JP4296836B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に大型車両において補助ブレーキとして使用される渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トラック等の大型車両の補助ブレーキとして渦電流式減速装置(リターダ)が使用されている。
【0003】
図8及び図9を用いて、従来の渦電流式減速装置の一例を説明する。
【0004】
この渦電流式減速装置51は、車両のプロペラシャフト等の回転軸52に取り付けられたドラム状の制動ロータ53と、制動ロータ53の径方向内側に配置され、ミッションケース等の固定側に取り付けられたステータ54(磁力源)とを備える。
【0005】
ステータ54は、固定側に支持された中空のケーシング55と、ケーシング55の内部に配置された二つの磁石環57,58とを備える。
【0006】
第1磁石環57はケーシング55に対して回動不可に固定され、第2磁石環58は第1磁石環57に並設されると共にケーシング55内に回動自在に収容される。第2磁石環58はアクチュエータ56により回動される。
【0007】
第1及び第2磁石環57,58は、磁性体からなる支持リング59,60と支持リング59,60に周方向に所定間隔を隔てて取り付けられた複数の永久磁石61,62とを有する。各永久磁石61,62は、径方向の両端部に磁極を有し、その磁極の向きが周方向に交互に異なるように設定される。
【0008】
ケーシング55の外周壁には、周方向に等間隔を隔てて磁性体(鉄材など)からなるポールピース63が複数埋設される。
【0009】
この渦電流式減速装置の減速制動をオフするときには、アクチュエータ56により第2磁石環58を回動させて、第1磁石環57の各永久磁石61と第2磁石環58の各永久磁石62とが異なる磁極で対向する位相に位置させる。すると、図8に示すように、第1及び第2磁石環57,58とポールピース63との間で短絡的な磁気回路W1が形成される。よって、制動ロータ53には磁気が作用せず、渦電流が生じない。つまり、減速制動は生じない。
【0010】
他方、減速制動をオンするときには、第2磁石環58を回動させて、第1磁石環57の各永久磁石61と第2磁石環58の各永久磁石62とを同極で対向させる。すると、図9に示すように、第1及び第2磁石環57,58の永久磁石61,62からの磁束がポールピース63を貫通して制動ロータ53へと達し、第1及び第2磁石環57,58と、ポールピース63と、制動ロータ53との間で磁気回路W2が形成される。これによって、制動ロータ53に渦電流が生じ、その渦電流と永久磁石61,62からの磁束との相互作用により回転軸52が減速制動される。
【0011】
このような渦電流式減速装置は、例えば特許文献1等にも記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平07−123697号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような渦電流式減速装置において、制動オフ時に磁石61,62の磁束の一部が制動ロータ53側に漏れて磁気漏れ回路を形成し、引き摺り制動が発生するという問題があった。このため、制動オフ時の磁気漏れを防止することが渦電流式減速装置の開発における一つの課題であった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、制動オフ時の磁気漏れを防止した渦電流式減速装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸に取り付けられた制動ロータと、その制動ロータに対向させて配置され、周方向に間隔を隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石を備えた第1磁石環と、その第1磁石環の上記制動ロータと反対側に対向させて配置され、周方向に間隔を隔てて且つ上記第1磁石環と向き合う磁極が周方向に交互に異なるように設定された複数の永久磁石を備えた第2磁石環とを備え、上記第1磁石環と上記第2磁石環とを所定の位相で対向させることで上記第1及び第2磁石環と上記制動ロータとの間で磁気回路を形成する制動オン状態とし、その制動オン状態から上記第1磁石環及び/又は上記第2磁石環を所定位相回動させることで上記第1磁石環と上記第2磁石環との間で短絡的な磁気回路を形成する制動オフ状態とする渦電流式減速装置であって、上記第2磁石環の永久磁石の磁力を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の総磁力よりも大きく設定し、制動オフ状態のときに上記制動ロータへと漏れる磁束をほぼゼロとするものである。
【0016】
ここで、上記第2磁石環の永久磁石の磁極面の面積を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の磁極面の総面積とほぼ等しく設定し、上記第2磁石環の永久磁石の磁束密度を、上記第1磁石環の永久磁石の磁束密度よりも大きくしても良い。
【0017】
また、上記第2磁石環の永久磁石と上記第1磁石環の永久磁石の磁束密度を互いにほぼ等しく設定し、上記第2磁石環の永久磁石の磁極面の面積を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の磁極面の総面積よりも大きくしても良い。
【0018】
更に、上記制動オフ状態のときの上記第1磁石環と上記第2磁石環との対向位相を、上記第1磁石環の永久磁石と上記第2磁石環の永久磁石とにおける、磁力、磁束密度、又は磁極面面積の差に基づいて設定するようにしても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1は本実施形態に係る渦電流式減速装置の上半分側面断面図、図2は制動オフ時の部分正面断面図、図3は制動オン時の部分正面断面図である。
【0021】
図1に示すように、この渦電流式減速装置1は、車両のプロペラシャフト等の回転軸2に取り付けられたドラム状の制動ロータ3と、制動ロータ3の径方向内側に配置され、ミッションケース等の固定側に取り付けられたステータ4(磁力源)とを備え、ステータ4からロータ3へ磁気を供給することでロータ3に渦電流を生じさせて回転軸2を減速制動し、磁気をステータ4内に遮蔽することで減速制動を解除するものである。
【0022】
ステータ4は、固定側に支持された中空のケーシング5を有し、そのケーシング5の外周壁には、制動ロータ3の内面と対向させて外側磁石環(第1磁石環)18が取り付けられる。図2及び図3に示すように、外側磁石環18は、ケーシング5に取り付けられた磁性部材17(電磁鋼板の積層体や鉄のブロック材等)と、磁性部材17に周方向に所定間隔を隔てて埋設された複数の永久磁石16とを有する。各永久磁石16は、周方向両端部に磁極を有し、且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定される。各永久磁石16の径方向外側には磁性部材17からなる薄板部13が形成される。
【0023】
ケーシング5の内部には、内側磁石環(第2磁石環)7が、外側磁石環18に制動ロータ3と反対側(径方向内側)から対向させて収容される。内側磁石環7は、ブッシュ6を介して回動自在に設けられ、ケーシング5の側部に設けられたアクチュエータ8(流体シリンダ等)により回動される。内側磁石環7は、非磁性体(オーステナイト系ステンレス等)からなる支持リング9と、支持リング9の外周に設けられた磁性部材11(電磁鋼板の積層体や鉄のブロック材等)と、磁性部材11に周方向に所定間隔を隔てて埋設された複数の永久磁石10とを有する。各永久磁石10は、その径方向両端部に磁極を有し、外側磁石環18と向き合う磁極が周方向に交互に異なるように設定される。内側磁石環7の永久磁石10の周方向長さは、基本的には外側磁石環18の各永久磁石16間のピッチとほぼ等しく設定される。磁性部材11における各永久磁石10間に位置する部分には、長方形状の穴15が形成される。
【0024】
この渦電流式減速装置の減速制動をオフするときには、アクチュエータ8で内側磁石環7を回動させて、図2に示すように、内側磁石環7の各永久磁石10が外側磁石環18の各永久磁石16間に位置し、且つ内側磁石環7の永久磁石10と外側磁石環18の各永久磁石16とが異なる磁極で対向する位相に位置させる。すると、内側磁石環7の永久磁石10及び磁性部材11と外側磁石環18の永久磁石16及び磁性部材17との間で短絡的な磁気回路31が形成される。よって、制動ロータ3には磁気が作用せず、減速制動は生じない。このとき、外側磁石環18の永久磁石16から制動ロータ3側へと流れた磁束は薄板部13を通って短絡するため、制動ロータ3への磁気漏れを効果的に防止できる。
【0025】
他方、減速制動をオンするときには、内側磁石環7を回動させて、図3に示すように、内側磁石環7の各永久磁石10が外側磁石環18の各永久磁石16間に位置し、且つ内側磁石環7の各永久磁石10と外側磁石環18の各永久磁石16とが同極で対向する位相に位置させる。すると、内側及び外側磁石環7,18の永久磁石10,16及び磁性部材11,17と制動ロータ3との間で磁気回路32,33が形成される。よって、制動ロータ3に渦電流が生じ、その渦電流と永久磁石10,16からの磁束との相互作用により回転軸2が減速制動される。このとき、内側磁石環7の磁性部材11に穴15が形成されているため、永久磁石10からの磁束が磁性部材11を通って短絡することを防止できる。
【0026】
さて、本発明者らは、このような渦電流式減速装置において、内側磁石環7の永久磁石10の磁力を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する外側磁石環18の永久磁石16の総磁力よりも大きくすることによって、制動オフ時の磁気漏れをほとんどゼロにできることを見いだした。具体的には、本実施形態では制動オフ時に、一つの内側永久磁石10と、その両側に位置する二つの外側永久磁石16とで磁気回路を形成するので、内側永久磁石10の磁力W2を外側永久磁石16の磁力W1の2倍よりも大きく(W2>2×W1)設定することで磁気漏れをなくすことができる。
【0027】
内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の磁力よりも大きくする方法としては、永久磁石10,16の磁束密度(単位面積当たりの磁束)を異ならせる方法、永久磁石10,16の磁極面の面積を異ならせる方法、あるいはそれらの複合等が考えられる。
【0028】
例えば、内側永久磁石10の磁極面の面積を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する二つの外側永久磁石16の合計磁極面面積とほぼ等しく設定した場合、つまり、内側永久磁石10の磁極面面積を外側永久磁石16の磁極面面積の2倍と等しくした場合、内側永久磁石10の磁束密度を外側永久磁石16の磁束密度よりも大きくすれば、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の磁力よりも大きくすることができる。
【0029】
また、各内側永久磁石10と各外側永久磁石16の磁束密度を互いにほぼ等しく設定した場合、内側永久磁石10の磁極面の面積を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する二つの外側永久磁石16の磁極面の総面積よりも大きくすれば、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の磁力よりも大きくすることができる。例えば、図1に示すように、外側永久磁石16の軸方向長さT1と内側永久磁石10の軸方向長さT2とを等しく(T1=T2)設定した場合、内側永久磁石10の周方向長さL2(図2参照)を外側永久磁石16の径方向長さL1の2倍よりも大きく(L2>2×L1)すれば良い。あるいは、内側永久磁石10の周方向長さL2を外側永久磁石16の径方向長さL1の2倍と等しくした場合、内側永久磁石10の軸方向長さT2を外側永久磁石16の軸方向長さT1よりも大きく(T2>T1)すれば良い。
【0030】
なお、各内側永久磁石10と各外側永久磁石16の磁束密度を互いにほぼ等しく設定すると共に、内側永久磁石10の磁極面の面積を各外側永久磁石16の磁極面の面積の2倍と等しくした場合であっても、内側永久磁石10の径方向長さを外側永久磁石16の周方向長さよりも大きくすれば、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の磁力よりも大きくすることができる。
【0031】
本発明者らは、内側永久磁石10の磁力と、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する外側永久磁石16の総磁力との比率を様々に変えて磁気漏れを確認した。その結果を図4に示す。なお、ここでは内側及び外側永久磁石10,16の磁束密度(磁石性能)を互いにほぼ等しくし、内側永久磁石10の磁極面の面積と外側永久磁石16の磁極面の面積との比率を変えて試験を行った。ここでは、内側永久磁石10の磁力の、外側永久磁石16の総磁力に対する比率を1.1〜1.7の範囲で変化させて試験を行った。なお、比率が1.0ということは、内側永久磁石10の磁力が外側永久磁石16の磁力の2倍に等しいことを意味している。
【0032】
図中、横軸が外側永久磁石16の総磁力に対する内側永久磁石10の磁力の比率であり、縦軸が制動オフ状態のときに制動ロータ3に作用する磁束である。
【0033】
図に示すように、制動オフ時に制動ロータ3に作用する磁束は、上記比率が1.1であるときにはプラス側に若干発生し、比率が大きくなるにつれて徐々に減小する。そして、比率が約1.4のところでほぼゼロとなり、1.4を越えて大きくなるとマイナス側に発生する。
【0034】
上記比率が1.4よりも小さいときに、制動ロータ3にプラス側の磁束が作用する理由については、内側永久磁石10による外側永久磁石16の磁束を引き付ける力が小さく、図5に示すように、外側永久磁石16の磁束の一部が制動ロータ3へ漏れて磁気漏れ回路W3を形成していることが考えられる。
【0035】
そして、上記比率を1.4とした場合、外側永久磁石16の全ての磁束が内側永久磁石10側に引き付けられており、制動ロータ3側へと漏れる磁束がほとんど存在しないことを意味している。従って、外側永久磁石16の総磁力に対する内側永久磁石10の磁力の比率を1.4倍程度にすれば、制動オフ時の磁気漏れをほとんどなくすことができる。
【0036】
上記比率を1.4よりも大きいときに、制動ロータ3にマイナス側の磁束が作用する理由については、内側永久磁石10の磁力が大き過ぎて、図5に示すように、内側永久磁石10の磁束の一部が制動ロータ3へ漏れて磁気漏れ回路W4を形成していることが考えられる。つまり、外側永久磁石16による磁気漏れ回路W3とは反対方向への磁気漏れ回路W4が発生するため磁束がマイナスの値となるのである。
【0037】
この結果から、内側永久磁石10の磁力を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する外側永久磁石16の総磁力よりも大きくすれば、外側永久磁石16による磁気漏れをなくすことができるが、あまり大きくしすぎると内側永久磁石10による磁気漏れが生じてしまうことが分かる。
【0038】
磁気漏れをほぼゼロにすることができる最適な比率は、渦電流式減速装置の構造や、内側及び外側永久磁石10,16の大きさなどにより変化すると考えられるので、渦電流式減速装置の種類毎に適宜設定することが好ましい。
【0039】
次に、本発明者らは、内側永久磁石10の磁力を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路31を形成する外側永久磁石16の総磁力よりも大きくすると共に、制動オフ時の内側磁石環7と外側磁石環18の対向位相、つまり、内側永久磁石10と外側永久磁石16との対向位相を適切にすることで磁気漏れをより確実に防止できることを見い出した。以下、この点について説明する。
【0040】
図6は、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の総磁力の1.5倍にした場合において、内側磁石環7を制動オン状態から徐々に回動していったときの制動ロータ3に作用する磁束を解析したものである。
【0041】
図中、横軸が内側磁石環7の回動角度を示しており、0°のときが制動オン状態の位相である。つまり、この状態では、図3に示すように、各内側永久磁石10が各外側永久磁石16のちょうど真ん中に位置し、同極で対向する。そして、11°のときが、内側磁石環7を内側永久磁石10の1ピッチ分だけ回動させた位相である。つまり、この状態では、図2に示すように、各内側永久磁石10が各外側永久磁石16のちょうど真ん中に位置し、異極で対向する。
【0042】
図から分かるように、内側磁石環7を0°から回動していくにつれて制動ロータ3に作用する磁束は徐々に少なくなる。そして、内側磁石環7を約8.5°回動させたときに磁束はほぼゼロとなる。内側磁石環7をそれ以上回動させると制動ロータ3にマイナス側の磁束(逆方向の磁束)が作用する。従って、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の総磁力の1.5倍とした場合、制動オフ時には、内側磁石環7を内側永久磁石10の1ピッチよりも小さい位相(1ピッチ11°に対して約8.5°)だけ回動させるようにすれば磁気漏れをほとんどなくすことができる。
【0043】
ここで、図4の試験では、制動オフ時に内側磁石環7を内側永久磁石10の1ピッチ分だけ回動させるようにした。従って、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の総磁力の約1.4倍としたときには、制動オフ時の内側磁石環7の回動位相を内側永久磁石10の1ピッチと等しくすれば磁気漏れをほとんどなくすことができる。
【0044】
このように、内側永久磁石10の磁力と外側永久磁石16の総磁力との差によって、磁気漏れを最小とできる内側磁石環7の回動角度が変化する。従って、内側永久磁石10と外側永久磁石16とにおける、磁力、磁束密度、又は磁極面面積の差に基づいて、制動オフ状態のときの外側磁石環18と内側磁石環7との対向位相を設定することで磁気漏れをより確実に防止できる。本発明者らは、種々の実験から、内側永久磁石10の磁力が外側永久磁石16の総磁力よりも大きくなるにつれて、制動オフ時の内側磁石環7の回動位相を小さくすれば良いことを確認した。
【0045】
以上のことから、内側永久磁石10の磁力と外側永久磁石16の総磁力との比率に応じて、制動オフ状態のときの内側磁石環7の位相を設定することで、制動オン時の制動能力の確保と制動オフ時の磁気漏れ防止との両立を図ることができる。
【0046】
この理由を説明すると、まず、制動オン時の制動能力を高めるためには、制動ロータ3に作用する磁束を多くすれば良いので、内側永久磁石10の磁力を高めることで達成できると考えられる。しかしながら、図4からも分かるように、内側磁石環7の回動位相を内側永久磁石10の1ピッチと等しくした場合、内側永久磁石10の磁力を外側永久磁石16の総磁力の1.4倍よりも大きくすると制動オフ時の磁気漏れが発生する。そこで、内側永久磁石10の回動位相を1ピッチよりも小さくすることで磁気漏れを防止する。つまり、内側永久磁石10の磁力を高めて制動能力の向上を図る一方で、内側永久磁石10と外側永久磁石16の磁力の差に基づいて内側磁石環7の回動位相を設定することで磁気漏れもゼロとできるのである。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形例が考えられるものである。
【0048】
例えば、上記実施形態では内側磁石環7を回動させるタイプを説明したが、内側磁石環7を固定として、外側磁石環18を回動させるタイプにも適用できる。
【0049】
また、図7に示すように、ディスク状の制動ロータ40を備えたタイプの渦電流式減速装置にも適用できる。この形態では、制動ロータ40に側部から対向させてケーシング41が固定側に取り付けられ、そのケーシング41に第1磁石環42(図1の外側磁石環18に相当)が取り付けられる。また、ケーシング41内には、第1磁石環42に制動ロータ40の反対側から対向させて第2磁石環43(図1の内側磁石環7に相当)が回動自在に設けられる。第1磁石環42は、周方向に所定間隔を隔てて配置され、周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石44を備える。第2磁石環43は、周方向に所定間隔を隔てて配置され、且つ第1磁石環42と向き合う磁極が周方向に交互に異なるように設定された複数の永久磁石45を備える。
【0050】
係る渦電流式減速装置においても、第2磁石環43の永久磁石45の磁力を、制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する第1磁石環42の磁石44の総磁力に対して所定の比率で大きくすると共に、その比率に応じて制動オフ時の第1磁石環42と第2磁石環43との対向位相を適切に設定することで磁気漏れを確実に防止できる。
【0051】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、制動オフ時の磁気漏れを確実に防止できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る渦電流式減速装置の上半分側面断面図である。
【図2】制動オフ時の部分正面断面図である。
【図3】制動オン時の部分正面断面図である。
【図4】内側永久磁石の磁力の外側永久磁石の総磁力に対する比率と、制動オフ時に制動ロータに作用する磁束との関係を示す図である。
【図5】制動オフ時の磁気漏れを表す部分正面断面図である。
【図6】内側磁石環の回動位相と制動ロータに作用する磁束との関係を示す図である。
【図7】(a)本発明の他の実施形態に係る渦電流式減速装置の上半分側面断面図である。
(b)本発明の他の実施形態に係る渦電流式減速装置の部分平面断面図である。
【図8】従来の渦電流式減速装置の上半分側面断面図である。
【図9】従来の渦電流式減速装置の部分正面断面図である。
【符号の説明】
1 渦電流式減速装置
2 回転軸
3 制動ロータ
5 ケーシング
7 内側磁石環(第2磁石環)
10 永久磁石
16 永久磁石
18 外側磁石環(第1磁石環)

Claims (4)

  1. 回転軸に取り付けられた制動ロータと、該制動ロータに対向させて配置され、周方向に間隔を隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石を備えた第1磁石環と、該第1磁石環の上記制動ロータと反対側に対向させて配置され、周方向に間隔を隔てて且つ上記第1磁石環と向き合う磁極が周方向に交互に異なるように設定された複数の永久磁石を備えた第2磁石環とを備え、上記第1磁石環と上記第2磁石環とを所定の位相で対向させることで上記第1及び第2磁石環と上記制動ロータとの間で磁気回路を形成する制動オン状態とし、その制動オン状態から上記第1磁石環及び/又は上記第2磁石環を所定位相回動させることで上記第1磁石環と上記第2磁石環との間で短絡的な磁気回路を形成する制動オフ状態とする渦電流式減速装置であって、
    上記第2磁石環の永久磁石の磁力を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の総磁力よりも大きく設定し、制動オフ状態のときに上記制動ロータへと漏れる磁束をほぼゼロとすることを特徴とする渦電流式減速装置。
  2. 上記第2磁石環の永久磁石の磁極面の面積を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の磁極面の総面積とほぼ等しく設定し、
    上記第2磁石環の永久磁石の磁束密度を、上記第1磁石環の永久磁石の磁束密度よりも大きくする請求項1記載の渦電流式減速装置。
  3. 上記第2磁石環の永久磁石と上記第1磁石環の永久磁石の磁束密度を互いにほぼ等しく設定し、
    上記第2磁石環の永久磁石の磁極面の面積を、上記制動オフ状態のときに互いに磁気回路を形成する一つ又は複数の上記第1磁石環の永久磁石の磁極面の総面積よりも大きくする請求項1記載の渦電流式減速装置。
  4. 上記制動オフ状態のときの上記第1磁石環と上記第2磁石環との対向位相を、上記第1磁石環の永久磁石と上記第2磁石環の永久磁石とにおける、磁力、磁束密度、又は磁極面面積の差に基づいて設定する請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
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