JP6596270B2 - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、リチウムイオン電池等の電池のセパレータとして用いられるポリオレフィン微多孔膜についても、透過性、機械的特性、シャットダウン性等の性能面からの検討がなされている。
特許文献1では、乾式法の延伸歪速度に着目しており、延伸速度及び延伸倍率を変えることにより、得られるセパレータの孔径サイズを調整できる旨が記載されている。しかし、該特許文献には、出力及び表面摩擦の改善に対する延伸条件の影響については、記載も示唆もない。
本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータとした時に、出力が優れるとともに、表面動摩擦性能にも優れるポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提供することを目的とする。
[1]
(a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練して押出す押出工程、
(b)前記(a)工程で得られた押出物をシート状に成形するシート成形工程、
(c)前記(b)工程で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する一次延伸工程、
(d)前記(c)工程で得られた延伸シートから孔形成材料を抽出する抽出工程、及び
(e)前記(d)工程で得られたシートを、少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程
を含み、
前記(e)工程における二次延伸工程は2段階以上の延伸段階から成り、
第2段階目以降の延伸段階における歪速度が、前段階における歪速度よりも小さいか、又は
各段階における歪速度が一定である
ことを特徴とする、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[2]
前記(e)工程における二次延伸工程が2段階以上10段階以下の延伸段階から成る、[1]記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[3]
前記(e)工程における二次延伸工程が5段階以上10段階以下の延伸段階から成る、[1]記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
[4]
前記(e)工程における二次延伸工程は、各延伸段階における歪速度が一定である、[1]記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
(a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練して押出す押出工程、
(b)前記(a)工程で得られた押出物をシート状に成形するシート成形工程、
(c)前記(b)工程で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する一次延伸工程、
(d)前記(c)工程で得られた延伸シートから孔形成材料を抽出する抽出工程、及び
(e)前記(d)工程で得られたシートを、少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程。この二次延伸工程は、2段階以上の延伸段階から成り、第2段階目以降の延伸段階における歪速度が、前段階における歪速度よりも小さいか、又は
各段階における歪速度が一定である。
本実施の形態の製造方法は、前記工程を含む湿式法を採用することにより、電池用セパレータとして用いる場合に、高透過性の為電池出力に優れ、かつ、表面動摩擦が低く電池捲回性に優れたセパレータを提供するものである。
エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びノルボルネンよりなる群から選ばれる少なくとも2つのモノマーを重合して得られる共重合体
等が挙げられる。上記単独重合体としては、エチレン又はプロピレンの単独重合体が好ましい。
上記POは、特に限定されず、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、予め混合した混合物とした後、孔形成材料等の他の成分と混合してもよいし、他の成分に別々に添加して混合して用いてもよい(以下、「混合物」との記載は、前記両方の場合を包含することがある。)。2種以上のPOを用いると、セパレータのヒューズ温度及び短絡温度の制御が容易となるため好ましい。例えば、粘度平均分子量(以下「Mv」と略記することがある。)50万以上の超高分子量POとMv50万未満のPOとの混合物は、その適度な分子量分布により、セパレータの強度と透過性とを両立し易いという観点からもより好ましい。また、セパレータのヒューズ機能を良好に発現させる観点から、POとしてポリエチレンを主体とすることが好ましい。「主体とする」とは、当該成分がPO全体の50質量%以上を占めることを指す。
PO微多孔膜全体のMvは、特に限定されない。しかし、POを単独で使用する場合も、2種以上を併用する場合も、10万〜120万であることが好ましく、30万〜80万であることがより好ましい。Mvが10万以上であると、異物等に起因する短絡による発熱時に耐破膜性を発現し易いため好ましく、120万以下であると、押出工程における長手方向(原料樹脂吐出方向及び機械方向と同義。以下、「MD」と略記することがある。)への配向が抑制され、微多孔膜全体の均一性を発現し易いため好ましい。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成し得る不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレン又はポリプロピレンである場合には、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こり難く、均一な延伸を実施し易くなる傾向にあるため、好ましい。
なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。
無機材の配合割合は、特に限定されないが、例えば、POと無機材との合計質量に対して、良好な隔離性を得る観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、高い強度を確保する観点から、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
無機材は孔形成材として使用することもできるが、耐熱性向上の観点から、孔形成材として使用せずに、PO微多孔膜に含有させることも可能である。
(a)工程においては、上記混練を経て得られた混練物が、T型ダイ、環状ダイ等の押出機により押し出される。このとき、単層押出しであってもよく、積層押出しであってもよい。押出しの際の諸条件は、特に限定されず、例えば公知の方法を採用できる。
一次延伸の延伸方法としては、特に限定されないが、例えば、ロール延伸機による一軸延伸、テンターによる幅方向(MDと直交する方向。以下、「TD」と略記することがある。)一軸延伸;ロール延伸機及びテンター、又は複数のテンターの組み合わせによる逐次二軸延伸;同時二軸テンター又はインフレーション成形による同時二軸延伸等が挙げられる。
各段階における歪速度が一定となるように延伸する。例えば、(n+1)段階目の延伸段階における歪速度は、n段階目における歪み速度よりも小さいか、又はこれと同じである。本手法を用いることにより、セパレータの熱的安定性を損なうことなく、高透過性にすることができる。更に驚くべきことには、本手法を用いることにより、表面動摩擦を小さくできる。これらの効果が相俟って、本実施形態は、捲回効率の良い高透過性セパレータを提供できることが見出された。
第2段階目以降の延伸段階における歪速度を前段階における歪速度よりも小さくするか、又は、
各段階における歪速度が一定となるように延伸することにより、延伸時に多孔膜にかかる延伸応力が、常に同じであるか、又は、徐々に応力を下げることができる。そのため、延伸初期に形成された孔をそのまま成長させて低曲路率化することができ、このことによって、透過性に優れた膜を作ることができると推測される。
また、本手法を用いると、意外なことに表面動摩擦を小さくすることができる。この理由は定かではないが、おそらく、延伸初期に形成された幹の太さの不均一さをそのまま維持させることができるため、幹の太さの不均一さがセパレータの凹凸構造に引き継がれた結果、低摩擦になったと推測される。
歪速度 (%/秒) = (延伸倍率−1)×100÷延伸時間(秒)
延伸時間(秒) = 2点間距離(m)÷2点間平均速度(m/秒)
ここで、ロール延伸機を使用する場合は、2点間距離としてはロール間の接線距離を採用する。
各延伸段階における歪速度の好ましい範囲としては、最低限の透過性を得る観点から、各段階とも1%/秒以上が好ましく、5%/秒以上がより好ましく、10%/秒以上とするのが更に好ましい。
また、延伸初期に形成された幹の太さの不均一さをそのまま維持させ、幹の太さの不均一さを作り出す観点から、全延伸段階における歪速度の最大歪速度と最小歪速度の差が300以下が良く、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましい。
また、本実施形態の延伸工程には、一次延伸と二次延伸とがあるが、両工程を合わせたトータル延伸倍率では、MD方向及びTD方向のそれぞれについて3倍以上、総面積倍率で9倍以上であることが、十分な強度及び透過性の観点から好ましい。一方で、寸法安定性、及び延伸時の破断防止の点から、MD方向及びTD方向のそれぞれについて20倍未満、総面積倍率で200倍以下であることが好ましい。
延伸操作は、膜のMD及びTDのうちの少なくとも1つの方向に、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、更なる高強度かつ高気孔率の多孔膜が得られる観点から、好ましい。
緩和操作は、膜のMD及びTDのうちの少なくとも1つの方向への縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD及びTDの双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下であることが好ましく、1.0未満であることがより好ましく、0.97以下であることが更に好ましく、0.95以下であることが特に好ましい。緩和率は膜品位の観点から、0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけ行ってもよい。
この延伸及び緩和における温度は、特に限定されないが、主要組成樹脂の融点(Tm)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましく、Tmより1℃から20℃低い範囲が更に好ましく、Tmより1℃から15℃低い範囲が特に好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲内であることは、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
上記の場合、マスターロールをエージング処理する際の温度は、特に限定されないが、35℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。また、PO微多孔膜の透過性保持の観点から、その温度は120℃以下が好ましい。エージング処理に要する時間は、特に限定されないが、24時間以上であると、上記効果が発現し易いため好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるセパレータを用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法は、特に限定されず、例えば、上記セパレータと、正極、負極、電解液等の公知のリチウムイオン二次電池と同様の各部材とを用いて、公知の方法により製造する方法が挙げられる。
実施例中の各種特性は、それぞれ、下記の方法により測定した。
ASTM−D4020に準拠して、デカリン溶媒中、135℃における極限粘度[η]を求めた。その極限粘度[η]から、ポリエチレンのMvを次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
同様に極限粘度[η]から、ポリプロピレンのMvを次式により算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
DSCは、島津製作所社製DSC60を使用して測定した。
セパレータを直径5mmの円形に打ち抜き、数枚重ね合わせて3mgとしたものを測定サンプルとして用いた。このサンプルを、直径5mmのアルミ製オープンサンプルパンに敷き、クランピングカバーを乗せ、サンプルシーラーによりアルミパン内に固定した。窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温し、200℃で5分ホールドした後、降温速度10℃/分で200℃から30まで降温した。続いて、30℃において5分間ホールドした後、再度、昇温速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温した。この時の融解吸熱曲線において、極大となる温度を融点(℃)とした。極大値が複数ある場合は、一番大きな融解吸熱曲線の極大値となる温度を融点として採用した。
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて、室温(23±2℃)において、PO微多孔膜の膜厚を測定した。
(4)気孔率(%)
PO微多孔膜から10cm×10cm角を切り取ってサンプルを得、室温23±2℃におけるその体積(cm3)と質量(g)とを測定した。それらの値と膜密度(g/cm3)とから、PO微多孔膜の気孔率を次式により算出した。
気孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95g/cm3の一定値と仮定して計算した。
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、G−B2(商標))を使用して、室温23±2℃におけるPO微多孔膜の透気度を測定した。透気度とは、100ccの空気が6.452cm2の試料面積を通過するのに要する時間(秒)を指す。
カトーテック製のハンディ圧縮試験器であるKES−G5(商標)を用いて、下記条件によりPO微多孔膜の突刺試験を行った。その時の最大突刺荷重(N)を測定し、突刺強度とした。
試料ホルダーの開口部の直径:11.3mm
針先端の曲率半径:0.5mm
突刺速度:2mm/sec
雰囲気温度:23±2℃
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに、それぞれ従うことが知られている。そこで、微多孔膜の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、微多孔膜の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに、それぞれ従うと仮定し、孔径d(μm)及び屈曲率τ(無次元)を、空気の透過速度定数Rgas(m3/(m2・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m3/(m2・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力Ps(=101325Pa)、気孔率ε(%)、及び膜厚L(μm)から、次式を用いて求めた。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×106
τ=(d×(ε/100)×ν/(3L×Ps×Rgas))1/2
ここで、Rgasは、透気度(sec)から次式を用いて求めた。
Rgas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは、透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))から次式を用いて求めた。
Rliq=透水度/100
なお、透水度は次のように求めた。室温23±2℃において、直径41mmのステンレス製の透液セルに、予めアルコールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のアルコールを水で洗浄した後、約50,000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した時の透水量(cm3)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは、気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、及び空気の平均分子量M(=2.896×10−2kg/mol)から、次式を用いて求めた。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
PO微多孔膜を、MD方向に100mm及びTD方向に100mmの大きさに切り取り、120℃のオーブン中に1時間静置した。この時、温風が直接サンプルに当たらないよう、サンプルを2枚の紙に挟んだ。サンプルをオーブンから取り出し、室温において20分冷却した後、長さ(mm)を測定し、以下の式にてMD及びTDの熱収縮率を算出した。
なお、サンプル長が確保できないものに関しては、可能な限り長いサンプルを用いて測定を行った。
120℃MD熱収縮率(%)=(100―加熱後のMDの長さ)/100×100
120℃TD熱収縮率(%)=(100―加熱後のTDの長さ)/100×100
カトーテック株式会社製、KES-SE摩擦試験機を用い、荷重50g、接触子面積10×10=100mm2(0.5mmφの硬質ステンレス線(SUS304製ピアノ線)20本巻きつけ)、接触子送りスピード1mm/sec、張力6kPa、温度23±2℃、及び相対湿度40%の条件下で、幅50mm×測定方向200mmのサイズのサンプルについて、TD方向に表裏各面の動摩擦係数を3回ずつ測定し、その平均を求めた。
a.正極の作製
正極活物質として数平均粒子径2μmのリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、導電助剤として数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFともいう。)を、LiCoO2:アセチレンブラック粉末:PVDF=86:7:7の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう。)を固形分68質量%となるように添加し、混合して、スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを57.0mm幅にスリットして正極を得た。
負極活物質として数平均粒子径10μmの人造グラファイトMCMB、及びバインダーとしてPVDFを、MCMB:PVDF=90:10の質量比で混合した。得られた混合物にNMPを固形分74質量%となるように添加し、混合して、スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを58.5mm幅にスリットして負極を得た。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1mol/リットルとなるように溶解させて、非水電解液を調製した。
正極、各実施例又は比較例で得たPO微多孔膜、及び負極を、この順に積層した後、常法により巻回電極体を作製した。なお、PO微多孔膜の厚みに応じて巻回数を調整した。得られた巻回電極体の最外周端部を絶縁テープの貼付により固定した。負極リードを電池缶に、正極リードを安全弁に、それぞれ溶接したうえで、該巻回電極体を電池缶の内部に挿入した(ここまでの、捲回電極体を電池缶内部に挿入したものを「電解液注液前の電池」と呼ぶ)。その後、非水電解液を電池缶内に5g注入し、ガスケットを介して蓋を電池缶にかしめることにより、外径18mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。
この円筒型二次電池を、25℃雰囲気下、0.2C(定格電気容量の1時間率(1C)の0.2倍の電流)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を絞り始める方法により、電池作成後の最初の充電を合計3時間行った。続いて0.2Cの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。引き続き、1.0Cの電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、更に4.2Vを保持するようにして電流値を絞り始める方法により、合計3時間充電を行った。その後、1.0Cの電流値で電池電圧3.0Vまで更に放電した時の放電容量を、1C放電容量(mAh)とした。
上記dで組み立てた電池を、25℃雰囲気下、1.0Cの電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、更に4.2Vを保持するようにして電流値を絞り始める方法により、合計3時間充電を行った。その後、2.0Cの電流値で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を、2C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する2C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=2C放電容量/1C放電容量×100
Mvが70万であるホモポリマーのポリエチレン(融点:135.5℃)45質量部と、Mvが30万であるホモポリマーのポリエチレン(融点:135.5℃)45質量部と、Mvが40万であるポリプロピレンとMvが15万であるポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたPO混合物99質量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量%、ポリマー濃度(以下、「PC」と略記することがある。)が35質量%となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、これらを二軸押出機内で溶融混練した。なお、溶融混練条件は、温度:230℃、スクリュー回転数:240rpm、及び吐出量:40kg/hとした。
続いて、得られた溶融混練物を、表面温度90℃に制御された冷却ロール上にT−ダイ経由で押出して接触させ、成形(cast)及び冷却固化することにより、シート状成形物である原反膜厚2,200μmのゲルシートを得た。
得られたゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸により一次延伸膜を得た。設定延伸条件は、MD倍率7倍、TD倍率7倍、及び二軸延伸温度123℃とした。
次いで、得られた一次延伸膜を塩化メチレン槽に導き、十分に浸漬して、可塑剤である流動パラフィンを抽出除去した後、塩化メチレンを乾燥除去し、多孔膜を得た。
得られた多孔膜を、MD一軸ロール延伸機に導き、二次延伸膜を得た。
この二次延伸の設定延伸条件は、MD3倍、延伸温度120℃、繰出し速度10m/min、及び延伸使用段数8段とした。各段の歪速度は、表1に示すとおりに設定した。
続いて、熱固定を行なうべく二次延伸膜をTDテンターに導いた。熱固定温度130℃、延伸倍率1.4倍の延伸操作の後、緩和率0.8倍の緩和操作を行った。得られたPO微多孔膜及びそれをセパレータとして備えた電池の各種特性を、上記方法により評価した。結果を表2に示す。
二次延伸時の繰出し速度、延伸使用段数、及び各段の歪速度を、それぞれ表1に示すように設定した以外は実施例1と同様にしてPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜、及び該微多孔膜をセパレータとして備えた電池の各種特性を、上記方法により評価した。
比較例4においては、二次延伸時の延伸応力に多孔膜が耐えられず破断したため、PO微多孔膜を得ることができなかった。
結果を表2に示す。
シート状成形物である原反膜厚が1100μmとなるよう調整してゲルシートを得、二次延伸を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてPO微多孔膜を得た。得られたPO微多孔膜、及び該微多孔膜をセパレータとして備えた電池の各種特性を、上記方法により評価した。結果を表2に示す。
Claims (5)
- (a)ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練して押出す押出工程、
(b)前記(a)工程で得られた押出物をシート状に成形するシート成形工程、
(c)前記(b)工程で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する一次延伸工程、
(d)前記(c)工程で得られた延伸シートから孔形成材料を抽出する抽出工程、及び
(e)前記(d)工程で得られたシートを、少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程
を含み、
前記孔形成材料が、可塑剤を含み、
前記(d)工程における抽出工程では、前記延伸シートから前記孔形成材料を、前記可塑剤に対して良溶媒で抽出し、
前記(e)工程における二次延伸工程は2段階以上の延伸段階から成り、
第2段階目以降の延伸段階における歪速度が、前段階における歪速度よりも小さいか、又は
各段階における歪速度が一定であり、かつ
各段階における歪速度は1%/秒以上301%/秒以下の範囲内であることを特徴とする、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。 - 前記(e)工程における二次延伸工程が2段階以上10段階以下の延伸段階から成る、請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 前記(e)工程における二次延伸工程が5段階以上10段階以下の延伸段階から成る、請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 前記(e)工程における二次延伸工程は、各延伸段階における歪速度が一定である、請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 前記(e)工程における二次延伸工程が、長手方向(MD)の延伸を少なくとも1回含む、請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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