JP4752414B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の摩擦ブレーキを補助する渦電流式減速装置に係り、特に、磁力源に永久磁石を用いた渦電流式減速装置に関する。
本発明者は、磁力源に永久磁石を用いた渦電流式減速装置として、図12及び図13に示す渦電流式減速装置を先に開発した(特許文献1及び2等参照)。
図12及び図13に示すように、この渦電流式減速装置は、回転軸(図示せず)に取り付けられたドラム状のロータ40と、固定系(図示せず)に取り付けられ、ロータ40の内方に配置されたステータ41(磁力源)とを備えている。ステータ41は、周方向に回動自在に設けられた内側磁石支持環42(内環)と、ロータ40と内側磁石支持環42との間に介設された外側磁石支持環43(外環)と、内側磁石支持環42を回動させるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。
内側磁石支持環42は、磁性体の材料からなるリング状の磁性部材44を有している。磁性部材44の外周面には、複数の永久磁石45が周方向に所定間隔を隔てて取り付けられている。各永久磁石45は、径方向両端に磁極を有し、周方向交互に磁極の向きを反転させて配置されている。周方向に隣接する永久磁石45間には、非磁性体の材料からなる固定部材46がボルト47等を介して設けられており、各永久磁石45を磁気的に隔絶しつつ磁性部材44に固定するようになっている。
外側磁石支持環43は、磁性体の材料からなるリング状の磁性部材48を有している。磁性部材48の内部には、複数の永久磁石49が周方向に所定間隔を隔てて埋設されている。各永久磁石49は、周方向両端に磁極を有し、周方向に向き合う磁極が同極に設定されている。
回転軸を減速制動する際(制動ON時)には、図12に示すように、周方向に隣接する外側磁石支持環43の永久磁石49間に、これら永久磁石49の磁極とロータ40に向く磁極が同極である内側磁石支持環42の永久磁石45が位置されるように(制動位置)、アクチュエータにより内側磁石支持環42を回動させる。すると、各磁石支持環42、43の永久磁石45、49とロータ40との間にN極とS極とを結ぶ磁気回路が形成される。これにより、ロータ40とステータ41との相対回転によってロータ40に渦電流が生起され、回転軸が減速制動される。
一方減速制動を解除する際(制動OFF時)には、図13に示すように、周方向に隣接する外側磁石支持環43の永久磁石49間に、これら永久磁石49の磁極とロータ40に向く磁極が異極である内側磁石支持環42の永久磁石45が位置されるように(非制動位置)、アクチュエータにより内側磁石支持環42を回動させる。すると、内側磁石支持環42の永久磁石45と外側磁石支持環43の永久磁石49との間にN極とS極とを結ぶ短絡的な磁気回路(ロータ40に対する遮断回路)が形成され、回転軸の減速制動が解除される。
ところで、図12及び図13に示した渦電流式減速装置は、特許文献3等で知られている渦電流式減速装置と比較して、永久磁石全体の重量が同じであれば制動性能(制動トルク)を向上させることができ、制動性能が同じであれば永久磁石全体の重量を小さくすることができるというメリットがある。
しかし、図12及び図13に示した渦電流式減速装置は、特許文献3等で知られている渦電流式減速装置と比較して、永久磁石の大きさの割に磁極の面積が大きく、内環及び外環(内側磁石支持環及び外側磁石支持環)共に永久磁石が配置されている。そのため、図12及び図13に示した渦電流式減速装置では、特許文献3等で知られている渦電流式減速装置と比較して、永久磁石全体の重量を小さくして制動性能を同じとした場合でも、制動をOFFからONに切り換える際に内側磁石支持環と外側磁石支持環との吸引力が強く、スイッチングトルク(内側磁石支持環を移動(回動)させる力の大きさ)が大きくなるという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、制動をOFFからONに切り換える際のスイッチングトルクを小さくすることにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転軸に取り付けられたロータと、該ロータに対向させて配置され、周方向に所定間隔を隔てて且つ上記ロータに向く磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石を有する第一磁石支持環と、該第一磁石支持環と上記ロータとの間に配置され、周方向に所定間隔を隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石及び周方向に隣接するこれら永久磁石間に介設された磁性部材を有する第二磁石支持環と、上記第一磁石支持環及び第二磁石支持環のうち少なくとも一方を周方向に回動させるアクチュエータとを備えた渦電流式減速装置において、上記第二磁石支持環における上記第一磁石支持環側の面に、上記第二磁石支持環の各永久磁石と上記第一磁石支持環との間に位置させて溝を周方向に所定間隔を隔てて複数設け、これら溝は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さよりも短くなるように形成されたことを特徴とする渦電流式減速装置である。
請求項2の発明は、上記溝は、その周方向両端が上記第二磁石支持環の永久磁石の周方向両端よりも周方向外側にそれぞれ位置されるように形成された請求項1記載の渦電流式減速装置である。
請求項3の発明は、上記溝は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さの0.55〜1.0倍の長さとなるように形成された請求項1又は2記載の渦電流式減速装置である。
請求項4の発明は、上記溝は、その径方向長さが周方向長さの0.15〜0.33倍の長さとなるように形成された請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置である。
請求項5の発明は、上記第一磁石支持環の永久磁石は、上記ロータ側に向く磁極の周方向長さがその磁極とは反対側の磁極の周方向長さよりも短くなるように形成された請求項1〜4いずれかに記載の渦電流式減速装置である。
請求項6の発明は、上記第二磁石支持環が、上記各溝で区切られ上記第一磁石支持環側に延出する突起部を有し、該突起部と上記第一磁石支持環の永久磁石との間隔が、周方向中央に対して周方向両側又は片側で大きくなるように設定された請求項1〜5いずれかに記載の渦電流式減速装置である。
請求項7の発明は、上記突起部は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さと略等しくなるように形成された請求項6記載の渦電流式減速装置である。
本発明によれば、制動をOFFからONに切り換える際のスイッチングトルクを小さくすることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦電流式減速装置の制動時を示す部分正面断面図である。図2は、図1の実施形態に係る渦電流式減速装置の非制動時を示す部分正面断面図である。
図1及び図2に示すように、変速機の出力軸等の回転軸(図示せず)には、渦電流が生起されるドラム状のロータ(制動ドラム)1が取り付けられている。ロータ1は、導電体且つ磁性体(強磁性体、軟磁性体等、以下同じ)の材料(例えば低炭素鋼、鋳鉄等、以下同じ)からなる。ロータ1の外周面には、渦電流によって生じた発熱を放熱するための放熱フィン2が設けられている。
ロータ1の内方には、変速機のケーシング等の固定系(図示せず)に取り付けられたステータ3が配置されている。ステータ3は、固定系に支持され、非磁性体の材料(例えば、アルミ等の低透磁率材料、以下同じ)からなる中空環状のケーシング4と、ロータ1に対向させて配置され、ケーシング4の内部にブッシュ5を介して回転軸廻り回動自在に収容された第一磁石支持環(内側磁石支持環)6と、第一磁石支持環6とロータ1との間に配置され、ケーシング4の外周部に一体的に設けられた第二磁石支持環(外側磁石支持環)7と、第一磁石支持環6を回動させるアクチュエータ(図示せず)とを有して構成されている。
第一磁石支持環6は、周方向に所定間隔を隔てて、且つ、ロータ1に向く磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石10と、永久磁石10の磁極のうちロータ1とは反対側に向く磁極同士を連結し、磁性体の材料からなる磁性部材11とを有している。つまり、第一磁石支持環6の永久磁石10は、その径方向両端に磁極が形成されている。本実施形態では、第一磁石支持環6の磁性部材11はリング状に形成されており、その磁性部材11の外周面に各永久磁石10が取り付けられている。
第二磁石支持環7は、周方向に所定間隔を隔てて、且つ、周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石12と、周方向に隣接するこれら永久磁石12間に介設され、磁性体の材料からなる磁性部材13とを有している。つまり、第二磁石支持環7の永久磁石12は、その周方向両端に磁極が形成されている。本実施形態では、第二磁石支持環7の磁性部材13はリング状に形成されており、その磁性部材13の内部に各永久磁石12が埋設されている。各永久磁石12は、特にその径方向両端を固定用ブリッジ14により覆われるように磁性部材13に埋設される。
各磁石支持環6、7の永久磁石10、12は、互いに同数に設定されている。また、各磁石支持環6、7の磁性部材11、13は、ブロック体或いは電磁鋼板の積層体として形成される。
第二磁石支持環7における第一磁石支持環6側の面、つまり第二磁石支持環7の内周面には、第二磁石支持環7の各永久磁石12と第一磁石支持環6との間に位置させて、溝15が周方向に所定間隔を隔てて且つ軸方向に沿って複数設けられている。つまり、各溝15は、第二磁石支持環7の磁性部材13に埋設された永久磁石12の径方向内側に位置させて設けられている。各溝15は、少なくともその周方向長さが第一磁石支持環6の永久磁石10の周方向長さよりも短くなるように形成される。
本実施形態では、各溝15は、その周方向長さが第二磁石支持環7の永久磁石12の周方向長さよりも長くなるように形成されている。また各溝15は、その周方向両端が第二磁石支持環7の永久磁石12の周方向両端よりも周方向外側にそれぞれ位置されると共に、その周方向中央が永久磁石12の周方向中央と一致するように形成される。
第二磁石支持環7の内周面には、各溝15で区切られ、第一磁石支持環6側(径方向内側)に延出する突起部16が周方向に所定間隔を隔てて複数設けられる。
アクチュエータは、第一磁石支持環6と第二磁石支持環7との相対位置を非制動位置と制動位置とに切り換えるものである。本実施形態の非制動位置は、周方向に隣接する第二磁石支持環7の永久磁石12間の突起部16に、それら永久磁石12の磁極とロータ1に向く径方向外側の磁極が異極である第一磁石支持環6の永久磁石10が対向されるものである(図2参照)。また、本実施形態の制動位置は、非制動位置から周方向に所定の回動幅だけ第一磁石支持環6と第二磁石支持環7との相対位置がずれるものであり、例えば、周方向に隣接する第二磁石支持環7の永久磁石12間の突起部16に、それら永久磁石12の磁極とロータ1に向く径方向外側の磁極が同極である第一磁石支持環6の永久磁石10が対向されるものである(図1参照)。
ここで図3に示すように、本実施形態では、第一磁石支持環6の永久磁石10は、ロータ1側に向く径方向外側の磁極の周方向長さL1がその磁極とは反対側を向く径方向内側の磁極の周方向長さL2よりも短くなるように形成される(L1<L2)。永久磁石10の径方向外側の磁極の面積が小さくなった分、永久磁石10の厚さを厚くして磁力の強さを補っても良い。
図示例ではb<aとなっているが、第二磁石支持環7の永久磁石12は、その径方向長さbが周方向長さaよりも長くなるように形成されるのが好ましい(b>a)。このようにするのは、周方向に向く永久磁石12の磁極の面積を大きくするためである。また、永久磁石12の径方向長さbと周方向長さaとを異ならせることで、組付時に永久磁石12の磁極が周方向に向いて組付かないようにするためである。
本実施形態では、第二磁石支持環7の溝15は、その開口縁20における周方向長さL3が第一磁石支持環6の永久磁石10における径方向外側の磁極の周方向長さL1の0.55〜1.0倍の長さとなるように形成されることが好ましい。つまり、第一磁石支持環6の永久磁石10における径方向外側の磁極の周方向長さL1に対する第二磁石支持環7の溝15の開口縁20における周方向長さL3の割合が0.55〜1.0に設定される(L3/L1=0.55〜1.0)。これを換言すれば、第二磁石支持環7の溝15の開口縁20における周方向長さL3が、第一磁石支持環6の永久磁石10が第二磁石支持環7の溝15の径方向内側に位置したときに、第一磁石支持環6の永久磁石10における径方向外側の磁極の周方向長さL1に対する、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の突起部16とが周方向に重なり合う寸法(図9の符号f参照)の割合が0.45以下となるように設定される。
また、第二磁石支持環7の溝15は、その底部21における周方向長さcが第二磁石支持環7の永久磁石12の周方向長さaよりも長くなるように形成される(c>a)。このようにするのは、図4の比較例に示すような形状とすると、制動のON・OFFを切り換えるべく第一磁石支持環6を回動させる際に、第一磁石支持環6の永久磁石10が第二磁石支持環7の磁性部材13に吸引される力が大きく、また、ロータ1からの反抗磁界の影響を受け易いためである。
さらに、第二磁石支持環7の溝15は、その溝深さdが開口縁20における周方向長さL3の0.15〜0.33倍の長さとなるように形成されることが好ましい。すなわち、溝15の開口縁20における周方向長さL3に対する溝深さdの割合が0.15〜0.33に設定される(d/L3=0.15〜0.33)。このようにするのは、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の磁性部材13との距離が妥当な範囲となるためである。詳しくは、上記の割合が0.15より小さいと、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の磁性部材13との吸引力の影響が大きく、また、ロータ1からの反抗磁界の影響を受け易いためである。一方、上記の割合が0.33より大きいと、第二磁石支持環7の永久磁石12の径方向長さbを小さくせざるを得なかったり、また永久磁石12の径方向長さbを維持して磁性部材13全体を厚くしたとすると、制動時に第一磁石支持環6の永久磁石10とロータ1とを結ぶ磁気回路の長さが長くなったりして、制動性能が低下するためである。
本実施形態では、第二磁石支持環7の突起部16は、その周方向長さL4が第一磁石支持環6の永久磁石10における径方向外側の磁極の周方向長さL1と略等しくなるように形成される(L4≒L1)。
図5に示すように、第一磁石支持環6と第二磁石支持環7との間隔(エアギャップ)、つまり第一磁石支持環6の永久磁石10の外周面と第二磁石支持環7の突起部16の内周面との間隔22は、周方向中央に対して周方向両側で大きくなるように設定されている。
本実施形態では、第一磁石支持環6の永久磁石10の外周面を、所定の曲率半径R1で湾曲され回転軸と同軸なR形状に形成すると共に、第二磁石支持環7の突起部16の内周面を、回転軸の径方向に直角な平面形状(ストレート形状)に形成することで、上記の間隔22を周方向中央に対して周方向両側で大きくなるようにしている。
なお、上記の間隔22を周方向中央に対して周方向両側で大きく設定するために第二磁石支持環7の突起部16の内周面を、図6に示すように、所定の曲率半径R2で第一磁石支持環6の永久磁石10の外周面とは反対側に湾曲するR形状に形成しても良く、図7(a)に示すように、所定のクラウニング量eを有するクラウニング形状に形成してもよく、図8に示すように、所定の曲率半径R3で湾曲され回転軸と同軸なR形状に形成し、その突起部16の周方向両端に面取部23(図示例では所定曲率半径R4を有するR形状の面取)を設けても良い。
また、上記の間隔22を周方向中央に対して周方向片側のみで大きくなるように設定しても良い。その場合例えば図7(b)に示すように(図示例ではクラウニング形状)、上記の間隔22を、制動をOFFからONに切り換える際にアクチュエータにより第一磁石支持環6を回動させる方向(スイッチング方向、図7(b)参照)側で大きくなるように設定することが好ましい。
次に、本実施形態の作用を説明する。
制動OFF時(減速制動を解除する際)には、第一磁石支持環6と第二磁石支持環7との相対位置が図2に示す非制動位置に設定される。このとき、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の永久磁石12との間にN極とS極とを結ぶ短絡的な磁気回路(ロータ1に対する遮断回路)が形成されるため、回転軸に各磁石支持環6、7の永久磁石10、12の磁束は及ばない。
一方、制動ON時(回転軸を減速制動する際)には、非制動位置からアクチュエータにより第一磁石支持環6を周方向に所定幅だけ回動させて、第一磁石支持環6と第二磁石支持環7との相対位置を図1に示す制動位置へと切り換える。
ここで、図12及び図13で示した従来の渦電流式減速装置では、図14に示すように外側磁石支持環43の永久磁石49の磁極からその磁極とは異極となる内側磁石支持環42の永久磁石45の磁極が離脱するときに、各磁石支持環42、43の永久磁石45、49同士の磁束の連結が最も強くなり、スイッチングトルクが最大となる。
これに対して本実施形態では、第二磁石支持環7の内周面に、第二磁石支持環7の各永久磁石12の径方向内側に位置させて溝15を設けたため、図9に示すように、図14で示したものに比べて各磁石支持環6、7の永久磁石10、12同士の磁束の連結を、非制動位置から小さい回動幅で早く切ることができ、制動をOFFからONにするときのスイッチングトルクを低減させることができる。また、隣接する第二磁石支持環7の突起部16に第一磁石支持環6の永久磁石10から入り込む磁束の量が少なくなり、制動時にロータ1から入ってくる反抗磁界が受け難く、同極の反発力も小さくなるため、さらにスイッチングトルクを低減することができる。
また本実施形態では、第一磁石支持環6の永久磁石10を、ロータ1側に向く径方向外側の磁極の周方向長さL1が径方向内側の磁極の周方向長さL2よりも短くなるように形成したため、制動をOFFからONにするときに第一磁石支持環6の永久磁石10が第二磁石支持環7の突起部16からより早く離脱し、各磁石支持環6、7の永久磁石10、12同士の磁束の連結をより早く切ることが可能となる。
さらに図5等に示すように、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の突起部16との間隔22を、周方向中央に対して周方向両側で大きくなるように設定したため、制動をOFFからONにするときに第一磁石支持環6の永久磁石10が第二磁石支持環7の突起部16から離脱する直前で、第一磁石支持環6の永久磁石10と第二磁石支持環7の突起部16との間隔22が最も大きくなるため(図9参照)、隣接する第二磁石支持環7の突起部16に第一磁石支持環6の永久磁石10から入り込む磁束の量が少なくなり、制動時にロータ1から入ってくる反抗磁界が受け難く、同極の反発力も小さくなるため、さらにスイッチングトルクを低減することができる。
さて、図1に示すように、周方向に隣接する第二磁石支持環7の永久磁石12間に、これら永久磁石12の磁極とロータ1に向く磁極が同極である第一磁石支持環6の永久磁石10が位置されるように(制動位置)、アクチュエータにより第一磁石支持環6を回動させると、各磁石支持環6、7の永久磁石10、12とロータ1との間にN極とS極とを結ぶ磁気回路が形成される。これにより、ロータ1とステータ3との相対回転によってロータ1に渦電流が生起され、回転軸が減速制動される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
例えば、図10に示すように、第二磁石支持環7の各突起部16間に、ブリッジ24を設け、永久磁石12の径方向内側の固定用ブリッジ14を途中で切断するようにしても良い。このようにすることにより、永久磁石12における磁気ショートする距離(長さ)を長くして磁気ショートの量を少なくすることができ、磁気ショートすることにより小さくなりがちな第二磁石支持環7の永久磁石12の磁力を補うことができる。
また、上述の実施形態では、アクチュエータにより第一磁石支持環6を回動させるとしたが、これには限定されず、第一磁石支持環6に代えて第二磁石支持環7を回動させるようにしても良く、第一磁石支持環6及び第二磁石支持環7を共に回動させるようにしても良い。
さらに、上述の実施形態では、第一磁石支持環6の永久磁石10は、磁性部材11の外周面に取り付けられるとしたが、これには限定されず、例えば図11に示すように、磁性部材11に、周方向に所定間隔を隔てて複数の挿入穴25を設けて、その挿入穴25に永久磁石10を挿入して固定するようにしても良い。その場合、磁性部材11における各永久磁石10(各挿入穴25)間に、それぞれ空穴26及び溝27(磁性部材11の外周面に設けられる)を形成すると良い。
1 ロータ
6 第一磁石支持環
7 第二磁石支持環
10 永久磁石
11 磁性部材
12 永久磁石
13 磁性部材
15 溝
16 突起部
6 第一磁石支持環
7 第二磁石支持環
10 永久磁石
11 磁性部材
12 永久磁石
13 磁性部材
15 溝
16 突起部
Claims (7)
- 回転軸に取り付けられたロータと、該ロータに対向させて配置され、周方向に所定間隔を隔てて且つ上記ロータに向く磁極を交互に反転させて整列された複数の永久磁石を有する第一磁石支持環と、該第一磁石支持環と上記ロータとの間に配置され、周方向に所定間隔を隔てて且つ周方向に向き合う磁極が同極に設定された複数の永久磁石及び周方向に隣接するこれら永久磁石間に介設された磁性部材を有する第二磁石支持環と、上記第一磁石支持環及び第二磁石支持環のうち少なくとも一方を周方向に回動させるアクチュエータとを備えた渦電流式減速装置において、
上記第二磁石支持環における上記第一磁石支持環側の面に、上記第二磁石支持環の各永久磁石と上記第一磁石支持環との間に位置させて溝を周方向に所定間隔を隔てて複数設け、これら溝は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さよりも短くなるように形成されたことを特徴とする渦電流式減速装置。 - 上記溝は、その周方向両端が上記第二磁石支持環の永久磁石の周方向両端よりも周方向外側にそれぞれ位置されるように形成された請求項1記載の渦電流式減速装置。
- 上記溝は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さの0.55〜1.0倍の長さとなるように形成された請求項1又は2記載の渦電流式減速装置。
- 上記溝は、その径方向長さが周方向長さの0.15〜0.33倍の長さとなるように形成された請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
- 上記第一磁石支持環の永久磁石は、上記ロータ側に向く磁極の周方向長さがその磁極とは反対側の磁極の周方向長さよりも短くなるように形成された請求項1〜4いずれかに記載の渦電流式減速装置。
- 上記第二磁石支持環が、上記各溝で区切られ上記第一磁石支持環側に延出する突起部を有し、該突起部と上記第一磁石支持環の永久磁石との間隔が、周方向中央に対して周方向両側又は片側で大きくなるように設定された請求項1〜5いずれかに記載の渦電流式減速装置。
- 上記突起部は、その周方向長さが上記第一磁石支持環の永久磁石の周方向長さと略等しくなるように形成された請求項6記載の渦電流式減速装置。
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