JP2003082151A - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法及びその熱可塑性樹脂成形体からなる微多孔膜 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形体の製造方法及びその熱可塑性樹脂成形体からなる微多孔膜

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JP2003082151A JP2001270863A JP2001270863A JP2003082151A JP 2003082151 A JP2003082151 A JP 2003082151A JP 2001270863 A JP2001270863 A JP 2001270863A JP 2001270863 A JP2001270863 A JP 2001270863A JP 2003082151 A JP2003082151 A JP 2003082151A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜加工の際に添加した溶剤及び/又は可塑
剤の除去に用いた洗浄溶媒を除去する際、その拡散を抑
制しながら高速に、かつ熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつ
つ除去することが可能な熱可塑性樹脂成形体の製造方法
を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と溶剤とを溶融混練して得
られた溶液をダイより押し出し、冷却して得られたゲル
状成形物から残存する溶剤を洗浄溶媒により除去して被
洗浄成形物とした後、洗浄溶媒を除去する工程を含む熱
可塑性樹脂成形体の製造方法において、吸引力を作用さ
せ、被洗浄成形物から洗浄溶媒を吸引除去する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂成形
体の製造方法に関し、特に成膜加工の際に添加した溶剤
及び/又は可塑剤の除去に用いた洗浄溶媒を除去する
際、その拡散を抑制しながら高速に、かつ熱可塑性樹脂
の収縮を抑制しつつ除去することが可能な熱可塑性樹脂
成形体の製造方法、及びその熱可塑性樹脂成形体からな
る微多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性樹脂成形体は自動車の内装及び外装材料、電池用構成
部材等に使用されており、フィルムやシートを始めとす
る様々な形態がある。中でも熱可塑性樹脂微多孔膜(微
多孔膜)は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用
隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、
限外濾過膜及び精密濾過膜等の各種用途に幅広く用いら
れている。
【0003】このような熱可塑性樹脂成形体を製造する
際、特にフィルム製造時の成膜加工の際に溶剤や可塑剤
を添加することが多い。しかしながら微多孔膜のように
最終製品に溶剤や可塑剤が残留してはならない製品の場
合は、添加した溶剤や可塑剤を除去する必要がある。溶
剤や可塑剤の除去の際、通常は揮発性の洗浄溶媒を用い
て洗浄した後熱風乾燥をする。しかし熱風乾燥の際に熱
可塑性樹脂が収縮してしまい、所望の物性が得られず、
特に微多孔膜の場合は空孔が収縮してしまうために透過
率が低下するという問題があった。
【0004】このため従来は成膜加工後のゲル状の成形
体をテンターに固定した上で熱風乾燥するか、又は小径
多段加熱ロールに固定して乾燥する方法がとられてき
た。しかしテンター方式では、特に揮発性の高い塩化メ
チレンのような洗浄溶媒を乾燥する場合に膜の収縮力に
抗うことができるほどのグリップ力がなく、膜を十分に
保持できないという問題があった。また多段加熱ロール
を用いた場合には、膜のグリップ力を確保するためにロ
ールを小径にする必要があり、このためロール上におけ
る有効乾燥面積が小さい、ロール剛性低下によるベンデ
ィングが起る、ロールギャップにおいて膜が幅方向に収
縮する等の問題があった。よってこれらの方法は熱可塑
性樹脂の収縮を抑制しつつ高速に乾燥するには、必ずし
も適した方法ではなかった。また小径多段加熱ロールと
熱風乾燥を組み合せる方法もあるが、特に熱風乾燥を高
速で行った場合には揮発した洗浄溶媒の拡散が激しくな
るため、その回収が困難になるという問題があり、特に
塩化メチレンのような環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を
用いた場合に問題があった。
【0005】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
欠点を解消し、成膜加工の際に添加した溶剤及び/又は
可塑剤の除去に用いた洗浄溶媒を除去する際、その拡散
を抑制しながら高速に、かつ熱可塑性樹脂の収縮を抑制
しつつ除去することが可能な熱可塑性樹脂成形体の製造
方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂と溶剤とを溶融混
練して得られた溶液をダイより押し出し、冷却して得ら
れたゲル状成形物から残存する前記溶剤を洗浄溶媒によ
り除去して被洗浄成形物とした後(以下洗浄溶媒による
溶剤の除去を「洗浄」という)、前記洗浄溶媒を除去す
る工程を含む熱可塑性樹脂成形体の製造方法において、
吸引力を作用させ、前記被洗浄成形物から前記洗浄溶媒
を吸引除去することにより上記問題を解決できることを
見出し、本発明に想到した。
【0007】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂成形体の
製造方法は、洗浄溶媒を除去する工程において、吸引力
を作用させることを特徴とする。
【0008】吸引除去することにより、除去中の洗浄溶
媒の拡散を防止できるので、塩化メチレンのように環境
汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた場合には環境汚染防
止効果がある。吸引手段としては吸引ロールを用いるこ
とにより、熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつつ、かつ高速
に洗浄溶媒を吸引除去することが可能になる。吸引ロー
ルは不織布ロールが好ましい。不織布ロールはロール本
体外周面全域に渡り均一かつ有効な吸引機能を発揮する
上、吸引抵抗が大きいため、洗浄溶媒の吸引除去に好適
に使用することができる。吸引除去は洗浄溶媒に対する
貧溶媒中で行うことにより洗浄溶媒が貧溶媒とともに吸
引され、除去が効果的に行われる。この時、洗浄溶媒の
沸点以上の温度で行うことにより、洗浄溶媒が気化する
作用によって効果的に除去される。
【0009】本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法を
適用し、熱可塑性樹脂微多孔膜を製造する場合、熱可塑
性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を得るために、熱可塑
性樹脂は下記条件(1)〜(12)を満たすのが好ましい。 (1) ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
アリレンエーテル及びポリアリレンスルフィドからなる
群から選ばれた少なくとも一種である。 (2) 上記(1)に記載のポリオレフィンがポリエチレン又
はポリエチレン組成物である。 (3) 上記(2)に記載のポリエチレンの重量平均分子量が
1×104〜5×106である。 (4) 上記(2)に記載のポリエチレンの重量平均分子量が
1×105〜4×106である。 (5) 上記(2)〜(4)のいずれかに記載のポリエチレンが超
高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポ
リエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ば
れた少なくとも一種である。 (6) 上記(2)〜(5)のいずれかに記載のポリエチレンが重
量平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンであ
る。 (7) 上記(2)〜(6)のいずれかに記載のポリエチレンの重
量平均分子量/数平均分子量(以下、「Mw/Mn」と記載
する)が5〜300である。 (8) 上記(2)に記載のポリエチレン組成物が超高分子量
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少な
くとも二種からなる。 (9) 上記(2)又は(8)に記載のポリエチレン組成物が重量
平均分子量5×105以上の超高分子量ポリエチレンと重量
平均分子量1×104以上5×105未満の高密度ポリエチレ
ンを含む。 (10) 上記(2)、(8)、(9)に記載のポリエチレン組成物の
Mw/Mnが5〜300である。 (11) 上記(1)に記載のポリオレフィンが、上記(3)〜(7)
に記載のポリエチレン又は上記(8)〜(10)のいずれかに
記載のポリエチレン組成物に、シャットダウン機能(電
池内部の温度上昇時に、発火等の事故を防止するため、
微多孔膜が溶融して微多孔を目詰りさせて電流を遮断す
る機能)を付与するポリオレフィンとして分岐状低密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、シングルサ
イト触媒を用いて製造されたエチレン-α-オレフィン共
重合体、及び分子量1×103〜4×103の低分子量ポリエ
チレンからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加し
たポリオレフィン組成物である。 (12) 上記ポリオレフィンが、上記(3)〜(7)に記載のポ
リエチレン又は上記(8)〜(11)のいずれかに記載のポリ
エチレン組成物に、メルトダウン温度(熱可塑性微多孔
膜の破膜温度)を向上させるためのポリプロピレンを添
加したポリオレフィン組成物である。
【0010】溶融混練物調製時に用いた溶剤の除去には
洗浄溶媒を用いる。この時、25℃における表面張力が24
mN/m以下、好ましくは20mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を
用いるのが好ましい。これにより特に熱可塑性樹脂微多
孔膜を製造する場合に、その空孔率、透過性及び寸法安
定性が向上する。これは洗浄溶媒(A)を用いることによ
り、洗浄工程及び/又は洗浄溶媒除去工程において、洗
浄溶媒の表面張力によって網状組織が収縮緻密化するの
を抑制することができるためと推定している。洗浄は二
段階以上の工程により行うのが好ましく、この時少なく
とも最終段階の工程で洗浄溶媒(A)を用いるのが好まし
い。これにより洗浄効果が向上する。なお洗浄溶媒(A)
はその表面張力が24mN/m以下になる温度範囲内で用いる
のが好ましい。
【0011】熱可塑性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を
得るために、洗浄溶媒(A)は下記条件(13)〜(19)を満た
すのが好ましい。 (13) 表面張力が25℃において20mN/m以下になる。 (14) ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエ
ーテル、環状ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロ
カーボン、パーフルオロエーテル、炭素数5〜10のノル
マルパラフィン、炭素数6〜10のイソパラフィン、炭素
数6以下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロ
パラフィン、2-ペンタノン、メタノール、エタノール、
1-プロパノール、2-プロパノール、ターシャリーブタノ
ール、イソブタノール、2-ペンタノール、酢酸プロピ
ル、酢酸ターシャリーブチル、酢酸セカンダリーブチ
ル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、
ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソ
ブチル及びプロピオン酸エチルからなる群から選ばれた
少なくとも一種である。 (15) C5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロ
カーボン、C4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示される
ハイドロフルオロエーテル、C5H3F7の組成式で示される
環状ハイドロフルオロカーボン、C6F14及び C7F16の組
成式で示されるパーフルオロカーボン、並びにC4F9OCF3
及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテ
ルからなる群から選ばれた少なくとも一種のフッ素系化
合物である。 (16) ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマル
ヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノル
マルデカンからなる群から選ばれた少なくとも一種のノ
ルマルパラフィンである。 (17) 2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブ
チルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、
3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペ
ンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタ
ン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタン、
2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘ
キサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサ
ン、3,4-ジメチルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタ
ン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,3-トリメチルペン
タン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルオクタン、
2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサ
ン、2-メチルノナン及び2,3,5-トリメチルヘプタンから
なる群から選ばれた少なくとも一種のイソパラフィンで
ある。 (18) ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジプ
ロピルエーテル及びジイソプロピルエーテルからなる群
から選ばれた少なくとも一種のエーテルである。 (19) 25℃において表面張力が24mN/m以下になるように
配合した炭素数3以下の脂肪族アルコールと水との混合
物からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0012】洗浄は二段階以上の工程により行うのが好
ましく、その場合は洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄
溶媒(B))を用いる段階が入ってもよい。この時最終段
階の工程において洗浄溶媒(A)を用いるのが好ましい。
洗浄溶媒(B)としては、易揮発性溶媒及び沸点100℃以上
かつ引火点0℃以上の非水系溶媒からなる群から選ばれ
た少なくとも一種を用いるのが好ましい。
【0013】熱可塑性樹脂微多孔膜が一層優れた特性を
得るために、洗浄溶媒(B)は、下記条件(20)〜(32)を満
たすのが好ましい。 (20) 塩化メチレン、四塩化炭素、三フッ化エタン、メ
チルエチルケトン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジ
エチルエーテル及びジオキサンからなる群から選ばれた
少なくとも一種である。 (21) 炭素数8以上のノルマルパラフィン、水素原子の
少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以
上のノルマルパラフィン、炭素数8以上のイソパラフィ
ン、炭素数7以上のシクロパラフィン、水素原子の少な
くとも一部がハロゲン原子で置換された炭素数5以上の
シクロパラフィン、炭素数7以上の芳香族炭化水素、水
素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された炭
素数6以上の芳香族炭化水素、水素原子の一部がハロゲ
ン原子で置換されることのある炭素数5〜10のアルコー
ル、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることの
ある炭素数7〜14のエステル及びエーテル、並びに炭素
数5〜10のケトンからなる群から選ばれた少なくとも一
種である。 (22) 上記炭素数8以上のノルマルパラフィンは、その
炭素数が8〜12であり、より好ましくはノルマルオクタ
ン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデ
カン及びノルマルドデカンからなる群から選ばれた少な
くとも一種である。 (23) 上記水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で
置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンは、1-ク
ロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘプタン、
1-クロロオクタン、1-ブロモペンタン、1-ブロモヘキサ
ン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1,5-ジクロ
ロペンタン、1,6-ジクロロヘキサン及び1,7-ジクロロヘ
プタンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。 (24) 上記炭素数8以上のイソパラフィンは、2,3,4-ト
リメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,5-
トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2,3,
5-トリメチルヘプタン及び2,5,6-トリメチルオクタンか
らなる群から選ばれた少なくとも一種である。 (25) 上記炭素数7以上のシクロパラフィンは、シクロ
ヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、シ
ス-及びトランス-1,2-ジメチルシクロヘキサン、シス-
及びトランス-1,3-ジメチルシクロヘキサン、並びにシ
ス-及びトランス-1,4-ジメチルシクロヘキサンからなる
群から選ばれた少なくとも一種である。 (26) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された
炭素数5以上のシクロパラフィンは、クロロシクロペン
タン及びクロロシクロヘキサンからなる群から選ばれた
少なくとも一種である。 (27) 上記炭素数7以上の芳香族炭化水素は、トルエ
ン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンか
らなる群から選ばれた少なくとも一種である。 (28) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換された
炭素数6以上の芳香族炭化水素は、クロロベンゼン、2-
クロロトルエン、3-クロロトルエン、4-クロロトルエ
ン、3-クロロオルトキシレン、4-クロロオルトキシレ
ン、2-クロロメタキシレン、4-クロロメタキシレン、5-
クロロメタキシレン及び2-クロロパラキシレンからなる
群から選ばれた少なくとも一種である。 (29) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換される
ことのある炭素数5〜10のアルコールは、イソペンチル
アルコール、ターシャリーペンチルアルコール、シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブ
タノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピ
レングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1
-ペンタノールからなる群から選ばれた少なくとも一種
である。 (30) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換される
ことのある炭素数7〜14のエステルは、炭酸ジエチル、
マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノル
マルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチ
ル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エ
チル、ノルマル吉草酸エチル及び酢酸2-クロロエチルか
らなる群から選ばれた少なくとも一種である。 (31) 上記水素原子の一部がハロゲン原子で置換される
ことのある炭素数7〜14のエーテルは、ノルマルブチル
エーテル、ジイソブチルエーテル及びビスクロロエチル
エーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種であ
る。 (32) 上記炭素数5〜10のケトンは、2-ぺンタノン、3-
ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、シクロペン
タノン及びシクロヘキサノンからなる群から選ばれた少
なくとも一種である。
【0014】洗浄において洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶
媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて三段階以上の多段階処理
を行ってもよく、この場合三段〜五段階の工程で行うの
が好ましい。
【0015】洗浄溶媒(B)に任意成分(C)として、例えば
C5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカー
ボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示され
るハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で
示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14
及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、
並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示され
るパーフルオロエーテルからなる群から選ばれた少なく
とも一種の溶媒を混合したものを使用してもよい。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法を
熱可塑性樹脂微多孔膜の製造に適用した場合、微多孔膜
の物性は、空孔率が25〜80 %、透気度が10 〜2000秒/1
00cc(膜厚30μm換算)である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明を適用して製造される熱可
塑性樹脂成形体には特に制限はなく、フィルム、シー
ト、微多孔膜等が挙げられる。以下本発明について熱可
塑性樹脂微多孔膜を製造する例を挙げて説明する。 [1] 熱可塑性樹脂 本発明の熱可塑性樹脂微多孔膜の製造に使用できる熱可
塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリアリレンエーテル及びポリアリレンスル
フィドが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。
ポリオレフィンとしては単独のポリオレフィン(混合物
でないもの)でも、二種以上のポリオレフィンからなる
ポリオレフィン組成物のどちらでもよい。
【0018】単独のポリオレフィンの場合はポリエチレ
ンが好ましい。ポリエチレンの重量平均分子量に特に制
限はないが、通常は1×104〜1×107であり、好ましく
は1×104〜5×106であり、より好ましくは1×105
4×106である。
【0019】ポリエチレンの種類としては、超高分子量
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン及び低密度ポリエチレンが挙げられる。中でも超高分
子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレン
の重量平均分子量は5×105以上が好ましく、1×106〜1
5×106がより好ましく、1×106〜5×106が特に好まし
い。重量平均分子量を15×106以下にすることにより、
溶融押出を容易にすることができる。ポリエチレンはエ
チレンの単独重合体のみならず、他のα-オレフィンを
少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外の
他のα-オレフィンとしてはプロピレン、ブテン-1、ヘ
キセン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテ
ン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が好
適である。
【0020】ポリエチレンの分子量分布Mw/Mnは限定的
でないが、5〜300が好ましく、10〜100がより好まし
い。Mw/Mnが5未満では高分子量成分が多くなり過ぎて
溶融押出が困難になり、Mw/Mnが300を超えると低分子
量成分が多くなり過ぎるために強度の低下を招く。Mw/
Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、こ
の値が大きいほど分子量分布の幅は拡大する。すなわち
単独のポリオレフィンの場合、Mw/Mnはその分子量分布
の広がりを示し、その値が大きいほど分子量分布は広が
っている。Mw/Mnはポリエチレンを多段重合により調製
することにより適宜調整することができる。多段重合法
としては、一段目で高分子量成分を重合し、次いで二段
目で低分子量成分を重合する二段重合が好ましい。
【0021】ポリオレフィンとしては二種以上のポリエ
チレンを混合したポリエチレン組成物を用いてもよい。
すなわち二種以上の重量平均分子量の異なる超高分子量
ポリエチレン同士、二種以上の重量平均分子量の異なる
高密度ポリエチレン同士、二種以上の重量平均分子量の
異なる中密度ポリエチレン同士、及び二種以上の重量平
均分子量の異なる低密度ポリエチレン同士を用いてもよ
いし、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群
から二種以上選ばれたポリエチレンを混合しても何ら差
し支えない。中でも重量平均分子量5×105以上の超高分
子量ポリエチレンと重量平均分子量1×104以上5×105
満のポリエチレンとからなるポリエチレン組成物が好ま
しい。重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチ
レンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン及び低密度ポリエチレンのいずれも用いることができ
るが、特に高密度ポリエチレンを用いるのが好ましい。
なお重量平均分子量1×104以上5×105未満のポリエチレ
ンは分子量の異なるものを二種以上用いてもよいし、種
類(密度)の異なるものを二種以上用いてもよい。また
ポリオレフィン組成物の重量平均分子量の上限は、15×
106以下にすることにより溶融押出を容易にすることが
できる。ポリオレフィン組成物中における重量平均分子
量5×105以上のポリエチレンの含有量は、ポリオレフィ
ン組成物全体を100重量%として21重量%以上であるの
が好ましく、21〜50重量%であるのがより好ましい。
【0022】ポリオレフィン組成物のMw/Mnは、5〜300
が好ましく、10〜100がより好ましい。Mw/Mnが5未満で
は高分子量成分が多くなり過ぎて溶融押出が困難にな
り、Mw/Mnが300を超えると低分子量成分が多くなり過
ぎるために強度の低下を招く。ポリオレフィン組成物の
場合、Mw/Mnが大きいほど、配合する各ポリオレフィン
の重量平均分子量の差が大きく、また小さいほど重量平
均分子量の差が小さい。Mw/Mnはポリオレフィン組成物
中の各成分の分子量や混合割合を調整することにより適
宜調整することができる。
【0023】電池用セパレーターに用いる場合、メルト
ダウン温度(熱可塑性微多孔膜の破膜温度)を向上させ
るため、ポリオレフィン組成物はポリプロピレンを含む
のが好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量は1×1
04〜4×106が好ましい。ポリプロピレンとしては、単
独重合体の他にブロック共重合体及び/又はランダム共
重合体も使用することができる。ブロック共重合体及び
ランダム共重合体は、プロピレン以外の他のα-オレフ
ィンとの共重合成分を含有することができ、他のα-オ
レフィンとしてはエチレンが好ましい。ポリプロピレン
の添加量はポリオレフィン組成物全体を100重量部とし
て80重量部以下とするのが好ましい。
【0024】電池用セパレーター用途としての特性を向
上させるため、ポリオレフィン組成物はシャットダウン
機能を付与するポリオレフィンを含むのが好ましい。シ
ャットダウン機能を付与するポリオレフィンとして前述
の低密度ポリエチレンを用いることができる。低密度ポ
リエチレンは、分岐状の低密度ポリエチレン(LDPE)、
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト触
媒により製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体
からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。ま
たシャットダウン機能を付与するポリオレフィンとし
て、重量平均分子量1×103〜4×103の低分子量ポリエチ
レンを添加してもよい。但しその添加量が多いと延伸す
る場合に破断が起こり易くなるので、その添加量は熱可
塑性樹脂全体を100重量部としてその20重量部以下にす
るのが好ましい。
【0025】なお超高分子量ポリエチレンを含むポリオ
レフィン組成物としては、上記重量平均分子量1×104
上5×105未満のポリエチレン、上記メルトダウン温度向
上用ポリプロピレン、及び上記シャットダウン機能を付
与するポリオレフィンの他に、重量平均分子量1×104
4×106のポリブテン-1、重量平均分子量1×103〜1×1
04のポリエチレンワックス、及び重量平均分子量1×104
〜4×106のエチレン・α-オレフィン共重合体からなる
群から選ばれた少なくとも一種のポリオレフィンを添加
したポリオレフィン組成物も用いることができる。この
ように超高分子量ポリエチレンに他のポリオレフィンを
添加したポリオレフィン組成物とする場合、他のポリオ
レフィンの添加量はポリオレフィン組成物全体を100重
量部として80重量部以下とするのが好ましい。
【0026】[2] 熱可塑性樹脂微多孔膜の製造方法 熱可塑性樹脂微多孔膜の製造方法は、(a) 上記熱可塑性
樹脂に溶剤を添加して溶融混練し、熱可塑性樹脂溶液を
調製する工程、(b) 熱可塑性樹脂溶液をダイリップより
押し出し、冷却してゲル状成形物を形成する工程、(c)
ゲル状成形物から溶剤除去する工程、及び(d) 得られた
膜から洗浄溶媒を除去する工程を含む。更に、(a)〜(d)
の工程の後、必要に応じて、(e) 電離放射による架橋処
理、(f)熱処理、及び(g) 親水化処理等を行ってもよ
い。また(d)工程の前後に、必要に応じて延伸する工程
を入れてもよい。
【0027】(a) 熱可塑性樹脂溶液の調製工程 まず熱可塑性樹脂に適当な溶剤を添加して溶融混練し、
熱可塑性樹脂溶液を調製する。該熱可塑性樹脂溶液には
必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッ
キング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を本
発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
例えば、孔形成剤として微粉珪酸を添加することができ
る。
【0028】溶剤としては液体溶剤及び固体溶剤のいず
れも使用できる。液体溶剤としてはノナン、デカン、デ
カリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パ
ラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこ
れらに対応する鉱油留分が挙げられる。溶剤含有量が安
定なゲル状成形物を得るためには、流動パラフィンのよ
うな不揮発性の液体溶剤を用いるのが好ましい。固体溶
剤は融点が80 ℃以下のものが好ましく、このような固
体溶剤としてパラフィンワックス、セリルアルコール、
ステアリルアルコール、ジシクロヘキシルフタレート等
が挙げられる。液体溶剤と固体溶剤を適宜混合して使用
してもよい。
【0029】液体溶剤の粘度は25℃において30〜500cSt
であるのが好ましく、50〜200cStであるのがより好まし
い。25℃における粘度が30cSt未満では不均一なダイリ
ップからの吐出を生じ、混練が困難であり、また500cSt
を超えると溶剤除去が困難になる。
【0030】溶融混練の方法は特に限定されないが、通
常は押出機中で均一に混練することにより行う。この方
法は熱可塑性樹脂の高濃度溶液を調製するのに適する。
溶融温度は熱可塑性樹脂の融点+10℃〜+100℃が好ま
しいため、140〜230℃であるのが好ましく、170〜200℃
であるのがより好ましい。ここで融点とはJIS K7121に
基づいて示差走査熱量測定(DSC)により求められる値
を言う。溶剤は混練開始前に添加しても、混練中に押出
機の途中から添加してもよいが、混練開始前に添加して
予め溶液化するのが好ましい。溶融混練にあたっては熱
可塑性樹脂の酸化を防止するために酸化防止剤を添加す
るのが好ましい。
【0031】熱可塑性樹脂溶液中、熱可塑性樹脂と溶剤
との配合割合は、両者の合計を100重量%として、熱可
塑性樹脂が1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%であ
る。熱可塑性樹脂が1重量%未満ではゲル状成形物を形
成する際にダイス出口でスウェルやネックインが大きく
なり、ゲル状成形物の成形性及び自己支持性が低下す
る。一方50重量%を超えるとゲル状成形物の成形性が低
下する。
【0032】(b) ゲル状成形物の形成工程 溶融混練した熱可塑性樹脂溶液を直接に又は別の押出機
を介して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押
出機を介してダイリップから押し出す。ダイリップとし
ては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイリッ
プを用いるが、二重円筒状の中空状ダイリップ、インフ
レーションダイリップ等も用いることができる。シート
用ダイリップの場合、ダイリップのギャップは通常0.1
〜5mmであり、押し出し時には140〜250℃に加熱する。
加熱溶液の押し出し速度は0.2〜15m/分であるのが好ま
しい。
【0033】このようにしてダイリップから押し出した
溶液を冷却することによりゲル状成形物を形成する。冷
却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速
度で行うのが好ましく、25℃以下まで冷却するのが好ま
しい。このようにして相分離構造を固定化することがで
きる。一般に冷却速度が遅いと得られるゲル状成形物の
高次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞単位も大
きなものとなるが、冷却速度が速いと密な細胞単位とな
る。冷却速度が50℃/分未満では結晶化度が上昇し、延
伸に適したゲル状成形物となりにくい。冷却方法として
は冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方
法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いる
ことができる。
【0034】(c) ゲル状成形物の延伸・溶剤除去工程 熱可塑性樹脂微多孔膜が使用される目的によっては、必
要に応じてゲル状成形物を延伸する。延伸を行う場合
は、ゲル状成形物を加熱後、通常のテンター法、ロール
法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組
合せによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二
軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。また二軸延伸
の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでもよい
が、特に同時二軸延伸が好ましい。延伸により機械的強
度が向上する。
【0035】延伸倍率はゲル状成形物の厚みによって異
なるが、一軸延伸では2倍以上が好ましく、3〜30倍が
より好ましい。二軸延伸ではいずれの方向でも少なくと
も3倍以上とし、面倍率で9倍以上とすることにより、
突刺強度を向上させることができるため好ましい。面倍
率が9倍未満では延伸が不十分で高弾性及び高強度の熱
可塑性樹脂微多孔膜が得られない。一方面倍率が400倍
を超えると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じ
る。
【0036】延伸温度は熱可塑性樹脂の融点+10℃以下
にするのが好ましく、結晶分散温度から結晶融点未満の
範囲にするのがより好ましい。延伸温度が融点+10℃を
超えると樹脂が溶融し、延伸による分子鎖の配向ができ
ない。また延伸温度が結晶分散温度未満では樹脂の軟化
が不十分で、延伸において破膜しやすく、高倍率の延伸
ができない。本発明では延伸温度を通常100〜140℃、好
ましくは110〜120℃にする。ここで結晶分散温度とは、
ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定によ
り求められる値を言う。延伸を行う場合、溶剤の除去は
延伸前及び/又は延伸後に行うことができるが、延伸後
に行うのが好ましい。
【0037】溶剤の除去(洗浄)には洗浄溶媒を用い
る。この時、25℃における表面張力が24mN/m以下、好ま
しくは20mN/m以下になる洗浄溶媒(A)を用いるのが好ま
しい。洗浄溶媒(A)は熱可塑性樹脂とは相溶しないもの
が好ましい。このような洗浄溶媒(A)を用いることによ
り、洗浄後の乾燥時に微多孔内部で生じる気―液界面の
表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制する
ことができる。その結果、微多孔膜の空孔率/透過性を
向上させることができる。なお洗浄溶媒の表面張力は、
その使用温度を上げるに従い低くすることができるが、
使用できる温度範囲は沸点以下に限られる。また本願明
細書において、「表面張力」とは気体と液体との界面に
生じる張力を言い、JIS K 3362に基づいて測定したもの
である。
【0038】洗浄溶媒(A)としてはハイドロフルオロカ
ーボン、ハイドロフルオロエーテル、環状ハイドロフル
オロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエ
ーテル等のフッ素系化合物、炭素数5〜10のノルマルパ
ラフィン、炭素数6〜10のイソパラフィン、炭素数6以
下の脂肪族エーテル、シクロペンタン等のシクロパラフ
ィン、2-ペンタノン等の脂肪族ケトン、メタノール、エ
タノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ターシャ
リーブタノール、イソブタノール、2-ペンタノール等の
脂肪族アルコール、酢酸プロピル、酢酸ターシャリーブ
チル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸エチル、酢酸イソ
プロピル、酢酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、
ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸エチ
ルの脂肪族エステル等を挙げることができる。
【0039】フッ素系化合物としては、例えばC5H2F10
の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカーボン、例
えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイド
ロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式で示される
環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F14及び C7F
16の組成式で示されるパーフルオロカーボン、並びに例
えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフ
ルオロエーテルからなる群から選ばれた少なくとも一種
が好ましい。これらフッ素系化合物は20℃において表面
張力が24mN/m以下であるため、表面張力による網状組織
の収縮緻密化を抑制する効果が高い。また沸点が100℃
以下であるため洗浄溶媒を除去する際に容易である。更
にオゾン破壊性が無いため環境への負荷が低減でき、且
つ引火点が40℃以上である(一部の化合物は引火点が無
い)ため乾燥工程中の引火爆発の危険性が低い。
【0040】炭素数5〜10のノルマルパラフィンとして
はノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプ
タン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマル
デカンが好ましい。これらは表面張力が20℃において24
mN/m以下である。この中では、沸点が100℃以下であ
り、乾燥が容易であるノルマルペンタン、ノルマルヘキ
サン及びノルマルヘプタンがより好ましい。
【0041】炭素数6〜10のイソパラフィンとしては2-
メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジブチルブタ
ン、2,3-ジブチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチル
ヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、
2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジ
メチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルヘ
プタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,
3-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメ
チルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリ
メチルペンタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,3,4-ト
リメチルペンタン、2-メチルオクタン、2,2,5-トリメチ
ルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサン、2-メチルノナ
ン及び2,3,5-トリメチルヘプタンが好ましい。この中で
は表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点
が100℃以下である2-メチルペンタン、3-メチルペンタ
ン、2,2-ジブチルブタン、2,3-ジブチルブタン、2-メチ
ルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,
2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメ
チルペンタン及び3,3-ジメチルペンタンがより好まし
い。
【0042】炭素数6以下のエーテルとしてはジエチル
エーテル、ブチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル
及びジイソプロピルエーテルが好ましい。これらはその
表面張力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が
100℃以下である。
【0043】シクロペンタン、メタノール、エタノー
ル、1-プロパノール及び2-プロパノールは、その表面張
力が20℃において24mN/m以下であり、かつ沸点が100℃
以下であるため好ましい。
【0044】上記脂肪族エステルの中では、表面張力が
20℃において24mN/m以下である酢酸ターシャリーブチ
ル、酢酸セカンダリーブチル、酢酸イソプロピル、酢酸
イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソ
ブチルが好ましい。更に沸点が100℃以下であるが酢酸
ターシャリーブチル、ギ酸エチル及びギ酸イソプロピル
がより好ましい。
【0045】洗浄溶媒(A)としては、25℃において表面
張力が24mN/m以下になるように配合した炭素数3以下の
脂肪族アルコールと水との混合物を用いることもでき
る。
【0046】上述の洗浄溶媒(A)は、他の溶媒との混合
物として使用することができる。この場合、その混合比
率は25℃において表面張力が24mN/m以下になるようにす
る。例えばC5H2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフ
ルオロカーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成
式で示されるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7
の組成式で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例
えばC6F14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロ
カーボン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成
式で示されるパーフルオロエーテルからなる群から選ば
れた少なくとも一種の溶媒とパラフィン等の炭化水素系
溶媒との混合物を使用することができる。
【0047】洗浄は二段階以上の工程で行うのが好まし
く、洗浄溶媒(A)以外の洗浄溶媒(洗浄溶媒(B))を用い
る段階が入ってもよい。この場合は少なくとも一つの段
階において洗浄溶媒(A)を用いればよい。洗浄溶媒(B)と
しては、熱可塑性樹脂とは相溶性を有しないものが好ま
しく、例えば洗浄溶媒として公知のペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素
等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水
素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチ
ルエチルケトン等の易揮発性溶媒が使用できる。また沸
点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒を用いる
こともできる。上述のような洗浄溶媒(B)は、ポリオレ
フィン組成物の溶解に用いた溶剤に応じて適宜選択し、
単独もしくは混合して用いる。
【0048】このような二段階以上の洗浄工程により、
洗浄溶媒の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化
を抑制しつつ、十分な洗浄を行うことができる。好まし
くは、少なくとも最終段階の工程において洗浄溶媒(A)
で処理する。これにより洗浄溶媒(B)を用いた場合に該
洗浄溶媒(B)を除去でき(以下「リンス処理」とい
う)、洗浄後の洗浄溶媒除去時に起る網状組織の収縮緻
密化を防ぐことができる。その結果、熱可塑性樹脂微多
孔膜の空孔率/透過性の向上に効果がある。
【0049】最終段階の工程において洗浄溶媒(A)で処
理する際、特に沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)で処理すれ
ば洗浄溶媒除去工程の効率が向上する。更に上述の例え
ばC5H 2F10の組成式で示される鎖状ハイドロフルオロカ
ーボン、例えばC4F9OCH3及びC4F9OC2H5の組成式で示さ
れるハイドロフルオロエーテル、例えばC5H3F7の組成式
で示される環状ハイドロフルオロカーボン、例えばC6F
14及び C7F16の組成式で示されるパーフルオロカーボ
ン、並びに例えばC4F9OCF3及びC4F9OC2F5の組成式で示
されるパーフルオロエーテル等のフッ素系化合物を用い
ると、前述のように製造工程における環境への負荷をよ
り低くできる効果もある。特に洗浄溶媒(B)として沸点1
50℃以上の溶媒を用いる場合はその除去に時間がかか
り、その影響で空孔率/透気性が低下する恐れがある
が、沸点100℃以下の洗浄溶媒(A)を用いることによりそ
の問題を解消することができる。
【0050】洗浄溶媒(B)として用いることができる沸
点100℃以上かつ引火点0℃以上の非水系溶媒は難揮発
性であり、環境への負荷が低く、洗浄溶媒除去工程にお
いて引火爆発する危険性が低いため使用上安全である。
また高沸点であるため凝縮しやすく、回収が容易とな
り、リサイクル利用し易い。なお本願明細書において
「沸点」とは、1.01×105Paにおける沸点を言い、「引
火点」とは、JIS K 2265に基づいて測定したものを言
う。
【0051】上記非水系溶媒として、例えば沸点100℃
以上かつ引火点0℃以上のパラフィン系化合物、芳香
族、アルコール、エステル、エーテル、ケトン等が挙げ
られる。またその引火点について、好ましくは5℃以上
であり、より好ましくは40℃以上である。しかし非水系
溶媒を水溶液化するのは、溶剤の除去を十分に行うこと
ができないため好ましくない。
【0052】非水系溶媒としては、炭素数8以上のノル
マルパラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン
原子で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィン、
炭素数8以上のイソパラフィン、炭素数7以上のシクロ
パラフィン、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のシクロパラフィン、炭素数
7以上の芳香族炭化水素、水素原子の少なくとも一部が
ハロゲン原子で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水
素、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されることの
ある炭素数5〜1Oのアルコール、水素原子の一部がハロ
ゲン原子で置換されることのある炭素数7〜14のエステ
ル及びエーテル、並びに炭素数5〜10のケトンからなる
群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
【0053】炭素数8以上のノルマルパラフィンとして
は、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカ
ン、ノルマルウンデカン及びノルマルドデカンが好まし
く、ノルマルオクタン、ノルマルノナン及びノルマルデ
カンがより好ましい。
【0054】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のノルマルパラフィンとして
は、1-クロロペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロヘ
プタン、1-クロロオクタン、1-ブロモペンタン、1-ブロ
モヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1,
5-ジクロロペンタン、1,6-ジクロロヘキサン、1,7-ジク
ロロヘプタンが好ましく、1-クロロペンタン、1-クロロ
ヘキサン、1-ブロモペンタン及び1-ブロモヘキサンがよ
り好ましい。
【0055】炭素数8以上のイソパラフィンとしては2,
3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルペンタン、
2,2,5-トリメチルヘキサン、2,3,5-トリメチルヘキサ
ン、2,3,5-トリメチルヘプタン、2,5,6-トリメチルオク
タンが好ましく、2,3,4-トリメチルペンタン、2,2,3-ト
リメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン及び2,3,
5-トリメチルヘキサンがより好ましい。
【0056】炭素数7以上のシクロパラフィンとして
は、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘ
キサン、シス-及びトランス-1,2-ジメチルシクロヘキサ
ン、シス-及びトランス-1,3-ジメチルシクロヘキサン、
並びにシス-及びトランス-1,4-ジメチルシクロヘキサン
が好ましく、シクロヘキサンがより好ましい。
【0057】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数5以上のシクロパラフィンとして
は、クロロシクロペンタン及びクロロシクロヘキサンが
好ましく、クロロシクロペンタンがより好ましい。
【0058】炭素数7以上の芳香族炭化水素としては、
トルエン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシ
レンが好ましく、トルエンがより好ましい。
【0059】水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子
で置換された炭素数6以上の芳香族炭化水素としてはク
ロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン、
4-クロロトルエン、3-クロロオルトキシレン、4-クロロ
オルトキシレン、2-クロロメタキシレン、4-クロロメタ
キシレン、5-クロロメタキシレン及び2-クロロパラキシ
レンが好ましく、クロロベンゼン、2-クロロトルエン、
3-クロロトルエン及び4-クロロトルエンがより好まし
い。
【0060】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数5〜10のアルコールとしては、イソ
ペンチルアルコール、ターシャリーペンチルアルコー
ル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、3-メト
キシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノー
ル、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル及び
5-クロロ-1-ペンタノールが好ましく、3-メトキシ-1-ブ
タノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピ
レングリコールノルマルブチルエーテル及び5-クロロ-1
-ペンタノールがより好ましい。
【0061】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数7〜14のエステルとしては炭酸ジエ
チル、マレイン酸ジエチル、酢酸ノルマルプロピル、酢
酸ノルマルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシ
ブチル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪
酸エチル、ノルマル吉草酸エチル、酢酸2-クロロエチル
が好ましく、酢酸イソペンチル、酢酸3-メトキシブチ
ル、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル、ノルマル酪酸エ
チル及び酢酸2-クロロエチルがより好ましい。
【0062】水素原子の一部がハロゲン原子で置換され
ることのある炭素数7〜14のエーテルとしてはジプロピ
レングリコールジメチルエーテル、ノルマルブチルエー
テル、ジイソブチルエーテル、ビスクロロエチルエーテ
ルが好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエーテ
ル及びビスクロロエチルエーテルがより好ましい。
【0063】炭素数5〜10のケトンとしては2-ぺンタノ
ン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、シク
ロペンタノン及びシクロヘキサノンが好ましく、2-ペン
タノン及び3-ペンタノンがより好ましい。
【0064】上述のような洗浄溶媒(B)は混合物として
用いてもよいが、洗浄溶媒(B)に、任意成分(C)として、
洗浄溶媒(A)として挙げた例えばC5H2F10の組成式で示さ
れる鎖状ハイドロフルオロカーボン、例えばC4F9OCH3
びC4F9OC2H5の組成式で示されるハイドロフルオロエー
テル、例えばC5H3F7の組成式で示される環状ハイドロフ
ルオロカーボン、例えばC6F14又は C7F16の組成式で示
されるパーフルオロカーボン、並びに例えばC4F9OCF3
びC4F9OC2F5の組成式で示されるパーフルオロエーテル
からなる群から少なくとも一種選ばれた溶媒を混合した
ものを使用してもよい。この場合、洗浄溶媒(B)と任意
成分(C)は、表面張力が20〜80℃のいずれかの温度にお
いて24mN/m以下になる割合で混合するのが好ましく、具
体的には、混合溶媒100重量部中において任意成分(C)を
2〜98重量部、好ましくは5〜50重量部にする。任意成
分(C)を2〜98重量部含むことにより、洗浄溶媒の表面
張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制しつつ、
十分な洗浄を行うことができる。
【0065】洗浄溶媒(B)は、その表面張力が20〜80℃
のいずれかの温度において24mN/m以下になるものを用い
るのが好ましい。例えば、ノルマルペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、三フッ化エタン、ジエチルエーテル、2-
メチルペンタン、3-メチルペンタン、シクロヘキサン、
シクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン等であ
る。
【0066】ここで洗浄の第一段階で使用する洗浄溶媒
(B)と第二段階で使用する洗浄溶媒(A)との組合せとして
好ましいものを示す。但し後述するように洗浄溶媒(A)
及び洗浄溶媒(B)を用いる洗浄は三段階以上で行うこと
も可能であるため、これらは二段階で行うことに限定す
る趣旨ではない。例えば、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=
塩化メチレン/C4F9OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化
メチレン/C7F16、塩化メチレン/ノルマルヘプタン、
塩化メチレン/ノルマルヘキサン、塩化メチレン/ジエ
チルエーテル、エーテル/ハイドロフルオロエーテル、
エーテル/環状ハイドロフルオロカーボン、エーテル/
アルコール、エーテル/アルコールと水との混合物、ノ
ルマルパラフィン/ハイドロフルオロエーテル、ノルマ
ルパラフィン/環状ハイドロフルオロカーボン、ノルマ
ルパラフィン/アルコール、ノルマルパラフィン/アル
コールと水との混合物、イソパラフィン/ハイドロフル
オロエーテル、イソパラフィン/環状ハイドロフルオロ
カーボン、イソパラフィン/アルコール、イソパラフィ
ン/アルコールと水との混合物、シクロパラフィン/ハ
イドロフルオロエーテル、シクロパラフィン/環状ハイ
ドロフルオロカーボン、シクロパラフィン/アルコー
ル、シクロパラフィン/アルコールと水との混合物、ケ
トン/ハイドロフルオロエーテル、ケトン/環状ハイド
ロフルオロカーボン、ケトン/アルコール、及びケトン
/アルコールと水との混合物が挙げられる。より好まし
くは、洗浄溶媒(B)/洗浄溶媒(A)=塩化メチレン/C4F9
OCH3、塩化メチレン/C6F14、塩化メチレン/C7F16、塩
化メチレン/ノルマルヘプタン、塩化メチレン/ノルマ
ルヘキサン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、ノルマ
ルヘプタン/C4F9OCF3、及びノルマルヘプタン/C6F14
である。このような組合せのものを用いることにより、
溶剤の除去を効果的に行いつつ、微多孔膜の空孔率/透
過率の向上させることができる。
【0067】洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶媒(A)及び洗浄
溶媒(B)による洗浄は三段階以上の工程で行ってもよ
い。一段階又は二段階の処理では溶剤を十分除去するこ
とができずに、得られる熱可塑性樹脂微多孔膜の物性が
低下する場合等に有効である。この場合少なくとも最終
工程において洗浄溶媒(A)を用いて処理すればよく、特
に洗浄回数は制限されないが、通常三段〜五段階であ
り、好ましくは三〜四段階である。また各々の段階にお
いて同じ洗浄溶媒で処理しても単に製造工程が長くなる
ため、熱可塑性樹脂微多孔膜製造設備のスペースが拡大
し、また溶剤除去の効率性が低下するため、各段階では
互いに異なる洗浄溶媒を用いるのが好ましい。但し、互
いに異なる洗浄溶媒を用いることには限定されるもので
はない。従って、例えば三段階の処理の場合、第一段階
及び第二段階において同一の洗浄溶媒を用い、第三段階
で第一及び第二段階とは異なる洗浄溶媒を用いることも
できる。
【0068】洗浄方法は、洗浄溶媒(A)及び/又は洗浄溶
媒(B)に浸漬し抽出する方法、洗浄溶媒(A) 及び/又は洗
浄溶媒(B)をシャワーする方法、又はこれらの組合せに
よる方法等により行うことができる。また洗浄溶媒(A)
及び洗浄溶媒(B)は、ゲル状成形物100重量部に対しそれ
ぞれ300〜30000重量部使用するのが好ましい。また洗浄
溶媒(A)及び洗浄溶媒(B)を用いて二段階以上の工程によ
り洗浄を行う場合は、洗浄溶媒(A)の使用量は、洗浄溶
媒(B)の使用量を100重量部として50〜200重量部になる
ようにするのが好ましい。洗浄溶媒(A)単独又は洗浄溶
媒(A)及び洗浄溶媒(B)による洗浄は、残留した溶剤がそ
の添加量に対して1重量%未満になるまで行うのが好ま
しい。
【0069】洗浄溶媒(B)による洗浄温度は洗浄溶媒(B)
の沸点に依存する。洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以下の場
合は室温での洗浄が可能であり、必要に応じて加熱洗浄
すればよく、一般に20〜80℃で洗浄するのが好ましい。
また洗浄溶媒(B)の沸点が150℃以上の場合、室温では膜
内部への浸透性が悪いので、加熱洗浄するのが好まし
い。
【0070】洗浄溶媒(A)による洗浄温度及び/又はリン
ス温度は、洗浄溶媒(A)の表面張力に依存する。具体的
には、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m 以下になる温度
以上で洗浄及び/又はリンス処理を行うのが好ましい。
周囲の気温が、洗浄溶媒(A)の表面張力が24mN/m以下に
なる温度に満たない場合は、必要に応じてその表面張力
が24mN/m以下になる温度まで加熱する。洗浄溶媒(A)
は、高くとも25℃においてその表面張力が24mN/m 以下
になるので、殆どの場合は加熱を必要とせず、通常の室
温において洗浄及び/又はリンス処理を行うことができ
る。
【0071】(d) 洗浄溶媒の除去工程延伸及び溶剤除去
により得られた膜に対して吸引力を作用させることによ
り、洗浄溶媒を吸引除去する。吸引除去することによ
り、除去中の洗浄溶媒の拡散を防止できるので、塩化メ
チレンのように環境汚染の恐れがある洗浄溶媒を用いた
場合には環境汚染防止効果がある。吸引力を作用させる
手段としては吸引ロール、吸引ベルト等が挙げられる。
中でも吸引ロールを使用するのが好ましい。吸引ロール
の使用により、熱可塑性樹脂の収縮を抑制しつつ洗浄溶
媒を除去することが可能になる上、後述する貧溶媒中で
の吸引除去が可能となる。吸引ロールは、ロール状(円
筒状)の外形を有し、その軸部内部の長手方向に真空負
荷可能な空洞部を有し、この軸部周面に空洞部と連通す
る多数の透孔を有する筒状の軸本体と、軸部本体の両端
に設けられ且つ空洞部に連通する貫通孔を少なくともそ
の一方に開設した一対の側板と、側板の貫通孔に連通す
る貫通孔を開設した一対の軸受け部を備える。空洞部は
軸受け部の貫通孔から配管を介して連通する真空ポンプ
で吸引されることにより減圧になり、吸引ロールはモー
ターにより駆動回転しながらロールの外周面で液体及び
気体を吸引することができる。
【0072】吸引ロールとしては、パンチングロール、
スリットロール、ワイヤーロール等が挙げられるが、特
にこれらのロール外周面に不織布を多数枚重畳してなる
不織布ロールが好ましい。上述のような吸引機構を備え
た不織布ロール(以下単に「不織布ロール」と呼ぶ)
は、洗浄溶媒を吸引すると、吸液状態にある不織布部内
部に於いて放射方向に毛細管効果を励起し、ロール外周
面方向に吸液毛細管効果を作用させ、ロール本体外周面
全域に渡り均一且つ有効な吸収機能を発揮する上、吸引
抵抗が大きいため、洗浄溶媒の吸引除去に好適に使用す
ることができる。ロール外周面に不織布を有しない場合
は吸引抵抗が小さく、特に微多孔膜で覆われない透孔
(パンチング状の穴、スリット、ワイヤー同士の隙間
等)からエアー又は後述する貧溶媒を吸引する割合が高
くなり、かえって洗浄溶媒の吸引効率が低下するため好
ましくない。なお透孔は、吸引力が不織布ロール外周面
で均一に作用するように、形状、大きさ及びその配置が
設定されているのが好ましい。
【0073】不織布ロールに用いる不織布としては、一
般的に用いられるポリオレフィン、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリルあるいはそれらの共重合
体はもちろん、さらにフッ素系樹脂やポリフェニルスル
フィド系樹脂などの不織布を使用することができる。微
多孔膜を吸引する場合、不織布の空隙率は5 〜50 %で
あるのが好ましい。不織布ロールの空隙率が5 %未満
になると液の絞り取り性が悪くなり、50 %を超えると
不織布がスポンジ状になり、強度的に弱くなるため好ま
しくない。
【0074】微多孔膜を吸引する場合、不織布ロールの
径は50 〜500 cmであるのが好ましい。吸引用の真空ポ
ンプは、上述のような不織布層を備えたロール内部の空
洞部の圧力が−5 kPaG以下になるような能力を有するも
のが好ましい。
【0075】延伸及び溶剤除去により得られた膜は、吸
引ロールの外周面で洗浄溶媒が吸引除去されながら移送
される。この時、膜は吸引によりロールに張り付き、固
定された状態で洗浄溶媒が吸引除去されるため、膜の収
縮を抑制しつつ、かつ高速に洗浄溶媒を除去することが
可能になる。特に微多孔膜の場合は、吸引により空孔に
エアーを通過させながら除去乾燥できるため、空孔の収
縮が抑制される効果がある。吸引ロールによる移送速度
は1 〜50 m/minであるのが好ましい。またこの時、吸
引ロールを加熱しながら行ってもよく、これにより乾燥
効果が向上する。但し加熱温度は熱可塑性樹脂の結晶分
散温度以下、好ましくは結晶分散温度より5℃以上低い
温度である。また加熱により洗浄溶媒の拡散が激しくな
るため、塩化メチレンのように環境汚染の恐れがある洗
浄溶媒を用いた場合には、室温で吸引するのが好まし
い。
【0076】微多孔膜が有する空孔の収縮抑制を一層図
りたい場合には、吸引を洗浄溶媒に対する貧溶媒中で行
うのが好ましい。この場合、吸引ロールが貧溶媒に浸漬
するように貧溶媒の槽を設置する。膜は貧溶媒槽中を吸
引ロールに吸引されながら移送され、洗浄溶媒が貧溶媒
とともに吸引される効果により除去が効果的に行われる
上、空孔を貧溶媒が通過するため、空孔の収縮を一層抑
制しつつ洗浄することが可能となる。この時貧溶媒槽は
少なくとも洗浄溶媒の沸点−20℃以上、好ましくは洗浄
溶媒の沸点以上の温度に加熱するのが好ましい。但し熱
可塑性樹脂の結晶分散温度以下、好ましくは結晶分散温
度より5℃以上低い温度で行う。これにより洗浄溶媒が
気化する作用が促進され、効果的に除去される。この場
合は貧溶媒中で吸引されるので、加熱に伴って起る洗浄
溶媒の気化拡散を抑制することができる。加熱する場
合、貧溶媒としてはその沸点が洗浄溶媒の沸点よりも高
いものを用いる。貧溶媒は洗浄溶媒に対して相溶性の乏
しいものであれば特に制限はなく、例えば洗浄溶媒とし
て塩化メチレン又はハイドロフルオロエーテルを用いた
場合、相当する貧溶媒としては水、エチレングリコール
等が好適である。
【0077】吸引ロールによる吸引除去は、通常は一つ
の吸引ロールを用いれば、洗浄溶媒を十分除去すること
ができるが、二つの吸引ロールを連続させて膜の両面が
吸引ロールと接触するようにしてもよい。これにより吸
引を一層効果的に行うことができる。この時少なくとも
一方の吸引ロールを貧溶媒に浸漬するのが好ましい。ま
た二つの吸引ロールで膜を挟むようにし、その間を膜が
通るようにし、両方の吸引ロールで同時に膜の両面を吸
引してもよい。
【0078】吸引により洗浄溶媒を除去した膜は、加熱
乾燥法又は風乾法によりさらに乾燥することができる。
膜を加熱乾燥する際は、テンター等に固定した上で熱風
乾燥すると、収縮を抑制しつつ乾燥できるので好まし
い。吸引時に貧溶媒を用いない場合、洗浄溶媒は吸引除
去されているので、加熱乾燥又は風乾に要する時間は従
来よりも短時間で済む。一方貧溶媒を用いて吸引除去し
た場合、続けて加熱乾燥又は風乾を行ってもよいが、貧
溶媒を別の吸引ロールを用いて除去した後、加熱乾燥又
は風乾により乾燥してもよい。加熱乾燥又は風乾の前に
貧溶媒除去用の吸引ロールで乾燥することにより、貧溶
媒の除去に要する時間が短くなる上、貧溶媒による空孔
の収縮を効果的に抑制できる。この時、貧溶媒除去用吸
引ロールを加熱してもよい。膜を熱風乾燥する際の温度
および貧溶媒除去用吸引ロールを加熱する際の温度は、
熱可塑性樹脂の結晶分散温度以下の温度で行うのが好ま
しく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度が好まし
い。通常は70℃程度である。
【0079】吸引除去により、熱可塑性樹脂微多孔膜中
に残存する洗浄溶媒の含有量を、5重量%以下にするの
が好ましく(乾燥後の膜重量を100重量%とする)、3
重量%以下にするのがより好ましい。吸引除去が不十分
で膜中に洗浄溶媒が多量に残存する場合、後の熱処理で
空孔率が低下し、透気性が悪化するので好ましくない。
【0080】(e) 膜の架橋処理工程 延伸・溶剤除去により得られた膜から吸引により洗浄溶
媒を除去した後、電離放射により架橋処理を施すのが好
ましい。電離放射線としてはα線、β線、γ線、電子線
等が用いられ、電子線量0.1〜100Mrad、加速電圧100〜3
00kVにて行うことができる。これによりメルトダウン温
度を向上させることができる。
【0081】(f) 熱処理工程 洗浄溶媒除去後に熱処理を行ってもよい。熱処理によっ
て結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。熱処理と
しては、熱延伸処理、熱固定処理、及び熱収縮処理のい
ずれも用いることができる。これらの処理は、熱可塑性
樹脂微多孔膜の融点以下、好ましくは60℃以上融点−10
℃以下で行う。
【0082】熱延伸処理は、通常用いられるテンター方
式、ロール方式、又は圧延方式により行い、少なくとも
一方向に延伸倍率1.01〜2.0倍で行うのが好ましく、1.0
1〜1.5倍で行うのがより好ましい。
【0083】熱固定処理は、テンター方式、ロール方
式、圧延方式により行う。また熱収縮処理は、テンター
方式、ロール方式、若しくは圧延方式により行うか、又
はベルトコンベア若しくはフローティング等を用いて行
ってもよい。なお、熱収縮処理は、少なくとも一方向に
50%以下の範囲が好ましく、より好ましくは30%以下の
範囲にする。
【0084】なお上述の熱延伸処理、熱固定処理及び熱
収縮処理を多数組み合せて行ってもよい。特に、熱延伸
処理後に熱収縮処理を行うと、低収縮率で高強度の微多
孔膜が得られるため好ましい。
【0085】(g) 親水化処理工程 洗浄溶媒除去により得られた微多孔膜は親水化処理して
用いることもできる。親水化処理としては、モノマーグ
ラフト、界面活性剤処理、コロナ放電処理等を用いる。
なお親水化処理は電離放射後に行うのが好ましい。
【0086】界面活性剤を使用する場合、ノニオン系界
面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性
剤及び両イオン系界面活性剤のいずれも使用することが
できるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。この場
合、界面活性剤を水溶液又はメタノール、エタノール又
はイソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液に
して、ディッピング及びドクターブレード等の方法によ
り親水化する。
【0087】得られた親水化微多孔膜を乾燥する。この
時、透過性を向上させるため、熱可塑性樹脂微多孔膜の
融点以下の温度で収縮を防止又は延伸しながら熱処理す
るのが好ましい。
【0088】(h) その他の処理工程 洗浄溶媒除去により得られた微多孔膜は、ポリビニリデ
ンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ
素系樹脂多孔質体、又はポリイミド、ポリフェニレンス
ルフィド等の多孔質体を表面に被覆することによりメル
トダウン特性を改良することもできる。
【0089】[3] 熱可塑性樹脂微多孔膜 以上のように製造した微多孔膜の物性は、通常の場合、
空孔率が25 〜80 %、透気度が10 〜2000 秒/100cc(膜
厚30μm換算)である。高空孔率の膜が得られるので、
その後の熱処理を従来よりも高い温度で行っても、従来
と同等以上の空孔率/透気度を有し、かつ寸法安定性に
優れた熱可塑性樹脂微多孔膜が得られる。熱可塑性樹脂
微多孔膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択しうるが、例
えば電池用セパレーターとして使用する場合は5〜200
μmにするのが好ましい。このように、本発明の製造方
法により得られる熱可塑性樹脂微多孔膜は優れた透過性
を示すので、電池用セパレーター、フィルター等として
好適に使用できる。
【0090】
【実施例】本発明を以下の実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。
【0091】実施例1 重量平均分子量が2.0×106の超高分子量ポリエチレン
(UHMWPE)20重量%と重量平均分子量が3.5×105の高密
度ポリエチレン(HDPE)80重量%とからなり、Mw/Mn=
16.8であるポリエチレン組成物(融点135℃、結晶分散
温度90℃)に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-
3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-
プロピオネート]メタンをポリエチレン組成物100重量部
当たり0.375重量部加えたポリエチレン組成物を得た。
得られたポリエチレン組成物30重量部を二軸押出機(内
径58 mm、L/D=42、強混練タイプ)に投入し、この二
軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70重量
部を供給し、200℃及び200 rpmの条件で溶融混練して、
押出機中にてポリエチレン溶液を調製した。続いて、こ
のポリエチレン溶液を押出機の先端に設置されたTダイ
から二軸延伸膜が50μm程度になるように押し出し、50
℃に温調された冷却ロールで引き取りながら、ゲル状シ
ートを形成した。得られたゲル状シートについて、バッ
チ延伸機を用いて114℃で5×5倍になるように二軸延伸
を行い、延伸膜を得た。得られた膜を20 cm×20 cmのア
ルミニウム製の枠に固定し、25℃に温調された塩化メチ
レン(表面張力27.3mN/m(25℃)、沸点40.0℃)を含有
する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで3分間揺動させながら
洗浄した。洗浄後の膜について、不織布ロール(φ500m
m、不織布の空隙率35 %、ロール内部の空洞部圧力:−
10kPaG)を用いて60℃の温水中で塩化メチレンを吸引除
去した(移送速度:20m/min)。次いで膜を70℃で熱風
乾燥し、更に124℃で10分間熱固定してポリエチレンの
微多孔膜を作製した。
【0092】実施例2 25℃に温調された塩化メチレンを含有する洗浄槽中に浸
漬し、100 rpmで3分間揺動させながら洗浄した後、25℃
に温調されたメチルパーフルオロブチルエーテル((C4
F9OCH3)、住友スリーエム(株)製HFE-7100、表面張力
13.6mN/m(25℃)、沸点61℃、引火点なし(以下同
様))を含有する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで1分間
揺動させながらリンス処理し、リンス処理後の膜につい
て、不織布ロール(φ500mm、不織布の空隙率35 %、ロ
ール内部の空洞部圧力:−10kPaG)を用いて85℃の温水
中でHFE-7100を吸引除去した以外は実施例1と同様にし
てポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0093】比較例1 塩化メチレンの除去を、60℃に温調された加熱ロール
(φ100mm、3段)を用いて行った以外は実施例1と同様
にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0094】比較例2 HFE-7100の除去を、80℃に温調された加熱ロール(φ10
0mm、3段)を用いて行った以外は実施例2と同様にし
てポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0095】比較例3 塩化メチレンの除去を、60℃に温調された加熱ロール
(φ100mm、3段)上で60℃の乾燥エアーを6m3/minの
風量で吹きつけることにより行った以外は実施例1と同
様にしてポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0096】比較例4 HFE-7100の除去を、80℃に温調された加熱ロール(φ10
0mm、3段)上で80℃の乾燥エアーを6m3/minの風量で
吹きつけることにより行った以外は実施例2と同様にし
てポリエチレン微多孔膜を作製した。
【0097】実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた
熱可塑性樹脂微多孔膜の物性を以下の方法で測定した。 ・膜厚:接触厚み計により測定した。 ・透気度:JIS P8117に準拠して測定した(膜厚30μm換
算)。 ・空孔率:重量法により測定した。 ・膜幅変化率:洗浄溶媒除去前後の膜幅を測定し、その
変化率を調べた。
【0098】
【表1】
【0099】表1に示すように、本発明の方法により製
造した実施例1及び2の熱可塑性樹脂微多孔膜はその空
孔率及び透気度において優れ、かつ乾燥後の膜幅変化が
小さい。一方、比較例1〜4の微多孔膜は、吸引ロール
を用いずに乾燥しているために、実施例1及び2と比較
して物性が劣っている。
【0100】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の溶剤法に
よる熱可塑性樹脂微多孔膜の製造において、溶剤を除去
するために用いた洗浄溶媒を除去する工程で、吸引ロー
ルを用いて吸引除去することにより、洗浄溶媒の拡散を
抑制しながら高速に、かつ熱可塑性樹脂の収縮を抑制し
つつ除去することができる。本発明の製造方法を熱可塑
性樹脂微多孔膜の製造に適用することにより、空孔率、
透過性及び寸法安定性に優れた微多孔膜を製造すること
ができる。得られた微多孔膜は電池用セパレーター、フ
ィルター等に有用である。なお本発明は微多孔膜に限ら
ず各種熱可塑性樹脂成形体の製造に適用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 河野 公一 埼玉県朝霞市三原3−29−10−404 Fターム(参考) 4D006 GA03 GA06 GA07 HA41 MA03 MC22X MC23X MC45X MC48X MC51X NA10 NA64 4D019 AA01 AA03 BA13 BB08 CB06 4F074 AA16 AA17 AA65 AA77 AA87 AA97 AD01 AD04 AD11 CB02 CB16 CB17 CB28 CB34 CB47 CC02X CC04X CC05X CC22X CC27Y CC29Y CC34Y DA43 DA49 5H021 BB01 BB02 BB13 CC02 EE02 EE04 HH06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と溶剤とを溶融混練して得
    られた溶液をダイより押し出し、冷却して得られたゲル
    状成形物から残存する前記溶剤を洗浄溶媒により除去し
    て被洗浄成形物とした後、前記洗浄溶媒を除去する工程
    を含む熱可塑性樹脂成形体の製造方法において、吸引力
    を作用させることにより、前記被洗浄成形物から前記洗
    浄溶媒を吸引除去することを特徴とする熱可塑性樹脂成
    形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形体の
    製造方法において、前記吸引除去を吸引ロールにより行
    うことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の熱可塑性樹脂成形体の
    製造方法において、前記吸引ロールとして不織布ロール
    を用いることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂成形体の製造方法において、前記吸引除去を前記
    洗浄溶媒に対する貧溶媒中で行うことを特徴とする熱可
    塑性樹脂成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂成形体の製造方法において、前記吸引除去を前記
    洗浄溶媒の沸点以上の温度で行うことを特徴とする熱可
    塑性樹脂成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    より製造された熱可塑性樹脂成形体からなる微多孔膜。
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