JP7152435B2 - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents
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Description
[1] ポリオレフィン樹脂を主成分として含有する微多孔膜であって、窒素ガス吸着試験により測定される細孔直径98nm以下の一点法全細孔容積が、全気孔体積の25%以上、85%以下である多孔質層を有する微多孔膜。
[2] 前記多孔質層の、気液法によって算出される孔数Bが100個/μm2以上、500個/μm2以下である、項目1に記載の微多孔膜。
[3] 前記多孔質層の気孔率εが45%以上、80%以下であり、かつハーフドライ法によって測定される平均流量径dが0.020μm以上、0.055μm以下である、項目1又は2に記載の微多孔膜。
[4] 前記多孔質層の、ハーフドライ法によって測定される平均流量径ピークの半値幅が0.0020μm以下である、項目1~3のいずれか1項に記載の微多孔膜。
[5] 項目1~4のいずれか1項に記載の微多孔膜を含む、電気化学デバイス用セパレータ。
[6] 項目5に記載の電気化学デバイス用セパレータを含む、電気化学デバイス。
本実施形態に係るPO多孔質層は、窒素ガス吸着試験により測定される細孔直径98nm以下の一点法全細孔容積を、全気孔体積の25%以上85%以下有する。
本実施形態に係るPO多孔質層は、気液法によって算出される孔数Bが100個/μm2以上であることが好ましく、かつ500個/μm2以下であることが好ましい。
本実施形態に係るPO多孔質層は、気孔率εが45%以上であることが好ましく、かつ80%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るPO多孔質層は、ハーフドライ法によって測定される平均流量径dが0.020μm以上であることが好ましく、かつ0.055μm以下であることが好ましい。本明細書では、PO微多孔層の孔径は、ハーフドライ法に準拠し、パームポロメータ(Porous Materials,Inc.社:CFP-1500AE)を用いて測定された、平均流量径を意味する。
本実施形態に係るPO多孔質層は、ハーフドライ法によって測定される平均流量径ピークの半値幅0.0020μm以下であることが好ましい。
微多孔膜の膜厚は、電気化学デバイス容量の観点から、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは18μm以下であり、さらに好ましくは16μm以下である。PO微多孔膜の膜厚は、デンドライトの成長を遅延させるという観点から、好ましくは3μm以上である。
微多孔膜の透気度は、電気化学デバイスの出力特性及びサイクル特性の観点から、空気100cm3当たり、好ましくは200秒以下、より好ましくは190秒以下である。透気度の下限値は、膜強度の観点から、空気100cm3当たり、好ましくは20秒以上である。
微多孔膜の突刺強度は、好ましくは200gf以上、より好ましくは220gf以上である。200gf以上の突刺強度は、電気化学デバイスに衝撃が加わった際の安全性の観点から好ましい。また、PO微多孔膜の突刺強度は、膜の熱収縮性の観点から、好ましくは900gf以下、より好ましくは850gf以下である。
本実施形態に係るPO微多孔質層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成される。所望により、樹脂組成物は、無機粒子、ポリオレフィン以外の樹脂などをさらに含んでよいが、無機粒子が入ることで細孔割合が小さくなる傾向がある。
本実施形態に係るPO微多孔膜の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、
ポリオレフィン樹脂と、孔形成材料と、所望により各種添加剤とを含む樹脂組成物を混合する混合工程(a)と、
工程(a)で得られた混合物を溶融混練して押出す押出工程(b)と、
工程(b)で得られた押出物をシート状に成形するシート成形工程(c)と、
工程(c)で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する一次延伸工程(d)と、
工程(d)で得られた一次延伸膜から孔形成材料を抽出する抽出工程(e)と、
工程(e)で得られた抽出膜を所定の温度で熱固定(HS)する熱固定工程(f)とを含む方法が挙げられる。
混合工程(a)は、ポリオレフィン樹脂と、孔形成材料と、所望により各種添加剤とを含む樹脂組成物を混合する工程である。なお、混合工程(a)においては、必要に応じて、他の成分を樹脂組成物と混合してもよい。
工程(a)において、POを含む樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは0質量部超20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
押出工程(b)は、工程(a)で得られた樹脂組成物を溶融混練して押出す工程である。なお、押出工程(b)では、必要に応じて、ポリオレフィン樹脂以外の成分を樹脂組成物と混合してもよい。
シート成形工程(c)は、押出工程(b)で得られた押出物をシート状に成形する工程である。シート成形工程(c)により得られるシート状成形物は、単層であってもよく、積層であってもよい。シート成形の方法としては、特に限定されないが、例えば、押出物を圧縮冷却により固化させる方法が挙げられる。
一次延伸工程(d)は、シート成形工程(c)で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する工程である。この延伸工程(次の抽出工程(e)より前に行う延伸工程)を「一次延伸」と呼ぶこととし、一次延伸によって得られた膜を「一次延伸膜」と呼ぶこととする。一次延伸では、シート状成形物を、少なくとも一方向へ延伸することができ、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけ行ってもよい。
抽出工程(e)は、一次延伸工程(d)で得られた一次延伸膜から孔形成材料を抽出して、抽出膜を得る工程である。孔形成材料を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤に一次延伸膜を浸漬して孔形成材料を抽出し、充分に乾燥させる方法等が挙げられる。孔形成材料を抽出する方法は、バッチ式及び連続式のいずれであってもよい。また、多孔膜中の孔形成材料、特に可塑剤の残存量は、1質量%未満にすることが好ましい。
熱固定工程(f)は、抽出工程(e)で得られた抽出膜を、所定の温度で熱固定する工程である。この際の熱処理の方法としては、特に限定されないが、テンター又はロール延伸機を利用して、延伸及び緩和操作を行う熱固定方法が挙げられる。
緩和倍率=(緩和操作後の膜の寸法(m))/(緩和操作前の膜の寸法(m))
本実施形態のPO微多孔膜の製造方法は、上記工程(a)~(f)以外の他の工程を含むことができる。他の工程としては、特に限定されないが、例えば、上記熱固定の工程に加え、積層体であるPO微多孔膜を得るための工程として、単層体であるPO微多孔膜を複数枚重ね合わせる積層工程が挙げられる。また、本実施形態のPO微多孔膜の製造方法は、PO微多孔膜の表面に対して、電子線照射、プラズマ照射、界面活性剤の塗布、化学的改質等の表面処理を施す表面処理工程;PO微多孔膜表面に、熱可塑性樹脂を含む接着層を設ける工程などを含んでもよい。更には、無機粒子の材料を、PO微多孔膜の片面又は両面に塗工して、無機材層を備えたPO微多孔膜を得てもよい。
安全性、寸法安定性、耐熱性などの観点から、PO微多孔膜表面に無機塗工層を設けることができる。無機塗工層は、無機粒子などの無機成分を含む層であり、所望により、無機粒子同士を結着させるバインダ樹脂、無機粒子を溶媒中に分散させる分散剤などを含んでよい。
エネルギー密度を高めるために近年車載向け電池にも採用されることが増えているラミネート型電池の変形又はガス発生による膨れを防ぐため、PO微多孔膜表面に、熱可塑性樹脂を含む接着層を設けることができる。接着層に含まれる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びその水素化物、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、リチウムイオン二次電池などの電気化学デバイスのためのセパレータとして利用されることができる。ポリオレフィン微多孔膜は、リチウムイオン二次電池に組み込まれることによって、リチウムイオン2次電池の熱暴走を抑制することができる。
本実施形態に係るPO微多孔膜を捲回するか、又は複数積層して成る捲回体又は積層体を収納している電気化学デバイスも本発明の一態様である。電気化学デバイスとしては、例えば、非水系電解液電池、非水系電解質電池、非水系リチウムイオン二次電池、非水系ゲル二次電池、非水系固体二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等が挙げられる。
(1a)一点法全細孔容積(別名:一点法体積吸着量)(細孔直径98nm)(cm3/g)
JIS Z8831-2:2010粉体(固体)の細孔分布及び細孔特性「第2部ガス吸着によるメソ細孔及びマクロ孔の測定方法」に基づき定容量法による窒素ガス吸着試験を行った。具体的には、窒素相対圧(p/p0)が0.98の標準状態の温度及び圧力(STP)換算でのガス吸着量を、吸着質の液体体積としての体積相当量と定義して、一点法体積吸着量(細孔直径98nm)の導出を行った。この時、相対圧(p/p0)0.98は、シリンダ型細孔を仮定し、その細孔半径をrpとすると、rp=rk+tと表され、細孔直径98.8nmに相当する。ここで、rkは、細孔内で凝縮した吸着質の曲率半径であり、次の式で示される。
rk=-0.953/ln(p/p0)。
また、tは、実験的又は理論的に求められた参照吸着等温線から得られる相対圧での窒素の多分子層吸着膜の平均厚さであり、以下の式で表される。
t=0.354*[-5/ln(p/p0)]^1/3
上記一点法全細孔容積(細孔直径98nm以下)Aと樹脂原料密度より、次式を用いて、細孔直径98nm以下の孔からなる気孔率を計算した。
細孔直径98nm以下の孔からなる気孔率P(%)=A/(A+1/樹脂原料密度)×100
後述する膜全体の気孔率における上記気孔率の割合を計算することで細孔割合を計算した。
細孔割合(細孔直径98nm以下)(%)=(P/膜全体の気孔率)×100
JIS K7112:1999に従い、密度勾配管法(23℃)により、試料の密度を測定した。
東洋精機(株)社製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて、室温23±2℃でPO微多孔膜又は多孔質層の膜厚を測定した。
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm3)と質量(g)を求め、それらと密度(g/cm3)より、次式を用いて気孔率を計算した。
気孔率(%)=(体積-質量/密度)/体積×100
JIS P-8117に準拠した透気抵抗度を透気度とした。
微多孔膜の透気度の測定は、JIS P-8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G-B2(商標)を用いて温度23℃、湿度40%の雰囲気下で多層多孔膜の透気度又はPO微多孔膜の透気抵抗度を測定し、透気度とした。
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES-G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。次に固定された微多孔膜の中央部を、先端が直径1.0mm、曲率半径0.5mmの針を用いて、突刺速度2mm/secで、温度23℃、湿度40%の雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(gf)を求めた。
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きい時はクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、多孔膜又は多孔質層の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また多孔膜又は多孔質層の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定する。
この場合、多孔膜の平均孔径d(μm)と曲路率τa(無次元)は、空気の透過速度定数Rgas(m3/(m2・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m3/(m2・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力Ps(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、次式を用いて求めた。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×106
τa=(d×(ε/100)×ν/(3L×Ps×Rgas))1/2
ここで、Rgasは透気度(sec)から次式を用いて求めた。
Rgas=0.0001/(透気度×(6.424×10-4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))から次式を用いて求め
た。
Rliq=透水度/100
なお、透水度は次のように求めた。直径41mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめエタノールに浸しておいた多孔膜又は多孔質層をセットし、該膜又は層のエタノールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した際の透水量(cm3)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10-2kg/mol)から次式を用いて求めた。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
さらに、孔数B(個/μm2)は、次式より求めた。
B=4×(ε/100)/(π×d2×τa)
(8a)ハーフドライ法による平均流量径(μm)
ハーフドライ法に準拠し、パームポロメータ(Porous Materials,Inc.社:CFP-1500AE)を用い、平均孔径(μm)を測定した。浸液には同社製のパーフルオロポリエステル(商品名「Galwick」、表面張力15.6dyn/cm)を用いた。乾燥曲線、及び湿潤曲線について、印加圧力、及び空気透過量の測定を行い、得られた乾燥曲線の1/2の曲線と湿潤曲線とが交わる圧力PHD(Pa)から、次式により平均孔径dHD(μm)を求め、平均流量径とした。
dHD=2860×γ/PHD
前記平均流量径を示す孔径分布ピークトップの半分の値に該当する孔径値の差分を算出して半値幅とした。
(9a)GPC-光散乱によるポリエチレンの多分散度(Mw/Mn)、(Mz/Mw)の測定
示差屈折率計と光散乱検出器を接続したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、以下の条件で、各樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、z平均分子量(Mz)、分子量分布(Mw/Mn)、及び、(Mz/Mw)を測定した。具体的には、Agilent社製、示差屈折計(RI)と、光散乱検出器(PD2040)、を内蔵したPL-GPC200を使用した。カラムとして、Agilent PLgel MIXED-A(13μm、7.5mmI.D×30cm)を2本連結して使用した。160℃のカラム温度で、溶離液として、1,2,4-トリクロロベンゼン(0.05wt%の4,4’-Thiobis(6-tert-butyl-3-methylphenolを含有)を、流速1.0ml/min、注入量500μLの条件で測定し、RIクロマトグラムと、散乱角度15°と90°の光散乱クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムより、Cirrusソフトを用いて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びz平均分子量(Mz)を得た。このMzとMwの値を用いて分子量分布(Mz/Mw)を、また、MwとMnの値を用いて分子量分布(Mw/Mn)を得た。なお、ポリエチレンの屈折率増分の値は、0.053ml/gを用いた。
ASTM-D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。PO微多孔膜およびポリエチレン原料については次式によりMvを算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレン原料については、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2)を91.2質量部、導電材として、りん片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量部、樹脂製バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を4.2質量部用意し、これらをN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚み20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて、正極活物質塗布量が120g/m2となるように塗布した。130℃で3分間の乾燥後、ロールプレス機を用いて、正極活物質かさ密度が2.90g/cm3となるように圧縮成形し、正極とした。これを面積2.00cm2の円形に打ち抜いた。
負極活物質として人造グラファイトを96.6質量部、樹脂製バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量部とスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量部を用意し、これらを精製水に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚み16μmの銅箔の片面にダイコーターを用いて負極活物質塗布量が53g/m2となるように塗布した。120℃で3分間の乾燥後、ロールプレス機を用いて、負極活物質かさ密度が1.35g/cm3となるように圧縮成形し、負極とした。これを面積2.05cm2の円形に打ち抜いた。
エチレンカーボネート:エチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0ml/Lとなるように溶解させて調製した。
正極と負極の活物質面が対向するように、下から負極、多孔膜、正極の順に重ねた。この積層体を、容器本体と蓋が絶縁されている蓋付きステンレス金属製容器に、負極の銅箔、正極のアルミニウム箔が、それぞれ、容器本体、蓋と接するように収納することによりセルを得た。このセルを、減圧下、70℃で10時間乾燥させた。その後、アルゴンボックス中でこの容器内に非水電解液を注入して密閉し、評価電池とした。
上記d.で組み立てた評価電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計約6時間、電池作製後の最初の充電を行い、その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
下記式に示すとおりに、1C放電容量に対する10C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
10Cでのレート特性(%)=(10C放電容量/1C放電容量)×100
10Cでのレート特性を以下の基準で評価した。
A:75%以上
B:60%以上75%未満
C:60%未満
上記レート試験を行った評価電池を、温度25℃の条件下で、放電電流1Cで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Cで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返し、そして、初期容量(第1回目のサイクルにおける容量)に対する300サイクル後の容量維持率を用いて、以下の基準でサイクル特性を評価した。
サイクル特性の評価基準
A:80%以上
B:70%以上80%未満
C:70%未満
項目(10)でセルを作製する際、正極とセパレータの間に銅箔を設置した。銅箔のサイズは1mm角×厚み18μmを使用した。
[評価ランク]
A: 70分以上
B: 60分以上70分未満
C: 30分以上60分未満
D: 2分以上30分未満
E: 2分未満
項目(10)で作製したセルにおいて負極を金属リチウム(Li)に変更したこと以外は項目(10)と同様にしてセルを作製した。
上記のようにして組み立てたセルに0.1Cの設定電流値で、4.3Vの定電流(CC)-定電圧(CV)充電(Cut Off条件を収束電流値0.03mA)を行なって通常充電量(i)を測定した。
通常充電量(i)を測定したセルとは別に新しいセルを作製し、20mA/cm2の設定電流値で、4.3VのCC-CV充電(Cut Off条件:25mAhまたは収束電流値0.03mA)を行なって過負荷充電池(ii)を測定した。
(ii)-(i)の値を、デンドライト短絡による過充電値として、下記基準に従い評価した。
[評価ランク]
A: 0.05mAh未満
B: 0.05mAh以上0.1未満
C: 0.1mAh以上0.5mAh未満
D: 0.5mAh以上1.0mAh未満
E: 1.0mAh以上20.0mAh以下
項目(10)で作製したセルにおいて負極を金属リチウム(Li)に変更したこと以外は項目(10)と同様にしてセルを作製した。
25℃雰囲気下、電流値1.5mA/cm2で電池電圧4.3Vまで充電し、さらに4.3Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計約3時間充電を行い、そして電流値1.5mA/cm2で電池電圧3.0Vまで放電するというサイクルを繰り返した。
このサイクルにおける1サイクル目の放電容量に対する300サイクル後の放電容量の割合を容量維持率(%)として求め、下記基準によりサイクル特性を評価した。
[評価ランク]
A: 60%以上
B: 50%超60%未満
C: 40%超50%以下
D: 30%超40%以下
E: 30%以下
表5に示されるポリエチレン(PE)種及びポリプロピレン(PP)種、並びに表1に示されるPE種、PP種及び原料組成比に従って、PE及びPPをヘンシェルミキサーで混合し、さらに酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を適量加えて予備混合した。得られた混合物をフィーダーにより二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給した。また溶融混練し、押し出される全混合物(100質量部)中に占める流動パラフィン(LP)量比が77.0質量部となるように、2回に分けて流動パラフィンを二軸押出機シリンダへサイドフィードで添加した。設定温度は、混練部は160℃、Tダイは200℃とした。続いて、溶融混練物をTダイよりシート状に押出し、表面温度70℃に制御された冷却ロールで冷却し、シート状成形物を得た。
原料種、原料組成比、シート厚み、延伸工程条件、熱固定工程条件及び総延伸倍率を、それぞれ表1又は表2に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にしてPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜の各種特性を上記方法により評価した。結果を表3又は表4に示す。
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部とアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、実施例1の基材膜の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布し、60℃にて乾燥して水を除去し、ポリオレフィン樹脂多孔膜上に厚さ4μmの多孔層を形成した多層無機塗工膜を得た。得られた無機塗工膜を水中に浸漬して超音波洗浄し、基材膜のみとして各種物性を評価した。結果は実施例1の評価結果と相違するものではなかった。
Claims (5)
- ポリオレフィン樹脂を主成分として含有する微多孔膜であって、前記微多孔膜の膜厚が16μm以下であり、窒素ガス吸着試験により測定される細孔直径98nm以下の一点法全細孔容積が、全気孔体積の25%以上、85%以下である多孔質層を有する微多孔膜を含む、電気化学デバイス用セパレータ。
- 前記多孔質層の、気液法によって算出される孔数Bが100個/μm2以上、500個/μm2以下である、請求項1に記載の電気化学デバイス用セパレータ。
- 前記多孔質層の気孔率εが45%以上、80%以下であり、かつハーフドライ法によって測定される平均流量径dが0.020μm以上、0.055μm以下である、請求項1又は2に記載の電気化学デバイス用セパレータ。
- 前記多孔質層の、ハーフドライ法によって測定される平均流量径ピークの半値幅が0.0020μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用セパレータ。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用セパレータを含む、電気化学デバイス。
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