉体を混合造粒する工程、
(b)(a)工程で得られた混合物を、溶融混練する工程、
(c)(b)工程で得た混練物をシート状に成形する工程、
(d)シート状の成形物から可塑剤及び無機粉体を抽出除去する工程、
(e)得られたシート状の成型物を二軸延伸する工程
[9](e)工程において、MD延伸の延伸速度が10〜4000%/秒である[8]に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、従来のポリオレフィン製微多孔膜と比較して、高い機械的強度と高い耐破膜性、透過性能を有し、非水電解液系二次電池用セパレーターとして用いた場合に、電極との密着性が高く、電池寿命を長くする事ができ、且つ高温時の安全性を高める事が可能である。
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の微多孔膜の突刺強度は0.07N/μm〜0.50N/μmであり、好ましくは0.1N/μm〜0.45N/μmであり、更に好ましいのは0.1N/μm〜0.40N/μmである。突刺強度が0.07N/μm以上の場合、機械的強度に優れ、熱プレス時の耐破膜性が良好である。突刺強度が0.50N/μm以下の場合、熱プレス時の膜厚変形が大きくなり、熱プレス時の密着性が良い。
本発明の微多孔膜の長さ方向(MD)弾性率と幅方向(TD)弾性率の比(MD弾性率/TD弾性率)は、3〜20であり、好ましくは3〜15である。弾性率の比が3以上であると捲回時にMD変形を起こしにくい。弾性率の比が20以下であるとMD配向のみ強くなることが抑えられ熱プレス時の耐破膜性が良好である。ここで言うMDとは長さ方向の事であり、微多孔膜の製造工程における流れ方向を指す。また、TDとは幅方向、つまりMDと垂直方向のことを指す。電池内部では、微多孔膜のMDと電極塗工のエッジ方向は同じである。その為、微多孔膜がMDに裂けやすいと、熱プレス時の耐破膜性が低い。
本発明の微多孔膜は、表面粗さ(Ra)が0.3〜0.6μmであり、好ましくは0.3〜0.5μm、更に好ましくは0.3〜0.45μmである。表面粗さが0.3μm以上であると、熱プレス時の接触面積の増加が大きく、電極との密着性が良い。表面粗さが0.6μm以下であると、熱プレス時に電極表面と接触できない部分が発生せず、電極との密着性が良い。表面粗さ(Ra)が大きくなるということは、微多孔膜の表面の凹凸が大きくなることである。微多孔膜の表面の凹凸が大きくなるということは、電極と微多孔膜が熱プレス時に部分的に接触することを示している。
本発明の微多孔膜は、温度70℃、圧力2MPaで30秒間の熱プレス条件における膜厚変化が熱プレス前の微多孔膜の表面粗さよりも0.5μm以上大きく、好ましくは1μm以上であり、更に好ましくは1.5μm以上である。熱プレス前の微多孔膜の表面粗さよりもプレス後の膜厚変化が0.5μm以上であると熱プレスによる表面接触の増加が大きく、電極との密着性が良い。
本発明のように、熱プレス時の密着性と透過性が共に良好な微多孔膜を得る為の一つの有効な手段は、延伸条件、特に幅方向(TD)延伸温度、幅方向(TD)延伸速度を適正化することである。熱プレス時の密着性と透過性が向上する為に、TD延伸速度は10〜100%/秒であることが好ましく、更に好ましくは20〜100%/秒である。更に、TD延伸直後の熱処理温度が、TD延伸前の膜融点よりも7〜25℃低い温度であることが好ましく、更に好ましくは8〜20℃であり、最も好ましくは8℃〜15℃の範囲である。
本発明の微多孔膜の膜厚は、2〜60μmであり、好ましくは3〜40μmであり、より好ましくは4〜30μmであり、更に好ましくは5〜25μmであり、最も好ましくは5〜20μmである。
機械的強度とプレス時の密着性を向上するためには、膜厚は2μm以上必要であり、透過性が向上するためには膜厚は60μm以下が必要である。
微多孔膜の気孔率は30〜80%が好ましく、より好ましくは40〜80%、更に好ましくは50〜75%、最も好ましくは52〜75%である)。気孔率が30%以上の場合、透過性能に優れ、熱プレス時の膜厚変化量が大きく、電極と微多孔膜の密着性が良い。また、80%以下の場合機械的強度に優れ熱プレス時の耐破膜性が良好である。
微多孔膜の透気度は、熱プレス時の密着性と透過性が向上するために好ましくは10〜220秒/100ccであり、より好ましくは10〜200秒/100ccであり、更に好ましくは10〜180秒/100ccであり、特に好ましくは10〜150秒/100ccであり、最も好ましくは10〜100秒/100ccである。透気度が10秒/100cc以上であると絶縁性能が高くなり、220秒/100cc以下であると熱プレス時の透過性能が低くなりにくく電池寿命が長くなる。
本発明の微多孔膜の最大孔径は0.10〜0.25μmが好ましく、より好ましくは0.12〜0.23μm、更に好ましくは0.12〜0.21μm、最も好ましくは0.12〜0.20μmである。最大孔径が0.10μmより大きいと透過性能が優れ、最大孔径が0.25μmよりも小さいと絶縁性能が高くなる。なお、熱プレスされた際、高温時においても高い絶縁性能を維持するために、微多孔膜には、圧縮された際の耐電圧が高いことが求められる。耐電圧と最大孔径は関係が深く、孔径が大きすぎると微多孔膜の耐電圧が低くなり、圧縮時に充分な絶縁性を保つ事が出来ない。その為、微多孔膜は、高い透過性と高い絶縁性能を両立する孔径を有する事が必要である。
本発明の微多孔膜は、粘度平均分子量が70万以上の超高分子量のポリエチレンを5〜90wt%含むことが好ましく、更に好ましくは10〜90wt%、最も好ましくは20〜80wt%である。機械的強度を向上させる為には、粘度平均分子量70万以上の超高分子量ポリエチレンを5wt%以上含むことが好ましく、成形性を向上させる為には、90wt%以下であることが好ましい。
ポリプロピレンの重量割合は微多孔膜の機械的強度を向上させる観点から、好ましくは10wt%以下、より好ましくは0〜10wt%、更に好ましくは0〜8wt%、最も好ましくは0〜6wt%である。
次に、本発明の微多孔膜の製造方法について説明する。
本発明の微多孔膜の製造方法は、下記の(a)〜(e)の工程を含み、(e)工程におけるTD延伸の延伸速度が10〜100%/秒、且つTD延伸直後の熱処理温度が、延伸前の膜の融点よりも7〜25℃低いことを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜の製造方法である。
(a)少なくともポリオレフィン樹脂、可塑剤、無機微粉体を混合造粒する工程、
(b)(a)工程で得られた混合物を、溶融混練する工程、
(c)(b)工程で得た混練物をシート状に成形する工程、
(d)シート状の成形物から可塑剤及び無機粉体を抽出除去する工程、
(e)得られたシート状の成型物を二軸延伸する工程。
(a)工程においてポリオレフィンと可塑剤と無機粉体の合計重量に対するポリオレフィンの混合割合は10〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40重量%である。ポリオレフィンの割合は、微多孔膜の機械的強度を向上させる為に10重量%以上が好ましく、押出成形の際に製膜性、並びに微多孔膜の透過性を向上させる為に50重量%以下が好ましい。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂は、一種のポリオレフィンからなっても、ポリオレフィン組成物であってもよい。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、これらを2種類以上ブレンドして用いても良い。透過性と機械的強度を向上させる為にはポリエチレンを単独で用いることが好ましい。
ポリエチレンの種類としては、密度が0.94g/cmを越えるような高密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cmの範囲の中密度ポリエチレン、密度が0.93g/cmより低い低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられるが、膜強度を高くするためには、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンの使用が好ましく、それらを単独で使用しても、或いは混合物として使用してもよい。
機械的強度を向上させる為には、粘度平均分子量70万以上の超高分子量ポリエチレンを5〜90wt%加えることが好ましく、成形性を考えると5〜80wt%加えることが更に好ましい。また、透過性を向上させる為には、高密度ポリエチレンを10〜95wt%加えることが好ましい。
ポリプロピレンの種類としては、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマーが挙げられるが、使用する全ポリプロピレンにおけるエチレン含量は1モル%以下とすることが好ましく、全てプロピレンホモポリマーであることが好ましい。使用するポリプロピレンの極限粘度[η]は1〜25dl/gであることが好ましく、2〜7dl/gであることがさらに好ましい。
可塑剤はフタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステルやアジピン酸エステルやグリセリン酸エステル等の有機酸エステル類、リン酸トリオクチル等のリン酸エステル類や流動パラフィン、固形ワックス、ミネラルオイル等が挙げられるが、ポリエチレンとの相溶性、低透気度化及び低バブルポイント化を考慮するとフタル酸エステルが好ましい。尚、これらを単独で使用しても或いは混合物として使用してもよい。
無機粉体としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、珪藻土類などが挙げられるが、分散性や抽出の容易さからシリカを使用することが好ましい。なお、ポリオレフィン、可塑剤、無機粉体の他に本発明を大きく阻害しない範囲で必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤を添加することができる。
(d)工程では、シート状の成形物から可塑剤と無機粉体を溶剤によって抽出を行う。可塑剤の抽出に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等のハロゲン系炭化水素溶剤を使用することができる。気孔率が高く、電極との密着性、並びに透過性の優れた微多孔膜を得やすい点から可塑剤抽出の後、無機粉体の抽出を行うことが好ましい。抽出に用いられる溶剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液を使用することができる。
(e)の得られたシート状の成形物を二軸延伸する工程では高い機械的強度と熱プレス時に電極との密着性を両立する観点から、TD延伸の延伸速度が10〜100%/秒で且つTD延伸直後の熱処理温度が、TD延伸前の膜の融点よりも7〜25℃低いことが重要である。
TD延伸速度は、好ましくは20〜100%/秒である。表面粗さを均一にして熱プレス時の密着性を向上させる為には、TD延伸速度は10%以上/秒にすることが重要であり、透過性を向上させる為には100%/秒以下にすることが重要である。
TD延伸直後の熱処理温度は、TD延伸前の膜融点よりも好ましくは8〜20℃低い温度であり、より好ましくは8℃〜15℃低い温度である。透過性と機械的強度を向上させる為には、TD延伸直後の熱処理温度は、TD延伸前の膜融点よりも7℃以上低いことが重要であり、熱プレス時の密着性を高める為には、25℃以下低くすることが重要である。
MDとTDの弾性率を制御しやすく孔径を適正化しやすい点から、縦延伸後に横延伸を行う逐次二軸延伸法であることが好ましい。
MD延伸倍率は機械的強度と破膜性を向上させる為に、好ましくは2.0倍〜8.0倍であり、更に好ましくは2.5〜7.0倍である。機械的強度を向上させる為には、MD延伸倍率を2.5倍以上にすることが好ましく、熱プレス時の耐破膜性を向上させる為には、MF延伸倍率は8.0倍以下にすることが好ましい。
TD延伸倍率は、好ましくは1.2倍〜3.0倍である。耐破膜性を向上させる為には、TD延伸倍率を1.2倍以上にしてTDにもポリマー配向させることが好ましい。高温での安全性を向上させる為には、TD倍率は3.0倍以下が好ましい。
MD延伸倍率とTD延伸倍率の比は、好ましくは3.0〜20.0である。機械的強度、電池捲回性を向上させる為には、延伸倍率の比を3.0以上にすることが好ましく、熱プレス時の耐破膜性を向上させる為には、延伸倍率の比を20.0以下にする事が好ましい。
MD延伸速度は、好ましくは10〜4000%/秒、更に好ましくは100〜3000%/秒である。機械的強度を向上させる為には、MD延伸速度を100%/秒以上が好ましく、耐破膜性を向上させる為には、MD延伸速度を3000%/秒以下にするこが好ましい。
延伸をする際、一枚膜で延伸も出来るし、複数枚重ねて延伸することも出来る。また、さらに、延伸に続いて、または後に、熱固定あるいは熱緩和等の熱処理を行っても良い。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、好ましくは、物質の分離、選択透過などの分離膜、及び非水電解液系二次電池や燃料電池、コンデンサーなど電気化学反応装置の隔離材等として用いることができ、より好ましくは非水電解液系二次電池用セパレーターとして使用され、特に好ましくは、セパレーターと電極の密着性の観点から非水電解液系角型二次電池用として使用される。非水電解液系角型二次電池用セパレーターとして使用した場合は、セパレーターと電極の密着性が高いことでプレス後に捲回体が膨らむ事がなく、外装缶への挿入もしやすいため、電池生産性にも優れる。
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例において示される試験方法は次の通りである。
(1) 膜厚(μm)
東洋精機製の微少測厚器(タイプKBN、端子径Φ5mm、測定圧62.47kPaを用いて、雰囲気温度23±2℃で測定した。
(2) 気孔率(%)
100mm×100mm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(mm)と質量(mg)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
尚、体積は試料大きさと膜厚より計算し、膜密度は材料密度より計算した。
(3) 突き刺し強度(N)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。次に固定された微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行った。
(4) 引張り弾性率(MPa)、引張強度(MPa)、引張伸度(%)
JIS K7127に準拠し、島津製作所製の引張試験機、オートグラフAG−A型(商標)を用いて、MD及びTDサンプル(形状;幅10mm×長さ100mm)について測定した。また、サンプルはチャック間を50mmとした。
引張伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して、100を乗じることにより求めた。
引張強度(MPa)は、破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除することで求めた。なお、測定は、温度23±2℃、チャック圧0.30MPa、引張速度200mm/分で行った。
引張弾性率は伸度が1〜4%間の傾きで評価した。
(5) 微多孔膜の融点温度
示差走査型熱量計「DSC60」(島津製作所製、商標)を使用し、測定した。多孔シートを直径5mmの円形に打ち抜き、数枚重ね合わせて3mgとしたものを測定サンプルとして用いた。これを直径5mmのアルミ製オープンサンプルパンに敷き詰め、クランピングカバーを乗せサンプルシーラーでアルミパン内に固定した。窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで30℃から200℃までを測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線のピークトップ温度を融点とした。融点温度は熱分析ワークステーション(島津製作所製、TA−60WS)を用いて融解吸熱曲線より読み取った。
(6) 粘度平均分子量
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求める。ポリエチレンの粘度平均分子量は次式により算出した。
ポリエチレンの場合
[η]=6.77×10−4×Mv0.67
ポリプロピレンの場合
[η]=1.10×10−4×Mv0.80
(7) 透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、G−B2(商標))を用いた。内筒重量は567gで、直径28.6mm、645mmの面積を空気100mlが通過する時間を測定した。
(8) 最大孔径(バブルポイント法) (μm)
ASTM E−128−61に準拠し、エタノール中でのバブルポイントにより算出した。
(9) プレス後膜厚変化量(μm)
東洋精機製の微少測厚器(タイプKBN、端子径Φ5mm、測定圧62.47kPa)を用いて、雰囲気温度23±2℃で測定した。
サンプルを47mm×100cmに切り出し、70℃の温度条件下、2MPaで30秒間プレスを行った。プレス前後の膜厚を測定し、その変化量を下記の式より算出した。
プレス後膜厚変化量(μm)=プレス前の膜厚―プレス後の膜厚
(10) 表面粗さ(Ra;μm)
JIS−B−0601に準じた。
Ra(表面粗さ):JIS−B−0601に記載の中心線平均粗さをもってRaとした。測定装置は非接触3次元表面粗さ計 New View 5032 ザイゴ社製を使用した。膜の強度に対して垂直方向に0.14mm、水平方向に0.18mmの範囲(面積0.0252mm2)で、垂直分解能が0.1nm、水平分解能が0.64μm測定条件で膜の表面粗さ(Ra)を測定した。
(11) 電極とセパレーターの密着性評価
電極(正極、負極)の作成
正極の作製:活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2重量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2重量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにする。これを幅約40mm、長さ60cmに切断して帯状にした。
負極の作製:活物質として人造グラファイト96.9重量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7重量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m,活物質嵩密度は1.55g/cmと高充填密度とした。これを幅約40mm、長さ60cmに切断して帯状にした。
非水電解液の調製:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調製した。
セパレーター2枚と電極(正極、負極各1枚)を皆藤手動捲回機(KMW−2BY)に、膜自身に張力を掛けずに捲回した。捲回方法は、初めにセパレーター2枚(幅47mm、長さ100cm)のみを重ねて10cm捲回する。この時、捲回体を巻く治具は直径2.5cmのSUS丸棒を使用した。その後、2枚のセパレーターの上側に正極(幅40mm、長さ60cm)、2枚の正極の間に負極(幅40mm、長さ60cm)を挟んで捲回する。捲回の途中で電極は無くなるが、そのままセパレーターのみで捲回する(セパレーターの捲回は100cm)。捲回が終わると、ビニールテープで捲回体の巻き終わりを止める。その後、丸棒に巻かれた捲回体のうち、丸棒を抜いて空洞が直径2.5cmである円筒の捲回体(セパレーターの中に電極を挟んだ丸い空洞のある筒)を作成した。
この空洞のある筒状の捲回体をプレス前に径を測定する。ノギスを使用し、空洞の部分と捲回体の最外周部分を挟んで測定する測定箇所は2箇所で180度置きとし、2箇所の測定値を足したものをプレス前の捲回体の径とした。
次に電極とセパレーターが捲かれた捲回体の熱プレスを行う。熱プレス盤に捲回体を乗せ、70℃温度条件下、2MPaで30秒間の条件でプレスを行った。プレス後の捲回体は、角型状に潰れて捲回前の空洞は無くなる。この角型状に潰れた捲回体の径を測定する時、プレスされた方向と同じ面の中央部でノギスを使用して測定した。
電極とセパレーターの捲回後の密着性を測定する計算式を以下に示す。
(電極とセパレーターの密着性)=((プレス前の捲回体の径) −(プレス後の捲回体の径)) ÷ (プレス前の捲回体の径) × 100 = 電極とセパレーターの密着率(%)
熱プレス後の電極とセパレーターの密着率が30%を超えると完全にセパレーターと電極が密着せずに離れていると判断し、密着率が30%以下であるとセパレーターと電極が密着していると判断した。密着率が30%を超えると手で触った感触でもセパレーターと電極が密着せずに離れている。
(12) 角型電池評価
電池組立て:上記の微多孔膜セパレーター,帯状正極及び帯状負極を、帯状負極、セパレーター、帯状正極、セパレーターの順に重ねて渦巻状に12回捲回することで電極板積層体を作製した。この電極板積層体を70℃の温度条件下2MPaで30秒間平板状にプレスし、電池捲回体を得た。この電池捲回体の厚みをノギスで測定した。
作成した電池捲回体は、電池捲回体をアルミニウム製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製リードを容器壁に、負極集電体から導出したニッケル製リードを容器蓋端子部に接続した。こうして作製されるリチウムイオン電池は、縦(厚み)6.3mm,横30mm,高さ48mmの大きさである。
サイクル試験(500サイクル):組立てた電池の初充放電として、先ず1/6Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後に4.2Vの定電圧を保持するように電流値を絞り始めて合計8時間の初充電を行い、次に1/6Cの電流で2.5Vの終止電圧まで放電を行った。続いてサイクル充放電として、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V、合計8時間の定電流定電圧充電、(ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧2.5Vの定電流放電、(iv)10分間の休止なるサイクル条件で都合50回の充放電を行った。以上の充放電処理は全て20℃及び45℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記初充電での放電容量に対する上記500サイクル目の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。
オーブン試験:組立てた電池のオーブン試験をするため、充電後の電池を室温から150℃まで5℃/分で昇温し、150℃で30分間放置した。発火しなかったものを評価良好とした。
[実施例1]
粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレン19.2wt%、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン12.8wt%、フタル酸ジオクチル(DOP)48wt%、微粉シリカ20wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を120℃で、MDに延伸速度650%/秒で6.5倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度37%/秒で2倍延伸し、最後に129℃にて熱処理した。この時の最終延伸前の膜の融点は138℃であった。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で作成した抽出膜を120℃でMDに延伸速度510%/秒で5.1倍、120℃でTDに延伸速度37%/秒で2倍延伸し、最後に129℃で熱処理した。得られた物性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で作成した抽出膜を120℃でMDに延伸速度350%/秒で3.5倍、120℃でTDに延伸速度37%/秒で2倍延伸し、最後に129℃で熱処理した。得られた物性を表1に示す。
[実施例4]
粘度平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン8wt%、粘度平均分子量が15万の高密度ポリエチレン3wt%、粘度平均分子量が15万の直鎖状低密度ポリエチレン15wt%、フタル酸ジオクチル(DOP)50wt%、微粉シリカ24wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を120℃で、MDに延伸速度280%/秒で2.8倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度53%/秒で1.7倍延伸し、最後に120℃にて熱処理した。この時の最終延伸前の膜の融点は131℃であった。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[実施例5]
粘度平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン3.4wt%、粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレン6.8wt%、粘度平均分子量が30万の高密度ポリエチレン10.2wt%、粘度平均分子量が15万の直鎖状低密度ポリエチレン13.6wt%、フタル酸ジオクチル(DOP)45wt%、微粉シリカ21wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて118℃でMDに延伸速度570%/秒で5.7倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度60%/秒で1.9倍延伸し、最後に125℃にて熱処理した。この時の最終延伸前の膜の融点は133℃であった。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[実施例6]
実施例1で作成した抽出膜を2枚重ねて120℃でMDに延伸速度570%/秒で5.7倍、120℃でTDに延伸速度60%/秒で2.2倍延伸し、最後に130℃で熱処理した。得られた物性を表1に示す。
[実施例7]
粘度平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン10.2wt%、粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレン13.6wt%、粘度平均分子量が30万の高密度ポリエチレン10.2wt%、フタル酸ジオクチル(DOP)45wt%、微粉シリカ21wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて120℃でMDに延伸速度380%/秒で3.8倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度37%/秒で2.5倍延伸し、最後に135℃にて熱処理した。この時の最終延伸前の膜の融点は143℃であった。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で作成した抽出膜を2枚重ねて120℃でMDに延伸速度500%/秒で5倍、120℃でTDに延伸速度20%/秒で2倍延伸し、最後に137℃で熱処理した。得られた物性を表1に示す。
気孔率が低い為にプレス膜厚変化量が表面粗さ(Ra)よりも小さく、結果として電極との密着力が弱い。結果として、サイクル特性が悪い結果となった。
[比較例2]
実施例1で作成した抽出膜を110℃でMDに延伸速度440%/秒で4.4倍、110℃でTDに延伸速度11%/秒で1.1倍延伸した。得られた物性を表1に示す。
延伸温度が低い為セパレーターの表面粗さ(Ra)が大きく、結果として電極との密着力が弱い。結果として、サイクル特性が悪くなった。また、MD/TD弾性率比が高い為、角型電池捲回体の短絡試験で裂けによる短絡が発生した。
[比較例3]
粘度平均分子量が15万の高密度ポリエチレン34wt%、DOP45wt%、微粉シリカ21wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を120℃で、MDに延伸速度300%/秒で3倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度18%/秒で1.8倍延伸し、最後に127℃にて熱処理した。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。この時の最終延伸前の膜の融点は129℃である。
膜の強度が弱く捲回性が悪く、角型電池捲回体の短絡試験で裂けによる短絡が発生した。また気孔率が低い為プレス膜厚変化量が小さく、結果として電極との密着力が弱い。結果として、サイクル特性が悪くなった。
[比較例4]
粘度平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン12wt%、粘度平均分子量が28万の高密度ポリエチレン12wt%、粘度平均分子量が15万の直鎖状低密度ポリエチレン16wt%、DOP42.4wt%、微粉シリカ17.6wt%を混合造粒し、実施例4と同じ条件でシート状に成形し、該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて115℃でMDに延伸速度1000%/秒で4.5倍延伸した後、115℃でTDに延伸速度2%/秒で2.2倍延伸した。熱処理は実施していない。この時の最終延伸前の膜の融点は131℃であった。
表面粗さが大きく、熱プレスによる密着性が悪い。結果として、サイクル特性が悪くなった。
[比較例5]
粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン95wt%と、粘度平均分子量が40万のポリプロピレンを5wt%とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が55wt%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃であり、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hrで行った。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み2000μmのゲルシートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MDが延伸速度40%/秒で、7.0倍、TDが延伸速度36%で6.4倍、設定温度118℃である。
次に、メチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを乾燥除去した。
次に、TDテンターに導き、熱固定を行った。熱固定温度は133℃で、TD緩和率は0.90とした。その後、100mに巻取ったマスターロールを、50℃の恒温室内に6時間放置したのち、10kg/mの捲回張力で巻き返しを行った。 得られた微多孔膜の物性を表1に示した。この時の最終熱固定前の膜の融点は138℃である。
セパレーターが潰れにくく、プレス時の膜厚変化がセパレーターの表面粗さ(Ra)よりも小さい。膜厚変化量が小さく、結果として電極との吸着力が弱くなる。結果として、サイクル特性が悪くなった。また、MD/TD弾性比が低い為、オーブン試験に合格しなかった。
[比較例6]
粘度平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン30wt%、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン10wt%、フタル酸ジオクチル(DOP)40wt%、微粉シリカ20wt%を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成型物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて120℃で、MDに延伸速度600%/秒で6.0倍延伸した後、120℃でTDに延伸速度20%/秒で2倍延伸し、最後に139℃にて熱処理した。この時の最終延伸前の膜の融点は143℃であった。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
Figure 0005325405
本発明は、物質の分離や選択透過分離膜、及び隔離材等に用いられている微多孔膜に関し、特に非水電解液系二次電池用セパレーターとして好適に使用される。

Claims (9)

  1. 膜厚が2〜60μm、突刺強度が0.07N/μm〜0.50N/μm、長さ方向(MD)弾性率と幅方向(TD)弾性率の比(MD弾性率/TD弾性率)が3〜20、微多孔膜の表面粗さ(Ra)が0.3〜0.6μmであり、温度70℃、圧力2MPaで30秒間の熱プレス条件における膜厚変化が熱プレス前の微多孔膜の表面粗さ(Ra)よりも0.5μm以上大きいことを特徴とする粘度平均分子量が70万以上の超高分子量ポリエチレンを5〜90wt%含むポリオレフィン製微多孔膜。
  2. 気孔率が30〜80%であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン製微多孔膜。
  3. 透気度が10〜220秒/100ccであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
  4. 最大孔径が0.10〜0.25μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
  5. ポリプロピレンの重量割合が0〜10wt%である請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオレフィン製微多孔膜を用いた非水電解液系二次電池用セパレーター。
  7. 請求項記載のセパレーターを用いた非水電解液系二次電池。
  8. (a)〜(e)の工程を含み、(e)工程におけるTD延伸の延伸速度が10〜100%/秒、且つTD延伸直後の最終加熱温度が、TD延伸前の膜の融点よりも7〜25℃低い、且つMD延伸の延伸倍率が2.0倍〜8.0倍であり、TD延伸の延伸倍率が1.2倍〜3.0倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
    (a)少なくともポリオレフィン樹脂、可塑剤、無機微粉体を混合造粒する工程、
    (b)(a)工程で得られた混合物を、溶融混練する工程、
    (c)(b)工程で得た混練物をシート状に成形する工程、
    (d)シート状の成形物から可塑剤及び無機粉体を抽出除去する工程、
    (e)得られたシート状の成型物を二軸延伸する工程
  9. (e)工程において、MD延伸の延伸速度が10〜4000%/秒である請求項に記載のポリオレフィン製微多孔膜の製造方法。
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